トイレでおしりを拭いたとき、トイレットペーパーに血がついていてドキッとした経験はありませんか?「もしかして、何か悪い病気なのでは…」と不安になりますよね。特に痛みがないと、かえって心配になるものです。
本記事では、おしりを拭いたら血がつく場合に考えられる原因から、自分でできる対処法、病院を受診する目安まで、あなたの不安を解消するために詳しく解説します。突然の出血に慌てず、冷静に対処できるよう、ぜひ最後までお読みください。
おしりを拭いたら血がつく!まず確認すべき3つのこと

突然の出血に驚いてしまうかもしれませんが、まずは落ち着いて状況を確認することが大切です。パニックにならず、ご自身の状態を客観的に把握することで、原因を推測しやすくなります。以下の3つのポイントをチェックしてみましょう。
本章では、おしりから出血した際に、まず確認すべき以下の3つのポイントについて解説します。
- 血の色(鮮血か黒っぽい血か)
- 痛みの有無
- 出血量(少量か多いか)
血の色(鮮血か黒っぽい血か)
出血の色は、出血している場所を特定するための重要な手がかりになります。トイレットペーパーについた血の色をよく観察してみてください。
鮮血(真っ赤な血)の場合
鮮やかな赤色の血は、肛門の近くで出血している可能性が高いことを示しています。具体的には、肛門や直腸からの出血が考えられます。出血してから時間が経っていないため、血液が酸化せず、きれいな赤い色をしています。痔などが原因の多くは、この鮮血です。
黒っぽい血(暗赤色・タール便)の場合
一方で、黒っぽくドロっとした血や、便全体が黒い「タール便」の場合は注意が必要です。これは、胃や十二指腸、小腸といった肛門から遠い消化管の上部で出血し、血液が排出されるまでに時間がかかり、胃酸などの影響で酸化して黒く変色したことを意味します。 この場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
痛みの有無
出血時に痛みがあるかどうかも、原因を考える上で大切なポイントです。排便時や、おしりを拭くときに痛みを感じるか思い出してみましょう。
痛みがある場合
排便時にピリッとしたり、ジーンとしたりする痛みを伴う出血は、「切れ痔(裂肛)」の可能性が高いです。 硬い便が肛門を通過する際に皮膚が切れてしまうことで、痛みと出血が起こります。痛みがあるため、比較的自覚しやすいのが特徴です。
痛みがない場合
「おしりを拭いたら血がつくけど、全く痛くない」というケースも少なくありません。この場合、最も多い原因は「いぼ痔(内痔核)」です。 肛門の内側にできたいぼ痔は、痛みを感じる神経がない部分にできるため、出血しても痛みを感じないことが多いのです。 しかし、痛みがないからといって安心はできません。大腸がんなどの重大な病気でも、初期段階では痛みを伴わない出血が見られることがあります。
出血量(少量か多いか)
出血の量も、病状の深刻さを判断する材料になります。どのくらいの量の血が出たのか、冷静に確認しましょう。
少量(トイレットペーパーに付着する程度)の場合
おしりを拭いたトイレットペーパーに少し血がつく程度の出血であれば、多くは切れ痔や初期のいぼ痔が原因です。 慌てる必要はありませんが、出血が続くようであれば注意が必要です。
多い(便器が赤くなる、ポタポタ垂れる)の場合
排便時にポタポタと血が垂れたり、便器の水が真っ赤に染まったりするような場合は、出血量が多いと考えられます。 いぼ痔が進行している場合や、大腸憩室出血、大腸がんなどの病気の可能性も考えられます。 出血量が多い場合は、貧血につながる恐れもあるため、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
おしりを拭いたら血がつく主な原因5選

おしりを拭いたときに血がつく原因は一つではありません。そのほとんどは肛門の病気である「痔」ですが、中には大腸の病気が隠れている可能性もあります。自己判断はせず、正しい知識を持つことが大切です。ここでは、考えられる主な原因を5つご紹介します。
本章で解説する主な原因は以下の通りです。
- いぼ痔(内痔核)
- 切れ痔(裂肛)
- 血栓性外痔核
- 大腸の病気(大腸ポリープ、大腸がんなど)
- その他の原因(皮膚の炎症など)
いぼ痔(内痔核)
おしりからの出血で最も多い原因が「いぼ痔(痔核)」です。特に、痛みを感じない出血の場合、肛門の内側にできる「内痔核」の可能性が高いと考えられます。 内痔核は、肛門の血流が悪くなること(うっ血)で、血管の一部がこぶ状に腫れたものです。排便時のいきみなどで、このいぼが傷つき出血します。
初期段階では出血のみで痛みはありませんが、進行すると排便時にいぼが肛門の外に飛び出す「脱肛」という状態になることもあります。 脱肛した痔核が戻らなくなると、激しい痛みを伴うこともあります。
切れ痔(裂肛)
「切れ痔(裂肛)」は、硬い便が無理に肛門を通過する際に、肛門の出口付近の皮膚が切れたり裂けたりする状態です。 排便時に「ピリッ」とした鋭い痛みを伴うのが特徴で、出血量は比較的少なく、トイレットペーパーに付着する程度であることが多いです。 便秘がちな女性に多く見られる傾向があります。
急性の切れ痔は数日で治ることが多いですが、便秘を繰り返すことで傷が慢性化し、治りにくくなることもあります。 慢性化すると、傷が深くなったり、肛門が狭くなったり(肛門狭窄)して、手術が必要になるケースもあります。
血栓性外痔核
「血栓性外痔核」は、肛門の外側にある静脈に血の塊(血栓)ができて、急に腫れ上がる病気です。 ある日突然、肛門にパチンコ玉くらいのしこりができ、強い痛みを伴います。 この腫れが破れて、下着に血が付着することもあります。
長時間のデスクワークや、ゴルフのスイング、重いものを持ち上げるなど、急に肛門に強い負担がかかったときに発症しやすいと言われています。
大腸の病気(大腸ポリープ、大腸がんなど)
痔以外で注意が必要なのが、大腸の病気です。特に、40歳を過ぎたら大腸がんのリスクも頭に入れておく必要があります。
大腸ポリープ
大腸の粘膜にできる良性の腫瘍(ポリープ)が、便とこすれて出血することがあります。 ポリープ自体は良性ですが、がん化する可能性のあるものもあるため、内視鏡検査で発見された場合は切除することが推奨されます。
大腸がん
大腸がんの初期症状として、出血が見られることがあります。 がんが進行すると、便の表面に血液が付着したり、便に血が混じったりします。 痔の出血と見分けがつきにくいこともありますが、「便が細くなった」「下痢と便秘を繰り返す」「残便感がある」などの症状を伴う場合は特に注意が必要です。 早期発見・早期治療が非常に重要なので、「痔だろう」と自己判断せず、気になる症状があれば必ず専門医に相談しましょう。
その他の大腸疾患
その他にも、大腸の血管が詰まって炎症を起こす「虚血性腸炎」や、腸の壁にできた小さなくぼみ(憩室)から出血する「大腸憩室出血」、炎症性腸疾患である「潰瘍性大腸炎」など、出血を伴う大腸の病気は様々です。
その他の原因(皮膚の炎症など)
病気以外にも、おしりからの出血の原因となることがあります。
例えば、下痢が続いて何度もトイレットペーパーで強く拭いたり、ウォシュレットを使いすぎたりすることで、肛門周りの皮膚がただれてしまい(皮膚炎)、出血することがあります。 この場合は、ヒリヒリとしたかゆみや痛みを伴うことが多いです。おしりの清潔を保つことは大切ですが、洗いすぎや拭きすぎは逆効果になることもあるので注意しましょう。
【状況別】おしりから血が出たときの危険度チェック

おしりからの出血は、その色や痛みの有無、その他の症状によって、緊急性や考えられる病気が異なります。ご自身の状況と照らし合わせながら、危険度をチェックしてみましょう。ただし、これはあくまで一般的な目安です。不安な場合は自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。
ここでは、以下の状況別に危険度と考えられる原因を解説します。
- 鮮血で痛みがない場合
- 鮮血で痛みがある場合
- 黒っぽい血が出た場合
- 女性特有の原因(生理・妊娠・出産)
鮮血で痛みがない場合
トイレットペーパーに付着する、あるいはポタポタと垂れる鮮やかな赤い血で、痛みを伴わない場合、最も考えられるのは「いぼ痔(内痔核)」です。 肛門の内側は痛みを感じる神経が少ないため、出血しても気づかないことが多いのです。
しかし、痛みがないからといって安心はできません。 直腸がんなど、肛門に近い部分にできた大腸がんでも、初期には痛みを伴わない鮮血の出血が見られることがあります。 痔だと思い込んで放置していたら、実はがんだったというケースも少なくありません。出血が続いたり、量が増えたり、便秘や下痢などの便通異常を伴ったりする場合は、特に注意が必要です。
鮮血で痛みがある場合
排便時にピリッとした鋭い痛みを伴う鮮血の出血は、「切れ痔(裂肛)」の典型的な症状です。 硬い便によって肛門の皮膚が切れることで起こります。出血量は比較的少なく、トイレットペーパーで拭いたときに付着する程度であることが多いです。
また、肛門の外側に突然しこりができて強く痛む場合は、「血栓性外痔核」の可能性があります。このしこりが破れて出血することもあります。
これらの症状は痛みが強いため、多くの方が医療機関を受診しますが、痛みを我慢して放置すると慢性化し、治療が難しくなることもあるため、早めの受診が大切です。
黒っぽい血が出た場合
便に黒っぽく粘り気のある血が混じっていたり、便全体が黒いタール状だったりする場合は、危険信号です。 これは胃や十二指腸、小腸といった上部消化管からの出血を示唆しています。 出血した血液が、胃酸などの影響を受けて黒く変色するためです。
考えられる病気としては、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどがあります。 出血量が多い場合は、貧血やめまい、立ちくらみ、動悸などの症状を伴うこともあります。この場合は緊急性が高いため、すぐに消化器内科などの医療機関を受診してください。
女性特有の原因(生理・妊娠・出産)
女性の場合、男性とは異なる原因で肛門から出血することがあります。
生理との関連
生理前や生理中は、ホルモンバランスの影響で便秘や下痢になりやすく、それが痔の悪化につながることがあります。また、経血が肛門の方まで伝わって、出血と見間違えるケースもあります。
妊娠・出産
妊娠中は、大きくなった子宮が腸を圧迫して便秘になりやすくなったり、肛門周りの血流が悪くなったりするため、痔を発症・悪化させやすい時期です。 また、出産時の強いいきみも、痔の大きな原因となります。産後におしりのトラブルに悩む女性は少なくありません。
これらの場合も、基本的には痔が原因であることが多いですが、自己判断は禁物です。特に妊娠中は使用できる薬も限られるため、かかりつけの産婦人科医や肛門科の専門医に相談することが重要です。
おしりを拭いて血がついた時に自分でできる対処法

おしりからの出血に気づいたとき、すぐに病院へ行けない場合や、症状が軽い場合には、まずセルフケアを試してみるのも一つの方法です。生活習慣を見直すことで、症状が改善したり、再発を予防したりすることにつながります。ただし、セルフケアを続けても症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、必ず医療機関を受診してください。
ここでは、ご自身でできる対処法について解説します。
- おしりを清潔に保つ
- 食生活を見直す(食物繊維・水分)
- 長時間同じ姿勢を避ける
- 市販薬を試す際の注意点
おしりを清潔に保つ
出血があるときは、肛門周りを清潔に保つことが基本です。排便後は、ゴシゴシこすらず、優しく拭き取るようにしましょう。
温水洗浄便座(ウォシュレットなど)を使うのも効果的ですが、水圧を強くしすぎたり、長時間使い続けたりすると、かえって皮膚を傷つけたり、必要な皮脂まで洗い流して乾燥を招いたりすることがあります。弱い水圧で短時間使用し、最後は柔らかいトイレットペーパーで水分を優しく押さえるように拭き取ってください。
また、入浴もおすすめです。湯船に浸かっておしりを温めることで、肛門周りの血行が良くなり、うっ血が改善され、痛みの緩和にもつながります。 清潔にするだけでなく、リラックス効果も期待できます。
食生活を見直す(食物繊維・水分)
出血の大きな原因である痔は、便秘や下痢と深く関係しています。便通を整えることが、根本的な解決への第一歩です。
便秘の改善
硬い便は肛門を傷つけ、切れ痔の原因になります。 便を柔らかくするためには、食物繊維と水分を十分に摂ることが重要です。 食物繊維は、野菜、果物、きのこ、海藻類、玄米などに多く含まれています。また、朝起きたときにコップ1杯の水を飲むなど、こまめな水分補給を心がけましょう。
下痢の改善
下痢もまた、肛門に負担をかけます。刺激の強い香辛料や、冷たいもの、脂っこいものの摂りすぎは避け、消化の良い食事を心がけましょう。アルコールの飲みすぎも下痢の原因となるため、注意が必要です。
長時間同じ姿勢を避ける
デスクワークや長距離運転などで、長時間座りっぱなしの姿勢を続けると、肛門に負担がかかり、うっ血しやすくなります。 これがいぼ痔の原因の一つです。定期的に立ち上がってストレッチをするなど、こまめに体を動かすことを意識しましょう。
また、トイレに長時間こもって強くいきむのも禁物です。便意を感じてからトイレに行き、5分以上かかるようであれば一度切り上げるようにしましょう。スマートフォンなどを持ち込んで長時間座っている習慣がある方は、見直す必要があります。
市販薬を試す際の注意点
ドラッグストアでは、様々な種類の痔の薬が販売されています。軟膏や坐薬、内服薬などがあり、症状に合わせて選ぶことができます。
ただし、市販薬はあくまで一時的な症状の緩和を目的としたものです。1週間ほど使用しても症状が改善しない場合や、悪化する場合には、使用を中止して必ず専門医の診察を受けてください。 また、出血の原因が痔ではなく、大腸がんなどの他の病気である可能性も否定できません。自己判断で市販薬を使い続けることで、重大な病気の発見が遅れてしまうリスクがあることを忘れないでください。
迷ったら病院へ!受診の目安と診療科

おしりからの出血は、多くの人が経験する症状ですが、「恥ずかしい」「そのうち治るだろう」と受診をためらってしまう方も少なくありません。しかし、その出血の裏には、治療が必要な病気が隠れている可能性もあります。早期発見・早期治療のためにも、迷ったら勇気を出して専門医に相談することが大切です。
ここでは、病院を受診すべき症状の目安や、何科に行けばよいのか、そして病院での検査について解説します。
- すぐに病院に行くべき症状
- 何科を受診すればいい?(肛門科・消化器内科・胃腸科)
- 病院ではどんな検査をするの?
すぐに病院に行くべき症状
以下のような症状が見られる場合は、自己判断で様子を見ずに、できるだけ早く医療機関を受診してください。
- 出血が止まらない、量が多い(便器が真っ赤になるなど)
- 黒っぽい血(タール便)が出た
- 激しい腹痛や発熱、嘔吐などを伴う
- めまい、立ちくらみ、動悸など貧血の症状がある
- 急激な体重減少がある
- 便が細くなった、下痢と便秘を繰り返すなど、排便習慣の変化が続く
これらの症状は、大腸がんや虚血性腸炎、胃潰瘍など、緊急性の高い病気のサインである可能性があります。
何科を受診すればいい?(肛門科・消化器内科・胃腸科)
おしりからの出血で病院にかかる場合、どの診療科を選べばよいか迷うかもしれません。
肛門科
痔(いぼ痔、切れ痔など)が疑われる場合は、肛門科が専門です。おしりの診察や治療に特化しているため、的確な診断と治療が受けられます。 女性医師が在籍しているクリニックもあるので、女性の方で受診に抵抗がある場合は、事前に調べてみると良いでしょう。
消化器内科・胃腸科
黒っぽい血が出た場合や、腹痛、便通異常などお腹の症状を伴う場合は、消化器内科や胃腸科を受診しましょう。 これらの診療科では、大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患など、大腸や胃の病気を専門に扱っています。必要に応じて、内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることができます。
どちらを受診すればよいか分からない場合は、まずはかかりつけ医に相談するか、肛門科と消化器内科の両方を標榜しているクリニックを選ぶと、スムーズに適切な検査や治療につながりやすいです。
病院ではどんな検査をするの?
病院では、まず問診で症状について詳しく聞かれます。いつから出血があるか、血の色や量、痛みの有無、その他の症状などを正確に伝えられるようにしておくと診察がスムーズです。スマートフォンのカメラで便の状態を撮影しておくのも良い方法です。
その後、以下のような検査が行われることが一般的です。
- 視診・触診・指診: 医師が肛門の周りを見たり、指を肛門に入れて直腸の状態を調べたりします。これで切れ痔や痔核の有無、直腸がんの有無などがある程度わかります。
- 肛門鏡検査: 小さな筒状の器具(肛門鏡)を肛門に挿入し、肛門の内部や直腸下部を直接観察します。
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ): 肛門から内視鏡を挿入し、直腸から結腸全体を詳しく観察する検査です。 ポリープやがん、炎症などを発見でき、疑わしい組織があれば採取して詳しく調べることも可能です。 鎮静剤を使用して、苦痛を少なく検査を受けることもできます。
よくある質問

おしりからの出血に関して、多くの方が抱く疑問にお答えします。
おしりを拭いたら血がつくのはストレスが原因ですか?
直接的にストレスが原因で肛門から出血することは稀です。しかし、ストレスが引き金となって便秘や下痢になることはよくあります。 便秘で硬い便が出れば切れ痔になりやすいですし、下痢が続けば肛門の皮膚が荒れて出血することもあります。 また、ストレスは自律神経の乱れにつながり、血行不良を招いて痔を悪化させる一因にもなり得ます。間接的にストレスが影響している可能性は十分にあると言えるでしょう。
少量なら放置しても大丈夫ですか?
トイレットペーパーに少し付着する程度の少量の出血であれば、多くは痔が原因であり、すぐに命に関わるような危険性は低いと考えられます。 しかし、「少量だから大丈夫」と自己判断で放置するのは危険です。 なぜなら、大腸がんの初期症状も、少量の出血から始まることがあるからです。 痔だと思い込んでいたら、がんが進行してしまったというケースは後を絶ちません。 出血が一度だけでなく続いたり、頻度が増したりするようであれば、たとえ少量でも一度は専門医の診察を受けることを強くおすすめします。
子供のおしりから血が出た場合はどうすればいいですか?
子供、特に乳幼児がおしりから出血した場合、最も多い原因は便秘による切れ痔(裂肛)です。硬い便を出すときに肛門が切れてしまい、便の表面に鮮血が付着したり、おむつやトイレットペーパーに血がついたりします。まずは、水分や食物繊維をしっかり摂らせて便を柔らかくする工夫をしましょう。ただし、出血が続く、量が多い、腹痛や嘔吐を伴う、機嫌が悪いなどの症状がある場合は、小児科やかかりつけ医に相談してください。まれに、腸重積や感染性腸炎などの病気が隠れている可能性もあります。
大腸がんの可能性はどのくらいありますか?
おしりからの出血の原因として最も多いのは痔であり、大腸がんである頻度は高くはありません。しかし、可能性がゼロではない以上、無視することはできません。 特に、40歳以上の方、家族に大腸がんになった人がいる方、便が細くなる・便秘と下痢を繰り返すなどの便通異常がある方、体重減少が見られる方は、大腸がんのリスクが高まります。 便潜血検査で陽性となった場合、実際に大腸がんが見つかるのは数%程度と言われていますが、ポリープが見つかる可能性はもっと高くなります。 不安を抱え続けるよりも、一度大腸内視鏡検査を受けて、はっきりとさせておくことが精神的な安心にもつながります。
ウォシュレットの使いすぎはよくないですか?
ウォシュレット(温水洗浄便座)は、肛門を清潔に保つ上で非常に便利なツールです。しかし、使い方を間違えると逆効果になることがあります。 強すぎる水圧で洗浄したり、必要以上に長い時間洗い続けたりすると、肛門周辺の皮膚を守っている皮脂まで洗い流してしまい、乾燥やかぶれ、かゆみを引き起こす原因となります。これが悪化すると、皮膚がただれて出血することもあります。使用する際は、水圧は弱めに設定し、洗浄時間は数秒程度に留めましょう。洗浄後は、ゴシゴシこすらず、柔らかいトイレットペーパーで優しく押さえるように水分を拭き取ることが大切です。
まとめ

- おしりを拭いて血がついたら、まず血の色・痛みの有無・量を確認する。
- 鮮血は肛門近く、黒っぽい血は胃や大腸からの出血の可能性が高い。
- 最も多い原因は「いぼ痔」や「切れ痔」などの肛門疾患である。
- 痛みがない鮮血の出血は「いぼ痔(内痔核)」の可能性が高い。
- 痛みを伴う鮮血の出血は「切れ痔(裂肛)」の可能性が高い。
- 黒っぽい血や激しい腹痛、多量の出血は危険なサインですぐに病院へ。
- 大腸がんの初期症状として出血が見られることもあるため注意が必要。
- 40歳以上や便通異常がある場合は、特に大腸がんのリスクを考慮する。
- セルフケアの基本は、おしりを清潔に保ち、便通を整えること。
- 食生活では食物繊維と水分を十分に摂取することが重要。
- 長時間同じ姿勢を避け、肛門への負担を減らすことが大切。
- 市販薬で改善しない場合は、自己判断で続けずに受診すること。
- 受診する診療科は、痔なら「肛門科」、腹痛などがあれば「消化器内科」。
- 「少量だから」「痛くないから」と放置せず、続く出血は専門医に相談する。
- 不安を解消するためにも、勇気を出して検査を受けることが大切。