「あれ?掛け時計の秒針が動いていない…」ふとした瞬間に気づく時計の異変。毎日何気なく目にしている掛け時計だからこそ、動かなくなると時間が分からず困ってしまいますよね。特に秒針だけが動かないという症状は、原因が分からず戸惑う方も多いのではないでしょうか。本記事では、掛け時計の秒針が動かない主な原因と、ご自身で試せる直し方、そして専門業者に依頼する際のポイントまで詳しく解説します。大切な掛け時計を再び元気に動かすためのお手伝いができれば幸いです。
掛け時計の秒針が動かない!考えられる主な原因

掛け時計の秒針がピタッと止まってしまう…。そんな時、まず考えられる原因をいくつかご紹介します。原因を特定することが、適切な対処への第一歩です。慌てずに、一つひとつ確認していきましょう。
この章では、以下の項目について解説します。
- 電池切れ・電池の接触不良
- 針の接触や変形
- ムーブメントの故障
- 電波時計の受信不良
- その他の原因(ホコリ、磁気帯びなど)
電池切れ・電池の接触不良
掛け時計の秒針が動かない原因として、最も一般的で最初に疑うべきは電池の問題です。単純な電池切れはもちろんのこと、電池が正しくセットされていない、あるいは電池の接触部分が汚れていて通電が悪くなっている可能性も考えられます。
新しい電池に交換したばかりなのに動かないという場合でも、「未使用の電池」が実は放電してしまっているケースも稀にあります。 また、電池の種類(マンガン電池かアルカリ電池か)が時計に適していない場合も、正常に動作しないことがあります。 電池ホルダー部分に液漏れの跡がないかも確認してみましょう。液漏れは時計本体の故障に繋がる可能性もあります。
まずは電池を新しいものに交換し、それでも動かない場合は電池を入れる向きが正しいか、接触部分に汚れやサビがないかを確認してみてください。接触部分が汚れている場合は、乾いた布や綿棒などで優しく拭き取ることで改善することがあります。
針の接触や変形
次に考えられるのは、時計の針自体に問題があるケースです。秒針、長針、短針のいずれかが曲がってしまったり、歪んでしまったりして、他の針や文字盤、カバーガラスに接触していると、針の動きが妨げられて秒針が止まってしまうことがあります。
特にガラスカバーがないタイプの掛け時計は、何かの拍子に針に触れてしまいやすく、変形しやすい傾向にあります。 針が互いに接触していないか、横から見て針が平行になっているかなどを確認してみましょう。 もし針が曲がっているようであれば、慎重に元の位置に戻すことで解決する場合があります。ただし、針は非常にデリケートな部品なので、力を加えすぎると折れてしまう可能性もあるため、作業は慎重に行ってください。
また、秒針を固定している中央の部品が緩んでいたり、逆に深く押し込まれすぎて長針と接触したりしている場合も、秒針がスムーズに動かなくなる原因となります。
ムーブメントの故障
電池を交換しても、針の接触を確認しても秒針が動かない場合は、時計の心臓部である「ムーブメント」が故障している可能性が考えられます。ムーブメントは時計の針を動かすための機械部分で、長年の使用による経年劣化や、ホコリの侵入、内部部品の摩耗などが原因で故障することがあります。
ムーブメントの故障が疑われる場合、残念ながら自分で修理するのは難しいことが多いです。 ムーブメント自体を交換するという方法もありますが、時計の構造や部品に関する知識が必要になります。 自分で分解してしまうと、さらに状態を悪化させてしまう可能性もあるため、無理せず専門業者に相談することをおすすめします。
特に、時計から異音がする、以前と比べて明らかに動きが重そう、といった症状が見られる場合は、ムーブメント内部に問題が発生している可能性が高いと言えるでしょう。
電波時計の受信不良
お使いの掛け時計が電波時計の場合、秒針が動かないのは電波の受信状況が影響している可能性があります。電波時計は、標準電波を受信して自動的に時刻を修正する仕組みですが、受信環境が悪いと正常に時刻を表示できなくなることがあります。
例えば、鉄筋コンクリートの建物の中や、家電製品の近く、金属製の家具の近くなど、電波を受信しにくい場所に時計を置いていると、受信に失敗しやすくなります。 また、電池の残量が少なくなっている場合も、電波の受信感度が低下し、時刻が狂ったり秒針が止まったりする原因になることがあります。
電波時計の秒針が動かない場合は、まず時計を窓際など電波を受信しやすい場所に移動させてみましょう。 そして、取扱説明書に従って強制受信やリセット操作を試してみてください。 それでも改善しない場合は、電池を新しいものに交換してみるのも有効な手段です。
その他の原因(ホコリ、磁気帯びなど)
上記以外にも、掛け時計の秒針が動かなくなる原因はいくつか考えられます。例えば、時計内部にホコリが溜まっていると、歯車の動きが悪くなり、秒針の動きを妨げることがあります。 定期的な掃除が難しい掛け時計ですが、長年使用している場合はホコリの蓄積も考慮に入れる必要があります。
また、意外と見落としがちなのが「磁気帯び」です。 掛け時計のムーブメントは金属部品でできているため、スマートフォンやパソコン、スピーカー、マグネット式の家具など、強い磁気を発する製品の近くに置いていると、ムーブメントが磁化してしまい、時計の精度が狂ったり、針が止まったりすることがあります。クォーツ時計の場合、磁気帯びすると主に遅れる傾向があると言われています。
磁気帯びが疑われる場合は、時計を磁気製品から離れた場所に移動させて様子を見るか、専門業者に磁気抜きを依頼する必要があります。 ご家庭でコンパスを使って簡易的に磁気帯びをチェックする方法もあります。
自分でできる!掛け時計の秒針トラブル対処法

掛け時計の秒針が動かなくなってしまっても、すぐに諦める必要はありません。専門業者に修理を依頼する前に、ご自身で試せる対処法がいくつかあります。簡単なチェックと作業で、愛用の掛け時計が再び時を刻み始めるかもしれません。ここでは、具体的な対処法をステップごとにご紹介します。
この章では、以下の項目について解説します。
- まずは基本!電池の確認と交換
- 針の接触や歪みをチェック・調整する
- 電波時計の場合はリセットを試す
- 時計内部の簡単な清掃
まずは基本!電池の確認と交換
掛け時計の秒針が動かない場合、最初に確認すべきはやはり電池です。これは最も基本的なチェックポイントであり、多くの場合、電池交換で問題が解決します。
以下の手順で確認・交換を行いましょう。
- 電池の種類を確認する: 時計の取扱説明書や電池ボックス周辺の表示を確認し、指定された種類の電池(マンガン電池またはアルカリ電池)を使用しているか確認します。 間違った種類の電池を使用すると、時計が正常に動作しないだけでなく、故障の原因になることもあります。
- 電池の向きを確認する: 電池のプラス(+)とマイナス(-)の向きが正しいか確認します。意外と間違えやすいポイントです。
- 新しい電池に交換する: 古い電池を取り出し、新しい電池に交換します。この際、「未使用」であっても長期間保管していた電池は放電している可能性があるので、なるべく新しい電池を使用しましょう。 また、電池交換の際は、全ての電池を同時に新しいものに交換することが推奨されます。
- 電池ボックスの接触部分を確認する: 電池ボックスの金属端子部分に汚れやサビ、液漏れの跡がないか確認します。 もし汚れている場合は、乾いた布や綿棒などで優しく拭き取ってください。サビがひどい場合は、専門業者への相談も検討しましょう。
電池交換後、しばらく様子を見ても秒針が動かない場合は、他の原因を探る必要があります。
針の接触や歪みをチェック・調整する
電池に問題がない場合、次に針の状態を確認しましょう。針が曲がっていたり、他の針や文字盤、風防(ガラスやプラスチックのカバー)に接触していたりすると、秒針の動きが妨げられてしまいます。 特に、風防のないタイプの掛け時計は、何かの拍子に針に触れてしまいやすいので注意が必要です。
以下の手順で確認・調整を行います。
- 時計を壁から外す: 安全な場所で作業するために、まず時計を壁から外します。
- 針の状態を目視で確認する:
- 針の曲がりや歪み: 秒針、長針、短針がまっすぐか、曲がったり歪んだりしていないか、様々な角度から確認します。
- 針同士の接触: 針が重なり合う部分で、互いに接触していないか確認します。特に、秒針が長針や短針の上を通過する際に引っかかっていないか注意深く見ましょう。
- 文字盤や風防との接触: 針の先端や側面が、文字盤や風防に触れていないか確認します。
- 針の調整(慎重に!):
もし針に曲がりや接触が見られる場合は、指やピンセットなどを使って非常に慎重に調整します。針は薄くデリケートなため、力を入れすぎると簡単に折れたり、さらに状態を悪化させたりする可能性があります。
秒針が他の針と接触している場合は、秒針の取り付け部分(中央の軸)を軽く押し込んだり、逆に少し引き上げたりすることで改善することがあります。 ただし、この作業も慎重に行い、無理な力を加えないようにしてください。
針の調整は、あくまで自己責任において、細心の注意を払って行ってください。自信がない場合や、調整しても改善しない場合は、無理せず専門業者に依頼しましょう。
電波時計の場合はリセットを試す
お使いの掛け時計が電波時計の場合、秒針が動かない原因が電波の受信状況にある可能性があります。 このような場合は、時計のリセット操作を試すことで改善することがあります。
リセット方法は機種によって異なりますが、一般的には以下の手順で行います。
- 取扱説明書を確認する: まず、お使いの電波時計の取扱説明書で、リセットボタンの位置と操作方法を確認します。リセットボタンは、時計の裏側や電池ボックスの近くにあることが多いです。
- リセットボタンを押す: 取扱説明書に従い、リセットボタンを指定された時間押し続けます。多くの場合、リセットボタンを押すと、針が一時的に特定の時間(例えば12時0分0秒)を指して停止し、その後、電波の受信を開始します。
- 電波を受信しやすい場所に置く: リセット操作後、時計を窓際など、できるだけ電波を受信しやすい場所に置きます。 テレビやパソコン、大きな金属製の家具の近くは避けましょう。
- しばらく待つ: 電波の受信には時間がかかる場合があります。取扱説明書に記載されている受信時間(通常は数分から数十分程度)を目安に、時計が自動的に時刻を合わせるのを待ちます。 受信中は時計のボタン操作をしないようにしましょう。
リセット操作を行っても秒針が動かない、または時刻が合わない場合は、電池が消耗している可能性も考えられます。新しい電池に交換してから再度リセットを試してみてください。それでも改善しない場合は、ムーブメントの故障など他の原因が考えられるため、専門業者への相談を検討しましょう。
時計内部の簡単な清掃
長年使用している掛け時計の場合、内部にホコリが蓄積し、歯車の動きを妨げている可能性があります。 もし時計のカバーを安全に取り外せる構造であれば、簡単な清掃を試みることも一つの手です。
ただし、この作業は時計の構造をある程度理解している方向けであり、無理な分解は故障を悪化させる危険性があるため、慎重に行ってください。自信がない場合は、このステップは飛ばして専門業者に相談することをおすすめします。
清掃を行う場合は、以下の点に注意してください。
- 安全な場所で作業する: 細かい部品をなくさないよう、広く明るい場所で作業しましょう。
- カバーを慎重に外す: 時計のカバーがネジ止めされている場合は、適切なドライバーを使って慎重に外します。爪で固定されているタイプの場合は、無理にこじ開けないように注意してください。
- ホコリの除去: ムーブメント周辺や歯車部分に見えるホコリを、エアダスターや柔らかいブラシを使って優しく取り除きます。この際、直接息を吹きかけるのは避けましょう。唾液が飛んでサビの原因になることがあります。また、掃除機で吸い取る場合は、吸引力を弱めに設定し、部品を吸い込まないように注意が必要です。
- 無理な分解はしない: ムーブメント自体を分解するようなことは避けましょう。専門的な知識と工具が必要です。
- 元通りに組み立てる: 清掃が終わったら、カバーを元通りに取り付けます。
簡単な清掃で改善することもありますが、根本的な解決にならない場合や、清掃後に症状が悪化するようであれば、速やかに専門業者に相談してください。
それでも動かない…専門業者への修理依頼

自分でできる対処法を試しても、残念ながら掛け時計の秒針が動かない…。そんな時は、無理せず専門の修理業者に依頼することを検討しましょう。大切な時計を長く使い続けるためには、プロの技術が必要な場合もあります。ここでは、修理を依頼するタイミングや業者の選び方、費用の目安などについて解説します。
この章では、以下の項目について解説します。
- 修理を依頼するタイミングの見極め
- 修理業者の選び方と注意点
- 修理費用の目安
- アンティーク時計や特殊な時計の場合
修理を依頼するタイミングの見極め
自分でできる対処法を一通り試しても掛け時計の秒針が動かない場合、それは専門業者による修理が必要なサインかもしれません。特に以下のような状況では、早めにプロに相談することをおすすめします。
- 電池交換や針の調整をしても全く動かない: これはムーブメントの故障など、内部的な問題が深刻である可能性が高いです。
- 時計から異音がする、または以前と比べて針の動きが明らかに重い: 内部の歯車や部品に問題が生じている可能性があります。
- 時計内部にサビや液漏れの跡が広範囲に見られる: 部品の腐食が進んでいる場合、専門的なクリーニングや部品交換が必要です。
- 落下させたり強い衝撃を与えたりした後から動かなくなった: 内部の部品が破損したり、位置がずれたりしている可能性があります。
- 自分で分解しようとして、元に戻せなくなったり、さらに状態を悪化させたりした場合: 無理な作業は禁物です。正直に状況を伝えて専門家に見てもらいましょう。
- 大切な時計、思い出の品で、どうしても直したい場合: 自分で修理を試みて壊してしまうリスクを避けるためにも、最初から専門業者に依頼するのが賢明です。
「もしかしたら壊れたかも?」と感じたら、まずは時計の状態をよく観察し、上記の項目に当てはまる場合は、無理に自分で何とかしようとせず、専門家の判断を仰ぐことが大切です。
修理業者の選び方と注意点
掛け時計の修理を依頼する業者を選ぶ際には、いくつかのポイントと注意点があります。大切な時計を安心して任せられる業者を見つけるために、以下の点を参考にしてください。
- 実績と評判の確認:
- 長年の修理実績があるか、時計修理を専門に扱っているかを確認しましょう。
- インターネットの口コミや評判、知人からの紹介なども参考にすると良いでしょう。
- 見積もりの明確さ:
- 修理を依頼する前に、必ず見積もりを取ってもらいましょう。
- 見積もり内容が明確で、修理箇所や交換部品、作業内容、料金の内訳などがきちんと説明されているか確認します。
- 追加料金が発生する可能性についても事前に確認しておくと安心です。
- 修理技術と対応範囲:
- お持ちの時計の種類(クォーツ式、機械式、電波時計、アンティーク時計など)に対応しているか確認しましょう。
- 特にアンティーク時計や特殊な機構を持つ時計の場合は、専門的な知識と技術を持つ業者を選ぶ必要があります。
- 保証の有無:
- 修理後の保証期間や保証内容を確認しましょう。 万が一、修理後に再度不具合が発生した場合に対応してもらえるかどうかも重要なポイントです。
- 納期:
- 修理にかかるおおよその期間を確認しましょう。 部品の取り寄せが必要な場合などは、修理期間が長くなることもあります。
- コミュニケーション:
- 時計の状態や修理内容について、丁寧に説明してくれるか、こちらの質問にきちんと答えてくれるかなど、コミュニケーションの取りやすさも大切です。
修理料金の安さだけで選ぶのではなく、技術力や信頼性、アフターサービスなどを総合的に比較検討することが、後悔しない業者選びのコツです。複数の業者に見積もりを依頼して比較するのも良いでしょう。
修理費用の目安
掛け時計の修理費用は、故障の原因や時計の種類、修理内容によって大きく異なります。あくまで一般的な目安として、いくつかのケースにおける修理費用の相場をご紹介します。
- 電池交換: 数百円から1,500円程度。特殊な電池や防水検査が必要な場合はもう少し高くなることがあります。
- 針の調整・取り付け: 1,000円から5,000円程度。分解が必要な場合は高くなる傾向があります。
- クォーツムーブメントの交換: 5,000円から15,000円程度。 時計のブランドやムーブメントの種類、作業の難易度によって変動します。電波時計のムーブメント交換は、通常のクォーツムーブメントよりも高くなる場合があります。
- 機械式時計のオーバーホール(分解掃除): 9,000円から数万円以上。 時計の機構の複雑さやブランド、部品交換の有無によって大きく変わります。アンティーク時計の場合はさらに高額になることもあります。
- からくり時計や特殊な機能を持つ時計の修理: 15,000円以上。 構造が複雑なため、修理費用も高くなる傾向があります。メーカー修理になることが多いです。
- 磁気抜き: 1,000円から3,000円程度。
上記はあくまで目安であり、実際の修理費用は時計の状態を診断してもらってから確定します。修理を依頼する際には、必ず事前に見積もりを取り、内容と金額に納得した上で依頼するようにしましょう。 また、修理費用が時計の購入価格を上回る場合もあるため、修理するか買い替えるかも含めて検討する必要があるかもしれません。
アンティーク時計や特殊な時計の場合
アンティークの掛け時計や、からくり機能が付いているなど特殊な機構を持つ掛け時計の秒針が動かなくなった場合、修理にはより専門的な知識と技術が求められます。一般的な時計店では対応が難しいケースも少なくありません。
アンティーク時計の場合:
- 部品の入手が困難: 製造から長い年月が経過しているため、オリジナルの交換部品を見つけるのが非常に難しいことがあります。部品を特注で製作する必要がある場合、修理費用が高額になったり、修理期間が長くなったりします。
- 専門の修理技術者が必要: アンティーク時計の構造や修理方法に精通した専門の技術者でなければ、適切な修理が難しい場合があります。
- 修理を受け付けてくれる業者が限られる: 全ての時計修理店がアンティーク時計の修理に対応しているわけではありません。アンティーク時計の修理実績が豊富な専門店を探す必要があります。
特殊な時計(からくり時計、鳩時計など)の場合:
- 複雑な機構: 時刻表示だけでなく、音が出たり人形が動いたりする複雑な機構を持っているため、修理には高度な技術が必要です。
- メーカー修理が基本: 製造メーカーが修理を受け付けている場合は、メーカーに依頼するのが最も確実な方法です。 ただし、古いモデルの場合は部品がなく修理できないこともあります。
- 専門の修理業者: メーカーでの修理が難しい場合でも、からくり時計や鳩時計などの修理を専門に行っている業者であれば対応可能な場合があります。
アンティーク時計や特殊な時計の修理を依頼する際は、その時計の価値や状態を正確に伝え、修理内容や費用、納期について十分に相談することが重要です。場合によっては、修理費用が時計の価値を上回ることもありますので、修理の可否や範囲についても慎重に検討しましょう。
掛け時計を長持ちさせるために!日頃のメンテナンスと注意点

大切な掛け時計をできるだけ長く、正確に使い続けるためには、日頃のちょっとした心がけが大切です。特別なことをする必要はありませんが、いくつかのポイントを押さえておくことで、故障のリスクを減らし、時計の寿命を延ばすことにつながります。ここでは、掛け時計を長持ちさせるためのメンテナンス方法や注意点をご紹介します。
この章では、以下の項目について解説します。
- 定期的な電池交換
- 設置場所の環境(磁気、温度、湿度)
- ホコリ対策
定期的な電池交換
掛け時計を長持ちさせるための基本中の基本は、定期的な電池交換です。電池が消耗してくると、時計の動きが悪くなったり、時刻が狂いやすくなったりするだけでなく、放置すると電池から液漏れを起こし、時計内部の部品を腐食させてしまう可能性があります。 液漏れによる故障は修理が難しくなったり、修理費用が高額になったりすることもあるため、そうなる前に交換することが重要です。
電池交換の目安は、時計の種類や使用する電池によって異なりますが、一般的には1年から2年ごとと言われています。 電波時計の場合、電池の消耗が受信感度の低下につながることもあるため、時刻が合わなくなってきたら早めの交換を心がけましょう。
電池交換の際には、以下の点に注意しましょう。
- 時計の取扱説明書で推奨されている種類の電池を使用する。
- 新しい電池を使用する。長期間保管されていた未使用電池は放電している可能性があります。
- 電池のプラス(+)とマイナス(-)の向きを間違えないようにする。
- 電池交換後は、時刻合わせを忘れずに行う。電波時計の場合は、リセット操作や強制受信が必要な場合もあります。
「まだ動いているから大丈夫」と油断せず、定期的な電池交換を習慣づけることが、掛け時計を良い状態で保つための第一歩です。
設置場所の環境(磁気、温度、湿度)
掛け時計を設置する場所の環境も、時計の寿命や精度に大きく影響します。以下の点に注意して、時計にとって快適な場所を選んであげましょう。
- 磁気の影響を避ける:
時計のムーブメントは金属部品でできているため、強い磁気の影響を受けると「磁気帯び」を起こし、時刻が狂ったり止まったりする原因になります。 テレビ、スピーカー、パソコン、スマートフォン、タブレット、電子レンジ、IH調理器、マグネット式の留め具がある家具やバッグなどの近くには置かないようにしましょう。特にクォーツ時計は磁気の影響で遅れることがあります。
- 極端な温度変化を避ける:
急激な温度変化や、高温・低温すぎる場所は、時計の部品に負担をかけ、精度に影響を与える可能性があります。直射日光が当たる場所や、暖房器具・冷房器具の風が直接当たる場所は避けましょう。
- 高湿度・乾燥しすぎる場所を避ける:
湿度が高すぎると、時計内部の金属部品が錆びたり、文字盤や針にカビが生えたりする原因になります。 逆に乾燥しすぎると、木製の時計枠が割れたり変形したりすることもあります。浴室やキッチンなどの水回り、加湿器の近くなどは避けるのが無難です。
- 振動の少ない安定した場所を選ぶ:
頻繁に振動する場所や、不安定な壁への設置は、時計の落下や内部部品のズレにつながる可能性があります。しっかりと固定できる場所に設置しましょう。
時計にとって快適な環境を保つことが、故障を防ぎ、長く愛用するための重要なポイントです。
ホコリ対策
見落としがちですが、ホコリも掛け時計にとっては大敵です。時計の隙間から内部にホコリが侵入すると、歯車などの精密な部品の動きを妨げたり、摩耗を早めたりする原因になります。 特に長年使用している掛け時計は、気づかないうちに内部にホコリが溜まっていることがあります。
完全にホコリの侵入を防ぐのは難しいですが、以下の対策で軽減することができます。
- 定期的な外側の清掃:
時計の表面や周りを、柔らかい布で乾拭きしてホコリを取り除きましょう。このとき、洗剤や化学薬品は使用しないでください。時計の素材を傷める可能性があります。
- 設置場所の工夫:
ホコリっぽい場所や、風通しが悪くホコリが溜まりやすい場所への設置はなるべく避けましょう。
- カバー付きの時計を選ぶ:
これから掛け時計を購入する場合は、文字盤がガラスやアクリルでカバーされているタイプを選ぶと、ホコリの侵入をある程度防ぐことができます。
- 専門業者による定期的なメンテナンス:
数年に一度、専門業者に内部のクリーニング(オーバーホール)を依頼するのも、時計を長持ちさせるためには効果的です。特に機械式の掛け時計の場合は、定期的なオーバーホールが推奨されます。
日頃から時計を清潔に保つことを心がけ、ホコリによるトラブルを未然に防ぎましょう。
よくある質問

掛け時計の秒針が動かないというトラブルに関して、多くの方が抱える疑問や質問にお答えします。ご自身の状況と照らし合わせながら、解決の糸口を見つけていただければ幸いです。
掛け時計の秒針だけが動かないのはなぜ?
掛け時計の秒針だけが動かない場合、いくつかの原因が考えられます。
まず、秒針自体が何かに引っかかっている可能性です。長針や短針、文字盤、あるいは時計のガラスカバーに秒針が接触していると、動力が伝わっていても物理的に動けなくなります。 横から見て、針同士が接触していないか、曲がっていないか確認してみてください。
次に、秒針を取り付けている軸部分の不具合です。秒針の取り付けが緩んでいる、または逆にきつく締まりすぎている、あるいは秒針を動かすための歯車に問題があるといったケースです。
また、電池の残量が少なくなっている初期症状として、まず消費電力の大きい秒針から動きが悪くなることもあります。 電池を新しいものに交換してみるのも一つの手です。
稀なケースですが、ムーブメント内部で秒針を動かす系統の部品のみが故障している可能性も否定できません。この場合はムーブメントの修理または交換が必要になります。
電池を交換しても掛け時計が動かない場合はどうすればいい?
電池を新しいものに交換しても掛け時計が動かない場合、いくつか確認すべき点があります。
- 電池の向きは正しいですか? プラス(+)とマイナス(-)の向きを再度確認してください。
- 電池の接触部分は汚れていませんか? 電池ボックスの金属端子に汚れやサビ、液漏れの跡がないか確認し、汚れていれば乾いた布などで拭き取ってください。
- 使用した電池は本当に新品ですか? 未使用でも長期間保管していた電池は放電している可能性があります。 別の新しい電池で試してみてください。
- 時計に合った種類の電池を使用していますか? マンガン電池指定の時計にアルカリ電池を使用するなど、推奨されていない電池を使うと正常に動作しないことがあります。
- 針が引っかかっていませんか? 秒針、長針、短針が互いに接触したり、文字盤やガラスカバーに触れたりしていないか確認してください。
- 電波時計の場合、リセット操作を試しましたか? 電波の受信状況が影響している可能性があります。
これらの点を確認しても動かない場合は、ムーブメントの故障など、内部的な問題が考えられます。 無理に自分で分解しようとせず、専門の修理業者に相談することをおすすめします。
掛け時計の針が外れた場合の直し方は?
掛け時計の針が外れてしまった場合、ご自身で取り付けることも可能ですが、非常にデリケートな作業となるため慎重に行う必要があります。
準備するもの:
- ピンセット(あれば)
- 時計を置くための柔らかい布
手順の目安:
- 安全な場所で作業する: 時計を壁から外し、平らで安定した場所に柔らかい布を敷いて作業スペースを確保します。
- 他の針を外す(必要な場合): 外れた針が秒針で、長針や短針が邪魔になる場合は、それらの針も慎重に外します。通常、針は中央の軸に差し込まれているだけか、小さなナットで固定されています。ナットの場合は、指や小さな工具で優しく回して外します。針を外す際は、どの針がどの順番で取り付けられていたかを覚えておくか、写真を撮っておくと良いでしょう。
- 針を取り付ける軸を確認する: 針を取り付けるムーブメントの中心軸にゴミや曲がりがないか確認します。
- 針を取り付ける:
- 時針から取り付けるのが一般的です。 時針を12時の位置に合わせて、中心の軸にまっすぐ差し込みます。
- 次に、長針を12時の位置に合わせて時針の上に重ねるように差し込みます。
- 最後に、秒針を12時の位置に合わせて長針の上に重ねるように差し込みます。秒針は小さな穴に軽く押し込むタイプが多いです。
- 針同士のクリアランスを確認する: 全ての針を取り付けたら、針同士が接触していないか、文字盤やガラスカバーに触れていないか、横から見て確認します。 必要であれば、針をわずかに曲げて調整しますが、力を入れすぎないように注意してください。
- 動作確認: 電池を入れて、針が正常に動くか確認します。
針は非常に曲がりやすく、取り付け方を間違えるとムーブメントを破損させる可能性もあります。自信がない場合や、作業中に問題が発生した場合は、無理せず専門業者に依頼しましょう。
掛け時計のムーブメント交換は自分でできる?費用は?
掛け時計のムーブメント交換は、DIYに慣れている方であればご自身で行うことも不可能ではありません。 交換用のムーブメントは、時計部品の専門店やオンラインショップなどで購入できます。ただし、いくつかの注意点と技術が必要です。
自分で交換する場合の注意点:
- 適合するムーブメントを選ぶ必要がある: 現在ついているムーブメントのサイズ(特に軸の長さや太さ)、針を取り付ける部分の形状などを正確に測定し、互換性のあるムーブメントを選ぶ必要があります。
- 針の取り外し・取り付け作業が伴う: 針は非常にデリケートなため、慎重な作業が求められます。
- 時計の分解・組み立てが必要: 時計の構造によっては、ケースの分解などが必要になる場合があります。
- 工具が必要な場合がある: 小さなナットを回すための工具などが必要になることがあります。
費用について:
- 自分で交換する場合: 交換用ムーブメントの価格は、種類にもよりますが、数百円から数千円程度です。 電波時計用のムーブメントは少し高くなる傾向があります。
- 専門業者に依頼する場合: ムーブメント交換の費用は、業者や時計の種類によって異なりますが、一般的には5,000円から15,000円程度が目安です。 これには部品代と作業費が含まれます。
自分で交換する自信がない場合や、大切な時計の場合は、無理せず専門業者に依頼することをおすすめします。費用はかかりますが、確実な修理が期待できます。
電波時計の秒針が12時で止まったまま動かないのはなぜ?
電波時計の秒針が12時の位置で止まったまま動かない場合、いくつかの原因が考えられます。
- 電波受信中または受信準備中: 多くの電波時計は、電波を受信する際やリセット操作後などに、一度針を12時の位置に合わせてから時刻修正を行います。 この状態であれば、しばらく待つと正常に動き出す可能性があります。取扱説明書で受信にかかる時間を確認してみてください。
- 受信失敗: 電波の受信に失敗した場合、時刻修正ができずに秒針が12時で止まったままになることがあります。 時計の置き場所を変えて(窓際など電波を受信しやすい場所へ)、再度強制受信やリセット操作を試してみてください。
- 電池残量不足: 電池の残量が少なくなると、電波の受信感度が低下したり、針を動かすための十分な電力が供給できなくなったりして、秒針が12時で停止することがあります。 新しい電池に交換してみてください。
- 明暗センサーによる停止機能(一部機種): 一部の電波時計には、暗くなると秒針の動きを止めて電池の消耗を抑える「夜間秒針停止機能」が搭載されています。 この場合、部屋が明るくなれば再び秒針が動き出します。故障ではありません。
- ムーブメントの故障: 上記のいずれにも当てはまらない場合は、ムーブメント自体の故障が考えられます。この場合は専門業者による修理が必要です。
まずは取扱説明書を確認し、リセット操作や電池交換を試してみてください。
掛け時計の修理はどこに頼めばいい?
掛け時計の修理を依頼できる場所はいくつかあります。
- 時計専門店・時計修理店: 街の時計屋さんや、時計修理を専門に行っているお店です。直接時計を持ち込んで相談でき、修理内容や見積もりについて詳しく説明を受けられることが多いです。 アンティーク時計や特殊な時計の修理に対応している専門店もあります。
- 家電量販店やホームセンターの時計売り場: 一部の店舗では時計の修理サービスを受け付けています。ただし、店舗で直接修理するのではなく、メーカーや提携の修理業者に取り次ぐ形になることが多いです。
- メーカーの修理サービス: 時計の製造メーカーが修理サービスを提供している場合があります。 特に保証期間内であれば、まずはメーカーに問い合わせてみるのが良いでしょう。からくり時計など特殊な機構を持つ時計は、メーカー修理が基本となることもあります。
- オンラインの時計修理サービス: インターネットで修理を受け付けている業者もあります。時計を送付して見積もり・修理を依頼する形になります。遠方に住んでいる場合や、近くに修理店がない場合に便利ですが、事前に業者の評判などをよく確認することが大切です。
修理を依頼する際は、事前に電話などで修理可能な時計の種類や費用の目安、納期などを確認しておくとスムーズです。複数の業者に見積もりを依頼して比較検討するのも良いでしょう。
掛け時計の寿命はどのくらい?
掛け時計の寿命は、時計の種類(クォーツ式か機械式か)、品質、使用環境、メンテナンスの状況などによって大きく異なります。一概に「何年」とは言えませんが、一般的な目安としては以下のようになります。
- クォーツ式掛け時計: ムーブメントの寿命は、一般的に5年から10年程度と言われています。ただし、これはあくまでムーブメント自体の目安であり、適切な電池交換や良好な使用環境であれば、それ以上長く使えることも少なくありません。電池交換を怠って液漏れさせてしまうと、寿命を縮める原因になります。
- 機械式掛け時計: 定期的なオーバーホール(分解掃除)を行うことで、数十年以上、場合によっては親子三代にわたって使えることもあります。機械式時計は部品の摩耗が避けられないため、3年から5年に一度程度のオーバーホールが推奨されます。メンテナンスを怠ると、寿命は短くなります。
電波時計の場合も、基本的にはクォーツ時計と同様のムーブメントを使用しているため、寿命の目安は同程度と考えてよいでしょう。ただし、電波受信機能に関する部品の寿命も考慮に入れる必要があります。
いずれのタイプの時計も、設置場所の環境(温度、湿度、磁気など)や、衝撃を与えないように丁寧に扱うこと、定期的なメンテナンスを行うことで、より長く愛用することができます。
まとめ

- 掛け時計の秒針が動かない主な原因は電池関連。
- 針の接触や変形も秒針停止の原因になる。
- ムーブメント故障は専門業者への相談を推奨。
- 電波時計は受信状況の確認とリセットが有効。
- ホコリや磁気帯びも秒針トラブルの一因。
- 電池交換は種類と向きを確認して行う。
- 針の調整は慎重に行うことが重要。
- 電波時計のリセットは取扱説明書を参照。
- 時計内部の清掃は無理のない範囲で。
- 修理依頼は見積もりと実績で業者を選ぶ。
- 修理費用は原因や時計の種類で変動する。
- アンティーク時計の修理は専門性が高い。
- 定期的な電池交換で液漏れを防ぐ。
- 設置場所の温度・湿度・磁気に注意する。
- ホコリ対策で時計を清潔に保つことが大切。