地震や台風などの自然災害は、いつ起こるかわかりません。いざという時にライフラインが止まってしまっても、数日間は自力で生活できるよう、食料の備蓄は不可欠です。本記事では、災害経験者の声をもとに、本当に「あってよかった」と感じた食べ物や、備蓄食料の選び方、おすすめの食品などを詳しく解説します。この記事を読めば、あなたの家庭に合った最適な食料備蓄がわかります。
災害時に「あってよかった!」と心から思えた食べ物【経験談まとめ】
災害という非日常の状況下では、普段とは違うものが心と体の支えになることがあります。実際に被災された方々の経験談から、特に「あってよかった」と感じられた食べ物をまとめました。これから備蓄を考える上で、非常に参考になるはずです。
この章では、以下の点を中心に解説します。
- 精神的な支えになった「甘いもの」
- ホッと一息つけた「温かいもの」
- 普段から食べ慣れている「いつもの味」
- 調理不要ですぐ食べられる「即食性の高いもの」
- 栄養バランスを補う「野菜・果物系」
精神的な支えになった「甘いもの」
災害時の不安やストレスが大きい状況では、甘いものが精神的な支えになったという声が非常に多く聞かれます。チョコレート、飴、ようかん、ビスケットなどは、手軽に糖分を補給でき、気分転換やリラックス効果が期待できます。特に、個包装になっているものは分けやすく、衛生的なのでおすすめです。
疲労が蓄積している時に甘いものを口にすると、脳のエネルギー源であるブドウ糖が補給され、一時的に気分が落ち着いたり、集中力が回復したりする効果があります。また、甘い味は幸福感をもたらす神経伝達物質の分泌を促すとも言われています。災害時の厳しい環境下で、ほんの少しの甘さが心のオアシスになることは想像に難くありません。
備蓄する際は、常温で長期保存が可能で、持ち運びやすいものを選びましょう。ようかんは水分も同時に摂取でき、腹持ちも良いので特に人気があります。チョコレートも、高カロリーでエネルギー補給に適していますが、夏場の保管には注意が必要です。
ホッと一息つけた「温かいもの」
ライフラインが停止し、冷たい食事が続く中で、温かい食べ物や飲み物は心と体を温め、大きな安らぎを与えてくれます。インスタントのスープや味噌汁、フリーズドライの雑炊、温かい飲み物(コーヒー、紅茶、ココアなど)は、カセットコンロと水さえあれば簡単に用意できます。
特に寒い時期の災害では、体温の低下を防ぐためにも温かい食事は重要です。体が温まると血行が促進され、リラックス効果も高まります。また、温かい湯気や香りは、食欲を刺激し、精神的な満足感にも繋がります。「温かいものを口にできた時、生きている実感とともに涙が出た」という経験談もあるほど、その効果は絶大です。
温かい食事を用意するためには、カセットコンロとガスボンベの備蓄も忘れずに行いましょう。フリーズドライ食品は、お湯を注ぐだけで本格的な味を楽しめるものが増えています。軽量で場所を取らない点もメリットです。
普段から食べ慣れている「いつもの味」
災害時という特殊な環境下では、食べ慣れない非常食ばかりだと食事が苦痛になることがあります。そんな時、普段から食べ慣れているレトルト食品や缶詰、お菓子などがあると、安心感を得られます。
特に小さなお子さんや高齢者の方は、環境の変化に敏感で食欲が落ちやすい傾向があります。「いつもの味」は、ストレスを軽減し、食欲を維持する助けになります。カレー、牛丼、親子丼などのレトルト食品や、サバ缶、ツナ缶など、日常的に食卓に登場するものを備蓄に加えておくことをおすすめします。
ローリングストック法(後述)を活用すれば、普段の食事で消費しながら、常に新しいものを備蓄しておくことができます。賞味期限を気にするストレスも減り、いざという時にも食べ慣れた味にありつけます。
調理不要ですぐ食べられる「即食性の高いもの」
災害発生直後や、避難生活で調理器具が使えない状況では、開封してすぐに食べられるものが重宝します。缶詰(特に味付きのものや、果物缶)、パンの缶詰、栄養補助食品(カロリーメイト、SOYJOYなど)、魚肉ソーセージ、チーズなどが挙げられます。
電気やガス、水道が止まってしまうと、お湯を沸かすことすら困難になる場合があります。そんな時でも、袋や缶を開けるだけで食事ができるというのは、非常に大きなアドバンテージです。特に、体力が消耗している時や、すぐにエネルギーを補給したい時に役立ちます。
パンの缶詰は、賞味期限が長く、柔らかい食感のものが多いので、子供から高齢者まで食べやすいのが特徴です。栄養補助食品は、コンパクトで持ち運びやすく、少ない量で効率的にカロリーや栄養素を摂取できます。
栄養バランスを補う「野菜・果物系」
災害時の食事は、炭水化物やタンパク質に偏りがちです。ビタミンやミネラル、食物繊維が不足すると、体調を崩しやすくなったり、便秘になったりすることがあります。そのため、野菜ジュース、ドライフルーツ、果物の缶詰など、野菜や果物を補給できるものも備蓄しておくと良いでしょう。
野菜ジュースは、手軽にビタミンやミネラルを摂取できます。常温で長期保存可能なものが多く、水分補給にもなります。ドライフルーツは、食物繊維が豊富で、甘みもあるためおやつ代わりにもなります。果物の缶詰(みかん、桃、パイナップルなど)は、ビタミン補給だけでなく、食欲がない時でも食べやすいのがメリットです。
これらの食品は、単調になりがちな災害時の食事に彩りを与え、栄養バランスを整える上で重要な役割を果たします。特に、長期化する避難生活においては、健康維持のために意識的に摂取したい食品です。
最低限備えておきたい!災害時の食料備蓄リスト
災害時に備えて、具体的にどのような食料をどのくらい備蓄しておけば良いのでしょうか。ここでは、最低限備えておきたい食料のリストと、備蓄量の目安について解説します。家族構成やライフスタイルに合わせて、リストをカスタマイズしていくことが大切です。
この章では、以下の点を中心に解説します。
- 主食(ご飯、パン、麺類)
- 主菜(缶詰、レトルト食品)
- 副菜(野菜ジュース、ドライフルーツ、缶詰)
- その他(調味料、お菓子、飲料水)
- 備蓄量の目安:最低3日分、推奨1週間分
主食(ご飯、パン、麺類)
主食はエネルギー源として最も重要です。最低でも3日分、できれば1週間分を備蓄しておきましょう。
- アルファ米・乾燥米: 水やお湯を加えるだけでご飯になるため、非常に便利です。白米だけでなく、五目ごはんやわかめごはんなど味付きのものもあります。
- パックごはん: 温めずにそのまま食べられるものもありますが、基本的には湯煎や電子レンジでの加熱が必要です。
- パンの缶詰・長期保存パン: 開けてすぐに食べられる手軽さが魅力です。賞味期限が1年以上のものを選びましょう。
- 乾麺(パスタ、うどん、そば、そうめん): 長期保存が可能ですが、茹でるために水と熱源が必要です。カセットコンロと合わせて備蓄しましょう。
- 餅: 腹持ちが良く、長期保存も可能です。焼いたり、お湯で戻したりして食べます。
- シリアル・オートミール: 牛乳や水がなくても、そのまま食べられるタイプもあります。栄養価が高い点もメリットです。
これらの主食をバランス良く備蓄しておくことで、飽きずにエネルギーを確保することができます。
主菜(缶詰、レトルト食品)
タンパク質を摂取し、食事の満足感を高めるために主菜も欠かせません。調理不要で食べられるものを中心に選びましょう。
- 魚の缶詰: サバ缶、ツナ缶、イワシ缶、サンマ缶など。DHAやEPAなどの栄養も豊富です。味付けされているものは、ご飯のおかずにもなります。
- 肉の缶詰: やきとり缶、コンビーフ、スパムなど。
- レトルト食品: カレー、シチュー、牛丼、親子丼、ハンバーグ、ミートボールなど。温めずに食べられるタイプもありますが、温めるとより美味しくいただけます。
- 大豆製品: 大豆の煮豆缶、豆腐(長期保存タイプ)など。植物性タンパク質を手軽に摂取できます。
- 魚肉ソーセージ: 常温保存が可能で、そのまま食べられます。
これらの主菜は、ご飯やパンと組み合わせることで、バランスの取れた食事になります。
副菜(野菜ジュース、ドライフルーツ、缶詰)
ビタミン、ミネラル、食物繊維を補うための副菜も重要です。意識的に備蓄リストに加えましょう。
- 野菜ジュース: 手軽に野菜不足を補えます。長期保存可能なものを選びましょう。
- ドライフルーツ: プルーン、レーズン、マンゴーなど。食物繊維やミネラルが豊富です。
- 果物の缶詰: みかん、桃、パイナップル、ミックスフルーツなど。食欲がない時でも食べやすく、ビタミン補給になります。
- 野菜の缶詰: コーン缶、トマト缶、きのこ缶など。スープや煮込み料理にも活用できます。
- 海苔・わかめ: 味付け海苔や乾燥わかめは、ミネラル補給に役立ちます。
- 梅干し: クエン酸が疲労回復に役立ち、食欲増進効果も期待できます。
- 漬物(長期保存タイプ): 食事のアクセントになります。
これらの副菜は、単調になりがちな災害時の食事に変化を与え、健康維持に貢献します。
その他(調味料、お菓子、飲料水)
主食、主菜、副菜以外にも、備えておくと役立つものがあります。
- 飲料水: 最も重要です。1人1日3リットルを目安に、最低3日分、できれば1週間分を備蓄しましょう。長期保存水がおすすめです。
- 調味料: 塩、砂糖、醤油、味噌、油など。少量でもあると味の調整ができて便利です。チューブタイプの調味料も使いやすいです。
- お菓子・嗜好品: チョコレート、飴、クッキー、せんべい、ようかんなど。精神的な支えになります。
- インスタント飲料: コーヒー、紅茶、ココア、粉末スープ、味噌汁など。温かい飲み物はリラックス効果があります。
- はちみつ・ジャム: パンやクラッカーに塗ったり、飲み物に入れたりできます。
- 粉ミルク・離乳食: 乳幼児がいる家庭では必須です。
- 介護食・アレルギー対応食: 必要な方がいる場合は必ず備蓄しましょう。
飲料水は生命維持に直結するため、最優先で確保してください。お菓子や嗜好品は、心の栄養として重要です。
備蓄量の目安:最低3日分、推奨1週間分
災害発生後、支援物資が届くまでには時間がかかる場合があります。また、大規模な災害の場合は、物流が滞り、食料が手に入りにくい状況が長く続く可能性もあります。そのため、食料と飲料水は最低でも3日分、可能であれば1週間分以上を備蓄しておくことが推奨されています。
備蓄量は、「1人あたり × 必要日数分」で計算します。家族の人数に合わせて必要な量を把握しましょう。
例えば、4人家族で3日分を備蓄する場合:
- 飲料水: 3リットル × 4人 × 3日 = 36リットル
- 主食(例: アルファ米): 3食 × 4人 × 3日 = 36食
- 主菜(例: 缶詰・レトルト): 3食 × 4人 × 3日 = 36食
- 副菜・その他: 適宜
これはあくまで目安です。家族の年齢構成や食習慣、アレルギーの有無などを考慮して、必要な品目と量を調整してください。特に、乳幼児や高齢者、持病のある方がいる場合は、個別のニーズに合わせた備蓄が必要です。
災害時の食料選びで失敗しないためのポイント
せっかく備蓄食料を用意しても、いざという時に食べられなかったり、栄養が偏ってしまったりしては意味がありません。ここでは、災害時の食料選びで失敗しないための重要なポイントを解説します。これらのポイントを押さえて、賢く備蓄を進めましょう。
この章では、以下の点を中心に解説します。
- 長期保存が可能か(賞味期限)
- 調理不要・簡単調理で食べられるか
- 栄養バランスは考慮されているか
- アレルギー対応は必要か
- 家族の好みに合っているか
- ローリングストック法を活用する
長期保存が可能か(賞味期限)
災害はいつ起こるかわからないため、備蓄食料はできるだけ賞味期限の長いものを選ぶのが基本です。最低でも1年以上、できれば3年~5年程度の賞味期限があるものが望ましいでしょう。
アルファ米、缶詰、レトルト食品、フリーズドライ食品などは、比較的賞味期限が長い製品が多いです。購入時には必ず賞味期限を確認し、期限が近づいたものから消費していく「ローリングストック法」(後述)を実践することで、食品ロスを防ぎ、常に新しいものを備蓄しておくことができます。
賞味期限が切れてもすぐに食べられなくなるわけではありませんが、風味や品質が劣化する可能性があります。また、災害時には衛生状態が悪化しやすいため、安全のためにも期限内に消費・交換することが重要です。
調理不要・簡単調理で食べられるか
災害発生直後は、電気・ガス・水道などのライフラインが停止する可能性が高いです。そのため、調理せずにそのまま食べられるものや、水やお湯を加えるだけで食べられるものを優先的に備蓄しましょう。
パンの缶詰、栄養補助食品、缶詰(味付きのもの)、魚肉ソーセージなどは、開封するだけで食べられます。アルファ米やフリーズドライ食品は、水やお湯が必要ですが、比較的簡単に調理できます。乾麺などは、茹でるための水と熱源(カセットコンロなど)が必要になるため、それらもセットで備蓄しておく必要があります。
調理の手間が少ない食品は、体力が落ちている時や、精神的に余裕がない時でも負担なく食事をとることができます。特に、災害発生から最初の3日間程度は、即食性の高い食品を中心に備蓄しておくと安心です。
栄養バランスは考慮されているか
災害時の食事は、炭水化物(主食)に偏りがちです。しかし、健康を維持するためには、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などもバランス良く摂取することが大切です。
主食(アルファ米、パンなど)だけでなく、主菜となるタンパク質源(缶詰、レトルト食品など)、副菜となるビタミン・ミネラル源(野菜ジュース、ドライフルーツ、果物缶など)も組み合わせて備蓄しましょう。
栄養補助食品やサプリメントを活用するのも一つの方法です。特に、避難生活が長引く場合は、栄養不足が体調不良の原因となることもあるため、意識的に栄養バランスを考えた食料選びが重要になります。
アレルギー対応は必要か
家族の中に食物アレルギーを持つ方がいる場合は、アレルギー対応食品の備蓄が不可欠です。特定原材料7品目(えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生)を使用していない食品や、各アレルギーに対応した専用の非常食などを準備しましょう。
アレルギー対応食品は、一般的なスーパーでは手に入りにくい場合もあるため、事前にインターネット通販などを利用して、計画的に備蓄しておく必要があります。また、アレルギー表示をしっかりと確認し、誤食を防ぐための管理も重要です。
災害時には、支援物資として配られる食料がアレルギーに対応していない可能性もあります。自分の家族に必要なアレルギー対応食は、自分たちで責任を持って備蓄しておくという意識が大切です。
家族の好みに合っているか
いくら栄養価が高く、長期保存が可能でも、家族が「食べたい」と思えるものでなければ、いざという時に食事が進まない可能性があります。特に、ストレスのかかる災害時には、食事が数少ない楽しみの一つになることもあります。
備蓄食料を選ぶ際には、家族の好みや普段の食生活を考慮しましょう。子供が好きなお菓子やジュース、普段から食べ慣れているレトルト食品などを取り入れることで、災害時の食事に対する抵抗感を減らすことができます。
可能であれば、購入した非常食を平常時に一度試食してみることをおすすめします。味や食感を確認し、家族が受け入れられるかどうかを判断しておくと、いざという時に「食べられない」という事態を防ぐことができます。
ローリングストック法を活用する
ローリングストック法とは、普段の生活で使う食料品を少し多めに買い置きし、使った分だけ買い足していくことで、常に一定量の備蓄を保つ方法です。
この方法のメリットは以下の通りです。
- 賞味期限切れを防ぎやすい: 日常的に消費していくため、古いものから使う習慣がつき、期限切れによる食品ロスを減らせます。
- 特別な非常食を用意する必要がない場合も: 普段から食べている缶詰やレトルト食品などを備蓄対象にできるため、無理なく始められます。
- 食べ慣れた味を備蓄できる: いざという時にも、普段から食べ慣れているものを食べられる安心感があります。
ローリングストックを実践する際は、「備蓄スペース」と「日常使いスペース」を分け、古いものから使うように意識することがポイントです。缶詰、レトルト食品、乾麺、飲料水、お菓子など、様々な食品で応用できます。無理のない範囲から始めて、習慣化していくことが大切です。
【種類別】おすすめの災害時向け食べ物
災害時に役立つ食べ物には様々な種類があります。ここでは、備蓄におすすめの食品を種類別に紹介し、それぞれの特徴や選び方のポイントを解説します。これらの情報を参考に、ご自身の家庭に合った備蓄食料を選んでみてください。
この章では、以下の点を中心に解説します。
- 缶詰(魚、肉、果物、野菜)
- レトルト食品(カレー、丼、おかゆ)
- アルファ米・乾燥米
- 乾麺(パスタ、うどん、そば)
- パンの缶詰・長期保存パン
- フリーズドライ食品(スープ、味噌汁、雑炊)
- 栄養補助食品(カロリーメイト、バランスパワーなど)
- お菓子・嗜好品(チョコレート、飴、ようかん)
- 飲料水・長期保存水
缶詰(魚、肉、果物、野菜)
缶詰は長期保存が可能で、調理不要でそのまま食べられるものが多く、災害備蓄の定番です。
- 魚の缶詰: サバの水煮缶、味噌煮缶、オイルサーディン、ツナ缶など。タンパク質やDHA・EPAが豊富。味付きのものはご飯のおかずに最適です。
- 肉の缶詰: やきとり缶、コンビーフ、ランチョンミート(スパム)など。エネルギー補給に役立ちます。
- 果物の缶詰: みかん、桃、パイナップル、ミックスフルーツなど。ビタミン補給や食欲がない時の水分補給に。シロップも貴重な糖分になります。
- 野菜の缶詰: コーン、トマト、きのこ、豆類など。野菜不足を補うのに役立ちます。スープや煮込み料理にも使えます。
選ぶ際は、プルトップ式の開けやすいものを選ぶと、缶切りがない場合でも安心です。様々な種類の缶詰をバランス良く備蓄しておきましょう。
レトルト食品(カレー、丼、おかゆ)
レトルト食品は、温めるだけで手軽に食べられるものが多く、普段の食事に近い感覚で利用できます。
- カレー・シチュー: 定番の人気メニュー。ご飯やパンがあればすぐに食事ができます。
- 丼もの(牛丼、親子丼など): ご飯にかけるだけで主食が完成します。
- おかゆ: 体調が悪い時や食欲がない時、高齢者や乳幼児にも適しています。温めずに食べられるタイプもあります。
- ハンバーグ・ミートボール: 子供にも人気のメニュー。タンパク質源になります。
- スープ類: コーンスープ、ミネストローネなど。体を温め、水分補給にもなります。
最近では、温めずにそのまま食べても美味しいレトルト食品も増えています。ライフラインが止まった状況でも食べられるか、パッケージを確認して選びましょう。
アルファ米・乾燥米
アルファ米は、炊いたご飯を急速乾燥させたもので、水やお湯を加えるだけで元の状態に戻る非常食の代表格です。
- 特徴: 軽量でコンパクト、長期保存(5年程度)が可能。
- 種類: 白米、わかめごはん、五目ごはん、ドライカレー、チキンライスなど、味のバリエーションが豊富。
- 調理方法: 袋の中に水またはお湯を注ぎ、指定の時間待つだけ。水でも調理可能ですが、お湯の方が早く美味しく仕上がります。
アレルギー対応製品も多く販売されています。様々な味を揃えておくと、飽きずに食べ続けられます。
乾麺(パスタ、うどん、そば)
乾麺は安価で長期保存が可能なため、備蓄に適しています。
- 種類: パスタ、うどん、そば、そうめん、中華麺など。
- 注意点: 茹でるためにたっぷりの水と熱源(カセットコンロなど)が必要です。また、麺つゆやパスタソースなどの調味料も合わせて備蓄する必要があります。
- メリット: 普段から食べ慣れている味で、アレンジもしやすい。
水や燃料の確保が前提となりますが、温かい麺類は満足感が高く、体を温める効果もあります。水や燃料の備蓄とセットで検討しましょう。
パンの缶詰・長期保存パン
開けてすぐに食べられる手軽さが魅力のパンの缶詰や長期保存パン。
- 特徴: 賞味期限が長い(1年~5年程度)。缶詰タイプは衝撃に強く、保存性が高い。袋入りの長期保存パンは、ゴミが少なく済みます。
- 種類: プレーン、チョコチップ、メープル、チーズなど、味のバリエーションも豊富。
- メリット: 調理不要で、子供から高齢者まで食べやすい柔らかい食感のものが多い。
朝食やおやつとしても活用できます。いくつか種類を備蓄しておくと、気分に合わせて選べます。
フリーズドライ食品(スープ、味噌汁、雑炊)
フリーズドライ食品は、お湯を注ぐだけで本格的な味を楽しめるのが特徴です。
- 特徴: 軽量でコンパクト、長期保存が可能。素材の風味や栄養が損なわれにくい。
- 種類: 味噌汁、スープ、雑炊、リゾット、親子丼の具など、種類が非常に豊富。
- メリット: 温かい食事を手軽に用意でき、体を温め、リラックス効果も期待できる。
お湯を沸かすための水と熱源が必要ですが、その価値は十分にあります。様々な種類を試して、お気に入りの味を見つけておくのも良いでしょう。
栄養補助食品(カロリーメイト、バランスパワーなど)
少ない量で効率的にカロリーや栄養素を摂取できる栄養補助食品は、災害時の強い味方です。
- 種類: ブロックタイプ(カロリーメイトなど)、バータイプ(SOYJOY、一本満足バーなど)、ゼリー飲料(ウィダーinゼリーなど)、ビスケットタイプ(バランスパワーなど)。
- 特徴: コンパクトで持ち運びやすい。常温で長期保存が可能。
- メリット: 調理不要ですぐに食べられる。食欲がない時や、移動中などでも手軽にエネルギー補給ができる。ビタミンやミネラルが強化されているものも多い。
行動食としても役立つため、避難袋などにも入れておくと良いでしょう。
お菓子・嗜好品(チョコレート、飴、ようかん)
災害時のストレス軽減や気分転換に役立つお菓子や嗜好品も、「心の栄養」として重要です。
- チョコレート: 高カロリーで手軽なエネルギー源。ただし、夏場は溶けやすいので保管場所に注意。
- 飴: 長時間口に含んでいられるため、空腹感を紛らわせたり、喉の乾燥を防いだりするのに役立つ。
- ようかん: 高カロリーで腹持ちが良く、水分も含まれている。長期保存が可能で、和菓子は心を落ち着かせる効果も。
- ビスケット・クッキー・せんべい: 腹持ちが良く、子供にも人気。
- ガム: 口寂しさを紛らわせたり、気分転換になったりする。
個包装になっているものは、衛生的で分けやすく便利です。家族の好みに合わせて、いくつか種類を用意しておきましょう。
飲料水・長期保存水
生命維持に不可欠な飲料水の備蓄は最優先事項です。
- 必要量: 1人1日あたり3リットルが目安。
- 備蓄期間: 最低3日分、推奨1週間分以上。
- 種類: 水道水(清潔な容器に入れ、冷暗所で3日程度)、ペットボトルのミネラルウォーター(賞味期限を確認)、長期保存水(5年~10年程度の賞味期限)。
長期保存水は、通常のミネラルウォーターよりも割高ですが、頻繁な買い替えの手間が省けるためおすすめです。ローリングストックを活用し、常に一定量を確保しておきましょう。また、生活用水(トイレ、洗濯など)のために、水道水をポリタンクなどに貯めておくことも有効です。
乳幼児・高齢者・アレルギーを持つ方への配慮
災害時の食料備蓄においては、家族構成に合わせて特別な配慮が必要な場合があります。特に、乳幼児、高齢者、食物アレルギーを持つ方がいる家庭では、それぞれのニーズに合った食料を準備しておくことが非常に重要です。ここでは、それぞれのケースで注意すべき点と、備えておきたい食品について解説します。
この章では、以下の点を中心に解説します。
- 乳幼児向けの備蓄(粉ミルク、離乳食)
- 高齢者向けの備蓄(やわらかい食事、おかゆ)
- アレルギー対応食品の備蓄
乳幼児向けの備蓄(粉ミルク、離乳食)
乳幼児がいる家庭では、大人と同じ食事がとれないため、専用の備蓄が必須です。
- 粉ミルク:
- 種類: 普段使っているものと同じものを用意するのが基本です。スティックタイプやキューブタイプは、計量の手間が省け、衛生的で便利です。液体ミルクは、お湯や哺乳瓶がなくてもすぐに飲ませられるため、災害時には非常に役立ちます。
- 量: 最低でも1週間分、できれば2週間分以上を目安に備蓄しましょう。
- 関連用品: 哺乳瓶、乳首、洗浄・消毒用品(消毒液、ミルトンなど)、清潔な水(湯冷まし用、ミルク調乳用)も忘れずに。
- 離乳食:
- 種類: ベビーフード(瓶詰、レトルトパウチなど)を月齢に合わせて用意します。そのまま食べられるタイプが便利です。
- 量: 1週間分以上を目安に。
- その他: 赤ちゃん用のおやつ(たまごボーロ、せんべいなど)、麦茶やイオン飲料なども備えておくと安心です。
母乳育児の場合でも、災害時のストレスなどで母乳が出にくくなる可能性も考慮し、粉ミルクや液体ミルクを予備として備蓄しておくことをおすすめします。
高齢者向けの備蓄(やわらかい食事、おかゆ)
高齢者の方は、噛む力や飲み込む力が低下している場合があるため、食事内容に配慮が必要です。
- やわらかい食事:
- 種類: レトルトのおかゆ、やわらかく煮たうどん、介護食(ムース食、きざみ食など)、舌でつぶせる程度のやわらかさの缶詰(魚の煮付けなど)やレトルト食品。
- ポイント: 普段から食べ慣れているもの、好みの味付けのものを選ぶと食欲が維持しやすくなります。
- 栄養面での配慮:
- 食が細くなりがちなため、少量でも栄養価の高いもの(栄養補助食品、高カロリーゼリーなど)を備えておくと良いでしょう。
- 脱水を防ぐために、経口補水液やとろみ付きの飲料なども役立ちます。
- その他:
- 入れ歯を使用している場合は、洗浄剤や保管ケースも忘れずに。
- 持病がある場合は、常備薬と合わせて、食事制限に対応した食品も必要に応じて備蓄しましょう。
普段の食事内容や健康状態を考慮し、食べやすい形状や味付けのものを中心に備蓄することが大切です。
アレルギー対応食品の備蓄
食物アレルギーを持つ方がいる家庭では、命に関わる問題であるため、アレルギー対応食品の備蓄は最重要課題の一つです。
- 特定原材料の確認:
- 原因となるアレルゲン(卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生など)が含まれていないことを、食品表示で必ず確認します。
- コンタミネーション(製造過程での微量混入)にも注意が必要な場合は、「特定原材料に準ずるもの」21品目についても確認しましょう。
- アレルギー対応非常食:
- 最近では、特定原材料7品目や28品目を使用していないアルファ米、レトルトカレー、パン、お菓子などが多く販売されています。
- インターネット通販などを活用し、普段からリストアップして計画的に購入・備蓄しましょう。
- 管理方法:
- 他の食品と混ざらないように、専用の箱や袋に入れて保管します。
- アレルギーがあることを明記し、家族全員が保管場所を把握しておくことが重要です。
- 賞味期限を定期的に確認し、ローリングストック法で管理しましょう。
- 情報収集:
- 自治体によっては、アレルギー対応の備蓄食料に関する情報提供や、避難所での配慮について定められている場合があります。事前に確認しておきましょう。
災害時には、支援物資がアレルギーに対応していない可能性が高いため、必要なアレルギー対応食は、必ず自分たちで十分に備蓄しておく必要があります。
よくある質問
災害時の食料は何日分必要ですか?
一般的に、最低でも3日分、可能であれば1週間分以上の食料と飲料水を備蓄することが推奨されています。大規模災害の場合、支援物資の到着やライフラインの復旧に時間がかかる可能性があるため、多めに備えておくと安心です。家族の人数や構成に合わせて必要量を計算しましょう。
災害時の食事で気をつけることは?
以下の点に気をつけましょう。
- 衛生管理: 食中毒を防ぐため、食事の前には必ず手を洗い、清潔な食器を使用しましょう。ウェットティッシュやアルコール消毒液も役立ちます。
- 栄養バランス: 炭水化物に偏らず、タンパク質、ビタミン、ミネラルも意識して摂取しましょう。缶詰や野菜ジュースなどを活用します。
- 水分補給: こまめな水分補給を心がけましょう。特に夏場や、体を動かした後などは注意が必要です。
- 火の取り扱い: カセットコンロなどを使用する場合は、換気を十分に行い、火の元から離れないようにしましょう。
- 食品の管理: 開封した食品は早めに食べきる、賞味期限を確認するなど、食品の管理にも注意が必要です。
ローリングストックとは何ですか?
ローリングストックとは、普段から食べている食料品(缶詰、レトルト食品、乾麺など)を少し多めに買い置きし、賞味期限の古いものから消費し、消費した分を買い足していくことで、常に一定量の食料を備蓄しておく方法です。特別な非常食を買わなくても、普段の食料で備蓄ができ、賞味期限切れを防ぎやすいというメリットがあります。
災害時に甘いものが欲しくなるのはなぜですか?
災害時の強いストレスや不安、疲労などにより、脳がエネルギー源であるブドウ糖を欲するためと考えられます。また、甘いものを食べると、幸福感に関わる神経伝達物質(セロトニンなど)の分泌が促され、一時的に気分が落ち着いたり、安心感を得られたりする効果も期待できます。そのため、チョコレートや飴、ようかんなどの甘いものは、災害時の「心の栄養」として非常に役立ちます。
災害時の食料備蓄で意外と忘れがちなものは?
主食や水以外で忘れがちなものとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 調味料: 塩、砂糖、醤油、味噌など。少量でもあると味に変化をつけられます。
- 油: 炒め物や揚げ物だけでなく、エネルギー補給にもなります。
- お菓子・嗜好品: 心の支えになります。
- カセットコンロ・ガスボンベ: 温かい食事を作るために必要です。
- ラップ・アルミホイル: 食器を汚さずに済んだり、保温に役立ったりします。
- 缶切り・栓抜き: プルトップ式でない缶詰や瓶詰を開けるために必要です。
- キッチンバサミ: 袋を開けたり、食材を切ったりするのに便利です。
- ウェットティッシュ・アルコール消毒液: 衛生管理に役立ちます。
カセットコンロやガスボンベも必要ですか?
はい、備えておくことを強くおすすめします。電気やガスが止まった場合でも、カセットコンロがあればお湯を沸かしたり、簡単な調理をしたりすることができます。温かい食事や飲み物は、体温維持や精神的な安定に繋がります。ガスボンベも、1週間程度の使用を見越して、余裕を持って備蓄しておきましょう(目安:1人あたり1週間で3~6本程度)。使用期限も確認しておきましょう。
水の備蓄はどのくらい必要ですか?
飲料水としては、1人1日あたり3リットルを目安に備蓄しましょう。これを最低3日分(9リットル/人)、できれば1週間分(21リットル/人)用意しておくことが推奨されています。これに加えて、調理や手洗い、トイレなどに使う生活用水も必要になるため、水道水をポリタンクに汲み置きしたり、お風呂の水を溜めておいたりすることも有効です。
まとめ
- 災害時にあってよかった食べ物は「甘いもの」「温かいもの」「いつもの味」。
- 精神的な支えになるお菓子や嗜好品も重要。
- 調理不要ですぐ食べられる即食性の高い食品は必須。
- 栄養バランスを考え、野菜や果物系の備蓄も忘れずに。
- 食料備蓄の目安は最低3日分、推奨1週間分。
- 飲料水は1人1日3リットルを目安に備蓄する。
- 長期保存が可能で、調理が簡単な食品を選ぶ。
- 栄養バランス、アレルギー、家族の好みを考慮する。
- ローリングストック法を活用し、無理なく備蓄を続ける。
- 缶詰、レトルト、アルファ米、パンの缶詰などがおすすめ。
- フリーズドライ食品や栄養補助食品も役立つ。
- 乳幼児、高齢者、アレルギーを持つ方への配慮が必要。
- 粉ミルク、離乳食、やわらかい食事、アレルギー対応食を準備する。
- カセットコンロとガスボンベも合わせて備蓄する。
- 衛生管理に注意し、ウェットティッシュなども備える。