手塚治虫先生による不朽の名作「どろろ」。1969年と2019年に二度アニメ化され、多くのファンを魅了しました。しかし、特に1969年版について「打ち切りだったのでは?」という噂を耳にしたことがある方もいるかもしれません。
本記事では、どろろのアニメ打ち切り説の真相、1969年版が放送短縮に至った理由、そして2019年版が無事完走した事実について、詳しく解説していきます。
どろろのアニメは本当に打ち切りになったの?噂の真相を解明
「どろろのアニメが打ち切りになった」という話を聞いたことがあるでしょうか?この噂は、主に1969年に放送された最初のアニメ版に関連するものです。結論から言うと、1969年版は打ち切り(放送短縮)が事実、2019年版は打ち切りではなく全話完走しています。それぞれの状況を詳しく見ていきましょう。
1969年版アニメ:打ち切り(放送短縮)は事実
1969年にフジテレビ系列で放送された「どろろ」の最初のアニメ版。実は、当初予定されていた話数よりも短い話数で放送を終えています。具体的には、当初は全26話の予定でしたが、最終的に全26話で完結しました。あれ?話数が減ってない?と思われるかもしれませんが、後半1クール(14話以降)はタイトルが「どろろと百鬼丸」に変更され、内容もややマイルドな方向へと路線変更されました。この路線変更やテコ入れがあったものの、最終的には予定通り完結した、というのが正確なところです。しかし、この変更や当時の状況から「打ち切り」と認識されることが多いようです。
なぜこのような事態になったのでしょうか?当時のアニメ業界を取り巻く環境や、スポンサーの意向などが複雑に絡み合っていたと考えられています。後半の章で、その具体的な理由を深掘りしていきます。
2019年版アニメ:打ち切りではなく全話完走
一方、2019年に放送されたリメイク版のアニメ「どろろ」は、打ち切りの事実は一切ありません。こちらはAmazonプライム・ビデオでの先行配信、その後TOKYO MXなどでテレビ放送され、全24話をもって無事に物語が完結しています。
放送形式は分割2クール(1クール12話 × 2)でしたが、これは最初からの予定通りです。現代的な作画と演出、そして原作の持つ魅力を最大限に引き出したストーリーは国内外で高く評価され、人気を博しました。したがって、2019年版に関しては「打ち切り」の心配は全く不要です。むしろ、見事に完結した名作アニメと言えるでしょう。
【衝撃】1969年版「どろろ」アニメが打ち切り(放送短縮)になった3つの理由
1969年版アニメ「どろろ」が、なぜ放送短縮(打ち切り)と認識されるような状況、すなわち路線変更やテコ入れを余儀なくされたのでしょうか。当時の関係者の証言や資料から、主に3つの理由が考えられます。それは「スポンサーの意向とおもちゃの売上不振」「想定より伸び悩んだ視聴率」「モノクロからカラーへの移行期の混乱」です。
理由1:スポンサーの意向とおもちゃの売上不振
当時のアニメ制作において、スポンサーの意向は非常に大きな影響力を持っていました。1969年版「どろろ」の主なスポンサーは、海外特撮ドラマ「サンダーバード」のプラモデルなどを販売していた今井科学(イマイ)でした。当初、スポンサーは「どろろ」関連の商品展開に期待を寄せていたと考えられます。
しかし、「どろろ」は妖怪退治というダークな要素が強く、子供向けの明るい玩具とは少し毛色が異なります。そのためか、関連商品の売上が思うように伸びなかったようです。特に「サンダーバード」のような派手なメカニックが登場するわけでもなく、当時の子供たちにとって魅力的な商品展開が難しかったのかもしれません。スポンサーとしては、期待したほどの広告効果や商品売上が得られず、番組への関与を見直す動きが出たとしても不思議ではありません。
理由2:想定より伸び悩んだ視聴率
スポンサーの意向と並んで重要視されるのが視聴率です。1969年版「どろろ」は、手塚治虫原作ということで期待されていましたが、視聴率が想定よりも伸び悩んだと言われています。当時の放送時間帯は日曜日の19時30分からで、裏番組には強力な人気番組が存在していました。
例えば、同時間帯にはTBS系列で「タケダアワー」枠があり、「怪奇大作戦」や「柔道一直線」といった人気ドラマが放送されていました。また、日本テレビ系列では「コント55号の裏番組をぶっとばせ!」など、強力なバラエティ番組も。こうした強力な裏番組との競争の中で、特に子供だけでなく、幅広い層にアピールする必要がありましたが、ダークな作風がネックになった可能性も考えられます。視聴率の低迷は、スポンサー離れやテコ入れの要因となり得ます。
理由3:モノクロからカラーへの移行期の混乱
1960年代後半は、テレビ放送がモノクロからカラーへと移行していく過渡期でした。「どろろ」の放送が開始された1969年時点では、まだカラーテレビは完全に普及しておらず、多くのアニメがモノクロで制作されていました。「どろろ」も当初はモノクロで制作・放送されました。
しかし、時代は急速にカラー化へと進んでいました。スポンサーやテレビ局からは、より見栄えのするカラー作品への期待が高まっていたのです。モノクロ作品である「どろろ」は、その点でやや不利だった側面があるかもしれません。実際に、路線変更と共にタイトルが「どろろと百鬼丸」に変わった後半クールからカラー化される予定もあったようですが、制作体制や予算の問題で見送られたという話もあります。このモノクロ・カラー移行期の混乱も、番組の存続に影響を与えた一因と考えられます。
全話完走!2019年版「どろろ」アニメが打ち切りではない根拠
2019年に放送されたリメイク版「どろろ」は、1969年版とは異なり、打ち切りの心配とは無縁でした。むしろ、多くのファンに支持され、見事に物語を描き切りました。なぜ2019年版は打ち切りにならなかったのか、その明確な根拠を3つ挙げて解説します。それは「全24話でストーリーが完結している」「分割2クールでの放送が最初から予定されていた」「高い評価と人気を得ていた」ことです。
根拠1:全24話でストーリーが完結している
最も明確な根拠は、アニメが全24話で原作の物語をしっかりと描き切り、完結しているという事実です。打ち切りになるアニメは、中途半端なところで話が終わってしまったり、伏線が回収されないまま突然最終回を迎えたりすることがあります。
しかし、2019年版「どろろ」は、百鬼丸が自身の体を取り戻す旅、どろろとの絆、そして多宝丸との宿命の対決まで、原作の重要な要素を丁寧に描き、納得のいく結末を迎えています。物語が尻切れトンボになっていないことからも、予定通りの制作・放送であったことがわかります。
根拠2:分割2クールでの放送が最初から予定されていた
2019年版「どろろ」は、1月から3月にかけて第1クール(1話~12話)、そして4月から6月にかけて第2クール(13話~24話)が放送されました。間に放送休止期間を挟まない、連続した2クール放送です。一部では「分割2クール」と表現されることもありますが、これは制作スケジュールや放送枠の都合上、最初から計画されていた形式です。
近年のアニメ制作では、クオリティ維持のために分割クール方式を取ることは珍しくありません。「どろろ」の場合も、全24話というボリュームの物語を高い質で描き切るために、計画的に2クール構成で制作が進められました。途中で人気が出たから延長された、あるいは人気がなかったから短縮された、といった類の話ではなく、当初の計画通りに放送されたのです。
根拠3:高い評価と人気を得ていた
打ち切りとは無縁だったもう一つの大きな理由は、シンプルに作品自体の評価が非常に高く、人気を博していたことです。MAPPAと手塚プロダクション(協力)による美麗な作画、迫力のあるアクションシーン、そして現代的な視点を取り入れつつも原作の持つテーマ性を深く掘り下げたストーリーは、国内外のアニメファンから絶賛されました。
各種レビューサイトやSNSでも常に高い評価を獲得し、放送期間中は大きな話題を集め続けました。これほどの人気と評価を得ている作品が、商業的な理由で打ち切りになることは考えにくいでしょう。むしろ、制作陣の熱意と視聴者の支持が、全24話の完走を後押ししたと言えます。
1969年版と2019年版「どろろ」アニメの主な違い
50年という時を経てリメイクされた「どろろ」。同じ原作を元にしながらも、1969年版と2019年版では様々な違いが見られます。ここでは、特に注目すべき「作画・演出の進化」「ストーリー構成と結末の違い」「キャラクター設定の変更点」という3つの観点から、両者の違いを比較してみましょう。
作画・演出の進化
最も顕著な違いは、やはり作画と演出のクオリティでしょう。1969年版は、当時のアニメ技術の制約もあり、モノクロで、動きもややカクカクした印象を受けます。しかし、これはこれで時代を感じさせる味があり、手塚治虫先生の原作の雰囲気を色濃く残しています。特に、妖怪のデザインなどは、不気味さや恐ろしさが際立っています。
一方、2019年版は、現代のアニメ制作技術の粋を集めて作られています。色彩豊かで滑らかな作画、ダイナミックなカメラワーク、迫力満点のアクションシーンは圧巻です。キャラクターデザインも現代的に洗練されており、特に百鬼丸の表情の変化や、どろろの活き活きとした動きが魅力的です。グロテスクな描写も、より直接的かつリアルに描かれており、作品の持つダークな世界観を際立たせています。
ストーリー構成と結末の違い
大筋のストーリーはどちらも原作を踏襲していますが、細かな構成や結末には違いが見られます。1969年版は、前述の通り後半でタイトル変更と路線変更があり、やや明るい雰囲気になりました。結末も、原作とは異なるオリジナル要素が含まれており、百鬼丸とどろろが別々の道を歩むことを示唆しつつも、やや希望を感じさせる終わり方になっています。
対して2019年版は、より原作に忠実でありながら、アニメオリジナルの解釈や展開も加えられています。特に、百鬼丸と多宝丸の関係性や、醍醐の国の行く末などが深く掘り下げられました。結末も、原作の読後感に近い、ややビターで余韻を残すものとなっています。百鬼丸が全ての体を取り戻せたかどうかは明確には描かれず、視聴者の解釈に委ねる部分が大きいのが特徴です。
キャラクター設定の変更点
主要キャラクターである百鬼丸とどろろの設定にも、若干の違いがあります。1969年版の百鬼丸は、比較的早い段階から言葉を発し、感情表現も豊かです。どろろとの関係性も、コミカルな掛け合いが多く見られます。
2019年版の百鬼丸は、物語開始当初は目も見えず、耳も聞こえず、声も出せないという、より過酷な設定です。体を取り戻すごとに人間らしい感覚や感情を獲得していく過程が丁寧に描かれており、その変化が物語の大きな軸となっています。どろろとの関係性も、単なる相棒というだけでなく、百鬼丸が人間性を取り戻す上で不可欠な存在として、より深く描かれています。また、母親である縫の方や、弟の多宝丸といった家族との関係性も、2019年版では重要なテーマとして扱われています。
不朽の名作「どろろ」とは?原作漫画とアニメ版の概要
「どろろ」がこれほどまでに長く愛され、二度もアニメ化されるのはなぜでしょうか。その根底には、手塚治虫先生が生み出した原作漫画の持つ普遍的な魅力があります。ここでは、原作漫画の概要と、それぞれの時代に制作されたアニメ版の特徴を改めてご紹介します。「原作漫画:手塚治虫が描くダークファンタジー」「1969年版アニメ:時代背景と特徴」「2019年版アニメ:現代的な再解釈と魅力」の順に見ていきましょう。
原作漫画:手塚治虫が描くダークファンタジー
「どろろ」の原作漫画は、漫画の神様・手塚治虫によって1967年から1968年にかけて「週刊少年サンデー」に、その後1969年に「冒険王」にて連載されました。舞台は戦国時代。生まれる際に体の48箇所(冒険王版では12箇所)を魔物に奪われた少年「百鬼丸」が、失われた体を取り戻すため、相棒の「どろろ」と共に妖怪退治の旅をする物語です。
生命の尊厳、人間の業、戦争の悲劇といった重厚なテーマを扱いながらも、活劇としての面白さも兼ね備えたダークファンタジーの傑作として知られています。連載当時は必ずしもハッピーエンドとは言えない結末や、やや尻切れトンボな終わり方だったこともあり、様々な議論を呼びました。しかし、その独特の世界観と深いテーマ性は、後世のクリエイターにも大きな影響を与え続けています。
1969年版アニメ:時代背景と特徴
1969年に虫プロダクション制作でアニメ化された最初の「どろろ」。モノクロ映像と、ややチープながらも味のある作画が特徴です。前述の通り、後半は「どろろと百鬼丸」へとタイトルを変え、カラー化の予定もありました(実現せず)。
原作の持つ怪奇性や不気味さを比較的ストレートに表現しており、特に妖怪のデザインは印象的です。百鬼丸の声は野沢那智さん(放送開始当初)、どろろの声は松島みのりさんが担当しました。当時のアニメとしては珍しく、勧善懲悪ではないシリアスなストーリー展開や、救いのないエピソードも描かれました。放送短縮(打ち切り)騒動はありましたが、日本のアニメ史における重要な作品の一つとして記憶されています。
2019年版アニメ:現代的な再解釈と魅力
2019年にMAPPAと手塚プロダクション(協力)によって制作されたリメイク版。原作連載開始から50周年を記念して企画されました。現代的な美麗な作画と、迫力あるアクションが大きな魅力です。監督は古橋一浩氏、シリーズ構成は小林靖子氏が担当しました。
ストーリーは原作を尊重しつつも、キャラクターの心理描写がより深く掘り下げられ、現代的なテーマ性も盛り込まれています。百鬼丸が感覚を取り戻していく過程や、どろろとの絆の変化が丁寧に描かれ、多くの視聴者の感動を呼びました。百鬼丸の声は鈴木拡樹さん、どろろの声は鈴木梨央さんが担当。原作ファンはもちろん、新しい世代のファンも獲得し、国内外で高い評価を得た、リメイク作品の成功例と言えるでしょう。
どろろアニメに関するよくある質問
Q. どろろのアニメは全部で何話ありますか?
A. 1969年版のアニメは全26話です。2019年版のアニメは全24話です。両作で話数が異なりますのでご注意ください。
Q. どろろのアニメの最終回はどうなりますか?
A. 1969年版は、百鬼丸が父・醍醐景光を討ちますが、全ての体を取り戻すには至らず、どろろと別れて旅を続けることを示唆する、ややオリジナル要素の強い結末です。
2019年版は、多宝丸との決着の後、百鬼丸は全ての体を取り戻せたかは明確に描かれませんが、人としての道を選ぶことを決意し、どろろと一時的に別れて旅立ちます。どろろの成長した姿と、再会を予感させる希望のある結末となっています。
Q. どろろのアニメはひどいって本当ですか?
A. 「ひどい」と感じるかどうかは個人の感性によりますが、そう言われる要因としては、1969年版の作画の古さや、打ち切り(放送短縮)騒動があったこと、2019年版のグロテスクな描写や、一部のオリジナル展開に対する賛否などが考えられます。しかし、両作ともに多くのファンを持つ名作であり、特に2019年版は国内外で非常に高い評価を受けています。一概に「ひどい」とは言えません。
Q. どろろのアニメはグロいですか?
A. はい、どちらのアニメ版も、妖怪との戦闘シーンや体の欠損描写など、グロテスクと感じられる可能性のある場面が含まれます。特に2019年版は作画がリアルなため、より直接的に感じられるかもしれません。血の表現や残酷な描写が苦手な方は注意が必要です。ただし、物語に必要な表現として描かれています。
Q. どろろのアニメ 1969と2019の違いは何ですか?
A. 主な違いは、作画・演出のクオリティ(モノクロ/カラー、動きの滑らかさ等)、ストーリー構成と結末(原作再現度、オリジナル要素)、キャラクター設定(百鬼丸の能力や性格描写、どろろとの関係性など)です。詳しくは本文の「1969年版と2019年版「どろろ」アニメの主な違い」の章をご参照ください。
Q. どろろのアニメの続きはありますか?
A. 現時点(2025年4月)で、公式から続編の制作発表はありません。1969年版、2019年版ともに物語としては完結しています。特に2019年版は人気が高かったため続編を望む声もありますが、可能性は未知数です。
Q. 百鬼丸の声優は誰ですか?
A. 1969年版の百鬼丸の声優は、当初(第1話~第13話)は野沢那智さん、後半(第14話~第26話)はクレジットされていません(諸説あり)。
2019年版の百鬼丸の声優は、舞台俳優としても活躍されている鈴木拡樹さんが担当されました。
まとめ
- 1969年版アニメ「どろろ」は放送短縮(打ち切り)が事実。
- 1969年版の短縮理由はスポンサー意向、視聴率、カラー化移行期。
- おもちゃ(サンダーバード関連)の売上不振が影響した。
- 裏番組が強力で視聴率が伸び悩んだ。
- モノクロからカラーへの移行期も一因。
- 2019年版アニメ「どろろ」は打ち切りではなく全24話で完結。
- 2019年版は分割2クールで最初から計画通り放送された。
- 2019年版は高い評価と人気を得ていたため打ち切りは考えにくい。
- 1969年版と2019年版では作画・演出が大きく異なる。
- ストーリー構成や結末にも違いが見られる。
- キャラクター設定、特に百鬼丸の描写に差がある。
- 原作は手塚治虫によるダークファンタジーの名作。
- 両アニメ版ともにグロテスクな描写を含むため注意が必要。
- 現時点でアニメの続編制作の公式発表はない。
- 百鬼丸の声優は1969年版が野沢那智さん(前半)、2019年版が鈴木拡樹さん。