お腹の不調は、日々の生活の質を大きく左右するものです。便秘や下痢、お腹の張りなど、腸のトラブルに悩まされている方は少なくありません。そんなとき、整腸剤の服用を考える方も多いでしょう。しかし、数多くの整腸剤の中から、どれを選べば良いのか迷ってしまうこともあります。
本記事では、医師の視点から、整腸剤の選び方や効果的な活用方法を徹底解説します。腸内環境を整え、快適な毎日を送るための参考にしてください。
医師が整腸剤をおすすめする理由と腸内環境の重要性

腸内環境は、私たちの全身の健康に深く関わっています。腸内には多種多様な細菌が生息しており、これらは「腸内フローラ」と呼ばれています。腸内フローラのバランスが良好であれば、消化吸収がスムーズに行われ、免疫機能の維持にも役立つことが知られています。しかし、食生活の乱れやストレス、加齢、抗生物質の服用などによって、このバランスは容易に崩れてしまうものです。
悪玉菌が増えすぎると、便秘や下痢といった消化器症状だけでなく、肌荒れやアレルギー、さらには生活習慣病のリスクを高める可能性も指摘されています。
整腸剤は、この乱れた腸内フローラのバランスを整えるために役立つ医薬品や医薬部外品です。主に善玉菌を補給することで、腸内を善玉菌が優位な環境へと導き、腸の本来の働きを支援します。医師が整腸剤をおすすめするのは、腸内環境の改善が、一時的な症状の緩和だけでなく、長期的な健康維持につながると考えているからです。
医師が推奨する整腸剤の選び方:見るべき5つのポイント

数ある整腸剤の中から自分に合ったものを選ぶには、いくつかのポイントがあります。医師が整腸剤を選ぶ際に重視する点を理解し、効果的な選択に役立てましょう。
ポイント1:菌の種類と効果の関連性
整腸剤に含まれる菌の種類は多岐にわたり、それぞれ異なる働きを持っています。主な菌の種類とその役割を知ることは、ご自身の症状に合わせた整腸剤を選ぶ上で非常に重要です。
- 乳酸菌:主に小腸に生息し、乳酸を産生することで腸内を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑えます。腸の活動を促し、便通を整える働きが期待できます。
- ビフィズス菌:主に大腸に多く存在し、乳酸と酢酸を産生します。酢酸には強い殺菌作用があり、悪玉菌の増殖を強力に抑えるとともに、腸のぜん動運動を促して便通を改善します。便秘や下痢の予防に役立つとされています。
- 酪酸菌:酪酸を産生し、大腸の粘膜細胞のエネルギー源となります。腸のぜん動運動を活発にするのを助け、ビフィズス菌などの善玉菌が住みやすい環境を整える働きがあります。便秘に悩む方におすすめです。
特定の症状に合わせた菌株の選び方としては、便秘がちな方にはビフィズス菌や酪酸菌、軟便や下痢を繰り返す方には乳酸菌が多く配合されたものが適している場合があります。複数の菌を組み合わせた複合生菌製剤は、幅広い症状に対応できるため、迷った際の選択肢となるでしょう。
ポイント2:菌が生きたまま腸に届く工夫
整腸剤に含まれる善玉菌は、胃酸に弱い性質を持つものが多いです。そのため、生きたまま腸まで届き、その効果を発揮するためには、製剤に工夫が凝らされているかどうかも重要なポイントとなります。例えば、胃酸から菌を守るための特殊なカプセルや、胃酸の影響を受けにくい菌株が選ばれている製品もあります。
ただし、最近の研究では、乳酸菌やビフィズス菌は生きていても死んでいても効果に大きな差はないという報告もあります。重要なのは、継続して摂取することと、十分な量の菌を摂ることだと考えられています。
ポイント3:継続しやすい剤形と服用方法
整腸剤は、効果を実感するまでに時間がかかることが多いため、毎日継続して服用することが大切です。そのため、ご自身のライフスタイルに合った剤形(錠剤、粉末、チュアブルなど)や服用回数を選ぶことが、継続のコツとなります。
食後に服用するのが一般的ですが、製品によっては空腹時の方が良い場合や、食前・食後を問わず服用できるものもあります。説明書をよく確認し、無理なく続けられるものを選びましょう。
ポイント4:安全性と品質の確認
整腸剤は、医薬品や医薬部外品として販売されており、一定の品質基準を満たしています。しかし、アレルギー体質の方や、他の薬を服用している方は、成分表示をよく確認し、医師や薬剤師に相談することが大切です。特に、血液をサラサラにする薬(ワルファリンなど)を服用している方は、納豆菌製剤との飲み合わせに注意が必要です。
また、妊娠中や授乳中の女性、小さなお子さんや高齢者の方が服用する際は、必ず医師や薬剤師に相談し、適切な製品を選ぶようにしましょう。
ポイント5:市販薬と処方薬の違い
整腸剤には、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬と、医師の診察を受けて処方される処方薬があります。市販薬は手軽に購入できる反面、含まれる菌の種類や配合量が処方薬と異なる場合があります。
処方薬は、医師が患者さんの症状や体質を詳しく診察した上で、最適な菌の種類や量を判断して処方するため、より効果が期待できるケースもあります。特に、慢性的な便秘や下痢、過敏性腸症候群(IBS)などの症状がある場合は、一度医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
症状別!医師が考える整腸剤の活用例

整腸剤は、腸内環境のバランスを整えることで、さまざまな消化器症状の改善に役立ちます。ここでは、具体的な症状に応じた整腸剤の活用例をご紹介します。
便秘に悩む方へのおすすめ
便秘は、腸のぜん動運動の低下や腸内フローラの乱れが原因で起こることが多い症状です。便秘に悩む方には、腸の動きを活発にする働きを持つ酪酸菌や、大腸で乳酸と酢酸を産生して腸内環境を整えるビフィズス菌を配合した整腸剤がおすすめです。
これらの菌は、腸内を酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑えることで、便の水分量を適切に保ち、スムーズな排便を促す効果が期待できます。ただし、便秘薬のように即効性はないため、毎日継続して服用することが大切です。
下痢を繰り返す方へのおすすめ
下痢は、腸内フローラのバランスが崩れ、悪玉菌が増殖することで起こりやすくなります。下痢を繰り返す方には、小腸で乳酸を産生し、腸内環境を弱酸性に保つ乳酸菌を多く含む整腸剤が適している場合があります。
乳酸菌は、悪玉菌の増殖を抑え、腸のバリア機能を支援することで、下痢の症状を和らげる働きが期待できます。また、抗生物質服用時に起こる下痢の予防や改善には、抗生物質に耐性を持つ乳酸菌を配合した整腸剤が有効な場合もあります。
過敏性腸症候群(IBS)対策
過敏性腸症候群(IBS)は、検査では異常が見つからないにもかかわらず、便秘や下痢、腹痛などの症状が慢性的に続く病気です。ストレスや自律神経の乱れが関係していると考えられており、腸内フローラの乱れも症状の悪化に関与している可能性があります。
IBSの症状緩和には、特定の乳酸菌やビフィズス菌が有効であるという研究報告もあります。医師と相談し、ご自身の症状に合った菌株を含む整腸剤を選ぶことが、症状の改善につながるでしょう。
抗生物質服用時の腸内ケア
抗生物質は、病原菌を退治する一方で、腸内の善玉菌も減らしてしまうことがあります。これにより、下痢やお腹の張りなどの副作用が起こることが少なくありません。
抗生物質を服用する際には、同時に整腸剤を服用することで、腸内フローラの乱れを最小限に抑え、消化器症状を予防・軽減できる可能性があります。この場合、抗生物質に耐性を持つ菌(耐性乳酸菌など)を配合した整腸剤を選ぶことが重要です。
整腸剤の効果を早めるための生活習慣のコツ

整腸剤の効果を最大限に引き出し、より健康な腸内環境を築くためには、日々の生活習慣を見直すことも非常に大切です。薬だけに頼るのではなく、体の中から腸を整える意識を持つことが、快適な毎日を送るためのコツとなります。
食生活の見直しと発酵食品の摂取
腸内環境を良好に保つためには、バランスの取れた食生活が基本です。特に、善玉菌のエサとなる食物繊維を豊富に含む野菜、果物、海藻類、きのこ類を積極的に摂りましょう。
また、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を直接摂取できる発酵食品もおすすめです。ヨーグルト、納豆、味噌、漬物などは、手軽に腸活に取り入れられる食品です。脂っこいものや甘いものの摂りすぎは悪玉菌を増やす原因となるため、控えめにすることが望ましいです。
適度な運動とストレス管理
適度な運動は、腸のぜん動運動を促し、便通を改善する効果が期待できます。ウォーキングや軽いジョギングなど、無理なく続けられる運動を習慣にしましょう。腹筋を鍛えるトレーニングも、お腹に刺激を与え、腸の働きを助けます。
腸は「第二の脳」とも呼ばれるほど、ストレスの影響を受けやすい臓器です。ストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、腸の働きが低下し、腸内フローラが乱れることがあります。十分な睡眠、リラックスできる時間を持つこと、趣味に没頭することなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
水分補給の重要性
十分な水分補給は、便を柔らかくし、スムーズな排便を促すために不可欠です。特に便秘がちな方は、意識的に水分を摂るように心がけましょう。水やお茶など、カフェインの少ない飲み物をこまめに摂取することがおすすめです。
水分が不足すると、便が硬くなり、排便が困難になるだけでなく、腸内環境の悪化にもつながります。一日にコップ6~8杯を目安に、水分を摂るようにしましょう。
整腸剤に関するよくある質問

- 整腸剤はいつ飲むのが効果的ですか?
- 整腸剤はどのくらいで効果が出ますか?
- 整腸剤は毎日飲んだ方がいいですか?
- 整腸剤を飲み続けるとどうなりますか?
- 整腸剤と乳酸菌サプリメントは同じですか?
- 子供や高齢者でも整腸剤は使えますか?
- 整腸剤に副作用はありますか?
- 医師に相談するタイミングはいつですか?
- 処方される整腸剤にはどのような種類がありますか?
- 整腸剤は便秘薬や下痢止めとどう違いますか?
- 腸内フローラを改善するために整腸剤以外にできることはありますか?
- 整腸剤を飲むと便秘がひどくなることはありますか?
- ビオフェルミンは医師に勧められますか?
整腸剤はいつ飲むのが効果的ですか?
整腸剤は、食後の服用が基本とされています。食後は食事によって胃酸が薄まっているため、整腸剤に含まれる乳酸菌が胃酸で死滅しにくくなり、生きたまま腸に届きやすくなると考えられているからです。ただし、空腹時に服用しても全く効果がないわけではありません。もし食後に飲み忘れてしまった場合は、気づいた時に服用しましょう。
整腸剤はどのくらいで効果が出ますか?
整腸剤の効果には個人差がありますが、一般的には飲み始めてから3日から7日ほどで変化を感じ始める方もいますが、2週間から1カ月ほどかかることもあります。整腸剤は腸内環境を徐々に整えていく薬であり、即効性があるわけではないため、焦らず継続して服用することが大切です。
整腸剤は毎日飲んだ方がいいですか?
整腸剤は、毎日継続して服用することが推奨されています。整腸剤で摂取した善玉菌は、腸内に定着することはなく、約1週間程度で体外に排出されてしまうため、継続的に補給することで腸内環境を良好に保つことができます。
整腸剤を飲み続けるとどうなりますか?
整腸剤は、腸内環境を整えることを主な目的としており、刺激性の便秘薬のように長く飲み続けることで効果が弱まる心配はほとんどありません。むしろ、継続して服用することで、腸内フローラのバランスが安定し、便通の改善や免疫力の向上など、長期的な健康維持につながると考えられています。
整腸剤と乳酸菌サプリメントは同じですか?
整腸剤と乳酸菌サプリメントは、どちらも乳酸菌などの善玉菌を摂取するという点では共通していますが、法的な位置づけが異なります。整腸剤は医薬品または医薬部外品であり、効果・効能が認められています。一方、乳酸菌サプリメントは食品に分類され、特定の効果・効能を謳うことはできません。医師や薬剤師に相談して選ぶ場合は、整腸剤の方がより医学的な根拠に基づいた選択が可能です。
子供や高齢者でも整腸剤は使えますか?
子供や高齢者でも整腸剤を使用できる製品は多くあります。ただし、年齢によって服用量や剤形が異なる場合があるため、必ず製品の説明書を確認し、必要に応じて医師や薬剤師に相談しましょう。特に、乳幼児や持病のある高齢者の場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。
整腸剤に副作用はありますか?
整腸剤は基本的に安全性が高いとされていますが、全く副作用がないわけではありません。一般的な副作用としては、軽度の腹部膨満感や下痢、吐き気、軽い腹痛などが報告されています。これらは腸内環境が急激に変化する際の一時的な反応であることが多く、数日で治まることがほとんどです。しかし、症状が長引いたり、悪化したりする場合は、すぐに服用を中止し、医師に相談してください。
医師に相談するタイミングはいつですか?
整腸剤をしばらく続けても症状が改善しない場合や、かえって悪化するような場合は、医療機関を受診しましょう。また、便秘や下痢が数日以上続く、発熱や激しい腹痛を伴う、血便が出るなどの症状がある場合は、自己判断せずに直ちに医師の診察を受けることが大切です。これらの症状は、腸内環境の乱れ以外の病気が隠れている可能性も考えられます。
処方される整腸剤にはどのような種類がありますか?
病院で処方される整腸剤には、乳酸菌製剤(例:ビオフェルミン、ラックビー)、ビフィズス菌製剤、酪酸菌製剤(例:ミヤBM)、複合生菌製剤など、さまざまな種類があります。医師は患者さんの症状や病態、他の薬との飲み合わせなどを考慮し、最適な整腸剤を選んで処方します。例えば、抗生物質による下痢には耐性乳酸菌製剤が選ばれることもあります。
整腸剤は便秘薬や下痢止めとどう違いますか?
整腸剤、便秘薬、下痢止めは、それぞれ作用の仕組みが異なります。整腸剤は、腸内フローラのバランスを整えることで、穏やかに便秘や下痢などの消化器症状を改善します。一方、便秘薬は腸を刺激したり、便を柔らかくしたりして排便を促す薬で、即効性があります。下痢止めは、腸のぜん動運動を抑えたり、腸内の水分量を調整したりして下痢を止める薬です。
整腸剤は根本的な腸内環境の改善を目指すのに対し、便秘薬や下痢止めは一時的な症状の緩和を目的とする点で違いがあります。
腸内フローラを改善するために整腸剤以外にできることはありますか?
腸内フローラを改善するためには、整腸剤の服用だけでなく、日々の生活習慣の見直しが非常に重要です。具体的には、食物繊維や発酵食品を積極的に摂るバランスの取れた食生活、適度な運動、十分な睡眠、ストレスの管理、そしてこまめな水分補給などが挙げられます。これらの生活習慣を整えることで、整腸剤の効果をさらに高め、より健康な腸内環境を維持できるでしょう。
整腸剤を飲むと便秘がひどくなることはありますか?
稀に、整腸剤の服用によって一時的に便秘が悪化したり、腹部膨満感が増したりすることがあります。これは、腸内環境が急激に変化する過程で起こる一時的な反応である可能性が高いです。特に、ビフィズス菌を多量に摂取することで腸内ガスの増加や一時的な便秘を引き起こすことがあると報告されています。症状が続く場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
ビオフェルミンは医師に勧められますか?
ビオフェルミンは、乳酸菌製剤として広く知られており、市販薬としても処方薬としても利用されています。医師が患者さんの症状や状態に応じて、ビオフェルミンを勧めることは十分にあります。特に、腸内フローラのバランスを整える目的で、便秘や軟便、腹部膨満感などの症状に対して処方されることが多いです。ただし、ビオフェルミンにも複数の種類があるため、ご自身の症状に合ったものを選ぶことが重要です。
まとめ
- 整腸剤は腸内フローラのバランスを整え、消化器症状の改善に役立つ。
- 医師が整腸剤を勧めるのは、長期的な健康維持につながるため。
- 整腸剤選びでは、菌の種類と効果の関連性を理解することが大切。
- 乳酸菌は小腸、ビフィズス菌は大腸で主に働き、酪酸菌は腸の動きを助ける。
- 菌が生きたまま腸に届く工夫がされているか確認する。
- 継続しやすい剤形や服用方法を選ぶことが効果を実感するコツ。
- 安全性と品質を確認し、必要に応じて医師や薬剤師に相談する。
- 市販薬と処方薬には違いがあり、症状が重い場合は医師の診察を。
- 便秘には酪酸菌やビフィズス菌、下痢には乳酸菌がおすすめ。
- 過敏性腸症候群(IBS)や抗生物質服用時にも整腸剤が活用される。
- 整腸剤の効果を早めるには、食生活の見直しが重要。
- 食物繊維や発酵食品を積極的に摂取し、悪玉菌を減らす。
- 適度な運動は腸のぜん動運動を促し、ストレス管理も大切。
- 十分な水分補給は便を柔らかくし、排便をスムーズにする。
- 整腸剤は食後の服用が基本だが、飲み忘れ時は気づいた時に飲む。
- 効果実感までには2週間から1カ月程度かかる場合があるため継続が重要。
- 稀に腹部膨満感や下痢などの副作用が出ることがある。
- 症状が改善しない、悪化する場合は速やかに医師に相談する。
- ビオフェルミンなど、医師が勧める整腸剤は症状に応じて選ばれる。
