夜、ベッドに入って「さあ、眠ろう」と思った瞬間に、心臓がドキッと強く脈打つ経験はありませんか？この不快な感覚は、多くの人が一度は経験するものです。もしかしたら、あなたは「病気なのでは？」と不安に感じているかもしれません。本記事では、寝ようとするとドキッとする現象の主な原因から、ご自身でできる対処法、そして医療機関を受診する目安まで、詳しく解説します。
この悩みを解決し、安心して眠りにつくための手助けとなれば幸いです。
寝ようとするとドキッとするのはなぜ？その正体と主な原因
寝ようとするとドキッとする現象には、いくつかの原因が考えられます。多くの場合、心配のない生理現象ですが、時には体の不調や病気が隠れている可能性もあります。まずは、その正体と主な原因について見ていきましょう。
多くの人が経験する「入眠時ぴくつき」とは
寝入りばなに体がビクッと動いたり、落ちるような感覚とともにドキッとしたりする現象は、「入眠時ぴくつき（入眠時ミオクローヌス）」と呼ばれています。これは、眠りに入る瞬間に脳が筋肉に誤った信号を送ることで起こる、一時的な筋肉の収縮運動です。健康な人にも起こる生理現象であり、ほとんどの場合は心配いりません。
特に、疲労がたまっている時やストレスを感じている時に起こりやすいとされています。
ストレスや不安が引き起こす心身の反応
日中のストレスや悩み、将来への不安などが、寝る前に心臓のドキドキを引き起こすことがあります。不安を感じると、私たちの体は「闘争か逃走か」の反応として交感神経が優位になり、心拍数が上昇し、心臓がバクバクと強く打つようになります。 寝る前は心身がリラックスモードに切り替わるべき時間ですが、ストレスや不安が強いと、この切り替えがうまくいかずに体が緊張状態のままになってしまうのです。
自律神経の乱れが関係している可能性
自律神経は、私たちの意思とは関係なく体の機能を調整する神経です。活動時に優位になる交感神経と、リラックス時に優位になる副交感神経の二つがあり、通常は夜になると副交感神経が優位になり、心身が休息モードに入ります。しかし、ストレスや不規則な生活習慣、睡眠不足などが続くと、この自律神経のバランスが乱れてしまいます。
その結果、夜になっても交感神経が優位な状態が続き、心臓のドキドキや寝つきの悪さにつながることがあります。
生活習慣の乱れも影響する
日々の生活習慣も、寝る前のドキドキに大きく影響します。例えば、就寝前のカフェインやアルコールの摂取は、交感神経を刺激し、脳を覚醒状態に保つため、心臓のドキドキを引き起こしやすくなります。 また、夜遅い時間の食事は消化にエネルギーを使うため、体が休まらず、睡眠の質を低下させる原因となります。 スマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトも、睡眠ホルモンの分泌を抑制し、脳を覚醒させてしまうため、寝る前の使用は控えるのがおすすめです。
ドキッとする症状を和らげるための具体的な対処法
寝ようとするとドキッとする症状は、日々の生活習慣を見直すことで和らげられる場合があります。ここでは、ご自身で実践できる具体的な対処法をご紹介します。
質の良い睡眠環境を整えるコツ
快適な睡眠環境は、心身のリラックスを促し、スムーズな入眠を助けます。室温は夏は25℃前後、冬は15℃前後、湿度は年間を通して50〜60％を目安に調整しましょう。 照明は寝る1時間前には暗くし、豆電球程度の明るさにすると、自然な眠気を誘います。 また、寝具は肌触りの良いものを選び、体を締め付けないパジャマに着替えることも大切です。
外部の騒音が気になる場合は、耳栓や防音カーテンを活用するのも良いでしょう。
心と体をリラックスさせる方法
寝る前に心と体をリラックスさせる習慣を取り入れることは、ドキドキを和らげるのに非常に効果的です。ぬるめのお湯（38～40℃）に15分程度浸かる入浴は、体温が一度上昇し、その後下がっていく過程で眠気を促します。 軽いストレッチや深呼吸は、筋肉の緊張をほぐし、副交感神経を優位にする助けとなります。 アロマオイルを焚いたり、静かな音楽を聴いたりするのも、リラックス効果を高める方法としておすすめです。
食事や飲み物で気をつけること
就寝前の食事や飲み物には注意が必要です。夕食は寝る2〜3時間前までに済ませ、消化に良いものを選びましょう。 揚げ物や脂身の多い肉、ラーメンなどは消化に時間がかかり、睡眠を妨げる原因となります。 また、カフェインを含むコーヒー、紅茶、エナジードリンクなどは就寝前には避け、アルコールも寝つきは良くするものの、睡眠の質を低下させるため控えめにしましょう。
温かいホットミルクやハーブティー、白湯などは、体を温めリラックス効果が期待できます。
日中の過ごし方を見直す
日中の過ごし方も、夜の睡眠に影響を与えます。適度な運動は、深い睡眠を促し、寝つきを良くする効果が期待できますが、激しい運動は就寝の1〜2時間前までには終えるようにしましょう。 また、日中にストレスをため込まないように、趣味の時間を作ったり、リラックスできる活動を取り入れたりすることも大切です。 規則正しい生活リズムを心がけ、毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計が整い、自然な眠りにつながります。
もしかして病気？注意すべき症状と病院を受診する目安
ほとんどの「寝ようとするとドキッとする」現象は心配のないものですが、中には病気が隠れている可能性もあります。どのような症状に注意し、いつ医療機関を受診すべきかを知っておくことは大切です。
心臓や呼吸器系の病気が隠れている可能性
寝る前のドキドキが、心臓や呼吸器系の病気のサインであることもあります。例えば、不整脈（期外収縮、心房細動など）は、心臓の拍動が不規則になったり、強く感じられたりする症状を引き起こします。 睡眠時無呼吸症候群も、睡眠中に一時的に呼吸が止まることで酸素が不足し、心臓に負担がかかり、ドキドキを感じる原因となることがあります。
高血圧や狭心症などの心臓病が背景にある場合もあるため、注意が必要です。
精神的な不調が原因の場合
強い不安感や精神的な不調が、寝る前のドキドキにつながることもあります。パニック障害は、突然の強い不安や恐怖感とともに、動悸、息苦しさ、めまいなどの身体症状を伴うパニック発作が特徴です。 就寝中に発作が起きる「睡眠時パニック発作」のケースも報告されています。 また、うつ病や不安障害も、夜間の不安感を強め、睡眠の質を低下させる原因となることがあります。
どんな時に専門医に相談すべきか
以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、専門医に相談することをおすすめします。 内科や循環器内科、心療内科、精神科などが適切な診療科となるでしょう。
- 動悸が5分以上続く、または安静にしても治まらない場合
- 胸の痛み、圧迫感、息苦しさを伴う場合
- 繰り返し発作が起こる（週に数回など）場合
- 意識がぼんやりする、立ちくらみがある場合
- 日中にも同じような症状がある場合
- 不安感や眠れない夜が長く続く場合
- 入眠時ぴくつきが頻繁に起こり、睡眠の質が著しく低下している場合
自己判断せずに、専門医の診察を受けることで、適切な診断と治療につながります。心と体のバランスを整えることが、症状改善への第一歩です。
よくある質問
寝ようとするとドキッとするのはなぜ？
寝ようとするとドキッとする現象は、多くの場合「入眠時ぴくつき」と呼ばれる生理現象です。これは、眠りに入る瞬間に脳が筋肉に誤った信号を送ることで起こります。ストレスや疲労、自律神経の乱れ、カフェインやアルコールの摂取といった生活習慣も原因となることがあります。
寝る時に心臓がドキドキするのは病気？
必ずしも病気とは限りません。多くはストレスや自律神経の乱れ、入眠時ぴくつきといった生理現象が原因です。しかし、不整脈、睡眠時無呼吸症候群、パニック障害、心臓病などが隠れている可能性もあります。胸の痛みや息苦しさ、めまいを伴う場合や、症状が頻繁に続く場合は医療機関を受診しましょう。
入眠時ぴくつきはストレスが原因？
入眠時ぴくつきは、ストレスや疲労が原因で起こりやすくなると言われています。ストレスによって自律神経のバランスが乱れ、脳と体の切り替えがうまくいかないことが、この現象を引き起こす一因と考えられています。
寝る前の不安を解消する方法は？
寝る前の不安を解消するには、リラックスできる習慣を取り入れることが大切です。具体的には、ぬるめのお風呂に入る、軽いストレッチや深呼吸をする、アロマを焚く、静かな音楽を聴くなどがおすすめです。また、寝る前に不安なことを考えすぎないよう、日中からストレスをためない工夫も重要です。
寝る前に心臓がバクバクする時の対処法は？
寝る前に心臓がバクバクする時は、まず深呼吸をしてリラックスを試みましょう。腹式呼吸は副交感神経を優位にし、心拍数を落ち着かせる効果が期待できます。 また、睡眠環境を整え、カフェインやアルコールの摂取を控え、就寝前の激しい運動やスマホの使用を避けることも大切です。症状が続く場合は、医療機関での相談も検討してください。
まとめ
- 寝ようとするとドキッとするのは「入眠時ぴくつき」という生理現象が多い。
- ストレスや不安が心臓のドキドキを引き起こすことがある。
- 自律神経の乱れも寝る前のドキドキに関係している。
- カフェインやアルコールの摂取、夜遅い食事は避けるべき。
- 質の良い睡眠環境を整えることが大切。
- ぬるめのお風呂や軽いストレッチで心身をリラックスさせる。
- 深呼吸は心拍を落ち着かせる効果が期待できる。
- 日中の適度な運動と規則正しい生活リズムを心がける。
- 胸の痛みや息苦しさを伴う場合は医療機関を受診する。
- 不整脈や睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性もある。
- パニック障害や不安障害も原因となることがある。
- 症状が頻繁に続く、または悪化する場合は専門医に相談する。
- 内科、循環器内科、心療内科などが相談先となる。
- 自己判断せず、専門家の意見を聞くことが大切。
- 心と体のバランスを整えることが改善への第一歩。
