【真相】ピドキサールが販売中止って本当？理由と代替薬、今後の対応を徹底解説

「いつも飲んでいるピドキサールが、最近処方されない…」「ピドキサールが販売中止になったって本当？」そんな不安や疑問を抱えていませんか？長年使われてきたお薬なだけに、突然手に入らなくなると心配になりますよね。本記事では、ピドキサールが販売中止になったという情報の真相から、その背景にある理由、そして私たちが今後どうすれば良いのか、代替薬の情報まで詳しく解説していきます。あなたの不安を少しでも解消できれば幸いです。

【結論】ピドキサールは販売中止ではない！ただし一部製品は終売・供給停止に

まず結論からお伝えすると、ピドキサール錠（10mg・20mg・30mg）そのものが完全に販売中止になったわけではありません。現在も、太陽ファルマ株式会社が製造販売を継続しており、医療機関へ供給されています。 しかし、「販売中止」という噂が広まっているのには、いくつかの理由があります。

この章では、現在の供給状況と、なぜ販売中止という情報が広まったのか、その背景を詳しく見ていきましょう。

• 現在の供給状況まとめ
• 販売中止・供給停止となったピドキサール関連製品一覧
• 過去の自主回収が「販売中止」の噂の原因か？

現在の供給状況まとめ

2024年10月の時点での医薬品供給状況調査によると、太陽ファルマ株式会社が製造販売する「ピドキサール錠10mg」「ピドキサール錠20mg」「ピドキサール錠30mg」は、いずれも「通常出荷」となっており、むしろ「出荷量増加」の傾向にあると報告されています。

つまり、先発品であるピドキサール錠の供給自体は安定していると考えてよいでしょう。もし、かかりつけの薬局で「在庫がない」と言われた場合でも、それは一時的な在庫切れの可能性が高く、医薬品卸業者を通じて取り寄せてもらうことが可能です。

販売中止・供給停止となったピドキサール関連製品一覧

では、なぜ「販売中止」の噂が広まったのでしょうか。その一因として、ピドキサールの一部の包装品や、同成分のジェネリック医薬品（後発品）、注射剤などが相次いで販売を終了していることが挙げられます。

具体的には、以下のような製品が販売中止となっています。

製品名	メーカー	販売中止時期	備考
ピドキサール®錠 10㎎（PTP2100錠包装）	太陽ファルマ	2023年8月	一部の包装品のみ中止
ピドキサール®注 30mg（10アンプル包装）	太陽ファルマ	2023年3月	注射剤の一部包装品が中止
ピリドキサール注 30mg「トーワ」	東和薬品	2023年7月	ジェネリック注射剤
ピリドキサール錠30mg｢イセイ｣	日医工（旧販売元）	2019年12月頃	ジェネリック錠剤

このように、先発品のピドキサール錠自体ではなく、特定の包装単位やジェネリック医薬品が市場から姿を消しているのが現状です。これらの情報が断片的に伝わり、「ピドキサールが販売中止になった」という誤解を生んでいる可能性が非常に高いと考えられます。

過去の自主回収が「販売中止」の噂の原因か？

もう一つの要因として、2018年に起きた自主回収が挙げられます。当時、製造販売元であった中外製薬が、ピドキサール錠の一部のロットで長期間保存した場合に溶け出す速さが国の定めた基準を満たさない可能性があるとして、自主回収（クラスII）を行いました。

この回収は、有効性や安全性に大きな問題があったわけではなく、あくまで予防的な措置でした。しかし、「回収」という言葉のインパクトから、「何か問題があったのでは？」「もう販売されないのでは？」といった不安が広がり、現在の「販売中止」の噂に繋がっている可能性も否定できません。

現在、ピドキサールの製造販売は太陽ファルマ株式会社に移管されており、安定した品質での供給が続けられていますので、過度な心配は不要です。

なぜ？ピドキサールの一部製品が販売中止になった3つの理由

ピドキサール自体は供給が続いているものの、一部の製品が販売中止になっているのは事実です。その背景には、医薬品業界が抱えるいくつかの構造的な問題が関係していると考えられます。ここでは、考えられる3つの理由について掘り下げてみましょう。

• 理由①：採算性の問題（薬価の低さ）
• 理由②：製造・供給体制の見直し
• 理由③：品質問題による過去の自主回収

理由①：採算性の問題（薬価の低さ）

販売中止の背景として最も大きいと考えられるのが、採算性の問題です。ピドキサールのような長年使われているビタミン剤は、薬の価格（薬価）が非常に低く抑えられています。

例えば、ピドキサール錠10mgの薬価は1錠あたり5.9円です（2024年時点）。 製薬会社にとっては、製造コストや品質管理、安定供給のための流通コストなどを考えると、利益を出すのが難しい製品の一つと言えます。特に、販売量の少ない包装単位や、競争の激しいジェネリック医薬品は、採算が合わずに撤退するという決定が下されやすいのです。

実際に、東和薬品の注射剤の販売中止理由には「需要状況等により」と記載されており、これは間接的に採算性の問題を示唆していると考えられます。

理由②：製造・供給体制の見直し

製薬会社が、より効率的な製造・供給体制を構築するために、製品ラインナップを見直すことも理由の一つです。

例えば、太陽ファルマがピドキサール錠10mgの「PTP2100錠」という非常に大きな包装単位の販売を中止したのも、この一環と考えられます。 医療機関や薬局からの需要が少ない包装単位の製造を中止し、より需要の高い包装単位（例：PTP100錠、PTP500錠）に生産を集中させることで、全体の製造効率を高め、安定供給を維持する狙いがあるのかもしれません。

これは、限られたリソースの中で、多くの患者さんへ薬を届け続けるための合理的な経営判断と言えるでしょう。

理由③：品質問題による過去の自主回収

前述の通り、2018年には品質問題による自主回収がありました。 この一件で、製薬会社はより厳格な品質管理体制を求められることになりました。

品質を維持するためのコストが増加したことも、採算性を圧迫し、一部製品の撤退に繋がった遠因となっている可能性があります。特に、複数のジェネリックメーカーが同じ成分の薬を製造している場合、価格競争に加えて品質維持のコストも負担となるため、経営的に厳しい状況に置かれやすいのです。

患者さんにとっては、安心して薬を使えることが第一です。そのための品質管理強化の結果として、一部の製品が整理・淘汰されるのは、ある意味で仕方のない側面もあるのかもしれません。

ピドキサールが処方されない…今後の代替薬と対処法

「理由や背景はわかったけれど、じゃあ実際にピドキサールが手に入らない時はどうすればいいの？」という点が一番気になるところですよね。ご安心ください。ピドキサールが処方されなくても、適切な代替薬があります。ここでは、具体的な代替薬と対処法について解説します。

• 代替薬①：同成分のジェネリック医薬品（後発品）
• 代替薬②：その他のビタミンB6製剤
• 代替薬③：市販薬で代用できる？（注意点も解説）
• まずはかかりつけの医師・薬剤師に相談を

代替薬①：同成分のジェネリッ医薬品（後発品）

最も一般的な代替策は、ピドキサールと同じ有効成分「ピリドキサールリン酸エステル水和物」を含むジェネリック医薬品（後発品）に変更することです。

ジェネリック医薬品は、先発品（ピドキサール）と有効成分、効果、安全性が同等であると国に認められたお薬です。先発品に比べて開発コストが抑えられているため、薬価が安く、自己負担額を軽減できるメリットもあります。

現在、複数のメーカーからピリドキサールリン酸エステル水和物のジェネリック医薬品が販売されています。代表的なものに、鶴原製薬（販売：日本ジェネリック）の「ピリドキサール錠『ツルハラ』」などがあります。 かかりつけの薬局でピドキサールの在庫がない場合でも、これらのジェネリック医薬品を取り寄せてもらうことが可能です。

代替薬②：その他のビタミンB6製剤

ピドキサール（ピリドキサールリン酸エステル水和物）は、体内で速やかに効果を発揮する「活性型」のビタミンB6です。これに対して、同じビタミンB6製剤でも「ピリドキシン塩酸塩」という成分の薬もあります。

ピリドキシン塩酸塩は、体内で一度「ピリドキサールリン酸エステル」に変換されてから効果を発揮するタイプのビタミンB6です。ほとんどの場合はピドキサールと同様の効果が期待できますが、ごくまれな疾患（ビタミンB6依存症など）や、体質によっては、活性型であるピドキサールの方が適している場合もあります。

どちらのタイプのビタミンB6製剤が適切かは、症状や体質によって異なります。自己判断で変更せず、必ず医師の指示に従ってください。

代替薬③：市販薬で代用できる？（注意点も解説）

ドラッグストアなどでは、ビタミンB6を含む市販薬やサプリメントが数多く販売されています。 これらで代用することはできるのでしょうか？

結論から言うと、自己判断での代用はおすすめできません。その理由は以下の通りです。

• 成分量の違い： 医療用のピドキサールは、症状に応じて1日に10mg～60mg、場合によってはそれ以上を服用しますが、市販薬は比較的含有量が少ないものが多く、治療に必要な量を摂取できない可能性があります。
• 目的の違い： 医療用医薬品は「治療」を目的としていますが、市販薬やサプリメントは「栄養補給」や「症状の緩和」が主な目的です。根本的な疾患の治療には繋がらないことがあります。
• 添加物の違い： 薬に含まれる添加物が異なるため、アレルギーなどの思わぬ副作用が出る可能性もゼロではありません。

肌荒れや口内炎の予防など、健康維持の目的でビタミンB6を補給したい場合には市販薬も有効ですが、医師からピドキサールを処方されている場合は、必ず治療上の目的があります。まずは医師や薬剤師に相談することが大切です。

まずはかかりつけの医師・薬剤師に相談を

これまで解説してきたように、ピドキサールが手に入らない場合でも、様々な選択肢があります。しかし、最も重要なのは、自己判断で服用を中止したり、別の薬に変えたりしないことです。

まずは、かかりつけの医師や薬局の薬剤師に「ピドキサールが手に入らないのですが、どうすれば良いですか？」と相談してください。あなたの症状や体質、これまでの治療歴などを総合的に判断し、最適な代替薬を提案してくれます。

薬に関する不安や疑問は、遠慮せずに専門家に伝えることが、安心して治療を続けるための第一歩です。

そもそもピドキサールとは？効果・副作用をおさらい

ここで改めて、ピドキサールがどのようなお薬なのか、その効果や副作用についておさらいしておきましょう。ご自身が服用している薬について正しく理解することは、治療への安心感にも繋がります。

• ピドキサールの効果と効能
• 考えられる副作用と注意点

ピドキサールの効果と効能

ピドキサールは、有効成分「ピリドキサールリン酸エステル水和物」を含む、活性型ビタミンB6製剤です。 ビタミンB6は、私たちの体内で非常に重要な働きを担っています。

特に、タンパク質や脂質、炭水化物の代謝を助ける補酵素として不可欠な存在です。 この働きにより、以下のような様々な効果・効能が認められています。

• 皮膚や粘膜の健康維持： 口角炎、口内炎、舌炎、湿疹、皮膚炎、ニキビなどの改善
• 神経機能の維持： 末梢神経炎の症状緩和
• ビタミンB6欠乏症の予防・治療： 食事からの摂取不足や、特定の薬（結核治療薬イソニアジドなど）の服用による欠乏を補う
• その他： 貧血の一種（ビタミンB6反応性貧血）の治療、つわり（悪阻）の軽減、月経前症候群（PMS）の症状緩和などに使われることもあります。

特に、タンパク質の代謝を助ける働きは、皮膚のターンオーバーを正常化し、健康な肌を保つ上で非常に重要です。そのため、ニキビや肌荒れの治療で処方されることが多いのです。

考えられる副作用と注意点

ピドキサールはビタミン剤であり、比較的安全性の高い薬ですが、副作用が全くないわけではありません。

報告されている主な副作用としては、発疹などの過敏症状、食欲不振、吐き気、腹部膨満感などがあります。 ビタミンB6は水溶性ビタミンのため、過剰に摂取しても尿として体外に排出されやすく、重篤な副作用が起こることはまれです。

ただし、注意が必要なケースもあります。

• 新生児・乳幼児への大量投与： ごくまれに、筋肉が壊れてしまう「横紋筋融解症」や、下痢、嘔吐、肝機能異常などが報告されています。
• パーキンソン病治療薬との併用： 「レボドパ」というお薬の効果を弱めてしまう可能性があるため、併用には注意が必要です。

もし、ピドキサールを服用し始めてから何か気になる症状が現れた場合は、自己判断で服用を中止せず、速やかに医師または薬剤師に相談してください。

ピドキサールの販売中止に関するよくある質問

ピドキサールの販売が再開される可能性はありますか？

まず、先発品の「ピドキサール錠」は現在も販売が継続されています。 販売中止になったのは、一部の包装品やジェネリック医薬品です。

一度販売中止になった製品が再開される可能性は、一般的に低いと考えられます。採算性や製造体制の見直しといった経営上の判断で中止されることが多いためです。しかし、同成分のジェネリック医薬品は複数のメーカーから販売されていますので、治療の継続が困難になる心配は少ないでしょう。

今飲んでいるピドキサールは飲み続けても大丈夫ですか？

はい、問題ありません。現在、お手元にあるピドキサールや、薬局で処方されたピドキサールは、品質・安全性ともに国が認めたものですので、医師の指示通りに服用を続けてください。

過去に自主回収がありましたが、それは特定の期間に製造された一部のロットが対象であり、現在流通している製品に問題はありません。 不安な点があれば、処方を受けた医療機関や薬局にご確認ください。

代替薬の値段は変わりますか？

ピドキサールから同成分のジェネリック医薬品（後発品）に変更した場合、お薬代の自己負担額は安くなることがほとんどです。ジェネリック医薬品は、先発品よりも薬価が低く設定されているためです。

ただし、診察料や調剤料などは変わりません。どのくらい安くなるかは、処方される日数やお薬の種類によって異なりますので、詳しくは薬局の薬剤師にお尋ねください。

ピドキサールはどこで製造されていますか？

現在、医療用医薬品の「ピドキサール」は、太陽ファルマ株式会社が製造販売元となっています。 以前は中外製薬や第一三共が販売していましたが、事業の移管などにより変更されました。

製造工場などの詳細な場所は公開されていませんが、日本の医薬品医療機器等法（薬機法）に基づき、国が定めた厳格な基準（GMP）をクリアした工場で製造されています。

まとめ

• ピドキサール錠自体は販売中止になっていない。
• 現在も太陽ファルマが製造販売を継続し、安定供給されている。
• 「販売中止」の噂は、一部包装品やジェネリックの中止が原因。
• 過去の自主回収情報が誤解を招いている可能性もある。
• 一部製品の販売中止理由は、採算性や製造体制の見直しが主。
• ピドキサールは薬価が低く、利益を出しにくい構造がある。
• 需要の少ない包装を中止し、生産効率を上げる狙いもある。
• 代替薬として、同成分のジェネリック医薬品が利用可能。
• ジェネリックに変更すると、自己負担額が安くなる場合が多い。
• その他のビタミンB6製剤もあるが、医師の判断が必要。
• 自己判断で市販薬やサプリメントに切り替えるのは危険。
• ピドキサールは皮膚や粘膜、神経の維持に重要なビタミン剤。
• 副作用は少ないが、気になる症状があれば専門家に相談を。
• 薬の変更や中止は、必ずかかりつけの医師・薬剤師に相談する。
• 不安な点は遠慮せず、専門家に質問することが大切。