大切に育てている庭の植物が、気づけば穴だらけになっていませんか?キラキラと光るその虫、コガネムシかもしれません。見た目は綺麗でも、実はガーデニングの大敵。大量発生すると、あっという間に庭をボロボロにしてしまいます。本記事では、なぜコガネムシが大量発生するのか、その根本原因から、今すぐできる駆除方法、そして来年こそは発生させないための徹底的な予防策まで、詳しく解説していきます。
コガネムシが大量発生する3つの主な原因

なぜあなたの庭にだけ、コガネGムシが大量に発生してしまうのでしょうか。その原因は、コガネムシにとって「最高の環境」が整ってしまっているからかもしれません。コガネムシが好む環境を知ることが、対策の第一歩です。
- 産卵に最適な土壌環境
- 成虫を引き寄せる植物や匂い
- 天敵がいない住環境
原因1:産卵に最適なふかふかの土壌
コガネムシの大量発生に悩む庭は、皮肉なことに、植物がよく育つ手入れの行き届いた土壌であることが多いです。コガネムシのメスは、卵を産む場所として、有機質が豊富でふかふかした柔らかい土を好みます。特に、腐葉土や堆肥をたくさん使っている土は、幼虫にとって格好の餌場となり、安心して成長できる環境なのです。
幼虫は土の中で植物の根を食べて成長します。 そのため、水はけが良く、栄養満点の土は、コガネムシの繁殖サイクルを助長してしまうのです。プランターや鉢植えも例外ではなく、市販の培養土は栄養豊富で産卵場所に選ばれやすい傾向にあります。
原因2:成虫が好む植物と甘い香り
コガネムシの成虫は、特定の植物の葉や花を好んで食べます。特に、バラ科の植物(バラ、サクラ、ウメなど)、マメ科の植物(ダイズ、インゲンなど)、ブドウ、ブルーベリーなどは大好物です。 これらの植物を育てていると、コガネムシが匂いに誘われて集まりやすくなります。
また、熟した果実の甘い香りや、樹液の匂いにも引き寄せられます。成虫は食欲旺盛で、葉を葉脈だけ残して網目状に食べてしまうため、見た目が悪くなるだけでなく、植物の光合成を妨げ、生育を著しく阻害します。
原因3:天敵の不在と都市環境
自然界には、コガネムシを捕食する天敵が存在します。鳥類(ムクドリなど)、カエル、ヤモリ、クモ、アリなどがその代表例です。 しかし、都市部や住宅地では、これらの天敵が少ないため、コガネムシが天敵を気にすることなく繁殖しやすい環境になっています。
また、夜間の照明もコガネムシを引き寄せる一因です。コガネムシの多くの種類は夜行性で、光に集まる習性があります。 庭のライトや室内の明かりが漏れていると、夜間にコガネムシを呼び寄せてしまい、翌朝の大量発生につながることがあります。
【緊急】大量発生したコガネムシの駆除方法

すでにコガネムシが大量発生してしまった場合、一刻も早く対処しないと被害はどんどん拡大します。ここでは、成虫と幼虫、それぞれに効果的な駆除方法を、薬剤を使う方法と使わない方法に分けてご紹介します。
- 成虫の駆除方法
- 幼虫(ネキリムシ)の駆除方法
- 薬剤を使わない自然派の駆除方法
成虫の駆除:見つけ次第、即捕殺!
成虫を見つけたら、とにかく捕まえて駆除するのが最も手っ取り早く確実な方法です。動きが鈍い早朝や雨の日が狙い目です。 庭木を揺するとポトポトと落ちてくるので、下に網やビニールシートを広げておくと効率的に捕獲できます。
直接触るのに抵抗がある場合は、割り箸や火ばさみを使うと良いでしょう。捕まえたコガネムシは、石鹸水を入れたバケツに入れると動けなくなります。また、数が多すぎて手作業では追いつかない場合は、農薬の散布が効果的です。「スミチオン乳剤」や「マラソン乳剤」などが代表的で、植物にかけることでコガネムシを駆除できます。
幼虫の駆除:土の中の厄介者を退治
コガネムシの被害で最も深刻なのは、実は土の中にいる幼虫による根の食害です。 植物の元気がない、水やりをしてもぐったりしている、株元がグラグラするといった症状が見られたら、幼虫の被害を疑いましょう。
幼虫の駆除には、土に混ぜるタイプの殺虫剤が有効です。「ダイアジノン粒剤」や「オルトラン粒剤」は、土壌害虫に広く効果があり、植え付け時や株元に撒くことで、幼虫を退治し、新たな産卵を防ぐ効果も期待できます。 鉢植えの場合は、一度土をすべて取り出し、幼虫を手で取り除いてから新しい土に植え替えるのも確実な方法です。
薬剤を使わない駆除方法
小さなお子様やペットがいるご家庭では、できるだけ薬剤を使いたくないものです。そんな方におすすめなのが、薬剤を使わない駆除方法です。
一つは、木酢液の利用です。木酢液を水で薄めて植物や土に散布すると、その独特の匂いを嫌ってコガネムシが寄り付きにくくなります。
もう一つは、フェロモントラップの設置です。これは、コガネムシのオスを誘引するフェロモンを利用して捕獲する罠です。 発生状況の確認にも役立ちます。
さらに、椿油粕に含まれる「サポニン」という成分も幼虫駆除に効果があります。 水に溶かして土に撒くことで、土中の幼虫を駆除することができます。ただし、ミミズなど益虫にも影響が出る可能性があるので注意が必要です。
【来年に向けて】コガネムシを二度と発生させないための予防策

一度コガネムシの駆除が終わっても、安心はできません。来年以降、再び大量発生させないためには、コガネムシが寄り付かない、産卵できない環境を作ることが重要です。ここでは、長期的な視点に立った予防策を解説します。
- 産卵を防ぐ物理的な対策
- 成虫を寄せ付けない植物の活用
- 土壌管理と薬剤による予防
産卵を防ぐ物理的な対策:マルチングと防虫ネット
コガネムシのメスは土の中に産卵するため、土の表面を物理的に覆ってしまうのが非常に効果的です。この方法を「マルチング」と呼びます。
鉢植えやプランターには、ヤシ繊維でできた円盤状のマットや、不織布のマルチングシートがおすすめです。 これらを株元に敷くことで、コガネムシが土に潜り込んで産卵するのを防ぎます。バークチップなどでも一定の効果はありますが、隙間から侵入される可能性があるため、隙間なく覆えるシート状のものがより確実です。 地植えの場合は、防草シートで広範囲を覆うのも良いでしょう。
また、特に守りたい大切な植物には、防虫ネットをかけるのも有効な手段です。
成虫を寄せ付けない!コンパニオンプランツの活用
コガネムシが嫌う匂いを放つ植物を一緒に植える「コンパニオンプランツ」も、予防策として有効です。コガネムシは、ニンニク、チャイブ、タンジー、マリーゴールドなどの強い香りを嫌う傾向があります。
これらの植物をバラや果樹の株元に植えておくことで、コガネムシが寄り付きにくくなる効果が期待できます。見た目も華やかになり、ガーデニングの楽しみも増えるでしょう。ただし、これだけで完全に防げるわけではないため、他の対策と組み合わせることが大切です。
土壌管理と薬剤による先手必勝の予防
毎年コガネムシの発生に悩まされている場所では、春先の土壌管理が重要になります。苗の植え付けや植え替えのタイミングで、あらかじめ土に「ダイアジノン粒剤3」などの予防薬を混ぜ込んでおくと、シーズン中の幼虫の発生を大幅に抑制することができます。
特に、前年に大量発生した場合は、土の中に越冬した幼虫や卵が残っている可能性が高いです。春に土を掘り返し、幼虫がいないかチェックする習慣をつけるのも良いでしょう。見つけ次第、駆除することで、成虫になる前の段階で数を減らすことができます。
コガネムシ対策のプロが答える!よくある質問

ここでは、コガネムシ対策に関して、お客様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。疑問を解消して、万全の対策を行いましょう。
コガネムシが大量発生する原因は何ですか?
コガネムシが大量発生する主な原因は3つ考えられます。
- 産卵に適した土壌:腐葉土や堆肥が豊富で、ふかふかした柔らかい土は、コガネムシにとって絶好の産卵場所となります。
- 好物の植物:バラ科やマメ科の植物、果樹など、成虫が好む植物が植えられていると、匂いに誘われて集まってきます。
- 天敵の不在:都市部など、コガネムシを捕食する鳥やカエルなどの天敵が少ない環境では、繁殖しやすくなります。
コガネムシは何に寄ってきますか?
コガネムシは、様々なものに引き寄せられます。成虫は、バラ、サクラ、ダイズ、ブドウ、ブルーベリーといった特定の植物の葉や花、そして熟した果実や樹液の甘い香りを好みます。 また、多くの種類が夜行性であるため、夜間の照明にも集まる習性があります。 一方、産卵期のメスは、有機質が豊富で水はけの良い、ふかふかの土に引き寄せられます。
コガネムシの弱点は何ですか?
コガネムシにはいくつかの弱点があります。成虫は、早朝や雨天時には動きが鈍くなるため、捕獲しやすくなります。 また、ニンニクやマリーゴールドなど、特定の植物が放つ強い香りを嫌います。幼虫は土の中で生活していますが、乾燥や、逆に水浸しの環境には弱いです。また、椿油粕に含まれるサポニンという成分は、幼虫の体に作用し駆除効果があります。
コガネムシとカナブンの見分け方を教えてください。
コガネムシとカナブンは非常によく似ていますが、見分けるポイントがいくつかあります。
特徴 | コガネムシ(害虫) | カナブン(益虫寄り) |
---|---|---|
頭の形 | 丸みを帯びている | 四角張っている |
羽の付け根 | 半円形 | 逆三角形 |
食性 | 植物の葉や根を食べる | 樹液や腐った果物を好む |
飛び方 | 羽を広げて飛ぶ | 羽を閉じたまま飛ぶ |
最も分かりやすいのは、食性です。植物の葉を食べているのは、害虫であるコガネムシの可能性が高いです。
コガネムシの発生時期はいつですか?
コガネムシの活動時期は種類によって多少異なりますが、一般的に成虫は初夏から夏(6月~9月頃)にかけて最も活発に活動します。 幼虫は土の中で越冬し、春に蛹になり、初夏に成虫となって地上に出てきます。そして夏に産卵し、孵化した幼虫は秋にかけて根を食べながら成長します。そのため、幼虫による被害は秋(9月~10月)と、越冬後の春(4月~5月)に特に多く見られます。
まとめ

- コガネムシの大量発生は、産卵しやすい土壌が原因の一つです。
- バラ科やマメ科の植物はコガネムシ成虫を誘引します。
- 都市部では天敵が少なく、コガネムシが繁殖しやすいです。
- 成虫の駆除は、動きが鈍い早朝が狙い目です。
- 幼虫にはダイアジノン粒剤などの土壌殺虫剤が有効です。
- 薬剤を使わない対策として木酢液やトラップがあります。
- 産卵防止にはマルチングが非常に効果的です。
- 鉢植えの土の表面を不織布などで覆いましょう。
- ニンニクやマリーゴールドは忌避効果が期待できます。
- 毎年発生する場所では、春先に薬剤を土に混ぜ込むのがおすすめです。
- 植物の元気がない時は、根の食害を疑いましょう。
- コガネムシとカナブンは頭の形や食性で見分けられます。
- 成虫の活動ピークは6月~9月です。
- 幼虫の被害は春と秋に多くなります。
- 諦めずに複合的な対策を続けることが重要です。