退職を決意し、退職願を提出する際、「封筒にのり付けは必要なの?」「正しい封筒の選び方や渡し方が分からない…」と悩む方は少なくありません。退職は人生の大きな転機であり、最後の印象を良くするためにも、ビジネスマナーを守った対応が求められます。本記事では、退職願の封筒ののり付けに関する疑問から、封筒の選び方、書き方、提出方法、さらには郵送する場合の注意点まで、詳しく解説します。この記事を読めば、退職願の提出に関する不安を解消し、円満な退職へと繋げることができるでしょう。
退職願の封筒にのりは必要?基本マナーと注意点
退職願を提出する際、封筒ののり付けについて迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは、退職願の封筒ののり付けに関する基本的なマナーと、手渡しと郵送それぞれのケースについて解説します。しっかり確認して、失礼のないように対応しましょう。
本章では、以下の項目について詳しく解説します。
- 手渡しの場合:のり付けは必須ではない
- 郵送の場合:のり付けと封字が必須
- のり付けする際の注意点
手渡しの場合:のり付けは必須ではない
退職願を上司に手渡しする場合、封筒にのり付けをする必要は必ずしもありません。 専門家の間でも意見が分かれる部分であり、のり付けしてもしなくても「非常識」と見なされることは少ないでしょう。
ただし、封筒のフラップ(ふた)は折っておくのがマナーです。 もし、使用する封筒にあらかじめのりや両面テープが付いている場合は、封をして提出する方が丁寧な印象を与えます。 封をした場合は、綴じ目に「〆」や「封」といった封字を記入しましょう。
のり付けをしない理由としては、上司が中身を確認しやすくするため、という配慮が挙げられます。一方で、重要な書類であるため、しっかりと封緘すべきという考え方もあります。どちらを選択するにしても、相手への敬意を忘れずに、丁寧な対応を心がけることが大切です。
郵送の場合:のり付けと封字が必須
退職願を郵送する場合は、必ず封筒にのり付けをし、封字を記入しましょう。 これは、第三者による開封を防ぎ、中身の書類を保護するための重要なマナーです。
郵送の際は、退職願を入れた封筒をさらに一回り大きな封筒に入れるのが一般的です。 内側の封筒(退職願が入っている封筒)は、手渡しの場合と同様に、のり付けしてもしなくても問題ありませんが、郵送用の一番外側の封筒は必ずのり付けし、「〆」や「封」といった封字を記入します。 封字は、封筒の綴じ目の中央に書きます。
郵送は、やむを得ない事情で直接手渡しできない場合や、会社から指示があった場合に限られるべきです。 可能であれば、直属の上司に直接手渡しするのが最も丁寧な方法であることを覚えておきましょう。
のり付けする際の注意点
退職願の封筒にのり付けをする際は、いくつかの注意点があります。まず、のりの種類は、液体のりよりもスティックのりやテープのりがおすすめです。液体のりは、つけすぎると封筒が波打ったり、中身の書類にまで染みてしまったりする可能性があるためです。スティックのりやテープのりであれば、きれいに、かつ確実に封緘することができます。
また、のりを塗る際は、封筒のフラップの先端だけでなく、全体に均等に塗るようにしましょう。これにより、封筒が途中で開いてしまうのを防ぐことができます。のり付け後は、しっかりと押さえて乾燥させることが大切です。急いでいる場合でも、のりが乾く前に相手に渡したり、郵送したりするのは避けましょう。
さらに、封筒を汚さないように注意が必要です。のりがはみ出して封筒の表面についてしまうと、見た目が悪くなるだけでなく、相手に不快な印象を与えてしまう可能性があります。清潔感を保つためにも、慎重に作業を行いましょう。
退職願を入れる封筒の選び方
退職願を提出する際には、封筒の選び方にもマナーがあります。適切な封筒を選ぶことで、相手に失礼な印象を与えることなく、スムーズに手続きを進めることができます。ここでは、退職願に適した封筒の選び方のポイントを解説します。
本章では、以下の項目について詳しく解説します。
- 色:白色の無地を選ぶ
- サイズ:退職願の用紙に合わせる
- 素材:中身が透けないものを選ぶ
- 郵便番号枠:なしのものを選ぶ
色:白色の無地を選ぶ
退職願を入れる封筒の色は、白色の無地のものを選ぶのが基本です。 ビジネスシーンでは、白い封筒はフォーマルな場面や重要度の高い書類に使用されることが一般的です。 茶封筒は、事務的な連絡や社内便などで使われることが多く、退職願のような改まった書類には不向きとされています。
また、柄や模様が入っているものは避け、シンプルな無地の封筒を選びましょう。清潔感があり、誠実な印象を与えることができます。
サイズ:退職願の用紙に合わせる
封筒のサイズは、中に入れる退職願の用紙の大きさに合わせることが大切です。 一般的に、退職願の用紙はA4サイズまたはB5サイズで作成されます。
- A4サイズの用紙の場合:長形3号(なががたさんごう)の封筒を選びます。
- B5サイズの用紙の場合:長形4号(なががたよんごう)の封筒を選びます。
これらのサイズの封筒であれば、三つ折りにした退職願をきれいに収めることができます。 用紙に対して封筒が大きすぎたり小さすぎたりすると、見た目が悪くなるだけでなく、中で書類が折れ曲がってしまう可能性もあるため注意が必要です。
素材:中身が透けないものを選ぶ
退職願は非常にデリケートな内容を含む重要書類です。 そのため、封筒の素材は中身が透けないものを選ぶようにしましょう。 薄い紙の封筒だと、光に透かすと中の文字が読めてしまう可能性があります。
中身が透けるのを防ぐためには、厚手の紙でできた封筒や、内側に色のついた紙が貼られている二重封筒を選ぶのがおすすめです。 これにより、第三者に内容を見られるリスクを減らすことができます。
郵便番号枠:なしのものを選ぶ
退職願は、原則として上司に直接手渡しするものです。 そのため、封筒の表面に郵便番号の記入枠が印刷されていないものを選ぶのがマナーです。 郵便番号枠がある封筒は、郵送を前提としたものであるため、手渡しする書類には適していません。
ただし、やむを得ず郵送する場合は、郵便番号枠のある封筒を使用しても問題ありません。その際は、退職願を入れた封筒(郵便番号枠なし)を、さらに一回り大きな郵便番号枠のある封筒に入れて郵送するのが一般的です。
退職願の封筒の書き方マナー
退職願の封筒には、表面と裏面にそれぞれ記載すべき項目があります。正しい書き方を守ることで、相手に失礼な印象を与えず、スムーズな手続きにつながります。ここでは、退職願の封筒の書き方について、表面と裏面に分けて詳しく解説します。
本章では、以下の項目について詳しく解説します。
- 表面の書き方:「退職願」または「退職届」と記載
- 裏面の書き方:所属部署と氏名を記載
- 筆記用具:黒のボールペンか万年筆を使用
表面の書き方:「退職願」または「退職届」と記載
封筒の表面には、中央やや上寄りの位置に、大きめの文字で「退職願」または「退職届」と縦書きで記載します。 どちらを記載するかは、提出する書類の種類に合わせてください。「退職願」は退職を願い出る書類、「退職届」は退職が確定した後に提出する書類です。
宛名は書く必要はありません。 会社名や部署名、上司の名前などを記載する必要はなく、シンプルに「退職願」または「退職届」とのみ書きます。
裏面の書き方:所属部署と氏名を記載
封筒の裏面には、左下の位置に、自分の所属部署名と氏名を縦書きで記載します。 まず所属部署名を書き、その左横に少し下げて氏名を書くのが一般的です。役職名は記載する必要はありません。
これにより、誰からの提出物であるかが明確になります。文字の大きさは、表面の「退職願(退職届)」よりも少し小さめに書くとバランスが良いでしょう。
筆記用具:黒のボールペンか万年筆を使用
退職願の封筒に文字を記入する際は、黒色のボールペンまたは万年筆を使用するのがマナーです。 インクの色は黒を選び、青色やその他の色のペンは避けましょう。鉛筆やシャープペンシル、消せるボールペンは、正式な書類には不適切です。
文字は丁寧に、読みやすく書くことを心がけましょう。誤字脱字がないように、記入前には下書きをするか、落ち着いてゆっくりと書くことが大切です。もし書き間違えてしまった場合は、修正液や修正テープは使用せず、新しい封筒に書き直すのが望ましいです。
退職願の封筒への入れ方・渡し方
退職願を作成し、封筒の準備ができたら、次はその入れ方と渡し方です。ここでもビジネスマナーが問われます。相手に失礼なく、スムーズに退職の意思を伝えるために、正しい手順を理解しておきましょう。
本章では、以下の項目について詳しく解説します。
- 退職願の折り方:三つ折りが基本
- 封筒への入れ方:向きに注意
- 手渡しする際のマナー
退職願の折り方:三つ折りが基本
退職願の用紙は、三つ折りにするのが一般的なマナーです。 具体的には、まず用紙の下側3分の1を上に折り上げ、次に上側3分の1を下に折り重ねる「巻き三つ折り」にします。 文字が書かれている面が内側になるように折ります。
折り目はずれないように、角と角を合わせて丁寧に折りましょう。 定規などを使うと、きれいにまっすぐ折ることができます。 四つ折りや二つ折りにするのはマナー違反とされる場合があるため注意が必要です。
封筒への入れ方:向きに注意
三つ折りにした退職願を封筒に入れる際にも、向きに注意が必要です。 退職願の書き出し部分(「退職願」や「私儀」と書かれた部分)が、封筒の裏面から見て右上に来るように入れます。
具体的には、三つ折りにした退職願の折り目が右側にくるように持ち、封筒の裏面を上にした状態で、そのまま封筒に入れます。 こうすることで、受け取った相手が封筒から取り出して開いたときに、すぐに読み始められる向きになります。
封筒に入れる際は、中で書類が折れ曲がったり、シワになったりしないように、丁寧に入れましょう。
手渡しする際のマナー
退職願は、直属の上司に直接手渡しするのが基本的なマナーです。 提出するタイミングとしては、まず口頭で退職の意思を伝え、了承を得た後に退職願を提出するのが一般的です。 提出する場所は、会議室など他の社員がいない静かな場所を選びましょう。
手渡しする際は、封筒をそのまま渡すのではなく、袱紗(ふくさ)に包んで持参し、渡す直前に袱紗から取り出すのが最も丁寧な方法です。袱紗がない場合は、封筒が汚れたり折れたりしないように、クリアファイルなどに入れて持ち運び、渡す際にクリアファイルから取り出しましょう。
渡す際は、相手の正面に立ち、「お忙しいところ恐れ入ります。この度、退職させていただきたく、退職願を持参いたしました。ご確認いただけますでしょうか」など、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。両手で封筒を持ち、相手が読みやすい向きにして差し出すのがマナーです。
退職願を郵送する場合の注意点
退職願は原則として手渡しが望ましいですが、やむを得ない事情で郵送する場合もあるでしょう。郵送する際には、手渡しとは異なるマナーや注意点があります。相手に失礼なく、確実に退職の意思を伝えるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
本章では、以下の項目について詳しく解説します。
- 郵送する前の確認事項
- 郵送用の封筒の準備
- 添え状(送付状)の同封
- 郵送方法とタイミング
郵送する前の確認事項
退職願を郵送する前には、まず上司に郵送しても良いか確認しましょう。 退職という重要な手続きですので、自己判断で郵送するのではなく、事前に相談し、許可を得ることが大切です。会社によっては、郵送に関する規定がある場合もあります。
また、郵送先の部署や担当者名、正確な住所を改めて確認しておくことも重要です。宛先が間違っていると、書類が届かなかったり、関係のない人の目に触れてしまったりする可能性があります。
郵送用の封筒の準備
退職願を郵送する場合、退職願を入れた封筒(内封筒)を、さらに一回り大きな封筒(外封筒)に入れて郵送します。 外封筒は、白色で郵便番号の枠があるものを選びましょう。
外封筒の表面には、宛先の住所、会社名、部署名、担当者名を正確に記載します。担当者名が不明な場合は「人事ご担当者様」などとします。左下には赤字で「親展」と記入しましょう。 「親展」とは、宛名本人に開封してほしいという意味があり、重要な書類を送る際に用いられます。
外封筒の裏面には、差出人である自分の住所と氏名を記載します。
添え状(送付状)の同封
退職願を郵送する際には、添え状(送付状)を同封するのがビジネスマナーです。 添え状には、誰から誰宛に、何を送ったのかを簡潔に記載します。退職願だけを送りつけるのは失礼にあたるため、必ず添え状を添えましょう。
添え状のサイズは、退職願の用紙の大きさに合わせます。 記載内容は、日付、宛名、差出人情報、時候の挨拶、同封書類(退職願)、簡単な挨拶などです。
封筒に入れる際は、添え状を一番上にし、その下に退職願を入れた内封筒を重ねて入れます。 こうすることで、開封した相手がまず添え状を目にし、内容物を把握しやすくなります。
郵送方法とタイミング
退職願を郵送する際は、普通郵便で送るのが一般的です。ただし、重要な書類ですので、配達状況を確認したい場合は、特定記録郵便や簡易書留などを利用することも検討しましょう。ポスト投函ではなく、郵便局の窓口から発送すると、料金不足などのトラブルを防ぐことができ安心です。
郵送するタイミングは、上司に退職の意思を伝え、郵送の許可を得た後、速やかに発送しましょう。会社によっては、退職願の提出期限が定められている場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。 郵送後は、無事に届いたか確認の連絡を入れるとより丁寧です。
よくある質問
退職願の封筒やのり付けに関して、疑問に思う点は他にもあるかもしれません。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。スムーズな退職手続きのために、ぜひ参考にしてください。
退職願の封筒はどこで買えますか?
退職願に適した封筒は、文房具店、100円ショップ、コンビニエンスストア、スーパーマーケットの文具コーナー、オンライン通販などで購入できます。
選ぶ際には、白色で無地、郵便番号枠がなく、中身が透けない素材のもの、そして退職願の用紙サイズに合ったもの(A4用紙なら長形3号、B5用紙なら長形4号)を選びましょう。 コンビニなどでは、郵便番号枠のない封筒の取り扱いがない場合もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
退職願の封筒に宛名は書きますか?
手渡しする場合、退職願を入れる封筒の表面には「退職願」または「退職届」と記載するのみで、宛名(会社名や上司の名前)を書く必要はありません。
郵送する場合は、退職願を入れた封筒(内封筒)には宛名を書かず、それを入れる一回り大きな郵送用の封筒(外封筒)の表面に、会社の住所、会社名、部署名、担当者名などを正確に記載します。
退職願を手渡しする際、封筒の封はのり付けしますか?
退職願を上司に手渡しする場合、封筒の封は必ずしも、のり付けする必要はありません。 封をしていなくてもマナー違反にはなりません。ただし、封筒のふた(フラップ)は折っておきましょう。
もし、使用する封筒にあらかじめのりや両面テープが付いている場合は、封をして提出する方が丁寧な印象になります。 その際には、綴じ目の中央に「〆」や「封」といった封字を記入します。
退職願の封筒の封字は「〆」「封」「緘」のどれを使えばいいですか?
退職願の封筒に封をする場合、封字として一般的に使われるのは「〆(しめ)」または「封(ふう)」です。 「緘(かん)」も使用できますが、より重要度の高い書類や改まった場面で使われることが多いです。
「〆」は「締」の略字で、封をしたことを示す一般的な記号です。「封」は文字通り封をしたことを表します。どちらを使用してもマナー違反にはなりません。書きやすく、バランスの良い方を選びましょう。封字は、封筒の綴じ目の中央に、はっきりと丁寧に書きます。
退職願をクリアファイルに入れて渡しても良いですか?
はい、退職願をクリアファイルに入れて持ち運び、手渡す際にクリアファイルから取り出して渡すのは問題ありません。 むしろ、封筒が汚れたり折れたりするのを防ぐために推奨される方法の一つです。
ただし、クリアファイルに入れたまま渡すのではなく、渡す直前にクリアファイルから取り出し、封筒の状態で相手に差し出すのがマナーです。最も丁寧なのは袱紗(ふくさ)に包んで持参することですが、クリアファイルでも代用できます。
退職届と退職願で封筒の扱いに違いはありますか?
いいえ、退職届と退職願で、封筒の選び方や書き方、渡し方などの基本的なマナーに大きな違いはありません。 どちらも重要な書類であるため、白色無地の適切なサイズの封筒を使用し、丁寧に扱うことが求められます。
唯一の違いは、封筒の表面に記載する文字が「退職願」になるか「退職届」になるかという点です。 提出する書類の種類に合わせて正しく記載しましょう。
まとめ
- 退職願の封筒は手渡しならのり付け必須ではない。
- 郵送の場合はのり付けと封字が必須。
- のりはスティックのりやテープのりがおすすめ。
- 封筒の色は白色無地を選ぶ。
- 封筒サイズはA4用紙なら長形3号、B5なら長形4号。
- 中身が透けない素材の封筒を選ぶ。
- 手渡しの場合、郵便番号枠なしの封筒を選ぶ。
- 封筒表面には「退職願」または「退職届」と記載。
- 封筒裏面には所属部署と氏名を記載。
- 筆記用具は黒のボールペンか万年筆を使用。
- 退職願は三つ折りにする。
- 封筒への入れ方は向きに注意する。
- 手渡しは直属の上司に静かな場所で行う。
- 郵送前には上司に確認する。
- 郵送時は添え状を同封する。