「家で見慣れない虫を見つけた…これって、もしかしてシロアリ?」そんな不安を抱えて、このページにたどり着いたのではないでしょうか。大切なお住まいに被害を及ぼすシロアリの存在は、誰にとっても心配の種です。しかし、家の中や周りには、シロアリとそっくりな虫がたくさんいるのも事実です。
本記事では、シロアリと間違えやすい虫の種類から、誰でも簡単にできる見分け方のポイント、そして万が一シロアリだった場合の正しい対処法まで、写真や図を交えて分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの不安は解消され、落ち着いて的確な行動がとれるようになるはずです。
その虫、本当にシロアリ?まずは見た目の違いをチェック

家の中で虫を見つけた時、それがシロアリかどうかを判断するのは非常に重要です。シロアリであれば早急な対策が必要ですが、他の虫であれば対処法も異なります。まずは、シロアリと、よく間違えられる代表的な虫「クロアリ」の見た目の違いを、画像とイラストで比較してみましょう。このポイントさえ押さえれば、多くの場合で見分けることが可能です。
この章では、以下の点に注目して、シロアリと他の虫を見分ける基本的な方法を解説します。
- シロアリとクロアリの決定的な違い
- 羽アリで見分けるポイント
- 一目でわかる比較表
これらの情報を基に、まずは落ち着いて、あなたが見つけた虫を観察してみてください。
シロアリとクロアリの決定的な違いは「くびれ」と「触角」
シロアリとクロアリは名前こそ似ていますが、生物学的には全く異なる昆虫です。シロアリはゴキブリの仲間、クロアリはハチの仲間なのです。 そのため、体のつくりに大きな違いがあります。
最も分かりやすい見分け方のポイントは、「胴体のくびれ」と「触角の形」です。
- 胴体: クロアリは胸と腹の間が細くくびれていますが、シロアリはずんどうな体型でくびれがありません。
- 触角: クロアリの触角は「く」の字に曲がっています。一方、シロアリの触角は、数珠が連なったようなまっすぐな形をしています。
この2つのポイントを観察するだけで、多くの場合、シロアリかクロアリかを見分けることができます。虫をティッシュなどで捕まえた際に、よく観察してみてください。
羽アリで見つけた場合は「羽の形」に注目
春から夏にかけて、羽の生えたアリ「羽アリ」を家の中や周辺で見かけることがあります。この羽アリがシロアリだった場合、巣が成熟して新しい巣を作るために飛び立っている証拠なので、特に注意が必要です。羽アリの場合も、クロアリの羽アリとシロアリの羽アリでは明確な違いがあります。
注目すべきは「4枚の羽の大きさ」です。
- クロアリの羽アリ: 前後の羽の大きさが異なり、前の羽が後ろの羽よりも大きいのが特徴です。
- シロアリの羽アリ: 4枚の羽がほぼ同じ大きさ・同じ形をしています。 また、シロアリの羽は非常に取れやすく、室内で羽アリを見つけた場合、近くに落ちた羽が散乱していることも多いです。
羽アリを見つけたら、羽の大きさが同じかどうかを冷静に確認しましょう。もし同じ大きさなら、シロアリの可能性が非常に高いと言えます。
【早見表】シロアリとクロアリの見分け方まとめ
これまでの見分け方のポイントを、分かりやすく表にまとめました。家で見つけた虫と照らし合わせて、どちらの特徴に近いかチェックしてみてください。
特徴 | シロアリ | クロアリ |
---|---|---|
胴体 | くびれがなく、寸胴 | 胸と腹の間にくびれがある |
触角 | まっすぐな数珠状 | 「く」の字に曲がっている |
羽(羽アリ) | 4枚ともほぼ同じ大きさ | 前の羽が大きい |
生物分類 | ゴキブリの仲間 | ハチの仲間 |
食性 | 木材(家の柱など)を食べる | 砂糖やお菓子などを好む(木材は食べない) |
このように、いくつかのポイントを比較すれば、シロアリとクロアリは明確に見分けることができます。落ち着いて観察することが、正しい判断への第一歩です。
シロアリと間違える虫【7選】それぞれの特徴と見分け方

シロアリとクロアリの違いはご理解いただけたかと思います。しかし、家の中や周辺には、他にもシロアリと見間違えやすい虫が存在します。知らずに放置すると、別の被害につながる可能性もゼロではありません。ここでは、特に間違いやすい7種類の虫について、それぞれの特徴とシロアリとの見分け方を詳しく解説していきます。
この章で紹介する虫は以下の通りです。
- クロアリ(羽アリ)
- イエヒメアリ
- キクイムシ
- クロバネキノコバエ
- チャタテムシ
- シミ(ヤマトシミ)
- アメイロアリ
それぞれの虫の写真と特徴をしっかり確認し、不安を解消していきましょう。
クロアリ(羽アリ):最も間違えやすい代表格
クロアリの羽アリは、シロアリの羽アリと発生時期や見た目が似ているため、最も間違えやすい虫の代表格です。特にヤマトシロアリの羽アリは黒っぽい色をしているため、クロアリと誤認されがちです。
しかし、前述の通り、体のつくりを見れば見分けることは難しくありません。胴体の「くびれ」の有無、触角が「く」の字か数珠状か、そして4枚の羽が同じ大きさかどうか、この3点を再度確認してください。 クロアリは基本的に木材を食べませんが、朽ちた木に巣を作ることがあるため、家の周りに発生した場合は注意が必要です。 発生時期は種類によりますが、6月から11月頃に多く見られます。
イエヒメアリ:小さくて茶色い厄介者
イエヒメアリは、体長2mm程度の非常に小さなアリで、体色が茶褐色なためイエシロアリと間違われることがあります。 しかし、イエヒメアリもクロアリの仲間なので、よく見ると胴体にしっかりとしたくびれがあります。 また、シロアリと違って光沢がないのも特徴です。
イエヒメアリは雑食性で、砂糖や菓子類、油などあらゆる食品に群がります。 繁殖力が非常に高く、一つの巣に多数の女王アリが存在するため、一度家の中に侵入・定着すると根絶が難しい厄介な害虫です。 小さな隙間から簡単に侵入し、壁の中や家具の隙間などに巣を作るため、見つけたら早めの対策が必要です。
キクイムシ:木材に開いた小さな穴の犯人
キクイムシは、シロアリのように木材を食害する害虫ですが、見た目は全く異なります。体長3~8mm程度の赤褐色や暗褐色の甲虫で、シロアリと見間違えることはないでしょう。 しかし、被害の跡がシロアリと間違われることがあります。
キクイムシの被害の特徴は、木材の表面に直径1~2mmほどの小さな穴が多数開いていることです。 そして、その穴の周りには、木くずのような細かい粉(フン)が落ちています。 シロアリも木材を食べますが、被害箇所を土や排泄物で固めてトンネル(蟻道)を作るため、このようなきれいな円形の穴と木くずはキクイムシの仕業である可能性が高いです。主にラワン材などの広葉樹を好むため、輸入家具や建材から発生することが多いです。
クロバネキノコバエ:観葉植物から発生する黒い羽虫
クロバネキノコバエは、観葉植物の土などから発生する体長1~2mmほどの小さなコバエです。 体が黒く、大量発生することがあるため、ヤマトシロアリの羽アリと間違われることがあります。
しかし、見分けは非常に簡単です。まず、大きさが全く違います。ヤマトシロアリの羽アリが5~7mm程度なのに対し、クロバネキノコバエは非常に小さいです。 また、クロバネキノコバエはコバエなので、アリのような胴体のくびれはありませんが、シロアリのような寸胴な体型でもありません。動きもシロアリより俊敏です。観葉植物の周りを飛んでいる小さな黒い虫は、まずクロバネキノコバエを疑って良いでしょう。
チャタテムシ:湿気を好む小さな虫
チャタテムシは、体長1~1.3mmほどの非常に小さな虫で、湿度の高い場所を好みます。 古本や畳、壁紙のノリ、乾麺などを餌にし、カビが発生するような環境で繁殖しやすいです。 白っぽい色をしているため、シロアリの幼虫と間違われることがありますが、大きさで簡単に見分けがつきます。肉眼でかろうじて見える程度の小ささであれば、チャタテムシの可能性が高いです。
また、チャタテムシは単独で行動することが多いのに対し、シロアリは集団で行動します。 人を刺したり、家に直接的な損害を与えたりすることはありませんが、大量発生すると死骸がアレルギーの原因になる可能性も指摘されています。
シミ(ヤマトシミ):銀色に光る素早い虫
シミ(ヤマトシミ)は、体長8~9mm程度で、銀色の鱗粉で覆われた原始的な昆虫です。 クネクネと素早く動き回る姿が特徴的で、本や壁紙、衣類などを食害します。白っぽく見えることがあるためシロアリと間違われることがありますが、行動パターンが全く異なります。
シロアリは光を嫌い、基本的に人目につく場所には出てきません。 一方、シミは夜行性ではあるものの、畳の上や壁などを堂々と歩き回ることがあります。また、シロアリのような社会性はなく、単独で行動します。 その特徴的な動きと銀色の見た目から、一度見ればシロアリと間違えることはないでしょう。
アメイロアリ:茶色っぽいアリの仲間
アメイロアリは、その名の通り、飴色(あめいろ)のような明るい茶褐色をしたクロアリの仲間です。体色がイエシロアリに似ているため、間違われることがあります。
しかし、これもクロアリの仲間なので、見分けるポイントは同じです。胴体に明確なくびれがあり、触角は「く」の字に曲がっています。 シロアリのように木材を食べることはなく、主に甘いものを好みます。屋外の石の下や朽ち木に巣を作ることが多く、家の中に侵入してくることもありますが、家屋に直接的な被害を与える心配は少ないでしょう。
見つけた虫がシロアリだった場合の正しい対処法

もし、あなたが見つけた虫が、これまでの見分け方から「シロアリ」の可能性が高いと判断された場合、不安に思うのは当然です。しかし、ここで慌てて間違った行動をとると、かえって被害を拡大させてしまう恐れがあります。落ち着いて、正しい手順で対処することが何よりも重要です。
この章では、万が一シロアリを発見してしまった場合に、どのように行動すべきかを具体的に解説します。
- 絶対にやってはいけないNG行動
- 自分でできる応急処置
- プロの駆除業者に相談すべき理由
- 信頼できるシロアリ駆除業者の選び方
正しい知識を身につけ、大切なお住まいを守るための第一歩を踏み出しましょう。
絶対にやってはいけないNG行動:殺虫剤の使用
羽アリが大量に発生しているのを見ると、つい殺虫スプレーを噴射したくなる気持ちはよく分かります。しかし、シロアリに対して市販の殺虫剤を安易に使うのは絶対にやめてください。
なぜなら、殺虫剤で目に見えるシロアリを駆除しても、それは巣の中にいるシロアリ全体のほんの一部に過ぎないからです。殺虫剤の忌避(きひ)効果によって、危険を察知したシロアリが別の場所に移動し、被害が家の見えない場所でさらに拡大してしまうリスクがあります。 発生源の特定が困難になり、根本的な駆除を妨げる原因となるのです。見つけたシロアリは、あくまで氷山の一角だと考えてください。
自分でできる応急処置:掃除機や粘着テープで除去
殺虫剤がNGとなると、どうすれば良いのでしょうか。室内で発生した羽アリに対しては、物理的に除去するのが最も安全で確実な応急処置です。
- 掃除機で吸い取る: 最も手軽な方法です。吸い取った後は、中のゴミをすぐにビニール袋に入れて密閉し、捨てるようにしましょう。
- 粘着テープやローラーで取る: ガムテープや粘着カーペットクリーナーなどで貼り付けて除去します。
- ビニール袋をかぶせる: 発生源(壁の隙間など)が特定できる場合は、その箇所にビニール袋をテープで貼り付け、出てきた羽アリを袋の中に閉じ込めてしまうのも有効です。
これらの方法は、あくまで目に見える羽アリに対する一時的な処置です。根本的な解決にはなっていないことを忘れないでください。
プロの駆除業者に相談すべき理由
応急処置をしても、床下や壁の中には数万から数百万匹のシロアリが潜んでいる可能性があります。 これらを自力で完全に駆除するのは、残念ながら不可能です。シロアリ被害を放置すると、家の土台や柱が食い荒らされ、耐震性が著しく低下し、最悪の場合、家の資産価値が大きく損なわれることになります。
プロの駆除業者は、専門的な知識と機材を用いて、被害状況を正確に調査し、巣の場所を特定します。そして、建物の構造や被害レベルに合わせた最適な方法で、巣ごと根絶やしにしてくれます。再発を防ぐための予防処理(防蟻処理)も行ってくれるため、長期的な安心を得ることができます。 シロアリの初期症状を見つけたら、被害が深刻化する前に、できるだけ早く専門業者に相談することが、お住まいを守るための最も賢明な選択です。
信頼できるシロアリ駆除業者の選び方
いざ業者に頼もうと思っても、どこに依頼すれば良いか迷いますよね。残念ながら、中には高額な請求をする悪質な業者も存在します。信頼できる業者を選ぶためには、以下のポイントをチェックしましょう。
- 複数の業者から見積もりを取る(相見積もり): 料金やサービス内容を比較検討するために、最低でも2~3社から見積もりを取りましょう。 これにより、適正な価格相場を把握できます。
- 見積書の内容が詳細か: 「一式」ではなく、使用する薬剤の名前、量、作業内容、単価などが具体的に記載されているか確認します。 不明な点は遠慮なく質問し、丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
- (公社)日本しろあり対策協会の会員か: この協会は、シロアリ防除に関する技術向上や安全な薬剤の認定などを行っている団体です。 加入していることは、一定の信頼性の目安になります。
- 保証やアフターサービスが充実しているか: 多くの優良業者は、施工後5年間の保証を付けています。 保証期間内にシロアリが再発した場合の対応(無償での再施工など)を事前に確認しておきましょう。
- 床下調査が無料か: 多くの専門業者は、無料での床下診断を実施しています。 まずは気軽に調査を依頼し、その際の対応の丁寧さなども判断材料にしましょう。
これらのポイントを参考に、安さだけでなく、総合的に信頼できるパートナーを見つけることが大切です。
シロアリではなかった!でも安心は禁物?虫別の対処法

見つけた虫がシロアリではないと分かり、ホッと一安心されたかもしれません。しかし、その虫が別の種類の害虫である可能性もあります。シロアリほどの甚大な被害はなくても、食品に害を与えたり、不快感を与えたりする虫もいます。ここでは、シロアリと間違えやすい虫が、もし家の中で見つかった場合にどう対処すればよいかを解説します。
この章では、以下の虫への対処法を説明します。
- クロアリやイエヒメアリの駆除方法
- キクイムシの対策
- その他の虫への対応
それぞれの虫の特性に合わせた正しい対処で、快適な住環境を守りましょう。
クロアリ・イエヒメアリの駆除方法
クロアリやイエヒメアリが家の中に侵入している場合、食べ物に群がったり、行列を作ったりして不快です。特にイエヒメアリは繁殖力が強く、根絶が難しい場合があります。
駆除には、ベイト剤(毒餌)の使用が効果的です。働きアリがベイト剤を巣に持ち帰り、女王アリや他のアリに分け与えることで、巣ごと駆除することができます。 スプレー式の殺虫剤は、見えているアリにしか効果がなく、巣の中にいる大多数には届かないため、根本的な解決にはなりにくいです。イエヒメアリは非常に小さく、わずかな隙間から侵入するため、侵入経路となりそうな隙間を塞ぐことも予防につながります。
キクイムシの対策
キクイムシは、家具やフローリングなどの木材を内部から食い荒らします。 被害を見つけたら、これ以上被害が広がらないように対策が必要です。
まず、被害箇所に開いている小さな穴に、キクイムシ専用の殺虫剤を注入します。ノズル付きのスプレータイプが市販されています。 これにより、木材内部にいる幼虫を駆除します。被害が広範囲に及んでいる場合や、大切な家具の場合は、専門の駆除業者に相談することをおすすめします。新たなキクイムシの発生を防ぐためには、木材用の防虫塗料を塗布するのも有効な手段です。
その他の虫(クロバネキノコバエ・チャタテムシなど)への対応
クロバネキノコバエやチャタテムシは、家に直接的な損害を与えることはありませんが、大量発生すると不快です。これらの虫は、湿気とエサがある場所を好んで発生します。
- クロバネキノコバエ: 発生源である観葉植物の土の表面を数センチ取り除き、新しい無機質の土に入れ替える、水やりを控えて土を乾燥気味に保つなどの対策が有効です。
- チャタテムシ: 湿気を好むため、こまめな換気や除湿器の使用で湿度を下げることが最も重要です。 エサとなるホコリやカビ、食品カスなどをなくすため、徹底的な掃除も効果があります。
これらの虫は、環境を改善することで発生を抑制できます。殺虫剤に頼る前に、まずは発生しにくい環境づくりを心がけましょう。
【予防が肝心】シロアリを寄せ付けない家にするための対策

シロアリ被害は、一度発生すると駆除に手間と費用がかかります。最も重要なのは、そもそもシロアリを寄せ付けない環境を作ること、つまり「予防」です。日頃のちょっとした心がけで、シロアリが好む環境をなくし、被害のリスクを大幅に減らすことができます。ここでは、今日からでも始められる簡単なシロアリ予防策をご紹介します。
この章では、以下の予防策について詳しく解説します。
- 家の周りの環境整備
- 湿気対策
- 専門家による定期的な点検と予防処理
大切なマイホームをシロアリから守るために、ぜひ実践してみてください。
家の周りに木材や段ボールを放置しない
シロアリは、湿った木材をエサとし、住処にします。家の基礎の周りに、使わなくなった木材、杭、切り株、ウッドデッキの廃材などを放置していませんか?これらはシロアリを呼び寄せる格好のエサになってしまいます。また、段ボールもシロアリの好物です。湿った段ボールは、シロアリにとって食べやすく、保温性・保湿性にも優れているため、巣作りの材料にされてしまうこともあります。
家の周りは常に整理整頓を心がけ、不要な木材や段ボールは速やかに処分しましょう。庭木が家の壁に接している場合は、剪定して風通しを良くすることも大切です。シロアリにエサ場と隠れ家を与えないことが、予防の第一歩です。
床下の風通しを良くし、湿気を溜めない
日本の家屋に最も多く被害をもたらすヤマトシロアリは、特に湿気の多い場所を好みます。 そのため、床下の湿気対策はシロアリ予防において非常に重要です。
まずは、家の基礎にある換気口の前に物を置かないようにしましょう。植木鉢や荷物などで換気口が塞がれていると、床下の空気がよどみ、湿気が溜まる原因になります。また、雨漏りや水漏れを放置していると、木材が湿ってシロアリの被害を受けやすくなります。 水回りの異常に気づいたら、早めに修理することが肝心です。床下に調湿剤を撒いたり、床下換気扇を設置したりすることも、湿気対策として非常に効果的です。
5年に一度は専門家による予防処理を
自分でできる予防策には限界があります。長期的に家を守るためには、プロによる定期的なメンテナンスが欠かせません。
多くのシロアリ駆除業者が使用する薬剤の効果は、一般的に5年間とされています。 新築時に行われた防蟻処理も、5年を過ぎると効果が切れてしまいます。 そのため、5年に一度は専門家による床下点検と予防処理(薬剤の再散布など)を行うことが強く推奨されています。
定期的なメンテナンスは、一見すると費用がかかるように思えるかもしれません。しかし、万が一シロアリ被害に遭ってしまい、大規模な修繕が必要になった場合の費用と比べれば、はるかに経済的です。 大切な資産であるお住まいの価値を維持するためにも、計画的な予防投資と考えましょう。
よくある質問

ここでは、「シロアリと間違える虫」に関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式でお答えします。
羽アリが大量発生!時期や時間帯でシロアリか分かりますか?
はい、ある程度は推測可能です。日本で家屋に被害を与える主なシロアリの羽アリは、種類によって発生時期と時間帯が異なります。
- ヤマトシロアリ: 4月~5月頃の昼間に発生します。 黒っぽい羽アリです。
- イエシロアリ: 6月~7月頃の夕方から夜にかけて、光に集まる習性があります。 茶褐色の羽アリです。
もし、4月や5月の昼間に黒っぽい羽アリが大量発生したら、ヤマトシロアリの可能性が高いです。 ただし、クロアリの羽アリも様々な時期に発生するため、最終的な判断は体の特徴(くびれ、触角、羽の形)で確認することが重要です。
茶色いアリはシロアリですか?
「茶色いアリ」が必ずしもシロアリとは限りません。シロアリの中には、イエシロアリのように茶褐色(黄褐色)の種類もいますが、クロアリの仲間にもイエヒメアリやアメイロアリのように茶色っぽい種類がいます。
色だけで判断するのは危険です。やはり重要なのは、胴体に「くびれ」があるかどうかです。くびれがあればクロアリの仲間、ずんどうであればシロアリの可能性が高いです。 見つけた虫が茶色い場合は、特に注意深く観察してください。
シロアリ被害の初期症状にはどんなものがありますか?
シロアリ被害は静かに進行するため、気づきにくいことが多いです。以下のようなサインは、シロアリ被害の初期症状の可能性があります。
- 蟻道(ぎどう)がある: 壁や基礎に、土を固めたようなトンネル状の道がある。
- 柱や壁を叩くと空洞音がする: 内部が食べられて空洞になっている可能性があります。
- 床がきしむ、沈む: 床下の木材が被害に遭い、強度が落ちているかもしれません。
- ドアや窓の建て付けが悪くなる: 柱などが歪み、開閉しにくくなることがあります。
- 木くずのようなフンが落ちている: ただし、これはキクイムシの可能性もあります。
これらのサインに一つでも気づいたら、専門家による床下調査をおすすめします。
シロアリ駆除の費用はどれくらいかかりますか?
シロアリ駆除の費用は、被害の状況、建物の広さ、駆除方法(工法)などによって大きく異なります。一般的な費用相場は、1坪あたり約10,000円前後、または1㎡あたり約3,000円前後とされていますが、業者によって価格設定は様々です。
例えば、一般的な30坪の一戸建ての場合、約11万円~30万円程度が目安となります。 これはあくまで目安であり、被害が甚大で修繕が必要な場合や、特殊な工法を用いる場合は追加費用がかかることもあります。 必ず複数の業者から詳細な見積もりを取り、内容をしっかり比較検討することが重要です。
自分でシロアリ駆除はできますか?
結論から言うと、根本的なシロアリ駆除を自分で行うのは非常に困難であり、おすすめできません。
市販の薬剤もありますが、床下に潜って隅々まで薬剤を散布するのは専門的な知識と技術、そして安全装備が必要です。 中途半端な処置は、前述の通りシロアリを別の場所に追いやるだけで、被害をかえって拡大させるリスクがあります。 また、ベイト工法(毒餌を設置する方法)も市販品がありますが、シロアリの通り道や巣の場所を正確に判断して設置しなければ効果は期待できません。 確実な駆除と再発防止のためには、プロの業者に依頼するのが最も安全で効果的な方法です。
まとめ

- シロアリとクロアリの最大の違いは胴体の「くびれ」と触角の形です。
- シロアリの羽アリは4枚の羽が同じ大きさですが、クロアリは前の羽が大きいです。
- シロアリはゴキブリの仲間、クロアリはハチの仲間で生物学的に異なります。
- イエヒメアリは小さく茶色いですが、胴体にくびれがあるアリの仲間です。
- キクイムシは木材に小さな穴を開け、シロアリとは被害の跡が異なります。
- クロバネキノコバエは観葉植物から発生する小さなコバエで、大きさで見分けられます。
- チャタテムシやシミは湿気を好み、シロアリとは行動パターンが違います。
- シロアリを発見しても、市販の殺虫剤を安易に使うのは避けるべきです。
- 応急処置としては、掃除機で吸うか粘着テープで除去するのが安全です。
- シロアリ被害の根本的な解決には、プロの駆除業者への依頼が不可欠です。
- 信頼できる業者は、相見積もり、詳細な見積書、保証の有無で選びましょう。
- シロアリ予防には、家の周りの整理整頓と湿気対策が重要です。
- 床下の換気口を塞がず、風通しを良くすることが湿気対策の基本です。
- 薬剤の効果は5年が目安のため、定期的な専門家による予防処理が推奨されます。
- 不安なサインを見つけたら、まずは無料の床下診断を依頼するのが賢明です。