自宅で育てた採れたてのレモン、想像するだけでワクワクしますよね。でも、「なんだかレモンの木に虫がたくさんつく…」「葉っぱが食べられてしまった…」と悩んでいませんか?実は、レモンの木はその爽やかな香りや柔らかい葉から、虫にとって魅力的な植物なんです。でも、がっかりする必要はありません。虫がつきやすい原因を知り、正しい対策を行えば、誰でも元気なレモンを育てることができます。本記事では、レモンの木につきやすい虫の種類から、初心者でも簡単にできる対策、農薬を使わない自然な予防法まで、あなたの悩みを解決する全ての方法を詳しく解説します。
なぜ?レモンの木に虫がつきやすい3つの理由

大切に育てているレモンの木に虫が集まってくるのは、とても悲しいことですよね。でも、なぜレモンの木はそんなに虫に好かれてしまうのでしょうか。その理由を知ることで、効果的な対策が見えてきます。主な理由は以下の3つです。
- 理由1:爽やかな香りが虫を誘う
- 理由2:柔らかい新芽は格好の餌食
- 理由3:風通しが悪いと虫の隠れ家に
これらの理由を一つずつ詳しく見ていきましょう。
理由1:爽やかな香りが虫を誘う
私たち人間にとっては癒やしとなるレモンの爽やかな香り。実はこの香りが、特定の虫たちを強く引き寄せる原因の一つになっています。特に、アゲハチョウはこの香りを頼りに産卵場所を探し当てます。 アゲハチョウの幼虫は柑橘類の葉を好んで食べるため、レモンの木は絶好のターゲットになってしまうのです。 花が咲く時期には、その花の蜜を求めて他の虫たちも集まってきやすくなります。香りが強いということは、それだけ虫たちにとって「ここに美味しいものがあるよ」というサインになっているのですね。
理由2:柔らかい新芽は格好の餌食
春から夏にかけて、レモンの木は次々と新しい芽を伸ばします。このみずみずしくて柔らかい新芽は、多くの害虫にとって、まさに最高のごちそうです。特に、アブラムシは新芽にびっしりと群がり、吸汁してしまいます。 吸汁されると、新芽の成長が妨げられるだけでなく、ウイルス病を媒介される原因にもなりかねません。 また、ハモグリガ(エカキムシ)の幼虫も柔らかい葉の中に潜り込み、葉を食べ進んでしまいます。 硬くなった古い葉よりも、柔らかく栄養が豊富な新芽が狙われやすいのです。
理由3:風通しが悪いと虫の隠れ家に
葉や枝が密集して風通しが悪くなっている場所は、虫たちにとって格好の隠れ家であり、繁殖場所となります。 特に、カイガラムシやハダニといった小さくて動きの少ない害虫は、風通しの悪いジメジメした環境を好みます。 葉が重なり合っていると、薬剤を散布しても虫まで届きにくく、駆除が難しくなります。また、湿気がこもることで、すす病などの病気の原因にもなります。 定期的な剪定で風通しを良くしてあげることは、害虫予防の基本中の基本と言えるでしょう。
【写真で解説】レモンの木につきやすい代表的な害虫と被害のサイン

「レモンの木に虫がいるけど、なんていう虫だろう?」そんな疑問を解決するために、ここではレモンの木に特につきやすい代表的な害虫を、被害のサインとともに写真付きで解説します。敵の正体を知ることが、的確な対策への第一歩です。
- アブラムシ|新芽や葉がベタベタ・縮れる
- カイガラムシ|幹や枝に白い塊が付着
- ハダニ|葉の色が白っぽく抜ける
- アゲハチョウの幼虫|葉が食べられて丸坊主に
- カミキリムシ|幹に穴が開き、おがくずのようなフンが出る
- その他注意したい害虫
それぞれの特徴をしっかり掴んで、早期発見に繋げましょう。
アブラムシ|新芽や葉がベタベタ・縮れる
体長1~4mmほどの小さな虫で、緑色や黒色など様々な種類がいます。 特に春から秋にかけて、レモンの新芽や若い葉の裏にびっしりと群生します。 アブラムシは植物の汁を吸って加害し、大量に発生すると生育が阻害されてしまいます。
被害のサインとして、葉が縮れたり、成長が止まったりします。また、アブラムシの排泄物(甘露)によって葉がベタベタになり、それを栄養源とする「すす病」という黒いカビが発生することもあります。 すす病は光合成を妨げるため、間接的にもレモンの木の成長に悪影響を与えます。
カイガラムシ|幹や枝に白い塊が付着
カイガラムシは、その名の通り貝殻や白い綿のようなものを被っている害虫です。 種類が多く、形も様々ですが、レモンの木では白いワタのようなコナカイガラムシ類や、茶色く硬い殻を持つカタカイガラムシ類がよく見られます。枝や幹、葉の裏などに固着して吸汁し、樹勢を弱らせます。
一度発生すると、薬剤が効きにくい殻に守られているため駆除が厄介です。 アブラムシ同様、排泄物がすす病の原因にもなります。 見た目が虫に見えないこともあるので、枝や幹に白い汚れや茶色いイボのようなものを見つけたら、カイガラムシを疑ってみましょう。
ハダニ|葉の色が白っぽく抜ける
ハダニは0.5mm程度と非常に小さく、肉眼での確認が難しい害虫です。 主に葉の裏に寄生して汁を吸います。高温で乾燥した環境を好み、特に梅雨明けから夏にかけて繁殖が旺盛になります。
被害が進むと、葉の緑色が抜けて、カスリ状に白っぽくなります。 さらに被害が拡大すると、葉全体が白っぽくなって光合成ができなくなり、最終的には落葉してしまいます。 被害が疑われる場合は、葉の裏をよく観察したり、白い紙の上で葉を叩いてみて、小さな点が動いていないか確認してみましょう。
アゲハチョウの幼虫|葉が食べられて丸坊主に
爽やかな香りに誘われて飛来したアゲハチョウは、レモンの木の柔らかい葉に卵を産み付けます。 孵化した幼虫は、驚くほどの食欲で葉を食べ尽くしてしまいます。最初は鳥のフンのような黒っぽい見た目ですが、脱皮を繰り返して緑色の大きなイモムシ(終齢幼虫)になります。
被害は一目瞭然で、葉が不規則な形に食べられています。 数匹いるだけでも、あっという間に葉が少なくなり、ひどい場合には木が丸坊主にされてしまうことも。 特にまだ小さい苗木の場合は、被害が深刻になりやすいので注意が必要です。
カミキリムシ|幹に穴が開き、おがくずのようなフンが出る
カミキリムシの成虫はレモンの枝や葉を食害しますが、より深刻なのは幼虫(テッポウムシ)による被害です。成虫が木の幹に卵を産み付け、孵化した幼虫が幹の内部を食い荒らします。
被害のサインは、株元におがくずのような木くず(フン)が落ちていることです。 これを見つけたら、幹の内部に幼虫が侵入している証拠です。放置すると、木の内部がスカスカになって水や養分が運ばれなくなり、木全体が弱って最終的には枯れてしまうこともある、非常に危険な害虫です。
その他注意したい害虫
上記の代表的な害虫のほかにも、レモンの木には注意すべき虫がいます。
- ハモグリガ(エカキムシ):葉の中に潜り込み、白い筋状の食害痕を残します。見た目を損なうだけでなく、葉の光合成能力を低下させます。
- コナジラミ:アブラムシのように葉裏に寄生して吸汁します。木を揺すると白い小さな虫が一斉に飛び立つのが特徴です。すす病やウイルス病を媒介します。
- カメムシ:果実を吸汁し、変形や落果の原因となります。特有の臭いを放つのも厄介です。
日々の観察でこれらの虫や被害のサインを早期に発見することが、レモンの木を健康に保つ秘訣です。
【初心者でも簡単】レモンの木の害虫対策|発生前と後でやるべきこと

害虫対策は、虫が発生する前に行う「予防」と、発生してしまった後に行う「駆除」の2段構えが重要です。ここでは、初心者の方でも簡単に取り組める具体的な対策方法を、発生前と発生後に分けてご紹介します。
- 発生前にやるべき予防策
- 発生後にやるべき駆除方法
少しの手間で大きな被害を防ぐことができますので、ぜひ実践してみてください。
発生前にやるべき予防策
何よりも大切なのは、害虫を寄せ付けない環境を作ることです。日頃のちょっとした心がけで、害虫の発生リスクをぐっと減らすことができます。
適切な剪定で風通しを良くする
葉や枝が混み合っていると、湿気がこもって害虫の温床になります。 特に、内側に向かって伸びる枝や、枯れた枝、他の枝と交差している枝などを中心に切り落とし、株全体の風通しと日当たりを良くしましょう。 剪定の適期は、本格的な成長が始まる前の3月~4月頃です。 風通しを良くすることは、害虫だけでなく病気の予防にも繋がります。
防虫ネットで物理的にガードする
アゲハチョウやカミキリムシなど、飛んでくるタイプの害虫対策には、防虫ネットが非常に効果的です。 鉢植えの場合は、鉢ごとすっぽりと覆えるサイズのネットを使いましょう。地植えの場合でも、木の大きさに合わせて支柱を立ててネットを張ることで、産卵を防ぐことができます。 物理的に侵入を防ぐ最も確実な方法の一つです。
天敵(益虫)を味方につける
害虫を食べてくれるテントウムシやカマキリ、寄生蜂などの益虫は、レモンの木を守ってくれる心強い味方です。 殺虫剤をむやみに使うと、これらの益虫まで殺してしまいます。多様な植物を植えて、益虫が住みやすい環境を整えることも、長期的な害虫管理に繋がります。
コンパニオンプランツを植える
レモンの木の近くに、特定の香りで害虫を遠ざける効果のあるコンパニオンプランツを植えるのもおすすめです。 例えば、ミントやローズマリー、ニンニク、マリーゴールドなどは、アブラムシなどの害虫が嫌う香りを放ちます。 見た目も華やかになり、一石二鳥の効果が期待できます。
発生後にやるべき駆除方法
予防策を講じていても、虫が発生してしまうことはあります。そんな時は、被害が広がる前に迅速に対処することが肝心です。
少量なら手で取るのが一番!
アゲハチョウの幼虫や、見つけやすい場所にいるカイガラムシなど、数が少ないうちは手で捕まえて取り除くのが最も手軽で確実な方法です。 幼虫や卵は葉の裏にいることが多いので、見逃さないようにしましょう。
水や牛乳スプレーで洗い流す
アブラムシやハダニは、強い水流で洗い流すだけでもかなりの数を減らすことができます。 葉の裏までしっかりと水をかけましょう。また、牛乳を水で薄めたスプレーを吹きかける方法もあります。牛乳が乾くときに膜を作り、アブラムシなどを窒息させる効果が期待できます。ただし、使用後は水で洗い流さないと腐敗して臭いの原因になるので注意が必要です。
歯ブラシでこすり落とす(カイガラムシ対策)
枝や幹に固着したカイガラムシは、薬剤が効きにくい厄介な相手です。 そんな時は、使い古しの歯ブラシなどで物理的にこすり落とすのが効果的です。 木の皮を傷つけないように、優しく丁寧に行いましょう。
薬剤を使う場合の注意点とおすすめ商品
害虫が大量発生してしまい、手作業での駆除が追いつかない場合は、薬剤の使用も検討しましょう。レモンに使える食用の植物向けの殺虫剤を選び、使用方法や希釈倍率、使用回数を必ず守ってください。 カイガラムシには、幼虫が発生する時期(5月下旬~7月頃)に薬剤を散布するのが効果的です。 アース製薬の「ベニカXファインスプレー」や住友化学園芸の「ダニ太郎」など、対象の害虫や用途に合わせた様々な商品があります。
【無農薬で安心】手作りできる虫除けスプレーの作り方

「口に入れるレモンだから、できるだけ農薬は使いたくない」そう考える方は多いのではないでしょうか。実は、身近な材料で簡単に無農薬の虫除けスプレーを作ることができます。ここでは、安心して使える手作りスプレーのレシピをいくつかご紹介します。
- 酢を使った虫除けスプレー
- 唐辛子・ニンニクを使った虫除けスプレー
- 木酢液・竹酢液スプレー
- ハーブを使った虫除け
- コーヒースプレー(ハダニ対策)
手軽に試せるものばかりなので、ぜひチャレンジしてみてください。
酢を使った虫除けスプレー
お酢には殺菌効果や、虫が嫌う匂いで害虫を遠ざける効果があります。作り方はとても簡単です。
- スプレーボトルに食酢を入れます。
- 水で25~50倍程度に薄めます。
- よく振って混ぜたら完成です。
アブラムシなどの予防に効果が期待できます。 ただし、濃度が濃すぎると葉を傷める可能性があるので、最初は薄めから試してみてください。散布は、日差しの強い日中を避け、朝方や夕方に行うのがおすすめです。
唐辛子・ニンニクを使った虫除けスプレー
唐辛子の辛み成分であるカプサイシンや、ニンニクの匂いは、多くの虫が嫌います。
- 唐辛子数本と、潰したニンニク1~2片を、水500mlに一晩漬け込みます。
- 翌日、液体を布などで濾してスプレーボトルに入れます。
- 展着剤の代わりに、石鹸水を数滴加えると効果が持続しやすくなります。
アブラムシやアオムシなど、幅広い害虫に効果が期待できます。刺激が強いので、目や手にかからないように注意して使用してください。
木酢液・竹酢液スプレー
木酢液や竹酢液は、木炭や竹炭を作る際に出る煙を冷却して液体にしたもので、独特の燻製のような香りがします。この香りが害虫を寄せ付けにくくする効果があると言われています。
- ホームセンターなどで販売されている木酢液または竹酢液を用意します。
- 製品の表示に従い、水で200~500倍に薄めます。
- スプレーボトルに入れて、葉の表裏や幹に散布します。
土壌の有用な微生物を増やす効果も期待できるため、土壌改良にも役立ちます。ただし、こちらも濃度が濃すぎると植物に害を与えることがあるので、規定の希釈倍率を守りましょう。
ハーブを使った虫除け
ミントやレモングラス、ユーカリなどのハーブの精油(エッセンシャルオイル)を使ったスプレーも効果的です。
- スプレーボトルに無水エタノールを少量(5ml程度)入れます。
- お好みのハーブの精油を5~10滴加えます。
- 水を100ml程度加えて、よく振り混ぜます。
ハーブの爽やかな香りで、人間にとっては心地よいですが、虫にとっては嫌な香りとなります。 作るのも楽しく、安心して使えるのが魅力です。
コーヒースプレー(ハダニ対策)
意外かもしれませんが、コーヒーに含まれるカフェインは、ハダニなどの一部の害虫に対して殺虫効果があると言われています。
- 出がらしではなく、淹れたての濃いめのコーヒーを用意します。
- 冷ましてからスプレーボトルに入れます。
- ハダニが発生している葉の裏を中心に、たっぷりと吹きかけます。
実際に試して効果があったという声もあります。 農薬を使いたくない場合のハダニ対策として、一度試してみる価値はあるかもしれません。
よくある質問

レモンの木につく白いふわふわした虫は何ですか?
レモンの木の枝や幹、葉の付け根などに付着している白いふわふわした虫は、コナカイガラムシである可能性が高いです。 この虫は植物の汁を吸って木を弱らせるだけでなく、排泄物が原因で「すす病」という病気を引き起こすこともあります。 数が少ないうちは歯ブラシなどでこすり落とし、大量に発生している場合は薬剤での駆除を検討しましょう。
レモンの葉を食べる黒いイモムシの正体は?
レモンの葉を食べている黒くて鳥のフンのような見た目のイモムシは、アゲハチョウの若い幼虫です。 この幼虫は脱皮を繰り返すうちに緑色の大きなイモムシへと姿を変え、食欲も旺盛になります。 放置すると葉を食べ尽くされてしまう可能性があるので、見つけ次第、捕殺するのが最も効果的な対策です。
農薬はいつ散布するのが効果的ですか?
農薬を散布するタイミングは、対象とする害虫の活動時期に合わせることが重要です。例えば、カイガラムシの場合は、殻に覆われていない幼虫が多く発生する5月下旬から7月頃が最も効果的です。 また、アブラムシは春と秋に発生のピークを迎えます。 散布する時間帯は、日中の高温時を避け、風のない早朝や夕方が適しています。薬剤が蒸発しにくく、植物への負担も少なくなります。
室内で育てていても虫はつきますか?
はい、室内で育てていても虫がつく可能性はあります。 窓やドアの開閉時に外部から侵入したり、購入した土や苗に元々卵が付着していたりすることが原因です。特に、ハダニやカイガラムシは室内でも発生しやすい害虫です。 室内だからと油断せず、定期的に葉の裏などをチェックし、風通しの良い場所に置くことを心がけましょう。
虫除けにコーヒーかすは効果がありますか?
乾燥させたコーヒーかすを株元に撒くと、ナメクジなどの一部の害虫を遠ざける効果が期待できると言われています。また、土壌改良材として利用することもできます。ただし、アブラムシやハダニなど、木自体に付く害虫に対する直接的な忌避効果は限定的です。ハダニ対策としては、コーヒーを液体にしてスプレーする方が効果的とされています。
まとめ

- レモンの木は香りが良く新芽が柔らかいため虫がつきやすい。
- 風通しが悪いと害虫の温床になるため剪定が重要。
- 代表的な害虫はアブラムシ、カイガラムシ、ハダニ、アゲハ幼虫。
- アブラムシは新芽に群生し、すす病の原因にもなる。
- カイガラムシは白い綿や殻のようで、駆除が厄介。
- ハダニは葉の養分を吸い、葉を白っぽく変色させる。
- アゲハチョウの幼虫は食欲旺盛で葉を食べ尽くす。
- カミキリムシの幼虫は幹の内部を食害し、木を枯らす危険がある。
- 予防策として防虫ネットやコンパニオンプランツが有効。
- 発生後の駆除は、手で取る、水で流す、ブラシでこする方法がある。
- 農薬を使いたくない場合は、手作りの虫除けスプレーがおすすめ。
- 酢、唐辛子、ニンニク、木酢液などが手作りスプレーの材料になる。
- ハーブの精油やコーヒーも虫除けとして利用できる。
- 害虫対策は「予防」と「早期発見・早期駆除」が鍵となる。
- 日々の観察を怠らず、レモンの木の健康を守ることが大切。