3000m走のレースを明日に控え、「前日はどう過ごすのがベストなんだろう?」と悩んでいませんか?自己ベスト更新や目標達成のためには、レース当日のパフォーマンスはもちろん、前日の過ごし方が非常に重要です。食事、睡眠、軽い調整、そしてメンタルの準備。これらを適切に行うことで、心身ともに最高の状態でスタートラインに立つことができます。
本記事では、3000m走のレース前日にやるべきこと、避けるべきことを具体的に解説します。これを読めば、自信を持ってレース当日を迎えられるはずです!
最高のパフォーマンスを引き出す!3000mレース前日の重要性
レース前日は、単なる休息日ではありません。これまでの練習の成果を最大限に発揮するための、最終調整の期間と捉えるべきです。適切な過ごし方をすることで、エネルギーを充足させ、筋肉の疲労を回復し、精神的な集中力を高めることができます。逆に、前日の過ごし方を間違えると、せっかくのトレーニングが無駄になってしまう可能性も…。最高のパフォーマンスは、前日の準備から始まっているのです。
レース前日の食事戦略:エネルギー満タンでスタートラインへ
レースで力を出し切るためには、エネルギー源となるグリコーゲンを体内に十分に蓄えておく必要があります。そのため、前日の食事は非常に重要です。ポイントは、消化が良く、エネルギーになりやすいものを選ぶこと。ここでは、具体的な食事戦略を見ていきましょう。
- 消化が良くエネルギーになる食事を選ぼう
- レース前日に避けたい食事
- 水分補給も忘れずに
消化が良くエネルギーになる食事を選ぼう
レース前日の食事の主役は、炭水化物です。ご飯、うどん、パスタ、パン、餅などを中心に摂取し、エネルギー源となるグリコーゲンを筋肉や肝臓に蓄えましょう。これは「カーボローディング」や「グリコーゲンローディング」とも呼ばれます。
ただし、消化が良いことも重要なポイント。食物繊維が多いものや脂っこいものは、消化に時間がかかり、胃腸に負担をかける可能性があります。レース当日に胃もたれや不快感を残さないためにも、消化しやすい調理法(煮る、蒸すなど)を選び、よく噛んで食べることを心がけましょう。
おすすめのメニュー例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 力うどん(餅入り)
- 鶏肉と野菜の雑炊
- 白米とお味噌汁、焼き魚(鮭など)、ほうれん草のおひたし
- たらこパスタ(バターやオイル控えめ)
- バナナ、カステラ(補食として)
タンパク質やビタミン、ミネラルも体のコンディションを整えるために必要ですが、あくまで炭水化物を中心に、バランス良く摂取することが大切です。
レース前日に避けたい食事
最高のコンディションで当日を迎えるために、前日に避けるべき食事もあります。これらを摂取すると、消化不良や体調不良の原因となり、パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、以下の食品に注意しましょう。
- 脂っこいもの: 天ぷら、フライ、唐揚げ、脂身の多い肉、スナック菓子など。消化に時間がかかり、胃もたれの原因になります。
- 食物繊維が多いもの: ごぼう、きのこ類、海藻類、豆類など。摂りすぎるとお腹が張ったり、ガスが溜まったりすることがあります。普段から食べ慣れていて問題ない場合は少量ならOKですが、過剰摂取は避けましょう。
- 生もの: 刺身、生牡蠣、生卵など。食中毒のリスクがあるため、念のため避けるのが賢明です。
- 辛いもの・刺激物: 唐辛子、わさび、カレーなど。胃腸を刺激し、腹痛や下痢の原因になることがあります。
- 慣れない食べ物: 旅行先などで珍しいものを試したくなるかもしれませんが、前日は避けるのが無難です。体が慣れていないものを食べると、予期せぬ不調を引き起こす可能性があります。
- アルコール: 利尿作用による脱水、睡眠の質の低下、肝臓への負担など、パフォーマンスに悪影響を与えるため、前日の飲酒は絶対に避けましょう。
水分補給も忘れずに
食事だけでなく、水分補給も非常に重要です。体内の水分が不足すると、パフォーマンスの低下はもちろん、足がつる原因にもなります。前日から意識的に水分を摂取し、体を潤しておきましょう。
一度に大量に飲むのではなく、こまめに少量ずつ飲むのがポイントです。水やお茶、スポーツドリンクなどを、喉が渇く前に飲むように心がけましょう。特に、入浴後や就寝前、起床後などは水分が失われやすいタイミングなので、忘れずに補給してください。
ただし、利尿作用のあるカフェインを多く含むコーヒーや紅茶、緑茶などの飲み過ぎには注意が必要です。適量であれば問題ない場合もありますが、心配な方は水や麦茶などを選ぶのが良いでしょう。(詳しくは「よくある質問」で後述します。)
最後の調整:レースに向けた前日の練習メニュー
「レース前日は完全に休んだ方がいいの?それとも少し動いた方がいいの?」と迷う方もいるかもしれません。結論から言うと、軽い運動で体を動かすことが推奨されます。ただし、疲労を残さない程度に留めることが重要です。ここでは、前日の適切な練習メニューについて解説します。
- 軽めの運動で体をリフレッシュ:「刺激入れ」のすすめ
- やりすぎは禁物!オーバートレーニングに注意
- ストレッチで筋肉をケア
軽めの運動で体をリフレッシュ:「刺激入れ」のすすめ
レース前日に行う軽い運動は、一般的に「刺激入れ」や「調整」と呼ばれます。その目的は、完全に休んで体をなまらせるのではなく、適度な刺激を与えることで筋肉を目覚めさせ、レース当日にスムーズに動けるように準備することです。
具体的なメニューとしては、以下のようなものが考えられます。
- 軽いジョギング (15分~20分程度): ゆっくりとしたペースで、気持ちよく走れる範囲で行います。
- ウォーキング: ジョギングが不安な場合や、より軽い刺激にしたい場合は、ウォーキングでも良いでしょう。
- 流し (ウィンドスプリント): ジョギングの後などに、短い距離(50m~100m程度)を気持ちよくスピードを上げて走ります。レースペースに近い動きを確認し、神経系に刺激を入れるのが目的です。2~3本程度、全力ではなく7~8割程度の力で行いましょう。
- 基本的な動き作りドリル: 腿上げやバウンディングなど、普段行っているドリルを軽めに行うのも効果的です。
これらの運動は、午前中や午後の早い時間に行うのがおすすめです。夕方以降に行うと、交感神経が活発になり、夜の睡眠に影響が出る可能性があるため避けましょう。重要なのは、疲労を残さず、あくまで「体を軽く動かす」という意識で行うことです。
やりすぎは禁物!オーバートレーニングに注意
前日の調整で最も注意すべき点は、絶対にやりすぎないことです。不安な気持ちから、「もう少し走っておこう」「強度を上げておこう」と考えてしまうかもしれませんが、これは逆効果。前日に負荷の高いトレーニングを行うと、疲労が抜けきらず、レース当日に体が重く感じてしまいます。
ジョギングの時間を長くしすぎたり、流しの本数を増やしすぎたりしないように注意しましょう。あくまで「刺激入れ」であり、トレーニングではありません。「少し物足りないかな?」と感じるくらいで終えるのがちょうど良いでしょう。
もし前日に強い疲労感がある場合や、体調が優れない場合は、勇気を持って休むという選択も大切です。無理に動かすよりも、休息を優先して回復に努めましょう。
ストレッチで筋肉をケア
軽い運動の後はもちろん、それ以外でも前日にはストレッチを取り入れて、筋肉の柔軟性を保ち、リラックスさせることも重要です。特に、走りでよく使う脚の筋肉(太もも前後、ふくらはぎ、お尻など)を中心に、ゆっくりと伸ばしましょう。
ただし、反動をつけたり、痛みを感じるほど強く伸ばしたりするのはNGです。筋肉を傷めてしまう可能性があります。気持ちよく伸びている感覚があるところで、20~30秒ほどキープする静的ストレッチがおすすめです。
入浴後など、体が温まっている時に行うとより効果的です。リラックス効果も高まり、質の高い睡眠にもつながります。
質の高い睡眠で心身を回復
レース前日の夜にぐっすりと眠ることは、最高のパフォーマンスを発揮するために不可欠です。睡眠中に体は疲労を回復させ、エネルギーを蓄えます。また、精神的な安定にもつながります。ここでは、質の高い睡眠をとるためのポイントを見ていきましょう。
- 十分な睡眠時間を確保する
- 睡眠の質を高める工夫
- 寝る前のリラックス法
十分な睡眠時間を確保する
理想的な睡眠時間は人それぞれですが、一般的には7~8時間を目安に、普段よりも少し長めに睡眠時間を確保できると良いでしょう。レース当日の起床時間から逆算して、早めに布団に入ることを心がけてください。
「早く寝なければ」と焦る必要はありませんが、夜更かしは禁物です。普段の就寝時間よりも大幅に早く寝ようとすると、かえって寝付けなくなることもあります。いつもの就寝時間か、それより30分~1時間程度早く布団に入るくらいが良いかもしれません。
大切なのは、睡眠時間の確保を意識して、夜の過ごし方を計画することです。夕食の時間や入浴時間、リラックスタイムなどを考慮して、スムーズに就寝できるように準備しましょう。
睡眠の質を高める工夫
単に長く寝るだけでなく、睡眠の質を高めることも重要です。ぐっすりと深い睡眠をとることで、心身の回復効果が高まります。以下の点を意識してみましょう。
- 寝室の環境を整える: 寝室は暗く、静かで、快適な温度・湿度に保ちましょう。遮光カーテンを使ったり、耳栓やアイマスクを利用したりするのも効果的です。
- 寝る前のカフェイン・アルコールを避ける: これらは睡眠を妨げるため、就寝前の摂取は避けましょう。
- 就寝前の食事は控える: 寝る直前に食事をとると、消化活動が睡眠を妨げます。夕食は就寝の3時間前までに済ませるのが理想です。
- 寝る前のスマートフォンやパソコン操作を控える: ブルーライトは脳を覚醒させ、寝つきを悪くします。就寝1時間前からは使用を避け、リラックスする時間に充てましょう。
自分に合った寝具(枕やマットレス)を使うことも、睡眠の質に影響します。普段から快適な睡眠環境を整えておくことが大切です。
寝る前のリラックス法
レース前日は、興奮や緊張からなかなか寝付けないという方もいるかもしれません。そんな時は、意識的にリラックスする時間を取り入れましょう。
- ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる: 38~40℃くらいのぬるめのお湯に15~20分程度浸かると、副交感神経が優位になり、リラックス効果が得られます。ただし、熱すぎるお湯や長風呂は逆に体を興奮させてしまうので注意が必要です。
- 軽いストレッチ: 前述の通り、寝る前に軽いストレッチを行うと、筋肉の緊張がほぐれ、リラックスできます。
- 温かい飲み物を飲む: ホットミルクやハーブティー(カモミールなど、カフェインレスのもの)は、体を温め、リラックス効果が期待できます。
- 好きな音楽を聴く、読書をする: 心が落ち着くような静かな音楽を聴いたり、好きな本を読んだりするのも良いでしょう。ただし、興奮するような内容のものは避けてください。
- 腹式呼吸: ゆっくりと鼻から息を吸い込み、口から長く吐き出す腹式呼吸は、心身をリラックスさせるのに効果的です。布団に入ってから数分間行うのもおすすめです。
自分に合ったリラックス法を見つけて、心穏やかに眠りにつけるようにしましょう。
メンタルを整える:自信を持ってレースに臨むために
レース前日は、体だけでなく心の準備も重要です。過度な緊張はパフォーマンスを低下させる原因になりますが、適度な緊張感は集中力を高めます。自信を持ってスタートラインに立つために、メンタルを良い状態に整えましょう。
- ポジティブなイメージトレーニング
- リラックスして緊張を和らげる
- レースプランの最終確認
ポジティブなイメージトレーニング
レースでの成功体験を具体的にイメージすることは、自信を高め、本番でのパフォーマンス向上につながります。これをイメージトレーニングと言います。
静かな場所でリラックスし、目を閉じて、レース本番の状況を思い描いてみましょう。
- スタートラインに立つ感覚
- スムーズなスタート
- リラックスしたフォームで走る自分
- 苦しい場面での粘り
- ラストスパートで前に出る瞬間
- 笑顔でゴールする姿
- 目標タイムの達成
できるだけ具体的に、五感(視覚、聴覚、体感など)を使ってイメージすることがポイントです。「うまく走れる」「目標を達成できる」といったポジティブな感情を伴うようにイメージしましょう。ネガティブなイメージが浮かんできたら、それを打ち消すような成功イメージに切り替える練習も有効です。
リラックスして緊張を和らげる
レース前は誰でも緊張するものです。適度な緊張は良いパフォーマンスにつながりますが、過度な緊張は体を硬くし、呼吸を浅くさせ、力を出し切れない原因となります。
前述した入浴やストレッチ、腹式呼吸などは、緊張を和らげるのに効果的です。また、好きな音楽を聴いたり、面白い動画を見たり、友人や家族と話したりするなど、レースのことを少し忘れて気分転換する時間を作るのも良いでしょう。
「緊張しているな」と感じたら、それを否定せずに受け入れることも大切です。「緊張するのは当たり前。これも集中している証拠だ」と前向きに捉え、深呼吸をして落ち着きましょう。
レースプランの最終確認
レースでどのようなペースで走り、どこで仕掛けるかといったレースプランを事前に考えておくことは、当日のレースを落ち着いて進めるために役立ちます。前日に、そのプランを最終確認しておきましょう。
目標タイムから逆算した1000mごとのラップタイム、ペース配分、給水のタイミング(もしあれば)、コースの特徴などを再確認します。ただし、プランに固執しすぎる必要はありません。当日の天候や体調、レース展開によっては、柔軟に対応することも重要です。
プランを確認することで、レースの流れを具体的にイメージでき、不安を減らすことができます。「自分はこう走る」という明確な指針を持つことが、自信につながるのです。
抜かりなく!前日の持ち物チェックと準備
レース当日の朝になって「あれがない!」「忘れた!」と慌てることがないように、前日のうちに持ち物の最終チェックと準備を済ませておきましょう。これにより、安心してレースに集中できます。
- レース当日に必要なものをリストアップ
- ウェアやシューズの最終確認
- 会場までのアクセスや時間の確認
レース当日に必要なものをリストアップ
まずは、レース当日に必要なものを全てリストアップしましょう。頭の中だけで考えるのではなく、紙に書き出すか、スマートフォンのメモ機能などを使うと、忘れ物を防ぎやすくなります。
一般的な持ち物リストの例は以下の通りです。大会や個人の必要に応じて調整してください。
【レース用具】
- □ レース用ウェア(シャツ、パンツ)
- □ レース用シューズ
- □ ソックス
- □ ナンバーカード(ゼッケン)、安全ピン
- □ 計測チップ(大会から事前に送付されている場合)
- □ GPSウォッチ、ストップウォッチ
【レース前後・移動用】
- □ 着替え(Tシャツ、ジャージ、下着など)
- □ タオル(複数枚あると便利)
- □ 上着、防寒着(季節や天候による)
- □ 移動用の楽な靴
- □ バッグ、リュックサック
【その他】
- □ ドリンク(水、スポーツドリンクなど)
- □ 補給食(ゼリー飲料、バナナ、エナジーバーなど)
- □ 常備薬、絆創膏、テーピングなど
- □ 健康保険証
- □ お金、交通系ICカード
- □ スマートフォン、充電器
- □ 日焼け止め、帽子、サングラス(必要に応じて)
- □ 雨具(カッパ、折りたたみ傘など、天候による)
- □ ビニール袋(濡れたものやゴミを入れる用)
リストを作成したら、一つずつ確認しながらバッグに詰めていきましょう。
ウェアやシューズの最終確認
持ち物の中でも特に重要なのが、レースで使用するウェアとシューズです。前日に必ず状態を確認しておきましょう。
- ウェア: ほつれや破れがないか、サイズは合っているかを確認します。特にナンバーカードを付ける場合は、安全ピンで穴が開いていないかなども見ておくと良いでしょう。天候に合わせて、長袖か半袖か、アームウォーマーや手袋が必要かなども最終判断します。
- シューズ: 靴紐が切れそうになっていないか、ソールが極端にすり減っていないか、異物が挟まっていないかなどを確認します。靴紐の結び方も、レース中にほどけないように、いつもの最適な締め具合を再確認しておくと安心です。
- ナンバーカード: 忘れずに持っているか、氏名や種目に間違いがないかを確認します。事前にウェアに取り付けておく場合は、曲がったりシワになったりしないように注意しましょう。
これらの最終確認を前日に行うことで、当日の朝に慌てることなく、スムーズに準備を進めることができます。
会場までのアクセスや時間の確認
意外と見落としがちなのが、会場までのアクセス方法と所要時間の再確認です。公共交通機関を使う場合は、乗り換え案内アプリやウェブサイトで最新の時刻表やルートを確認しましょう。特に休日はダイヤが平日と異なる場合があるので注意が必要です。
車で行く場合は、駐車場の場所や開場時間、渋滞情報などを確認しておきましょう。会場周辺は混雑が予想されるため、時間に余裕を持った計画を立てることが重要です。
また、受付時間や招集時間、スタート時間なども改めて確認し、何時に家を出て、何時に会場に到着すべきかを明確にしておきましょう。当日の朝、時間に追われて焦ることがないように、シミュレーションしておくことが大切です。
【注意点】3000mレース前日にやってはいけないこと
最高の状態でレース当日を迎えるためには、前日に避けるべき行動もあります。良かれと思ってやったことが、逆効果になってしまう可能性もあるため注意が必要です。ここでは、特に気をつけたい「やってはいけないこと」をまとめました。
- 過度な練習やトレーニング
- 慣れない食べ物や飲み物の摂取
- 夜更かしや睡眠不足
- 過度な緊張やストレス
過度な練習やトレーニング
これは「最後の調整」の章でも触れましたが、改めて強調したい注意点です。レース前日に追い込むような練習や、長時間・高強度のトレーニングを行うのは絶対に避けましょう。
「まだ走り足りない」「最後の刺激を入れておきたい」という気持ちは分かりますが、前日の頑張りは当日の疲労につながるだけです。筋肉にダメージを与え、回復が間に合わなければ、本番で100%の力を発揮できません。
前日の運動は、あくまで軽いジョギングや流し程度に留め、「体を軽く動かす」ことを目的にしましょう。疲労を感じるような運動は避け、休息を優先することが重要です。
慣れない食べ物や飲み物の摂取
食事の章でも触れましたが、レース前日には普段食べ慣れていないものや、消化に悪いものを食べるのは避けましょう。
例えば、遠征先でご当地グルメを試したり、験担ぎで普段食べないカツ丼などを食べたりしたくなるかもしれませんが、胃腸に負担をかけたり、予期せぬアレルギー反応が出たりするリスクがあります。
飲み物についても同様で、普段飲まないエナジードリンクやサプリメントを試すのは避けましょう。体に合わない可能性があります。前日は、食べ慣れた消化の良い食事と、水やお茶など安心できる飲み物を選ぶのが鉄則です。
夜更かしや睡眠不足
睡眠の重要性は繰り返し述べてきましたが、夜更かしによる睡眠不足は、パフォーマンスに直接的な悪影響を与えます。集中力の低下、疲労回復の遅れ、反応速度の鈍化などを引き起こし、レースで本来の力を発揮できなくなります。
レース前夜は、ついスマートフォを見続けたり、テレビを見たりして夜更かししてしまいがちですが、意識して早めに切り上げ、リラックスして就寝準備に入りましょう。
たとえ緊張してなかなか寝付けなくても、横になって目を閉じているだけでも体は休まります。「眠れない」と焦らず、リラックスして体を休めることを心がけてください。
過度な緊張やストレス
適度な緊張はパフォーマンスを高めますが、過度な緊張やストレスは心身を硬直させ、実力を発揮する妨げになります。
レースのことばかり考えすぎて不安になったり、「失敗したらどうしよう」とネガティブな思考に陥ったりしないように注意しましょう。前日は、意識的にリラックスできる時間を作ることが大切です。
音楽を聴く、読書をする、軽いストレッチをする、信頼できる人と話すなど、自分なりのリラックス方法を見つけて実践しましょう。また、完璧を求めすぎず、「ベストを尽くせばOK」と考えることも、プレッシャーを和らげるのに役立ちます。
よくある質問
ここでは、3000m走のレース前日の過ごし方に関して、多くの方が疑問に思う点についてQ&A形式で回答します。
Q. 3000m走の前日は完全に休むべきですか?
A. 完全休養よりも、軽い運動(刺激入れ)を行う方がおすすめです。
前述の通り、15~20分程度の軽いジョギングや、数本の流し(ウィンドスプリント)を行うことで、筋肉に適度な刺激を与え、レース当日に体がスムーズに動くように準備することができます。完全に休んでしまうと、かえって体がなまってしまう可能性があります。ただし、疲労が強い場合や体調が悪い場合は、無理せず休養を優先しましょう。
Q. 前日の食事は何時までに済ませるのが理想ですか?
A. 就寝時間の3時間前までには済ませるのが理想的です。
寝る直前に食事をとると、消化活動のために胃腸が働き続け、睡眠の質が低下する可能性があります。また、朝起きた時に胃がもたれている感覚が残ることも。夕食はできるだけ早めに、消化の良いものを中心に摂り、胃腸を休ませてから眠りにつくようにしましょう。
Q. 刺激入れはどのくらいの強度で行うべきですか?
A. 疲労を残さない、軽い強度で行うことが重要です。
ジョギングであれば、おしゃべりできるくらいのゆっくりとしたペースで十分です。流し(ウィンドスプリント)も、全力ではなく7~8割程度の力で、気持ちよくスピードに乗る感覚を確認する程度に留めましょう。本数は2~3本程度で十分です。「少し物足りないかな?」と感じるくらいで終えるのが、前日の刺激入れとしては適切です。
Q. 緊張して眠れない場合はどうすればいいですか?
A. 無理に寝ようとせず、リラックスして横になるだけでも効果があります。
「眠らなければ」と焦ると、かえって目が冴えてしまうことがあります。そんな時は、一度布団から出て、リラックスできる音楽を聴いたり、温かい飲み物(ノンカフェイン)を飲んだり、軽いストレッチをしたりするのも良いでしょう。そして、眠気を感じたら再び布団に入ります。たとえ短い睡眠時間になったとしても、横になって目を閉じているだけで体は休まります。あまり心配しすぎず、「体を休めている」と考えるようにしましょう。
Q. 前日にカフェインを摂取しても大丈夫ですか?
A. 就寝前や過剰な摂取は避けるべきですが、日中の適量なら問題ない場合もあります。
カフェインには覚醒作用や利尿作用があるため、寝る前の摂取は睡眠の質を低下させ、脱水を引き起こす可能性があるため避けましょう。日中であっても、普段カフェインを摂らない人が急に摂取したり、過剰に摂取したりすると、動悸や胃の不快感などを引き起こす可能性があります。レース前日に試すのはリスクがあるため、基本的には水や麦茶、スポーツドリンクなどを選ぶのが無難です。もし普段からコーヒーなどを飲む習慣がある場合は、午前中に少量摂る程度であれば、大きな問題はないと考えられますが、自己判断で注意が必要です。
Q. レース前日の入浴はシャワーだけの方がいいですか?
A. ぬるめのお湯での入浴はリラックス効果がありおすすめです。ただし、長風呂や熱いお湯は避けましょう。
38~40℃程度のぬるめのお湯に15~20分程度浸かることは、血行を促進し、筋肉の疲労回復やリラックス効果が期待できます。副交感神経が優位になり、寝つきも良くなるでしょう。ただし、42℃以上の熱いお湯や、30分以上の長風呂は、交感神経を刺激して体が覚醒してしまったり、体力を消耗してしまったりする可能性があるため避けるべきです。シャワーだけで済ませる場合は、体を冷やさないように気をつけましょう。入浴後は湯冷めしないうちに、早めに布団に入るのが理想です。
まとめ
3000m走のレース前日の過ごし方について解説してきました。最高のパフォーマンスを発揮するためには、以下のポイントを意識して過ごすことが重要です。
- 前日は最終調整の期間であり、過ごし方が重要。
- 食事は炭水化物中心で、消化の良いものを選ぶ。
- 脂っこいもの、食物繊維が多いもの、生もの、刺激物は避ける。
- 前日のアルコール摂取は絶対にNG。
- こまめな水分補給を心がける。
- 完全休養より、軽い運動(刺激入れ)がおすすめ。
- 刺激入れは軽いジョグや流しを短時間で行う。
- 前日の過度な練習は疲労を残すため避ける。
- ストレッチで筋肉の柔軟性を保ち、リラックス。
- 7~8時間の質の高い睡眠を確保する。
- 寝る前のスマホ操作やカフェイン摂取は控える。
- ぬるめのお風呂や腹式呼吸でリラックス。
- ポジティブなイメージトレーニングで自信を高める。
- レースプランを再確認し、当日の動きをイメージ。
- 持ち物リストを作成し、前日に準備を完了させる。
- ウェアやシューズの状態、会場アクセスも再確認。
これらの準備をしっかり行い、心身ともに最高の状態でレース当日を迎えましょう!あなたの健闘を祈っています!