畑や庭で大切に育てている野菜や花が、ある日突然、根元から倒れていたり、葉が食い荒らされていたりするのを見ると、がっかりしてしまいますよね。その原因は、土の中に潜むネキリムシやコオロギかもしれません。
本記事では、そんな厄介な害虫から作物を守るための粒状殺虫剤「ネキリエース」について、その正しい使い方から効果を最大限に引き出すコツ、そして使用上の大切な注意点まで、詳しく解説します。あなたの植物を守るための助けとなるでしょう。
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ネキリエースとは？ネキリムシ・コオロギに効く粒状殺虫剤の基本
ネキリエースは、土の中に潜むネキリムシやコオロギといった害虫を効果的に退治する粒状の殺虫剤です。特に、防除が難しいとされるネキリムシの老齢幼虫にも高い効果を発揮することが大きな特長です。この薬剤は、害虫が好んで食べる誘引成分を含んだ「ベイト剤」として設計されています。
害虫が薬剤を食べることによって効果を発揮するため、作物の株元や土壌表面にまくだけという手軽さも魅力の一つです。農作業の負担を減らしつつ、大切な作物を守りたいと考える方にとって、心強い味方となるでしょう。
ネキリエースの主な特長と効果
ネキリエースの最大の特長は、ネキリムシの老齢幼虫に対しても優れた食毒効果を示す点です。ネキリムシは成長すると薬剤が効きにくくなることがありますが、ネキリエースはそうした状況でもしっかりと効果を発揮します。
また、ベイト剤であるため、土壌表面や作物の株元にまくだけで効果が期待できる省力的な使い方ができます。薬剤が土壌に混和される必要がないため、手間がかかりません。さらに、コオロギにも有効であることが確認されており、幅広い害虫対策に役立ちます。
どんな害虫に効果がある？
ネキリエースが主に効果を発揮するのは、作物の根元や茎を食害する「ネキリムシ類」と、畑や庭でよく見かける「コオロギ類」です。ネキリムシは、夜間に活動し、若い苗の茎を地際で食い切ってしまうことから「根切り虫」とも呼ばれます。これにより、せっかく育った苗が突然枯れてしまう被害が多発します。
コオロギもまた、作物の葉や茎を食害することがあり、特に乾燥した時期に被害が目立つことがあります。ネキリエースは、これらの害虫が好む誘引成分で引き寄せ、食べさせることで駆除します。特に老齢幼虫にも効くため、被害が進行してしまった場合でも対応できるのが強みです。
粒状ベイト剤の仕組み
ネキリエースは、有効成分であるイソキサチオンを0.5%含む赤紫色の粒状の薬剤です。この粒は、害虫が好む誘引成分と殺虫成分が配合されており、害虫が誘われて食べることによって効果を発揮する「ベイト剤（毒餌剤）」というタイプです。
土壌表面にまかれた粒剤は、夜間に活動するネキリムシやコオロギが餌として認識し、摂取します。これにより、薬剤が直接害虫の体内に取り込まれ、高い殺虫効果をもたらします。この仕組みにより、広範囲に散布する手間なく、狙った害虫を効率よく駆除できるのです。
ネキリエースの正しい使い方：効果を最大限に引き出す散布方法
ネキリエースの効果を最大限に引き出すためには、正しい散布方法とタイミングを知ることが重要です。この薬剤は、被害の発生を確認してから使用することで、より高い効果が期待できます。予防的な長期使用には向いていないため、注意が必要です。
ここでは、ネキリエースを効果的に使うための具体的な方法について解説します。適切な使い方を実践して、大切な作物を害虫から守りましょう。
適切な散布時期とタイミング
ネキリエースは、ネキリムシやコオロギによる被害が発生した際に使用するのが最も効果的です。具体的には、作物の「は種時」や「定植時」から「生育初期」にかけて、または被害の兆候が見られたらすぐに散布することが推奨されます。
ネキリムシは夜間に活動が活発になるため、夕方に散布すると、より効率的に害虫に薬剤を食べさせることができます。また、メロンなど一部の作物では収穫直前まで使用できる場合もありますが、作物ごとに定められた使用時期や回数を必ず守るようにしましょう。
基本的な散布方法と使用量
ネキリエースの基本的な使い方は非常に簡単です。薬剤を希釈する必要はなく、そのまま作物の株元や土壌表面にまくだけです。 一般的な使用量は、10アールあたり3kg（1平方メートルあたり3g）が目安とされています。
被害の発生が見られたら、作物の根元に直接、数粒ずつパラパラと散布します。広範囲に均一にまくのではなく、害虫が潜んでいそうな場所や被害を受けている株の周辺に重点的に散布するのがコツです。これにより、効率よく害虫を誘引し、駆除することができます。
メロンなど特定の作物への使い方
メロンに使用する際には、いくつかの特別な注意点があります。メロンの収穫前増糖期の乾燥時にコオロギによる食害が発生することがあるため、その防除に使用できます。
ただし、薬剤が直接果実にかからないように細心の注意が必要です。具体的には、果実の周辺の土壌表面、または床面に、1ヶ所あたり数粒ずつ容器に入れて配置する方法が推奨されています。これにより、果実への直接的な接触を避けつつ、コオロギの食害を防ぐことができます。
雨天時の使用は避けるべき理由
ネキリエースは粒状のベイト剤であり、雨や水に濡れると効果が低下する可能性があります。粒剤が崩壊してしまい、誘引効果や殺虫効果が十分に発揮されなくなるためです。
そのため、露地で使用する場合は、降雨が予想されるときには散布を避けるようにしましょう。ハウス栽培の場合でも、灌水がかからない場所に配置するなど、水濡れを防ぐ工夫が大切です。効果を確実に得るためにも、天候をよく確認してから使用するように心がけてください。
ネキリエースを使う上での大切な注意点と安全性
ネキリエースは効果的な殺虫剤ですが、農薬である以上、使用する際にはいくつかの大切な注意点があります。人やペット、そして環境への影響を最小限に抑え、安全に使うための知識を持つことが非常に重要です。
ここでは、ネキリエースを安全に、そして適切に使うために知っておくべきポイントを詳しく解説します。製品ラベルの記載内容をよく読み、正しく使用しましょう。
人体への影響と安全対策
ネキリエースは「普通物」に分類される農薬であり、毒物および劇物取締法における特定毒物、毒物、劇物には該当しません。 しかし、眼に対して刺激性があるため、誤って眼に入った場合は直ちに多量の水で洗い流し、速やかに眼科医の診察を受けてください。
散布の際は、農薬用マスクや保護メガネ、手袋などを着用し、薬剤が皮膚や目にかからないように注意しましょう。作業後は、手足や顔を石鹸でよく洗い、うがいをすることも忘れないでください。誤食のないよう、保管場所にも十分な配慮が必要です。
ペットや家畜、有用昆虫への配慮
ネキリエースは、犬や猫などのペット類、および家畜が誤って食べないように注意が必要です。食べる可能性のある場所での使用や保管は避けてください。
また、蚕やミツバチに対しても影響を及ぼす恐れがあるため、養蚕地帯やミツバチの巣箱およびその周辺では使用しない、または薬剤が飛散しないように細心の注意を払う必要があります。これらの有用昆虫への影響を考慮し、適切な使用を心がけましょう。
環境への影響と適切な処理
ネキリエースは、水産動植物（特に甲殻類）に影響を及ぼす恐れがあるため、河川や養殖池などへの飛散や流入を厳重に避ける必要があります。散布器具や容器の洗浄水も、河川などに流さないように注意してください。
使用後の空容器や空袋は、水産動植物に影響を与えないよう、適切に処理することが求められます。地域の廃棄物処理のルールに従い、環境に配慮した処分を徹底しましょう。直射日光を避け、低温で乾燥した場所に密封して保管することも大切です。
使用できない作物や場面
ネキリエースは多くの作物に登録されていますが、使用できない作物や場面も存在します。例えば、「つまみ菜」や「間引き菜」には使用しないでください。
また、作物ごとに使用時期や使用回数が厳しく定められています。ラベルに記載されている適用作物、適用病害虫、使用量、使用時期、本剤の使用回数、イソキサチオンを含む農薬の総使用回数を必ず確認し、それ以外の作物や時期には使用しないようにしましょう。特に初めて使用する場合は、地域の病害虫防除所など関係機関の指導を受けることをおすすめします。
ネキリエースの購入場所と価格帯
ネキリエースは、農業資材を取り扱う店舗やオンラインストアで手軽に購入できます。購入を検討している方は、どこで手に入るのか、だいたいの価格帯はどのくらいなのかを知っておくと、スムーズに準備を進められるでしょう。
ここでは、ネキリエースの主な購入場所と、一般的な価格帯について解説します。
どこで手に入る？主な販売店
ネキリエースは、主に以下の場所で購入することができます。
- ホームセンター: コメリやDCMオンラインなどの大手ホームセンターでは、農業資材コーナーで取り扱っていることが多いです。実際に商品を見て選びたい方におすすめです。
- 農業資材専門店: e-種や、農薬通販.jp、日本農業システムなど、専門の農業資材店やオンラインストアでも購入可能です。品揃えが豊富で、より詳しい情報が得られることもあります。
- オンラインストア: モノタロウやタキイネットなど、インターネット通販サイトでも手軽に購入できます。自宅に配送されるため、忙しい方や近くに店舗がない場合に便利です。
購入の際は、在庫状況や送料なども確認しておくと良いでしょう。
参考価格と選び方
ネキリエースの価格は、内容量や販売店によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
- 600g入り: 980円～1,430円程度
- 2kg入り: 1,500円～2,200円程度
（※上記は調査時点での参考価格であり、変動する可能性があります。）
少量だけ試したい場合は600g入り、広い範囲で使用する場合や継続的に使いたい場合は2kg入りを選ぶと良いでしょう。複数の販売店で価格を比較検討し、ご自身の使用目的に合った容量を選ぶことをおすすめします。
よくある質問
ネキリエースについて、お客様からよくいただく質問とその回答をまとめました。使用する際の疑問や不安を解消し、安心して薬剤をお使いいただくための助けとなれば幸いです。
ネキリエースは除草剤ですか？
いいえ、ネキリエースは除草剤ではありません。ネキリエースは「殺虫剤」に分類される農薬です。 主にネキリムシやコオロギといった害虫を駆除するために使用されます。雑草を枯らす効果はありませんので、除草目的では使用しないでください。
ネキリエースが効かないと感じる時は？
ネキリエースが効かないと感じる場合、いくつかの原因が考えられます。まず、雨や水に濡れて効果が低下している可能性があります。 また、被害が発生する前に予防的に長期間使用している場合、効果が期待できないことがあります。ネキリエースは、被害の発生をみたら散布する「誘殺剤」です。 散布時期や方法が適切か、再度確認してみましょう。
害虫の種類がネキリエースの適用害虫ではない可能性も考えられます。
ネキリエースの有効成分は何ですか？
ネキリエースの有効成分は「イソキサチオン」です。 この成分が0.5%配合されており、害虫が摂取することで殺虫効果を発揮します。
ネキリエースの保管方法は？
ネキリエースは、直射日光を避け、なるべく低温で乾燥した場所に密封して保管してください。 また、誤食を防ぐため、食品と区別し、小児の手の届かない場所に保管することが重要です。
ネキリエースは予防的に使えますか？
ネキリエースは、被害の発生をみたら作物の根元に散布する「誘殺剤」です。 予防的に散布しても、その後ネキリムシが発生するまでの期間が長いと、効果が期待できないことがあります。そのため、被害の兆候が見られた際に使用するのが、最も効果的な使い方です。
まとめ
- ネキリエースは、ネキリムシやコオロギに効く粒状の殺虫剤です。
- 特に、防除が難しいネキリムシの老齢幼虫にも効果を発揮します。
- 土壌表面や株元にまくだけで使える手軽なベイト剤です。
- 有効成分はイソキサチオン0.5%です。
- 被害の発生を確認してから散布するのが効果的です。
- 夕方に散布すると、より効率的に害虫を駆除できます。
- 雨や水に濡れると効果が低下するため、雨天時の使用は避けましょう。
- メロンなど特定の作物には、果実に直接かからないよう容器に入れて配置します。
- 眼に刺激性があるため、散布時はマスクや手袋を着用し、作業後はうがいをしましょう。
- ペットや家畜、蚕、ミツバチへの影響に配慮が必要です。
- 河川や養殖池への流入を避け、使用後は適切に処理しましょう。
- つまみ菜や間引き菜には使用できません。
- 適用作物ごとの使用時期や回数を必ず守りましょう。
- ホームセンターや農業資材店、オンラインストアで購入できます。
- ネキリエースは除草剤ではなく殺虫剤です。
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