面接で頻繁に聞かれる「コミュニケーションを取る上で大切にしていることは何ですか?」という質問。あなたならどう答えますか?この質問には、単に会話スキルを見ているだけでなく、あなたの価値観や仕事への姿勢を探る意図が隠されています。本記事では、面接官の質問意図を深く理解し、他の応募者と差をつけるための回答ポイント、具体的な例文、そして避けるべきNG例まで、徹底的に解説します。この記事を読めば、自信を持って面接に臨めるようになるでしょう。
なぜ面接官は「コミュニケーションで大切にしていること」を質問するのか?
面接官がこの質問をする背景には、いくつかの重要な意図があります。単に「話が上手いか」を見ているわけではありません。応募者の内面や、組織で活躍できる人材かを見極めようとしています。具体的にどのような点を確認したいのか、その意図を理解することが、的確な回答への第一歩となります。
この章では、以下の点について解説します。
- 企業がコミュニケーション能力を重視する理由
- 質問を通して見ているポイント
企業がコミュニケーション能力を重視する理由
現代のビジネスにおいて、コミュニケーション能力は不可欠なスキルとされています。なぜなら、ほとんどの仕事は一人で完結するものではなく、社内外の様々な人と連携しながら進める必要があるからです。円滑なコミュニケーションは、情報共有の精度を高め、認識の齟齬を防ぎ、チームワークを促進します。これにより、生産性の向上や新たなアイデアの創出につながるのです。
また、顧客との良好な関係構築や、部署間のスムーズな連携、効果的な交渉など、企業の成長に直結する多くの場面でコミュニケーション能力が求められます。多様な価値観を持つ人々が集まる組織においては、互いを理解し、協力し合うための基盤となるのがコミュニケーションなのです。そのため、企業は採用活動において、応募者が基本的なコミュニケーション能力を備えているかを重要視しています。
質問を通して見ているポイント
面接官は「コミュニケーションで大切にしていること」という質問を通して、応募者の様々な側面を見極めようとしています。単なる回答内容だけでなく、その背景にある考え方や経験にも注目しています。
応募者の価値観や人柄
どのようなコミュニケーションを「大切」だと考えているかを知ることで、応募者の価値観や人柄を推し量ろうとしています。「相手の話を丁寧に聞くこと」を挙げる人は傾聴力や協調性を、「自分の意見を明確に伝えること」を挙げる人は主体性や論理性を重視する傾向があるかもしれません。どのような回答であれ、その人となりや仕事に対するスタンスが垣間見えるのです。
仕事への取り組み方
コミュニケーションの取り方は、仕事の進め方や問題解決へのアプローチにも直結します。例えば、「報連相を徹底すること」を大切にしている人は、チームで連携しながら着実に業務を進めるタイプかもしれません。「相手の立場に立って考えること」を重視する人は、顧客満足度向上や円滑な人間関係構築に貢献できる可能性があります。このように、回答から仕事への取り組み方をイメージしています。
入社後の活躍イメージ
企業は、応募者が入社後にどのように活躍してくれるかを具体的にイメージしたいと考えています。コミュニケーションに関する考え方や経験を聞くことで、既存の社員とうまく連携できるか、チームに貢献できるか、顧客と良好な関係を築けるかなどを判断しようとしています。特に、応募職種で求められるコミュニケーションスタイルと合致しているかは重要なポイントです。
組織への適応力
企業文化やチームの雰囲気は様々です。面接官は、応募者が自社の文化やチームに馴染み、円滑に業務を進められるかを見極めたいと考えています。「多様な意見を尊重すること」や「建設的な議論をすること」などを大切にしている応募者は、変化の多い環境や多様性のある組織でも適応しやすいと判断される可能性があります。
面接で好印象!コミュニケーションで大切なことを伝える際の必須ポイント
面接官の質問意図を理解したら、次はどのように回答すれば好印象を与えられるかを考えましょう。単に「大切にしていること」を述べるだけでなく、伝え方にも工夫が必要です。ここでは、面接官に「この人と一緒に働きたい」と思わせるための、回答の必須ポイントを解説します。
この章で押さえるべきポイントは以下の通りです。
- 結論ファーストで簡潔に伝える
- 具体的なエピソードを盛り込む
- 企業の求める人物像に合わせる
- 一貫性のある回答を心がける
- ポジティブな言葉を選ぶ
結論ファーストで簡潔に伝える
面接は限られた時間の中で行われます。まず結論から述べ、面接官が最も知りたい「あなたがコミュニケーションで大切にしていること」を明確に伝えましょう。例えば、「私がコミュニケーションで最も大切にしていることは、相手の話を最後まで丁寧に聞くことです」のように、最初に核心を伝えることが重要です。その後に、なぜそう考えるのか、具体的な理由やエピソードを続けることで、話の構成が分かりやすくなり、面接官の理解も深まります。
ダラダラと前置きが長くなったり、話があちこちに飛んだりすると、要点が伝わりにくく、コミュニケーション能力そのものを疑われてしまう可能性もあります。簡潔かつ論理的に話すことを意識しましょう。
具体的なエピソードを盛り込む
抽象的な説明だけでは、あなたの本当の姿や能力は伝わりません。「大切にしていること」を裏付ける具体的なエピソードを交えて話すことで、回答に説得力が増し、面接官はあなたが実際にどのようにコミュニケーションを取るのかをイメージしやすくなります。例えば、「相手の話を聞くこと」を大切にしているなら、アルバイト先での顧客対応や、サークル活動でのチームメンバーとのやり取りなど、具体的な場面を挙げて説明しましょう。
その際、どのような状況で、何を考え、どのように行動し、その結果どうなったのか(STAR法などを意識すると良いでしょう)を明確に伝えることがポイントです。成功体験だけでなく、失敗から学んだ経験を話すことも、あなたの成長意欲を示す上で有効です。
企業の求める人物像に合わせる
企業や職種によって、求められるコミュニケーションのスタイルは異なります。事前に企業のウェブサイトや求人情報をよく読み込み、どのような人材を求めているのか、どのようなコミュニケーション能力が重視されているのかを把握しておきましょう。例えば、チームワークを重視する企業であれば「協調性」や「傾聴力」を、顧客折衝が多い職種であれば「伝達力」や「相手の意図を汲み取る力」をアピールすると効果的です。
ただし、無理に自分を偽る必要はありません。自分の経験や考えの中から、企業の求める人物像と合致する側面を強調して伝えるようにしましょう。企業研究に基づいた回答は、入社意欲の高さを示すことにも繋がります。
一貫性のある回答を心がける
面接全体を通して、あなたの発言に一貫性があるかどうかも見られています。「コミュニケーションで大切にしていること」の回答と、自己PRや志望動機、他の質問への回答内容が矛盾していると、信憑性が疑われてしまいます。例えば、「傾聴力」を大切にしていると答えたのに、面接官の話を遮って話し始めたり、一方的に自分の話ばかりしたりすると、言行不一致と捉えられかねません。
面接前に、自分のアピールしたい強みや価値観を整理し、それに沿った回答を準備しておくことが大切です。面接中の受け答えにおいても、自分が述べた「大切にしていること」を意識した振る舞いを心がけましょう。
ポジティブな言葉を選ぶ
コミュニケーションに関する質問に限らず、面接ではポジティブな言葉遣いを心がけることが重要です。たとえ過去の失敗談を話す場合でも、「〇〇という失敗から、△△の重要性を学びました」のように、前向きな学びや改善意欲を示す表現を選びましょう。ネガティブな言葉や批判的な態度は、一緒に働く上でマイナスな印象を与えてしまいます。
明るく、前向きな姿勢で話すことで、面接官に「この人と一緒に働きたい」「チームの良い雰囲気を作ってくれそう」といった好印象を与えることができます。自信を持って、ハキハキと話すことも大切です。
【例文あり】コミュニケーションで大切にしていることの回答例
ここからは、実際に面接で使える回答例文を、アピールしたい強みや状況別に紹介します。これらの例文を参考に、あなた自身の経験や言葉でオリジナルの回答を作成してみてください。大切なのは、例文を丸暗記するのではなく、自分の考えを自分の言葉で伝えることです。
この章では、以下の具体的な回答例文を見ていきます。
- 状況別・強み別 回答例文集
- 自分の言葉で伝えることの重要性
状況別・強み別 回答例文集
様々な切り口での回答例を用意しました。ご自身の経験やアピールしたい点に合わせて参考にしてください。
「傾聴力」をアピールする場合
私がコミュニケーションを取る上で最も大切にしていることは、相手の話を注意深く、最後まで聞くこと、すなわち「傾聴力」です。
以前、アルバイト先の飲食店で、お客様からクレームを受けたことがありました。当初、お客様は非常に興奮されており、一方的にお話される状況でした。私はまず、お客様のお話を遮らず、相槌を打ちながら真摯に耳を傾けました。お客様が話し終えた後、「大変不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません。〇〇という点が問題だったのですね」と、お客様のお話の内容を要約して確認しました。
すると、お客様は少し落ち着かれ、「そうなんだよ、分かってくれてありがとう」と言ってくださいました。その後、具体的な対応策を提案し、最終的にはご納得いただけました。この経験から、相手の感情に寄り添い、まずはしっかりと話を聞くことが、信頼関係を築き、問題を解決する第一歩になると実感しました。貴社においても、お客様やチームメンバーの話を丁寧に聞く姿勢を活かし、円滑な関係構築に貢献したいと考えております。
「伝達力」をアピールする場合
私がコミュニケーションにおいて大切にしていることは、情報を正確に、かつ分かりやすく伝える「伝達力」です。
大学のゼミでグループ研究を行った際、メンバー間で研究の進捗状況や各自のタスクに関する認識にズレが生じ、作業が滞ってしまった経験があります。原因を探ると、口頭での簡単な報告のみで、具体的な内容や背景が十分に共有されていなかったことが分かりました。
そこで私は、週に一度の定例ミーティングに加え、チャットツールでの日々の進捗報告と、重要な決定事項は議事録として残すことを提案・実行しました。報告の際には、5W1Hを明確にすること、専門用語を避けて平易な言葉を使うことを意識しました。その結果、認識のズレがなくなり、スムーズに研究を進めることができ、最終的には目標としていた成果を上げることができました。この経験から、相手や状況に合わせた適切な情報伝達の重要性を学びました。貴社でも、この伝達力を活かし、チーム内での円滑な情報共有や、お客様への分かりやすい説明に貢献したいです。
「共感力」をアピールする場合
私がコミュニケーションで最も重視しているのは、相手の感情や立場に寄り添い、共感する姿勢を示すことです。
学生時代に所属していたボランティアサークルで、活動方針を巡ってメンバー間で意見が対立したことがありました。それぞれのメンバーが異なる背景や価値観を持っているため、意見がぶつかるのは当然だと考えました。私は、それぞれの意見の背景にある想いや懸念を理解しようと努め、一方的に自分の意見を主張するのではなく、「〇〇さんは、こういう点が心配なのですね」「△△さんは、こういう可能性を考えているのですね」と、相手の言葉を受け止め、共感する言葉を添えるように心がけました。
これにより、場の雰囲気が和らぎ、お互いの意見を冷静に聞き入れられるようになりました。最終的には、それぞれの意見の良い部分を取り入れた折衷案にまとめることができました。この経験を通じて、相手への共感が相互理解を深め、建設的な対話を生むことを学びました。貴社においても、多様なバックグラウンドを持つ方々と協働する上で、この共感力を活かしていきたいと考えています。
「協調性」をアピールする場合
私がコミュニケーションを取る上で大切にしていることは、チーム全体の目標達成のために協力し合う「協調性」です。
大学の授業で、グループワークに取り組んだ際、メンバーそれぞれが得意な分野と苦手な分野を持っていることに気づきました。そこで私は、まずメンバー全員の意見を聞き、それぞれの強みを活かせるように役割分担を提案しました。例えば、資料作成が得意な人にはその作業を、発表が得意な人にはプレゼンテーションを主にお願いするなどです。
また、進捗が遅れているメンバーがいれば、積極的に声をかけ、手伝えることがないか確認し、チーム全体でサポートし合う雰囲気を作ることを意識しました。結果として、個々の能力が最大限に発揮され、質の高い成果物を期限内に完成させることができました。この経験から、個人の能力だけでなく、チームとして協力し合うことの重要性を学びました。貴社に入社後も、周囲と協力しながら、チーム全体の成果に貢献できる人材になりたいと考えております。
「相手の立場に立って考えること」をアピールする場合
私がコミュニケーションにおいて最も大切にしているのは、常に「相手の立場に立って考える」ことです。
接客のアルバイトをしていた際、お客様から商品の使い方について質問を受けることがよくありました。単にマニュアル通りに説明するのではなく、「お客様はどのような状況で、何に困っているのだろうか」「どのような言葉で説明すれば、最も分かりやすいだろうか」と、お客様の視点に立って考えることを常に意識していました。
例えば、ご年配のお客様には専門用語を避け、ゆっくりと、具体的な例を交えながら説明するように心がけました。また、説明後には「他に何かご不明な点はございますか?」と必ず確認するようにしていました。その結果、多くのお客様から「分かりやすかった」「ありがとう」という言葉をいただくことができました。この経験から、相手の状況や気持ちを想像し、それに合わせたコミュニケーションを取ることの重要性を学びました。貴社においても、お客様や同僚の立場を理解し、最適なコミュニケーションを図ることで、信頼関係を築いていきたいです。
「報連相」をアピールする場合
私が仕事を進める上で、コミュニケーションにおいて特に大切にしていることは、基本的な「報告・連絡・相談(報連相)」を徹底することです。
以前、インターンシップに参加させていただいた際、あるタスクの進捗状況の報告が遅れてしまったことがありました。自分の中では順調に進んでいるつもりでしたが、上司の方から見ると懸念点があったようで、もう少し早く相談してくれていれば、より効率的な方法をアドバイスできた、とご指摘を受けました。
この経験から、たとえ小さなことでも、こまめに状況を報告し、不明点や懸念点はすぐに相談することがいかに重要であるかを痛感しました。それ以降は、タスクの進捗状況を定期的に報告し、少しでも疑問に思うことがあれば、すぐに上司や先輩に相談するように心がけています。これにより、認識の齟齬を防ぎ、スムーズに業務を進めることができるようになりました。貴社においても、この報連相を徹底し、チームの一員として責任を持って業務に取り組みたいと考えております。
「非言語コミュニケーション」をアピールする場合
私がコミュニケーションにおいて大切にしていることの一つに、言葉以外の「非言語コミュニケーション」も意識することがあります。
大学のプレゼンテーション大会に向けて練習をしていた際、友人から「話している内容は良いけれど、少し表情が硬く、声のトーンも単調で、聞いている側としては内容が頭に入ってきにくい」というフィードバックをもらいました。
それを受け、話す内容だけでなく、表情やジェスチャー、声の抑揚にも意識を向けるようにしました。鏡の前で練習したり、自分の発表を録画して客観的に見たりすることで、改善点を見つけ、修正していきました。本番では、適度なアイコンタクトや身振り手振りを交え、話の内容に合わせて声のトーンを変えることを意識した結果、以前よりも聴衆の反応が良く、内容が伝わっている手応えを感じました。言葉だけでなく、表情や態度といった非言語的な要素も、相手に与える印象やメッセージの伝わり方に大きく影響することを学びました。貴社での業務においても、言語・非言語の両面から、効果的なコミュニケーションを図りたいと考えています。
自分の言葉で伝えることの重要性
例文はあくまで参考です。最も大切なのは、あなた自身の経験に基づいた、あなた自身の言葉で語ることです。面接官は、流暢に話せるかよりも、あなたがどのような経験をし、そこから何を学び、どのように考えているのかを知りたいと思っています。借り物の言葉ではなく、自分の体験から得た実感のこもった言葉は、面接官の心に響き、あなたの誠実さや熱意を伝えることができます。
自己分析を深め、これまでの経験を振り返り、コミュニケーションにおいて自分が何を大切にしてきたのかをじっくりと考えてみましょう。その上で、具体的なエピソードを整理し、自分の言葉で表現する練習をすることが、面接成功への鍵となります。
これは避けたい!コミュニケーションに関する質問でのNG回答
せっかく良い経験や考えを持っていても、伝え方を間違えるとマイナス評価につながってしまうこともあります。ここでは、面接で「コミュニケーションで大切にしていること」を答える際に、避けるべきNGな回答パターンについて解説します。これらの点に注意して、面接官に誤解を与えないようにしましょう。
注意すべきNG回答は以下の通りです。
- 抽象的で具体性がない回答
- 自慢話や一方的な話になる
- ネガティブなエピソードや言葉を使う
- 企業の求める人物像とズレている
- 回答が矛盾している
抽象的で具体性がない回答
「相手の気持ちを考えることです」「円滑なコミュニケーションを心がけています」といった、抽象的な回答だけでは、あなたが具体的にどのような行動をとるのか、面接官には伝わりません。誰にでも言えるような一般論に終始してしまうと、「本当にそう考えているのだろうか?」「具体的な経験がないのでは?」と疑問を持たれてしまう可能性があります。
前述の通り、必ず具体的なエピソードを交えて説明し、あなたの考えや行動を裏付けることが重要です。「相手の気持ちを考える」のであれば、具体的にどのような場面で、どのように考え、行動したのかを付け加えましょう。
自慢話や一方的な話になる
コミュニケーションは双方向のものです。自分の成功体験を話すこと自体は問題ありませんが、それが自慢話のように聞こえたり、一方的に自分の功績ばかりをアピールしたりするのは避けましょう。「私がリーダーシップを発揮してチームを成功に導きました」といった表現は、協調性がない、自己中心的な人物という印象を与えかねません。
エピソードを話す際には、周囲の人との関わりや、チームへの貢献といった視点を盛り込むように意識しましょう。あくまで「コミュニケーション」に関する質問であることを忘れずに、相手との関わりの中で大切にしていることを伝えることが大切です。
ネガティブなエピソードや言葉を使う
コミュニケーションに関する失敗談から学びを得た経験を話すこと自体は有効ですが、過度にネガティブな表現や、他人への批判、愚痴のような内容になるのは絶対に避けましょう。「前の職場の上司は全く話を聞いてくれなかったので、報連相ができませんでした」といった発言は、他責的で、問題解決能力がないという印象を与えてしまいます。
失敗談を話す場合は、客観的な事実と、そこから得た学び、そして今後にどう活かしたいかという前向きな姿勢を示すことが重要です。ポジティブな言葉を選び、建設的な内容になるよう心がけましょう。
企業の求める人物像とズレている
いくら素晴らしいコミュニケーションに関する考えを持っていても、それが応募先企業の文化や求める人物像と大きくかけ離れていては、評価につながりにくい場合があります。例えば、個人での成果を重視する企業に対して、過度に協調性ばかりをアピールしても、響かない可能性があります。
事前に企業研究をしっかりと行い、その企業がどのようなコミュニケーションを重視しているのかを理解した上で、自分の経験や考えの中から、それに合致する側面をアピールすることが効果的です。ただし、前述の通り、自分を偽る必要はありません。
回答が矛盾している
面接全体を通して、発言に一貫性がないと、信頼性を損ないます。「コミュニケーションで大切にしていること」として「傾聴力」を挙げたにもかかわらず、面接官の質問を最後まで聞かずに話し始めたり、自己PRで「自分の意見を積極的に主張する」点を強調しすぎたりすると、矛盾が生じます。
面接前に、自分のアピールポイントやエピソードを整理し、全体として矛盾がないかを確認しておきましょう。面接中も、自分が話した内容を意識し、一貫した態度で臨むことが大切です。
面接対策だけじゃない!日常からコミュニケーションで意識すべきこと
面接でうまく答えることも大切ですが、コミュニケーション能力は一朝一夕に身につくものではありません。日頃から意識して実践することで、自然と面接でも自信を持って話せるようになりますし、入社後も円滑な人間関係を築く上で役立ちます。ここでは、日常生活や仕事の中で意識したいコミュニケーションのポイントを紹介します。
日常から意識したいコミュニケーションのポイントは以下の通りです。
- 相手の話を最後まで聞く姿勢
- 分かりやすい言葉で伝える努力
- 相手の感情や状況への配慮
- 積極的に挨拶や声かけをする
- 感謝の気持ちを伝える
相手の話を最後まで聞く姿勢
コミュニケーションの基本は「聞く」ことです。相手が話している途中で遮ったり、自分の意見を被せたりせず、まずは最後まで注意深く耳を傾けることを意識しましょう。相手の話をしっかりと聞くことで、相手は「自分のことを理解しようとしてくれている」と感じ、信頼関係が深まります。相槌を打ったり、適度に質問をしたりすることも、相手の話に関心を持っていることを示す上で効果的です。
「聞く」ことは、情報を正確に理解するためにも不可欠です。思い込みや早合点をせず、相手が本当に伝えたいことは何かを考えながら聞く習慣をつけましょう。
分かりやすい言葉で伝える努力
自分の考えや情報を相手に正確に伝えるためには、分かりやすい言葉を選ぶ努力が必要です。専門用語や業界用語を多用せず、相手の知識レベルや状況に合わせて、平易な言葉で説明することを心がけましょう。話が長くなりそうな場合は、結論から先に述べたり、要点を整理して伝えたりする工夫も有効です。
また、話すスピードや声のトーンにも気を配りましょう。早口すぎたり、声が小さすぎたりすると、相手に内容が伝わりにくくなります。相手の反応を見ながら、伝わっているかを確認することも大切です。
相手の感情や状況への配慮
コミュニケーションは、単なる情報のやり取りではありません。相手の感情や置かれている状況に配慮することが、良好な人間関係を築く上で非常に重要です。相手が忙しそうな時には手短に要件を伝えたり、落ち込んでいる様子の時には励ましの言葉をかけたりするなど、相手の気持ちに寄り添った対応を心がけましょう。
自分の意見を主張する際にも、相手の意見を尊重する姿勢を示し、一方的な言い方にならないように注意が必要です。「クッション言葉」(恐れ入りますが、お忙しいところ申し訳ありませんが、など)を適切に使うことも、相手への配慮を示す方法の一つです。
積極的に挨拶や声かけをする
日々の挨拶やちょっとした声かけは、コミュニケーションのきっかけを作り、職場の雰囲気を良くする上で大切な要素です。「おはようございます」「お疲れ様です」といった基本的な挨拶はもちろん、「何か手伝うことはありますか?」「その資料、分かりやすいですね」といったポジティブな声かけは、相手との距離を縮め、円滑な関係構築につながります。
特に新しい環境に入った時などは、自分から積極的にコミュニケーションを取る姿勢が重要です。最初は勇気がいるかもしれませんが、小さな積み重ねが、信頼関係の基盤となります。
感謝の気持ちを伝える
何かをしてもらったり、助けてもらったりした際には、「ありがとう」という感謝の気持ちを言葉にして伝えることを習慣にしましょう。感謝の言葉は、相手への敬意を示すとともに、ポジティブな関係性を育む上で非常に効果的です。些細なことに対しても感謝の気持ちを伝えることで、お互いに気持ちよく仕事や活動に取り組むことができます。
メールやチャットでのやり取りにおいても、文末に「ありがとうございます」と一言添えるだけでも、印象は大きく変わります。感謝の気持ちを忘れずに伝えることを、日頃から意識しましょう。
よくある質問
コミュニケーション能力に自信がない場合はどうすればいいですか?
コミュニケーション能力に自信がないと感じている方は少なくありません。大切なのは、完璧である必要はないということです。面接では、現時点での能力の高さだけでなく、課題を認識し、改善しようと努力している姿勢も評価されます。「話すのが少し苦手なので、相手の話を丁寧に聞くことを特に意識しています」のように、自分の課題と、それを補うために努力していることを正直に伝えるのも一つの方法です。
また、「傾聴力」「丁寧な報連相」「相手への配慮」など、自分が比較的得意とする側面や、意識して取り組んでいる側面に焦点を当ててアピールするのも良いでしょう。自信がないからといって萎縮せず、前向きな姿勢を示すことが重要です。
回答するエピソードが見つかりません。
特別な経験や華々しい成功体験である必要はありません。日常の些細な出来事の中にも、あなたのコミュニケーションに関する考え方や行動を示すエピソードは隠れています。アルバイト先での顧客とのやり取り、サークルや部活動でのメンバーとの協力、授業でのグループワーク、友人との会話など、これまでの経験を丁寧に振り返ってみましょう。
「どのような場面で」「誰と」「どのようなコミュニケーションをとり」「その結果どうなったか」「そこから何を学んだか」という視点で整理すると、具体的なエピソードが見つかりやすくなります。自己分析ツールを活用したり、友人や家族に自分のコミュニケーションについて聞いてみたりするのも良いでしょう。
複数のことを大切にしている場合、どう伝えればいいですか?
コミュニケーションで大切にしていることが複数あるのは自然なことです。しかし、面接の限られた時間の中ですべてを伝えようとすると、話が散漫になり、印象が薄れてしまう可能性があります。最も重要だと考えること、あるいは応募先企業で特に活かせると考えることを一つ選び、それを中心に話すのが効果的です。
「私がコミュニケーションで大切にしていることは複数ありますが、特に重視しているのは〇〇です。なぜなら~」のように、まず一つに絞って結論を述べ、その理由やエピソードを具体的に説明しましょう。もし時間に余裕があれば、「その他に△△も意識しています」と補足する程度に留めるのが良いでしょう。
オンライン面接での注意点はありますか?
オンライン面接では、対面とは異なる注意点があります。まず、画面越しのコミュニケーションでは、表情や声のトーンが伝わりにくいため、普段よりもやや大きめの声で、はっきりと話すことを意識しましょう。相槌や頷きも、少しオーバーなくらいに行うと、相手に「聞いている」という姿勢が伝わりやすくなります。
また、目線はカメラを見るように心がけましょう。画面に映る相手の顔を見ていると、視線が合わず、自信がないように見えてしまうことがあります。背景や服装、通信環境にも気を配り、スムーズなコミュニケーションが取れるように準備しておくことが大切です。
逆質問でコミュニケーションについて聞いても良いですか?
はい、逆質問でコミュニケーションについて質問することは、入社意欲の高さや、企業文化への関心を示す上で有効です。ただし、漠然とした質問ではなく、具体的な質問を心がけましょう。
例えば、「貴社では、部署間のコミュニケーションを円滑にするために、どのような取り組みをされていますか?」や「〇〇(職種名)として働く上で、特に重要となるコミュニケーションの場面や、意識すべき点はありますか?」といった質問は、企業への理解を深めたいという意欲が伝わります。「コミュニケーションは活発ですか?」のような抽象的な質問は避けましょう。
面接官はコミュニケーションのどこを見ていますか?
面接官は、単に話が上手いかだけでなく、多角的な視点でコミュニケーション能力を見ています。具体的には、「相手の話をきちんと聞けているか(傾聴力)」「自分の考えを分かりやすく伝えられているか(伝達力)」「相手の意図を正確に理解できているか(理解力)」「TPOに合わせた適切な言葉遣いや態度が取れているか」「質問に対して的確に答えられているか(論理的思考力)」「表情や態度はどうか(非言語コミュニケーション)」などを総合的に評価しています。
また、応募者の価値観や人柄、組織への適応力なども、コミュニケーションに関する質問を通して見極めようとしています。
コミュニケーションで大切なことは何ですか?(一般的な回答)
一般的にコミュニケーションで大切とされることは多岐にわたりますが、主なものとしては以下のような点が挙げられます。
- 傾聴:相手の話を注意深く聞くこと。
- 明確な伝達:分かりやすく、正確に情報を伝えること。
- 共感:相手の感情や立場に寄り添うこと。
- 尊重:相手の意見や価値観を尊重する姿勢。
- 非言語コミュニケーション:表情、態度、声のトーンなども意識すること。
- 質問力:疑問点を確認し、理解を深めること。
- フィードバック:相手の言動に対して適切に反応すること。
- 報連相:報告・連絡・相談を適切に行うこと。
面接では、これらの要素の中から、自分の経験や考えに基づいて、特に重要だと考える点を具体的に説明することが求められます。
コミュニケーション能力を言い換えると?
コミュニケーション能力は、様々な言葉で言い換えることができます。文脈や強調したい側面によって使い分けると良いでしょう。
- 対人スキル
- 意思疎通能力
- 関係構築能力
- 傾聴力
- 伝達力
- 説明力
- 交渉力
- 協調性
- 共感力
面接で自分の強みをアピールする際には、これらの具体的な言葉を使って説明すると、より分かりやすく伝わります。
コミュニケーションで心がけていることは何ですか?(一般的な回答)
「大切にしていること」とほぼ同義ですが、「心がけていること」と聞かれた場合も、同様に具体的な行動や意識している点を答えるのが良いでしょう。一般的な回答例としては、以下のようなものが考えられます。
- 相手の目を見て話すこと。
- 結論から話すこと。
- 相手が理解しているか確認しながら話すこと。
- 否定的な言葉から入らないこと。
- 感謝の気持ちを伝えること。
- こまめな報連相を行うこと。
- 笑顔で接すること。
- TPOに合わせた言葉遣いをすること。
面接では、これらの心がけの中から、自分が特に意識していることを、具体的なエピソードを交えて説明しましょう。
まとめ
- 面接官は価値観や仕事への姿勢を見ている。
- 企業はチームワークや生産性向上のため能力を重視。
- 質問は応募者の人柄や組織適応力を見るため。
- 回答は結論ファーストで簡潔に。
- 具体的なエピソードで説得力を持たせる。
- 企業の求める人物像を意識する。
- 面接全体で回答に一貫性を持たせる。
- ポジティブな言葉を選び、前向きな姿勢を示す。
- 傾聴力、伝達力、共感力などを具体的にアピール。
- 報連相や非言語コミュニケーションも有効な切り口。
- 抽象的な回答や自慢話は避ける。
- ネガティブな表現や他者批判はNG。
- 日常から聞く姿勢、分かりやすい伝達を意識。
- 挨拶や感謝の言葉を大切にする。
- 自信がなくても、改善意欲や得意な側面を伝える。