そろばんの掛け算は、一見難しそうに感じるかもしれません。しかし、基本的なルールと進め方を理解すれば、誰でもスムーズに計算できるようになります。本記事では、そろばん掛け算の基礎から応用まで、具体的な例を交えながらわかりやすく解説します。これからそろばんを始める方や、掛け算でつまずいている方も、この記事を読めばきっと自信を持って取り組めるようになるでしょう。
そろばん掛け算の基本を知ろう

そろばんを使って掛け算をするには、まずそろばんの基本的な構造と数字の置き方を理解することが大切です。これらの基礎知識が、その後の計算を正確に進めるための土台となります。
そろばんの構造と各部の名称
そろばんは、枠の中に複数の桁の棒が並び、それぞれの棒に珠(たま)が通っています。上部にある1つの珠を「五珠(ごだま)」、下部にある4つの珠を「一珠(いちだま)」と呼びます。中央の横棒は「桁(けた)の棒」と呼ばれ、この棒に接している珠がその桁の数字を表します。特に、桁の棒には「定位点(ていいてん)」と呼ばれる点がいくつかあり、ここを一の位として計算を進めるのが一般的です。
定位点を基準に桁を正しく認識することが、そろばん計算の第一歩となります。
数字の置き方と桁の考え方
そろばんに数字を置く際は、定位点を一の位として、左に十の位、百の位と進み、右に小数第一位、小数第二位と進みます。例えば、定位点に一珠を1つ上げると「1」、五珠を下げると「5」を表します。掛け算では、計算の途中で珠を動かし、最終的な答えをそろばん上に表現します。このとき、どの桁にどの数字を置くかを正確に判断する「位取り」が非常に重要です。
位取りを間違えると、計算結果が大きく変わってしまうため、注意深く行う必要があります。
掛け算の基本的な考え方と積の定位点

そろばんの掛け算には、独特の計算方法があります。特に「掛けては払い、足しては置く」という原則と、積(答え)を置く位置を決める「定位点」の考え方は、そろばん掛け算の核となる部分です。
「掛けては払い、足しては置く」の原則
そろばんの掛け算は、筆算とは異なり、大きな位から順に計算を進めます。具体的には、掛けられる数と掛ける数のそれぞれの位を掛け合わせ、その積をそろばんに置いていきます。このとき、計算が終わった桁の珠を払い、次の計算結果を足していくという動作を繰り返します。この一連の動作を「掛けては払い、足しては置く」と表現します。
この原則を理解し、指の動きに慣れることが、そろばん掛け算の習得には欠かせません。
積の定位点の決め方
そろばん掛け算で最もつまずきやすい点の一つが、積(答え)をどこから置き始めるか、つまり「積の定位点」の決め方です。積の定位点は、一般的に「掛けられる数の桁数 + 掛ける数の桁数 – 1」で求められます。例えば、2桁×1桁の掛け算であれば、「2 + 1 – 1 = 2」となり、定位点から左に2つ目の桁(百の位)が積の置き始めとなります。
このルールを正確に把握し、計算前に積の定位点を確認する習慣をつけることが、間違いを防ぐ上で非常に有効です。小数点の掛け算の場合も、同様の考え方で定位点を決められます。
具体的なそろばん掛け算の進め方

ここからは、具体的な数字を使ってそろばん掛け算の進め方を解説します。簡単な1桁×1桁から始め、徐々に桁数を増やして練習していきましょう。そろばんの掛け算には「両置き」「片落とし」「両落とし」の3つの方法がありますが、ここでは一般的に推奨される「両落とし」のやり方を中心に説明します。
1桁×1桁の掛け算(例:3×2)
1桁×1桁の掛け算は、そろばん掛け算の基礎です。まずはこの簡単な計算で、珠の動かし方と定位点の考え方に慣れましょう。
- 積の定位点を決める: 1桁×1桁なので、「1 + 1 – 1 = 1」。定位点から左に1つ目の桁(十の位)が積の置き始めです。
- 計算を開始する: そろばんに何も置かない状態から始めます。
- 3×2を計算する: 3×2の答えは6です。積の定位点(十の位)に6を置きます。この場合、十の位に五珠を1つ下げ、一珠を1つ上げます。
- 答えを確認する: そろばんには「6」と表示されます。
この例では簡単ですが、九九の答えが1桁になる場合は、必ず「0〇」と2桁で考えることが大切です。例えば、「3×2」は「06」と意識することで、後の桁数が多い計算で位取りを間違えにくくなります。
2桁×1桁の掛け算(例:23×4)
次に、2桁×1桁の掛け算に挑戦してみましょう。ここから「掛けては払い、足しては置く」の原則がより明確になります。
- 積の定位点を決める: 2桁×1桁なので、「2 + 1 – 1 = 2」。定位点から左に2つ目の桁(百の位)が積の置き始めです。
- 最初の計算(2×4): 掛けられる数の十の位「2」と掛ける数「4」を掛けます。2×4 = 8です。積の定位点(百の位)に8を置きます。
- 次の計算(3×4): 掛けられる数の一の位「3」と掛ける数「4」を掛けます。3×4 = 12です。この12を、先ほど8を置いた桁の1つ右の桁(十の位)から足します。つまり、十の位に1、一の位に2を足します。このとき、百の位の8に繰り上がりが生じる場合は、適切に処理します。
- 答えを確認する: そろばんには「92」と表示されます。
計算ごとに指を移動させ、どの桁に答えを置くかを意識することが、正確な計算につながります。
2桁×2桁の掛け算(例:12×34)
2桁×2桁の掛け算は、さらに複雑になりますが、基本的な考え方は同じです。落ち着いて一つずつ計算を進めましょう。
- 積の定位点を決める: 2桁×2桁なので、「2 + 2 – 1 = 3」。定位点から左に3つ目の桁(千の位)が積の置き始めです。
- 最初の計算(1×3): 掛けられる数の十の位「1」と掛ける数の十の位「3」を掛けます。1×3 = 3です。積の定位点(千の位)に3を置きます。
- 次の計算(2×3): 掛けられる数の一の位「2」と掛ける数の十の位「3」を掛けます。2×3 = 6です。この6を、先ほど3を置いた桁の1つ右の桁(百の位)から足します。
- さらに次の計算(1×4): 掛けられる数の十の位「1」と掛ける数の一の位「4」を掛けます。1×4 = 4です。この4を、先ほど6を置いた桁の1つ右の桁(十の位)から足します。
- 最後の計算(2×4): 掛けられる数の一の位「2」と掛ける数の一の位「4」を掛けます。2×4 = 8です。この8を、先ほど4を置いた桁の1つ右の桁(一の位)から足します。
- 答えを確認する: そろばんには「408」と表示されます。
この計算では、掛け算の順番が重要です。「掛けられる数の大きい位から、掛ける数の大きい位を順に掛けていく」というルールを守りましょう。
3桁以上の掛け算への応用
3桁×1桁、3桁×2桁といったさらに桁数の多い掛け算も、基本的な進め方は変わりません。積の定位点を正しく決め、大きい位から順に「掛けては払い、足しては置く」を繰り返すことで計算できます。
- 積の定位点: 「掛けられる数の桁数 + 掛ける数の桁数 – 1」の法則は、桁数が増えても変わりません。
- 指の移動: 計算する桁が変わるたびに、指を右に1つずらして次の積を置く位置を示します。
- 繰り上がり・繰り下がり: 足し算や引き算の要領で、繰り上がりや繰り下がりを正確に処理することが求められます。
桁数が増えると計算回数も増えるため、集中力と正確さがより一層重要になります。焦らず、一つ一つの計算を丁寧に行うことが成功への道です。
そろばん掛け算をマスターするためのコツ

そろばん掛け算は、一度やり方を覚えたら終わりではありません。正確さとスピードを高めるためには、日々の練習と工夫が大切です。ここでは、そろばん掛け算をより深く習得するためのコツを紹介します。
練習を繰り返すことの重要性
どんなことでも上達には練習が不可欠ですが、そろばん掛け算も例外ではありません。特に、指の動きや珠の感覚は、繰り返し練習することで自然と身についていきます。最初はゆっくりでも構いませんので、正確に計算することを心がけましょう。簡単な問題から始め、徐々に桁数を増やしたり、時間を計ってスピードアップを目指したりするのも良い方法です。
毎日少しずつでもそろばんに触れる時間を設けることが、着実な上達につながります。
暗算力を高める練習方法
そろばんの練習は、計算力だけでなく暗算力も高めます。特に「両落とし」という方法は、そろばんを使わずに頭の中で珠をイメージして計算する「そろばん式暗算」と相性が良いと言われています。 最初はそろばんを使いながら、徐々に頭の中で珠を動かすイメージを持つように意識してみましょう。 暗算が苦手な場合は、計算途中の数字を記憶するのが難しい、数の操作ができないといった特徴が見られます。
これらを克服するためには、九九を完璧に覚えることはもちろん、足し算の基礎を徹底的に練習することが重要です。 読み上げ算やフラッシュ暗算なども、暗算力を高める効果的な練習方法です。
正確さを追求する姿勢
そろばん掛け算において、スピードも大切ですが、それ以上に「正確さ」が重要です。どんなに速く計算できても、答えが間違っていては意味がありません。特に、桁の多い計算や0が含まれる計算では、位取りを間違えやすいため、細心の注意が必要です。 計算の途中で指を置いて目印にする、マス目のあるノートを使って位を揃えるなど、自分なりの工夫を取り入れてみましょう。
焦らず、一つ一つの計算を丁寧に確認する習慣が、最終的な正確性につながります。
よくある質問

そろばん掛け算を学ぶ上で、多くの方が疑問に感じる点や、つまずきやすいポイントについてまとめました。
- そろばんの掛け算のやり方は?
- そろばんの掛け算の仕組みは?
- そろばんの掛け算で一番難しいのは?
- そろばんの掛け算で桁の決め方は?
- そろばんの掛け算はどこから置く?
- そろばんの掛け算はいつから習う?
- そろばんの掛け算のコツは?
- そろばんの掛け算で繰り上がりはどうする?
そろばんの掛け算のやり方は?
そろばんの掛け算には、「両置き」「片落とし」「両落とし」の3つの方法があります。一般的には、そろばんに何も置かずに計算を進める「両落とし」が、スピードアップや暗算力向上に効果的とされています。 計算の基本は、掛けられる数と掛ける数のそれぞれの位を掛け合わせ、その積をそろばんに置いていくことです。
そろばんの掛け算の仕組みは?
そろばんの掛け算は、筆算とは異なり、大きい位から順に計算を進めます。例えば、23×4の場合、まず2×4を計算し、次に3×4を計算します。それぞれの積を、決まった定位点から順にそろばんに足していくことで、最終的な答えを導き出します。 このとき、「掛けては払い、足しては置く」という原則に従って珠を動かします。
そろばんの掛け算で一番難しいのは?
そろばんの掛け算で難しいと感じる点として、多くの方が「積の定位点の決め方」と「位取り」を挙げます。 特に桁数が多い場合や、0が含まれる計算、小数点の計算では、定位点を間違えやすく、正確な位取りが求められます。 また、計算途中の繰り上がりや繰り下がりを正確に処理することも、難しさの一つです。
そろばんの掛け算で桁の決め方は?
そろばんの掛け算における積の定位点(答えの置き始めの桁)は、「掛けられる数の桁数 + 掛ける数の桁数 – 1」という計算式で求められます。 例えば、2桁×2桁の計算であれば「2 + 2 – 1 = 3」となり、定位点から左に3つ目の桁(千の位)が答えの置き始めとなります。
そろばんの掛け算はどこから置く?
そろばんの掛け算は、計算によって求められた積の定位点から、大きい位の数字を順に置いていきます。 例えば、2桁×1桁の計算で積の定位点が百の位であれば、百の位から計算結果を置き始め、次に十の位、一の位へと右にずらしながら珠を操作します。
そろばんの掛け算はいつから習う?
そろばんの掛け算は、一般的に足し算と引き算をマスターした後に学び始めます。珠算9級レベルで2桁×1桁の掛け算から練習するのが一般的です。 小数点の掛け算は珠算3級から習うことが多いです。
そろばんの掛け算のコツは?
そろばんの掛け算を上達させるコツは、九九を完璧に覚えること、足し算の基礎を徹底すること、そして「掛けては払い、足しては置く」という原則と積の定位点の決め方を正確に理解し、繰り返し練習することです。 焦らず、正確さを重視して取り組むことが大切です。
そろばんの掛け算で繰り上がりはどうする?
そろばんの掛け算で繰り上がりが生じた場合は、足し算の要領で処理します。例えば、ある桁に珠を足す際に、その桁の珠が足りなくなったら、上の桁から珠を借りてくる(繰り上げる)という操作を行います。 この繰り上がりの処理を正確に行うことが、正しい答えを導き出すために不可欠です。
まとめ
- そろばん掛け算は、基本的なルールを理解すれば誰でも習得できる。
- そろばんの五珠と一珠、定位点の役割を把握することが大切。
- 数字の置き方と桁の考え方を正確に理解する必要がある。
- 「掛けては払い、足しては置く」がそろばん掛け算の基本原則。
- 積の定位点は「掛けられる数の桁数 + 掛ける数の桁数 – 1」で決まる。
- 1桁×1桁の計算から始めて、徐々に桁数を増やして練習する。
- 九九の答えが1桁の場合は「0〇」と意識すると位取りがしやすい。
- 計算ごとに指を移動させ、置く桁を意識することが正確さにつながる。
- 桁数が多い掛け算も、基本の進め方は変わらない。
- 練習を繰り返すことで、指の動きと珠の感覚が身につく。
- 「両落とし」は暗算力向上にも効果的な方法。
- 暗算力を高めるには、九九と足し算の基礎が重要。
- スピードよりも正確さを重視する姿勢が大切。
- 桁の多い計算や0が含まれる計算では、位取りに特に注意する。
- 繰り上がりは足し算の要領で正確に処理する。
