青々とした美しい芝生、誰もが憧れますよね。しかし、丹精込めて育てた芝生が、いつの間にかまだらに枯れていたり、元気がなかったり…。その原因、もしかしたら目に見えない「害虫」の仕業かもしれません。害虫対策には殺虫剤が有効ですが、「いつまけばいいの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。実は、殺虫剤はまく時期を間違えると効果が半減してしまうこともあるのです。本記事では、芝生の殺虫剤をまくべきベストな時期を、害虫の種類ごとに分かりやすく解説します。大切な芝生を害虫から守り、一年中美しい緑を保つための知識を、ここでしっかり手に入れてください。
結論:芝生の殺虫剤は害虫の活動が活発になる「春」と「秋」が最適な時期

芝生の殺虫剤散布で最も重要なのは、タイミングです。一般的に、害虫が活動を始める春(3月~5月)と、越冬準備に入る前の秋(9月~11月)が、最も効果的な時期と言えます。 なぜなら、この時期に的確な対策を行うことで、害虫の大量発生を未然に防ぎ、被害を最小限に抑えることができるからです。
春は、土の中で冬を越した幼虫や卵が活動を開始する季節です。このタイミングで予防的に殺虫剤をまくことで、害虫が本格的に増え始める前に対処できます。 一方、夏は害虫の活動がピークに達しますが、被害が目に見えてからでは手遅れになることも。そして秋は、来シーズンに向けて害虫が越冬準備に入る重要な時期。ここでしっかり駆除しておくことが、翌年の被害を減らすための鍵となります。 冬は害虫の活動が鈍るため、殺虫剤の必要性は低いですが、春に向けた準備として土壌改良などを進めると良いでしょう。
【要注意】あなたの芝生は大丈夫?害虫発生のサインを見逃さないで!

「うちの芝生は大丈夫」と思っていても、害虫は静かに被害を広げているかもしれません。早期発見・早期対策が、美しい芝生を維持するコツです。日頃から芝生の様子をよく観察し、以下のようなサインがないかチェックしてみましょう。
- 芝生がまだらに枯れている
- 鳥がよく芝生をつついている
- 芝生がフカフカして、めくれる
- 夜間に蛾が飛んでいるのを見かける
- 芝生に小さな穴がポツポツ空いている
水やりや肥料を適切に行っているにも関わらず、芝生がまだらに枯れ始めたら、害虫の食害が疑われます。 また、シジュウカラなどの鳥が頻繁に芝生をつついている場合、土の中にいるコガネムシの幼虫などを探して食べている可能性があります。 これは害虫がいるという重要なサインです。さらに、芝生の上を歩いたときに部分的にフカフカしていたり、簡単にめくれてしまったりする場合は、根がコガネムシの幼虫に食べられている可能性が非常に高いでしょう。 これらのサインを見つけたら、すぐに対策を始めることが大切です。
芝生の三大害虫!種類別の特徴と効果的な殺虫剤散布時期

芝生に被害をもたらす害虫は数多くいますが、特に注意が必要なのが「コガネムシ」「シバツトガ」「スジキリヨトウ」です。これらの害虫は被害が大きく、対策が遅れると芝生が全滅してしまうことも。ここでは、それぞれの生態と効果的な殺虫剤の散布時期を詳しく解説します。
コガネムシ(幼虫)
芝生の害虫として最も厄介なのがコガネムシの幼虫です。成虫は葉を食べることもありますが、最大の被害は幼虫による根の食害です。 根を食べられた芝生は水分や養分を吸収できなくなり、やがて枯れてしまいます。最悪の場合、芝生が絨毯のようにめくれてしまうほど深刻な被害につながります。
コガネムシの成虫は夏(6月~8月頃)に現れて産卵し、孵化した幼虫が秋から翌年の春にかけて根を食害します。 そのため、殺虫剤をまく最適な時期は、幼虫がまだ小さく薬剤が効きやすい7月~9月頃と、越冬前の9月~10月頃です。 この時期を逃さず対策することが、被害を最小限に食い止めるポイントです。
おすすめの殺虫剤: ダイアジノン粒剤5、GFオルトラン粒剤、スミチオン乳剤など
シバツトガ・スジキリヨトウ(蛾の幼虫)
シバツトガやスジキリヨトウは、蛾の幼虫です。これらの幼虫は「夜盗虫(ヨトウムシ)」とも呼ばれ、その名の通り夜間に活動して芝生の葉や茎を食い荒らします。 食欲が非常に旺盛で、一晩で広範囲の芝生が食べられてしまうこともあるほど被害の進行が早いのが特徴です。 昼間は土の中や巣に隠れているため、姿を見つけにくいのも厄介な点です。
これらの害虫は春から秋(5月~10月頃)にかけて、年に2~3回発生を繰り返します。 対策のベストタイミングは、幼虫が小さいうちです。具体的には、成虫である蛾が飛んでいるのを見かけるようになったら要注意。成虫の発生ピーク(5月中旬~、7月中旬~、9月上旬~など)から少し経った頃を狙って殺虫剤を散布すると、孵化したばかりの小さな幼虫に効果的に作用します。
おすすめの殺虫剤: スミチオン乳剤、GFオルトラン粒剤/水和剤、フルスウィング顆粒水和剤など
その他の害虫
上記の三大害虫のほかにも、芝生には様々な害虫が発生します。例えば、地中にトンネルを掘って根を傷つけるケラや、茎の中に潜り込んで食害するシバオサゾウムシ、巣の周りの芝生を円形に枯らすタマナヤガなどが知られています。 これらの害虫も、主な活動時期は春から秋です。被害の状況や見かける虫の種類に応じて、適切な殺虫剤を選んで対処しましょう。多くの芝生用殺虫剤は、これらの害虫にも効果があります。
芝生用殺虫剤の選び方と使い方|粒剤と液体(乳剤)どっちがいい?

ホームセンターに行くと、様々な種類の殺虫剤が並んでいて「どれを選べばいいの?」と迷ってしまいますよね。芝生用の殺虫剤は、大きく分けて「粒剤」と「液体(乳剤)」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、目的や状況に合わせて使い分けることが大切です。
予防には「粒剤」がおすすめ!じっくり効いて手間いらず
「粒剤」は、パラパラと土にまくだけで手軽に使えるのが最大のメリットです。散布後、水やりなどで薬剤が土に溶け出し、根から吸収されて芝生全体に行き渡ります(浸透移行性)。 これにより、芝生を食べた害虫を内側から退治することができます。効果が比較的長く持続するため、害虫の発生を予防する目的での使用に非常に適しています。
使い方:
- 製品に記載されている規定量を、芝生全体にムラなく均一に散布します。
- 散布後は、薬剤を土壌に浸透させるため、たっぷりと水をまきます。
代表的な薬剤: GFオルトラン粒剤、ダイアジノン粒剤5


今いる害虫の駆除には「液体(乳剤)」!速効性が魅力
「液体(乳剤)」は、水で薄めてジョウロや噴霧器で散布するタイプです。薬剤が直接害虫に触れることで効果を発揮する(接触毒)ため、非常に速効性が高いのが特徴です。 すでに害虫が発生してしまい、「今すぐなんとかしたい!」という場合に頼りになります。葉についている害虫はもちろん、土の中にいるコガネムシの幼虫などにも、たっぷりと散布することで効果が期待できます。
使い方:
- 製品の希釈倍率に従って、水で正確に薄めます。
- ジョウロや噴霧器を使い、葉や茎、地面が十分に濡れるまで散布します。土中の害虫を狙う場合は、1㎡あたり3リットルなど、規定の量をしっかりと散布することが重要です。
代表的な薬剤: スミチオン乳剤、フルスウィング顆粒水和剤


殺虫剤を効果的に使うためのコツ
殺虫剤の効果を最大限に引き出すためには、いくつかコツがあります。まず、液体タイプの殺虫剤を使用する際には、「展着剤」を混ぜるのがおすすめです。 展着剤は、薬剤が葉や害虫に付きやすくなるのを助け、効果を高めてくれます。また、土壌が乾燥していると薬剤が浸透しにくいため、散布前に軽く散水しておくと良いでしょう。 ただし、散布直後に雨が降ると薬剤が流れてしまうため、天気予報を確認し、晴れの日が続くタイミングを選んで散布することが非常に重要です。
よくある質問

芝生に殺虫剤をまいた後、子供やペットは大丈夫?
殺虫剤を散布した後は、安全のために注意が必要です。薬剤が乾くまでは、お子様やペットが芝生に入らないようにしてください。 一般的に、薬剤が乾燥すれば安全性は高まりますが、念のため散布後24時間程度は立ち入らせない方が安心です。特に小さなお子様や、地面を舐めたりする可能性のあるペットがいるご家庭では、製品の注意書きをよく読み、記載されている指示に必ず従ってください。 安全性に配慮された天然成分由来の製品を選ぶのも一つの方法です。
殺虫剤をまく頻度はどれくらい?
殺虫剤をまく頻度は、使用する薬剤の種類や害虫の発生状況によって異なります。効果が長持ちする粒剤の場合、春と秋の年2回程度の散布が基本となることが多いです。 一方、速効性のある液体タイプは、害虫の発生が確認された都度使用するのが一般的です。ただし、どの薬剤にも年間の総使用回数に制限が設けられている場合があります。 使いすぎは芝生や環境への負担になる可能性もあるため、必ず製品ラベルを確認し、適切な使用回数を守りましょう。
雨の日に殺虫剤をまいてもいい?
雨の日に殺虫剤を散布するのは避けるべきです。雨によって薬剤が流されてしまい、効果が大幅に薄れてしまいます。 散布直後に雨が降った場合も同様です。特に、土壌に浸透させて効果を発揮するタイプの薬剤は、効果がほとんど期待できなくなります。天気予報をよく確認し、散布後少なくとも1日、できれば2~3日は晴れが続く日を選んで作業を行いましょう。
殺虫剤はどこで買える?
芝生用の殺虫剤は、お近くのホームセンターや園芸専門店、種苗店などで購入することができます。 また、Amazonや楽天市場といった大手オンラインストアでも、様々な種類の殺虫剤が販売されており、手軽に購入することが可能です。 どの薬剤を選べばよいか分からない場合は、お店の専門スタッフに相談してみるのも良いでしょう。
殺虫剤を使わない害虫対策はありますか?
薬剤に頼りたくないという場合は、まず芝生そのものを健康に育てることが最も重要です。適切な芝刈り、水やり、肥料やり、そして定期的なエアレーション(穴あけ作業)で土壌環境を改善し、風通しを良くすることで、害虫が発生しにくい丈夫な芝生になります。 また、害虫を食べてくれる鳥などの天敵が訪れやすい環境を整えることも、自然の力で害虫を抑制する助けになります。 とはいえ、一度大量発生してしまうと自然の力だけでは対処が難しくなるため、被害が広がる前に早期発見し、必要に応じて薬剤を使用することも検討しましょう。
まとめ

- 芝生の殺虫剤散布は春(3月~5月)と秋(9月~11月)が最適。
- 害虫のライフサイクルに合わせて散布するのが効果的。
- 「まだら枯れ」や「鳥の飛来」は害虫発生のサイン。
- 芝生がフカフカしたらコガネムシ幼虫の被害を疑う。
- コガネムシ幼虫対策は7月~10月が重要。
- シバツトガ・ヨトウガは成虫の発生直後が狙い目。
- 予防には効果が長持ちする「粒剤」がおすすめ。
- 発生した害虫の駆除には速効性のある「液体(乳剤)」が有効。
- 粒剤は散布後に水をまいて土壌に浸透させる。
- 液体は展着剤を混ぜると効果がアップする。
- 散布後の雨は効果を半減させるので天気予報の確認が必須。
- 散布当日は子供やペットを芝生に入らせない。
- 薬剤の使用回数制限を必ず守る。
- 健康な芝生を育てることが最大の害虫予防になる。
- 被害が広がる前の早期発見・早期対策が何より大切。
予防には「粒剤」がおすすめ!じっくり効いて手間いらず


今いる害虫の駆除には「液体(乳剤)」!速効性が魅力

