「寝ても寝ても眠い」「いくら寝ても疲れが取れない」と感じる日々が続くと、日常生活に大きな影響が出てしまいます。単なる睡眠不足だと考えてしまいがちですが、実は体の奥深く、特に内臓の不調が原因となっているケースも少なくありません。
本記事では、なぜ寝ても寝ても眠い状態が続くのか、その隠れた原因として考えられる内臓のサインに焦点を当てて解説します。具体的な対策や、医療機関を受診する目安についても詳しくご紹介しますので、長引く眠気に悩む方はぜひ参考にしてください。
寝ても寝ても眠いと感じる原因とは?

寝ても寝ても眠い状態が続く場合、その原因は一つだけとは限りません。睡眠の質の問題、生活習慣の乱れ、そしてストレスなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っている可能性があります。まずは、日中の強い眠気を引き起こす一般的な原因について理解を深めましょう。
睡眠の質が低下している可能性
十分な睡眠時間を確保しているつもりでも、睡眠の質が低ければ体は十分に回復できません。例えば、夜中に何度も目が覚める、寝つきが悪い、熟睡感がないといった症状は、睡眠の質が低下しているサインです。このような状態が続くと、日中に強い眠気や倦怠感を感じやすくなります。特に、睡眠時無呼吸症候群のように、睡眠中に呼吸が止まる病気は、本人が気づかないうちに睡眠を妨げ、日中の強い眠気を引き起こすことがあります。
また、寝室の温度や湿度、明るさ、騒音といった睡眠環境も、睡眠の質に大きく影響します。快適な睡眠環境が整っていないと、深い眠りに入りにくくなり、結果として「寝ても寝ても眠い」状態に繋がるのです。
生活習慣の乱れが引き起こす疲労
不規則な食生活や運動不足、カフェインやアルコールの過剰摂取も、日中の眠気の原因となることがあります。特に、食事を抜いたり、偏った食事ばかり摂ったりすると、体に必要な栄養素が不足し、エネルギー不足に陥りやすくなります。
例えば、鉄分不足による貧血は、全身への酸素供給が低下するため、だるさや息切れ、強い眠気を引き起こす典型的な原因です。 また、ビタミンB群の不足もエネルギー代謝に関わるため、疲労や倦怠感に繋がることがあります。 規則正しい生活リズムは、体のバイオリズムを整え、質の良い睡眠と日中の活動をサポートするために非常に重要です。
ストレスや精神的な負担
現代社会では、仕事や人間関係など、さまざまなストレスにさらされる機会が多いものです。ストレスは自律神経のバランスを乱し、交感神経を優位にさせるため、脳が興奮状態になり、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。
その結果、夜間の睡眠の質が低下し、日中に強い眠気や倦怠感を感じるようになるのです。 また、うつ病などの精神疾患も、過眠の症状を引き起こすことがあります。 気分が落ち込む、やる気が出ないといった症状が眠気と同時に現れる場合は、心の健康状態にも目を向けることが大切です。
隠れた内臓の不調が「寝ても寝ても眠い」を引き起こす

「寝ても寝ても眠い」という症状は、単なる疲れや睡眠不足だけでなく、内臓の隠れた不調が原因となっている場合があります。私たちの体は、各内臓が連携して正常に機能することで、エネルギーを生み出し、健康を維持しています。どこかの内臓に負担がかかると、そのバランスが崩れ、全身の倦怠感や強い眠気として現れることがあるのです。
肝臓の疲労と全身のだるさ
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、疲労が蓄積しても自覚症状が出にくい特徴があります。しかし、アルコールの過剰摂取、不規則な食生活、ストレスなどによって肝臓に負担がかかると、解毒作用や代謝機能が低下し、全身の倦怠感や強い眠気を引き起こすことがあります。肝臓は体内の老廃物を処理し、エネルギー代謝の中心を担う重要な臓器です。
その機能が低下すると、毒素が体内に蓄積しやすくなり、疲労物質が分解されにくくなるため、いくら寝ても疲れが取れない状態に陥りやすくなります。
特に、食後に強い眠気を感じる場合は、肝臓が消化・吸収に多くのエネルギーを使っているサインかもしれません。肝臓の健康は、日中の活動レベルに直結するため、日頃から肝臓に優しい生活を心がけることが大切です。
腎臓の機能低下と倦怠感
腎臓は、体内の老廃物をろ過し、尿として排出する重要な役割を担っています。また、血圧の調整や赤血球の生成を促すホルモンの分泌にも関わっています。腎臓の機能が低下すると、体内に老廃物が蓄積しやすくなり、これが全身の倦怠感や疲労感、強い眠気の原因となることがあります。
特に、むくみや貧血の症状が同時に現れる場合は、腎臓の不調を疑う必要があります。腎臓の機能低下は、初期段階では自覚症状が少ないため、定期的な健康診断で早期発見に努めることが重要です。日中の眠気が慢性的に続く場合は、腎臓への負担を減らす食生活や水分摂取を意識してみましょう。
甲状腺機能の異常と眠気
甲状腺は、新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンを分泌する臓器です。この甲状腺ホルモンの分泌が不足すると、全身の代謝が低下し、エネルギー不足の状態に陥ります。 これが「甲状腺機能低下症」と呼ばれる状態で、強い眠気や倦怠感、寒がり、むくみ、体重増加、気分の落ち込みなどの症状が現れることがあります。
特に女性に多く見られる病気であり、年齢とともに発症リスクが高まると言われています。 「寝ても寝ても眠い」だけでなく、上記のような症状が複数当てはまる場合は、甲状腺機能の検査を検討することが大切です。適切な治療によってホルモンバランスが整えば、眠気や倦怠感も改善されることが期待できます。
副腎疲労とエネルギー不足
副腎は、ストレスに対抗するためのホルモン(コルチゾールなど)を分泌する臓器です。慢性的なストレスが続くと、副腎が疲弊し、ホルモンの分泌が十分にできなくなることがあります。これが「副腎疲労」と呼ばれる状態で、朝起きられない、日中に強い眠気や倦怠感に襲われる、集中力が続かない、甘いものが無性に食べたくなるなどの症状が現れます。
特に、午後になると強い眠気やだるさを感じ、夕食後にようやく元気になるというパターンは、副腎疲労の典型的なサインです。 副腎疲労は、血糖値のコントロールにも影響を与え、低血糖を引き起こすことでさらに眠気を増強させることもあります。 ストレスマネジメントと栄養療法が、副腎の回復には重要な役割を果たします。
腸内環境の乱れと疲労感
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、脳と密接に連携しています。 腸内環境が乱れると、セロトニン(幸福ホルモン)の生成に影響が出ることがあります。セロトニンは、夜になると睡眠ホルモンであるメラトニンに変換されるため、セロトニンが不足すると睡眠の質が低下し、日中の眠気に繋がるのです。
また、腸の働きが低下すると、食べ物から栄養素が十分に吸収されず、エネルギー不足に陥りやすくなります。 腸内での炎症が脳に影響を与え、眠気や無気力、集中力低下を引き起こすという研究も進んでいます。 腸内環境を整えることは、全身の健康だけでなく、質の良い睡眠と日中の活動レベルを向上させるために非常に重要です。
貧血や糖尿病など代謝系の問題
貧血は、血液中のヘモグロビンが不足し、全身に酸素を運ぶ能力が低下する状態です。 脳への酸素供給が不足すると、脳の活動が低下し、強い眠気や疲労感、集中力の低下を引き起こします。 特に女性は月経により鉄分が失われやすく、貧血になりやすい傾向があります。
糖尿病もまた、日中の強い眠気の原因となることがあります。 血糖値の急激な変動(血糖値スパイク)は、食後に強い眠気を引き起こすことが知られています。 高血糖状態が続くと、血液がドロドロになり、全身への酸素や栄養の供給が滞るため、疲労感や眠気に繋がります。 糖尿病の治療薬が低血糖を引き起こし、眠気を誘発することもあります。
これらの代謝系の問題は、適切な診断と治療、そして生活習慣の改善によって管理することが可能です。
内臓の疲れを和らげるための具体的な対策

内臓の疲れが原因で「寝ても寝ても眠い」状態が続いている場合、日々の生活習慣を見直すことが改善への第一歩です。ここでは、内臓の負担を減らし、体の回復力を高めるための具体的な対策をご紹介します。
食生活の見直しと栄養バランス
内臓の健康を保つためには、バランスの取れた食事が欠かせません。特に、肝臓や腎臓、腸に負担をかけないよう、以下の点を意識してみましょう。
- 加工食品や高糖質食品を控える:加工食品や砂糖を多く含む食品は、内臓に負担をかけやすく、血糖値の急激な変動を引き起こすことがあります。
- 食物繊維を積極的に摂る:野菜、果物、海藻、きのこ類などに含まれる食物繊維は、腸内環境を整え、便通を良くするのに役立ちます。
- 良質なタンパク質を摂る:肉、魚、卵、大豆製品などから、バランス良くタンパク質を摂取しましょう。
- ビタミン・ミネラルを補給する:特に鉄分(レバー、ほうれん草など)、ビタミンB群(豚肉、魚など)、マグネシウム(ナッツ、海藻など)は、エネルギー代謝や神経機能に重要です。
- 水分をこまめに摂る:脱水は疲労感や集中力低下の原因になります。 純粋な水をこまめに飲むことで、老廃物の排出を促し、内臓の負担を軽減できます。
- ゆっくりよく噛んで食べる:消化吸収を助け、胃腸への負担を減らします。
食生活の改善は、内臓の機能をサポートし、体全体のエネルギーレベルを高めるための重要なコツです。
質の良い睡眠を確保するためのコツ
内臓の回復には、質の良い睡眠が不可欠です。以下のコツを実践して、睡眠の質を高めましょう。
- 規則正しい睡眠リズム:毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計が整い、自然な眠気を促します。
- 寝る前のリラックス:入浴、軽いストレッチ、読書など、心身をリラックスさせる習慣を取り入れましょう。
- 寝室環境の整備:寝室は暗く静かで、適切な温度・湿度に保つことが大切です。
- カフェイン・アルコールを控える:特に寝る前のカフェインやアルコールは、睡眠を妨げる原因となります。
- 寝る前のスマホ・PC使用を避ける:ブルーライトは睡眠ホルモンの分泌を抑制するため、寝る2時間前からは使用を控えましょう。
質の良い睡眠は、内臓の修復と疲労回復を促し、日中の眠気を軽減するために非常に効果的です。
適度な運動で血行促進とストレス解消
適度な運動は、全身の血行を促進し、内臓の働きを活性化させます。また、ストレス解消にも繋がり、睡眠の質を向上させる効果も期待できます。
- ウォーキングや軽いジョギング:毎日30分程度のウォーキングは、手軽に始められる運動です。
- ストレッチやヨガ:体の柔軟性を高め、リラックス効果も得られます。
- 無理のない範囲で継続する:急に激しい運動をする必要はありません。自分のペースで、楽しみながら続けられる運動を見つけましょう。
運動は、内臓の機能向上だけでなく、精神的な健康にも良い影響を与え、全体的な体調を整える助けとなります。
ストレスマネジメントとリラックス方法
ストレスは内臓に大きな負担をかけ、眠気を引き起こす原因の一つです。ストレスを上手に管理し、リラックスする時間を持つことが大切です。
- 趣味や好きなことに没頭する:気分転換になり、ストレスを軽減できます。
- 深呼吸や瞑想:自律神経のバランスを整え、リラックス効果を高めます。
- アロマテラピー:心地よい香りは、心身を落ち着かせ、安眠を促します。
- デジタルデトックス:情報過多な現代において、意識的にデジタル機器から離れる時間を作ることも有効です。
ストレスを溜め込まず、自分に合ったリラックス方法を見つけることが、内臓の負担を軽減し、健やかな毎日を送るための鍵となります。
こんな症状があったら要注意!医療機関を受診する目安

「寝ても寝ても眠い」という状態が続く場合、単なる疲れや生活習慣の乱れだけでなく、何らかの病気が隠れている可能性も考えられます。特に、以下のような症状が伴う場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、専門医の診断を受けることを強くおすすめします。
専門医に相談すべき症状
日中の強い眠気に加えて、以下のような症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- 強い疲労感や倦怠感が続く:休息を取っても改善しない、全身のだるさが慢性的に続く場合。
- 気分の落ち込みや意欲の低下:以前は楽しかったことに関心が持てない、やる気が出ない、集中力が続かないなどの精神的な症状。
- 体重の変化:特に原因不明の体重増加や減少。
- むくみや寒がり:特に顔や手足のむくみ、他の人より寒がりだと感じる場合。
- 動悸や息切れ、めまい:軽い運動でも動悸や息切れがする、立ちくらみやめまいが頻繁に起こる。
- いびきや睡眠中の呼吸停止:家族からいびきや呼吸が止まっていることを指摘された場合。
- 食後の強い眠気や甘いものへの渇望:食後に耐えられないほどの眠気に襲われる、甘いものが無性に食べたくなる。
- 手足のしびれやむずむず感:夜間に足がむずむずして眠れない、手足にしびれがある。
- 日常生活に支障が出ている:仕事や学業に集中できない、居眠りをしてしまう、事故を起こしそうになるなど。
これらの症状は、貧血、甲状腺機能低下症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、副腎疲労、うつ病など、さまざまな病気のサインである可能性があります。 早期に原因を特定し、適切な治療を受けることが、症状の改善と健康な生活を取り戻すための大切な一歩です。
受診の際に伝えるべきこと
医療機関を受診する際は、以下の情報を整理して医師に伝えることで、スムーズな診断に繋がります。
- いつから、どのような眠気があるか:日中、夜間、食後など、眠気を感じる具体的な状況。
- 眠気以外の症状:上記で挙げたような、だるさ、むくみ、気分の落ち込みなど、気になる症状全て。
- 睡眠時間や睡眠の質:普段の睡眠時間、寝つき、夜中に目が覚める回数、熟睡感の有無。
- 生活習慣:食生活、運動習慣、飲酒・喫煙の有無、ストレスの状況。
- 服用中の薬や既往歴:現在服用している薬や、過去にかかった病気。
- 家族の病歴:家族に同じような症状や病気の人がいるか。
これらの情報は、医師が正確な診断を下し、適切な治療方針を決定するための重要な手助けとなります。遠慮せずに、気になることは全て医師に相談しましょう。
よくある質問

寝ても寝ても眠いのは病気ですか?
寝ても寝ても眠い状態が続く場合、単なる睡眠不足だけでなく、病気が原因である可能性も十分にあります。例えば、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能低下症、貧血、糖尿病、うつ病、過眠症などが挙げられます。 自己判断せずに、症状が続く場合は医療機関を受診して原因を特定することが大切です。
内臓の疲れは自分で改善できますか?
内臓の疲れは、食生活の見直し、質の良い睡眠の確保、適度な運動、ストレスマネジメントといった生活習慣の改善によって、ある程度は自分で和らげることが可能です。 しかし、症状が重い場合や、改善が見られない場合は、病気が隠れている可能性もあるため、専門医に相談することが重要です。
どんな検査を受ければ良いですか?
「寝ても寝ても眠い」原因を探るためには、問診や身体診察に加え、血液検査が一般的に行われます。血液検査では、貧血の有無、甲状腺ホルモンの値、血糖値、肝機能、腎機能などを調べることが可能です。 睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、睡眠ポリグラフ検査などの専門的な検査が必要になることもあります。 医師が症状に応じて必要な検査を提案してくれます。
漢方薬は効果がありますか?
漢方薬は、体全体のバランスを整えることを目的としており、個人の体質や症状に合わせて処方されます。内臓の疲れや自律神経の乱れからくる眠気に対して、効果が期待できる場合もあります。しかし、自己判断での使用は避け、必ず漢方に詳しい医師や薬剤師に相談し、適切な処方を受けるようにしましょう。
眠気覚ましにコーヒーを飲んでも良いですか?
コーヒーに含まれるカフェインは一時的に眠気を覚ます効果がありますが、根本的な解決にはなりません。 過剰な摂取は、かえって睡眠の質を低下させたり、自律神経の乱れを引き起こしたりする可能性があります。 特に、夕方以降の摂取は控え、日中の眠気対策としては、仮眠を取る、軽い運動をする、気分転換をするなど、他の方法を試すことをおすすめします。
まとめ
- 「寝ても寝ても眠い」状態は、単なる睡眠不足ではない可能性がある。
- 睡眠の質低下、生活習慣の乱れ、ストレスが一般的な原因となる。
- 内臓の不調が隠れた原因となることも多く、特に注意が必要。
- 肝臓の疲労は解毒・代謝機能の低下を招き、全身のだるさに繋がる。
- 腎臓の機能低下は老廃物蓄積や倦怠感を引き起こす。
- 甲状腺機能低下症は代謝を下げ、強い眠気やむくみなどの症状を伴う。
- 副腎疲労はストレスホルモン分泌の低下により、朝起きられないなどの症状が出る。
- 腸内環境の乱れはセロトニン生成に影響し、睡眠の質を低下させる。
- 貧血は酸素供給不足で脳の活動を低下させ、眠気を引き起こす。
- 糖尿病は血糖値の変動により、食後の強い眠気の原因となる。
- 食生活の見直しで内臓の負担を減らし、栄養バランスを整える。
- 質の良い睡眠を確保するため、規則正しいリズムと環境整備が大切。
- 適度な運動は血行促進とストレス解消に役立つ。
- ストレスマネジメントで心身のリラックスを促す。
- 強い疲労感、気分の落ち込み、むくみなどがあれば医療機関を受診する。
- 受診時は症状や生活習慣、既往歴などを具体的に伝える。
