「いつも使っているピレノキシン点眼液が、販売中止になるって聞いたけど本当?」「これからの白内障治療はどうすればいいの?」そんな不安を抱えていませんか。長年使ってきた薬がなくなると聞けば、誰だって心配になりますよね。ご安心ください。その噂、実は少し情報が違っているかもしれません。本記事では、ピレEノキシン点眼液の販売中止の真相から、代替薬、そして今後の入手方法まで、あなたの疑問や不安を解消するために、分かりやすく徹底的に解説していきます。
【結論】ピレノキシン点眼液は販売中止ではなく名称変更!

早速結論からお伝えします。現在、多くの方が使用している参天製薬のピレノキシン点眼液は販売中止になっていません。 正確には、「販売名が変更された」というのが事実です。 これまで馴染みのあった名前が変わったことで、「販売が中止された」という誤解が広まってしまったようです。まずは安心して、詳しい内容を見ていきましょう。
本章では、以下の点について解説します。
- 「カリーユニ」から「ピレノキシン懸濁性点眼液」へ
- 一部製品は実際に販売中止になっている
「カリーユニ」から「ピレノキシン懸濁性点眼液」へ
これまで多くの方が「カリーユニ点眼液0.005%」という商品名で処方されていたかと思います。 この「カリーユニ」はジェネリック医薬品(後発医薬品)の名称でした。しかし、厚生労働省の方針により、2021年頃からジェネリック医薬品の名称を「有効成分名+剤形+含量+製薬会社名」に統一する動きが進められました。
この方針を受けて、「カリーユニ点眼液0.005%」は、「ピレノキシン懸濁性点眼液0.005%「参天」」という名称に変更されたのです。 つまり、名前は変わりましたが、中身の成分や効果は全く同じですので、これまで通り安心してご使用いただけます。
一部製品は実際に販売中止になっている
ただし、「ピレノキシン」を成分とする全ての点眼液が存続しているわけではありません。例えば、過去には日東メディック株式会社が製造販売していた「ピレノキシン点眼用0.005%「ニットー」」という製品がありました。この製品は、2018年頃に在庫がなくなり次第、販売を中止しています。
このように、一部のメーカーの製品が販売を終了したことも、「ピレノキシン点眼液が販売中止になった」という噂が広まる一因になったと考えられます。しかし、現在主流となっている参天製薬の製品は名称を変更して販売が継続されているため、治療が続けられなくなる心配はありません。
なぜ?ピレノキシン点眼液が販売中止と噂された3つの理由

では、なぜ「販売中止」という噂がこれほど広まってしまったのでしょうか。それにはいくつかの理由が考えられます。薬の名前が変わっただけなのに、なぜ多くの人が不安に感じてしまったのか、その背景を探ることで、より深く現状を理解することができます。
本章では、以下の3つの理由について解説します。
- 理由1:ジェネリック医薬品の名称統一
- 理由2:過去の「効果なし」という誤報
- 理由3:一部製品の販売終了や供給停止
理由1:ジェネリック医薬品の名称統一
最も大きな理由が、前述したジェネリック医薬品の名称統一です。 医療の現場では、患者さんがどの成分の薬を服用しているのかを明確にすることが非常に重要です。しかし、ジェネリック医薬品はメーカーごとに様々な商品名をつけていたため、成分が分かりにくいという課題がありました。
そこで、医療安全の観点から、名称を「一般名(成分名)」に統一する流れになりました。これにより、「カリーユニ」という親しまれた名前が消え、「ピレノキシン懸濁性点眼液」という少し長くて覚えにくい名前に変わりました。 この急な名称変更が、「製品自体がなくなった(販売中止になった)」という誤解を生む最大の原因となったのです。
理由2:過去の「効果なし」という誤報
もう一つの理由として、過去に一部の新聞でなされた報道が影響している可能性が指摘されています。2003年、ある新聞で「白内障に効果がない」といった内容の記事が掲載されました。 この報道は誤りであり、翌日には「効果がないとする科学的根拠はない」という訂正記事が出されたものの、最初の誤った情報だけが独り歩きしてしまった可能性があります。
「効果がないなら、いずれ販売中止になるだろう」という憶測が、時を経て今回の名称変更のタイミングと結びつき、「やはり販売中止になったんだ」という噂を補強してしまったのかもしれません。
理由3:一部製品の販売終了や供給停止
前述の通り、「ピレノキシン点眼用『ニットー』」のように、実際に販売を終了した製品が存在します。 また、医薬品業界では、製造上の問題や採算性の問題から、特定の製品の供給が停止されたり、販売が中止されたりすることは珍しくありません。特にジェネリック医薬品は多くのメーカーが同じ成分の薬を製造するため、競争が激しく、統廃合が起こりやすい側面もあります。
こうした個別の製品の販売終了情報が、ピレノキシン点眼液全体の販売中止という大きな噂につながってしまったことも考えられるでしょう。
ピレノキシン点眼液とは?効果や副作用を再確認

ここで改めて、ピレノキシン点眼液がどのような薬なのか、その効果や副作用についておさらいしておきましょう。ご自身の使っている薬について正しく理解することは、安心して治療を続ける上でとても大切です。
本章では、以下の点について解説します。
- 効果:初期の白内障の進行を「遅らせる」
- 副作用:使用前に知っておきたいこと
- 主な製品と製造販売会社
効果:初期の白内障の進行を「遅らせる」
ピレノキシン点眼液の最も重要な効果は、初期の老人性白内障の進行を抑制することです。 白内障は、目の中のレンズの役割を果たす「水晶体」が、主に加齢によって白く濁ってしまう病気です。ピレノキシンは、この水晶体のタンパク質が変性して濁る原因となる「キノイド物質」の働きを阻害することで、水晶体が透明な状態を保つのを助けます。
ここで大切なのは、ピレノキシン点眼液はあくまで白内障の進行を「遅らせる」ための薬であり、一度濁ってしまった水晶体を元に戻したり、視力を回復させたりする効果はないということです。 また、その効果も限定的で、特に60歳以上の方や、ある程度進行してしまった白内障に対しては、進行抑制効果が確認できなかったという研究報告もあります。 そのため、医師の指導のもと、根気よく点眼を続けることが重要になります。
副作用:使用前に知っておきたいこと
ピレノキシン点眼液は比較的副作用の少ない薬とされていますが、以下のような症状が現れる可能性があります。
- 眼瞼炎(まぶたのただれ、赤み、腫れ)
- 接触皮膚炎
- 結膜充血
- 目のかゆみ、刺激感
- かすみ目
- めやに、涙が出る
もし、点眼後にこのような症状が現れたり、かえって症状が悪化したりするような場合は、使用を中止し、速やかに処方を受けた医師や薬剤師に相談してください。
主な製品と製造販売会社
現在、医療機関で処方される主なピレノキシン製剤には、先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック)があります。
種類 | 販売名 | 製造販売会社 |
先発品 | カタリンK点眼用0.005% | 千寿製薬株式会社 |
後発品 | ピレノキシン懸濁性点眼液0.005%「参天」 (旧名:カリーユニ点眼液0.005%) |
参天製薬株式会社 |
先発品の「カタリン」は、使用する際に錠剤や顆粒を溶解液に溶かす手間が必要なタイプですが、後発品の「ピレノキシン懸濁性点眼液「参天」」は、あらかじめ懸濁液になっているため、よく振るだけでそのまま点眼できるという利便性があります。
ピレノキシン点眼液の代替薬はある?

「今使っている薬が万が一手に入らなくなったら…」「もっと自分に合う薬があるのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。ピレノキシン点眼液が継続して販売されるとはいえ、代替となる薬の選択肢を知っておくことは、今後の治療を考える上で安心材料になります。
本章では、以下の点について解説します。
- 同じ成分の代替薬(ピレノキシン製剤)
- 異なる成分の代替薬(グルタチオン製剤)
- 医師への相談が最も重要
同じ成分の代替薬(ピレノキシン製剤)
もし、現在使用している参天製薬の製品から別の薬に変更したい場合、同じ「ピレノキシン」を有効成分とする他の製品が選択肢となります。代表的なのは、先発医薬品である千寿製薬の「カタリンK点眼用0.005%」です。
効果は同等とされていますが、前述の通り、カタリンは用時溶解タイプであるため、使い方に違いがあります。どちらが良いかは、使い勝手の好みや医師の判断によりますので、変更を希望する場合は相談してみましょう。
異なる成分の代替薬(グルタチオン製剤)
白内障の進行を抑制する点眼薬には、ピレノキシンとは異なる作用を持つ薬もあります。それが「グルタチオン」を有効成分とする点眼液です。代表的な製品に「タチオン点眼用」などがあります。
グルタチオンは、強力な抗酸化作用を持つ成分です。水晶体のタンパク質が酸化することも白内障の原因の一つと考えられており、グルタチオンはこの酸化を防ぐことで、水晶体の透明性を保ち、白内障の進行を抑制する効果が期待されます。ピレノキシンとは作用の仕方が異なるため、医師が患者さんの白内障のタイプや状態によって使い分けることがあります。
医師への相談が最も重要
ここで最も強調したいのは、自己判断で薬の使用を中止したり、変更したりしてはいけないということです。代替薬の選択肢はありますが、どの薬が自分にとって最適かを判断できるのは、あなたの目の状態を正確に把握している医師だけです。
「販売中止の噂を聞いて不安になった」「他の薬を試してみたい」といった気持ちは、必ず診察の際に医師に伝えてください。その上で、最適な治療方針を一緒に決めていくことが、あなたの目の健康を守るために最も大切なことです。
ピレノキシン点眼液の入手方法まとめ

「名称が変わっても、今まで通り処方してもらえるの?」と、具体的な入手方法について気になっている方も多いでしょう。ここでは、ピレノキシン点眼液をどこで、どのようにして手に入れることができるのかを整理して解説します。
本章では、以下の点について解説します。
- 基本は眼科で処方してもらう
- 市販のドラッグストアでは購入不可
- 処方箋なしで買える「零売薬局」とは?
- 個人輸入はリスクも理解して
基本は眼科で処方してもらう
ピレノキシン点眼液は「医療用医薬品」に分類されるため、入手するには医師の診察を受け、処方箋を発行してもらうのが基本です。 定期的に眼科を受診し、白内障の進行具合などをチェックしてもらいながら、継続して処方を受けるという流れになります。
名称が「カリーユニ」から「ピレノキシン懸濁性点眼液」に変わっても、この基本的な流れは一切変わりません。いつも通っている眼科で、これまで通り処方してもらえますのでご安心ください。
市販のドラッグストアでは購入不可
「処方箋がなくても、ドラッグストアで手軽に買えたらいいのに」と思うかもしれませんが、残念ながらピレノキシン点眼液は市販されていません。 マツモトキヨシやウエルシアといった大手ドラッグストアの店頭で、誰でも購入することはできません。
これは、医師の診断のもとで適切に使用されるべき薬であるためです。自己判断での使用は思わぬ副作用を招いたり、適切な治療の機会を逃したりする可能性があるため、必ず医療機関を受診しましょう。
処方箋なしで買える「零売薬局」とは?
あまり聞き慣れないかもしれませんが、「零売(れいばい)薬局」という特殊な形態の薬局が存在します。これは、処方箋がなくても一部の医療用医薬品を薬剤師の対面指導のもとで購入できる薬局のことです。
ピレノキシン点眼液は、この零売の対象となっている場合があり、一部の零売薬局では処方箋なしで購入できる可能性があります。 しかし、店舗数が限られていることや、あくまでも薬剤師の判断のもとでの販売となるため、誰でも確実に購入できるわけではありません。また、保険適用外となるため、費用は全額自己負担となります。
個人輸入はリスクも理解して
インターネット上には、海外から医薬品を個人輸入する代行サイトも存在し、そこでピレノキシン点眼液が販売されているケースもあります。 処方箋なしで手軽に購入できるため魅力的に見えるかもしれませんが、個人輸入には大きなリスクが伴うことを理解しておく必要があります。
偽造品や品質の劣る製品が送られてくる可能性、副作用が起きた際に国の救済制度が利用できないなど、多くの危険性があります。目の健康に関わる大切な薬ですので、安易な個人輸入は避け、国内の正規のルートで、安全に入手することを強くお勧めします。
よくある質問

ここでは、ピレノキシン点眼液に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
ピレノキシン点眼液は犬にも使えますか?
はい、ピレノキシンは動物用医薬品としても承認されており、犬の初期の白内障の進行抑制のために動物病院で処方されることがあります。ただし、人間用と動物用では用法・用量や添加物が異なる場合があるため、必ず獣医師の指示に従って使用してください。自己判断で人間用のものを転用するのは絶対にやめましょう。
ピレノキシン点眼液にジェネリックはありますか?
はい、あります。そもそも、現在主流となっている参天製薬の「ピレノキシン懸濁性点眼液0.005%「参天」」自体が、千寿製薬の「カタリンK点眼用0.005%」に対する後発医薬品(ジェネリック)です。 以前は「カリーユニ」という商品名で販売されていました。
「カリーユニ」と「ピレノキシン」の違いは何ですか?
「カリーユニ」は過去の商品名で、「ピレノキシン」は薬の有効成分名です。 現在の正式名称は「ピレノキシン懸濁性点眼液0.005%「参天」」であり、中身はカリーユニと全く同じものです。 呼び方が変わっただけで、薬そのものが変わったわけではありません。
ピレノキシン点眼液はなぜオレンジ色なのですか?
ピレノキシン点眼液がオレンジ色(だいだい色)なのは、有効成分である「ピレノキシン」自体の色です。 着色料が使われているわけではありません。点眼する際によく振って、均一な懸濁液にしてから使用する必要があります。衣類などに付着するとシミになることがあるので注意が必要です。
白内障は目薬で治りますか?
いいえ、残念ながら現在の医療では、目薬で白内障を治す(濁った水晶体を元に戻す)ことはできません。 ピレノキシンなどの点眼薬の目的は、あくまで初期段階の白内障の進行を遅らせることです。白内障が進行し、日常生活に支障が出てきた場合は、濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを入れる手術が唯一の根本的な治療法となります。
まとめ

- ピレノキシン点眼液は販売中止ではなく、名称が変更されただけです。
- 旧名「カリーユニ」から「ピレノキシン懸濁性点眼液」に変わりました。
- 名称変更は、ジェネリック医薬品の名称統一という国の⽅針によるものです。
- 過去の誤報や一部製品の販売終了も、販売中止の噂の原因と考えられます。
- 効果は「初期の白内障の進行抑制」であり、治す薬ではありません。
- 副作用は少ないですが、かゆみや充血などが現れることがあります。
- 代替薬には、先発品の「カタリン」や、成分の違う「グルタチオン製剤」があります。
- 薬の変更は自己判断せず、必ず医師に相談することが重要です。
- 入手方法は、基本的に眼科で処方箋をもらう必要があります。
- ドラッグストアなどの市販では購入できません。
- 処方箋なしで買える「零売薬局」という選択肢もありますが、限定的です。
- 個人輸入は偽造品などのリスクが高いため、推奨されません。
- 犬の白内障にも使われますが、必ず獣医師の処方が必要です。
- 白内障の根本治療は、現在では手術のみです。
- 薬に関する不安や疑問は、かかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。