なぜ心理学部の偏差値は高い?【5つの理由】人気大学・将来性・受験対策まで徹底解説!

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近年、心理学部の人気が高まり、それに伴って偏差値も上昇傾向にあります。「なぜ心理学部の偏差値は高いの?」「どんなことを学ぶの?」「将来性はある?」そんな疑問を持つ受験生や保護者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、心理学部の偏差値が高い理由を徹底解説し、人気の背景、難関大学、学習内容、卒業後の進路、そして受験対策まで、あなたの疑問に答えます。

目次

心理学部の偏差値が高いのはなぜ?考えられる5つの理由

心理学部の偏差値が他の文系学部と比較して高い傾向にあるのには、いくつかの理由が考えられます。なぜ多くの受験生が心理学部を目指し、結果として偏差値が高くなるのでしょうか。ここでは、主な5つの理由を詳しく見ていきましょう。

  • 理由1:現代社会における「心」への関心の高まり
  • 理由2:ドラマや書籍などメディアの影響による人気
  • 理由3:他の文系学部より定員が少ない傾向
  • 理由4:文系・理系の枠を超えた学際的な学び
  • 理由5:臨床心理士・公認心理師など専門職への憧れ

理由1:現代社会における「心」への関心の高まり

現代社会は、ストレス社会とも言われるように、人間関係の複雑化、働き方の多様化、将来への不安など、多くの人々が「心」の問題に直面しやすい環境にあります。このような背景から、自分や他者の心を理解したい、メンタルヘルスの問題を解決したいというニーズが高まっています。

いじめ、不登校、ハラスメント、うつ病、依存症など、個人的な悩みから社会的な問題まで、心理学が貢献できる領域は多岐にわたります。こうした社会的な要請が、心理学への関心を高め、結果として心理学部を目指す受験生が増加し、偏差値上昇の一因となっていると考えられます。

また、自己理解を深めたい、コミュニケーション能力を高めたいといった、より身近な動機から心理学に興味を持つ人も少なくありません。心の仕組みを知ることは、より良い人間関係を築き、充実した人生を送るためのヒントを与えてくれる学問でもあるのです。

理由2:ドラマや書籍などメディアの影響による人気

テレビドラマや映画、漫画、書籍などで、心理学者やカウンセラーが活躍する姿が描かれる機会が増えています。これらのメディアを通じて、心理学の仕事内容や魅力に触れ、憧れを抱く若者が増えていることも、心理学部人気の要因の一つです。

特に、難事件を解決するプロファイラーや、悩める人に寄り添うカウンセラーといった、専門知識を活かして活躍する姿は、多くの受験生にとって魅力的に映るでしょう。メディアは、心理学という学問の認知度を高めると同時に、その専門職に対するポジティブなイメージを広める役割を果たしています。

ただし、メディアで描かれる姿は、必ずしも心理学の全てを正確に反映しているわけではありません。華やかなイメージだけでなく、地道な研究や努力が必要な側面も理解しておくことが大切です。それでも、メディアが心理学への入り口となり、多くの若者の興味関心を引きつけていることは事実であり、偏差値上昇に影響を与えていると考えられます。

理由3:他の文系学部より定員が少ない傾向

心理学部の偏差値が高い理由として、需要に対して供給が少ない、つまり、人気に対して大学の学部・学科の定員が比較的少ないという側面も無視できません。法学部や経済学部、文学部といった伝統的な文系学部と比較すると、心理学部(あるいは心理学科)を設置している大学や、その入学定員は限られていることが多いです。

特に、国公立大学においては、心理学を専門的に学べる学部・学科はさらに少なくなります。そのため、限られた定員を多くの受験生が争う形となり、必然的に入試倍率が高くなり、結果として偏差値も高くなる傾向にあります。

私立大学においても、人気の高い大学の心理学部は定員を大きく上回る志願者が集まるため、狭き門となっています。このように、学びたいという受験生の数に対して、受け皿となる大学の数が追いついていない状況も、心理学部の偏差値を押し上げる要因の一つと言えるでしょう。

理由4:文系・理系の枠を超えた学際的な学び

心理学は、人間の心を科学的に探求する学問であり、文系的な側面と理系的な側面の両方を持ち合わせています。哲学や思想、社会学などと隣接する領域がある一方で、実験や調査によってデータを収集し、統計学的な手法を用いて分析するなど、自然科学に近いアプローチも重視されます。

そのため、大学によっては、入試で数学や理科(特に生物)を選択科目として課したり、入学後のカリキュラムで統計学や実験・実習を必修としたりする場合があります。このような文理融合的な性質が、特定の科目だけが得意な受験生にとってはハードルとなり、結果的に幅広い学力が求められることで偏差値が高くなる可能性があります。

逆に言えば、文系・理系どちらの素養も活かせる学際的な学問である点が、多様な興味関心を持つ受験生を引きつける魅力ともなっています。論理的思考力と共感性の両方が求められる心理学の学びは、複雑な現代社会で活躍するための力を養う上で非常に有益と言えるでしょう。

理由5:臨床心理士・公認心理師など専門職への憧れ

心理学を学ぶ動機として、臨床心理士や公認心理師といった心理専門職に就きたいという目標を持つ受験生は少なくありません。これらの資格は、心理的な問題を抱える人々を支援する専門家として、医療、福祉、教育、司法、産業など、幅広い分野での活躍が期待されています。

特に、2017年に国家資格として「公認心理師」が誕生したことは、心理専門職の社会的認知度を高め、その専門性への期待を一層大きくしました。これらの資格を取得するためには、多くの場合、大学で指定された科目を履修した上で、さらに大学院に進学して専門的な知識と技術を習得する必要があります。

つまり、心理専門職を目指す場合、大学入学がゴールではなく、大学院進学まで見据えた長期的な学びが必要となります。このような明確な目標を持つ意欲の高い受験生が集まることも、心理学部のレベルを引き上げ、偏差値が高くなる一因と考えられます。

本当に人気?心理学部の現状と志願者動向

偏差値の高さは人気の裏返しとも言えますが、実際のところ心理学部の人気はどの程度なのでしょうか。単なるイメージだけでなく、客観的なデータや近年の動向から、心理学部の人気の実態と、なぜ注目されているのか、その社会的背景を探ります。

  • 志願者数・倍率から見る人気の実態
  • SNSやオープンキャンパスから見える受験生の熱意
  • 心理学が注目される社会的背景

志願者数・倍率から見る人気の実態

大学入試に関するデータを分析すると、多くの大学で心理学部や心理学科の志願者数が高い水準で推移しており、人気が継続していることがうかがえます。特に、難関大学や都市部の人気大学では、依然として高い競争率が続いています。

例えば、河合塾などの大手予備校が発表する入試データを見ると、他の文系学部と比較しても、心理学系の学部・学科の倍率が高いケースが多く見られます。これは、前述した定員の少なさに加えて、心理学を学びたいと考える受験生の数が実際に多いことを示しています。

ただし、大学や学部・学科の人気は常に変動するものです。少子化の影響や、他の学問分野への関心の移り変わりなどによって、将来的には状況が変わる可能性もあります。しかし、現状においては、心理学部は受験生にとって魅力的な選択肢であり続けていると言えるでしょう。

SNSやオープンキャンパスから見える受験生の熱意

近年、SNS上では、心理学部を目指す受験生同士の情報交換や、現役大学生による学部紹介などが活発に行われています。「#心理学部志望」「#勉強垢」といったハッシュタグで検索すると、多くの受験生が心理学への熱い思いや学習の様子を発信しているのを見ることができます。

また、各大学が開催するオープンキャンパスでも、心理学部の説明会や模擬授業は人気が高く、多くの高校生や保護者が参加しています。実際に教員や学生の話を聞き、体験授業を受けることで、心理学への興味を深め、具体的な志望理由を固める受験生も少なくありません。

こうしたSNSでの発信やオープンキャンパスへの参加状況からは、受験生が心理学に対して強い関心と学習意欲を持っている様子がうかがえます。偏差値の高さは、こうした受験生の熱意の表れでもあると言えるでしょう。

心理学が注目される社会的背景

心理学部の人気は、単なる一過性のブームではなく、現代社会が抱える課題と深く結びついています。ストレス社会におけるメンタルヘルスケアの重要性の認識、多様な価値観が共存する社会でのコミュニケーションの難しさ、AI時代における人間理解の必要性など、「人の心」への理解が求められる場面はますます増えています。

企業においても、従業員のエンゲージメント向上、ハラスメント防止、消費者心理に基づいたマーケティングなど、心理学の知見を活用する動きが広がっています。また、教育現場における発達支援、医療・福祉分野での心理的サポート、地域社会における孤立防止など、心理学が貢献できるフィールドは多岐にわたります。

このように、社会の様々な領域で心理学の知識やスキルが必要とされていることが、心理学という学問分野、そして心理学部への注目度を高めている大きな要因です。社会的な需要の高まりが、結果として学部人気と偏差値上昇につながっていると考えられます。

偏差値が高い難関心理学部はここ!国公立・私立大学例

心理学部の中でも特に偏差値が高い、いわゆる「難関大学」はどこなのでしょうか。偏差値は予備校や模試によって変動するため、あくまで目安ですが、ここでは国公立大学と私立大学に分けて、一般的に難関とされる代表的な大学とその特徴をいくつか紹介します。

  • 国公立大学の難関心理学部
  • 私立大学の難関心理学部
  • 偏差値だけじゃない!大学選びで重視すべきこと

国公立大学の難関心理学部

国公立大学の心理学部(または心理学を深く学べる学科・コース)は、定員が少なく、高い学力が求められる傾向にあります。研究設備が充実しており、基礎研究から応用研究まで幅広く学べる大学が多いのが特徴です。

代表的な難関大学としては、以下のような大学が挙げられます。(※学部・学科名は変更される可能性もあります。最新の情報は各大学の公式サイトでご確認ください。)

  • 東京大学(文学部 人文学科 心理学専修課程 / 教育学部 教育心理学コース)
  • 京都大学(文学部 人文学科 心理学専修 / 教育学部 教育科学科)
  • 大阪大学(人間科学部 人間科学科)
  • 名古屋大学(教育学部 人間発達科学科 心理社会行動系)
  • 東北大学(文学部 人文社会学科 心理学専修)
  • 北海道大学(文学部 人文科学科 心理学講座)
  • 九州大学(文学部 人文学科 心理学専門分野 / 教育学部 教育学系 心理学コース)
  • 筑波大学(人間学群 心理学類)
  • お茶の水女子大学(文教育学部 人間社会科学科 心理学コース)
  • 東京都立大学(人文社会学部 人間社会学科 心理学教室)

これらの大学は、伝統と実績があり、優秀な教員陣と研究環境が整っています。入試難易度も非常に高く、トップレベルの学力が必要です。

私立大学の難関心理学部

私立大学にも、特色あるカリキュラムや充実した設備を持つ難関心理学部が数多く存在します。国公立大学に比べて定員が多い傾向にありますが、それでも人気が高く、激しい競争となります。

代表的な難関大学としては、以下のような大学が挙げられます。(※学部・学科名は変更される可能性もあります。最新の情報は各大学の公式サイトでご確認ください。)

  • 早稲田大学(文学部 心理学コース / 人間科学部 人間情報科学科・人間環境科学科・健康福祉科学科)
  • 慶應義塾大学(文学部 人文社会学科 心理学系)
  • 上智大学(総合人間科学部 心理学科)
  • 国際基督教大学(ICU)(教養学部 アーツ・サイエンス学科 心理学メジャー)
  • 明治大学(文学部 心理社会学科 臨床心理学専攻・現代社会学専攻)
  • 立教大学(現代心理学部 心理学科・映像身体学科)
  • 青山学院大学(教育人間科学部 心理学科)
  • 中央大学(文学部 人文社会学科 心理学専攻)
  • 法政大学(文学部 心理学科 / 現代福祉学部 臨床心理学科)
  • 同志社大学(心理学部 心理学科)
  • 立命館大学(総合心理学部 総合心理学科)
  • 関西学院大学(文学部 総合心理科学科)

これらの大学は、独自の教育プログラムや、臨床心理士指定大学院を併設しているなど、それぞれに魅力があります。立地や学費、大学の雰囲気なども考慮して選ぶと良いでしょう。

偏差値だけじゃない!大学選びで重視すべきこと

偏差値は大学の難易度を示す一つの指標ですが、それだけで進学先を決めるのは早計です。自分自身の興味関心や将来の目標に合った大学を選ぶことが、入学後の充実した学びにつながります。

大学選びの際には、偏差値に加えて以下の点も考慮しましょう。

  • カリキュラムの内容: どのような心理学の分野(臨床、社会、発達、認知など)を重点的に学べるか、実験や実習は充実しているか。
  • 教員の研究分野: 自分の興味のある分野を専門とする教員がいるか。
  • 資格取得のサポート: 臨床心理士や公認心理師を目指す場合、指定大学院への進学実績やサポート体制はどうか。
  • 立地やキャンパスの雰囲気: 通学時間や周辺環境、大学全体の雰囲気は自分に合っているか。
  • 学費や奨学金制度: 経済的な負担はどの程度か、利用できる奨学金制度はあるか。

オープンキャンパスに参加したり、大学のパンフレットやウェブサイトを詳しく調べたりして、多角的な視点から情報を集め、自分にとって最適な大学を見つけることが重要です。

心理学部って何を学ぶの?魅力あふれる学問の世界

「心理学」と聞くと、多くの人がカウンセリングや悩み相談をイメージするかもしれません。しかし、実際の心理学の学問領域は非常に幅広く、奥深いものです。心理学部では具体的にどのようなことを学ぶのか、その魅力的な世界を覗いてみましょう。

  • 人の心の仕組みを探る:基礎心理学
  • 社会で役立つ知識を学ぶ:応用心理学
  • 科学的根拠を重視:実験・調査・統計
  • 多様な専門分野への道

人の心の仕組みを探る:基礎心理学

基礎心理学は、人間の心や行動の普遍的な法則やメカニズムを解明しようとする分野です。特定の応用を目指すのではなく、知的好奇心に基づいて「心とは何か」「人間はどのように物事を認識し、考え、感じるのか」といった根源的な問いを探求します。

具体的には、以下のような領域が含まれます。

  • 知覚心理学: 私たちが五感を通じて外界をどのように認識しているのか。
  • 学習心理学: 人や動物がどのように新しい行動や知識を身につけるのか。
  • 認知心理学: 記憶、思考、問題解決、言語など、人間の情報処理プロセス。
  • 感情心理学: 喜び、怒り、悲しみといった感情の発生メカニズムや機能。
  • 生理心理学・神経心理学: 脳や神経系の働きと心や行動の関係。
  • 社会心理学: 集団の中での個人の思考や行動、対人関係の仕組み。
  • 発達心理学: 人が生涯を通じてどのように心身ともに変化・発達していくのか。
  • パーソナリティ心理学: 個人の性格や特性がどのように形成され、表れるのか。

これらの基礎的な知識は、応用心理学を学ぶ上での土台となります。

社会で役立つ知識を学ぶ:応用心理学

応用心理学は、基礎心理学で得られた知見や理論を、現実社会の様々な問題解決や改善に役立てようとする分野です。人々の生活の質を高めたり、社会のシステムをより良くしたりすることを目指します。

主な応用分野としては、以下のようなものがあります。

  • 臨床心理学: 心の問題や精神疾患を抱える人への査定(アセスメント)、面接(カウンセリング)、心理療法などを通じた援助。
  • 教育心理学: 学習意欲の向上、効果的な指導法、発達上の課題への対応など、教育現場における心理学の応用。
  • 産業・組織心理学: 職場における人間関係、リーダーシップ、モチベーション、メンタルヘルス、人事評価など、働く人と組織に関する問題。
  • 犯罪心理学: 犯罪者の心理や行動の分析、犯罪予防、被害者支援など、司法・犯罪分野への応用。
  • 健康心理学: ストレス管理、生活習慣病の予防、病気と共に生きる人の心理的サポートなど、健康増進や医療分野への応用。
  • スポーツ心理学: アスリートのメンタルトレーニング、チームワーク向上など、スポーツのパフォーマンス向上への応用。
  • 交通心理学: 交通事故の原因分析や防止策、安全運転教育など。
  • 災害心理学: 災害時の人々の心理的反応や、被災者への心のケア。

これらの分野は、社会のニーズに応じてますます多様化・専門化しています。

科学的根拠を重視:実験・調査・統計

心理学は、単なる思索や経験則ではなく、科学的な方法に基づいて心や行動を探求する学問です。そのため、心理学部では、客観的なデータを収集し、分析するためのスキルを身につけることが非常に重要視されます。

具体的には、以下のような研究手法を学びます。

  • 実験: 知りたい現象に関わる要因(変数)を統制し、因果関係を明らかにする。
  • 調査(質問紙調査、面接調査など): 多くの人から意見や回答を集め、傾向や関連性を分析する。
  • 観察: 対象となる人や動物の行動を注意深く観察し、記録・分析する。
  • 検査(心理検査): 知能、性格、発達段階などを測定するための標準化されたツールを用いる。

そして、これらの方法で収集したデータを統計学的な手法を用いて分析し、客観的な根拠に基づいて結論を導き出す訓練を行います。パソコンを使ったデータ解析のスキルも必須となります。こうした科学的アプローチが、心理学の信頼性を支えています。

多様な専門分野への道

心理学部では、1・2年次に基礎心理学や研究法の基礎を幅広く学び、3・4年次になると、自分の興味関心に応じて専門分野を選択し、より深く学んでいくのが一般的です。多くの大学では、専門分野ごとのゼミ(演習)が開講され、少人数で特定のテーマについて文献を読んだり、議論したり、卒業研究に取り組んだりします。

臨床心理学、社会心理学、発達心理学、認知心理学など、大学によって学べる専門分野は異なります。そのため、自分が特にどの分野に興味があるのかを考え、その分野に強い教員がいるか、関連する科目が充実しているかを大学選びの際に確認することが大切です。

多様な専門分野の中から自分の関心を探求できることは、心理学を学ぶ大きな魅力の一つです。卒業研究を通して、自ら問いを立て、データを収集・分析し、論文としてまとめる経験は、将来どのような道に進むとしても役立つ貴重な学びとなるでしょう。

心理学部の卒業後の進路は?気になる将来性とキャリアパス

心理学部で学んだ知識やスキルは、特定の職業だけでなく、社会の様々な場面で活かすことができます。「心理学は就職に不利」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実際には多様なキャリアパスが開かれています。卒業生の主な進路や、心理学を学ぶことの将来性について解説します。

  • 一般企業への就職:人事・マーケティング・企画職など
  • 大学院進学:専門性を深め研究者や専門職へ
  • 公務員(心理職):専門知識を活かして社会貢献
  • 心理学で身につく汎用性の高いスキル

一般企業への就職:人事・マーケティング・企画職など

心理学部卒業生の最も多い進路は、一般企業への就職です。心理学で培われる「人の心や行動を理解する力」「客観的なデータ分析力」「コミュニケーション能力」などは、業界や職種を問わず、多くの企業で求められるスキルです。

特に、以下のような職種で心理学の知識やスキルを活かすことができます。

  • 人事・労務: 採用、人材育成、組織開発、メンタルヘルス対策、労務管理など、従業員の心理を理解し、働きやすい環境を作る。
  • マーケティング・商品開発: 消費者心理を分析し、効果的な広告戦略や商品企画、市場調査を行う。
  • 営業・販売: 顧客のニーズを的確に把握し、信頼関係を築きながら提案を行う。
  • 企画・広報: 社会の動向や人々の関心を捉え、新しいサービスやイベントを企画したり、効果的な情報発信を行ったりする。
  • IT・情報通信: ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)のデザインにおいて、人間の認知特性や使いやすさを考慮する。

もちろん、これらの職種以外にも、金融、メーカー、サービス、マスコミなど、幅広い分野で心理学部卒業生が活躍しています。

大学院進学:専門性を深め研究者や専門職へ

心理学の専門性をさらに深めたい場合や、臨床心理士・公認心理師といった心理専門職を目指す場合は、大学卒業後に大学院(修士課程・博士課程)へ進学するのが一般的です。

大学院では、特定の専門分野についてより高度な知識と研究能力を身につけます。臨床心理士や公認心理師の資格取得を目指す場合は、指定されたカリキュラムを持つ大学院に進学し、必要な科目の履修と実習を行う必要があります。

大学院修了後の進路としては、以下のようなものが考えられます。

  • 心理専門職: 病院、クリニック、学校(スクールカウンセラー)、福祉施設、企業内の相談室、司法機関などでカウンセリングや心理査定、コンサルテーションなどを行う。
  • 研究者・大学教員: 大学や研究機関で心理学の研究を続け、教育にも携わる。
  • 専門知識を活かした職種: 企業の研究所、調査会社、行政機関などで専門的な分析や研究開発を行う。

大学院進学は、専門性を高め、キャリアの選択肢を広げるための重要なステップとなります。

公務員(心理職):専門知識を活かして社会貢献

心理学の専門知識を活かして社会に貢献したいと考える人にとって、公務員の心理職も魅力的な選択肢の一つです。国家公務員、地方公務員ともに心理専門職の採用枠があります。

主な活躍の場としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 法務省: 少年鑑別所や刑務所、保護観察所などで、非行少年や受刑者の心理査定、更生支援、カウンセリングなどを行う(法務省専門職員(人間科学)矯正心理専門職など)。
  • 家庭裁判所: 家事事件や少年事件において、調査や診断、関係者への助言などを行う(家庭裁判所調査官)。
  • 児童相談所: 児童虐待、発達障害、不登校など、子どもに関する様々な相談に応じ、心理査定やカウンセリング、関係機関との連携を行う(地方公務員心理職)。
  • 精神保健福祉センター・保健所: 地域住民のメンタルヘルス相談、精神障害者の社会復帰支援などを行う(地方公務員心理職)。
  • 警察: 犯罪被害者支援、職員のメンタルヘルスケアなど(都道府県警察の心理職員)。

これらの心理職に就くためには、公務員試験(心理区分)に合格する必要があり、多くの場合、大学院修了程度の専門知識が求められます。

心理学で身につく汎用性の高いスキル

心理学部で学ぶ内容は、特定の職業に直結するものばかりではありませんが、社会人として活躍するために必要な汎用性の高いスキルを幅広く身につけることができます。

具体的には、以下のようなスキルが挙げられます。

  • 論理的思考力・批判的思考力: 物事を客観的に分析し、多角的な視点から考察する力。
  • 問題解決能力: 課題の本質を見抜き、データに基づいて解決策を考える力。
  • データ分析能力: 統計的な手法を用いてデータを読み解き、意味のある情報を取り出す力。
  • コミュニケーション能力: 相手の話を傾聴し、共感的に理解し、自分の考えを分かりやすく伝える力。
  • プレゼンテーション能力: 調査結果や自分の考えを効果的に発表する力。
  • 自己理解・他者理解: 自分自身の感情や思考パターンを理解し、他者の立場や気持ちを推し量る力。

これらのスキルは、どのような仕事に就いたとしても、また、社会生活を送る上でも非常に役立ちます。心理学を学ぶことは、変化の激しい現代社会を生き抜くための基盤となる力を養うことにもつながるのです。

心理学部合格を掴む!受験対策のポイントと注意点

難関とされる心理学部への合格を勝ち取るためには、早期から計画的に対策を進めることが重要です。ここでは、心理学部の入試の特徴や、重点的に学習すべきポイント、そして受験にあたっての注意点などを解説します。

  • 文系?理系?大学ごとの入試科目をチェック
  • 英語・国語は必須!基礎学力の徹底
  • 数学や理科が必要な場合も
  • 小論文・面接対策の重要性
  • 志望理由を明確にすること

文系?理系?大学ごとの入試科目をチェック

心理学部は、文系に分類されることが多いですが、前述の通り、理系的な要素も含む学際的な分野です。そのため、入試科目も大学によって様々です。

多くの私立大学では、英語、国語、地歴・公民(または数学)の3科目で受験できる、いわゆる「文系型入試」が主流です。しかし、国公立大学や一部の私立大学では、大学入学共通テストで理科や数学が必須であったり、個別学力検査(二次試験)で数学が課されたりする場合があります。

また、同じ大学内でも、入試方式(一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜など)によって必要な科目が異なることもあります。まずは、志望する大学の入試要項を必ず確認し、自分に必要な受験科目を正確に把握することが対策の第一歩です。文系・理系の枠にとらわれず、柔軟に対応できるように準備を進めましょう。

英語・国語は必須!基礎学力の徹底

多くの心理学部の入試において、英語と国語は非常に重要な科目となります。心理学の専門書や論文は英語で書かれているものが多く、大学入学後も英語文献を読む機会は少なくありません。そのため、入試では長文読解力や語彙力、文法力など、総合的な英語力が問われます。

国語では、現代文の読解力や論理的な思考力が特に重視されます。複雑な文章の内容を正確に理解し、筆者の主張や論理展開を捉える力は、心理学を学ぶ上で不可欠です。また、小論文が課される場合には、自分の考えを分かりやすく、説得力のある文章で表現する力も求められます。

これらの科目は、一朝一夕に実力がつくものではありません。日頃からコツコツと学習を積み重ね、基礎学力を徹底的に固めることが合格への鍵となります。

数学や理科が必要な場合も

前述の通り、大学によっては入試で数学や理科(特に生物)が必要になる場合があります。心理学では、実験や調査で得られたデータを統計的に分析するため、数学的な素養が求められる場面があります。特に、研究者を目指す場合や、認知心理学、生理心理学といった分野に興味がある場合は、数学や生物の知識が役立ちます。

入試で数学が課される場合、文系数学の範囲(数学I・A、数学II・B)であることが多いですが、大学によってはより高度な範囲が求められることもあります。理科については、生物基礎や生物が選択科目となることが多いようです。

もし志望大学で数学や理科が必要な場合は、苦手意識を持たずに、計画的に学習を進めることが大切です。必要に応じて、予備校や参考書を活用し、基礎からしっかりと理解を深めましょう。

小論文・面接対策の重要性

一般選抜(筆記試験)だけでなく、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜では、小論文や面接が重視されるケースが多くあります。また、一般選抜でも二次試験で小論文や面接が課される大学もあります。

小論文では、心理学に関連するテーマや社会的な問題について、自分の考えを論理的に記述する能力が問われます。単に知識を披露するだけでなく、課題に対する洞察力や多角的な視点、独創性なども評価されます。日頃からニュースや新聞に関心を持ち、様々なテーマについて自分の意見をまとめる練習をしておくと良いでしょう。

面接では、志望理由、心理学への興味関心、高校時代の活動、将来の目標などが質問されます。なぜその大学の心理学部で学びたいのか、自分の言葉で熱意を持って伝えられるように準備しておくことが重要です。模擬面接などを通して、受け答えの練習をしておきましょう。

志望理由を明確にすること

なぜ数ある学部の中から心理学部を選んだのか、そして、なぜその特定の大学で学びたいのか、という志望理由は、面接や提出書類(志望理由書など)で必ず問われます。漠然とした憧れだけでなく、具体的な根拠に基づいた明確な志望理由を持つことが重要です。

そのためには、まず自己分析を行い、自分が心理学のどのような点に興味を持っているのか、将来どのように心理学を活かしたいのかを深く掘り下げてみましょう。そして、志望大学のカリキュラムや研究内容、教員などを詳しく調べ、その大学でなければならない理由を見つけることが大切です。

「人の役に立ちたい」といった抽象的な理由だけでなく、「〇〇先生の研究に興味がある」「貴学の△△というカリキュラムで□□を学びたい」といった具体的な理由を述べられるように準備しましょう。明確な志望理由は、学習意欲の高さを示すだけでなく、入学後のミスマッチを防ぐためにも重要です。

心理学部に関するよくある質問(Q&A)

Q. 心理学部は文系ですか?理系ですか?

A. 多くの大学では文系に分類されますが、学問内容は文系・理系の両方の要素を含みます。実験や統計処理など理系的なアプローチも多いため、「文理融合型」の学部と言えます。入試科目も大学によって異なり、数学や理科が必要な場合もありますので、志望校の情報をよく確認してください。

Q. 心理学部に入って後悔することはありますか?

A. どのような学部でも、入学前のイメージと実際の学びにギャップを感じて後悔する可能性はあります。心理学部の場合、「カウンセリングだけを学ぶと思っていたら、実験や統計が多くて大変だった」「思っていたより地味な研究が多かった」といった声を聞くことがあります。入学前にカリキュラムをよく調べ、オープンキャンパスなどで実際の学びに触れておくことがミスマッチを防ぐ上で重要です。

Q. 心理学部の学費は他の学部と比べて高いですか?

A. 一般的に、文系学部の学費は理系学部や医療系学部に比べて安い傾向にあります。心理学部も多くは文系に分類されるため、学費が特別に高いということは少ないです。ただし、私立大学か国公立大学か、大学独自の設備やプログラムによって差はあります。また、実験や実習が多い場合は、別途費用がかかる可能性も考慮しておくと良いでしょう。大学院進学を考える場合は、さらに学費が必要になります。

Q. 心理学部と文学部(哲学・倫理学など)の違いは何ですか?

A. どちらも「人間」を探求する学問ですが、アプローチが異なります。文学部の人文系学科(哲学、倫理学、宗教学など)は、主に文献研究や思索を通して、人間の存在や思想、文化、歴史などを探求します。一方、心理学部は、科学的な手法(実験、調査、観察など)を用いて、客観的なデータに基づいて人間の心や行動の法則性を明らかにしようとします。

Q. 心理学部と教育学部の違いは何ですか?

A. 教育学部は、主に教育の方法、制度、歴史、思想などを研究し、教員養成を目的の一つとしています。教育心理学という分野は共通しますが、教育学部では「教育」という文脈での心理学の応用が中心となります。一方、心理学部はより広く「人間の心と行動」全般を探求し、教育分野以外(臨床、社会、産業など)への応用も視野に入れます。ただし、大学によっては教育学部の中に心理学コースがある場合もあります。

Q. 心理カウンセラー(臨床心理士・公認心理師)になるにはどの学部が良いですか?

A. 臨床心理士や公認心理師を目指す場合、学部段階で指定された科目を履修する必要があります。そのため、心理学部や、心理学を専門的に学べる学科・コースに進学するのが一般的です。ただし、学部卒業だけでは資格は取得できず、多くの場合、指定された大学院(修士課程)を修了する必要があります。学部選びの際は、大学院への進学実績や、資格取得に対応したカリキュラムがあるかを確認することが重要です。

Q. 公認心理師と臨床心理士の違いは何ですか?

A. 公認心理師は2017年にできた比較的新しい「国家資格」であり、心理職として初めての国家資格です。一方、臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する「民間資格」ですが、長い歴史と実績があり、社会的な信頼を得ています。資格取得ルートや更新制度、活躍分野などに違いはありますが、どちらも心理的な支援を行う専門職である点は共通しています。現状では両方の資格を持つ人も多くいます。

Q. 心理学は就職に不利だと聞きましたが本当ですか?

A. 「心理学=就職に不利」というのは必ずしも正しくありません。確かに、心理専門職(カウンセラーなど)の求人は限られており、資格取得も必要となるため、狭き門ではあります。しかし、前述の通り、心理学部で身につくスキルは汎用性が高く、一般企業(人事、マーケティング、企画など)への就職者も多数います。重要なのは、心理学を通して何を学び、どのようなスキルを身につけたかを企業にアピールできるかです。

Q. 心理学部の偏差値が低い大学はありますか?

A. はい、あります。偏差値は大学の難易度を示す一つの指標であり、全ての心理学部の偏差値が高いわけではありません。全国には様々なレベルの大学に心理学部や心理学科が設置されています。偏差値だけでなく、カリキュラム、立地、学費、大学の雰囲気なども考慮し、自分に合った大学を探すことが大切です。偏差値が比較的低い大学でも、特色ある教育を行っているところはたくさんあります。

Q. 社会人になってから心理学を学びたいのですが、可能ですか?

A. はい、可能です。社会人向けの夜間コースや通信制課程を設けている大学・大学院があります。また、科目等履修生として特定の科目だけを学ぶこともできます。放送大学などでも心理学のコースが用意されています。働きながら学ぶのは大変ですが、社会経験があるからこそ、より深く心理学を理解できる側面もあります。ご自身の状況に合わせて、学び方を探してみてください。

まとめ

  • 心理学部の偏差値が高い理由は複合的。
  • 現代社会での「心」への関心の高まりが背景にある。
  • メディアの影響で心理学の人気が上昇。
  • 他の文系学部より定員が少ない傾向。
  • 文系・理系の枠を超えた学際的な学びが特徴。
  • 臨床心理士・公認心理師への憧れも一因。
  • 志願者数や倍率から人気の高さがうかがえる。
  • SNSやオープンキャンパスでも受験生の熱意が見える。
  • 社会の様々な場面で心理学の知見が求められている。
  • 国公立・私立ともに難関とされる心理学部が存在。
  • 偏差値だけでなく、カリキュラムや教員も重要。
  • 心理学は基礎から応用まで幅広い分野を学ぶ。
  • 実験・調査・統計など科学的アプローチを重視。
  • 卒業後は一般企業、大学院、公務員など多様な進路。
  • 心理学で身につくスキルは汎用性が高い。
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