家庭菜園で大切に育てている野菜が、アブラムシやアオムシの被害に…!そんな時、頼りになるのが殺虫剤「オルトラン」です。でも、「オルトランってどんな野菜に使えるの?」「使った野菜を食べても本当に安全なの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。本記事では、そんなあなたの疑問や不安を解消します。オルトランが使える野菜の一覧から、種類別の正しい使い方、気になる安全性まで、どこよりも詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
【結論】オルトランは多くの野菜に使える!でもルールを守ることが大前提

結論から言うと、オルトランは多くの野菜に使用できます。トマトやきゅうり、なすといった定番の夏野菜から、キャベツや白菜などの葉物野菜まで、幅広い作物の害虫対策に活躍します。 とはいえ、誰でも安全に使うためには、製品ラベルに記載されたルールを必ず守ることが何よりも重要です。農薬は、定められた使用方法を守ってこそ、効果と安全性が確保されるからです。大切な野菜を守り、美味しくいただくために、まずは基本をしっかり押さえましょう。
オルトランを安全に使うための基本ルールは以下の通りです。
- 必ず製品のラベルを確認する
- 対象の野菜と使用できる時期を守る
- 決められた使用量や回数を守る
- 「収穫前日数」を厳守する
これらのルールを守れば、オルトランは家庭菜園の心強い味方になってくれます。次の章では、具体的にどんな野菜に使えるのかを詳しく見ていきましょう。
オルトランが使える野菜一覧【作物別】

「私の育てている野菜にもオルトランは使えるのかな?」そんな疑問にお答えするため、オルトランが使用可能な野菜を一覧表にまとめました。オルトランには粒剤や液剤などいくつかの種類があり、それぞれ対象となる野菜が少し異なります。ご自身の育てている野菜がリストにあるか、チェックしてみてください。
ここでは、代表的な「GFオルトラン粒剤」と「GFオルトラン液剤」を例にご紹介します。
GFオルトラン粒剤が使える主な野菜
土に混ぜたり、株元にまくだけで手軽に使える粒剤タイプです。植え付け時に使用するのが一般的です。
分類 | 野菜の種類 |
---|---|
果菜類 | トマト、ピーマン、なす、きゅうり |
葉茎菜類 | キャベツ、はくさい、ブロッコリー、こまつな、なばな類 |
根菜類 | だいこん、かぶ |
いも類 | ばれいしょ |
豆類 | えだまめ |
※上記は代表的な作物です。必ずお手元の製品ラベルで対象作物と使用方法をご確認ください。
GFオルトラン液剤が使える主な野菜
水で薄めてスプレーで散布する液剤タイプです。発生してしまった害虫に直接かけることができます。
分類 | 野菜の種類 |
---|---|
果菜類 | トマト、きゅうり、なす、ピーマン |
葉茎菜類 | キャベツ、レタスなど |
※上記は代表的な作物です。必ずお手元の製品ラベルで対象作物と使用方法をご確認ください。
このように、オルトランは非常に多くの野菜に対応しています。ただし、「オルトランDX粒剤」のように、製品によっては使える野菜が限定される場合があるため、購入時や使用前には必ずラベルの「適用作物名」を確認する習慣をつけましょう。
【重要】オルトランの安全性は?野菜を食べても大丈夫?

農薬と聞くと、どうしても「体に害はないの?」「使った野菜を食べても平気?」という不安がつきまといますよね。しかし、オルトランは定められた使用方法を守れば、収穫した野菜を安全に食べることができます。 なぜ安全だと言えるのか、その理由を詳しく解説していきます。
この章で解説するポイントは以下の通りです。
- オルトランの成分と毒性について
- 残留農薬と収穫前使用日数
- オルトラン使用時の注意点
オルトランの成分と毒性について
オルトランの主成分は「アセフェート」という有機リン系の殺虫成分です。 このアセフェートは、害虫の神経に作用して効果を発揮します。ここで重要なのが「選択毒性」という性質です。
実は、アセフェート自体は、昆虫にとっても人間(哺乳類)にとっても毒性が低い物質です。 しかし、昆虫の体内に入ると、昆虫が持つ特殊な酵素によって分解され、毒性の高い物質に変化します。 この変化によって、昆虫は退治されるのです。一方で、人間を含む哺乳類の体内では、この酵素の働きが非常に弱いため、アセフェートは毒性の高い物質に変化しにくく、比較的速やかに体外へ排出されます。 このような、特定の生物にだけ強く作用する性質を「選択毒性」と呼びます。この仕組みにより、オルトランは害虫には効果的に作用し、人間への影響は少なくなっているのです。
残留農薬と収穫前使用日数
「選択毒性があるのは分かったけど、野菜に残った農薬は大丈夫なの?」と心配される方もいるでしょう。この点についても、国が厳しい基準を設けているので安心してください。日本では、食品衛生法に基づき、すべての農薬に対して作物ごとに「残留農薬基準値」が定められています。 これは、生涯にわたって毎日その農薬を摂取し続けても健康に影響がないと科学的に評価された量のことです。
そして、この基準値を守るために、農薬のラベルには「収穫前日数」が記載されています。 これは、「農薬を最後に使用してから、その作物を収穫して良い日までの最短期間」のことです。例えば、「収穫7日前まで」と書かれていれば、収穫する少なくとも7日前までには散布を終えなければなりません。この日数を守ることで、収穫時には農薬が安全なレベルまで分解・減少することが確認されています。 ですから、ラベルに記載された収穫前日数を必ず守ることが、安全な野菜を収穫するための絶対的なルールなのです。
オルトラン使用時の注意点
安全にオルトランを使用するためには、いくつか注意すべき点があります。自分自身や周りの人、ペットなどを守るためにも、以下の点を必ず守ってください。
- 保護具を着用する:農薬を散布する際は、マスク、手袋、長袖・長ズボンの作業着を着用し、薬剤を吸い込んだり皮膚に付着したりしないようにしましょう。
- 風のない日に散布する:風が強い日に散布すると、薬剤が飛散して近隣の作物や自分にかかってしまう恐れがあります。風のない、穏やかな日を選んで作業してください。
- 子供やペットに注意する:散布中や散布直後は、子供やペットが作業場所に近づかないように配慮が必要です。 散布した薬剤が乾くまでは立ち入らせないようにしましょう。
- 体調が悪い時は使用しない:体調が優れないときは、農薬の散布作業は避けましょう。
- 過剰に使用しない:決められた量以上を使用しても、効果が高まるわけではありません。むしろ、作物に薬害(生育不良など)が出たり、環境に悪影響を与えたりする可能性があります。
これらの注意点を守り、正しく使用すれば、オルトランは家庭菜園の頼もしいパートナーとなります。
オルトランの種類と正しい使い方

オルトランには、主に「粒剤」「液剤」「水和剤」といった種類があります。 それぞれに特徴があり、使い方や適した場面が異なります。ここでは、代表的な「粒剤」と「液剤・水和剤」の使い方について、初心者の方にも分かりやすく解説します。ご自身の栽培スタイルに合ったものを選んで、効果的に害虫を防除しましょう。
この章で解説するポイントは以下の通りです。
- オルトラン粒剤の使い方
- オルトラン液剤・水和剤の使い方
オルトラン粒剤の使い方
GFオルトラン粒剤に代表される粒剤タイプは、土にまくことで効果を発揮するのが特徴です。 手軽で使いやすく、特に家庭菜園初心者の方におすすめです。主な使い方は2通りあります。
1. 植え付け時の土壌混和・植穴処理
これは、野菜の苗を植え付ける際に、あらかじめ土に混ぜ込んでおく方法です。
- 苗を植えるための穴を掘ります。
- 掘った穴の底に、規定量のオルトラン粒剤をまきます。
- 薬剤が直接根に触れないように、少し土をかぶせます。
- その上に苗を置いて、土をかぶせて植え付け完了です。
この方法の最大のメリットは、植え付けと同時に害虫予防ができる点です。薬剤の成分が根から吸収され、植物全体に行き渡る「浸透移行性」という性質により、効果が長期間持続します。 これにより、アブラムシなどの吸汁性害虫だけでなく、土の中にいるネキリムシなどにも効果が期待できます。
2. 生育期の株元散布
すでに植え付けが終わっている野菜に使用する場合は、株元に散布します。
- 野菜の株元(茎の根元周辺)に、規定量のオルトラン粒剤をパラパラと均一にまきます。
- 軽く土と混ぜ合わせると、より効果的です。
- 散布後は、水をかけると薬剤が土に浸透しやすくなります。
生育の途中で害虫の発生が見られた場合や、予防効果を持続させたい場合に行います。ただし、使用回数や収穫前日数の制限があるので、ラベルをよく確認してから使用してください。
オルトラン液剤・水和剤の使い方
GFオルトラン液剤やオルトラン水和剤は、水で薄めてジョウロや噴霧器(スプレー)で散布するタイプです。 粒剤との大きな違いは、すでに発生してしまった葉や茎についている害虫に対して、速効性が期待できる点です。
基本的な使い方
- 製品ラベルに記載されている希釈倍率を確認します。(例:1000倍)
- バケツや噴霧器に少量の水を入れ、規定量の薬剤を加えてよく混ぜます。
- 残りの水を加えて、指定の量まで薄めます。
- 害虫が発生している場所を中心に、葉の裏表にまんべんなくかかるように散布します。
使用のコツ
液剤や水和剤を効果的に使うためには、いくつかコツがあります。
- 展着剤を混ぜる:植物の葉は水をはじきやすい性質があるため、薬剤がうまく付着しないことがあります。 そのような場合は、「展着剤」という薬剤を混ぜて使うのがおすすめです。展着剤は、薬剤を葉に濡れ広がりやすくし、効果を高めてくれます。
- 散布の時間帯:散布は、日中の暑い時間帯を避け、朝夕の涼しい時間帯に行うのが基本です。気温が高いと、薬液がすぐに蒸発してしまったり、薬害の原因になったりすることがあります。
- 葉の裏を狙う:アブラムシなどの害虫は、葉の裏に隠れていることが多いです。散布する際は、葉の表だけでなく、裏側にもしっかりと薬剤がかかるように意識しましょう。
液剤・水和剤は、害虫を見つけたときにすぐに対応できるのが強みです。粒剤と組み合わせて、状況に応じて使い分けることで、より効果的な害虫管理が可能になります。
要注意!オルトランが使えない・不向きな野菜

多くの野菜に使える便利なオルトランですが、中には使用が推奨されない、あるいは使えない野菜も存在します。 安全な家庭菜園を楽しむためにも、これらの情報をしっかりと把握しておくことが大切です。誤った使い方をして、野菜をダメにしてしまったり、健康を害したりすることのないように注意しましょう。
特に注意が必要なのは、「オルトランDX粒剤」です。この製品は、アセフェートに加えて「クロチアニジン」という別の殺虫成分が含まれており、より広範囲の害虫に効果がある反面、使用できる野菜が限定されています。 例えば、トマト、きゅうり、なすには使えますが、キャベツやレタスなどの葉物野菜、だいこんなどの根菜類には登録がありません。 知らずに使ってしまうと、残留農薬のリスクが高まるため、絶対に避けなければなりません。
また、すべてのオルトラン製品に共通する注意点として、間引き菜やつまみ菜には使用できません。 これは、生育初期の若い葉を収穫して食べる場合、農薬の成分が濃く残留している可能性があるためです。ベビーリーフやハーブ類など、若い葉を収穫する目的で栽培している野菜への使用も避けるべきでしょう。
製品ラベルの「適用作物名」に記載のない野菜には、絶対に使用しないでください。もし使えるかどうか判断に迷った場合は、販売元のウェブサイトで確認するか、問い合わせてみるのが確実です。
オルトランとオルトランDXの違いは?

園芸店に行くと、「GFオルトラン粒剤」と「オルトランDX粒剤」という、よく似た名前の製品が並んでいるのを見かけます。 パッケージの色が違うだけで、同じものだと思っている方もいるかもしれませんが、実はこの2つには明確な違いがあります。違いを理解して、自分の目的や育てている植物に合った製品を選ぶことが重要です。
一番大きな違いは、含まれている殺虫成分です。
- GFオルトラン粒剤(赤いパッケージ):主成分は「アセフェート」のみです。 幅広い野菜や花に使える、昔ながらの定番商品です。
- オルトランDX粒剤(青いパッケージ):主成分の「アセフェート」に加えて、「クロチアニジン」というネオニコチノイド系の殺虫成分が配合されています。
クロチアニジンが加わっていることで、オルトランDX粒剤には以下のような特徴があります。
- より広範囲の害虫に効く:アセフェートだけでは効きにくいとされていた、コガネムシの幼虫などにも効果が期待できます。
- 効果の持続性が高い:アブラムシに対して約1ヶ月の効果持続がうたわれています。
- 使える植物が限定される:前述の通り、効果が強力な分、安全性の観点から使用できる作物が限られています。野菜ではトマト、きゅうり、なすなどにしか使えません。
簡単にまとめると、以下のようになります。
GFオルトラン粒剤 | オルトランDX粒剤 | |
---|---|---|
主成分 | アセフェート | アセフェート + クロチアニジン |
特徴 | 幅広い野菜・花に使える定番品 | 効果が高く、持続性も長いが、使える植物が限定的 |
おすすめの選び方 | 食べる目的の野菜全般、特に葉物や根菜類を育てる場合 | 花や観葉植物、またはトマト・きゅうり・なすの害虫対策を強化したい場合 |
食べる野菜を幅広く育てている家庭菜園では、汎用性の高い「GFオルトラン粒剤」を選んでおけば間違いないでしょう。 一方で、バラなどの花木や観葉植物を育てていて、コガネムシの被害に悩んでいる場合などは、「オルトランDX粒剤」が強力な助けとなります。
よくある質問

ここでは、オルトランを野菜に使う際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。疑問点を解消して、安心して家庭菜園を楽しみましょう。
オルトランを撒きすぎたらどうなりますか?
決められた量を超えてオルトランを撒くと、野菜に「薬害」が発生する可能性があります。 薬害の症状としては、葉が黄色く変色したり、生育が止まってしまったりすることがあります。また、土壌中の有益な微生物に影響を与えたり、環境汚染につながったりする恐れもあります。 たくさん撒けば効果が上がるわけではないので、必ず規定量を守ってください。 もし誤って多く撒いてしまった場合は、可能であれば薬剤を取り除くか、土を多めに追加して濃度を薄めるなどの対処が考えられますが、基本的には撒きすぎないことが最も重要です。
効果はどのくらい続きますか?
製品や使用状況によって異なりますが、一般的に粒剤の効果は約2~3週間持続するとされています。 2種類の有効成分を配合した「オルトランDX粒剤」の場合は、アブラムシに対して約1ヶ月の効果持続がうたわれています。 液剤や水和剤は速効性がありますが、持続性は粒剤に劣ります。効果を持続させたい場合は、定期的な散布が必要になりますが、使用回数の制限には注意してください。
雨が降っても効果はありますか?
土にまく粒剤タイプは、雨や水やりによって成分が土に溶け出し、根から吸収されることで効果を発揮します。 そのため、散布後に雨が降っても、成分が流れ出てしまう心配は少なく、むしろ効果を発揮しやすくなります。ただし、豪雨で土ごと流されてしまうような状況では効果が薄れる可能性があります。一方、葉に散布する液剤や水和剤は、散布後すぐに雨が降ると薬剤が洗い流されてしまい、効果が十分に得られないことがあります。 天気予報を確認し、散布後しばらく雨が降らない日を選ぶのが理想的です。
オルトランの代わりになる農薬はありますか?
はい、あります。オルトランと同じように使える浸透移行性の殺虫剤としては、「ベニカXファインスプレー」や「モスピラン粒剤」などがあります。また、有機JAS規格(オーガニック栽培)でも使用できる天然成分由来の殺虫剤として、「粘着くん液剤」(デンプンが主成分)や、BT剤(納豆菌の仲間)を利用した「ゼンターリ顆粒水和剤」などもあります。 これらは特定の害虫に効果を発揮します。化学農薬に抵抗がある方は、こういった代替品を検討してみるのも良いでしょう。
トマトやきゅうり、ナスに使えますか?
はい、使えます。GFオルトラン粒剤、GFオルトラン液剤、オルトランDX粒剤のいずれも、トマト、きゅうり、なすに使用できます。 これらは家庭菜園で人気の野菜であり、アブラムシなどの害虫もつきやすいため、オルトランは有効な対策となります。ただし、必ず製品ラベルで使用方法や収穫前日数を確認してください。
葉物野菜(キャベツ、レタス)に使えますか?
GFオルトラン粒剤やGFオルトラン液剤は、キャベツやレタスなどの葉物野菜に使用できます。 しかし、先述の通り、「オルトランDX粒剤」は葉物野菜には使用できません。 葉物野菜にオルトランを使用する際は、どの製品を使っているかをよく確認することが非常に重要です。また、収穫までの期間が短い葉物野菜は、特に収穫前日数の管理を徹底しましょう。
まとめ

- オルトランは多くの野菜に使えるが、必ずラベルの指示を守ること。
- 使える野菜はトマト、きゅうり、なす、キャベツ、だいこん等多数。
- オルトランの主成分はアセフェートで、選択毒性により人への影響は少ない。
- 安全に食べるには「収穫前日数」の遵守が絶対条件。
- 粒剤は植え付け時の予防、液剤は発生後の駆除に向いている。
- 土にまく粒剤は雨で効果が流れる心配が少ない。
- 液剤・水和剤は散布後すぐの雨に注意が必要。
- 「オルトランDX粒剤」は効果が高いが、使える野菜が限定される。
- DX粒剤はトマト、きゅうり、なすには使えるが葉物野菜には使えない。
- 間引き菜やつまみ菜への使用は禁止されている。
- 使用時はマスクや手袋などの保護具を着用すること。
- 決められた量以上を撒くと薬害のリスクがある。
- 効果の持続期間は粒剤で約2~3週間が目安。
- 子供やペットが散布場所に近づかないよう配慮が必要。
- 化学農薬以外の代替品(粘着くん、BT剤など)も存在する。