大切に育てているシマトネリコの株元に、ある日突然黒い粒々が…。これって木の実?それとも、もしかして害虫のフン…?そんな不安を抱えていませんか。涼しげで人気のシマトネリコですが、実は害虫被害に遭うことがあります。放置すると、葉が食べられて見た目が悪くなるだけでなく、最悪の場合枯れてしまうことも。本記事では、シマトネリコに付く黒いフンの正体から、原因となる害虫の駆除方法、そして今後のための予防策まで、写真付きで分かりやすく解説します。
シマトネリコに落ちている黒いフンの正体は害虫です!

まず結論からお伝えします。シマトネリコの株元や葉の上に落ちている黒い粒々の正体は、残念ながら害虫のフンである可能性が非常に高いです。 シマトネリコは「害虫に強い」と言われることもありますが、決して虫がつかないわけではありません。特に、5mmほどの大きさで手榴弾のような形をした黒いフンを見つけたら、それはスズメガの幼虫がいるサインかもしれません。
フンが落ちているということは、その真上で害虫が葉を食べている証拠です。フンを見つけたら、まずは落ち着いて、シマトネリコの枝や葉をよく観察してみてください。葉が食べられていたり、不自然に丸まっていたりする場所はありませんか?早期発見・早期対処が、あなたの大切なシマトネリコを守る鍵となります。
この章では、まず黒いフンの正体について解説しました。次の章では、そのフンをした犯人である、シマトネリコを好む代表的な害虫たちをご紹介します。
- 黒いフンの犯人!シマトネリコにつきやすい害虫TOP3
- 見つけたらすぐ実践!シマトネリコの害虫駆除3つのステップ
- もう寄せ付けない!明日からできる害虫予防策
黒いフンの犯人!シマトネリコにつきやすい害虫TOP3

シマトネリコの葉を食べ、黒いフンを落とす犯人は一種類ではありません。ここでは、特に被害報告の多い代表的な害虫を3種類ご紹介します。それぞれの特徴を知ることで、より的確な対策ができます。
【大食漢】スズメガの幼虫
シマトネリコの黒いフンの原因として最も多いのが、スズメガの幼虫です。緑色のイモムシで、大きいものは10cm近くにもなり、お尻にツノのような突起があるのが特徴です。 その食欲はすさまじく、一晩で枝の葉を丸裸にされてしまうことも少なくありません。フンも5mm以上と大きく、黒くて硬いのが特徴です。 葉が明らかに食べられている形跡と大きなフンを見つけたら、まずはこのスズメガの幼虫を疑いましょう。春から秋にかけて、特に夏場に発生しやすい害虫です。
【葉を食べる毛虫】シマケンモンの幼虫
緑色の体に黒い毛がまばらに生えているのがシマケンモンの幼虫です。 スズメガの幼虫ほど大きくはありませんが、葉を直線的に食べる習性があり、葉に穴を開けたり、ギザギザにしたりします。 フンはスズメガのものより小さいですが、やはり黒い粒状のものを落とします。 毒はありませんが、肌が弱い人は触るとかぶれる可能性もあるため注意が必要です。 葉がレース状に食べられているような被害があれば、シマケンモンの幼虫がいるかもしれません。
【葉を丸める】ハマキムシ
ハマキムシは、その名の通り、自ら出した糸でシマトネリコの若い葉を筒状に巻いて、その中に隠れて葉を食べる害虫です。 幼虫は白っぽく、頭が茶色いのが特徴です。 葉が内側に丸まっていたり、新芽のあたりが糸で綴られていたりしたら、ハマキムシの仕業です。フンは小さく黒い粒で、巻かれた葉の中やその周辺に落ちています。 葉を食べられる被害だけでなく、葉が丸まることで光合成が妨げられ、シマトネリコの生育が悪くなる原因にもなります。
見つけたらすぐ実践!シマトネリコの害虫駆除3つのステップ

害虫の正体がわかったら、次はいよいよ駆除です。被害が広がらないうちに、迅速に行動しましょう。ここでは、誰でも簡単にできる駆除方法を3つのステップでご紹介します。
ステップ1:害虫本体を見つけて捕殺する
最も確実で即効性がある方法は、害虫そのものを見つけて取り除くことです。特にスズメガの幼虫のように大きな害虫は、薬剤が効きにくい場合があるため、物理的に駆除するのが効果的です。 虫が苦手な方は割り箸やピンセットを使って捕まえ、ビニール袋に入れて処分しましょう。 害虫は葉の裏や枝に同化していることが多いので、フンが落ちている場所の真上を重点的に、じっくりと探してみてください。一匹見つけたら、周りにも複数いる可能性が高いので、念入りにチェックすることが大切です。
ステップ2:薬剤(殺虫剤)を散布する
害虫の数が多い場合や、捕殺に抵抗がある場合は、殺虫剤を使用するのがおすすめです。シマトネリコに使える薬剤は、スプレータイプと土に撒く粒剤タイプがあります。
手軽に使えるのはスプレータイプで、「ベニカXファインスプレー」などが有名です。 害虫に直接噴射して駆除します。一方、土に撒くタイプの「オルトランDX粒剤」などは、薬剤が根から吸収されて植物全体に行き渡り、葉を食べた害虫を駆除します。 こちらは予防効果も期待できるため、定期的な使用がおすすめです。使用する際は、必ず製品の注意書きをよく読み、用法・用量を守って正しく使いましょう。
ステップ3:被害にあった枝葉を剪定する
害虫を駆除した後は、被害を受けた枝葉を剪定しましょう。ハマキムシに巻かれた葉や、フンで汚れた葉、食害がひどい部分を切り取ることで、見た目がすっきりするだけでなく、風通しが良くなり、病気や他の害虫の発生を防ぐことにも繋がります。 また、卵が産み付けられている可能性もあるため、被害にあった葉を取り除くことは再発防止の観点からも重要です。剪定した枝葉は、ビニール袋などに入れてきちんと処分してください。
もう寄せ付けない!明日からできる害虫予防策

一度害虫を駆除しても、また発生してしまっては意味がありません。大切なシマトネリコを害虫から守るためには、日頃からの予防が何よりも重要です。ここでは、明日からすぐに実践できる予防策を4つご紹介します。
定期的な剪定で風通しを良くする
害虫は、湿気が多く風通しの悪い場所を好みます。シマトネリコは生育旺盛で枝葉が密集しやすいため、定期的な剪定が不可欠です。 混み合った枝や内側に向かって伸びる枝などを切り落とし、株全体の風通しと日当たりを良くしましょう。 これだけで害虫が寄り付きにくい環境を作ることができ、病気の予防にも繋がります。剪定は、害虫の活動が活発になる前の春先や、成長が落ち着く秋に行うのがおすすめです。
予防効果のある薬剤を定期的に使用する
害虫が発生する前の段階で、予防効果のある薬剤を使用するのも非常に効果的です。前述した「オルトランDX粒剤」のような浸透移行性の殺虫剤は、土に撒くだけで効果が持続し、害虫の発生を抑えてくれます。 害虫の活動が活発になる春から秋にかけて、月に1回程度のペースで散布すると良いでしょう。 薬剤を使用することで、害虫被害のリスクを大幅に減らすことができます。
防虫ネットを活用する
特に小さなシマトネリコや、絶対に虫をつけたくないという場合は、防虫ネットで物理的にガードする方法もあります。 苗木や鉢植え全体を目の細かいネットで覆うことで、蛾などが飛来して卵を産み付けるのを防ぎます。ただし、見た目が悪くなる、風通しが少し悪くなるなどのデメリットもあるため、状況に応じて検討してみてください。ネットをかける際は、葉がネットに触れないように支柱を立てるなどの工夫をすると良いでしょう。
近くの不要な光を消す
スズメガなどの蛾の仲間は、夜間に光に集まる習性があります。 もしシマトネリコの近くに、夜間ずっと点灯している門灯やソーラーライトなどがある場合、それが蛾を引き寄せる原因になっている可能性があります。可能であれば、不要な光は消すか、光が直接シマトネリコに当たらないように工夫するだけでも、産卵のリスクを減らすことができます。
【要注意】害虫だけじゃない!シマトネリコのSOSサイン

シマトネリコに現れる異変は、害虫のフンだけではありません。葉の色や幹の状態など、植物が発する小さなSOSサインを見逃さないことが、健康に育てるためのコツです。ここでは、害虫被害と間違えやすい、または併発しやすいトラブルについて解説します。
葉が黄色くなる・落ちる(日照不足・根詰まり)
葉が黄色く変色したり、ポロポロと落葉したりする場合、害虫ではなく生育環境に問題があるかもしれません。主な原因としては、日照不足や水のやりすぎ・やらなすぎ、そして鉢植えの場合は「根詰まり」が考えられます。 シマトネリコは日光を好む植物ですが、室内で日当たりが悪いと葉の色が悪くなります。また、鉢の中で根がいっぱいになると、水分や養分をうまく吸収できなくなり、葉を落としてしまうことがあります。 鉢底から根が見えていたら、一回り大きな鉢への植え替えを検討しましょう。
幹が削られている(カブトムシ)
夏場、シマトネリコの幹の皮が削られているのを見つけたら、それはカブトムシの仕業かもしれません。シマトネリコは樹液を出すため、カブトムシやクワガタが集まることがあります。 少量であれば問題ありませんが、幹を広範囲にわたって傷つけられると、木が弱ってしまう原因になります。カブトムシは子どもに人気ですが、シマトネリコにとっては害虫となってしまう場合もあるのです。見つけたら、別の場所に逃がしてあげると良いでしょう。
白い綿のようなものがつく(カイガラムシ)
幹や枝、葉の付け根などに、白い綿や小さな貝殻のようなものがびっしりと付着していたら、それは「カイガラムシ」です。 この虫は植物の汁を吸って弱らせるだけでなく、排泄物が原因で葉が黒くなる「すす病」を誘発することもあります。 非常に繁殖力が強く、薬剤が効きにくい殻を持つ種類も多いため、見つけたらすぐに歯ブラシなどでこすり落とすのが効果的です。
シマトネリコの害虫に関するよくある質問

ここでは、シマトネリコの害虫対策について、お客様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q. 黒いフンはいつの時期に発生しやすいですか?
A. 春から秋(特に5月~10月頃)にかけて発生しやすいです。 これは、害虫である蛾の幼虫が活動する時期と一致します。特に気温が上がり、シマトネリコの新芽がたくさん出てくる初夏は、害虫にとってご馳走がたくさんある状態なので注意が必要です。定期的に株元や葉の状態をチェックする習慣をつけましょう。
Q. 室内で育てていても害虫はつきますか?
A. はい、室内でも害虫がつく可能性はあります。 窓を開けた際に親虫が侵入して産卵したり、購入した時点の土や株に卵や幼虫が付着していたりすることがあります。また、ハダニやカイガラムシといった小さな害虫は、屋外よりもむしろ乾燥しがちな室内で発生しやすい傾向があります。 室内でも油断せず、時々葉の裏などをチェックしてあげてください。
Q. おすすめの殺虫剤はありますか?
A. 「ベニカXファインスプレー」のような、幅広い害虫に効果があるスプレータイプと、「オルトランDX粒剤」のような、土に撒いて予防もできる粒剤タイプを併用するのがおすすめです。 スプレーは即効性があり、見つけた害虫をすぐに駆除したい場合に便利です。粒剤は効果が持続し、害虫を寄せ付けにくくする効果が期待できます。
Q. 薬剤は人体やペットに影響ありませんか?
A. 家庭園芸用の殺虫剤は、基本的に用法・用量を守って正しく使用すれば、過度に心配する必要はありません。しかし、薬剤散布中や散布直後は、お子様やペットが近づかないように配慮が必要です。風の強い日を避け、マスクや手袋を着用して散布しましょう。心配な方は、植物由来の成分で作られた、より安全性の高い薬剤を選ぶと良いでしょう。使用前には必ず製品の注意書きをご確認ください。
Q. アースジェットのような殺虫スプレーは効きますか?
A. ハエや蚊を対象とした一般的な殺虫スプレー(例:アースジェット)も、害虫に直接かかれば効果がないわけではありません。しかし、植物への影響が考慮されていないため、葉が枯れたりシミになったりする可能性があります。大切なシマトネリコには、必ず「園芸用」「樹木用」と記載のある専用の殺虫剤を使用してください。「お庭の虫コロリ 速効撃滅ジェット」のように、庭木に使えると明記された製品もあります。
まとめ

- シマトネリコの黒いフンは害虫のサイン。
- フンの正体は主にスズメガの幼虫。
- 他にシマケンモンやハマキムシも原因になる。
- 大きな幼虫は割り箸などで捕殺するのが確実。
- 害虫の数が多い場合は園芸用の殺虫剤を使う。
- おすすめ薬剤は「オルトラン粒剤」や「ベニカX」。
- 被害にあった葉は剪定して処分する。
- 予防の基本は定期的な剪定で風通しを良くすること。
- 予防効果のある薬剤の定期散布も有効。
- 害虫は春から秋にかけて発生しやすい。
- 室内でも害虫がつく可能性はある。
- 葉の変色は根詰まりや日照不足も疑う。
- 幹が削られていたらカブトムシの仕業かも。
- 白い綿はカイガラムシなので早めに駆除する。
- 害虫対策は早期発見と日頃の観察が重要。