牛乳や乳製品を口にするたびにお腹がゴロゴロしたり、下痢や腹痛に悩まされたりしていませんか?それはもしかしたら、乳糖不耐症かもしれません。好きな乳製品を我慢するのはつらいものですが、乳糖不耐症対策のサプリメントを活用すれば、食生活の幅を広げられる可能性があります。
本記事では、乳糖不耐症の基本的な知識から、自分に合ったサプリメントの選び方、そして効果的な使い方までを詳しく解説します。乳製品を安心して楽しむための方法を見つけるお手伝いができれば幸いです。
乳糖不耐症とは?症状と原因、日本人に多い理由を解説

乳糖不耐症は、乳製品に含まれる「乳糖(ラクトース)」をうまく消化できないことで、さまざまな不快な症状が引き起こされる状態を指します。この症状は、乳糖を分解する酵素である「ラクターゼ」が不足しているために起こります。乳糖は、牛乳や母乳、ヨーグルトなどの乳製品に多く含まれる糖質です。
ラクターゼが不足していると、摂取した乳糖が小腸で分解されずに大腸へと運ばれてしまいます。大腸に到達した乳糖は、腸内細菌によって発酵され、ガスや酸を発生させます。これが、乳糖不耐症特有の症状の原因となるのです。
乳糖不耐症の主な症状
乳糖不耐症の症状は、乳糖を摂取してから30分から2時間以内に現れることが一般的です。症状の程度には個人差がありますが、主に以下のようなものが挙げられます。
- 腹痛や腹部の不快感
- お腹の張り(腹部膨満感)
- 下痢(水様便になることが多い)
- おならの増加
- 吐き気や嘔吐
これらの症状は、乳糖の摂取量によっても変わることがあります。少量であれば問題なくても、たくさん摂取すると症状が出るという人も少なくありません。
乳糖不耐症の原因と種類
乳糖不耐症には、大きく分けて「一次性乳糖不耐症」と「二次性乳糖不耐症」、そして稀に「先天性乳糖不耐症」があります。
一次性乳糖不耐症は、加齢とともにラクターゼの分泌量が自然に減少することで起こります。これは哺乳類全般に見られる生理的な現象であり、特に日本人を含むアジア系の成人では、約80〜90%がこのタイプであると言われています。
二次性乳糖不耐症は、ウイルス性胃腸炎や抗生物質の服用、クローン病などの腸の病気によって小腸の粘膜が損傷し、一時的にラクターゼの働きが低下することで発生します。腸の回復とともに症状が改善することが多いです。
先天性乳糖不耐症は非常に稀で、生まれつきラクターゼがほとんど、または全く欠乏している状態です。この場合、赤ちゃんは母乳や粉ミルクを飲むとすぐに重い下痢を起こします。
牛乳アレルギーとの違い
乳糖不耐症とよく混同されがちなのが「牛乳アレルギー」です。しかし、この二つは全く異なるものです。
乳糖不耐症は、乳糖を分解する酵素の不足による消化不良です。一方、牛乳アレルギーは、牛乳に含まれるタンパク質に対して免疫系が過剰に反応するアレルギー反応です。
牛乳アレルギーの症状は、じんましん、発疹、喘鳴(ぜんめい)などのアレルギー特有の症状に加え、嘔吐や腹痛、下痢なども見られます。診断には専門医による検査が必要となるため、どちらの症状か判断に迷う場合は医療機関を受診することが大切です。
乳糖不耐症サプリメントの選び方|失敗しないためのコツ

乳糖不耐症の症状を和らげるために、ラクターゼ酵素を補給するサプリメントは非常に有効な方法です。しかし、多くの種類があるため、どれを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。ここでは、自分に合ったサプリメントを見つけるためのコツをご紹介します。
酵素単位(FCCユニット)の重要性
ラクターゼサプリメントを選ぶ際に最も重要な指標の一つが、酵素の活性を示す「FCCユニット(Food Chemical Codex units)」です。この数値が高いほど、より多くの乳糖を分解できるとされています。
一般的に、1回の乳製品摂取に対して必要なFCCユニットは製品によって異なりますが、目安として3000〜9000FCC ALU(Acid Lactase Units)程度のものが多く見られます。自分の乳糖不耐症の程度や、摂取する乳製品の量に合わせて、適切なFCCユニットの製品を選ぶことが大切です。例えば、牛乳をコップ一杯飲むのと、チーズを少量食べるのとでは必要な酵素量が異なります。
成分と添加物の確認
サプリメントの成分表示をよく確認することも重要です。ラクターゼ酵素以外の成分や添加物が含まれている場合があります。アレルギー体質の方や、特定の成分を避けたい方は、購入前に必ずチェックしましょう。
また、製品によっては、乳糖不耐症の症状を和らげる目的で、プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌)やプレバイオティクス(善玉菌のエサとなる成分)が一緒に配合されているものもあります。これらの成分は、腸内環境を整える助けとなるため、より総合的なアプローチを求める方にはおすすめです。
飲みやすい形状と継続しやすい価格帯
サプリメントは継続して摂取することで効果を実感しやすくなります。そのため、飲みやすい形状であることや、無理なく続けられる価格帯であることも大切な選び方のポイントです。
カプセル、錠剤、チュアブル(噛んで摂取するタイプ)、液体など、さまざまな形状があります。自分が最も摂取しやすい形状を選びましょう。また、毎日摂取することを考えると、コストパフォーマンスも考慮に入れる必要があります。長期的に続けられる価格帯の製品を選ぶことが、症状の安定した改善につながります。
プロバイオティクスや他の成分との組み合わせ
乳糖不耐症の対策として、ラクターゼ酵素だけでなく、プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌)を組み合わせる方法も注目されています。プロバイオティクスは、腸内環境を整えることで、乳糖の分解を間接的に助けたり、腸の不快感を軽減したりする効果が期待できます。
特に、乳酸菌やビフィズス菌の中には、乳糖を分解する能力を持つものもあります。ラクターゼ酵素サプリメントと併用することで、より効果的な乳糖不耐症対策となる可能性があります。ただし、プロバイオティクスサプリメントを選ぶ際も、菌の種類や配合量、生きたまま腸に届く工夫がされているかなどを確認することが大切です。
【厳選】おすすめの乳糖不耐症サプリメントを徹底比較

乳糖不耐症の症状を和らげるためのサプリメントは多種多様です。ここでは、一般的に評価が高く、多くの人に選ばれているサプリメントのタイプと、その特徴についてご紹介します。ご自身の症状やライフスタイルに合わせて、最適なものを見つける参考にしてください。
高活性ラクターゼ酵素配合タイプ:特徴とおすすめポイント
このタイプは、高いFCCユニットを持つラクターゼ酵素を主成分としています。乳製品を摂取する直前に服用することで、体内で乳糖が分解されるのを助け、腹痛や下痢などの症状を効果的に防ぐことを目指します。
例えば、海外製品では「Natural Factors Lactase Enzyme 9000 FCC ALU」や「Nature’s Way Lactose Defense」などが知られています。これらの製品は、乳糖の分解能力に特化しており、特に乳製品を多く摂取する機会がある方や、症状が比較的重い方におすすめです。
カプセルや錠剤の形状が多く、携帯しやすいのも利点です。
プロバイオティクス配合タイプ:特徴とおすすめポイント
ラクターゼ酵素に加えて、乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスを配合したサプリメントもあります。これらの製品は、乳糖の分解を助けるだけでなく、腸内環境全体の改善を目指します。
腸内環境が整うことで、乳糖不耐症の症状が間接的に和らぐことや、消化機能が向上する可能性も期待できます。例えば、「Schiff Digestive Advantage デイリープロバイオティクス+乳糖サポート」のような製品がこれに該当します。長期的な腸の健康を考えたい方や、乳糖不耐症だけでなく便秘や軟便などの腸の悩みも抱えている方におすすめです。
乳糖分解酵素入りプロテイン:特徴とおすすめポイント
筋力トレーニングをしている方や、日頃からプロテインを摂取している乳糖不耐症の方には、あらかじめ乳糖分解酵素が配合されたプロテインが便利です。通常のホエイプロテイン(WPC)には乳糖が多く含まれるため、乳糖不耐症の方には不向きな場合があります。
しかし、WPI(Whey Protein Isolate)製法で乳糖が除去されたプロテインや、ラクターゼ酵素が添加されたプロテインであれば、乳糖不耐症の方でも安心して摂取できます。例えば、「DNS Pro X(乳糖分解酵素配合)」のような製品があります。乳製品由来のプロテインを摂取したいけれど、お腹の調子が気になる方に最適な選択肢です。
市販薬や医療用酵素剤との違い
乳糖不耐症対策として、サプリメント以外にも市販薬や医療用酵素剤が存在します。これらは、サプリメントとは異なる位置づけであることを理解しておくことが大切です。
日本国内で「医薬品」として流通しているラクターゼ製剤は少なく、主に乳幼児の乳糖不耐症に対して医師が処方する「ミルラクト細粒」などがあります。これは、乳糖分解酵素(β-ガラクトシダーゼ)を主成分とする医療用医薬品です。
一方、薬局や通販で手に入る「指定医薬部外品」や「サプリメント」扱いのラクターゼ製剤もあります。これらは医薬品ではないため、効果や品質が製品によって異なる可能性があります。例えば、「米田薬品工業 ビオラクターゼプラス」は、乳酸菌や納豆菌とともに消化酵素を配合した指定医薬部外品です。
サプリメントは、あくまで食事の補助を目的としたものであり、病気の治療を目的とした医薬品とは異なります。症状が重い場合や、どの製品を選べば良いか迷う場合は、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
乳糖不耐症サプリメントの効果的な使い方と注意点

乳糖不耐症サプリメントを最大限に活用し、不快な症状を避けるためには、正しい使い方を知ることが重要です。また、サプリメントだけに頼らず、日常生活でできる対策も併せて行うことで、より快適な毎日を送れるでしょう。
摂取タイミングと量の調整
ラクターゼ酵素サプリメントは、乳糖を分解する酵素を補うものですから、乳製品を摂取する直前、または同時に服用するのが最も効果的です。胃酸によって酵素が失活するのを防ぐため、食事と一緒に摂取することで、胃から腸への排出が遅くなり、酵素が乳糖に作用する時間を確保できます。
摂取量は、製品に記載されている目安量を守ることが基本ですが、自分の乳糖不耐症の程度や、摂取する乳製品の量に応じて調整することも可能です。例えば、牛乳をコップ一杯飲む場合と、ケーキを食べる場合では、必要な酵素量が異なることがあります。少量から試してみて、効果を見ながら量を調整していくと良いでしょう。
サプリメント以外の乳糖不耐症対策
サプリメントは強力な味方ですが、それだけに頼るのではなく、日々の食生活でできる対策も取り入れることで、より快適に過ごせます。
- 乳糖の少ない乳製品を選ぶ:ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品は、製造過程で乳糖がある程度分解されているため、牛乳に比べて乳糖が少ないです。特にハードチーズは乳糖がほとんど含まれていません。
- 乳糖除去ミルクや植物性ミルクを活用する:市販されている「乳糖ゼロ牛乳」や、豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクなどの植物性ミルクは、乳糖不耐症の方でも安心して飲めます。
- 少量ずつ摂取する:一度に大量の乳製品を摂取するのではなく、少量に分けて摂取することで、お腹への負担を減らせます。
- 食事と一緒に乳製品を摂る:空腹時に乳製品を摂るよりも、他の食べ物と一緒に摂ることで、胃からの排出が遅くなり、乳糖の消化がゆっくり進むため、症状が出にくくなることがあります。
乳製品摂取時のカルシウム・ビタミンD補給
乳糖不耐症のために乳製品を避けていると、カルシウムやビタミンDが不足しやすくなることがあります。これらの栄養素は骨の健康維持に不可欠であり、不足すると骨粗しょう症のリスクが高まる可能性もあります。
乳製品以外にも、カルシウムを豊富に含む食品はたくさんあります。例えば、小魚、緑黄色野菜(小松菜、ブロッコリーなど)、大豆製品(豆腐、納豆など)などが挙げられます。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、きのこ類や魚類に多く含まれるほか、日光を浴びることでも体内で生成されます。
食事からの摂取が難しい場合は、カルシウムやビタミンDのサプリメントを検討するのも一つの方法です。栄養バランスの取れた食生活を心がけ、必要に応じてサプリメントで補給することで、乳糖不耐症と上手に付き合いながら健康を維持できます。
乳糖不耐症サプリメントに関するよくある質問

- サプリメントだけで乳糖不耐症は完全に解決しますか?
- 子供でも乳糖不耐症サプリメントは使えますか?
- 乳糖不耐症サプリメントに副作用はありますか?
- どこで購入できますか?
- 乳糖不耐症は治りますか?
- 乳糖不耐症の検査はどこで受けられますか?
サプリメントだけで乳糖不耐症は完全に解決しますか?
サプリメントは、乳糖不耐症の症状を和らげるための助けとなりますが、完全に解決するわけではありません。乳糖不耐症は、体質や腸の状態によるものであり、サプリメントは不足している酵素を一時的に補うものです。乳糖を摂取する際にサプリメントを併用することで、不快な症状を軽減できますが、根本的に体質が変わるわけではないことを理解しておくことが大切です。
子供でも乳糖不耐症サプリメントは使えますか?
子供の乳糖不耐症に対しては、医師の診断のもと、医療用の乳糖分解酵素剤(ミルラクトなど)が処方されることがあります。市販のサプリメントを子供に与える場合は、必ず小児科医に相談し、適切な製品と用量を確認するようにしてください。特に乳幼児の場合は、自己判断での使用は避けるべきです。
乳糖不耐症サプリメントに副作用はありますか?
ラクターゼ酵素サプリメントは、一般的に安全性が高いとされていますが、体質によってはごく稀にアレルギー反応や胃腸の不調(便秘、腹部膨満感など)を引き起こす可能性があります。もし異常を感じた場合は、すぐに使用を中止し、医師に相談してください。
どこで購入できますか?
乳糖不耐症サプリメントは、ドラッグストア、薬局、オンラインショップなどで購入できます。海外製品はiHerbなどの個人輸入サイトで多く取り扱われています。国内の製品としては、指定医薬部外品としてラクターゼ酵素を含む整腸剤なども存在します。
乳糖不耐症は治りますか?
一次性乳糖不耐症(加齢による酵素減少)は、現在のところ根本的に治す方法はありません。しかし、サプリメントの活用や食事の工夫によって、症状を効果的に管理し、快適な生活を送ることは十分に可能です。二次性乳糖不耐症の場合は、原因となる腸の病気が治れば、ラクターゼの働きが回復し、症状が改善することもあります。
乳糖不耐症の検査はどこで受けられますか?
乳糖不耐症の検査は、消化器内科や小児科で受けられます。主な検査方法としては、乳製品を除去した食事で症状の変化を見る方法、乳糖を摂取した後の呼気中の水素ガス量を測定する「水素呼気試験」、血糖値の変化を見る「乳糖耐量試験」などがあります。症状が気になる場合は、まずは医療機関を受診して相談しましょう。
まとめ
- 乳糖不耐症は、乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」の不足で起こる消化不良の症状です。
- 腹痛、下痢、お腹の張り、おならの増加などが主な症状として現れます。
- 日本人を含むアジア系の人々に一次性乳糖不耐症が多いとされています。
- サプリメントを選ぶ際は、酵素単位(FCCユニット)の高さが重要です。
- 成分や添加物、飲みやすい形状、継続しやすい価格帯も考慮しましょう。
- プロバイオティクス配合のサプリメントは、腸内環境の改善も期待できます。
- 乳糖分解酵素入りのプロテインは、乳糖不耐症のトレーニーにおすすめです。
- サプリメントは乳製品摂取直前、または同時に服用するのが効果的です。
- 乳糖の少ない乳製品や乳糖除去ミルクの活用も有効な対策です。
- 乳製品を避ける場合は、カルシウムやビタミンDの補給を意識しましょう。
- サプリメントは症状を和らげるもので、根本的な治療薬ではありません。
- 子供への使用や症状が重い場合は、必ず医師に相談してください。
- 乳糖不耐症の検査は消化器内科や小児科で受けられます。
- 市販薬や医療用酵素剤とサプリメントの違いを理解することが大切です。
- 自分に合った対策を見つけて、乳製品を安心して楽しみましょう。
