鮮やかな体色が魅力のネオンテトラと、水槽の掃除役として人気の高いエビ。この二つの生き物を同じ水槽で飼育したいと考えるアクアリストは少なくありません。
しかし、「ネオンテトラがエビを食べてしまうのでは?」「水質は合うのだろうか?」といった不安を抱える方もいるでしょう。本記事では、ネオンテトラとエビの混泳を成功させるための具体的な方法や、注意すべき点について詳しく解説します。あなたの水槽で、ネオンテトラとエビが平和に共存できる美しいアクアリウムを実現するための手助けとなれば幸いです。
ネオンテトラとエビの混泳は本当にできる?基本を知ろう

ネオンテトラとエビの混泳は、条件を整えれば十分に楽しめます。しかし、何も知らずに始めてしまうと、思わぬトラブルに見舞われることもあります。まずは、混泳が難しいと言われる理由と、成功させるための大前提を理解しましょう。
混泳が難しいと言われる理由とネオンテトラの習性
ネオンテトラは一般的に温和な性格の魚として知られていますが、実は雑食性です。自分の口に入る大きさのものは何でも食べてしまう習性があります。このため、特に体の小さな稚エビは、ネオンテトラにとって格好の餌となってしまうリスクがあるのです。
また、ネオンテトラは臆病な一面も持ち合わせています。気性の荒い魚や、自分よりはるかに大きな魚が同じ水槽にいると、ストレスを感じて隠れてしまうことがあります。エビの種類によっては、ネオンテトラにストレスを与える可能性も考慮に入れる必要があります。
混泳を成功させるための大前提
ネオンテトラとエビの混泳を成功させるには、いくつかの重要な前提があります。まず、最も大切なのは、ネオンテトラがエビを捕食するリスクを最小限に抑えることです。これは、エビのサイズ選びや隠れ家の設置で大きく変わります。
次に、両方の生体にとって快適な水質と水温を維持することです。ネオンテトラは弱酸性を好む傾向がありますが、エビの種類によっては中性付近を好むものもいます。両者にとって無理のない範囲で、安定した環境を整えることが大切です。
混泳におすすめのエビの種類と選び方

ネオンテトラとの混泳を考える際、最も重要なのがエビの種類選びです。エビの大きさや性質によって、混泳の難易度が大きく変わってきます。ここでは、混泳におすすめのエビと、避けるべきエビについて解説します。
ヤマトヌマエビとの混泳:コケ取りと安全性のバランス
ヤマトヌマエビは、ネオンテトラとの混泳において最もおすすめできるエビの一つです。その理由は、成体の体長が4~5cmとネオンテトラ(最大約4cm)よりも一回り大きく、ネオンテトラの口に入りにくいサイズであるため、捕食される心配が少ないからです。
また、ヤマトヌマエビは非常に優れたコケ取り能力を持っており、水槽のメンテナンスにも貢献してくれます。ただし、空腹状態が続くと、稀にネオンテトラにちょっかいを出す可能性もゼロではありません。エビにも十分な餌が行き渡るように注意しましょう。
ミナミヌマエビ・レッドチェリーシュリンプとの混泳:繁殖と稚エビの課題
ミナミヌマエビやレッドチェリーシュリンプは、その可愛らしい見た目と繁殖のしやすさから人気のエビです。ネオンテトラとの混泳も可能とされていますが、ヤマトヌマエビに比べて注意が必要です。
これらのエビは体長が2~3cmと小さく、特に稚エビはネオンテトラに食べられてしまうリスクが非常に高いです。 混泳水槽で繁殖を狙う場合は、稚エビが隠れられる場所を豊富に用意するなどの工夫が不可欠となります。
避けるべきエビの種類と注意点
ネオンテトラとの混泳には不向きなエビも存在します。例えば、大型になるテナガエビの仲間や、攻撃的な性質を持つエビは避けるべきです。ネオンテトラがストレスを感じたり、最悪の場合、襲われてしまう可能性もあります。
また、ビーシュリンプなど、非常にデリケートな水質を好むエビは、ネオンテトラとの水質調整が難しくなることがあります。混泳を考える際は、エビの性質や適正水質をよく調べてから導入するようにしましょう。
ネオンテトラとエビの混泳水槽を作るコツ

ネオンテトラとエビが快適に過ごせる混泳水槽を作るには、いくつかのコツがあります。水槽の環境を適切に整えることで、両生体のストレスを減らし、トラブルの発生を防ぐことができます。
水槽サイズと隠れ家の重要性
混泳水槽では、水槽のサイズが非常に重要です。ネオンテトラは群れで泳ぐ習性があり、エビも隠れ家を必要とします。目安として、ネオンテトラを複数匹飼育し、エビも入れるのであれば、45cm以上の水槽がおすすめです。
特に、水草や流木、岩などで隠れ家を豊富に作ってあげることが大切です。これにより、エビはネオンテトラの目から逃れることができ、特に脱皮時や稚エビの生存率を高めることにつながります。ウィローモスなどの茂みは、エビにとって絶好の隠れ家となります。
水質と水温の管理:両生体にとって快適な環境
ネオンテトラは弱酸性の水質を好み、適正水温は22~27℃とされています。 一方、ヤマトヌマエビやミナミヌマエビも、この範囲の水温であれば活発に活動できます。
pHは弱酸性から中性(pH6.0~7.0程度)を目標にすると、両生体にとって快適な環境を作りやすいでしょう。水質の急激な変化はストレスの原因となるため、定期的な水換えと水質チェックを欠かさないことが大切です。
餌やりの工夫:捕食リスクを減らすために
ネオンテトラがエビを捕食するリスクを減らすためには、餌やりの工夫が欠かせません。ネオンテトラに十分な量の餌を与えることで、エビへの関心を薄れさせることができます。
また、エビにも専用のタブレット状の餌を与えるなどして、栄養が行き渡るように配慮しましょう。餌が水槽全体に行き渡るように、複数箇所に分けて与えるのも良い方法です。ネオンテトラの食べ残しをエビが食べることもありますが、それだけに頼らず、エビの餌もきちんと与えることが重要です。
混泳中のトラブルと解決策

どんなに準備をしても、混泳中に予期せぬトラブルが起こる可能性はあります。ここでは、よくあるトラブルとその解決策について見ていきましょう。
エビが食べられてしまう場合の対策
「エビがいつの間にか減っている」「稚エビが全く見当たらない」といった場合、ネオンテトラに食べられてしまっている可能性が高いです。この場合、まずは隠れ家が十分に足りているかを確認しましょう。水草の量を増やしたり、土管やシェルターを追加したりすることで、エビが身を隠せる場所を増やすことができます。
また、ネオンテトラへの餌の量を少し増やし、空腹状態を避けることも有効です。もし、どうしても稚エビを育てたい場合は、一時的に別の水槽に隔離することも検討しましょう。
ネオンテトラがストレスを感じるサインと対処法
ネオンテトラが水槽の隅に隠れてばかりいる、体色が薄い、群れで泳がなくなったなどのサインが見られたら、ストレスを感じている可能性があります。
原因としては、エビ以外の混泳魚との相性が悪い、水流が強すぎる、水質が合っていないなどが考えられます。まずは水質をチェックし、問題があれば改善しましょう。また、水流が強すぎる場合は、フィルターの調整や水流を弱める工夫をしてください。もし、他の魚との相性が原因であれば、隔離を検討することも必要です。
繁殖を考える場合の特別な注意点
ミナミヌマエビやレッドチェリーシュリンプは水槽内で繁殖しやすいエビですが、ネオンテトラとの混泳水槽での繁殖は非常に難しいのが実情です。
ネオンテトラは稚エビを積極的に捕食するため、ほとんどの稚エビが成長する前に食べられてしまいます。もしエビの繁殖を本格的に楽しみたいのであれば、エビ専用の繁殖水槽を別に用意することをおすすめします。混泳水槽で繁殖を試みる場合は、前述の通り、隠れ家を徹底的に増やすことが唯一の方法となります。
よくある質問

ネオンテトラとエビの混泳に関して、よくある質問とその回答をまとめました。
- ネオンテトラはエビの稚エビを食べますか?
- 混泳させるエビの数はどのくらいが適切ですか?
- ネオンテトラとエビ以外に混泳できる生体はいますか?
- 混泳水槽での水換えのコツはありますか?
- エビが脱皮した時にネオンテトラに襲われませんか?
ネオンテトラはエビの稚エビを食べますか?
はい、ネオンテトラはエビの稚エビを食べる可能性が非常に高いです。ネオンテトラは雑食性で、口に入るサイズのものは何でも捕食する習性があるため、体の小さな稚エビは格好の餌となってしまいます。
混泳させるエビの数はどのくらいが適切ですか?
水槽のサイズや隠れ家の量にもよりますが、一般的にネオンテトラが群泳できる5~10匹以上の数に対し、エビも同程度かそれ以上の数を導入すると良いでしょう。隠れ家が豊富であれば、エビの数を増やしても問題ありません。
ネオンテトラとエビ以外に混泳できる生体はいますか?
はい、ネオンテトラは温和な性格のため、多くの小型熱帯魚と混泳が可能です。コリドラス、オトシンクルス、ラスボラ、グッピー、プラティ、メダカなどが良い相性を持つとされています。ただし、ネオンテトラを捕食するような大型魚や攻撃的な魚は避けるべきです。
混泳水槽での水換えのコツはありますか?
混泳水槽での水換えは、一般的な熱帯魚水槽と同様に、週に1回、水量の3分の1程度を目安に行いましょう。急激な水質変化は生体にストレスを与えるため、ゆっくりと新しい水を入れることが大切です。水換えの際は、水温とpHをできるだけ合わせるように心がけてください。
エビが脱皮した時にネオンテトラに襲われませんか?
エビは脱皮直後、体が柔らかく無防備な状態になるため、他の生体に襲われるリスクが高まります。この時期は特に隠れ家が重要になります。水草の茂みや流木の隙間など、エビが安全に身を隠せる場所を十分に用意してあげましょう。
まとめ
- ネオンテトラとエビの混泳は、適切な環境を整えれば可能です。
- ネオンテトラは雑食性で、稚エビを捕食するリスクがあります。
- 混泳には、ネオンテトラの口に入らないサイズのヤマトヌマエビがおすすめです。
- ミナミヌマエビやレッドチェリーシュリンプは稚エビが食べられやすいです。
- 水槽内には水草や流木などで隠れ家を豊富に用意しましょう。
- 水槽サイズは45cm以上が望ましいです。
- 水質は弱酸性から中性、水温は22~27℃が適しています。
- ネオンテトラに十分な餌を与え、エビ用の餌も用意しましょう。
- エビが食べられる、ネオンテトラがストレスを感じるなどのトラブルに注意が必要です。
- エビの繁殖を優先するなら、専用水槽の用意を検討してください。
- 脱皮直後のエビは無防備なので、隠れ家が特に重要です。
- ネオンテトラは温和な性格で、多くの小型熱帯魚と混泳できます。
- 定期的な水換えで水質を安定させることが大切です。
- 急激な環境変化は避け、ゆっくりと調整してください。
- 両生体にとって快適な環境作りが混泳成功のコツです。
