大切に育てているナスの葉に、白いカスリのような斑点がポツポツと…。もしかして病気かも?と心配になりますよね。その症状、実は「ハダニ」というとても小さな害虫が原因かもしれません。放置するとナスの元気がなくなり、収穫量にも影響が出てしまう厄介な存在です。でも、ご安心ください。本記事を読めば、ハダニの正体から、今すぐできる駆除方法、そして今後の発生を防ぐための予防策まで、全てを詳しく知ることができます。正しい知識で、大切なナスをハダニの被害から守りましょう!
これってハダニ?ナスの病気と間違いやすい初期症状

ナスの葉に異変を見つけたとき、それが病気なのか害虫なのか、すぐには判断がつきにくいものです。特にハダニの被害は、他の病気と見間違えることも少なくありません。ここでは、ハダニ被害の代表的な初期症状と、よく似た病気との見分け方を詳しく解説します。早期発見が、被害を最小限に食い止めるための第一歩です。
- 葉に白いカスリ状の斑点が出る
- 葉の色が抜けて元気がなくなる
- 葉の裏にクモの巣のような網がある
- 【要注意】うどんこ病との見分け方
葉に白いカスリ状の斑点が出る
ハダニ被害の最も代表的な初期症状が、葉の表面に現れる針でつついたような小さな白い斑点です。これは、ハダニがナスの葉の裏に寄生し、口針を突き刺して葉の汁を吸った跡です。はじめはポツポツと少数ですが、ハダニが増殖するにつれて斑点の数も増え、やがて葉全体が白っぽくカスリ状に見えるようになります。この状態を「葉のカスリ症状」と呼びます。初期段階では見逃しがちなので、毎日の水やりの際に葉の表面をよく観察する習慣をつけることが大切です。「なんだか葉の色が薄くなってきたな?」と感じたら、ハダニの発生を疑ってみましょう。
葉の色が抜けて元気がなくなる
ハダニの被害が進行すると、葉の汁を吸われることで葉緑素が失われ、葉全体の色が薄くなってきます。まるで色あせたように白っぽく、あるいは黄色っぽく変色し、次第に元気がなくなってしおれてきます。光合成が正常に行えなくなるため、ナスの生育全体に悪影響が及びます。新しい葉や花のつきが悪くなったり、実が大きくならなかったりと、収穫量の大幅な減少に直結してしまうのです。株全体の生育が停滞しているように感じたら、葉の色をチェックし、ハダ-ニの被害が進んでいないか確認してください。
葉の裏にクモの巣のような網がある
ハダニの被害が進むと、葉の裏や茎、新芽の周りなどに、クモの巣のような非常に細かい網が張られることがあります。これはハダニが出す糸で、移動や繁殖の足場として使われます。この網が見られるようになったら、ハダニが大量に発生している証拠です。網の中には、無数のハダニの成虫や幼虫、卵が潜んでいます。ここまで症状が進行すると、駆除がより困難になります。葉をめくって裏側を確認する一手間が、早期発見に繋がります。特に、葉の付け根や葉脈の周りはハダニが隠れやすい場所なので、念入りにチェックしましょう。
【要注意】うどんこ病との見分け方
ナスの葉が白くなる症状として、ハダニ被害とよく混同されるのが「うどんこ病」です。うどんこ病はカビ(糸状菌)が原因の病気で、葉の表面にうどん粉をまぶしたような白いカビが斑点状に発生します。ハダニの被害が「汁を吸われた跡の白い点々」であるのに対し、うどんこ病は「白い粉状のカビそのもの」が付着しているのが特徴です。指でこすると、うどんこ病の白い粉は取れますが、ハダニのカスリ症状は葉の組織が変色しているため取れません。また、ハダニは葉の裏を中心に発生しますが、うどんこ病は葉の表裏や茎、ヘタなどにも発生します。この違いを理解し、正しく原因を特定することが、適切な対策への第一歩となります。
なぜナスにハダニが?発生する主な原因

「毎日お世話しているのに、どうしてハダニが発生してしまったんだろう?」と疑問に思う方も多いでしょう。ハダニは、特定の環境を好んで発生・増殖します。その原因を知ることで、効果的な予防策を立てることができます。ここでは、ナスにハダニが発生しやすくなる主な原因について解説します。
- 高温で乾燥した環境が大好き
- 風通しの悪い場所
- 水やり不足
- 他の植物からの飛来
高温で乾燥した環境が大好き
ハダニが最も好むのは、気温が高く、空気が乾燥した環境です。特に、梅雨明けから夏にかけての時期は、ハダニにとって絶好の繁殖シーズンとなります。気温が25℃を超えると活動が活発になり、30℃以上では爆発的に増殖します。わずか10日ほどで卵から成虫になり、メスは1日に何個も卵を産むため、あっという間に数が増えてしまうのです。ベランダのコンクリートの照り返しが強い場所や、雨が当たりにくく乾燥しやすい軒下などで栽培している場合は、特に注意が必要です。ハダニは水に弱い性質があるため、乾燥した環境が続くと、天敵が減り、ハダニだけが生き残りやすい状況が生まれてしまいます。
風通しの悪い場所
葉が密集して風通しが悪い場所も、ハダニの温床になりやすいです。空気がよどんでいると、葉の周りの湿度が高止まりせず、ハダニが好む乾燥した微気象が生まれやすくなります。また、風通しが悪いと、ハダニの天敵であるカブリダニなどが活動しにくくなるという側面もあります。茂りすぎた葉は、ハダニにとって格好の隠れ家となり、薬剤を散布しても葉の裏まで届きにくくなるため、駆除が困難になる原因にもなります。株元の葉が混み合っていたり、壁際で栽培していたりする環境は、特に注意深く観察する必要があるでしょう。
水やり不足
ナスの株自体が水不足の状態になると、ハダニの被害を受けやすくなります。植物は乾燥ストレスを感じると、葉に含まれるアミノ酸などの栄養分の濃度が高まる傾向があります。ハダニは、この栄養が豊富になった葉を好んで吸汁するため、水切れを起こしたナスは格好のターゲットになってしまうのです。また、土が乾燥しているということは、株周りの空気も乾燥しているサインです。定期的な水やりは、ナスを健康に保つだけでなく、ハダニが発生しにくい湿度環境を維持する上でも非常に重要です。特にプランター栽培は土が乾燥しやすいため、夏場は朝夕2回の水やりが必要になることもあります。
他の植物からの飛来
ハダニは非常に小さく、成虫でも0.5mm程度しかありません。そのため、風に乗って遠くから飛んでくることがあります。近くにハダニが発生している他の植物(雑草を含む)があると、そこから飛来してナスに寄生することがよくあります。また、人の衣服や作業道具に付着して運ばれてくるケースも少なくありません。新しい苗を植え付ける際に、その苗にすでにハダニが付着していたという可能性も考えられます。庭やベランダで他の植物も育てている場合は、それらの植物にハダニがいないかどうかも定期的にチェックすることが、ナスへの感染を防ぐ上で大切です。
【即効性重視】ナスのハダニ駆除方法5選

ハダニの発生に気づいたら、とにかく迅速な対応が肝心です。増殖スピードが速いため、放置すればするほど被害は拡大し、駆除も難しくなります。ここでは、ハダニの発生状況に合わせて選べる、即効性を重視した駆除方法を5つご紹介します。ご自身の栽培環境や考え方に合った方法を見つけて、すぐに対策を始めましょう。
- 葉水で洗い流す(初期段階向け)
- 被害のひどい葉を取り除く
- 牛乳や木酢液スプレーは効果ある?
- 天敵(カブリダニ)を導入する
- 効果的な農薬(殺ダニ剤)を使う
葉水で洗い流す(初期段階向け)
ハダニの発生数がまだ少ない初期段階であれば、物理的に洗い流す方法が非常に有効です。ハダニは水に弱いため、霧吹きやホースのシャワー機能を使って、葉の裏を中心に勢いよく水をかけることで、洗い流して駆除することができます。特に、ハダニが潜んでいる葉の裏を狙って、念入りに散水するのがコツです。これを数日間続けることで、ハダニの密度を大幅に下げることが可能です。薬剤を使いたくない方にとって、最も手軽で安全な方法と言えるでしょう。ただし、これはあくまで初期対策です。すでに大量発生している場合は、洗い流すだけでは追いつかないため、他の方法と組み合わせる必要があります。また、日中の高温時に行うと葉が蒸れてしまう可能性があるので、朝方や夕方の涼しい時間帯に行いましょう。
被害のひどい葉を取り除く
ハダニの被害が特定の葉に集中している場合や、葉全体が白っぽくなり、葉裏に網が張られるほど症状が進行してしまった葉は、思い切って取り除いてしまうのが得策です。被害がひどい葉は、回復が見込めないだけでなく、大量のハダニの供給源となってしまいます。このような葉を放置しておくと、そこから他の健康な葉へと被害がどんどん広がってしまいます。取り除く際は、ハサミで葉の付け根から切り取りましょう。切り取った葉は、ハダニが飛散しないように、すぐにビニール袋などに入れて口を縛り、圃場から離れた場所で処分してください。その場に放置すると、そこから再びハダニが広がる原因になるので注意が必要です。
牛乳や木酢液スプレーは効果ある?
農薬を使わない方法として、牛乳や木酢液のスプレーがよく紹介されます。牛乳を水で薄めてスプレーすると、乾くときに膜ができてハダニを窒息させる効果が期待できると言われています。しかし、効果は限定的で、洗い流し忘れると腐敗して悪臭やカビの原因になるリスクもあります。一方、木酢液は、植物の成長を助ける効果や、害虫の忌避効果が期待できる資材です。規定の倍率に薄めて散布することで、ハダニが寄り付きにくい環境を作る助けにはなりますが、直接的な殺虫効果はあまり高くありません。どちらの方法も、予防や発生初期の対策としては試す価値がありますが、大量発生したハダニを完全に駆除するほどの威力はないと理解しておきましょう。
天敵(カブリダニ)を導入する
より自然に近い形でハダニをコントロールしたい場合、天敵を利用する方法があります。ハダニの天敵として有名なのが「チリカブリダニ」や「ミヤコカブリダニ」といった益虫です。これらのカブリダニはハダニを捕食してくれるため、農薬を使わずにハダニの密度を抑えることができます。カブリダニは「天敵製剤」として市販されており、インターネット通販などで購入可能です。ボトルに入った製剤をナスの葉に振りかけるだけで、カブリダニが活動を始めてくれます。ただし、天敵製剤は効果が現れるまでに少し時間がかかります。また、化学農薬と併用できない場合が多いので、使用する際は注意が必要です。環境への負荷が少ない、持続可能な対策と言えるでしょう。
効果的な農薬(殺ダニ剤)を使う
ハダニが大量発生してしまい、物理的な駆除や天敵では追いつかない場合は、農薬(殺ダニ剤)の使用が最も確実で即効性のある方法です。ハダニは世代交代が速く、同じ薬剤を使い続けると抵抗性を持ってしまうことがあるため、「殺ダニ剤」として登録されている専用の薬剤を選びましょう。初心者でも手軽に使えるスプレータイプの製品から、自分で希釈して使う本格的な乳剤やフロアブル剤まで様々な種類があります。薬剤を選ぶ際は、ナスに登録があるか、使用時期や回数を必ず確認してください。農薬を使用する際は、説明書をよく読み、保護メガネやマスク、手袋を着用するなど、安全対策を徹底することが非常に重要です。
もう増やさない!ナスのハダニを徹底予防するコツ

ハダニは一度発生すると駆除が大変なため、何よりも「発生させない」環境づくりが重要になります。日々のちょっとした心がけで、ハダニが寄り付きにくい、健康なナスを育てることができます。ここでは、誰でも簡単に実践できる、ハダニの徹底予防のコツをご紹介します。
- 適切な水やりと葉水
- 風通しを良くする(剪定・整枝)
- マルチングで乾燥を防ぐ
- 周辺の雑草をこまめに抜く
適切な水やりと葉水
ハダニ予防の基本中の基本は、乾燥させないことです。土の表面が乾いたらたっぷりと水やりを行い、ナスが水切れを起こさないように管理しましょう。特にプランター栽培は乾燥が進みやすいので注意が必要です。そして、水やりと合わせてぜひ習慣にしたいのが「葉水(はみず)」です。霧吹きなどで葉の裏側を中心に水を吹きかけることで、ハダニが嫌う湿った環境を作り出すことができます。葉水は、ハダニを物理的に洗い流す効果も期待でき、葉についたホコリも落として光合成を助けるなど、一石二鳥の効果があります。特に気温が上がり始める梅雨入り前から夏にかけて、毎日行うのが理想的です。朝や夕方の涼しい時間帯に行いましょう。
風通しを良くする(剪定・整枝)
ナスの株が成長してくると、葉が混み合って風通しが悪くなりがちです。風通しが悪いと、湿気がこもらず乾燥しやすくなり、ハダニの温床となってしまいます。そこで重要になるのが、定期的な剪定・整枝です。株元の古い葉や、内側に向かって伸びている葉、重なり合っている葉などを取り除き、株全体に風と光が当たるようにしてあげましょう。風通しが良くなることで、ハダニが発生しにくい環境になるだけでなく、病気の予防にも繋がります。また、葉の数が減ることで、万が一ハダニが発生した際にも発見しやすくなり、薬剤散布の効果も高まります。
マルチングで乾燥を防ぐ
株元の土の乾燥を防ぐことも、ハダニ予防に有効です。そこでおすすめなのが「マルチング」です。マルチングとは、株元の土の表面をビニールフィルムや敷きわら、腐葉土などで覆うことを指します。これにより、土からの水分の蒸発を抑え、土壌の湿度を適切に保つことができます。土の湿度が保たれると、株周りの空気の乾燥も緩和されます。さらに、マルチングには地温の上昇や下降を緩やかにしたり、雑草の発生を抑制したり、雨による泥はねを防いで病気を予防したりと、様々なメリットがあります。特に黒いビニールマルチは地温を上げる効果があり、敷きわらは地温の上昇を抑える効果があるなど、資材によって特性が異なるため、時期や目的に合わせて選びましょう。
周辺の雑草をこまめに抜く
見落としがちですが、畑やプランターの周りの雑草管理もハダニ予防の重要なポイントです。ハダニはナスだけでなく、様々な種類の雑草にも寄生します。周辺に雑草が生い茂っていると、そこがハダニの発生源となり、風に乗ってナスに飛来してくる可能性があります。せっかくナスの株をきれいに管理していても、すぐ近くにハダニの供給源があっては意味がありません。定期的に雑草を取り除くことで、ハダニの隠れ家や発生源をなくし、ナスへの侵入リスクを減らすことができます。特に、クローバーやカタバミ、スギナなどはハダニが付きやすいので、見つけたら早めに抜き取るように心がけましょう。
ナスのハダニ対策におすすめの農薬(殺ダニ剤)

様々な予防策を講じても、天候などによってはハダニが大量発生してしまうこともあります。そんな時の最後の砦となるのが農薬(殺ダニ剤)です。正しく使えば、しつこいハダニを効果的に駆除することができます。ここでは、農薬選びのポイントから具体的な製品の種類、そして最も重要な使用上の注意点までを詳しく解説します。
- 農薬選びのポイント
- 初心者にも使いやすいスプレータイプ
- 本格的に対策したい方向けの希釈タイプ
- 農薬使用時の注意点
農薬選びのポイント
ハダニ対策で農薬を選ぶ際に最も重要なのは、「殺ダニ剤」を選ぶことです。一般的な殺虫剤では、ハダニに効果がない場合が多くあります。購入する際は、必ず商品のラベルを確認し、「適用作物」に「なす」が、「適用病害虫」に「ハダニ類」が含まれていることを確認してください。また、ハダニは薬剤への抵抗性を獲得しやすい害虫です。そのため、作用性の異なる複数の殺ダニ剤を交互に使用する「ローテーション散布」が推奨されます。さらに、卵・幼虫・成虫の全てのステージに効く薬剤なのか、特定のステージにしか効かないのかも確認すると、より効果的な防除が可能です。
初心者にも使いやすいスプレータイプ
家庭菜園で手軽にハダニ対策をしたいという方には、購入してすぐに使えるスプレータイプの殺ダニ剤がおすすめです。自分で希釈する手間がなく、ハダニを見つけたらすぐにシュッと吹きかけるだけで使えます。
代表的な製品としては、住友化学園芸の「ダニ太郎」やアース製薬の「アースガーデンT」などがあります。これらの製品は、ナスに登録があり、ハダニに高い効果を発揮します。使用する際は、ハダニが潜んでいる葉の裏側まで薬液がしっかりかかるように、丁寧に散布するのがポイントです。
本格的に対策したい方向けの希釈タイプ
広い面積で栽培している方や、よりコストを抑えて本格的に対策したい方には、水で薄めて使用する希釈タイプの農薬が適しています。乳剤やフロアブル剤といった形状で販売されており、噴霧器を使って散布します。
代表的な製品には、「コロマイト乳剤」や「カネマイトフロアブル」、「ダニサラバフロアブル」などがあります。これらの薬剤は、それぞれ作用性が異なるため、ローテーション散布に組み込むことで、抵抗性ハダニの発生を防ぎながら効果的に防除を続けることができます。希釈倍率を間違えると薬害が出たり効果が薄れたりするため、必ず説明書通りの倍率を守って使用してください。
農薬使用時の注意点
農薬は正しく使えば非常に有効なツールですが、使い方を誤ると危険も伴います。使用する際は、以下の点を必ず守ってください。
まず、ラベルに記載されている使用時期、使用回数、希釈倍率などの使用基準を厳守すること。特に収穫前日数(散布してから収穫できるまでの日数)は必ず守りましょう。
次に、散布する際は、マスク、ゴーグル、手袋、長袖長ズボンの作業着を着用し、薬剤を吸い込んだり皮膚に付着したりしないようにします。風の強い日や雨の日、日中の高温時の散布は避けてください。
そして、散布後は手や顔をよく洗い、うがいをすることも忘れないでください。安全に、正しく使うことが、効果的なハダニ対策と自分自身の健康を守ることに繋がります。
よくある質問

ハダニはどこからやってくるのですか?
ハダニは非常に小さく軽いため、様々な経路で侵入してきます。最も多いのは、風に乗って遠くから飛来するケースです。近くの雑草や他の植物で発生したハダニが、風に乗って運ばれてきます。また、購入した苗に最初から付着していることも少なくありません。さらに、人の衣服や農作業で使う道具に付着して、意図せず運んでしまうこともあります。このように、ハダニはどこからともなくやってくるため、完全に侵入を防ぐのは困難です。そのため、日頃から発生しにくい環境を整える「予防」が非常に重要になります。
ハダニに効く木酢液の作り方と使い方は?
木酢液は殺ダニ効果よりも忌避(きひ)効果を期待して使用します。市販の木酢液を使用するのが一般的で、製品のラベルに記載された希釈倍率を守って水で薄めます。一般的には500倍から1000倍程度に希釈することが多いです。これをスプレーボトルに入れ、ハダニが発生しやすい葉の裏を中心に、株全体に散布します。散布の頻度は1週間に1〜2回程度が目安です。ただし、濃度が濃すぎると植物に害を与える(薬害)ことがあるため、必ず規定の倍率を守ってください。また、木酢液は農薬ではないため、大量発生したハダニを駆除する力は弱く、あくまで予防的な使い方や、他の対策と組み合わせる補助的な役割と考えるのが良いでしょう。
ナス以外にハダニがつきやすい野菜はありますか?
はい、ハダニは非常に多くの種類の植物に寄生します。家庭菜園で栽培される野菜の中では、ナス科のピーマンやトウガラシ、ジャガイモのほか、ウリ科のキュウリ、メロン、スイカ、マメ科のインゲンやエダマメなどが特にハダニの被害に遭いやすいです。イチゴも被害を受けやすい代表的な作物です。これらの野菜を近くで栽培している場合は、ナスだけでなく、他の野菜にもハダニが発生していないか注意深く観察する必要があります。一か所で発生すると、あっという間に周囲の植物に広がってしまう可能性があります。
ハダニは冬を越しますか?
はい、多くのハダニは冬を越すことができます。種類にもよりますが、成虫のメスが休眠状態になって、落ち葉の下や樹皮の隙間、土の中などで越冬します。そして春になり、気温が上がってくると活動を再開し、繁殖を始めます。そのため、前年にハダニが発生した畑やプランターでは、土や周辺環境に越冬したハダニが潜んでいる可能性があります。栽培が終わった後の残渣(ざんさ)をきちんと片付けたり、冬の間に土を掘り返して寒さに晒す「寒起こし」を行ったりすることで、越冬するハダニの数を減らす効果が期待できます。
農薬のローテーション散布とは何ですか?
ローテーション散布とは、作用性の異なる複数の農薬を順番に散布することを言います。ハダニは世代交代が非常に速いため、同じ系統の薬剤を連続して使用していると、その薬剤が効かない「抵抗性」を持ったハダニが出現しやすくなります。一度抵抗性がつくと、その薬剤では駆除が非常に困難になります。そこで、系統の異なる薬剤(ラベルに記載されている系統グループ番号が違うもの)を順番に使うことで、抵抗性の発達を防ぎながら、効果的に防除を続けることができます。これは、ハダニだけでなく、多くの病害虫対策で重要となる考え方です。
まとめ

- ナスの葉の白い斑点はハダニ被害の初期症状。
- ハダニは高温・乾燥した環境を好んで発生する。
- 葉裏のクモの巣状の網は大量発生のサイン。
- 初期段階なら葉水で洗い流すのが有効。
- 被害がひどい葉は取り除いて処分する。
- 風通しを良くする剪定は予防の基本。
- 敷きわら等でのマルチングは乾燥防止に役立つ。
- 周辺の雑草はこまめに抜き、発生源を断つ。
- 牛乳や木酢液の効果は限定的と心得る。
- 天敵(カブリダニ)の利用は環境に優しい対策。
- 大量発生時は「殺ダニ剤」の使用が確実。
- 農薬は「なす」と「ハダニ類」に登録があるものを選ぶ。
- 農薬は作用性の違うものをローテーション散布する。
- 農薬使用時は必ずラベルを確認し、安全対策を徹底。
- ハダニは越冬するため、栽培後の片付けも重要。