鏡を見るたびに気になる、頬や鼻の赤み。「もしかして毛細血管拡張症かも…」と不安になり、手軽に買える市販の塗り薬でどうにかしたい、と考えていませんか?そのお気持ち、とてもよく分かります。しかし、残念ながら、毛細血管拡張症を「治療」する効果が認められた市販の塗り薬は、現在のところ存在しないのが実情です。
「じゃあ、もう諦めるしかないの?」とがっかりされたかもしれません。でも、まだ希望を捨てるのは早いです。この記事では、なぜ市販の治療薬がないのかという理由から、赤みのケアに役立つ市販の化粧品、そして根本的な治療法まで、あなたの悩みに寄り添いながら詳しく解説していきます。この記事を読めば、もう一人で悩む必要はありません。あなたに合った最適なケア方法がきっと見つかるはずです。
結論:毛細血管拡張症を直接治す市販の「塗り薬」はない

まず知っておいていただきたい大切なことは、一度拡張してしまった毛細血管を元に戻し、毛細血管拡張症を根本的に「治療」する効果が認められた市販の塗り薬(医薬品)は、残念ながら2025年現在、販売されていません。 ドラッグストアなどで見かける肌の赤み用の塗り薬は、あくまで炎症を抑える目的のものがほとんどです。
この章では、以下の点について詳しく解説します。
- なぜ「治療薬」としての市販薬がないのか?
- 医薬品と医薬部外品、化粧品の違い
- ドラッグストアで相談する際の注意点
なぜ「治療薬」としての市販薬がないのか?
毛細血管拡張症は、皮膚の表面にある毛細血管が何らかの原因で持続的に拡張し、血液が滞ることで赤く見えている状態です。 これは、ニキビや湿疹のような「炎症」とは異なり、血管そのものの構造的な変化によるものです。 そのため、炎症を抑える成分が主体の市販薬では、拡張した血管を収縮させて元に戻すという根本的なアプローチができないのです。
市販薬は、安全性を最優先に作られており、医師の診断がなくても使用できる反面、効果が穏やかな成分しか配合できません。血管に直接作用するような強力な成分は、副作用のリスクも伴うため、医師の管理下で使われる処方薬としてのみ認められています。
つまり、毛細血管拡張症の根本治療には、レーザー治療など、物理的に血管に働きかける専門的なアプローチが必要となるのです。
医薬品と医薬部外品、化粧品の違い
ドラッグストアなどで製品を選ぶ際、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」といった表示の違いに戸惑ったことはありませんか?これらは薬機法(旧薬事法)によって明確に区別されており、期待できる効果も異なります。
以下の表に、それぞれの違いをまとめました。
分類 | 目的 | 効果・効能 | 具体例 |
---|---|---|---|
医薬品 | 病気の「治療」 | 有効成分の効果が認められている。具体的な病名や症状の改善を謳える。 | 風邪薬、鎮痛剤、処方される塗り薬など |
医薬部外品 | 「防止」「衛生」 | 厚生労働省が許可した有効成分が一定濃度配合されている。効果は穏やか。「肌荒れを防ぐ」「ニキビを防ぐ」など。 | 薬用化粧品、制汗剤、育毛剤など |
化粧品 | 「清潔」「美化」 | 肌を健やかに保つ、うるおいを与えるなど、より穏やかな作用。「肌を整える」「乾燥を防ぐ」など。 | 一般的なスキンケア製品、メイクアップ製品など |
この表からわかるように、毛細血管拡張症という「病気」を「治療」できるのは「医薬品」だけです。しかし、前述の通り、この症状に特化した市販の医薬品はありません。そのため、私たちが市販で手に取れるのは、赤ら顔の「ケア」を目的とした医薬部外品や化粧品ということになります。
ドラッグストアで相談する際の注意点
ドラッグストアの薬剤師や登録販売者に相談するのは良い方法ですが、いくつか注意点があります。まず、「毛細血管拡張症を治す薬が欲しい」と伝えても、適切な製品を提案してもらうのは難しいでしょう。なぜなら、治療薬は存在しないからです。
相談する際は、より具体的に「顔の赤みが気になるので、刺激が少なくて、炎症を抑えたり保湿したりできるスキンケア製品を探している」と伝えるのがおすすめです。そうすることで、あなたの肌の状態に合った医薬部外品や化粧品を提案してもらいやすくなります。
また、「ヘパリン類似物質」配合の製品には注意が必要です。 保湿効果が高いことで知られていますが、血行促進作用があるため、毛細血管拡張症の方が使うと、かえって赤みが悪化してしまう可能性があります。 自己判断で選ばず、専門知識のある人に相談することが大切です。
市販で買える!毛細血管拡張症の赤み対策におすすめの化粧品・医薬部外品

治療薬はないと聞いてがっかりしたかもしれませんが、諦めるのはまだ早いです。市販の製品でも、赤みの原因にアプローチし、肌を健やかに保つことで、赤みを目立たなくさせる助けになるものはあります。大切なのは、治療ではなく「ケア」という視点で製品を選ぶことです。
この章では、以下の点について解説します。
- 市販品を選ぶ際の3つのポイント
- 【成分別】おすすめの市販ケア商品
市販品を選ぶ際の3つのポイント
赤みが気になる敏感な肌には、どのような製品を選べば良いのでしょうか。ここでは、化粧品や医薬部外品を選ぶ上で特に重視したい3つのポイントをご紹介します。
ポイント1:炎症を抑える成分
毛細血管拡張症自体は非炎症性ですが、紫外線や摩擦などの外部刺激によって微弱な炎症が起こり、赤みを助長することがあります。 そのため、抗炎症作用のある成分が配合された製品を選ぶのがおすすめです。
代表的な成分としては、医薬部外品の有効成分である「グリチルリチン酸ジカリウム」や「トラネキサム酸」などが挙げられます。 これらは肌荒れを防ぎ、肌を穏やかに整える効果が期待できます。
ポイント2:バリア機能をサポートする保湿成分
肌のバリア機能が低下すると、外部からの刺激を受けやすくなり、赤みなどのトラブルにつながります。肌のうるおいを保ち、バリア機能をサポートする保湿成分は、赤みケアの基本中の基本です。
特に「セラミド」は、肌の細胞間脂質の主成分であり、水分を挟み込んで逃がさない性質を持つため、非常に高い保湿効果が期待できます。 その他、「ヒアルロン酸」や「コラーゲン」、「アミノ酸」なども有効です。
ポイント3:刺激の少ない低刺激処方
赤みが出やすい肌は非常にデリケートです。そのため、肌への負担となる可能性のある成分は、できるだけ避けるべきです。具体的には、以下の点に注意して製品を選びましょう。
- アルコール(エタノール)フリー
- 無香料・無着色
- パラベン(防腐剤)フリー
- パッチテスト済み、アレルギーテスト済みなどの記載があるもの
新しい製品を試す際は、まず腕の内側などで試してから顔に使うようにすると、より安心です。
【成分別】おすすめの市販ケア商品
上記のポイントを踏まえ、赤みケアに役立つとされる代表的な成分と、その成分を含む市販品の例をご紹介します。これらは医薬品ではないため「治る」効果はありませんが、日々のスキンケアに取り入れることで、肌の状態を健やかに保つ手助けとなります。
ビタミンK配合クリーム
ビタミンKは、血管に働きかけ、血行をサポートする作用があると言われています。 そのため、毛細血管の拡張によって滞った血流にアプローチし、赤みを目立たなくする効果が期待されています。 海外では、レーザー治療後の内出血や赤みをケアする目的で使われることもあります。日本では化粧品成分として配合されており、赤ら顔向けのクリームなどに見られます。
トラネキサム酸配合の化粧品
トラネキサム酸は、もともと医療用では止血剤や抗炎症剤として使われていた成分です。 化粧品においては、メラニンの生成を抑える美白有効成分として有名ですが、同時に肌荒れを防ぐ抗炎症作用も認められています。 炎症による赤みを抑え、肌を健やかな状態に導くことで、赤ら顔のケアにもつながります。 敏感肌向けの化粧水や美容液などに配合されていることが多い成分です。
グリチルリチン酸ジカリウム配合の医薬部外品
甘草(カンゾウ)という植物の根から抽出される成分で、非常に優れた抗炎症作用を持つことで知られています。 多くの肌荒れ防止用の医薬部外品に有効成分として配合されており、ニキビケア製品などでもおなじみです。刺激が少なく、敏感な肌の炎症を穏やかに鎮めてくれるため、赤みが気になる肌のデイリーケアに適しています。
ヘパリン類似物質配合の製品
高い保湿力と血行促進作用、抗炎症作用を持つ成分です。 乾燥による肌荒れには非常に有効ですが、前述の通り、血行促進作用が毛細血管拡張症の赤みを悪化させる可能性があるため、使用には注意が必要です。 乾燥がひどく、どうしても使いたい場合は、まず皮膚科医に相談することをおすすめします。
塗り薬以外のセルフケア!日常生活で悪化させないための5つの習慣

毛細血管拡張症の赤みをこれ以上悪化させないためには、日々の生活習慣を見直すことも非常に重要です。スキンケアと並行して、肌に負担をかける要因を一つずつ取り除いていきましょう。ここでは、今日から始められる5つのセルフケア習慣をご紹介します。
この章で取り上げる内容は以下の通りです。
- 紫外線対策を徹底する
- 刺激の強いスキンケアを避ける
- 急激な温度変化に注意する
- 香辛料やアルコールの摂取を控える
- ストレスを溜めない生活を心がける
紫外線対策を徹底する
紫外線は、肌のバリア機能を低下させ、炎症を引き起こすだけでなく、血管を拡張させる要因にもなります。 毛細血管拡張症の悪化を防ぐためには、季節や天候を問わず、一年中紫外線対策を行うことが不可欠です。
日焼け止めは、SPF30・PA+++程度の、肌に優しいノンケミカル処方(紫外線吸収剤不使用)のものがおすすめです。汗をかいたらこまめに塗り直すことを忘れないでください。また、帽子や日傘、サングラスなどを活用し、物理的に紫外線をブロックすることも効果的です。
刺激の強いスキンケアを避ける
毎日のスキンケアが、かえって肌にダメージを与えている可能性もあります。特に、ゴシゴシと強くこする洗顔やクレンジングは絶対にNGです。 摩擦は肌のバリア機能を壊し、赤みを悪化させる大きな原因となります。
洗顔料はよく泡立て、泡をクッションにして優しく洗いましょう。タオルで水分を拭き取るときも、押さえるように優しく。スクラブ入りの洗顔料や、ピーリング効果のある化粧品の使用も、肌への刺激が強いため避けた方が賢明です。
急激な温度変化に注意する
寒い屋外から暖かい室内へ入った時など、急激な温度差で顔が赤くなった経験はありませんか?これは、気温の変化に対応しようと血管が急激に拡張するために起こります。 このような血管の拡張と収縮の繰り返しは、毛細血管に負担をかけ、症状を悪化させる一因となります。
冬場はマフラーやマスクで顔を覆い、急な冷気に晒されるのを防ぎましょう。また、熱いお湯での洗顔や長時間の入浴も、血管を拡張させるため避けた方が無難です。洗顔やシャワーは、ぬるま湯(32〜34℃程度)で行うのが理想的です。
香辛料やアルコールの摂取を控える
唐辛子などの香辛料を多く含む食べ物や、アルコールを摂取すると、血行が促進されて体温が上がり、顔が赤くなりやすくなります。 これらは一時的な反応ですが、日常的に摂取していると、血管が拡張した状態が常態化し、毛細血管拡張症の症状を悪化させる可能性があります。
完全に断つのが難しくても、摂取する量や頻度を減らすだけでも、肌への影響は変わってきます。特に赤みが気になる日は、刺激物の摂取を控えるように心がけてみましょう。
ストレスを溜めない生活を心がける
意外に思われるかもしれませんが、ストレスも赤ら顔の悪化因子の一つです。 精神的な緊張やストレスは自律神経のバランスを乱し、血管の収縮・拡張のコントロールに影響を与えることがあります。
十分な睡眠をとる、趣味の時間を作る、適度な運動をするなど、自分なりのリラックス方法を見つけて、上手にストレスを発散させることが大切です。心と体の健康は、美しい肌を保つための土台となります。
それでも改善しない…根本治療を目指すなら皮膚科へ相談を

セルフケアや市販の化粧品を試しても、なかなか赤みが改善しない、あるいはもっと積極的に治したいと考えるなら、皮膚科や美容皮膚科の専門医に相談することが最も確実な道です。専門的な治療を受けることで、長年の悩みが解消される可能性も十分にあります。
この章では、皮膚科で行われる代表的な治療法について解説します。
- 皮膚科ではどんな治療をするの?
- 皮膚科で処方される可能性のある塗り薬
- 治療にかかる費用や期間の目安
皮膚科ではどんな治療をするの?
毛細血管拡張症の根本治療として、現在最も効果的とされているのがレーザー治療や光治療です。 これらの治療は、拡張してしまった毛細血管に直接働きかけ、赤みの原因を元から断つことを目的としています。
Vビーム(色素レーザー治療)
Vビームは、血液中のヘモグロビン(赤い色素)に選択的に吸収される波長のレーザーを照射する治療法です。 レーザーの熱エネルギーによって異常に拡張した毛細血管だけを破壊・凝固させることで、赤みを改善します。 毛細血管拡張症の治療では最も一般的な方法で、健康保険が適用される場合もあります。
IPL(光治療)
IPL(Intense Pulsed Light)は、レーザーとは異なる幅広い波長の光を照射する治療法です。フォトフェイシャルとも呼ばれます。赤みだけでなく、シミやそばかす、くすみ、小じわなど、複数の肌悩みに同時にアプローチできるのが特徴です。 Vビームに比べてダウンタイム(施術後の赤みや腫れ)が少ない傾向にありますが、効果はよりマイルドで、治療は自費診療となります。
ロングパルスYAGレーザー
Vビームよりも皮膚の深い層にまで届くレーザーです。 そのため、比較的太い血管や、皮膚の深い部分にある血管が原因の赤みに効果的とされています。 治療は自費診療となることがほとんどです。
皮膚科で処方される可能性のある塗り薬
前述の通り、毛細血管拡張症そのものに直接効く塗り薬はありません。 しかし、毛細血管拡張症と似た症状を示す「酒さ(しゅさ)」という病気の場合は、塗り薬が処方されることがあります。
酒さは、赤みに加えてニキビのようなブツブツ(丘疹・膿疱)を伴うことがある慢性的な炎症性疾患です。 この酒さの炎症を抑える目的で、以下のような塗り薬が使われることがあります。
- メトロニダゾール(ロゼックス®ゲル): 抗菌作用と抗炎症作用があり、酒さの標準的な治療薬として用いられます。
- アゼライン酸: 海外ではニキビや酒さの治療薬として広く使われている成分で、炎症を抑え、角化異常を正常化する作用があります。
- イベルメクチン: 抗寄生虫薬ですが、抗炎症作用も持ち合わせており、酒さの治療薬として承認されています。
これらの薬は、医師の診断のもとで処方される医療用医薬品であり、自己判断で使用することはできません。自分の赤みが毛細血管拡張症なのか、酒さなのかを正確に診断してもらうためにも、まずは専門医の診察を受けることが重要です。
治療にかかる費用や期間の目安
治療にかかる費用や期間は、症状の程度や治療法、保険適用の有無によって大きく異なります。
Vビーム治療で保険が適用される場合、3割負担で1回あたり約10,000円〜30,000円程度が目安となります。 ただし、保険適用には「3ヶ月に1回」という間隔の制約があります。 治療回数は症状によりますが、3〜5回以上が目安とされることが多いです。
IPLやロングパルスYAGレーザーなどの自費診療の場合、クリニックによって料金設定は様々ですが、1回あたり20,000円〜50,000円程度が相場です。こちらは1ヶ月程度の間隔で治療を進めることができ、5回前後を1クールとすることが一般的です。
正確な費用や治療計画については、カウンセリングの際に必ず確認するようにしましょう。
そもそも毛細血管拡張症とは?原因と症状を知ろう

ここまで対策や治療法についてお話してきましたが、そもそも「毛細血管拡張症」とはどのような状態なのでしょうか。敵を知ることで、より効果的な対策が見えてきます。ここでは、毛細血管拡張症の基本的な知識について解説します。
この章のポイントは以下の通りです。
- 毛細血管拡張症の主な症状
- 考えられる原因は?
毛細血管拡張症の主な症状
毛細血管拡張症の最も代表的な症状は、「赤ら顔」です。 皮膚の下にある毛細血管が透けて見えることで、顔、特に頬や鼻の周り、あごなどが常に赤く見えます。 炎症を伴わないため、通常はかゆみや痛みはありません。
赤みの見え方によって、いくつかのタイプに分類されます。
- 単純型: 1本の線状の血管が浮き出て見える。
- 樹枝状型: 木の枝のように血管が枝分かれして見える。
- クモ状血管腫: 中心点から放射状に細い血管が広がり、クモの足のように見える。
- 紅斑(こうはん)型: 血管一本一本ははっきり見えないものの、皮膚全体がびまん性に赤く見える。
これらの症状は、一度現れると自然に消えることはほとんどないのが特徴です。
考えられる原因は?
毛細血管拡張症が起こる原因は、まだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関わっていると考えられています。
- 遺伝・体質: 生まれつき皮膚が薄い方や色白の方は、血管が透けて見えやすいため、症状が出やすい傾向があります。
- 寒暖差: 急激な温度変化は、血管の拡張と収縮を繰り返し、血管に負担をかけます。
- 紫外線: 長年にわたって紫外線を浴び続けると、皮膚のコラーゲンが破壊され、血管を支える力が弱まり、血管が拡張しやすくなります。
- 女性ホルモン: 妊娠中や更年期など、女性ホルモンのバランスが変化する時期に症状が現れたり、悪化したりすることがあります。
- ステロイド外用薬の長期使用: ステロイド薬を長期間顔に使用すると、副作用として皮膚が薄くなり、血管が拡張することがあります。
- 生活習慣: アルコールや香辛料の過剰摂取も、血管を拡張させる要因となります。
- 皮膚疾患: 「酒さ」や「ニキビ跡の赤み」などが、毛細血管拡張症を伴うことがあります。
このように、原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
よくある質問

ここでは、毛細血管拡張症に関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式でお答えします。
毛細血管拡張症は自力で治せますか?
残念ながら、一度拡張してしまった毛細血管を自力で元に戻し、完全に治すことは非常に難しいです。 スキンケアや生活習慣の見直しは、あくまで症状の悪化を防いだり、赤みを目立たなくしたりするための「ケア」であり、「治療」ではありません。根本的な改善を望む場合は、レーザー治療など、皮膚科での専門的な治療が必要となります。
男性でも毛細血管拡張症になりますか?
はい、男性でも毛細血管拡張症になります。女性ホルモンの影響などから女性に多い傾向はありますが、紫外線ダメージや生活習慣、遺伝的要因などは男女共通です。特に、毎日の髭剃りによる物理的な刺激や、スキンケアをあまりしないことによる乾燥、紫外線対策の不足などが、男性の赤ら顔の原因となっているケースも少なくありません。
鼻の周りの赤みにも市販薬は使えますか?
鼻の周りの赤みも、原因が毛細血管拡張症である場合、治療効果のある市販薬はありません。 ただし、皮脂の分泌が多い場所であるため、ニキビや脂漏性皮膚炎など、他の皮膚トラブルを併発している可能性もあります。その場合は、炎症を抑える市販薬が有効なこともありますが、自己判断は禁物です。 まずは皮膚科で正確な診断を受けることを強くおすすめします。
レーザー治療は痛いですか?ダウンタイムはありますか?
痛みやダウンタイム(施術後の回復期間)の程度は、治療の種類や個人の感じ方によって異なります。一般的に、レーザー照射時には「輪ゴムで弾かれるようなパチッとした痛み」を感じることが多いです。 痛みが心配な場合は、麻酔クリームを使用できるクリニックもあります。
ダウンタイムについては、Vビーム治療の場合、施術後に赤みや腫れ、場合によっては内出血(紫色のあざ)が出ることがあります。 赤みや腫れは数日〜1週間程度、内出血は1〜2週間程度で自然に消えていきます。 IPL(光治療)はダウンタイムが比較的軽いとされています。 施術後はお化粧をして帰宅できる場合がほとんどです。
毛細血管拡張症と酒さの違いは何ですか?
毛細血管拡張症と酒さは、どちらも顔に赤みが出るため混同されやすいですが、異なる疾患です。
- 毛細血管拡張症: 主に血管の拡張による「赤み」が症状の中心です。通常、かゆみや痛み、ブツブツ(丘疹)はありません。
- 酒さ: 赤みに加えて、ニキビのような赤いブツブツや膿疱、ほてり感、ヒリヒリとした刺激感を伴うことが多い、慢性的な「炎症性」の疾患です。
酒さの症状の一部として毛細血管拡張が見られることもあり、診断が難しい場合もあります。 正確な診断と適切な治療のためには、専門医の診察が不可欠です。
まとめ

- 毛細血管拡張症を「治療」する市販の塗り薬はない。
- 市販品は治療ではなく「ケア」目的で選ぶことが重要。
- 市販品選びは「抗炎症」「保湿」「低刺激」が鍵。
- ビタミンKやトラネキサム酸配合の化粧品がケアにおすすめ。
- ヘパリン類似物質は赤みを悪化させる可能性があり注意。
- セルフケアでは紫外線対策と摩擦を避けることが最優先。
- 急激な温度差や刺激の強い食事、アルコールは避ける。
- ストレス管理と十分な睡眠も悪化防止につながる。
- 根本治療を目指すなら皮膚科でのレーザー治療が第一選択。
- Vビーム治療は保険適用になる場合がある。
- IPLやYAGレーザーは自費診療だが効果が期待できる。
- 酒さを併発している場合は処方薬での治療も行われる。
- 毛細血管拡張症は自然治癒が難しく、放置しても消えない。
- 赤みの原因を自己判断せず、まずは専門医に相談することが大切。
- 正しい知識を持ち、自分に合ったケアを見つけることが改善への近道。