長年続けてきた年賀状のやり取りは、日本の美しい文化の一つです。しかし、年齢を重ねるにつれて、年賀状の準備や作成が負担に感じる方も少なくありません。特に80代を迎え、そろそろ年賀状を辞めたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「年賀状じまい」は、これまでの感謝を伝えつつ、年賀状のやり取りを終えるための大切な挨拶状です。どのように伝えれば失礼なく、そしてご自身の気持ちを相手に届けられるのか、悩んでしまうこともありますよね。本記事では、80代の方に寄り添い、年賀状じまいの適切な進め方から、心温まる文例までを徹底的に解説します。
大切な方々とのご縁を大切にしながら、新たな年の迎え方を考えるための一助となれば幸いです。
80代の年賀状じまいとは?なぜ今考えるべきなのか

年賀状じまいとは、これまで続けてきた年賀状のやり取りを、感謝の気持ちとともに終えることを相手に伝える挨拶状のことです。特に80代という年齢を迎え、体力的な負担や精神的な負担を感じる方が増える中で、年賀状じまいは多くの方にとって現実的な選択肢となっています。
この決断は、決して相手との関係を断ち切るものではなく、むしろこれまでの感謝を丁寧に伝え、今後の新たな交流の形を模索するきっかけにもなり得ます。ご自身の心身の健康を第一に考え、無理なく過ごすための大切な一歩となるでしょう。
年賀状じまいが高齢者に選ばれる理由
年賀状じまいが高齢者の方々に選ばれる背景には、いくつかの理由があります。まず、年賀状の準備には、住所録の確認、デザイン選び、メッセージの記入、投函といった多くの手間がかかります。特に高齢になると、視力の低下や手の震えなどで文字を書くことが困難になったり、郵便局へ足を運ぶのが億劫になったりすることも珍しくありません。
また、毎年同じような内容になってしまうことへの申し訳なさや、相手に負担をかけたくないという気持ちから、年賀状じまいを検討する方もいらっしゃいます。さらに、終活の一環として身の回りの整理を進める中で、年賀状のやり取りを見直すという側面もあります。これらの理由から、年賀状じまいは、ご自身の生活をより豊かにするための賢明な選択肢として注目されているのです。
年賀状じまいをすることで得られるメリット
年賀状じまいをすることで得られるメリットは多岐にわたります。最も大きなメリットは、やはり精神的・肉体的な負担の軽減です。年末年始の忙しい時期に、年賀状の準備に追われるストレスから解放されることで、より穏やかな気持ちで新年を迎えることができるでしょう。
また、年賀状じまいをきっかけに、これまで年賀状でしか交流がなかった方と、電話や手紙、あるいは直接会うといった、より深いコミュニケーションの形に移行できる可能性もあります。形式的なやり取りから一歩踏み出し、本当に大切な人との関係を再構築する良い機会となるかもしれません。さらに、終活の一環として年賀状の整理を行うことで、ご自身の人生を振り返り、これまでのご縁に改めて感謝する時間を持つこともできます。
年賀状じまいは、単なる習慣の終わりではなく、新たな生活の始まりを意味する前向きな行動と言えるでしょう。
80代が年賀状じまいをする際の準備と進め方

80代の方が年賀状じまいを進める際には、いくつかの準備と段階を踏むことが大切です。まず、ご自身の気持ちを整理し、なぜ年賀状じまいをするのかを明確にすることから始めましょう。その上で、誰に、いつ、どのような方法で伝えるかを具体的に計画していきます。
特に、長年お付き合いのある方々への配慮は欠かせません。失礼なく、そして感謝の気持ちが伝わるように、丁寧な進め方を心がけることが重要です。ご家族に相談し、協力を得ることも、スムーズに進めるための大切なコツとなります。
年賀状じまいを伝える相手の選定方法
年賀状じまいを伝える相手の選定は、非常に重要な進め方の一つです。基本的には、これまで年賀状をやり取りしてきた全ての方に送るのが丁寧な方法とされています。しかし、関係性によっては、個別に判断することも必要です。
例えば、毎年欠かさず年賀状をくださる方、親しい友人や親戚、仕事関係で長くお付き合いのある方々には、必ず送るべきでしょう。一方で、数年に一度しかやり取りがない方や、すでに疎遠になっている方については、送らないという選択肢も考えられます。この選定作業は、ご自身の住所録を見ながら、一人ひとりの顔を思い浮かべ、これまでの感謝の気持ちを込めて丁寧に行うことが大切です。
迷った場合は、少しでもお世話になったと感じる方には送る、という基準で考えると良いでしょう。
年賀状じまいを送る時期とタイミング
年賀状じまいを送る時期とタイミングは、相手への配慮を示す上で非常に重要です。一般的には、年賀状のやり取りが落ち着いた年明けの松の内(1月7日または15日)以降、遅くとも2月頃までに送るのが丁寧とされています。
この時期であれば、相手も年賀状の準備を終えており、落ち着いてメッセージを受け取ることができます。また、年賀状の準備が始まる前の秋頃(10月~11月頃)に送るという方法もあります。これは、相手に「今年は年賀状を出さなくて良い」ということを早めに伝え、年賀状作成の負担をかけないための配慮です。どちらの時期に送るにしても、相手が不快に感じないよう、十分な配慮と丁寧な言葉遣いを心がけることが大切です。
ご自身の状況や相手との関係性を考慮して、最適なタイミングを選びましょう。
はがきの選び方と手書きの重要性
年賀状じまいのはがき選びも、相手への気持ちを伝える上で大切な要素です。年賀状じまいには、年賀はがきではなく、一般的な郵便はがき(通常はがき)や私製はがきを使用します。デザインは、派手すぎず、落ち着いた色合いやシンプルなものが好ましいでしょう。
特に、季節の花や風景などをあしらった上品なデザインは、感謝の気持ちを伝えるのに適しています。そして何よりも重要なのが、手書きのメッセージです。印刷された文字だけではなく、一言でも良いので、ご自身の言葉で感謝の気持ちや健康を気遣う言葉を添えることで、より温かい気持ちが相手に伝わります。
80代の方にとっては、文字を書くことが負担になる場合もありますが、可能な範囲で心を込めて手書きすることで、相手への敬意と真摯な気持ちを示すことができるでしょう。もし手書きが難しい場合は、ご家族に代筆をお願いするのも一つの方法です。
【状況別】80代向け年賀状じまい文例集

年賀状じまいの文面は、送る相手との関係性や、ご自身の状況によって適切な表現が異なります。ここでは、80代の方々が年賀状じまいをする際に役立つ、様々な状況に応じた文例をご紹介します。それぞれの文例を参考に、ご自身の言葉を加えて、心温まるメッセージを作成してください。
大切なのは、これまでの感謝の気持ちと、今後もご縁を大切にしたいという思いを伝えることです。句読点を使用しない、忌み言葉を避けるなど、年賀状の慣習に倣った表現を心がけましょう。
一般的な年賀状じまい文例
長年お付き合いのある方々へ、丁寧かつ失礼なく年賀状じまいを伝えるための一般的な文例です。ご自身の年齢や健康状態に触れつつ、これまでの感謝を伝える内容が中心となります。
- 拝啓
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
さて私こと
この度八十歳を迎え
寄る年波には勝てず
筆を執るのが億劫になってまいりました
つきましては誠に恐縮ではございますが
本年をもちまして年賀状のご挨拶を
失礼させていただきたく存じます
長年にわたり温かいお心遣いをいただき
心より感謝申し上げます
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます
今後とも変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます
敬具
令和〇年〇月
この文例は、ご自身の年齢を理由にしつつ、相手への感謝と今後の健康を願う気持ちを丁寧に表現しています。具体的な年齢を記載することで、相手も状況を理解しやすくなるでしょう。
親しい友人・知人向けの文例
親しい友人や知人には、もう少し親しみを込めた言葉遣いで、年賀状じまいを伝えることができます。これまでの思い出に触れる一文を加えるのも良いでしょう。
- 拝啓
皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます
さて私こと
この度八十歳を迎え
寄る年波には勝てず
年賀状の準備が負担になってまいりました
つきましては誠に恐縮ではございますが
本年をもちまして年賀状のご挨拶を
失礼させていただきたく存じます
長年にわたり楽しい年賀状のやり取りをありがとうございました
皆様とのご縁に心より感謝申し上げます
今後とも変わらぬお付き合いをいただければ幸いです
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます
敬具
令和〇年〇月
親しい間柄であれば、少しだけ個人的な感情を交えつつ、感謝の気持ちを伝えると、より心温まるメッセージになります。今後も関係を続けたいという意思を伝えることも大切です。
親戚向けの丁寧な文例
親戚の方々には、家族としてのつながりを意識した、より丁寧な文面が求められます。ご自身の健康状態を伝えつつ、今後も変わらぬお付き合いをお願いする内容が良いでしょう。
- 拝啓
皆様には益々ご清祥のこととお慶び申し上げます
さて私こと
この度八十歳を迎え
寄る年波には勝てず
年賀状の筆を執るのが難しくなってまいりました
つきましては誠に恐縮ではございますが
本年をもちまして年賀状のご挨拶を
失礼させていただきたく存じます
長年にわたり温かいお心遣いをいただき
心より感謝申し上げます
今後とも家族として変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます
敬具
令和〇年〇月
親戚向けの文例では、家族としての絆を大切にする気持ちを伝えることが重要です。今後も連絡を取り合いたいという意向をさりげなく示すのも良いでしょう。
健康上の理由を伝える文例
健康上の理由で年賀状じまいをする場合は、その旨を簡潔に伝えつつ、相手への配慮を示す文面が適切です。具体的な病名などを記載する必要はありません。
- 拝啓
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
さて私こと
この度八十歳を迎え
近年体調を崩しがちになり
年賀状の準備が負担になってまいりました
つきましては誠に恐縮ではございますが
本年をもちまして年賀状のご挨拶を
失礼させていただきたく存じます
長年にわたり温かいお心遣いをいただき
心より感謝申し上げます
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます
今後とも変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます
敬具
令和〇年〇月
健康上の理由を伝える際は、具体的な病状に深く触れず、簡潔に「体調を崩しがち」といった表現を用いるのが良いでしょう。相手に心配をかけすぎない配慮が大切です。
喪中の場合の年賀状じまい文例
喪中の期間中に年賀状じまいを検討している場合は、喪中である旨と年賀状じまいを兼ねて伝えることができます。この場合、喪中はがきとして送るのが一般的です。
- 拝啓
この度〇月に〇〇(続柄)〇〇(氏名)が永眠いたしました
つきましては年末年始のご挨拶を
ご遠慮申し上げます
また私こと
この度八十歳を迎え
寄る年波には勝てず
年賀状の準備が負担になってまいりました
誠に恐縮ではございますが
本年をもちまして年賀状のご挨拶を
失礼させていただきたく存じます
長年にわたり温かいお心遣いをいただき
心より感謝申し上げます
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます
敬具
令和〇年〇月
喪中の年賀状じまいでは、まず喪中である旨を伝え、その後に年賀状じまいの意向を続けます。二つの目的を兼ねることで、相手への負担を減らすことができます。
年賀状じまい後の対応と心構え

年賀状じまいを送った後も、いくつかの対応が必要になる場合があります。特に、年賀状じまいを送ったにもかかわらず、相手から年賀状が届いた場合の対応は、失礼のないように丁寧に行うことが大切です。
また、年賀状じまいは、これまでの習慣を終えることでもありますから、ご自身の気持ちの整理も重要になります。今後も大切にしたいご縁については、年賀状以外の方法で交流を続ける心構えを持つことが、豊かな人間関係を維持するためのコツです。
年賀状じまい後に届いた年賀状への返信方法
年賀状じまいを送ったにもかかわらず、相手から年賀状が届くことは珍しくありません。これは、相手が年賀状じまいの連絡を見落としていたり、すでに年賀状を投函してしまっていたりする可能性があるためです。このような場合でも、相手の気持ちを尊重し、丁寧に対応することが大切です。
返信は、年賀状ではなく「寒中見舞い」として送るのが一般的です。寒中見舞いは、松の内(1月7日または15日)が明けてから立春(2月4日頃)までに送ります。文面には、年賀状をいただいたことへの感謝と、年賀状じまいをした旨を改めて伝え、今後も変わらぬお付き合いをお願いする言葉を添えましょう。この対応は、相手への配慮と誠実な気持ちを示す大切な機会となります。
相手への配慮を忘れないためのコツ
年賀状じまいをする上で、相手への配慮は常に忘れてはならない大切な要素です。長年のご縁を大切にする気持ちを伝えるために、いくつかのコツがあります。
まず、手書きの一言を添えることです。印刷された文面だけでなく、ご自身の言葉で「いつもありがとうございます」「お元気でいらしてくださいね」といったメッセージを加えることで、より温かい気持ちが伝わります。次に、年賀状じまいを送るタイミングです。相手が年賀状の準備を始める前や、年賀状のやり取りが落ち着いた時期を選ぶことで、相手に余計な負担をかけずに済みます。
また、年賀状じまい後も、電話や手紙、あるいは直接会うなど、年賀状以外の方法で交流を続ける意思を示すことも大切です。これにより、年賀状のやり取りは終わっても、ご縁は途切れないことを相手に伝えることができます。これらの配慮を心がけることで、年賀状じまいをしても、良好な人間関係を維持できるでしょう。
よくある質問
- 年賀状じまいはがきはいつ出すのが良いですか?
- 年賀状じまいの文面で使ってはいけない言葉はありますか?
- 年賀状じまいを出す相手はどこまでですか?
- 年賀状じまいを受け取ったらどうすればいいですか?
- 年賀状じまいを出す年齢に決まりはありますか?
年賀状じまいはがきはいつ出すのが良いですか?
年賀状じまいはがきは、一般的に年賀状のやり取りが落ち着いた年明けの松の内(1月7日または15日)以降、遅くとも2月頃までに送るのが丁寧とされています。また、相手に年賀状の準備をさせない配慮として、年賀状の準備が始まる前の秋頃(10月~11月頃)に送るという方法もあります。ご自身の状況や相手との関係性を考慮して、最適なタイミングを選びましょう。
年賀状じまいの文面で使ってはいけない言葉はありますか?
年賀状じまいの文面では、年賀状の慣習に倣い、句読点(、。)は使用しないのが一般的です。また、「終わる」「切れる」「絶える」など、関係の終わりを直接的に連想させる忌み言葉は避けるようにしましょう。代わりに、「失礼させていただく」「ご辞退申し上げる」といった丁寧な表現を用いることが推奨されます。
年賀状じまいを出す相手はどこまでですか?
年賀状じまいを出す相手は、これまで年賀状をやり取りしてきた全ての方に送るのが基本です。親しい友人や親戚、仕事関係で長くお付き合いのある方々はもちろん、毎年欠かさず年賀状をくださる方にも必ず送りましょう。ただし、すでに疎遠になっている方や、数年に一度しかやり取りがない方については、個別に判断することも可能です。
年賀状じまいを受け取ったらどうすればいいですか?
年賀状じまいを受け取った場合は、相手の意向を尊重し、翌年からは年賀状を送るのを控えましょう。特に返信の必要はありませんが、もし相手への感謝や労いの気持ちを伝えたい場合は、年明けに寒中見舞いを送るという方法もあります。その際も、年賀状じまいの意向を理解している旨を簡潔に添えると良いでしょう。
年賀状じまいを出す年齢に決まりはありますか?
年賀状じまいを出す年齢に明確な決まりはありません。ご自身の体調や生活状況、年賀状の準備が負担になったと感じた時が、年賀状じまいを検討する適切なタイミングと言えます。特に80代という年齢は、体力的な負担が増える時期であるため、年賀状じまいを考える方が多くいらっしゃいます。ご自身のペースで、無理なく決断することが大切です。
まとめ
- 年賀状じまいは、長年の感謝を伝えつつ年賀状のやり取りを終える挨拶状です。
- 80代で年賀状じまいを考えるのは、体力や精神的な負担軽減が主な理由です。
- 年賀状じまいにより、年末年始のストレスから解放され、穏やかな新年を迎えられます。
- 年賀状じまいは、これまでのご縁に感謝し、新たな交流の形を模索する機会です。
- 伝える相手は、これまで年賀状をやり取りしてきた全ての方に送るのが丁寧です。
- 送る時期は、年明けの松の内以降、または年賀状準備前の秋頃が適切です。
- はがきは通常はがきや私製はがきを選び、手書きの一言を添えるのが良いでしょう。
- 文例は、一般的なもの、親しい友人向け、親戚向け、健康上の理由別などがあります。
- 喪中の場合は、喪中はがきと兼ねて年賀状じまいを伝えることができます。
- 年賀状じまい後、相手から年賀状が届いたら寒中見舞いで返信しましょう。
- 寒中見舞いでは、年賀状への感謝と年賀状じまいの意向を改めて伝えます。
- 文面では句読点を使わず、「終わる」などの忌み言葉は避けるのが慣例です。
- 年賀状じまいに年齢の決まりはなく、ご自身の負担を感じた時が適切なタイミングです。
- ご家族に相談し、協力を得ることもスムーズに進めるための大切なコツです。
- 年賀状じまい後も、年賀状以外の方法で交流を続ける心構えが大切です。
