「もしかして、家に白蟻がいるかも…?」「手軽なバルサンで駆除できないかな?」大切なお住まいに白蟻の気配を感じると、不安でいっぱいになりますよね。ゴキブリやダニ退治でおなじみのバルサンが、白蟻にも効くなら…と期待するお気持ち、とてもよく分かります。しかし、本当にバルサンだけで白蟻問題を解決できるのでしょうか?本記事では、白蟻駆除におけるバルサンの効果と限界、そして本当に大切な住まいを守るための正しい知識と対策を、分かりやすく解説していきます。
白蟻駆除にバルサンは本当に効くの?知っておきたい効果の真実

結論からお伝えすると、バルサンだけで白蟻を完全に駆除するのは非常に困難です。 「え、そうなの?」とがっかりされたかもしれません。なぜ、多くの害虫に効果を発揮するバルサンが、白蟻には力不足なのでしょうか。その理由を詳しく見ていきましょう。
バルサンが白蟻駆除にどう影響するのか、その効果と限界について解説します。
- バルサンの有効成分と白蟻への効果
- なぜバルサンだけでは不十分なのか
- バルサン使用が逆効果になるケース
バルサンの有効成分と白蟻への効果
バルサンには、「フェノトリン」などのピレスロイド系と呼ばれる殺虫成分が含まれています。 この成分は、実はプロの白蟻駆除業者が使用する薬剤にも含まれているもので、白蟻に対して殺虫効果があること自体は事実です。 実際に、バルサンの煙が直接触れた白蟻は死んでしまいます。特に、羽アリが大量に発生して室内を飛び回っているような緊急時には、目に見える羽アリを一時的に減らす効果は期待できるでしょう。 白蟻はゴキブリの仲間に分類されるため、ゴキブリに効くバルサンが白蟻にもある程度の効果を示すのは、こうした理由があるのです。
なぜバルサンだけでは不十分なのか
問題は、バルサンの煙が届く範囲にあります。白蟻の被害の核心は、私たちの目に触れない場所に隠されています。床下や壁の内部、木材の奥深くに巨大な巣(コロニー)を築き、その中で女王蟻が毎日何百、何千という卵を産み続けているのです。 バルサンの煙は、残念ながら木材の内部や土の中にある巣まで浸透しません。 そのため、表面に出てきた働きアリや羽アリをいくら駆除しても、巣の本体、特に繁殖を司る女王蟻と大多数の働きアリを退治することはできないのです。 これが、バルサンだけでは白蟻を根絶できない最大の理由です。
バルサン使用が逆効果になるケース
さらに、注意しなければならないのは、中途半端なバルサンの使用が被害を拡大させてしまう危険性があることです。 煙を察知した白蟻は、危険を感じて巣の奥深くへ逃げ込んだり、これまで被害のなかった場所へ移動して新たな巣を作ったりすることがあります。 これを「忌避効果」による被害の拡散と呼びます。良かれと思って行った対策が、かえって白蟻の生息範囲を広げ、駆除をより困難にしてしまう可能性があることを覚えておきましょう。
応急処置としてのバルサンの使い方と注意点

バルサンだけでは根本的な解決にならないと理解しつつも、「目の前の羽アリを今すぐなんとかしたい!」という状況もあるでしょう。あくまで応急処置としてバルサンを使用する場合の、正しい使い方と注意点を解説します。
ここでは、一時的な対策としてバルサンを安全かつ効果的に使うための手順をご紹介します。
- 使用前の準備:養生と密閉
- バルサンの正しい使用手順
- 使用後の換気と掃除
- ペットや植物への配慮
使用前の準備:養生と密閉
バルサンの効果を最大限に引き出すには、薬剤が外に漏れないように部屋をしっかり密閉することが重要です。 窓やドアを完全に閉め、換気扇も止めましょう。隙間がある場合は、養生テープなどで目張りをするとより効果的です。 また、テレビやパソコンなどの精密機器、食器、食品、布団などは、薬剤がかからないようにビニール袋で覆うか、部屋の外に出しておきましょう。 火災報知器が反応しないよう、専用のカバーをかけることも忘れないでください。
バルサンの正しい使用手順
準備が整ったら、部屋の中央にバルサンを設置し、説明書の指示に従って作動させます。 作動を確認したら、速やかに部屋から出て、ドアを閉めてください。製品によって異なりますが、通常2〜3時間はそのままの状態を保ち、薬剤を部屋の隅々まで行き渡らせます。 この間は、絶対に室内に入らないようにしてください。
使用後の換気と掃除
規定の時間が経過したら、部屋の窓やドアを全開にして、十分に換気を行います。 30分〜1時間ほどしっかりと空気を入れ替えた後、掃除機をかけて白蟻の死骸やホコリを吸い取ります。 特に、床や家具の表面は、固く絞った雑巾などで水拭きしておくと、より安心です。
ペットや植物への配慮
バルサンは人間だけでなく、犬や猫、小鳥などのペット、観賞魚、植物にも影響を与えます。 使用前には必ずペットや植物を部屋の外に移動させてください。 特に魚類や昆虫類は薬剤に非常に弱いので注意が必要です。 換気が終わってからも、ペットが床などを舐めないように、掃除が終わるまでは別の部屋で待機させておくと安全です。
バルサンでは駆除しきれない!プロが行う白蟻駆除方法

バルサンでは届かない巣の奥深くまで白蟻を退治するために、プロの駆除業者は専門的な方法を用います。代表的な2つの工法、「バリア工法」と「ベイト工法」について、その仕組みと特徴を解説します。
専門家がどのようにして白蟻問題を根本から解決するのか、その具体的な手法を見ていきましょう。
- バリア工法(薬剤散布法)
- ベイト工法(毒餌剤設置法)
バリア工法(薬剤散布法)
バリア工法は、最も一般的で即効性の高い駆除方法です。 床下に潜り、白蟻の侵入経路となる基礎や束石の周りの土壌、そして被害を受けている木材に直接、専用の薬剤を散布・注入します。 これにより、薬剤のバリア(障壁)を作り、新たな白蟻の侵入を防ぎつつ、すでに内部にいる白蟻も駆除します。薬剤が直接作用するため効果が早く現れるのが特徴ですが、床下での作業が必要となり、薬剤の臭いが気になる場合もあります。
ベイト工法(毒餌剤設置法)
ベイト工法は、白蟻の習性を利用した駆除方法です。 「ベイト剤」と呼ばれる、白蟻が好む餌に脱皮を阻害する薬剤を混ぜたものを、建物の周囲や被害箇所に設置します。 働きアリがベイト剤を餌と認識して巣に持ち帰り、仲間に分け与えることで、巣全体の白蟻を時間をかけて根絶やしにするのです。 薬剤を大量に散布しないため、人や環境に優しく、臭いもほとんどありません。 ただし、効果が現れるまでに数ヶ月から1年ほどかかる場合があり、即効性には欠けます。
自分でできる白蟻対策と予防法

専門業者に依頼する前に、自分でできる対策や予防法も知っておきましょう。日頃のちょっとした心がけが、白蟻を寄せ付けない住環境を作ります。
大切な家を白蟻から守るために、今日から始められる予防策をご紹介します。
- 市販の白蟻駆除剤の活用
- 白蟻を寄せ付けない環境づくり
- 定期的なセルフチェックの重要性
市販の白蟻駆除剤の活用
ホームセンターなどでは、様々な種類のDIY用白蟻駆除剤が販売されています。 例えば、「シロアリジェットプロ」のようなスプレータイプの殺虫剤は、床下の木材や基礎の亀裂など、気になる場所に直接噴射して使います。 また、設置型のベイト剤も市販されており、庭の切り株やウッドデッキの周りなど、白蟻がいそうな場所に埋めておくことで、予防効果が期待できます。 ただし、これらの市販品もプロが使用するものに比べると効果は限定的であり、あくまで補助的な対策と考えるのが良いでしょう。
白蟻を寄せ付けない環境づくり
白蟻は、湿気と暗い場所、そして餌となる木材が大好きです。 この3つの条件を揃えないことが、最大の予防策になります。
- 家の周りに木材を置かない: 庭に放置された廃材や切り株、段ボールなどは白蟻の格好の餌になります。速やかに片付けましょう。
- 風通しを良くする: 床下の換気口の前に物を置かないようにし、空気の流れを妨げないようにしましょう。 庭の植木が茂りすぎている場合は、剪定して日当たりと風通しを改善します。
- 水漏れ・雨漏りを放置しない: 浴室やキッチンからの水漏れ、屋根からの雨漏りは、木材を湿らせ白蟻を呼び寄せる原因になります。 見つけたら早急に修理しましょう。
定期的なセルフチェックの重要性
年に1〜2回は、懐中電灯を片手に家の周りや床下を点検する習慣をつけましょう。 基礎部分に「蟻道(ぎどう)」と呼ばれる土のトンネルがないか、柱や土台を叩いてみて空洞音のような軽い音がしないかなどをチェックします。 羽アリが大量発生する4月〜7月は特に注意が必要です。早期発見が、被害を最小限に食い止める鍵となります。
白蟻駆除はプロに任せるべき?業者選びのポイントと費用相場

「やっぱり自分での駆除は難しそう…」と感じたら、迷わずプロに相談しましょう。しかし、いざ業者を探すとなると、どこに頼めば良いのか、費用はいくらかかるのか、不安になりますよね。信頼できる業者を見極めるためのポイントと、費用の目安について解説します。
後悔しない業者選びのために、知っておくべき重要な点をお伝えします。
- 信頼できる業者の見分け方
- 駆除費用の相場と内訳
- 見積もりを取る際の注意点
信頼できる業者の見分け方
良い業者を選ぶためには、いくつかのチェックポイントがあります。
- 実績と資格: 長年の実績があるか、公益社団法人日本しろあり対策協会に加盟しているか、「しろあり防除施工士」という資格を持ったスタッフがいるかなどを確認しましょう。
- 丁寧な現地調査と説明: 床下に潜ってしっかりと調査を行い、被害状況や駆除方法、費用の内訳について、専門用語を使わずに分かりやすく説明してくれる業者は信頼できます。
- 保証とアフターサービス: 施工後5年程度の保証が付いているか、定期的な無料点検を実施してくれるかなど、アフターサービスの内容も重要です。
- 極端に安い・高い料金には注意: 相場からかけ離れた料金を提示する業者には注意が必要です。 安すぎる場合は手抜き工事の、高すぎる場合は不必要な工事を追加されている可能性があります。
駆除費用の相場と内訳
白蟻駆除の費用は、被害の状況や建物の広さ、工法によって大きく変動しますが、一般的な木造住宅の場合、1坪あたり7,000円〜12,000円程度が相場とされています。 例えば、1階の床面積が30坪の家であれば、約21万円〜36万円が目安となります。 費用には、薬剤費、人件費、出張費、そして保証などが含まれます。
見積もりを取る際の注意点
必ず複数の業者から相見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討しましょう。 その際、「一式」といった大雑把な見積もりではなく、作業内容ごとに単価と数量が明記された詳細な見積書を提出してもらうことが大切です。不明な点があれば、遠慮なく質問し、納得できるまで説明を求めましょう。
よくある質問

バルサンで白蟻は全滅できますか?
いいえ、バルサンだけで白蟻を全滅させることは非常に困難です。 バルサンの煙は床下や壁の内部にある巣まで届かないため、表面に出てきた一部の白蟻しか駆除できません。 根本的な解決には、巣ごと駆除する必要があります。
羽アリが出たのですが、バルサンは使ってもいいですか?
応急処置として、室内に大量発生した羽アリを一時的に減らす目的で使うことは可能です。 しかし、これは根本的な解決にはならず、かえって白蟻の警戒心を高めて被害を拡散させてしまう可能性もあります。 使用後は、速やかに専門業者に相談することをおすすめします。
自分でできる一番効果的な白蟻予防は何ですか?
白蟻を寄せ付けない環境を作ることが最も効果的です。 具体的には、家の周りに木材を置かない、床下の風通しを良くする、水漏れや雨漏りを放置しない、といった対策が重要です。
シロアリ駆除の費用はどのくらいかかりますか?
費用は建物の広さや被害状況によって異なりますが、一般的には1坪あたり7,000円〜12,000円程度が相場です。 30坪の家なら21万円〜36万円が目安となります。 正確な費用は、専門業者による現地調査と見積もりで確認する必要があります。
新築でもシロアリ対策は必要ですか?
はい、必要です。新築時には建築基準法に基づき防蟻処理が施されていますが、その薬剤の効果は一般的に5年程度で切れてしまいます。 そのため、築5年を目安に専門業者による点検と予防処理を行うことが推奨されています。
まとめ

- バルサンは目に見える白蟻には効くが、巣全体の駆除はできない。
- バルサンの使用は応急処置に留め、根本解決にはならないと認識する。
- 中途半端な使用は、被害を広げるリスクがあるため注意が必要。
- プロの駆除方法は「バリア工法」と「ベイト工法」が主流。
- 自分でできる対策は、白蟻が好む「湿気」「木材」を断つこと。
- 家の周りの廃材撤去や、風通しの改善が重要。
- 水漏れや雨漏りは、白蟻を呼び寄せるため早急に修理する。
- 定期的なセルフチェックで、蟻道や木材の食害を早期発見する。
- 根本的な駆除や予防は、信頼できる専門業者への依頼が最も確実。
- 業者選びは、実績・資格・保証の有無をしっかり確認する。
- 複数の業者から相見積もりを取り、内容を比較検討することが大切。
- 駆除費用の相場は1坪あたり7,000円〜12,000円程度。
- 新築でも築5年を目安に、予防メンテナンスが必要。
- 羽アリの大量発生は、白蟻被害のサインである可能性が高い。
- 不安を感じたら、まずは無料の床下診断などを利用して専門家に相談する。