庭の植物や家庭菜園の野菜に、小さな虫がびっしり…。よく見ると、横にピョンピョン跳ねるように動く。その虫の正体は、もしかしたら「ヨコバイ」かもしれません。ヨコバイは植物の汁を吸って弱らせるだけでなく、病気を媒介することもある厄介な害虫です。大切な植物を守るためにも、見つけたらすぐに対策したいですよね。本記事では、ヨコバイ駆除に効果的なスプレーを中心に、発生原因から予防策まで、プロの視点で徹底的に解説します。
今すぐヨコバイを駆除したい!目的別おすすめスプレー3選

「とにかく早く、手軽にヨコバイをなんとかしたい!」そんな方のために、まずは結論として目的別におすすめのスプレーを3つご紹介します。それぞれの特徴を比較して、ご自身の状況に合ったものを選んでみてください。
- 手軽さと速効性を求めるなら
- 食品成分由来で安心感を重視するなら
- 病気の予防も同時にしたいなら
手軽さと速効性を求めるなら「アース製薬 虫コロリアース(エアゾール)」
庭木や生け垣など、広範囲に発生したヨコバイを手早く駆除したい場合におすすめなのが「虫コロリアース(エアゾール)」です。 2WAYノズルで、高い場所や狭い隙間にも薬剤が届きやすいのが特徴。速効性に優れた成分が、ヨコバイを素早く退治します。また、約1ヶ月のまちぶせ効果も期待できるため、駆除後の再発予防にも繋がります。 ただし、化学殺虫成分を含んでいるため、使用場所や周囲の環境には注意が必要です。特に家庭菜園などで野菜や果物を育てている場合は、収穫時期などを考慮して使用してください。
食品成分由来で安心感を重視するなら「アース製薬 やさお酢」
お子様やペットがいるご家庭、あるいは無農薬で家庭菜園を楽しみたい方には、食品成分である「お酢」から作られた「やさお酢」がおすすめです。化学殺虫成分を使用していないため、収穫直前の野菜にも安心して使用できます。ヨコバイだけでなく、アブラムシやハダニ、うどんこ病の予防にも効果が期待できるのが嬉しいポイント。効果は化学殺虫剤に比べて穏やかですが、発生初期にこまめに散布することで、ヨコバイの増殖を抑えることができます。
病気の予防も同時にしたいなら「住友化学園芸 ベニカXファインスプレー」
ヨコバイの被害は、吸汁による直接的なダメージだけではありません。ウイルスを媒介し、植物を病気にしてしまう間接的な被害も深刻です。 「ベニカXファインスプレー」は、ヨコバイなどの害虫駆除と、うどんこ病や黒星病などの病気予防が同時にできる殺虫殺菌剤です。 バラや多くの庭木、野菜類にも使用できるため、ガーデニングや家庭菜園の強い味方になります。大切な植物を病害虫から守りたいと考えるなら、この一本を備えておくと安心です。
そもそもヨコバイってどんな虫?生態と被害を知ろう

効果的な対策を行うためには、まず敵を知ることが重要です。ここでは、ヨコバイの正体と、放置しておくとどのような被害が発生するのかを詳しく解説します。
- ヨコバイの正体は「小さなセミ」
- 放置は危険!ヨコバイが引き起こす2つの被害
- ヨコバイは人を刺す?
ヨコバイの正体は「小さなセミ」
ヨコバイは、カメムシ目ヨコバイ科に属する昆虫の総称です。 その姿はセミを極端に小さくしたようで、体長は数ミリから1センチ程度のものがほとんど。 名前の由来は、危険を察知した際に横に這うように移動する特徴的な動きから来ています。 種類は非常に多く、日本だけでも数百種類以上が生息していると言われています。 緑色や褐色など地味な色のものが多いですが、中にはツマグロオオヨコバイのように鮮やかな色彩を持つものもいます。 幼虫も成虫も植物の汁を吸って生活し、春から秋にかけて活動が活発になります。
放置は危険!ヨコバイが引き起こす2つの被害
ヨコバイは小さい虫ですが、植物に与えるダメージは決して小さくありません。主な被害は以下の2つです。
植物の栄養を吸い取る吸汁被害
ヨコバイは、成虫・幼虫ともに植物の葉や茎に針のような口を刺し込み、汁を吸います。 吸われた部分は葉緑素が抜けて白い斑点状になり、カスリ状に見えるのが特徴です。 被害が進行すると、葉が縮れたり、黄色く変色して枯れてしまったりすることもあります。 大量に発生すると、植物全体の生育が著しく悪くなり、最悪の場合、枯死に至ることも。
病気を媒介するウイルス被害
ヨコバイの被害で最も厄介なのが、植物の病気を媒介することです。 ヨコバイが吸汁する際に、ウイルスやマイコプラズマといった病原体を植物に感染させることがあります。 例えば、イネでは「イネ萎縮病」という深刻な病気を引き起こし、収穫量に大きな打撃を与えます。 一度病気に感染すると治療は困難なため、病気を媒介するヨコバイを発生させないことが何よりも重要になります。
ヨコバイは人を刺す?
基本的にヨコバイは植物の汁を吸う昆虫であり、人を積極的に刺すことはありません。 しかし、夜間に照明に集まってきたヨコバイが、誤って人の肌にとまり、植物と間違えて口吻を刺してしまうケースが稀に報告されています。 刺されるとチクッとした痛みを感じ、体質によってはアレルギー反応を起こして痒みや腫れが生じることもあります。 大量発生している場所では、注意した方が良いでしょう。
なぜ発生する?ヨコバイが大量発生する原因

「うちの庭だけ、なぜかヨコバイがたくさんいる…」そう感じていませんか?ヨコバイが大量発生するには、いくつかの原因が考えられます。原因を知ることで、効果的な予防に繋げることができます。
- 風通しの悪い環境
- 天敵の不在
- 光に集まる習性
風通しの悪い環境
ヨコバイは、湿度が高く、風通しの悪い場所を好みます。 植物が密集して生い茂っている場所や、剪定されずに枝葉が混み合っている場所は、ヨコバイにとって絶好の隠れ家であり、繁殖場所となります。 特に葉の裏側に潜んでいることが多いため、気づいたときには大量に増えていた、というケースも少なくありません。定期的な剪定や、株間の風通しを良くすることが、発生を抑制する上で非常に重要です。
天敵の不在
自然界には、ヨコバイを捕食する天敵がたくさん存在します。例えば、クモ、カマキリ、テントウムシ、カエル、トカゲなどがヨコバイを食べてくれます。 また、ヨコバイの卵に寄生する「寄生蜂」も有力な天敵です。 しかし、庭で殺虫剤を多用しすぎると、これらの天敵まで一緒に駆除してしまいます。 天敵がいなくなると、ヨコバイは天敵を恐れることなく繁殖を続け、結果として大量発生に繋がってしまうのです。
光に集まる習性
ヨコバイは、夜間に光に集まる習性(走光性)を持っています。 そのため、夜間に玄関灯や室内の明かりが漏れていると、それに誘われて家の周りに集まってきます。 そして、窓やドアの開閉時や、網戸の隙間から室内に侵入してくることがあります。 洗濯物についていることに気づかず、そのまま取り込んでしまうケースも多いようです。
【市販品】ヨコバイ駆除スプレーの選び方とおすすめ商品

ドラッグストアやホームセンターには、様々な種類の殺虫スプレーが並んでいます。どれを選べば良いか迷ってしまう方のために、ヨコバイ駆除スプレーを選ぶ際のポイントと、具体的なおすすめ商品をいくつかご紹介します。
- スプレー選びで失敗しない3つのポイント
- 【シーン別】おすすめ殺虫スプレー5選
- 農家・家庭菜園向け|農薬登録のある駆除剤
スプレー選びで失敗しない3つのポイント
数ある商品の中から最適な一本を選ぶためには、以下の3つのポイントをチェックしましょう。
使用場所で選ぶ(屋外用・屋内用・植物用)
まず大切なのは、どこでスプレーを使いたいかです。庭木や外壁などの屋外で使うのか、室内に入ってきたヨコバイを退治したいのか、あるいは家庭菜園の植物に直接散布したいのかによって、選ぶべき商品は異なります。植物に使用する場合は、農薬取締法に基づいて登録された「農薬」表記のあるものを選びましょう。用途外の製品を使用すると、植物が枯れてしまう原因になるため注意が必要です。
成分で選ぶ(化学殺虫成分・天然由来成分)
スプレーの有効成分も重要な選択基準です。「ピレスロイド系」などの化学殺虫成分は、速効性があり高い殺虫効果が期待できます。 一方で、お子様やペットへの影響が気になる方や、オーガニックな栽培を目指す方は、お酢やハーブなどの天然由来成分や食品由来成分を使用した製品を選ぶと安心です。
効果で選ぶ(速効性・持続性)
目の前のヨコバイをすぐに退治したい場合は「速効性」の高いスプレーを、駆除後の再発を防ぎたい場合は「持続性(忌避効果・まちぶせ効果)」のあるスプレーを選びましょう。商品によっては、速効性と持続性の両方を兼ね備えたものもあります。 製品パッケージに記載されている効果や持続期間を確認し、目的に合ったものを選んでください。
【シーン別】おすすめ殺虫スプレー5選
ここでは、具体的な商品をいくつかピックアップしてご紹介します。
- アース製薬「虫こないアース 玄関灯・外壁に」: 玄関灯や外壁にスプレーしておくだけで、光に集まるヨコバイを寄せ付けにくくします。持続効果は約2ヶ月。
- フマキラー「虫よけバリア アミ戸窓ガラススプレー」: 網戸や窓ガラスにスプレーすることで、ヨコバイなどの害虫の室内への侵入を防ぎます。
- KINCHO「虫コナーズ スプレータイプ ガラス用」: 速乾性でガラスが曇りにくく、窓からの侵入を防ぐのに適しています。
- 住友化学園芸「不快害虫スプレー」: 植物にやさしい水性タイプで、ヨコバイだけでなく様々な不快害虫に効果があります。
- アース製薬「アースガーデン ロハピ」: 食品原料99.9%でできた殺虫殺菌剤。収穫前日まで何度でも使え、家庭菜園に最適です。
農家・家庭菜園向け|農薬登録のある駆除剤
より本格的に農業を営んでいる方や、家庭菜園で特定の作物に発生したヨコバイを確実に駆除したい場合は、その作物に登録のある農薬を使用する必要があります。
代表的な薬剤としては、ネオニコチノイド系の「ダントツ水溶剤」や「スタークル顆粒水溶剤」、有機リン系の「スミチオン乳剤」などがあります。 これらは浸透移行性があり、薬剤が植物全体に行き渡るため、葉の裏に隠れたヨコバイにも効果を発揮します。 ただし、使用できる作物、希釈倍率、使用時期、使用回数などが厳密に定められています。 使用前には必ず製品ラベルをよく読み、使用基準を遵守してください。
農薬は使いたくない!安全なヨコバイ駆除&予防法

「化学農薬はできるだけ使いたくない」と考える方も多いでしょう。ここでは、身近なものを使ってできる、環境にも人にも優しいヨコバイ対策をご紹介します。
- 【DIY】身近なもので作れる自作駆除スプレー
- 天敵を味方につける生物的防除
- 物理的に駆除する方法
【DIY】身近なもので作れる自作駆除スプレー
ご家庭にあるもので、簡単に害虫対策用のスプレーを作ることができます。化学薬品を使わないので、安心して試せます。
牛乳スプレー
牛乳を水で薄めてスプレーすると、乾燥する際に膜ができてアブラムシやヨコバイの幼虫などを窒息させる効果が期待できます。 ただし、散布後に洗い流さないと臭いやカビの原因になるため注意が必要です。
お酢・木酢液スプレー
お酢や木酢液を水で20~50倍程度に薄めて散布します。 酢の酸っぱい臭いを嫌って虫が寄り付きにくくなる忌避効果が期待できます。植物の病気予防にもなると言われています。
ニンニク・唐辛子スプレー
ニンニクや唐辛子を潰したり刻んだりして水やお酢に漬け込み、その抽出液をスプレーする方法です。 ニンニクの「アリシン」や唐辛子の「カプサイシン」といった成分が、害虫を遠ざける効果を発揮します。
天敵を味方につける生物的防除
ヨコバイの天敵となる生き物が住みやすい環境を整えることも、有効な対策の一つです。 殺虫剤の使用を控えることで、クモやカマキリ、テントウムシなどが自然と集まってきます。 これらの益虫は、ヨコバイだけでなく他の害虫も捕食してくれるため、庭の生態系のバランスを保つ上で重要な役割を果たします。多様な植物を植えて、天敵の隠れ家や餌場を提供してあげるのも良い方法です。
物理的に駆除する方法
発生数が少ない初期段階であれば、物理的な駆除も有効です。
一つは、見つけ次第、粘着テープなどに貼り付けて捕殺する方法。地道ですが確実です。もう一つは、ホースの水流で洗い流す方法です。 特に葉の裏に潜んでいるヨコバイに効果的ですが、水圧が強すぎると植物を傷めてしまうので注意しましょう。また、黄色い粘着シートを設置しておくと、ヨコバイが誘引されて捕獲することができます。
もうヨコバイに悩まない!今日からできる予防策

ヨコバイは、一度発生すると完全に駆除するのが難しい害虫です。そのため、駆除と同時に「寄せ付けない」ための予防策を講じることが非常に重要になります。
- 侵入経路を断つ(網戸の管理、隙間を塞ぐ)
- 光で寄せ付けない工夫(遮光カーテン、LED照明)
- 発生しにくい環境づくり(剪定、除草)
侵入経路を断つ(網戸の管理、隙間を塞ぐ)
室内への侵入を防ぐには、まず物理的な障壁を強化することが基本です。網戸に破れや隙間がないか定期的にチェックし、必要であれば補修しましょう。 窓やドアのサッシの隙間も、ヨコバイのような小さな虫にとっては十分な侵入経路になります。隙間テープなどを活用して、徹底的に塞ぐことをおすすめします。
光で寄せ付けない工夫(遮光カーテン、LED照明)
ヨコバイは光に集まる習性があるため、光を外に漏らさない工夫が効果的です。 夜間は遮光カーテンをしっかりと閉めるだけでも、かなりの効果が期待できます。また、屋外の照明を、虫が寄りにくいとされるLED照明に交換するのも有効な対策の一つです。虫は紫外線に集まる傾向があるため、紫外線を発しにくいLED照明は、ヨコバイだけでなく他の飛来害虫対策にも繋がります。
発生しにくい環境づくり(剪定、除草)
ヨコバイの発生源となる庭の環境を見直すことが、最も根本的な予防策です。植物の枝葉が密集している場所は、定期的に剪定して風通しと日当たりを良くしましょう。 これにより、ヨコバイが好むジメジメした環境を改善できます。また、庭の雑草もヨコバイの発生源や隠れ家になることがあります。 こまめに除草を行い、ヨコバイが住みにくい、清潔な環境を保つことを心がけてください。
ヨコバイ駆除に関するよくある質問(Q&A)

ヨコバイが大量発生しやすい時期はいつですか?
ヨコバイは春から秋(4月~10月頃)にかけて長期間活動しますが、特に活動が活発になり大量発生しやすいのは、気温が20度から30度程度になる梅雨明けから初秋(7月~9月頃)です。 この時期は、こまめに植物の状態をチェックし、早期発見・早期駆除を心がけることが大切です。
室内に入ってきたヨコバイはどうすればいいですか?
室内に入ってきたヨコバイは、ティッシュなどで捕まえるか、掃除機で吸い取ってしまうのが手軽です。殺虫スプレーを使いたい場合は、「屋内用」や「ゴキブリ・ダニ用」など、室内での使用が許可されている製品を選び、使用上の注意をよく読んでから使ってください。植物由来成分のスプレーなども、室内で使いやすいでしょう。
スプレーを使うときの注意点はありますか?
殺虫スプレーを使用する際は、いくつかの注意点があります。まず、風上から風下に向かって噴射し、薬剤を吸い込んだり、目に入ったりしないように注意してください。ペットや子供がいる場所では使用を避け、食器や洗濯物にかからないようにしましょう。植物に直接使用する場合は、炎天下や日中の高温時を避け、朝夕の涼しい時間帯に散布するのが基本です。薬害を防ぐため、初めて使う薬剤は、まず一部の葉で試してから全体に散布すると安心です。
ヨコバイとウンカの違いは何ですか?
ヨコバイとウンカは、どちらもカメムシ目に属する近縁の昆虫で、見た目も似ており、植物の汁を吸う農業害虫である点も共通しています。 一般的に、ヨコバイはセミに似た形で横に移動するのに対し、ウンカはより体が小さく、垂直に移動する傾向があります。正確な同定は専門家でないと難しい場合が多いですが、駆除方法や対策については共通する部分が多くあります。
まとめ

- ヨコバイは植物の汁を吸い、病気を媒介する害虫です。
- 駆除には目的別のスプレー選びが重要です。
- 手軽さなら「虫コロリアース」などの化学殺虫剤が有効です。
- 安全性重視なら「やさお酢」など食品成分由来のものがおすすめです。
- 病気も予防したいなら「ベニカXファインスプレー」が便利です。
- ヨコバイは風通しの悪い場所や光を好んで発生します。
- 発生原因は、風通しの悪さ、天敵の不在、光への誘引です。
- スプレー選びは使用場所、成分、効果で判断します。
- 農薬を使わない駆除法として自作スプレーがあります。
- 牛乳やお酢、ニンニクなどで自作スプレーが作れます。
- 天敵のクモやカマキリを保護することも有効な対策です。
- 予防策として侵入経路を断つことが基本です。
- 網戸の管理や隙間を塞ぐことが重要になります。
- 夜間の光漏れを防ぎ、LED照明への交換も効果的です。
- 剪定や除草で、ヨコバイが住みにくい環境を作ることが大切です。