日頃お世話になっている方へ感謝の気持ちを伝えるお中元。品物を贈るのが一般的ですが、特定の状況では現金を贈ることもあります。しかし、「現金は失礼にあたるのでは?」「のし袋の書き方が分からない」と悩む方も少なくありません。本記事では、お中元で現金を贈る際の適切なマナーや、のし袋の選び方、正しい書き方まで、詳しく解説します。
お中元で現金を贈ることは失礼?適切なケースと避けるべきケース

お中元は、本来、品物を贈って感謝の気持ちを表すものです。そのため、一般的に目上の方へ現金を贈ることはマナー違反とされています。しかし、状況によっては現金が喜ばれるケースも存在します。例えば、お稽古事や塾の先生へのお中元として、現金が慣例となっている場合や、相手が遠方に住んでいて品物選びに困る場合、あるいは相手が本当に必要なものを自由に選びたいと考えている場合などです。
現金が喜ばれる具体的な状況
現金が喜ばれる具体的な状況としては、まず、お稽古事や塾の先生への謝礼として、現金が慣例となっているケースが挙げられます。 生徒が多い先生の場合、たくさんの贈答品に困ってしまうこともあるため、現金の方がかえって喜ばれることがあります。また、親しい親戚や家族間では、相手の好みが分からず、必要なものを自由に選んでほしいという意図で現金を贈ることもあります。
この場合、相手に直接「何か必要なものはないか」と尋ねてから現金を贈ると、より丁寧な印象を与えられます。
現金ではなく品物を贈るべき状況
一方で、現金ではなく品物を贈るべき状況も明確に存在します。特に、会社の上司や取引先など、目上の方へ現金を贈ることは一般的にタブーとされています。 これは、現金を贈ることが「お金に困っている」という印象を与えたり、相手を見下していると捉えられたりする可能性があるためです。また、公務員など、金品の受け取りが法律で禁止されている職業の方へも、現金を贈ることは避けるべきです。
このような場合は、相手の好みに合わせた品物や、職場で分けやすい個包装のお菓子などを選ぶのが無難です。
現金を贈る際の相手への配慮
お中元として現金を贈る際は、相手への配慮が何よりも大切です。まず、相手との関係性を考慮し、現金が本当に適切かどうかを慎重に判断しましょう。親しい間柄であっても、相手が「現金は味気ない」と感じる可能性も考えられます。そのため、事前にそれとなく相手の意向を探るのも一つの方法です。また、現金を贈る場合は、必ず新札を用意し、丁寧にのし袋に包むことが重要です。
渡し方も、直接手渡しが難しい場合は、事前に連絡を入れてから郵送するなど、相手の都合を優先する姿勢が求められます。
お中元現金のし袋の選び方:水引の種類と表書きの基本

お中元で現金を贈る場合、適切なのし袋を選ぶことが重要です。のし袋には様々な種類があり、お中元にふさわしいものを選ぶことで、感謝の気持ちをより丁寧に伝えられます。特に、水引の種類や表書きの書き方には決まりがあるため、事前に確認しておきましょう。
お中元にふさわしいのし袋の種類
お中元で現金を贈る際には、紅白の蝶結びの水引が印刷されたのし袋を選びましょう。 蝶結びは「何度でも繰り返したいお祝い事」に使われる水引で、お中元のような季節の挨拶に適しています。水引の本数は、縁起が良いとされる5本または7本のものが一般的です。 また、のし袋には、のし飾りが右上に印刷されているものを選びます。
のし飾りは、もともと縁起物である「伸し鮑」を簡略化したもので、贈答品に添えるのがマナーです。
水引の選び方と意味
水引は、のし袋の中央に結ばれている飾り紐のことです。お中元では、紅白の蝶結びを選びます。蝶結びは、結び目が簡単にほどけて何度でも結び直せることから、「何度繰り返しても良いお祝い事」や「季節の挨拶」に用いられます。 例えば、出産祝いや入学祝いなども蝶結びが使われます。これに対し、結婚祝いや弔事など「二度と繰り返したくないこと」には、結び切りやあわじ結びの水引が使われるため、間違えないように注意が必要です。
のし袋の表書き「御中元」の書き方
のし袋の表書きは、水引より上の中央に「御中元」または「お中元」と書きます。 筆記具は、毛筆や筆ペンを使用するのが正式なマナーです。濃い黒色のインクで丁寧に書きましょう。ボールペンやサインペンは、略式とされているため避けるのが賢明です。また、水引の下の中央には、贈り主の氏名をフルネームで書きます。 表書きよりもやや小さめの文字で書くと、全体のバランスが良くなります。
連名で贈る場合は、目上の方から順に右から左へ氏名を記載します。 4名以上の場合は、代表者の氏名を中央に書き、その左横に「他一同」と添え、中袋に全員の氏名を記載するのが一般的です。
お中元現金のし袋の書き方:中袋の記入方法と金額の書き方

お中元で現金を贈る場合、のし袋の中に入れる「中袋」にも正しい書き方があります。中袋は、現金を直接入れるための袋であり、金額や贈り主の情報を正確に記載することが求められます。ここでは、中袋の表と裏の書き方、そして金額を正確に書く方法について詳しく解説します。
中袋の表と裏の書き方
中袋の表面には、中央に包んだ金額を記載します。 金額は、後述する大字(旧字体)を用いて丁寧に書くのがマナーです。裏面には、贈り主の氏名と住所を記載します。 郵便番号も忘れずに記載しましょう。これは、万が一のし袋から中袋が外れてしまった場合でも、誰からの贈り物か判別できるようにするためです。また、相手が複数人からお中元を受け取った際に、誰からのものかすぐに分かるようにする配慮でもあります。
筆記具は、表書きと同様に毛筆や筆ペンを使用し、濃い黒色のインクで丁寧に書きましょう。
金額を正確に書く方法(大字の利用)
中袋に金額を記載する際は、改ざんを防ぐためにも、漢数字の旧字体である「大字(だいじ)」を使用するのが正式な方法です。例えば、「壱(いち)」「弐(に)」「参(さん)」「伍(ご)」「萬(まん)」などを用います。 具体的な書き方は以下の通りです。
- 3,000円の場合:「金参仟圓也」
- 5,000円の場合:「金伍仟圓也」
- 10,000円の場合:「金壱萬圓也」
「也」は「これにて終わり」という意味があり、金額の後に付けることで、追記や改ざんを防ぐ役割があります。 現代では、通常の漢数字で書かれることも増えていますが、より丁寧な印象を与えるためには大字の使用がおすすめです。
氏名や住所の記載方法
中袋の裏面には、贈り主の氏名と住所を記載します。 住所は都道府県から番地、建物名まで正確に書きましょう。氏名はフルネームで記載します。これも、誰からの贈り物かを明確にするための大切な情報です。特に、連名で贈る場合は、中袋の裏面に全員の氏名を記載することで、相手が確認しやすくなります。 筆記具は、表書きや金額と同様に毛筆や筆ペンを使用し、丁寧に記載することがマナーです。
お中元現金を贈る際のマナー:新札の準備と相場

お中元で現金を贈る際には、のし袋の書き方だけでなく、お金の準備や金額の相場、渡し方にもマナーがあります。相手に失礼なく、気持ちよく受け取ってもらうためにも、これらのマナーをしっかりと押さえておくことが大切です。
新札を用意する理由と準備のコツ
お中元に限らず、お祝い事や感謝の気持ちを込めて現金を贈る際は、必ず新札を用意するのがマナーです。 新札には「この日のために準備しました」という気持ちが込められており、相手への敬意を表します。使い古したお札や、しわくちゃのお札を贈るのは失礼にあたるため避けましょう。新札は、銀行や郵便局の窓口で両替してもらえます。
お中元の時期は混み合うこともあるため、早めに準備するコツとして、事前に電話で新札の在庫を確認しておくとスムーズです。また、ATMでは新札が出てこないことがほとんどなので、必ず窓口を利用しましょう。
お中元として贈る現金の一般的な相場
お中元として現金を贈る際の相場は、贈る相手との関係性によって異なります。一般的には3,000円から5,000円程度が目安とされています。 例えば、両親や親戚、友人・知人には3,000円程度、特にお世話になった上司や仲人には5,000円程度が一般的です。 ただし、あまりに高額な現金を贈ると、相手に気を遣わせてしまったり、「次からは結構です」という意味に捉えられたりする可能性もあるため注意が必要です。
相手の負担にならない範囲で、感謝の気持ちを込めた金額を選びましょう。
現金の渡し方とタイミング
お中元は、本来直接手渡しするのが正式なマナーとされています。 現金を渡す際は、のし袋に入れたものを袱紗(ふくさ)に包んで持参し、相手の自宅に通されてから、感謝の言葉とともに手渡すのが丁寧な渡し方です。 玄関先で渡す場合は、立ったまま渡すことになるため、室内に通されてから渡す場合とは渡し方が異なります。
また、遠方に住んでいる場合や、直接訪問が難しい場合は、現金書留を利用して郵送することも可能です。その際も、事前に相手に連絡を入れ、現金書留で送る旨を伝えておくと親切です。 お中元を贈る時期は地域によって異なりますが、一般的に東日本では7月上旬から15日まで、西日本では7月中旬から8月15日までとされています。
この期間内に相手に届くように手配しましょう。
よくある質問

お中元で現金を贈る場合、お礼状は必要ですか?
お中元で現金をいただいた場合でも、お礼状を送るのがマナーです。 お礼状は、お中元が無事に届いたことと、感謝の気持ちを伝える大切な手段です。品物を受け取った場合と同様に、できるだけ早く、できれば1週間以内に送るのが望ましいでしょう。 親しい間柄であれば電話やメールでも問題ありませんが、目上の方には手書きのお礼状がより丁寧な印象を与えます。
のし袋に入れるお札の向きに決まりはありますか?
のし袋にお札を入れる際は、お札の肖像画がのし袋の表側(文字が書かれている面)を向くように入れ、さらに肖像画が上になるように揃えて入れるのが一般的です。これは、お札を取り出した際に、肖像画がすぐに目に入るようにするためであり、相手への敬意を表す意味合いがあります。
お中元を贈る時期はいつまでですか?
お中元を贈る時期は地域によって異なります。一般的に、東日本では7月1日から7月15日まで、西日本では7月15日から8月15日までとされています。 北海道は7月15日から8月15日、九州は8月1日から8月15日と、さらに時期がずれる地域もあります。 相手の地域のお中元時期を確認し、その期間内に届くように手配することが大切です。
時期を過ぎてしまった場合は、「暑中御見舞」や「残暑御見舞」として贈るのがマナーです。
現金書留でお中元を送っても良いですか?
はい、現金書留でお中元を送ることは可能です。特に、遠方に住んでいる方や、直接手渡しが難しい場合に利用されます。 現金書留を利用する際も、必ず新札をのし袋に包み、お礼状を添えるのが丁寧です。また、事前に相手に現金書留で送る旨を伝えておくと、相手も安心して受け取れます。
お中元のお返しは必要ですか?
お中元は、日頃お世話になっている方への感謝の気持ちを込めて贈るものなので、基本的に品物でのお返しは必須ではありません。 しかし、お礼状を送って感謝の気持ちを伝えることは大切なマナーです。 親しい間柄や同僚など、自分と同じ立場の人からお中元をいただいた場合は、同程度の金額の品物でお返しをしても問題ありません。
その場合も、いただいた品物より高額なものを贈るのは避けましょう。
まとめ
- お中元で現金を贈ることは、一般的に目上の方には失礼にあたる場合がある。
- お稽古事の先生や親しい親戚など、特定の状況では現金が喜ばれることもある。
- 現金を贈る際は、必ず紅白の蝶結びの水引が印刷されたのし袋を選ぶ。
- のし袋の表書きは「御中元」または「お中元」と毛筆や筆ペンで丁寧に書く。
- 水引の下には贈り主の氏名をフルネームで、表書きより小さめに記載する。
- 中袋の表面には金額を大字(旧字体)で書き、裏面には氏名と住所を記載する。
- 現金を包む際は、必ず新札を用意し、「この日のために準備した」という気持ちを込める。
- お中元として贈る現金の相場は、相手との関係性により3,000円から5,000円程度が目安。
- 高額すぎる現金を贈ると、相手に気を遣わせる可能性があるため注意が必要。
- お中元は、本来手渡しが正式なマナーだが、遠方の場合は現金書留も利用できる。
- お中元を贈る時期は地域によって異なるため、相手の地域の時期に合わせて手配する。
- お中元を受け取ったら、品物でのお返しは必須ではないが、お礼状は必ず送る。
- お礼状は、お中元が届いた報告と感謝の気持ちを伝える大切な手段である。
- お札は肖像画がのし袋の表側を向き、上になるように揃えて入れる。
- これらのマナーを守り、相手への感謝の気持ちを丁寧に伝えることが最も重要である。
