ふと庭を見ると、カタツムリが大量発生していて驚いた経験はありませんか?大切に育てている植物が食べられてしまうのではないか、見た目も気持ち悪いし、どうにかしたい…とお悩みの方も多いでしょう。本記事では、カタツムリが大量発生する原因から、すぐに実践できる駆除方法、そして今後の発生を防ぐための予防策まで、詳しく解説していきます。この記事を読めば、カタツムリの悩みから解放されるはずです。
なぜ?カタツムリが大量発生する主な3つの原因

庭やベランダでカタツムリが急に増えたのには、必ず理由があります。彼らが好む環境が、あなたの庭に整ってしまっているのかもしれません。カタツムリが大量発生する主な原因は、大きく分けて3つ考えられます。まずはその原因を突き止めることが、対策への第一歩です。
- 原因1:ジメジメした湿気の多い環境
- 原因2:エサとなる植物や落ち葉が豊富
- 原因3:隠れ家になる場所が多い
原因1:ジメジメした湿気の多い環境
カタツムリが大量発生する最大の原因は「湿気」です。 カタツムリは乾燥に非常に弱く、体の水分を保つために常に湿った場所を求めて活動します。特に梅雨の時期にカタツムリをよく見かけるのは、雨が多く湿度が高い日が続くためです。
例えば、日当たりの悪い場所、風通しの悪い植木鉢の密集地、水はけの悪い土壌などは、カタツムリにとって絶好の住処となります。また、鉢植えの受け皿に水が溜まったままになっている状態も、彼らを引き寄せる原因の一つです。常にジメジメしている場所は、カタツムリが繁殖し、卵を産むのにも最適な環境なのです。
原因2:エサとなる植物や落ち葉が豊富
カタツムリは非常に食欲旺盛な生き物です。 彼らにとってエサが豊富な環境は、大量発生を促す大きな要因となります。カタツムリは広食性で、特定の植物だけでなく、さまざまなものを食べます。
特に好むのは、アブラナ科の野菜(キャベツ、ハクサイなど)、レタス、イチゴといった柔らかい葉や果実です。 また、咲き始めたばかりの花びらや新芽も好んで食べます。 それだけでなく、庭に落ちている枯れ葉や腐葉土、さらにはコンクリートに生えたコケまでエサにしてしまうのです。 このように、庭の手入れが行き届かず、落ち葉や雑草がそのままになっていると、カタツムリに豊富なエサを提供してしまい、結果として大量発生に繋がります。
原因3:隠れ家になる場所が多い
カタツムリは夜行性で、日中は外敵や乾燥から身を守るために隠れて過ごします。 そのため、庭に隠れ家となる場所が多いと、安心して生息し、繁殖してしまいます。
具体的には、以下のような場所がカタツムリの格好の隠れ家になります。
- 植木鉢やプランターの底
- 積み重ねたブロックやレンガの隙間
- 放置された落ち葉や枯れ草の下
- 庭石やウッドデッキの下
- 生い茂った雑草の中
日中に姿が見えなくても、このような場所にたくさんのカタツムリが潜んでいる可能性があります。そして夜になると一斉に活動を始め、植物を食い荒らすのです。
カタツムリの大量発生が引き起こす被害

カタツムリが大量に発生すると、見た目の不快感だけでなく、様々な被害を引き起こす可能性があります。特にガーデニングや家庭菜園をされている方にとっては、見過ごせない問題です。ここでは、カタツムリがもたらす主な被害について解説します。
- 大切な植物が食べられてしまう食害
- 見た目の不快感と粘液による汚れ
- 人体にも影響?カタツムリの寄生虫に要注意
大切な植物が食べられてしまう食害
最も深刻な被害は、植物への食害です。 カタツムリはヤスリのような硬い歯(歯舌)を持っており、これで植物の葉や花、新芽を削り取るようにして食べます。 食害された葉は、穴が開いたり、縁からギザギザに食べられたりします。
特に、植えたばかりの苗や柔らかい新芽が狙われると、被害は甚大です。 生育が止まってしまったり、最悪の場合、苗全体が食べられて枯れてしまったりすることもあります。 大切に育ててきた野菜や花が、一晩で無残な姿にされてしまうのは、非常につらいものです。
見た目の不快感と粘液による汚れ
カタツムリが這った後には、キラキラと光る粘液の跡が残ります。 これが壁や葉、窓ガラスなどに付着すると、見た目にも不衛生で、不快に感じる方も多いでしょう。大量に発生すると、至る所にこの粘液の跡が見られるようになり、美観を損ねてしまいます。
また、カタツムリそのものの見た目が苦手という方も少なくありません。庭のあちこちにカタツムリがいる状況は、精神的なストレスにも繋がりかねません。
人体にも影響?カタツムリの寄生虫に要注意
カタツムリを扱う上で、最も注意すべきなのが寄生虫の存在です。カタツムリやナメクジは、「広東住血線虫」という寄生虫の中間宿主となることがあります。
この寄生虫が、何らかの形で人間の口から体内に入ると、髄膜脳炎などを引き起こし、激しい頭痛、発熱、麻痺といった重篤な症状が現れる危険性があります。 死亡例も報告されているため、決して侮れません。
カタツムリを生で食べることなどまずないと思いますが、カタツムリを触った手でそのまま物を食べたり、カタツムリが這った野菜をよく洗わずに食べたりすることで感染するリスクもゼロではありません。 カタツムリを駆除する際や、触ってしまった後は、必ず石鹸で丁寧に手を洗うように徹底してください。
今すぐできる!カタツムリの駆除方法7選

カタツムリの被害を目の当たりにしたら、一刻も早く駆除したいと思うのが当然です。ここでは、薬剤を使わない手軽な方法から、効果の高い市販の駆除剤まで、7つの駆除方法をご紹介します。ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選んでください。
- 【薬剤を使わない】手で捕獲して駆除する
- 【薬剤を使わない】熱湯をかけて駆除する
- 【薬剤を使わない】ビールトラップを仕掛ける
- 【薬剤を使わない】コーヒーかすを撒く
- 【薬剤を使わない】銅製品を設置する
- 【薬剤を使う】市販の駆除剤を利用する
- 塩をかけるのはNG?その理由とは
【薬剤を使わない】手で捕獲して駆除する
最もシンプルで確実な方法は、見つけ次第、手で捕獲することです。カタツムリは夜行性なので、日没後や雨上がりに懐中電灯を持って庭を見回ると、効率的に見つけることができます。
捕獲する際は、寄生虫のリスクを避けるため、絶対に素手で触らず、割り箸やピンセット、ゴム手袋を使用してください。 捕まえたカタツムリは、ビニール袋に入れて口をしっかり縛ってゴミとして出すか、後述する熱湯などで処理します。地道な作業ですが、薬剤を使いたくない場所や、数がそれほど多くない場合には有効な方法です。
【薬剤を使わない】熱湯をかけて駆除する
熱湯をかけるのも、手軽で効果的な駆除方法です。カタツムリの体はタンパク質でできているため、50℃以上のお湯をかけると瞬時に固まり、駆除することができます。
ただし、この方法には注意点があります。育てている植物に熱湯がかかると、植物もダメージを受けて枯れてしまう可能性があります。 そのため、コンクリートの上や、植物から離れた場所にいるカタツムリに対してのみ使用するようにしましょう。また、ご自身が火傷をしないよう、取り扱いには十分注意してください。
【薬剤を使わない】ビールトラップを仕掛ける
カタツムリがビールの発酵臭に引き寄せられる性質を利用した罠です。 やり方は簡単で、プリンの空き容器やペットボトルの底などの浅い容器にビール(発泡酒やノンアルコールビールでも可)を注ぎ、カタツムリがよく出る場所に設置するだけです。
容器を地面に少し埋め、縁が地面から1cm程度出るようにすると、カタツムリが入りやすくなります。 ビールの匂いに誘われたカタツムリが容器の中に落ちて溺れ、駆除できるという仕組みです。ただし、ビール自体に殺虫効果はないため、飲み逃げされることもあります。 また、効果はトラップ周辺に限られるため、広範囲に発生している場合は複数設置すると良いでしょう。
【薬剤を使わない】コーヒーかすを撒く
コーヒーに含まれるカフェインは、カタツムリにとって有毒であり、忌避効果があります。ドリップした後のコーヒーかすを乾燥させ、カタツムリに来てほしくない植物の周りや、侵入経路にパラパラと撒いておきましょう。
コーヒーかすは土壌改良の効果も期待できるため、一石二鳥の方法です。ただし、雨が降ると効果が薄れて流れてしまうため、定期的に撒き直す必要があります。また、カフェインは他の生物にも影響を与える可能性があるので、使いすぎには注意しましょう。
【薬剤を使わない】銅製品を設置する
カタツムリは、銅から発生する銅イオンを嫌う性質があります。 この性質を利用し、守りたいプランターや植木鉢の周りに銅線や銅板テープをぐるりと一周貼り付けることで、カタツムリの侵入を防ぐことができます。
銅に触れると、カタツムリは軽い電気ショックのようなものを感じて、それ以上進むことができなくなります。ホームセンターなどで園芸用の銅テープが販売されています。 同じ理由で、10円玉を並べておくのも一定の効果が期待できると言われています。
【薬剤を使う】市販の駆除剤を利用する
大量に発生してしまい、手作業での駆除が追いつかない場合は、市販のカタツムリ専用駆除剤を使用するのが最も効率的です。 駆除剤には、主に以下のようなタイプがあります。
- 誘引・毒餌タイプ(ベイト剤): カタツムリが好む成分で誘い出し、食べさせて駆除する粒状の薬剤です。 雨に強い製品も多く、効果の持続性が高いのが特徴です。
- スプレータイプ: 見つけたカタツムリに直接噴射して駆除するタイプです。即効性がありますが、薬剤が植物にかからないよう注意が必要です。
成分としては、リン酸第二鉄を主成分とするものがおすすめです。 この成分は、カタツムリやナメクジには効果がありますが、犬や猫などのペット、人間にとっては比較的安全性が高いとされています。 とはいえ、薬剤であることに変わりはないので、使用する際は必ず製品の説明書をよく読み、用法・用量を守って正しく使用してください。
塩をかけるのはNG?その理由とは
「カタツムリに塩をかけると溶ける」という話は有名ですが、実は駆除方法としてはあまりおすすめできません。 確かに、塩をかけると浸透圧の作用でカタツムリの体から水分が抜けて縮みます。
しかし、完全に死滅させるには大量の塩が必要で、中途半端だと水分を得て復活してしまうこともあります。
そして最大の問題は、土壌への影響です。庭や花壇に塩を撒くと、土壌の塩分濃度が高くなり、「塩害」を引き起こします。 これにより、育てている植物が水分を吸収できなくなり、枯れてしまう原因になります。大切な植物を守るための駆除が、逆に植物を傷つける結果になっては本末転倒です。特別な理由がない限り、塩の使用は避けるべきでしょう。
二度と寄せ付けない!カタツムリの発生を予防する5つの対策

一度カタツムリを駆除しても、彼らが好む環境がそのままであれば、またすぐに発生してしまいます。大切なのは、カタツムリが住み着きにくい環境を作ることです。ここでは、日頃からできる5つの予防策をご紹介します。
- 落ち葉や枯れ葉をこまめに掃除する
- 雑草を定期的に除去する
- 鉢植えの受け皿に水を溜めない
- 風通しと水はけを良くする
- カタツムリが嫌う植物を植える
落ち葉や枯れ葉をこまめに掃除する
落ち葉や枯れ葉が積もった場所は、カタツムリにとって最高の隠れ家であり、エサ場にもなります。 湿気を保ち、日差しを遮ってくれるため、日中を過ごすのに最適な場所なのです。
庭やベランダはこまめに掃除し、落ち葉や枯れ葉を放置しないように心がけましょう。これだけで、カタツムリが隠れる場所を大幅に減らすことができます。特に、ジメジメしやすい建物の北側や、物陰は念入りに掃除することが大切です。
雑草を定期的に除去する
生い茂った雑草も、カタツムリの隠れ家やエサになります。 雑草が密集していると、その根元は常に湿った状態が保たれ、風通しも悪くなります。これはまさに、カタツムリが好む環境そのものです。
定期的に草むしりを行い、庭をすっきりと保つことが重要です。雑草がなくなれば、カタツムリが身を隠す場所が減るだけでなく、庭全体の日当たりや風通しが改善され、湿気が溜まりにくくなるという効果も期待できます。
鉢植えの受け皿に水を溜めない
見落としがちですが、植木鉢の受け皿に溜まった水もカタツムリの発生源になります。水やり後、受け皿に水が溜まったままになっていませんか?この溜まった水は、カタツムリに格好の水分補給場所を提供してしまいます。
水やりをした後は、必ず受け皿の水を捨てる習慣をつけましょう。また、プランターを直接地面に置かず、台やブロックの上に置くことで、底面の風通しを良くし、湿気がこもるのを防ぐことができます。これもカタツムリ対策として有効です。
風通しと水はけを良くする
カタツムリは湿気を好むため、庭全体の風通しと水はけを改善することが、根本的な予防策に繋がります。 植木鉢を密集させて置いている場合は、間隔をあけて風が通り抜けるように配置しましょう。
また、庭の土が粘土質で水はけが悪い場合は、腐葉土やパーライトなどを混ぜ込んで土壌改良を行うのも一つの手です。水たまりができにくい環境を作ることで、カタツムリだけでなく、他の病害虫の発生も抑制することができます。
カタツムリが嫌う植物を植える
予防策の一つとして、カタツムリが嫌うとされる植物(忌避植物)をガーデニングに取り入れるのも面白い方法です。一般的に、香りの強いハーブ類は多くの虫が苦手とします。
例えば、ラベンダー、ローズマリー、ミント、ゼラニウムなどは、カタツムリが嫌う香りを持つと言われています。これらの植物を守りたい花の周りに植えることで、カタツムリを寄せ付けにくくする効果が期待できます。ただし、効果は絶対的なものではないため、他の予防策と組み合わせて行うことが大切です。
よくある質問

カタツムリはどこからやってくるのですか?
カタツムリは、もともとその土地の土の中や落ち葉の下に生息している場合がほとんどです。また、購入した花の苗や野菜の土に卵や小さな個体が紛れ込んでいて、庭に持ち込まれるケースもあります。移動能力は低いですが、壁を登ることもできるため、隣の敷地から侵入してくることも考えられます。
カタツムリの卵はどこに産み付けられますか?
カタツムリは、湿った土の中や、落ち葉の下、植木鉢の底など、乾燥しにくい場所に卵を産み付けます。 卵は直径2mmほどの白く半透明な球形で、一度に30~50個ほどの卵を塊で産みます。 卵を見つけた場合は、孵化する前に取り除くのが効果的です。
カタツムリの活動時期はいつですか?
カタツムリは、春から秋にかけて活動しますが、特に活発になるのは湿度が高くなる梅雨の時期(5月~7月頃)と、秋雨の時期(9月~10月頃)です。 この時期は産卵期でもあり、食欲も旺盛になるため、特に注意が必要です。
カタツムリに天敵はいますか?
はい、います。カタツムリの天敵として有名なのは「マイマイカブリ」という昆虫です。 マイマイカブリは、その名の通りカタツムリを専門に捕食します。その他にも、鳥類、カエル、タヌキなどの哺乳類もカタツムリを食べることがあります。 しかし、都市部の住宅街の庭では、これらの天敵が十分にいるとは限らないため、天敵による抑制効果はあまり期待できないのが現状です。
カタツムリとナメクジの違いは何ですか?
生物学的には、カタツムリとナメクジは非常に近い仲間です。 最大の違いは「殻」の有無です。カタツムリは背中に大きな殻を持っていますが、ナメクジは進化の過程で殻が退化して体内に入り、外からは見えなくなっています。 殻がない分、ナメクジはより狭い隙間に入り込めますが、乾燥にはカタツムリ以上に弱いという特徴があります。 発生原因や駆除方法は、両者でほぼ共通しています。
まとめ

- カタツムリは湿気、エサ、隠れ家を求めて発生する。
- 主な原因はジメジメした環境と豊富なエサ。
- 植木鉢の底や落ち葉の下が格好の隠れ家になる。
- 被害は植物の食害や粘液による汚れが中心。
- 寄生虫のリスクがあるため素手で触るのは危険。
- 駆除後は必ず石鹸で手を洗うこと。
- 駆除には手での捕獲や熱湯が手軽で有効。
- ビールトラップは誘引効果が高い。
- コーヒーかすや銅製品には忌避効果がある。
- 大量発生時は市販の駆除剤が効率的。
- 土壌に悪影響なので塩での駆除は避けるべき。
- 予防にはこまめな掃除が最も重要。
- 落ち葉や雑草を除去し、隠れ家をなくす。
- 風通しと水はけを良くして湿気を減らす。
- カタツムリが住みにくい環境作りが再発防止の鍵。