スバルが誇る新世代エンジン「CB18」。レヴォーグやフォレスター、アウトバックといった人気車種に搭載され、その走行性能や燃費性能に注目が集まっています。しかし、一方で「CB18エンジンには注意点があるのでは?」「不具合やリコールの情報が気になる」といった声も聞かれます。本記事では、CB18エンジンの特徴やメリット・デメリット、そして長く付き合うための注意点、さらには過去の不具合情報まで、オーナーや購入検討中の方が本当に知りたい情報を徹底的に解説します。
CB18エンジンとは?その特徴と搭載車種
CB18エンジンは、スバルが2020年に発表した1.8L水平対向4気筒直噴ターボエンジンです。 それまでの主力エンジンであったFB型やFA型に代わる新世代エンジンとして、レヴォーグ(VN型)に初めて搭載されました。 その後、フォレスターやレガシィアウトバック(日本国内向け)にも搭載車種が拡大されています。 「Concentration(集中)& Compact(コンパクト)+ Boxer(ボクサー)」を意味するCBの名が示す通り、スバルの持つ技術を結集し、小型軽量化と高性能を両立させたエンジンと言えるでしょう。
CB18エンジンの主な特徴は以下の通りです。
- リーンバーン(希薄燃焼)技術の採用
- 新設計による小型軽量化
- 実用域でのトルク向上
- レギュラーガソリン対応
これらの特徴について、詳しく見ていきましょう。
リーンバーン(希薄燃焼)技術とは?燃費とパワーの両立を目指す
CB18エンジンの最大の特徴の一つが、リーンバーン(希薄燃焼)技術の採用です。 リーンバーンとは、通常のエンジンよりも空気の割合が多い(燃料が薄い)混合気で燃焼させる技術のこと。 これにより、燃費性能の向上が期待できます。 スバルはこのリーンバーンとターボチャージャーを組み合わせることで、燃費性能と実用域での力強いトルクを両立することを目指しました。 実際に、CB18エンジンは熱効率40%前後を達成しているとされています。 これは、当時の量産ガソリンエンジンとしては高い水準です。
ただし、リーンバーンエンジンには、NOx(窒素酸化物)の排出量が増加しやすいという課題があります。CB18エンジンでは、NOx吸蔵還元触媒などを採用することで、この課題に対応しています。
新設計による小型軽量化とそのメリット
CB18エンジンは、完全新規設計によって小型軽量化が図られています。 例えば、クランクシャフトは従来型エンジン(FB16)と比較して大幅に短縮され、エンジン全長も短くなっています。 これにより、エンジン単体で約5kgの軽量化を実現しました。 この小型軽量化は、車両の運動性能向上や燃費性能向上にも貢献します。 また、エンジンがコンパクトになったことで、衝突時の安全スペース確保にも有利に働きます。
実用域でのトルク向上で街乗りも快適に
CB18エンジンは、最高出力こそ従来型の1.6Lターボエンジン(FB16)から微増に留まりますが、最大トルクは大幅に向上しています。 しかも、その最大トルクを低い回転数から発生させることができるため、街乗りなど日常的な走行シーンでの扱いやすさが向上しています。 アクセルを踏み込むと、1500~2000回転あたりから力強い加速を味わえるでしょう。 これは、特にストップ&ゴーの多い日本の道路事情に適した特性と言えます。
レギュラーガソリン対応で経済的
CB18エンジンは、レギュラーガソリン仕様です。 ハイオクガソリンを指定するターボエンジンも多い中、レギュラーガソリンで性能を発揮できるように設計されているのは、経済的なメリットと言えるでしょう。 スバルによると、CB18エンジンはレギュラーガソリンで性能が最大限発揮されるよう制御されており、ハイオクガソリンを給油すると燃費や始動性が悪化する可能性があるとのことです。
CB18エンジンの注意点と対策
高性能で魅力的なCB18エンジンですが、その特性上、いくつかの注意点も存在します。長く快適に乗り続けるために、これらの注意点を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
主な注意点は以下の通りです。
- NOx吸蔵還元触媒の硫黄被毒
- EGR圧力センサーの不具合(過去事例)
- トレースノック(低負荷時のカラカラ音)
- オイル管理の重要性
これらの注意点と対策について、詳しく解説します。
NOx吸蔵還元触媒の硫黄被毒と定期的な高負荷運転の必要性
CB18エンジンに採用されているNOx吸蔵還元触媒は、ガソリンに含まれる硫黄成分によって性能が低下する「硫黄被毒」という現象が起こり得ます。 通常、この硫黄成分は高速走行などエンジンが高温になる状況で除去されます。 しかし、低負荷運転(街乗りや短距離走行など)が長期間続くと、硫黄成分が除去されずに蓄積し、触媒の性能が著しく低下したり、最悪の場合は再生不能になったりする可能性があります。
この対策として、スバルは定期的な高負荷運転を推奨しています。 具体的には、極端な低負荷運転が1.8万キロ以上継続すると、警告灯が点灯し、販売店での触媒洗浄が必要になる場合があるとされています。 ユーザーとしては、意識的に高速道路を走行したり、エンジン回転数を上げて走行したりする機会を設けることが望ましいでしょう。 メーカーの解説によれば、「時速70km以上を累積5分」程度の走行で硫黄成分の除去が期待できるとされています。
EGR圧力センサーの不具合(過去事例とその後の対応)
2022年に、CB18エンジン搭載車(レヴォーグ、フォレスター、アウトバック)において、エンジンEGR圧力センサーの不具合が報告され、一時的に出荷停止や生産停止に至った事例がありました。 この不具合は、センサー部品の腐食が原因で、エンジン警告灯の点灯や、稀にエンジンが始動しなくなる、あるいは走行中にエンジンが停止するといった症状が発生する可能性がありました。
この問題に対し、スバルは対策部品の開発を進め、市場措置(リコールやサービスキャンペーンなど)によって対応しました。 現在では対策が施されていると考えられますが、中古車を購入する際などには、過去の整備履歴を確認しておくとより安心でしょう。もし運転中に警告灯が点灯したり、エンジン不調を感じたりした場合は、速やかにスバルディーラーに相談することが重要です。
トレースノック(低負荷時のカラカラ音)は故障ではない?
CB18エンジン搭載車の一部オーナーから、軽い上り坂などでエンジン回転数が低い状態(1200回転前後など)で負荷がかかった際に、「カラカラ」という音がするという報告があります。 これは「トレースノック」と呼ばれる現象で、ディーラーからは「リーンバーンエンジンには付き物」と説明されることがあるようです。
トレースノックは、エンジンがノッキングを起こさないギリギリのところで燃焼を制御し、燃費を稼ぐために発生する音とされています。 基本的にはエンジンが壊れるような深刻なものではないとされていますが、気になる場合はディーラーに相談してみましょう。 ガソリン添加剤の使用や、異なる銘柄のレギュラーガソリンを試すことで改善が見られる場合もあるようです。
オイル管理の重要性|適切なオイル選びと交換時期
CB18エンジンに限らず、近年の直噴ターボエンジンはオイル管理が非常に重要です。CB18エンジンは、メーカー推奨のオイル粘度(例:0W-16など)を守ることが基本となります。 燃費性能を最大限に引き出すために低粘度オイルが指定されていることが多いですが、ターボ車であるため、エンジン保護の観点からオイルの質や交換時期には気を配りたいところです。
オイル交換の頻度は、走行状況やメーカーの指示に従うのが基本ですが、シビアコンディション(短距離走行の繰り返し、悪路走行が多いなど)に該当する場合は、早めの交換を心がけると良いでしょう。また、オイルフィルターも定期的に交換することで、エンジン内部をクリーンに保ち、エンジンの寿命を延ばすことに繋がります。
CB18エンジンの評判・口コミ|オーナーの声から見える実態
CB18エンジンに対する実際の評価はどうなのでしょうか。ここでは、インターネット上の口コミやレビューから、オーナーの声を見ていきましょう。
CB18エンジンの評判・口コミは以下の通りです。
- 走行性能に関する評価
- 燃費性能に関する評価
- 静粛性やエンジン音に関する評価
走行性能|力強いトルクとスムーズな加速
CB18エンジンの走行性能については、実用域でのトルクフルな加速を評価する声が多いようです。 特に街乗りでの扱いやすさや、高速道路での合流などがスムーズに行える点が好評です。 一方で、高回転域での伸びはそれほどでもない、といった意見も見られます。 これは、CB18エンジンが最高出力よりも実用域でのトルクを重視したセッティングになっているためと考えられます。
また、リーンバーンとターボの組み合わせによる独特のフィーリングについて、好みが分かれる場合もあるようです。アクセルレスポンスに関しては、以前のFB型エンジンにあったキビキビ感がないと感じるユーザーもいるようです。
燃費性能|期待と現実、乗り方による違い
燃費性能に関しては、期待していたほど伸びないという声もあれば、高速巡航では良好な数値を記録したという声もあり、評価が分かれる傾向にあります。 リーンバーン技術の恩恵は、特に高速道路など一定速度で巡航するような状況で発揮されやすいようです。 一方で、都市部でのストップ&ゴーが多い走行では、思ったよりも燃費が伸び悩むケースもあるようです。
カタログ燃費(WLTCモード)は、フォレスターSPORTで13.6km/Lなどとなっていますが、実燃費は運転の仕方や走行環境によって大きく左右されるため、一概には言えません。
静粛性やエンジン音|不等長エキゾーストの復活とボクサーサウンド
CB18エンジンでは、排気系の取り回しの関係で、かつてのスバル車を彷彿とさせる不等長エキゾーストマニホールドが採用されています。 これにより、水平対向エンジン特有の「ボクサーサウンド」が感じられるという声があります。 エンジン始動時や加速時に、粒のはっきりした心地よいサウンドが聞こえるという評価がある一方で、3000回転を超えると少し雑味のあるエンジン音が大きめに感じられるという意見も見られます。
静粛性に関しては、概ね良好という評価が多いようですが、ロードノイズの方が気になるという意見も散見されます。
CB18エンジン搭載車を中古で購入する際の注意点
CB18エンジン搭載車を中古で購入する際には、いくつかの点に注意が必要です。
中古車購入時の注意点は以下の通りです。
- 過去のメンテナンス履歴の確認
- EGR圧力センサーの対策状況
- 試乗によるエンジンフィーリングの確認
メンテナンスノートや整備記録でオイル管理状況をチェック
中古車選びの基本ですが、特にCB18エンジンのような比較的新しい技術が投入されたエンジンでは、これまでのメンテナンス状況が重要になります。メンテナンスノートや整備記録を確認し、定期的なオイル交換が適切に行われていたか、メーカー推奨のオイルが使用されていたかなどをチェックしましょう。オイル管理が不十分だった車両は、将来的にトラブルが発生するリスクが高まる可能性があります。
EGR圧力センサーのリコール・サービスキャンペーン対応履歴
前述の通り、CB18エンジンでは過去にEGR圧力センサーの不具合がありました。 中古車を購入する際には、その車両がリコールやサービスキャンペーンの対象であったか、そして対策済みであるかを確認することが非常に重要です。販売店に問い合わせるか、車台番号からメーカーのウェブサイトなどで確認できる場合があります。
試乗でエンジンの異音や振動、加速フィーリングを確認
可能であれば、必ず試乗してエンジンの状態を確認しましょう。アイドリング時の振動や異音、加速時のフィーリング、エンジンブレーキの効き具合などをチェックします。特に、低回転域でのカラカラ音(トレースノックの可能性)や、加速時のもたつきがないかなどを注意深く確認してください。 リーンバーンとストイキ燃焼の切り替えがスムーズに行われるかもポイントです。
CB18エンジンと他のスバルエンジン(FB16、FA20など)との比較
CB18エンジンは、スバルの他のエンジンと比較してどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、代表的なエンジンであるFB16型(1.6Lターボ)やFA20型(2.0Lターボ)と比較してみましょう。
CB18エンジンと他のスバルエンジンの比較ポイントは以下の通りです。
- 排気量と出力特性の違い
- 燃費性能の比較
- 採用技術とフィーリングの違い
排気量と出力特性|CB18は実用トルク重視
CB18エンジンは1.8Lターボ、FB16は1.6Lターボ、FA20は2.0Lターボ(高出力版)です。
CB18エンジンは、FB16と比較して排気量が200ccアップしており、最大トルクが大幅に向上しています。 最高出力はFB16とほぼ同等ですが、より低い回転数から力強いトルクを発生するため、実用域での扱いやすさに優れています。
一方、FA20型(特にWRX S4などに搭載される高出力版)は、CB18よりも排気量が大きく、最高出力・最大トルクともに上回ります。よりスポーティーな走りを求めるユーザーにはFA20型が魅力的ですが、CB18は日常的な使い勝手と経済性のバランスに優れていると言えるでしょう。
燃費性能|リーンバーン技術の恩恵は?
燃費性能に関しては、CB18エンジンはリーンバーン技術の採用により、従来のFB16型ターボエンジンからの向上が期待されています。 しかし、実際の燃費は走行条件や運転スタイルに大きく左右されるため、一概にどちらが優れているとは言えません。
FA20型ターボエンジンは、高出力である分、一般的にCB18やFB16よりも燃費面では不利になる傾向があります。
採用技術とフィーリング|新世代エンジンとしての進化
CB18エンジンは、リーンバーンや新設計による小型軽量化など、スバルの最新技術が投入された新世代エンジンです。 これにより、従来のエンジンとは異なるフィーリングを持つ可能性があります。例えば、リーンバーン特有の燃焼フィールや、不等長エキゾーストによるエンジンサウンドなどが挙げられます。
FB16やFA20は、それぞれ異なるコンセプトで開発されており、フィーリングも異なります。FB16は比較的マイルドな特性、FA20はよりダイレクトでスポーティーな特性を持つと言えるでしょう。
よくある質問
CB18エンジンの寿命はどのくらいですか?
エンジンの寿命は、メンテナンス状況や使用環境、運転の仕方によって大きく変動するため、一概に「何キロ」とは言えません。一般的に、適切なオイル管理(定期的な交換、メーカー推奨オイルの使用)を行い、無理な運転を避ければ、20万キロ以上走行することも不可能ではありません。 CB18エンジンは比較的新しいエンジンであるため、長期的な耐久性に関するデータはまだ少ないのが現状です。 しかし、スバルはメーカーとして20万km程度の寿命を想定しているとの情報もあります。
CB18エンジンのオイル交換時期の目安は?推奨オイルは?
CB18エンジンのオイル交換時期の目安は、通常、走行距離5,000km~10,000km、または半年~1年ごとが一般的ですが、必ず車両の取扱説明書で確認してください。シビアコンディション下での使用が多い場合は、より短い間隔での交換が推奨されます。
推奨オイルは、メーカー指定の粘度(例:0W-16など)の純正オイルまたは同等規格のオイルを使用することが基本です。 不明な場合は、スバルディーラーに相談しましょう。
CB18エンジンにリコールはありましたか?
過去に、CB18エンジン搭載車において、EGR圧力センサーの不具合に関連するリコールやサービスキャンペーンが実施された事例があります。 具体的には、2022年頃にセンサーの不具合によりエンジン警告灯が点灯したり、最悪の場合エンジンが停止したりする可能性が指摘され、出荷停止や生産停止に至ったことがあります。 中古車を購入する際は、これらの対策が実施済みであるかを確認することが重要です。
CB18エンジンの燃費は実際どうですか?
CB18エンジンの燃費は、搭載車種や走行条件、運転スタイルによって大きく異なります。 カタログ燃費(WLTCモード)では、例えばフォレスターSPORTで13.6km/Lなどとなっています。 実際のオーナーの声としては、高速道路などでは比較的良好な燃費を記録するものの、市街地走行では期待したほど伸びないという意見も見られます。 リーンバーン技術の恩恵は、一定速度での巡航時に発揮されやすい傾向があるようです。
CB18エンジン搭載車で気をつけるべきことは何ですか?
CB18エンジン搭載車で特に気をつけるべき点は、NOx吸蔵還元触媒の硫黄被毒を防ぐための定期的な高負荷運転です。 長期間、街乗りや短距離走行ばかりしていると、触媒の性能が低下する可能性があるため、意識して高速道路を走行するなど、エンジンを高回転・高負荷で運転する機会を設けることが推奨されています。 また、適切なオイル管理も重要です。
CB18エンジンのメリットとデメリットを教えてください。
メリットとしては、実用域でのトルクが豊かで扱いやすいこと、レギュラーガソリン仕様で経済的であること、新設計により小型軽量化されていることなどが挙げられます。
デメリットとしては、NOx吸蔵還元触媒のメンテナンス(定期的な高負荷運転の必要性)、過去のEGR圧力センサーの不具合事例、リーンバーン特有のフィーリングが好みに合わない場合があることなどが考えられます。
まとめ
- CB18はスバルの新世代1.8L直噴ターボエンジン。
- リーンバーン技術で燃費とパワーの両立を目指す。
- 小型軽量化と実用域トルク向上が特徴。
- レギュラーガソリン対応で経済的。
- NOx触媒保護のため定期的な高負荷運転が必要。
- 過去にEGR圧力センサーの不具合があった。
- トレースノックという低負荷時の音の報告あり。
- オイル管理は非常に重要。
- 走行性能は実用域で力強く扱いやすいと好評。
- 燃費は乗り方や状況で評価が分かれる。
- 不等長エキゾーストでボクサーサウンドが楽しめる。
- 中古車購入時はメンテナンス履歴と対策状況を確認。
- FB16比でトルク向上、FA20比ではマイルドな特性。
- 適切なメンテナンスで長く付き合えるエンジン。
- 購入前には試乗してフィーリング確認を推奨。