大切に育てている家庭菜園の野菜や、美しい花壇のバラが、気づけば穴だらけに…。そんな悲しい経験はありませんか?もしかしたら、その犯人はマメコガネかもしれません。キラキラと玉虫色に輝く小さな体とは裏腹に、成虫も幼虫も植物を食い荒らす非常に厄介な害虫です。本記事では、そんなマメコガネの効果的な駆除方法から、二度と寄せ付けないための予防策まで、あなたのガーデニングライフを守るための全てを徹底解説します。
見つけたら即実行!マメコガネ成虫の駆除方法4選

葉や花の上で活動している成虫を見つけたら、被害が広がる前にすぐに対処することが重要です。ここでは、状況に合わせて選べる4つの駆除方法をご紹介します。まずは、ご自身でできることから始めてみましょう。
- 手で捕まえて駆除する
- 効果てきめん!殺虫剤(農薬)で一網打尽
- 集めて退治!誘引トラップの活用法
- 農薬を使わない!自然由来のスプレーも
基本はコレ!手で捕まえて駆除する
最も手軽で確実な方法が、見つけた成虫をその場で捕まえることです。マメコガネは動きが比較的遅いため、軍手などをはめていれば簡単に捕獲できます。 特に活動が活発になる晴れた日の午前中が狙い目です。
捕まえる際のコツは、マメコガネの下に受け皿や袋を構えること。マメコガネは危険を察知すると、足を縮めてポトリと下に落ちる習性があります。 この習性を利用すれば、効率よく捕殺できるでしょう。捕まえたマメコガネは、石鹸水を入れたバケツなどに入れると逃げられずに処理できます。地道な作業ですが、薬剤を使いたくない方には最適な方法です。
また、葉に付着している黒いフンは、仲間を呼び寄せるフェロモンの役割を果たすことがあります。 フンを見つけたら、捕殺と合わせて取り除いておきましょう。
効果てきめん!殺虫剤(農薬)で一網打尽
大量に発生してしまい、手での捕獲では追いつかない場合は、殺虫剤(農薬)の使用が効果的です。マメコガネに適用のある薬剤を選んで、正しく使用しましょう。
代表的な薬剤としては、住友化学園芸の「家庭園芸用スミチオン乳剤」や「ベニカXネクストスプレー」などが挙げられます。 スミチオン乳剤は希釈して使用するタイプで、広範囲の害虫に効果があります。 ベニカXネクストスプレーはそのまま使えるスプレータイプで、手軽に使えるのが魅力です。使用する際は、製品のラベルに記載されている使用方法や注意事項を必ず守り、風のない天気の良い日に散布してください。
薬剤は植物に直接散布するため、野菜や果樹に使用する場合は収穫前使用日数を確認することが非常に重要です。安全に美味しくいただくためにも、適用作物と使用時期は厳守しましょう。
集めて退治!誘引トラップの活用法
マメコガネを誘引して捕獲するトラップも有効な手段の一つです。市販の誘引トラップには、マメコガネが好む匂いで誘き寄せるフェロモン剤がセットになっているものがあります。
また、このトラップは手作りすることも可能です。 例えば、牛乳パックやペットボトルを利用して簡単な捕獲器を作り、その中に誘引剤として日本酒と砂糖、酢を混ぜたものを入れる方法があります。匂いにつられて容器の中に入ったマメコガネを捕獲する仕組みです。ただし、誘引効果が高いため、周囲からマメコガネを呼び寄せてしまう可能性も考慮し、設置場所には注意が必要です。畑や庭の中心部ではなく、少し離れた場所に設置するのがおすすめです。
農薬を使わない!自然由来のスプレーも
化学合成農薬に抵抗がある方は、自然由来の成分を使ったスプレーを試してみるのも一つの手です。例えば、牛乳を水で薄めてスプレーする方法があります。牛乳が乾くときに膜を作り、マメコガネの気門を塞いで窒息させる効果が期待できると言われています。ただし、効果は限定的で、匂いの問題やカビの発生原因になることもあるため、使用する際は注意が必要です。
また、木酢液やニームオイルなども害虫忌避効果が期待できる資材として知られています。これらは殺虫効果よりも「寄せ付けにくくする」効果が主目的となります。即効性は期待できませんが、予防的な観点から定期的に散布することで、被害を抑える助けになるでしょう。
被害の根源を断つ!土の中のマメコガネ幼虫を駆除する方法

成虫の駆除と並行して、あるいはそれ以上に重要なのが土の中に潜む幼虫の駆除です。植物の根を食べて生育に深刻なダメージを与える幼虫を退治することで、来シーズンの発生を抑えることができます。
- 土を掘り返して物理的に駆除
- 土壌用殺虫剤で根こそぎ退治
土を掘り返して物理的に駆除
畑の植え替えや、プランターの土を入れ替えるタイミングで、土を掘り返して幼虫を探し出し、物理的に取り除く方法です。マメコガネの幼虫は、カブトムシの幼虫を小さくしたような白くて丸いイモムシ状の姿をしています。 土の中から見つけたら、その場で捕殺しましょう。
特に、植物の元気がない、葉が萎れているといった症状が見られる場合、根が幼虫に食害されている可能性があります。 株元を少し掘ってみて幼虫が見つかるようであれば、周辺の土も丁寧に確認することをおすすめします。手間はかかりますが、薬剤を使わずに最も確実に幼虫の数を減らせる方法です。
土壌用殺虫剤で根こそぎ退治
広範囲にわたって幼虫が発生している場合や、物理的な駆除が難しい場合は、土壌用の殺虫剤が非常に有効です。粒剤タイプのものが多く、土に混ぜ込むことで効果を発揮します。
代表的な薬剤は「ダイアジノン粒剤」や「GFオルトラン粒剤」です。 これらの薬剤は、土の中に潜むコガネムシ類の幼虫に効果があり、植物の植え付け時に土に混ぜ込んだり、生育中に株元に散布したりして使用します。 特に、幼虫が活発に活動し始める前の時期や、成虫を見かけるようになった時期に散布すると、孵化したばかりの幼虫を効率よく駆除できるため効果的です。 薬剤を使用する際は、成虫への散布と同様に、ラベルをよく読んで適用作物や使用量を守ることが大切です。
もう二度と発生させない!マメコガネを寄せ付けないための鉄壁予防策

マメコガネの被害を最小限に抑えるには、駆除と同時に予防策を講じることが不可欠です。成虫を寄せ付けず、産卵させない環境を作ることで、翌年以降の発生を大幅に減らすことができます。
- 産卵場所を与えない!マルチングのすすめ
- 隠れ家をなくす!こまめな雑草処理
- 自然の力を借りる!天敵の活用
- 産み付けを防ぐ!土壌環境の管理
産卵場所を与えない!マルチングのすすめ
マメコガネの成虫は、土の中に卵を産み付けます。 そこで有効なのが、マルチングです。マルチングとは、ビニールシートや腐葉土、ウッドチップなどで畑の畝(うね)や株元の土の表面を覆うこと。 これにより、成虫が土に潜って産卵するのを物理的に防ぐことができます。
マルチングには、雑草の発生を抑制したり、土の乾燥を防いだり、地温を安定させたりといった副次的な効果も期待でき、植物の生育環境を向上させる点でもおすすめです。見た目もおしゃれなヤシの実の繊維から作られた「ココファイバー」など、様々な素材がありますので、ご自身の庭のスタイルに合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
隠れ家をなくす!こまめな雑草処理
庭や畑の雑草を放置していると、マメコガネだけでなく様々な害虫の隠れ家や餌場になってしまいます。特にマメ科の雑草はマメコガネの大好物です。
定期的に雑草を取り除くことで、マメコガネが好む環境をなくし、飛来してくる数を減らすことができます。 また、風通しが良くなることで病気の予防にも繋がります。美観を保つだけでなく、植物を健康に育てるための基本的な作業として、こまめな雑草処理を心がけましょう。
自然の力を借りる!天敵の活用
自然界には、マメコガネを捕食してくれる頼もしい天敵が存在します。日本では、これらの天敵の存在によって、海外のように爆発的に大発生することが抑えられています。
成虫の天敵としては、鳥類や、ムシヒキアブ、スズメバチなどの肉食昆虫が挙げられます。 一方、幼虫の天敵は、モグラ、アリ、ゴミムシなどです。 また、土壌に存在する特定の細菌(乳化病菌)は、マメコガネの幼虫に感染して病気を引き起こし、死に至らしめることがあります。 殺虫剤を多用しすぎると、これらの有益な天敵まで殺してしまう可能性があります。薬剤の使用は必要最低限に留め、多様な生き物が生息できる環境を維持することも、長期的な害虫管理に繋がります。
産み付けを防ぐ!土壌環境の管理
マメコガネは、未熟な堆肥や腐葉土に含まれる有機物を好んで産卵することがあります。使用する堆肥は、完熟したものを選ぶようにしましょう。未熟な堆肥は匂いで成虫を誘引してしまう可能性があります。
また、プランターや鉢植えで使い終わった土を再利用する際は、注意が必要です。卵や幼虫が残っている可能性があるため、ふるいにかけて卵や幼虫を取り除いたり、黒いビニール袋に入れて夏場の直射日光に当てて熱消毒したりすると安心です。 こうした一手間が、翌年の被害を防ぐ大きな一歩となります。
敵を知り己を知れば百戦殆うからず!マメコガネの生態と被害

効果的な対策を立てるためには、まず敵であるマメコガネについてよく知ることが大切です。その生態や特徴、被害の様子を理解し、的確な駆除と予防に繋げましょう。
- マメコガネの正体とは?
- マメコガネの発生時期と一生
- 要注意!マメコガネが好む植物一覧
- 放置は危険!マメコガネがもたらす被害
マメコガネの正体とは?
マメコガネ(学名: Popillia japonica)は、コウチュウ目コガネムシ科に分類される甲虫の一種です。 体長は9mmから13mmほどで、胸部は緑色の金属光沢、前翅は赤みがかった褐色をしているのが特徴です。 日本全国に生息する在来種ですが、1916年にアメリカに侵入して以降、天敵が少ない環境で大発生。 「ジャパニーズ・ビートル」と呼ばれ、農作物に甚大な被害を与える重要害虫として恐れられています。
マメコガネの発生時期と一生
マメコガネは、通常年1回発生します。 幼虫の姿で土の中で冬を越し、春になると蛹になり、6月下旬から8月頃にかけて成虫となって地上に現れます。 成虫の活動期間は長く、暖かい地域では10月頃まで見られることもあります。
成虫は交尾後、土の中に潜って産卵します。卵から孵化した幼虫は、土の中で植物の根などを食べて成長し、そのまま越冬するというライフサイクルを繰り返します。 寒冷地では、成虫になるまでに2年かかる場合もあります。
要注意!マメコガネが好む植物一覧
マメコガネは非常に食欲旺盛で、多種多様な植物を食害する「広食性」の昆虫です。 その名の通り、特にダイズなどのマメ科植物を好みますが、被害はそれだけにとどまりません。
以下に、マメコガネが特に好み、被害を受けやすい植物の例を挙げます。
- 果樹: ブドウ、リンゴ、カキ、モモ
- 野菜: ダイズ、インゲン、トウモロコシ、アスパラガス
- 花・庭木: バラ、ハマナス、サクラ、フジ、ハギ
これらの植物を育てている場合は、特に注意深く観察し、早期発見・早期駆除を心がけることが重要です。
放置は危険!マメコガネがもたらす被害
マメコガネによる被害は、成虫と幼虫の両方によって引き起こされます。どちらも放置すると植物に深刻なダメージを与えてしまいます。
成虫による被害は、主に葉や花、果実の食害です。特に葉は、葉脈だけを残してレースのようにスカスカにされてしまう特徴的な食べ方をします。 見た目が損なわれるだけでなく、光合成が阻害されて植物の生育が悪くなります。花も食べられてしまうため、観賞価値が著しく低下します。
一方、幼虫による被害は土の中で進行するため、発見が遅れがちです。 幼虫は植物の根を食害し、水分や養分の吸収を妨げます。 被害が進行すると、植物は元気がなくなり、最終的には枯れてしまいます。芝生の場合、根が食べられて芝が剥がれやすくなることもあります。
マメコガネ駆除に関するよくある質問

ここでは、マメコガネの駆除に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q. マメコガネの天敵にはどんな生き物がいますか?
A. マメコガネには多くの天敵がいます。成虫の天敵は鳥類、ムシヒキアブ、スズメバチなどです。幼虫はモグラ、アリ、ゴミムシなどに捕食されます。 また、土の中にいる特定の細菌(乳化病菌)も幼虫の天敵となります。
Q. 牛乳や木酢液をスプレーすると効果がありますか?
A. 牛乳や木酢液は、化学農薬を使わない方法として試されることがありますが、その効果は限定的です。牛乳は乾燥する際の膜で窒息させる効果が、木酢液は忌避効果が期待されますが、確実な駆除効果は望めません。補助的な対策、あるいは予防として考えるのが良いでしょう。
Q. マメコガネを捕まえるトラップは手作りできますか?
A. はい、手作りできます。 2Lのペットボトルの上部を切り取り、逆さにしてはめ込むと簡単なトラップになります。中に誘引剤として、日本酒や焼酎に砂糖と酢を少し加えたものを入れると、匂いでおびき寄せることができます。ただし、周囲から虫を呼び寄せる可能性もあるため設置場所には注意してください。
Q. マメコガネとカナブン、ハナムグリの見分け方は?
A. これらはよく似ていますが、見分けるポイントがあります。マメコガネは体長1cm前後と小さく、胸部が緑色、翅が茶色です。カナブンは全体的に光沢のある緑色や銅色で、マメコガネより大きいことがほとんどです。ハナムグリは花の蜜や花粉を食べる益虫で、飛ぶときに前翅を開かずに飛ぶ特徴があります。害虫であるマメコガネを的確に見分けることが大切です。
Q. なぜマメコガネは大量に発生することがあるのですか?
A. いくつかの要因が考えられます。一つは、幼虫の餌となる芝生や草地が増えたことです。 また、天敵が少ない都市部の公園や、農薬の使用で天敵が減ってしまった環境では、爆発的に増えやすくなります。 餌となる植物が豊富にあることも大量発生を後押しします。
Q. 卵のうちに駆除する方法はありますか?
A. 卵は非常に小さく土の中にあるため、直接見つけて駆除するのは困難です。しかし、土の管理によって数を減らすことは可能です。プランターの土などを再利用する際に、目の細かいふるいにかけて卵や幼虫を取り除いたり、黒いビニール袋に入れて太陽熱で消毒したりする方法が有効です。
まとめ

- マメコガネは成虫も幼虫も植物を害する厄介な害虫です。
- 成虫は見つけ次第、手で捕殺するか殺虫剤で駆除します。
- 誘引トラップは集めて退治するのに有効な手段です。
- 被害の根源である幼虫は土壌用殺虫剤で駆除するのが効果的です。
- 植え替え時には土を掘り返し、幼虫を物理的に取り除きましょう。
- 予防策としてマルチングで産卵を防ぐことが重要です。
- 周囲の雑草をこまめに処理し、隠れ家をなくしましょう。
- 完熟堆肥を使い、未熟な有機物で誘引しないようにします。
- 天敵となる生き物を大切にし、生態系のバランスを保ちましょう。
- マメコガネはマメ科やバラ、ブドウなどを特に好みます。
- 成虫は葉を網目状に、幼虫は根を食害します。
- 発生時期は主に初夏から夏(6月~9月)です。
- 北米では「ジャパニーズ・ビートル」として恐れられています。
- 土の再利用時は熱消毒などで卵や幼虫を死滅させると安心です。
- 正しい知識で的確に対処し、大切な植物を守りましょう。