秋の庭を華やかに彩る菊。特に、こんもりと丸く仕立てられた菊は、その愛らしい姿で多くの人を魅了します。しかし、「どうすればこんなにきれいに丸くなるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。本記事では、初心者の方でも安心して取り組めるよう、丸い菊を育てるための具体的な方法を徹底的に解説します。
丸い菊を育てる基本のコツ

丸い菊を育てるには、適切な時期に適切な作業を行うことが何よりも大切です。特に、摘心とドーム仕立ては、理想の形を作るための重要なコツとなります。これらの作業を丁寧に進めることで、見事な丸い菊を咲かせられるでしょう。
摘心(ピンチ)で枝数を増やす進め方
摘心とは、新芽の先端を摘み取ることで、脇芽の成長を促し、枝数を増やす作業です。この作業を繰り返すことで、株全体がこんもりと茂り、丸い形を作るための土台ができます。摘心は、菊を丸く育てる上で最も基本的ながら、非常に効果的な方法です。
摘心の適切な時期と回数
摘心は、苗の植え付け後、草丈が15cm~20cm程度に伸びた頃から始めます。最初の摘心は、主茎の先端を摘み取り、脇芽の発生を促します。その後、伸びてきた脇芽がさらに15cm~20cm程度に成長したら、再びその先端を摘み取るという作業を繰り返します。一般的には、7月下旬から8月上旬頃までに摘心を終えるのが理想的です。
これ以降に摘心を行うと、花芽の形成に影響を与え、開花が遅れたり、花数が減ったりする可能性があります。
摘心する場所の見極め方
摘心する際は、新芽の先端を、葉を2~3枚残して摘み取ります。ハサミを使っても良いですが、手で優しく摘み取る「ピンチ」という方法もあります。重要なのは、葉の付け根から新しい芽(脇芽)が出てくることを意識して、その少し上を摘むことです。これにより、複数の脇芽がバランス良く伸びて、株全体が均等に茂るようになります。
摘心は、株の成長を見ながら、全体のバランスを考えて行うことが大切です。
ドーム仕立てで理想の形を作る方法
ドーム仕立ては、菊を丸い半球状に整えるための伝統的な仕立て方です。摘心によって増えた枝を、支柱と誘引によって理想の形へと導きます。この仕立て方を行うことで、より一層、鑑賞価値の高い美しい丸い菊を育てられます。
支柱の立て方と誘引のコツ
ドーム仕立てには、専用のドーム型支柱や、複数の竹支柱を組み合わせて使用します。株が小さいうちに、株の中心に太めの支柱を1本立て、その周りに細い支柱を複数本、円を描くように立てていきます。支柱を立てたら、伸びてきた枝を麻ひもやビニールタイなどで優しく誘引し、支柱に沿わせて固定します。
誘引する際は、枝が折れないように注意し、また、ひもが食い込まないように、少しゆとりを持たせることがコツです。
誘引作業の注意点
誘引作業は、枝が柔らかいうちに行うとスムーズに進みます。枝が硬くなってから無理に曲げようとすると、折れてしまうことがあるため注意が必要です。また、誘引は一度で完璧に形を作るのではなく、枝の成長に合わせて段階的に行うことが成功するための鍵となります。定期的に株全体を観察し、形が崩れていないか、枝が密集しすぎていないかなどを確認しながら、丁寧に作業を進めていきましょう。
密集しすぎた部分は、適度に間引くことで風通しを良くし、病害虫の発生を防ぐことにもつながります。
菊栽培の年間スケジュールと管理

丸い菊を美しく咲かせるためには、年間を通して適切な管理を行うことが不可欠です。季節ごとの作業を理解し、それぞれの時期に合った手入れをすることで、菊は健やかに成長し、見事な花を咲かせてくれます。ここでは、菊栽培の年間スケジュールに沿った管理方法を詳しく見ていきましょう。
春(3月~5月):植え付けと初期の管理
春は、菊の栽培を始めるのに最適な時期です。3月から4月にかけて、前年に挿し芽で増やした苗や、購入した苗を植え付けます。鉢植えの場合は、水はけの良い用土を選び、根詰まりを防ぐために一回り大きな鉢に植え替えるのがおすすめです。地植えの場合は、日当たりと水はけの良い場所を選び、堆肥などを混ぜて土壌を改良しておきましょう。
植え付け後は、たっぷりと水を与え、根がしっかりと張るまで見守ります。この時期に最初の摘心を行い、株の分枝を促すことも忘れてはいけません。
夏(6月~8月):生育期の水やりと肥料
夏は菊が最も活発に成長する時期です。この時期は、水切れを起こさないように毎日の水やりが欠かせません。特に、鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと与え、地植えの場合も乾燥が続くようであれば水やりを行います。また、生育を促すために、液体肥料を週に1回程度与えるか、緩効性肥料を月に1回程度追肥します。
この時期に摘心を繰り返すことで、枝数を増やし、丸い形を形成するための基礎を築きます。病害虫が発生しやすい時期でもあるため、定期的に葉の裏などを確認し、早期発見・早期対策を心がけましょう。
秋(9月~11月):開花期の管理と最後の仕上げ
秋は、菊の開花期を迎える大切な時期です。9月に入ると、摘心を終え、花芽の形成に専念させます。この時期は、特に肥料の与えすぎに注意し、リン酸分の多い開花促進用の肥料に切り替えるか、肥料を控えるようにします。水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与える基本は変わりませんが、過湿にならないように気をつけます。
開花が近づくと、花が重くなり枝が垂れ下がりやすくなるため、必要に応じて支柱で支えたり、誘引を調整したりして、美しい形を保ちます。咲き終わった花は、こまめに摘み取ることで、株の体力を温存し、次の花を咲かせやすくします。
美しい菊を咲かせるための栽培環境

丸い菊を育てる上で、日当たりや水やり、用土といった栽培環境は、その成否を大きく左右します。適切な環境を整えることで、菊は健康に育ち、病害虫のリスクも減らせます。ここでは、美しい菊を咲かせるための理想的な栽培環境について詳しく解説します。
用土と肥料の選び方
菊は、水はけと水持ちの良い、肥沃な土壌を好みます。市販の草花用培養土でも十分に育ちますが、自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)6割、腐葉土3割、バーミキュライト1割程度の割合に、少量の苦土石灰と元肥を混ぜたものがおすすめです。これにより、根張りが良くなり、健全な生育を促します。肥料は、生育期には窒素分の多いものを与え、開花期が近づいたらリン酸分の多いものに切り替えるのが基本です。
緩効性肥料を元肥として混ぜておくと、その後の管理が楽になります。
日当たりと水やりの注意点
菊は、日当たりを非常に好む植物です。1日に最低でも半日以上は直射日光が当たる場所で育てるようにしましょう。日照不足になると、茎がひょろひょろと伸びて花付きが悪くなったり、病気にかかりやすくなったりします。水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えるのが基本です。特に、夏の暑い時期や鉢植えの場合は、水切れを起こしやすいので注意が必要です。
ただし、水のやりすぎは根腐れの原因となるため、土の乾き具合をよく確認してから与えるようにしましょう。鉢皿に水を溜めたままにしないことも大切です。
病害虫から菊を守る対策
菊は比較的丈夫な植物ですが、アブラムシ、ハダニ、うどんこ病など、いくつかの病害虫に注意が必要です。これらの病害虫は、株の生育を阻害し、花の品質を低下させる原因となります。予防策としては、風通しを良くするために適度に剪定を行い、株が密集しすぎないように管理することが大切です。
また、定期的に葉の裏などを観察し、早期に発見した場合は、専用の薬剤を散布したり、手で取り除いたりして対処します。自然由来の殺虫剤や、テントウムシなどの天敵を利用するのも一つの方法です。
よくある質問

ここでは、丸い菊の育て方に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。これらの情報を参考に、あなたの菊栽培に役立ててください。
菊を丸くするにはどうしたらいいですか?
菊を丸く育てるには、主に「摘心(ピンチ)」と「ドーム仕立て」という二つの方法を組み合わせることが大切です。摘心は、新芽の先端を摘み取ることで脇芽の発生を促し、枝数を増やして株全体をこんもりとさせます。ドーム仕立ては、増えた枝をドーム型の支柱に誘引して、理想の丸い形に整える方法です。これらの作業を適切な時期に行うことで、美しい丸い菊を育てられます。
菊の摘心はいつまでやりますか?
菊の摘心は、一般的に7月下旬から8月上旬頃までに行うのが理想的です。これ以降に摘心を行うと、花芽の形成に影響を与え、開花が遅れたり、花数が減ったりする可能性があります。株の成長具合を見ながら、この時期までに摘心を終えるように計画しましょう。
菊のドーム仕立てのやり方は?
菊のドーム仕立ては、まず株の中心に太めの支柱を1本立て、その周りに細い支柱を複数本、円を描くように立てます。その後、伸びてきた枝を麻ひもやビニールタイなどで優しく支柱に誘引し、固定していきます。枝が柔らかいうちから段階的に誘引を行うことで、折れることなく美しいドーム形に整えられます。
菊の仕立て方にはどんな種類がありますか?
菊の仕立て方には、丸く仕立てるドーム仕立ての他に、一本の茎に大きな花を咲かせる「福助仕立て」や「だるま仕立て」、複数の花を咲かせる「三本仕立て」、懸崖(けんがい)のように枝を垂らす「懸崖仕立て」など、様々な種類があります。それぞれ異なる魅力があり、栽培の目的や好みに合わせて選べます。
菊の摘心はどこを切る?
菊の摘心は、新芽の先端を、葉を2~3枚残して摘み取ります。葉の付け根から新しい芽(脇芽)が出てくることを意識し、その少し上を摘むのがコツです。これにより、複数の脇芽がバランス良く伸びて、株全体が均等に茂るようになります。
まとめ
- 丸い菊を育てるには摘心とドーム仕立てが重要です。
- 摘心は新芽の先端を摘み取り枝数を増やします。
- 摘心は7月下旬から8月上旬までに終えるのが理想です。
- ドーム仕立ては支柱と誘引で形を整えます。
- 誘引は枝が柔らかいうちに段階的に行いましょう。
- 春は植え付けと初期の摘心を行う時期です。
- 夏は水やりと肥料が特に重要になります。
- 秋は開花期で、肥料を控えめに管理します。
- 菊は日当たりと水はけの良い土壌を好みます。
- 用土は水はけと水持ちのバランスが良いものを選びましょう。
- 日当たりは1日半日以上が理想的です。
- 水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。
- 病害虫対策には風通しを良くすることが効果的です。
- 定期的な観察で病害虫の早期発見・対処を心がけましょう。
- 適切な管理で美しい丸い菊を咲かせられます。
