冬の乾燥や水仕事で手荒れがひどくなり、指先や手の甲にできる「あかぎれ」は、日常生活に大きな支障をきたすつらい症状です。痛みや出血を伴うこともあり、早く治したいと強く願う方も多いのではないでしょうか。本記事では、あかぎれに悩む方のために、皮膚科医も注目するハンドクリームの選び方から、効果的な塗り方、そして日々のケア方法までを徹底的に解説します。
あなたの手肌を健やかに保つための情報が満載です。
あかぎれで悩むあなたへ：皮膚科医がおすすめするハンドクリームの選び方
あかぎれは、皮膚の乾燥が進行し、亀裂が真皮にまで達して痛みや出血を伴う状態を指します。ひび割れよりも症状が深く、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。このつらいあかぎれを改善するためには、適切なハンドクリームを選ぶことが非常に重要です。皮膚科医が推奨するハンドクリームの選び方を知り、ご自身の症状に合った製品を見つけましょう。
あかぎれの原因を知る：なぜ手は荒れてしまうのか
私たちの手は、顔や体と比べて皮脂腺が少なく、もともと乾燥しやすい部位です。さらに、日常生活で水仕事や手洗い、アルコール消毒など、外部からの刺激に頻繁にさらされるため、皮膚のバリア機能が低下しやすくなります。
乾燥と外部刺激が主な原因
あかぎれの主な原因は、皮膚の乾燥です。特に冬場は気温の低下や空気の乾燥により、汗や皮脂の分泌量が減少し、皮膚の水分や弾力性が失われやすくなります。 乾燥した皮膚は硬くなり、わずかな力でも亀裂が入りやすくなるのです。
水仕事や冷えも影響
水仕事の頻度が高いと、洗剤や水・お湯によって皮膚の天然の油分が奪われ、バリア機能が低下します。 また、冷たい外気にさらされることで血行が悪くなり、皮膚に十分な栄養が届かなくなることも、あかぎれを悪化させる要因となります。
あかぎれ対策ハンドクリームに配合されるべき成分
あかぎれ対策のハンドクリームを選ぶ際には、配合されている成分に注目することが大切です。症状の改善や予防に効果的な成分を知り、ご自身の状態に合ったものを選びましょう。
保湿成分：セラミド、ヒアルロン酸、グリセリン
皮膚のバリア機能をサポートし、水分を保持する役割を持つのが保湿成分です。セラミドは皮膚の角質層に存在する脂質で、肌のバリア機能を高め、水分の蒸発を防ぎます。 ヒアルロン酸やグリセリンも高い保湿力で知られ、乾燥から手肌を守るために欠かせません。
血行促進成分：ビタミンE誘導体
血行を促進することで、皮膚の新陳代謝を活発にし、肌の修復を早める効果が期待できます。ビタミンE誘導体（トコフェロール酢酸エステル）は、この血行促進作用を持つ代表的な成分です。
抗炎症成分：グリチルリチン酸ジカリウム
あかぎれによる赤みや炎症を抑えるために重要なのが抗炎症成分です。グリチルリチン酸ジカリウムは、肌荒れや炎症を鎮める効果があり、多くの薬用ハンドクリームに配合されています。
角質軟化・修復成分：尿素、ヘパリン類似物質
硬くなった角質を柔らかくし、皮膚の修復を助ける成分もあかぎれ対策には有効です。尿素は硬くなった角質を軟化させ、肌のゴワつきを改善します。 ただし、傷口にしみる場合があるため、ひび割れがひどい場合は注意が必要です。 ヘパリン類似物質は、保湿作用だけでなく、血行促進や抗炎症作用も持ち、皮膚のバリア機能の改善に役立ちます。
保護成分：ワセリン、シアバター
皮膚表面に膜を張り、外部刺激から保護する役割を持つのが保護成分です。ワセリンは非常に高い保護力で知られ、乾燥や水仕事から手肌を守ります。 シアバターも同様に、肌に潤いの膜を作り、乾燥を防ぐ効果があります。
症状別！皮膚科医がおすすめするハンドクリームのタイプ
あかぎれの症状は人それぞれです。ご自身の手の状態に合わせて、最適なハンドクリームのタイプを選びましょう。
軽度な乾燥・予防には「高保湿タイプ」
まだあかぎれには至っていないものの、乾燥が気になる、または予防したい場合には、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分が豊富に配合された高保湿タイプのハンドクリームがおすすめです。 日常的にこまめに塗ることで、皮膚のバリア機能を健やかに保ち、あかぎれへの進行を防ぎます。
ひび割れ・あかぎれには「修復・治療タイプ」
すでにひび割れやあかぎれができてしまっている場合は、皮膚の修復を助ける成分や炎症を抑える成分が配合された「修復・治療タイプ」を選びましょう。 尿素、ヘパリン類似物質、アラントイン、パンテノール、ビタミンE誘導体、グリチルリチン酸ジカリウムなどが有効です。
敏感肌には「低刺激・無香料タイプ」
敏感肌の方や、香りに敏感な方、または職場などで香りを避けたい場合には、低刺激で無香料のハンドクリームが適しています。 セラミド配合で肌のバリア機能をサポートするものや、アルコールフリー、パラベンフリーなどの処方を選ぶと良いでしょう。
皮膚科医も注目！あかぎれに効果的な市販ハンドクリーム
ドラッグストアなどで手軽に購入できる市販のハンドクリームの中にも、あかぎれに効果的な製品は数多くあります。ここでは、皮膚科医も注目する成分を配合した、おすすめのハンドクリームをタイプ別にご紹介します。
尿素配合で硬くなった角質をケアするハンドクリーム
尿素は、硬くなった角質を柔らかくし、肌のゴワつきを改善する効果が期待できます。特に、手全体がカチカチに硬くなっているあかぎれに悩む方におすすめです。
- ユースキンA: ビタミンE、グリチルレチン酸、dl-カンフル、グリセリンなどを配合し、ひび、あかぎれ、しもやけに効果を発揮するロングセラー製品です。
- フェルゼアHA20クリーム: 尿素を20%配合し、硬くなった角質をしっかりケアします。
- 資生堂 薬用ハンドクリームUR: 尿素、ビタミンE誘導体、グリチルリチン酸塩の3つの有効成分が配合されており、手荒れを防ぎます。
ヘパリン類似物質で肌のバリア機能を高めるハンドクリーム
ヘパリン類似物質は、保湿、血行促進、抗炎症作用を併せ持ち、肌のバリア機能の改善に役立ちます。乾燥による手荒れやあかぎれの治療薬としても注目されています。
- アトリックス メディケイティッド: ヘパリン類似物質を配合したタイプもあり、乾燥による手荒れやひび割れに効果的です。
- ヒルマイルドクリーム: ヘパリン類似物質を配合した医薬品で、乾燥による手荒れやひび割れに効果が期待できます。
- クリニラボ ヘパリオモイストバリア: ヘパリン類似物質とグリチルリチン酸ジカリウムを配合し、乾燥・肌荒れを防ぎます。
セラミドで乾燥から守る低刺激ハンドクリーム
セラミドは、肌のバリア機能に不可欠な成分で、乾燥から手肌を守り、敏感肌の方にも優しい選択肢となります。
- キュレル ハンドクリーム: 潤い成分が角層の深部まで浸透し、手肌保護膜成分と消炎剤アラントインを配合。ひびやあかぎれを防ぎ、敏感肌にもおすすめです。
- アベンヌ 薬用ハンドクリーム: アベンヌコールドクリーム成分が配合されており、しっとり保湿しながらもベタつきにくい使用感が特徴です。
ワセリンベースでしっかり保護するハンドクリーム
ワセリンは、皮膚表面に強力な保護膜を形成し、外部刺激から肌を守り、水分の蒸発を防ぎます。特に、水仕事が多い方や、刺激から手を守りたい方におすすめです。
- プロペトピュアベールa: 純度の高い白色ワセリンで、皮膚を保護し、乾燥や刺激から守ります。
- ベビーワセリン: 赤ちゃんにも使える低刺激性で、乾燥した肌を優しく保護します。
- ヴァセリン ハンド＆フィンガー: 高保湿ながらベタつきにくいテクスチャーで、手肌をしっかり保護します。
あかぎれを早く治す！ハンドクリームの正しい塗り方と効果を高めるコツ
どんなに良いハンドクリームを選んでも、正しい方法で塗らなければその効果を十分に引き出すことはできません。あかぎれを早く治し、健やかな手肌を取り戻すための塗り方と、効果を高めるコツをご紹介します。
効果的なハンドクリームの塗り方ステップ
ハンドクリームは、ただ塗るだけでなく、いくつかのステップを踏むことで浸透力と効果が高まります。
- 清潔な手に適量を: まず、手を洗い清潔な状態にします。 ハンドクリームは人差し指の第一関節分くらいを目安に、手の甲に出します。
- 指先、爪周りまで丁寧に: 手の甲から全体に広げ、指一本一本、指の間、そして爪の周りまで丁寧に塗り込みます。 ささくれができやすい指先や爪の根元は特に念入りにケアしましょう。
- マッサージしながら浸透させる: 両手を組んだり、手のひらで包み込んだりして、体温で温めながらマッサージするように優しくなじませます。 これにより血行が促進され、クリームの浸透が良くなります。
ハンドクリームを塗るベストなタイミング
ハンドクリームは、乾燥を感じたときにこまめに塗ることが基本ですが、特に効果的なタイミングがあります。
- 手洗い後、入浴後、就寝前: 水に触れた後は、皮膚の水分が奪われやすいため、すぐにハンドクリームを塗って保湿しましょう。 就寝前は、日中の活動でダメージを受けた手をじっくりケアできる絶好のタイミングです。
- 水仕事の前にも保護として: 水仕事の前に、撥水効果のあるハンドクリームやワセリンなどを塗ることで、洗剤や水から手肌を保護できます。
日常生活でできるあかぎれ対策
ハンドクリームでのケアと合わせて、日々の生活習慣を見直すこともあかぎれ対策には欠かせません。
- 水仕事時の手袋着用: 洗剤や水から手肌を守るために、水仕事の際はゴム手袋や綿手袋を着用しましょう。
- 刺激の少ない洗剤選び: 手肌に優しい成分の洗剤を選ぶことも大切です。
- 冷え対策と栄養バランス: 手足を冷やさないように温かい手袋を着用したり、血行を促進するビタミンEなどを意識して摂取したりすることも効果的です。
こんな時は皮膚科へ！専門医に相談すべき症状
セルフケアで改善が見られない場合や、症状が重い場合は、早めに皮膚科を受診することが大切です。専門医の診察を受け、適切な治療を受けることで、あかぎれの悪化を防ぎ、早期回復につながります。
市販薬で改善しない場合
5～6日程度セルフケアを続けてもあかぎれの症状が緩和しない、または悪化していると感じる場合は、市販薬では対応しきれない可能性があります。 別の原因が隠れていることも考えられるため、皮膚科を受診しましょう。
痛みや出血がひどい、化膿している場合
あかぎれが深く、強い痛みや出血が続いている場合、また患部が赤く腫れていたり、膿が出ている場合は、細菌感染を起こしている可能性があります。 このような症状が見られる場合は、速やかに皮膚科を受診し、適切な処置を受ける必要があります。
症状が広範囲に及ぶ、悪化する場合
あかぎれが手の広範囲に広がっている、または症状がどんどん悪化していると感じる場合も、自己判断せずに皮膚科医に相談しましょう。 専門医の診断により、より強力な治療薬や、根本的な原因への対処法が見つかるかもしれません。
よくある質問
- あかぎれに効く市販薬は？
- あかぎれにワセリンは効く？
- 皮膚科で処方される手荒れの薬は？
- あかぎれがひどい時の対処法は？
- ハンドクリームはいつ塗るのが効果的？
- あかぎれに効くハンドクリームの選び方は？
- あかぎれに効く成分は？
- あかぎれに効く食べ物は？
あかぎれに効く市販薬は？
あかぎれに効く市販薬には、尿素、ヘパリン類似物質、アラントイン、パンテノール、ビタミンE誘導体、グリチルリチン酸ジカリウムなどが配合されたものがあります。 症状に応じて、保湿成分、血行促進成分、抗炎症成分、組織修復成分などをバランス良く配合した製品を選ぶと良いでしょう。
あかぎれにワセリンは効く？
ワセリンは、皮膚表面に保護膜を形成し、外部刺激から肌を守り、水分の蒸発を防ぐ効果があります。 あかぎれの傷口を保護し、乾燥を防ぐことで、治癒を助ける効果が期待できます。 ただし、治療効果というよりは保護・保湿が主な役割です。
皮膚科で処方される手荒れの薬は？
皮膚科では、症状の程度に応じて、ステロイド外用剤、ヘパリン類似物質、尿素製剤などが処方されることがあります。 特に炎症が強い場合や、市販薬で改善しない場合は、医師の診断のもと適切な薬が処方されます。
あかぎれがひどい時の対処法は？
あかぎれがひどい時は、まず患部を清潔に保ち、刺激の少ない保湿剤や治療薬をこまめに塗ることが大切です。 水仕事の際は手袋を着用し、患部を保護しましょう。 痛みが強い場合は、治癒促進タイプの絆創膏で傷口を密閉し、保護するのも有効です。 症状が改善しない場合は、早めに皮膚科を受診してください。
ハンドクリームはいつ塗るのが効果的？
ハンドクリームは、乾燥を感じたときにこまめに塗るのが基本です。特に、手洗い後、入浴後、水仕事の後など、水に触れて水分が奪われた直後や、就寝前が効果的なタイミングです。 塗る前に手を温めたり、化粧水で水分を補給してから塗ると、より効果が高まります。
あかぎれに効くハンドクリームの選び方は？
あかぎれに効くハンドクリームを選ぶ際は、保湿成分（セラミド、ヒアルロン酸など）、血行促進成分（ビタミンE誘導体）、抗炎症成分（グリチルリチン酸ジカリウム）、角質軟化・修復成分（尿素、ヘパリン類似物質）、保護成分（ワセリン）などが配合されているかを確認しましょう。 症状の程度や肌の状態に合わせて、最適な成分を選ぶことが大切です。
あかぎれに効く成分は？
あかぎれに効果的な成分としては、尿素、ヘパリン類似物質、アラントイン、パンテノール、ビタミンE誘導体（トコフェロール酢酸エステル）、グリチルリチン酸ジカリウム、セラミド、ワセリンなどが挙げられます。 これらの成分が、保湿、血行促進、抗炎症、皮膚修復、保護といった様々な角度からあかぎれにアプローチします。
あかぎれに効く食べ物は？
特定の食べ物が直接あかぎれを治すわけではありませんが、皮膚の健康を保つ栄養素を摂取することは予防や改善に役立ちます。皮膚の再生に必要なビタミンC、ビタミンE、ミネラルなどを多く含む食品（緑黄色野菜、果物、ナッツ類など）をバランス良く摂ることを心がけましょう。
まとめ
- あかぎれは皮膚の乾燥と外部刺激が主な原因です。
- ハンドクリーム選びでは保湿、血行促進、抗炎症、修復、保護成分に注目しましょう。
- セラミド、ヒアルロン酸、グリセリンは高い保湿力があります。
- ビタミンE誘導体は血行を促進し、肌の修復を早めます。
- グリチルリチン酸ジカリウムは炎症を鎮める効果があります。
- 尿素は硬くなった角質を柔らかくしますが、傷口には注意が必要です。
- ヘパリン類似物質は保湿、血行促進、抗炎症作用を併せ持ちます。
- ワセリンやシアバターは皮膚を保護し、乾燥を防ぎます。
- 軽度な乾燥には高保湿タイプ、ひび割れには修復・治療タイプを選びましょう。
- 敏感肌には低刺激・無香料タイプがおすすめです。
- ハンドクリームは清潔な手に適量を、指先まで丁寧にマッサージしながら塗ります。
- 手洗い後、入浴後、就寝前がハンドクリームを塗るベストなタイミングです。
- 水仕事の際は手袋を着用し、刺激の少ない洗剤を選びましょう。
- 冷え対策やバランスの取れた食事もあかぎれ予防に重要です。
- 市販薬で改善しない、痛みや出血がひどい場合は皮膚科を受診しましょう。
- 皮膚科ではステロイド外用剤やヘパリン類似物質などが処方されることがあります。
- ワセリンはあかぎれの保護・保湿に有効です。
- 皮膚の健康にはビタミンC、E、ミネラルなどの栄養素が大切です。
