大切に育てているお花が、ある朝見たら穴だらけ…そんな悲しい経験はありませんか?ガーデニング好きにとって、ナメクジは本当に悩ましい存在ですよね。ジメジメした季節になるとどこからともなく現れて、柔らかい新芽や美しい花びらを食べてしまいます。本記事では、そんなナメクジの被害にお困りのあなたへ、ナメクジが嫌う、食害に強い花を宿根草・一年草・ハーブに分けて詳しくご紹介します。さらに、効果的なナメクジ対策や、逆にナメクジが好む植物まで、あなたの庭をナメクジから守るための知識を網羅しました。この記事を読めば、もうナメクジに悩まされることなく、心ゆくまでガーデニングを楽しめるようになりますよ。
ナメクジに強い花【宿根草・多年草編】

毎年植え替える必要がなく、年々株が大きく育っていく宿根草や多年草。植えっぱなしで楽しめる手軽さが魅力ですが、ナメクジに強い品種を選べば、さらにローメンテナンスで美しい庭を維持できます。ここでは、ナメクジの食害を受けにくい、頼れる宿根草・多年草をご紹介します。
- ナメクジが嫌う定番の宿根草
- 葉の硬さでナメクジを寄せ付けない植物
- 日陰でも育つナメクジに強いシェードガーデンの味方
- 乾燥に強くナメクジが好まない環境を作る植物
クリスマスローズ
冬から早春にかけて、うつむき加減に美しい花を咲かせるクリスマスローズは、ナメクジに強い花の代表格です。その理由は、葉や茎、根に「ヘレボリン」という有毒な成分を含んでいるため。ナメクジはこの毒を嫌って寄り付きません。日陰にも強く、一度植えればほとんど手間いらずで毎年花を咲かせてくれるので、シェードガーデンにもおすすめです。シックな花色が多く、おしゃれな庭を演出してくれます。
アジュガ
春になると、青や紫、ピンク色の美しい花穂を立ち上げるアジュガ。地面を這うように広がっていくため、雑草対策のグランドカバーとしても非常に人気があります。アジュガの葉は硬めで、ナメクジが好む柔らかさではないため、食害を受けにくいのが特徴です。日陰や湿った場所でも元気に育ちますが、ナメクジの隠れ家にならないよう、風通しを良くしてあげるのが管理のコツです。
ギボウシ(ホスタ)
多彩な葉の色や模様が魅力で、日陰の庭を明るく彩ってくれるギボウシ。品種によって葉の質感は様々ですが、特に葉が肉厚で硬い品種はナメクジの被害に遭いにくいとされています。ナメクジは柔らかい葉を好むため、硬い葉は食べづらいのです。ただし、芽吹いたばかりの柔らかい若葉は狙われることがあるので注意が必要。梅雨時期には株元をチェックし、ナメクジが隠れていないか確認すると良いでしょう。
ヒューケラ
「カラーリーフの宝石」とも呼ばれるヒューケラは、赤やライムグリーン、ブロンズなど、年間を通して美しい葉色を楽しめるのが魅力です。葉が革質でやや硬いため、ナメクジはあまり好みません。日陰にも強く、寄せ植えや花壇の縁取りに使うと、庭全体がおしゃれな雰囲気になります。様々な色をコレクションする楽しみもあり、ガーデナーに人気の高い植物です。
シャクヤク
初夏に豪華で美しい大輪の花を咲かせるシャクヤク。その華やかな姿から「立てば芍薬」と美女にたとえられるほどです。シャクヤクもまた、葉や茎にナメクジが嫌う成分を含んでいるため、食害の心配がほとんどありません。日当たりの良い場所を好み、一度植え付ければ毎年花を咲かせてくれる丈夫な宿根草です。
キキョウ
夏から秋にかけて、涼しげな青紫色の星形の花を咲かせるキキョウ。古くから日本で親しまれてきた、風情のある宿根草です。キキョウの葉や茎にはサポニンという苦み成分が含まれており、これがナメクジを遠ざける効果があります。丈夫で育てやすく、夏の暑さにも負けずに咲き続ける頼もしい存在です。
ベロニカ
すっと伸びた花穂に小花をたくさん咲かせるベロニカは、ナチュラルな雰囲気の庭にぴったりです。品種によって這うように広がるタイプや、立ち上がるタイプなど様々。葉が硬めで、ナメクジが好まないため被害を受けにくい植物です。丈夫で育てやすく、植えっぱなしでも毎年よく咲いてくれます。特に「オックスフォードブルー」などの品種は、春に美しい青い花を咲かせ、グランドカバーとしても活躍します。
その他ナメクジに強い宿根草
その他にも、以下のような宿根草がナメクジに強いと言われています。
- ペラルゴニウム・シドイデス: 乾燥を好み、独特の葉の質感からナメクジが寄り付きにくいです。
- 矮性カスミソウ: 細かい葉が密生し、ナメクジが好みません。
- イベリス: 春に白い小花を株いっぱいに咲かせます。耐寒性・耐暑性があり丈夫です。
- チョウジソウ: 淡いブルーの星形の花が美しい植物。植えっぱなしで年々大株になります。
- オダマキ: うつむき加減に咲く姿が可憐な花。様々な園芸品種があります。
ナメクジに強い花【一年草編】

季節ごとに植え替えて、花壇の表情を変えられるのが一年草の魅力です。ナメクジは柔らかい花びらや葉を持つ一年草を好む傾向がありますが、中には被害を受けにくい種類もあります。ここでは、ナメクジに負けずに元気に育つ一年草をご紹介します。
- 鮮やかな花色で夏花壇を彩る一年草
- 小花が可愛らしく寄せ植えにも最適な一年草
- ナメクジ対策としても知られるコンパニオンプランツ
ベゴニア
肉厚で光沢のある葉を持つベゴニアは、ナメクジが嫌う植物の代表格です。特にセンパフローレンス系のベゴニアは、春から秋まで途切れることなく花を咲かせ続け、暑さや乾燥にも強く非常に育てやすいのが特徴です。花壇の縁取りやプランター植えにすると、手間をかけずに彩りをプラスできます。葉のシュウ酸がナメクジを遠ざけると言われています。
金魚草
その名の通り、金魚が泳いでいるようなユニークな花形が人気の金魚草。甘い香りがするものもありますが、葉や茎に含まれる成分をナメクジは嫌うため、食害を受けにくいです。 品種によって高性種から矮性種まであり、花色も豊富なので、花壇のアクセントや切り花としても楽しめます。花が終わった枝を切り戻すと、次々と脇芽が伸びて長く花を楽しめます。
スイートアリッサム
春と秋に、白い小花が絨毯のように広がるスイートアリッサム。甘い香りが特徴ですが、不思議とナメクジの被害には遭いにくい植物です。 寄せ植えの株元を隠したり、ハンギングバスケットから垂らしたりと、様々な使い方ができます。ナメクジが出やすい場所に植えても、比較的きれいに花を保ってくれることが多いです。
マリーゴールド
マリーゴールドは、根から出る分泌物が土中のネコブセンチュウを抑制する効果があることで有名ですが、その独特の強い香りはナメクジも嫌うと言われています。 ただし、これは意見が分かれるところ。一部では「マリーゴールドの若い芽はナメクジに食べられる」という報告もあります。 そのため、ナメクジを完全に防ぐというよりは、他の大切な植物からナメクジを遠ざける「おとり」や「コンパニオンプランツ」として活用するのが良いかもしれません。
ナメクジ対策に!香りで守るハーブ類

多くのハーブが持つ独特の強い香りは、人間にとっては癒やしでも、ナメクジにとっては苦手なものです。花壇の縁取りや、ナメクジに狙われやすい植物の近くに植える「コンパニオンプランツ」として活用すれば、自然な忌避効果が期待できます。
- 強い香りでナメクジを遠ざける代表的なハーブ
- 料理にも使えて一石二鳥のハーブ
- 植えるだけで庭をおしゃれにするハーブ
ラベンダー
爽やかな香りでリラックス効果もあるラベンダーは、ナメクジが非常に嫌う香りとして知られています。 特に香りが強いラバンディン系やスペインラベンダーは、高い忌避効果が期待できます。 日当たりと水はけの良い乾燥した環境を好むため、ナメクジが好むジメジメした環境を作りにくいのも利点です。ドライフラワーにして株元に撒くのも効果的です。
ローズマリー
すっきりとした強い香りが特徴のローズマリーも、ナメクジを遠ざける効果が高いハーブです。 硬く尖った葉は、ナメクジにとって食べにくく、移動の妨げにもなります。立性、ほふく性と様々な樹形があり、生垣やグランドカバー、鉢植えなど幅広く利用できます。乾燥に非常に強く、育てやすいのも魅力です。
タイム
料理の香りづけにも使われるタイムは、清涼感のある強い香りを放ちます。この香りに含まれる「チモール」という成分をナメクジは嫌います。 地面を這うように広がるクリーピングタイムをグランドカバーにすれば、ナメクジの侵入を防ぐバリアのような役割を果たしてくれます。乾燥と日当たりを好むため、ロックガーデンなどにも最適です。
ミント
繁殖力が非常に旺盛なミントですが、そのスーッとするメントールの香りもナメクジの忌避に役立ちます。 ただし、地植えにするとあっという間に広がって他の植物の領域を侵してしまうため、必ず鉢植えやプランターで管理するようにしましょう。鉢をナメクジ避けのバリアとして、守りたい植物の周りに置くのがおすすめです。
要注意!ナメクジが好む花と特徴

ナメクジに強い花を知る一方で、彼らが大好きな花を知っておくことも重要です。これらの植物を育てる際は、特に念入りなナメクジ対策が必要になります。
ナメクジは、柔らかくて水分を多く含む植物を好んで食べます。特に、以下のような花は被害に遭いやすいので注意しましょう。
- ペチュニア・サフィニア: 美しい花が次々と咲きますが、花びらが柔らかく、ナメクジの大好物です。
- パンジー・ビオラ: 冬から春花壇の主役ですが、こちらも柔らかい花びらが狙われがちです。
- マリーゴールドの若葉: 前述の通り、成株は嫌う傾向にありますが、発芽したての柔らかい双葉は食べられることがあります。
- ダリア: 豪華な花を咲かせますが、新芽や花びらが好物です。
- キャベツ、レタス、白菜などの葉物野菜: 家庭菜園では特に注意が必要です。結球する野菜は中に潜り込んでいることもあります。
- イチゴ: 柔らかい果実はナメクジにとってごちそうです。
これらの植物の周りには、コーヒーかすを撒いたり、銅板で囲ったり、後述するナメクジ対策を重点的に行うことをおすすめします。
ナメクジ被害をゼロに!最強の予防&駆除対策

ナメクジに強い花を植えても、庭の環境によっては被害が出てしまうことも。ここでは、ナメクジを寄せ付けないための予防策と、見つけてしまったときの効果的な駆除方法を合わせてご紹介します。
ナメクジを寄せ付けない環境づくり(予防策)
ナメクジは、暗く湿ったジメジメした場所が大好きです。 彼らが好む環境をなくすことが、最も効果的な予防策になります。
- 落ち葉や枯れ草を掃除する: 落ち葉の下はナメクジの絶好の隠れ家です。こまめに掃除して、隠れ場所を奪いましょう。
- 風通しを良くする: 植物が密集していると湿度が高くなります。適度に剪定したり、株間をあけて植えたりして、風通しを確保しましょう。
- プランターや鉢を台に乗せる: 地面に直接置くと、鉢底が湿ってナメクジの住処になります。フラワースタンドなどを利用して、地面から離すだけで被害を大きく減らせます。
- 銅製品を活用する: ナメクジは銅から発生する微弱な電流を嫌います。プランターの周りに銅線や銅テープを巻くと、侵入を防ぐバリアになります。
見つけたら即退治!効果的な駆除方法
ナメクジは夜行性です。 被害があるのに昼間姿が見えない場合は、夜間に懐中電灯を持ってパトロールすると見つけやすいでしょう。
- ビールトラップ: ナメクジはビールの酵母の匂いが大好きです。 浅い容器にビール(発泡酒では効果が薄いことも)を入れ、ナメクジが出そうな場所に置いておくと、誘い込まれて溺れます。
- コーヒーかす: コーヒーに含まれるカフェインはナメクジが嫌う成分です。 乾かしたコーヒーかすを守りたい植物の周りに撒いておくと、忌避効果が期待できます。土壌改良にもなり一石二鳥です。
- 市販の駆除剤: 最も手軽で効果が高い方法です。ナメクジが好む餌に殺虫成分を混ぜた誘引殺虫剤が主流です。 雨に強いタイプや、ペットや子供がいる家庭でも比較的安心して使える天然成分(リン酸第二鉄など)の製品もありますので、用途に合わせて選びましょう。
- 熱湯や塩: 直接かけると駆除できますが、植物にかかると枯れてしまいますし、土壌に塩分が残ると植物が育たなくなります。 コンクリートの上などにいる場合に限定して使用しましょう。
よくある質問

ナメクジが嫌いな匂いは何ですか?
ナメクジは、ハーブ系の強い香りを特に嫌います。具体的には、ラベンダー、ローズマリー、ミント、タイムなどの香りが効果的です。 また、コーヒーに含まれるカフェインの香りや、木を燃やしたときに出る木酢液の燻製のような香りも苦手とされています。 これらの香りをうまく利用することで、ナメクジを庭から遠ざけることができます。
コーヒーかすは本当に効きますか?
はい、効果が期待できます。コーヒーかすに含まれるカフェインは、ナメクジにとって有毒な成分であり、神経系に作用して麻痺させる効果があります。 そのため、ナメクジはコーヒーかすが撒かれた場所を避けて通る傾向があります。守りたい植物の株元にぐるりと撒いておくと、物理的なバリアとしても機能します。ただし、雨で流れると効果が薄れるため、定期的に撒き直すのがおすすめです。
ペットがいても安全な駆除剤はありますか?
はい、あります。小さなお子さんやペットがいるご家庭では、薬剤の安全性が気になりますよね。その場合は、主成分が「リン酸第二鉄」のナメクジ駆除剤を選びましょう。 この成分は自然の土壌にも含まれるもので、ナメクジやカタツムリには効果がありますが、犬や猫、鳥などの哺乳類や鳥類にはほとんど害がないとされています。 商品の注意書きをよく読んで、正しく使用してください。
ナメクジはどこから来るのですか?
ナメクジは、もともと庭の土の中や、落ち葉、石、植木鉢の下など、暗くて湿った場所に潜んでいます。 また、購入した花の苗や野菜の苗の土に卵や小さな個体が潜んでいることもあり、それが庭に持ち込まれるケースも少なくありません。外部から侵入してくるだけでなく、庭の中で繁殖している可能性も高いのです。雌雄同体で1匹でも産卵できるため、見つけたら早めに対処することが大量発生を防ぐ鍵となります。
ナメクジに素手で触っても大丈夫ですか?
いいえ、素手で触るのは絶対に避けてください。ナメクジは「広東住血線虫」という寄生虫を保有している可能性があります。 この寄生虫が人間の体内に入ると、髄膜炎などの重篤な症状を引き起こすことがあるため大変危険です。駆除する際は、必ず割り箸やピンセット、手袋などを使用し、直接触れないようにしましょう。もし触ってしまった場合は、石鹸で念入りに手を洗ってください。
まとめ

- ナメクジは柔らかく湿った植物を好む。
- 葉が硬い、香りや毒性がある植物はナメクジに強い。
- 宿根草ではクリスマスローズやギボウシが代表的。
- 一年草ではベゴニアや金魚草がおすすめ。
- ラベンダーなどのハーブ類は強い香りでナメクジを忌避する。
- ペチュニアやパンジーはナメクジの好物なので注意。
- 予防の基本は、ジメジメした環境を作らないこと。
- 落ち葉の掃除や風通しの改善が効果的。
- プランターを台に乗せるだけで被害は大きく減る。
- 銅製品はナメクジの侵入を防ぐバリアになる。
- 駆除にはビールトラップやコーヒーかすが有効。
- 市販の駆除剤は手軽で効果が高い。
- ペットがいる家庭はリン酸第二鉄が主成分の薬剤を選ぶ。
- ナメクジは寄生虫を持つため素手で触らない。
- 強い花と対策を組み合わせて、快適な庭づくりを。