夜、ベッドに入って「さあ寝よう」とした途端、心臓がドキドキと速く打ち始めたり、胸が締め付けられるような息苦しさを感じたりして、不安に襲われた経験はありませんか？このような症状は、単なる疲れやストレスのせいだと見過ごされがちですが、実は様々な身体的・精神的な原因が隠されている可能性があります。本記事では、寝ようとすると動悸息苦しいと感じる主な原因から、病院を受診すべきケース、そしてご自宅でできる効果的な対処法まで、詳しく解説します。あなたの夜の不安を解消し、安眠を取り戻すための一助となれば幸いです。
寝ようとすると動悸息苦しいと感じる主な原因
寝ようとすると動悸や息苦しさを感じるのは、非常に辛いものです。その原因は一つではなく、精神的なものから身体的な病気まで多岐にわたります。ここでは、それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
精神的な要因と自律神経の乱れ
心臓や呼吸器に異常がないにもかかわらず、動悸や息苦しさを感じる場合、精神的な要因や自律神経の乱れが深く関わっていることがあります。特に、夜間は副交感神経が優位になりリラックスするべき時間ですが、ストレスや不安によって交感神経が過剰に働き、心拍数や呼吸が乱れることがあります。
ストレスや不安、パニック障害
日中のストレスや悩み、将来への不安などが蓄積されると、寝る前にその感情が強まり、動悸や息苦しさとして現れることがあります。また、パニック障害では、突然激しい動悸や呼吸困難、めまいなどの発作が起こり、強い不安感や恐怖感を伴うのが特徴です。 「また発作が起きるのではないか」という予期不安から、寝つきが悪くなることも少なくありません。
自律神経失調症との関連性
自律神経は、心拍や呼吸、体温調節など、私たちが意識しなくても体の機能を調整している神経です。ストレスや不規則な生活習慣、睡眠不足などが原因で、この自律神経のバランスが崩れると、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなります。 その結果、本来リラックスすべき睡眠時に交感神経が優位になり、動悸や息切れ、息苦しさなどの症状を引き起こすことがあります。
身体的な病気が引き起こすケース
動悸や息苦しさは、時に深刻な身体的な病気のサインであることもあります。特に、横になった時に症状が悪化する場合は注意が必要です。
心臓や呼吸器系の疾患
心臓の病気は、寝ようとすると動悸息苦しい症状の代表的な原因の一つです。例えば、心不全では、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなるため、特に横になると肺に血液が滞り、息苦しさが増すことがあります。 また、不整脈（脈が速くなったり、飛んだりする）や虚血性心疾患（狭心症、心筋梗塞など）も動悸や息苦しさを引き起こすことがあります。 呼吸器系の疾患では、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患（COPD）が挙げられます。これらの病気では、気道が狭くなることで呼吸が困難になり、特に夜間や早朝に症状が悪化しやすい傾向があります。
その他の病気（逆流性食道炎、甲状腺機能亢進症など）
意外な病気が動悸や息苦しさの原因となることもあります。逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで胸焼けや喉の違和感を引き起こしますが、食道と気管の神経が関連しているため、息苦しさや咳を伴うことがあります。 特に、食後や横になった時に症状が出やすいのが特徴です。 また、甲状腺機能亢進症（バセドウ病など）では、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、全身の代謝が活発になり、動悸や息切れ、発汗などの症状が現れることがあります。 睡眠時無呼吸症候群も重要な原因の一つです。 睡眠中に呼吸が何度も止まることで、体内の酸素濃度が低下し、心臓に負担がかかるため、動悸や息苦しさ、夜間の覚醒を引き起こします。
動悸や息苦しさが続く時に病院を受診すべき判断基準
寝ようとすると動悸や息苦しさを感じる症状が続く場合、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。特に、以下のような症状が見られる場合は、速やかに専門医の診察を受けるべきです。
緊急性の高い症状と危険なサイン
動悸や息苦しさに加えて、以下の症状が見られる場合は、命に関わる重篤な病気の可能性があるため、直ちに救急外来を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。
- 強い胸の痛みや圧迫感がある場合。特に、左腕、首、顎に痛みが広がる場合は心筋梗塞の可能性があります。
- 冷や汗、顔面蒼白、めまい、失神を伴う場合。
- 呼吸困難が激しく、横になれない、座っていても改善しない場合。
- 足のむくみや急な体重増加がある場合。
- 意識が朦朧とする、呼びかけへの反応が鈍い場合。
これらの症状は、急性心不全、心筋梗塞、重篤な不整脈、肺塞栓症などの緊急性の高い疾患を示唆していることがあります。
何科を受診すべきか：適切な診療科の選び方
動悸や息苦しさの原因は多岐にわたるため、どの診療科を受診すべきか迷うこともあるでしょう。症状に応じて、以下の診療科を検討してください。
- 循環器内科：動悸や息切れ、胸の痛みなど、心臓に関わる症状が疑われる場合。 不整脈や心不全、狭心症などの診断・治療を行います。
- 呼吸器内科：息苦しさ、咳、喘鳴（ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音）など、肺や気管支に関わる症状が疑われる場合。 喘息やCOPD、睡眠時無呼吸症候群などの診断・治療を行います。
- 心療内科・精神科：身体的な検査で異常が見つからず、ストレスや不安、パニック障害などの精神的な要因が強く疑われる場合。
- 消化器内科：胸焼けや胃酸の逆流、喉の違和感など、逆流性食道炎が疑われる場合。
- 内分泌内科：甲状腺機能亢進症など、ホルモンバランスの異常が疑われる場合。
まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうのがスムーズな進め方です。症状を詳しく伝えるために、いつ、どのような状況で、どのくらいの時間症状が続くのかなどを記録しておくと良いでしょう。
診断のための検査と治療の選択肢
病院では、症状の原因を特定するために様々な検査が行われます。主な検査としては、以下のようなものがあります。
- 心電図検査：心臓の電気的な活動を記録し、不整脈や虚血性心疾患の有無を調べます。
- 胸部X線検査：肺や心臓の形、大きさ、肺に水が溜まっていないかなどを確認します。
- 心エコー検査：超音波を使って心臓の動きや弁の状態、ポンプ機能などを詳しく評価します。
- 血液検査：貧血や甲状腺機能、炎症の有無などを調べます。
- ホルター心電図：24時間心電図を記録し、日常生活の中での不整脈の発生状況を把握します。
- 睡眠ポリグラフ検査（PSG）：睡眠中の脳波、呼吸、心拍などを記録し、睡眠時無呼吸症候群の診断に用います。
- 上部消化管内視鏡検査（胃カメラ）：食道や胃の状態を直接観察し、逆流性食道炎の有無や程度を確認します。
診断が確定すれば、それぞれの病気に合わせた治療が開始されます。薬物療法、生活習慣の改善指導、場合によっては手術やカテーテル治療などが検討されます。
寝る前の動悸や息苦しさを和らげる自宅での対処法
病院での治療と並行して、ご自宅でできる対処法や生活習慣の改善も、寝る前の動悸や息苦しさを和らげる上で非常に重要です。日々の少しの工夫が、症状の軽減や安眠につながります。
リラックスを促す習慣とストレス管理
ストレスや不安は、動悸や息苦しさの大きな原因となるため、寝る前に心身をリラックスさせる習慣を取り入れることが大切です。
呼吸法や瞑想の活用
深い呼吸は、副交感神経を優位にし、心身を落ち着かせる効果があります。寝る前に数分間、ゆっくりと深く腹式呼吸を行うことで、心拍数を落ち着かせ、息苦しさを和らげることができます。 また、瞑想やマインドフルネスも、心のざわつきを鎮め、リラックスを促すのに役立ちます。静かな場所で座り、呼吸に意識を集中させる練習をしてみましょう。
入浴やアロマテラピー
就寝の1～2時間前に、ぬるめのお湯（38～40℃程度）にゆっくりと浸かることで、体が温まり、リラックス効果が高まります。 お風呂に好きな香りの入浴剤やアロマオイル（ラベンダーやカモミールなど）を使用するのもおすすめです。香りは脳に直接働きかけ、心身の緊張を和らげる効果が期待できます。
快適な睡眠環境の整備
睡眠環境は、睡眠の質に大きく影響します。動悸や息苦しさを感じにくい、快適な寝室を整えることが重要です。
- 室温と湿度：寝室は、夏は涼しく、冬は暖かく、快適な温度（一般的に20～22℃程度）に保ちましょう。湿度も50～60%程度が理想的です。
- 遮光と静寂：光や騒音は睡眠を妨げます。遮光カーテンを使用したり、耳栓やアイマスクを活用したりして、暗く静かな環境を作りましょう。
- 寝具の工夫：自分に合った枕やマットレスを選ぶことも大切です。特に、横になると息苦しさを感じる場合は、上半身を少し起こした姿勢で寝ると楽になることがあります。 枕を高くしたり、背中にクッションを入れたりして調整してみましょう。
- 換気：寝室の空気を清潔に保つために、定期的な換気を心がけましょう。
食生活の見直しと避けるべき習慣
日々の食生活や習慣も、動悸や息苦しさに影響を与えることがあります。見直すべきポイントをいくつかご紹介します。
- カフェインやアルコールの摂取を控える：カフェインやアルコールは、交感神経を刺激し、心拍数を上げたり、睡眠の質を低下させたりする可能性があります。 特に就寝前の摂取は避けましょう。
- 就寝前の食事を避ける：寝る直前の食事は、胃に負担をかけ、逆流性食道炎の症状を悪化させる可能性があります。 就寝の2～3時間前までには食事を済ませるようにしましょう。
- バランスの取れた食事：栄養バランスの取れた食事は、自律神経の安定にもつながります。特に、ビタミンB群やマグネシウムなどは、神経の働きをサポートすると言われています。
- 適度な運動：日中に適度な運動を行うことは、ストレス解消や睡眠の質の向上に役立ちます。ただし、就寝直前の激しい運動は避け、軽いストレッチなどに留めましょう。
- 禁煙：喫煙は、心臓や肺に大きな負担をかけ、動悸や息苦しさのリスクを高めます。 禁煙は、これらの症状の改善だけでなく、全身の健康にとっても非常に重要です。
よくある質問
- 寝ようとすると動悸がする原因は何ですか？
- 寝ようとすると息苦しくなるのはなぜ？
- 寝る時に動悸がして眠れないのはなぜ？
- 夜中に動悸で目が覚めるのは病気ですか？
- 寝る前に動悸がする時の対処法は？
- 動悸息切れは何科に行けばいい？
- 自律神経失調症で動悸息切れはありますか？
- 寝る時に動悸がする時の薬は？
寝ようとすると動悸がする原因は何ですか？
寝ようとすると動悸がする原因は多岐にわたります。精神的な要因としては、ストレス、不安、パニック障害などが挙げられます。また、自律神経の乱れも大きな原因です。身体的な病気としては、不整脈、心不全、甲状腺機能亢進症、睡眠時無呼吸症候群などが考えられます。
寝ようとすると息苦しくなるのはなぜ？
寝ようとすると息苦しくなるのは、心臓や肺の病気、自律神経の乱れ、精神的な不安などが主な原因です。心不全では横になることで肺に血液が滞り息苦しさが増すことがあります。気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患（COPD）でも気道が狭くなり息苦しさを感じやすくなります。また、逆流性食道炎や睡眠時無呼吸症候群も息苦しさの原因となることがあります。
寝る時に動悸がして眠れないのはなぜ？
寝る時に動悸がして眠れないのは、心臓の病気や自律神経の乱れ、精神的なストレスや不安が原因で、交感神経が優位になりすぎているためです。特に、不安や緊張が強いと、心拍数が上がり、体がリラックスできずに眠りに入ることが難しくなります。
夜中に動悸で目が覚めるのは病気ですか？
夜中に動悸で目が覚める場合、病気が隠れている可能性があります。睡眠時無呼吸症候群による酸素不足、不整脈、心不全、夜間パニック発作、甲状腺機能亢進症などが考えられます。 症状が頻繁に起こる場合や、他の症状を伴う場合は、医療機関を受診して原因を特定することが大切です。
寝る前に動悸がする時の対処法は？
寝る前に動悸がする時の対処法としては、まずリラックスを促すことが重要です。深呼吸や瞑想、ぬるめのお湯での入浴、アロマテラピーなどが有効です。また、カフェインやアルコールの摂取を控え、就寝前の食事を避けることも大切です。 症状が続く場合は、医療機関を受診しましょう。
動悸息切れは何科に行けばいい？
動悸息切れの症状がある場合、まずは循環器内科を受診するのが一般的です。心臓の病気が疑われるため、心電図や心エコーなどの検査で心臓の状態を詳しく調べます。呼吸器系の症状が強い場合は呼吸器内科、精神的な要因が疑われる場合は心療内科や精神科も検討されます。
自律神経失調症で動悸息切れはありますか？
はい、自律神経失調症で動悸息切れの症状が現れることはよくあります。自律神経のバランスが乱れると、心拍数や呼吸の調整がうまくいかなくなり、動悸や息切れを感じやすくなります。 ストレスや不規則な生活が原因となることが多いため、生活習慣の改善も重要です。
寝る時に動悸がする時の薬は？
寝る時に動悸がする原因によって、処方される薬は異なります。心臓の病気が原因であれば、不整脈を抑える薬や心不全の治療薬などが用いられます。自律神経の乱れや不安が原因であれば、安定剤や漢方薬などが処方されることもあります。 市販薬で対処しようとせず、必ず医師の診断を受けて適切な薬を処方してもらうようにしましょう。
まとめ
- 寝ようとすると動悸息苦しい症状は多くの人が経験する。
- 原因は精神的要因と身体的要因に大別される。
- ストレス、不安、パニック障害が精神的要因の代表例。
- 自律神経の乱れも動悸息苦しさの大きな原因。
- 心不全、不整脈、狭心症などの心臓病も考えられる。
- 気管支喘息、COPDなどの呼吸器疾患も原因となる。
- 逆流性食道炎や甲状腺機能亢進症も関連する。
- 睡眠時無呼吸症候群は夜間の症状を引き起こしやすい。
- 強い胸痛やめまい、失神を伴う場合は緊急受診が必要。
- 心臓の症状なら循環器内科、呼吸器なら呼吸器内科へ。
- 精神的な要因が強い場合は心療内科を検討する。
- 深呼吸や瞑想でリラックスを促すことが大切。
- ぬるめのお風呂やアロマテラピーも効果的。
- 快適な睡眠環境を整え、寝姿勢を工夫する。
- カフェイン、アルコール、就寝前の食事は控える。
