大切に育てている菊に、いつの間にか虫がついていてショックを受けた経験はありませんか?「葉が食べられている」「新芽に黒い点がびっしり…」そんな状況を見ると、どうしていいか分からず不安になりますよね。でも、安心してください。適切な対策を知れば、あなたの美しい菊を害虫から守ることができます。
本記事では、菊に発生しやすい害虫の種類から、それぞれの特徴に合わせた駆除方法、そして最も重要な「虫を寄せ付けないための予防策」まで、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説します。この記事を読めば、もう菊の害虫に悩まされることはありません。さあ、一緒に大切な菊を守るための第一歩を踏み出しましょう。
まず確認!菊を襲う代表的な害虫ワースト5とその対策

菊の栽培で特に注意すべき、代表的な害虫がいます。まずは、最も被害に遭いやすい5種類の害虫について、その特徴と基本的な対策を把握しましょう。早期発見・早期対応が、被害を最小限に食い止める鍵となります。
- アブラムシ|新芽や蕾にびっしり群がる小さな虫
- ハダニ|葉の色を悪くする見えないほどの小さな敵
- アザミウマ(スリップス)|花びらや葉を汚す厄介者
- ヨトウムシ・アオムシ|夜間に葉を食い荒らす大食漢
- キクスイカミキリ|菊の天敵!茎を枯らす専門家
アブラムシ|新芽や蕾にびっしり群がる小さな虫
菊の害虫と聞いて、多くの方が真っ先に思い浮かべるのがアブラムシではないでしょうか。体長2~4mmほどの小さな虫で、緑色や黒色、茶色など様々な色をしています。特に春から秋にかけて、暖かく風通しの悪い環境で爆発的に増殖します。
アブラムシは、菊の新芽や若葉、蕾といった柔らかい部分に群がり、口針を突き刺して汁を吸います。これにより、菊の生育が阻害されたり、葉が縮れたりするだけでなく、アブラムシの排泄物(甘露)が原因で「すす病」という黒いカビが発生し、光合成を妨げてしまうこともあります。さらに、ウイルス病を媒介する厄介な存在でもあります。
発見したら、被害が少ないうちは歯ブラシなどでこすり落としたり、粘着テープで取り除いたりするのが手軽です。数が増えてしまった場合は、市販のアブラムシ用殺虫剤を散布するのが効果的です。「ベニカXネクストスプレー」などの薬剤は、アブラムシだけでなく他の害虫や病気にも効果があるため、1本持っておくと便利でしょう。
ハダニ|葉の色を悪くする見えないほどの小さな敵
「なんだか菊の葉の色が悪いな…」と感じたら、ハダニの発生を疑ってみましょう。ハダニは体長0.5mm程度と非常に小さく、肉眼での確認は困難です。しかし、その被害は甚大で、葉の裏に寄生して汁を吸います。被害が進むと、葉にかすり状の白い斑点が現れ、やがて葉全体が白っぽくなり、元気がなくなって枯れてしまいます。
ハダニは高温で乾燥した環境を好み、特に梅雨明けから夏にかけて多く発生します。水に弱いため、定期的に葉の裏に水をかける「葉水」が有効な予防策になります。すでに発生してしまった場合は、ハダニ専用の殺ダニ剤を使用する必要があります。アブラムシ用の殺虫剤では効果がない場合が多いので注意が必要です。薬剤を散布する際は、ハダニが潜む葉の裏側までしっかりと薬液がかかるようにしましょう。
アザミウマ(スリップス)|花びらや葉を汚す厄介者
アザミウマ、別名スリップスは、体長1~2mmほどの細長い虫です。花や葉に寄生し、汁を吸います。被害を受けた部分は、白いかすり状の傷になったり、黒い糞によって汚れたりします。特に蕾の時期に被害にあうと、花びらが奇形になったり、きれいに開かなくなったりと、観賞価値を著しく損ないます。
アザミウマは非常に小さく、飛ぶこともできるため、防除が難しい害虫の一つです。青色の粘着シートを設置して物理的に捕獲する方法や、薬剤による防除が一般的です。アザミウマは薬剤抵抗性を持ちやすいという特徴があるため、同じ薬剤を続けて使用するのではなく、系統の異なる複数の薬剤をローテーションで散布することが駆除のコツです。
ヨトウムシ・アオムシ|夜間に葉を食い荒らす大食漢
「朝起きたら、菊の葉がボロボロに食べられていた!」そんな場合は、ヨトウムシやアオムシの仕業かもしれません。これらの虫は蛾の幼虫で、昼間は土の中や葉の裏に隠れ、夜になると活動を開始して葉や蕾、花を食い荒らします。特にヨトウムシは「夜盗虫」と書くように、夜間の食害が特徴です。
若齢幼虫の頃は集団で葉の裏を食べるため、葉が白く透けたように見えます。成長するにつれて食欲旺盛になり、一晩で株が丸裸にされてしまうこともあります。見つけ次第、割り箸などで捕殺するのが最も確実な方法です。数が多い場合や、見つけられない場合は、浸透移行性の殺虫剤である「オルトラン粒剤」を株元にまいておくと、食害した虫を駆除できます。
キクスイカミキリ|菊の天敵!茎を枯らす専門家
菊を専門に加害する害虫として、キクスイカミキリの存在は忘れてはなりません。成虫は体長1cmほどの小さなカミキリムシで、春から初夏にかけて現れます。成虫は菊の茎に産卵管を刺して傷をつけ、その少し下をかじって萎れさせます。この傷から上部は水分が供給されなくなり、やがて枯れてしまいます。
最大の問題は、茎の内部に孵化した幼虫が侵入し、茎の内部を食べてしまうことです。これにより、株全体の生育が悪くなり、最悪の場合、株ごと枯れてしまいます。茎の先端が萎れているのを見つけたら、それはキクスイカミキリの被害のサインです。被害にあった部分は、幼虫ごと切り取って必ず処分してください。予防としては、成虫を見つけ次第捕殺することや、薬剤を散布することが有効です。
【症状別】あなたの菊はどれ?害虫の種類と見分け方

害虫対策の第一歩は、相手を正確に知ることです。ここでは、被害の症状別に、考えられる害虫の種類とその特徴を詳しく解説します。あなたの菊の状態と照らし合わせながら、原因となっている害虫を特定しましょう。
新芽や蕾に集まる虫
菊の成長点である新芽や、これから美しく咲くはずの蕾は、害虫にとって格好の餌食です。この部分に被害が集中すると、株全体の生育に大きな影響が出てしまいます。
アブラムシ類
特徴: 体長2~4mm。緑、黒、茶色など。新芽や蕾、若い葉の裏にびっしりと群生します。
被害: 汁を吸われることで生育が阻害され、葉が縮れます。排泄物(甘露)にすす病が発生し、葉が黒くなることも。ウイルス病を媒介します。
対策: 発生初期なら手や歯ブラシで取り除く。数が多い場合は「ベニカXネクストスプレー」などの殺虫剤を散布。牛乳スプレーや木酢液も一定の効果があります。
アザミウマ類(スリップス)
特徴: 体長1~2mm。黄色や黒色の細長い虫。花や新芽に潜り込みます。
被害: 汁を吸われた花びらや葉は、白いかすり状の斑点ができたり、茶色く変色したりします。蕾が被害にあうと花が奇形になります。
対策: 青色の粘着シートで捕殺。薬剤散布が効果的ですが、抵抗性がつきやすいため、「モスピラン液剤」や「ダントツ水溶剤」など系統の違う薬剤をローテーションで使用します。
葉を食べる・汁を吸う虫
葉は光合成を行い、菊が成長するためのエネルギーを作る大切な場所です。葉に被害が出ると、株が弱り、花つきも悪くなってしまいます。
ハダニ類
特徴: 体長0.5mm程度。赤色や黄色。非常に小さく肉眼では見えにくい。葉の裏に寄生します。
被害: 葉の裏から汁を吸い、葉に白いかすり状の斑点ができます。被害が進むと葉全体が白っぽくなり、落葉します。
対策: 水に弱いので、定期的な葉水が予防になります。発生したら「コロマイト乳剤」などの殺ダニ剤を葉裏までしっかり散布します。
ヨトウムシ・アオムシ類
特徴: 蛾の幼虫。体長は様々で、緑色や褐色のイモムシ状。昼間は隠れていて夜に活動します。
被害: 葉や蕾、花びらを旺盛な食欲で食べ尽くします。新葉が好物で、一晩で大きな被害が出ることも。
対策: 見つけ次第、捕殺するのが一番です。夜間に懐中電灯で探すと見つけやすいでしょう。「オルトラン粒剤」を株元にまくか、「BT剤」などの食毒剤を散布するのも有効です。
ハモグリバエ(エカキムシ)
特徴: 幼虫が葉の内部に潜り込み、食害します。成虫は小さなハエです。
被害: 葉の表面に、白い線で絵を描いたような食害痕が残ります。見た目を損ないますが、大量発生しなければ株が枯れることは少ないです。
対策: 食害痕の先端に幼虫がいるので、指で潰します。被害にあった葉は取り除いて処分しましょう。薬剤なら「ベニカXネクストスプレー」などが有効です。
茎や根に被害を与える虫
茎や根は、植物の体を支え、水や養分を運ぶ重要な器官です。これらの部分が害虫にやられると、被害は株全体に及び、時には致命傷となることもあります。
キクスイカミキリ
特徴: 体長1cmほどの黒く細いカミキリムシ。春から初夏に発生します。
被害: 成虫が茎に傷をつけて産卵し、その影響で茎の先端が萎れます。孵化した幼虫は茎の内部を食い荒らし、株を弱らせます。
対策: 先端が萎れた茎を見つけたら、被害部分より下で切り取り、必ず焼却などで処分します。成虫を見つけ次第捕殺することも重要です。予防的に殺虫剤を散布するのも効果があります。
ネキリムシ
特徴: ヨトウムシと同じく蛾の幼虫の一種。土の中に潜んでいます。
被害: 夜間に地表に出てきて、若い苗の地際部分の茎をかじり、切り倒してしまいます。定植したばかりの苗が被害に遭いやすいです。
対策: 被害にあった株の周りの土を浅く掘ると、丸まった幼虫が見つかることがあります。捕殺しましょう。予防として、植え付け時に「ダイアジノン粒剤」などの土壌用殺虫剤を混ぜ込むのが効果的です。牛乳パックなどで苗の周りをガードするのも良い方法です。
初心者でも安心!菊の害虫駆除の基本と薬剤の選び方

害虫を見つけたら、迅速な対応が必要です。しかし、やみくもに対処しては効果が薄いばかりか、菊を傷めてしまう可能性もあります。ここでは、基本的な駆除の手順と、効果的な薬剤の選び方について解説します。
ステップ1:見つけたらすぐ取る!物理的駆除
害虫対策の基本中の基本は、見つけたらすぐに取り除くことです。特に、発生初期で数が少ない場合は、この物理的駆除が最も手軽で効果的な方法となります。
アブラムシであれば、古い歯ブラシでこすり落としたり、粘着力の弱いテープに貼り付けて取ったりできます。ヨトウムシやアオムシのような大きな幼虫は、割り箸などでつまんで捕殺しましょう。こうした地道な作業が、被害の拡大を防ぐ第一歩となります。
また、ハダニ対策として紹介した「葉水」も物理的駆除の一種です。強い水流で葉の裏のハダニを洗い流すことで、数を減らすことができます。ただし、病気の原因になることもあるため、風通しの良い日中に行い、葉が早く乾くように心がけましょう。
ステップ2:被害拡大には薬剤を!化学的駆除
物理的駆除では追いつかないほど害虫が増えてしまった場合や、キクスイカミキリのように内部に侵入する害虫には、薬剤(農薬)の使用が有効な手段となります。薬剤と聞くと抵抗がある方もいるかもしれませんが、用法・用量を守って正しく使えば、安全かつ効果的に害虫を駆除できます。
薬剤には、スプレータイプ、粒剤タイプ、希釈タイプなど様々な形状があります。初心者の方には、購入してすぐに使えるスプレータイプが手軽でおすすめです。散布する際は、風のない天気の良い日中を選び、マスクや手袋を着用しましょう。害虫が潜んでいる葉の裏や新芽の部分にも、ムラなく薬液がかかるように丁寧に散布することが重要です。
ステップ3:状況に合わせた薬剤の選び方
いざ薬剤を使おうと思っても、園芸店にはたくさんの種類が並んでいて、どれを選べば良いか迷ってしまいますよね。薬剤選びで重要なのは、「どの害虫に効くか」と「どのような効果があるか」を理解することです。
まず、商品のパッケージ裏面にある「適用病害虫名」を確認し、駆除したい害虫の名前が記載されているかチェックしましょう。次に、薬剤の作用性を確認します。
- 接触剤: 薬剤が直接かかった虫を駆除します。速効性がありますが、かからなかった虫には効果がありません。
- 食毒剤: 薬剤が付着した葉を食べた虫を駆除します。ヨトウムシなどに効果的です。
- 浸透移行性剤: 根や葉から吸収され、植物全体に薬剤の成分が行き渡ります。隠れている害虫や、汁を吸うアブラムシなどに長期間効果を発揮します。
例えば、アブラムシがびっしりついている場合は、速効性のある接触タイプのスプレー剤が適しています。一方で、キクスイカミキリの予防や、隠れている害虫対策には、株元にまく浸透移行性の粒剤(オルトラン粒剤など)が効果的です。このように、状況に合わせて薬剤を使い分けることが、賢い害虫対策のコツです。
農薬は使いたくない!自然の力を借りたオーガニックな虫対策

「薬剤はできるだけ使いたくない」「小さな子供やペットがいるから心配」という方も多いでしょう。ご安心ください。化学合成農薬に頼らなくても、害虫を遠ざける方法はたくさんあります。ここでは、自然の力を利用した、環境にも優しいオーガニックな虫対策をご紹介します。
天敵を味方につける(生物的防除)
害虫がいるところには、その害虫を食べてくれる「天敵」も存在します。この天敵をうまく利用するのが「生物的防除」です。例えば、アブラムシの天敵として有名なのがテントウムシです。成虫も幼虫もアブラムシをたくさん食べてくれます。
庭にテントウムシを呼び込むためには、彼らが好む環境を作ってあげることが大切です。殺虫剤の使用を控えることはもちろん、カモミールやディルといったセリ科の植物など、天敵の隠れ家や蜜源となる植物を一緒に植えるのも良い方法です。天敵が住みやすい環境は、多様な生き物が行き交う豊かな庭の証でもあります。
身近なもので手作り!防虫スプレー
ご家庭にある身近なもので、害虫対策に役立つスプレーを手作りすることができます。化学薬品を使わないので、安心して使用できるのが魅力です。
牛乳スプレー:
牛乳と水を1:1で混ぜたものをアブラムシやハダニに吹きかけます。乾燥する際に牛乳の膜が害虫を窒息させる効果があると言われています。散布後は、牛乳が腐敗して臭いやカビの原因になるため、水で洗い流すようにしましょう。
木酢液・竹酢液:
木炭や竹炭を作る際に出る煙を冷却して液体にしたものです。独特の燻製のような香りで害虫を忌避する効果があります。規定の倍率(通常500~1000倍)に水で薄めて使用します。土壌改良効果も期待できます。
唐辛子スプレー:
唐辛子の辛み成分であるカプサイシンが、様々な害虫を遠ざけます。焼酎に唐辛子を数本漬け込み、1週間ほど置いたものを水で薄めてスプレーします。目や皮膚への刺激が強いので、取り扱いには注意が必要です。
これらの手作りスプレーは、化学農薬ほどの即効性や持続性はありませんが、発生初期の害虫対策や予防として非常に有効です。こまめに散布することが効果を高めるコツです。
一緒に植えて効果アップ!コンパニオンプランツ
コンパニオンプランツとは、一緒に植えることでお互いによい影響を与え合う植物のことです。特定の香りを放つ植物や、根から害虫が嫌う物質を出す植物を菊の近くに植えることで、害虫を寄せ付けにくくする効果が期待できます。
菊のコンパニオンプランツとして特に有名なのがマリーゴールドです。マリーゴールドの根には、土の中のセンチュウという害虫を殺す成分が含まれており、独特の香りはアブラムシなどを遠ざける効果があると言われています。また、ニンニクやチャイブ、ミントなどのハーブ類も、その強い香りで害虫の飛来を防ぐ効果が期待できます。
見た目にも華やかになり、庭づくりがさらに楽しくなる方法です。ぜひ、次の植え付けの際にはコンパニオンプランツを取り入れてみてはいかがでしょうか。
もう虫に悩まない!今日からできる菊の害虫予防策

害虫対策において最も重要なのは、駆除することよりも「そもそも害虫を発生させない」ことです。つまり、予防に勝る対策はありません。日頃のちょっとした心がけで、害虫が寄り付きにくい健康な菊を育てることができます。ここでは、今日から実践できる効果的な予防策をご紹介します。
栽培環境を見直す(日当たり・風通し)
多くの害虫や病気は、日当たりが悪く、ジメジメと湿気がこもる場所を好みます。菊は本来、日光を好む植物です。日当たりが良い場所で育てることで、株が丈夫になり、病害虫への抵抗力が高まります。
また、風通しも非常に重要なポイントです。葉が密集しすぎていると、内部の湿度が高くなり、害虫の温床となってしまいます。適度に剪定を行って、株の内側まで風が通り抜けるようにしましょう。鉢植えの場合は、鉢と鉢の間隔を十分に空けて置くことも大切です。これだけで、アブラムシやハダニ、うどんこ病などの発生を大幅に減らすことができます。
適切な水やりと肥料で健康な株作り
人間と同じで、植物も健康であれば病気や害虫に強くなります。その健康を支えるのが、適切な水やりと施肥です。
水のやりすぎは根腐れの原因となり、株を弱らせます。土の表面が乾いたらたっぷりと与えるのが基本です。逆に水切れは、ハダニの発生を助長します。特に夏場は乾燥しやすいので注意しましょう。
肥料も重要ですが、与えすぎは禁物です。特に、窒素成分の多い肥料を与えすぎると、葉や茎が軟弱に育ち、アブラムシなどの害虫が付きやすくなります。肥料は規定量を守り、バランスの取れたものを使用することが、丈夫な菊を育てるコツです。
物理的に虫の侵入を防ぐ
害虫が飛んでくるのを物理的に防ぐのも、非常に効果的な予防策です。特に、アザミウマやコナジラミ、蛾の仲間など、飛来してくる害虫に対して有効です。
プランターや鉢植えであれば、防虫ネットで全体を覆ってしまうのが最も確実です。ネットの目が細かいものを選び、隙間ができないようにしっかりと固定しましょう。畑や庭で栽培している場合は、シルバーマルチ(銀色のビニールシート)を土の表面に敷くのもおすすめです。銀色の光を嫌ってアブラムシなどが寄り付きにくくなる効果があります。
植え付け時に予防薬を使う
「毎年同じ害虫に悩まされる」という方には、植え付け時に予防薬を使うことをおすすめします。特に、浸透移行性の粒剤タイプの殺虫剤(例:オルトラン粒剤、ベニカXガード粒剤など)は、非常に効果的です。
これらの薬剤を植え付け時の土に混ぜ込んでおくと、有効成分が根から吸収され、植物全体に行き渡ります。これにより、後からやってきて汁を吸ったり葉を食べたりする害虫を駆除することができます。効果が1ヶ月程度持続するものが多く、春の植え付け時に一度施用しておくだけで、シーズン序盤の害虫被害を大幅に軽減できます。まさに「転ばぬ先の杖」と言えるでしょう。
よくある質問

菊の消毒はいつ、どのくらいの頻度で行うのが効果的ですか?
菊の消毒(薬剤散布)は、病害虫が発生する前に行う「予防散布」と、発生初期に行う「駆除散布」が基本です。特に、病気が発生しやすい梅雨時期や、害虫の活動が活発になる春(4月~6月)と秋(9月~10月)に、月に2~3回程度、定期的に薬剤を散布すると効果的です。大切なのは、発生してから慌てて散布するのではなく、計画的に予防することです。ただし、同じ薬剤を使い続けると害虫に抵抗性がつくことがあるため、異なる系統の薬剤を交互に使うローテーション散布を心がけましょう。
菊の葉が白くなったり、かすり状になったりするのはなぜですか?
菊の葉が白っぽくなる原因として、主に2つが考えられます。一つはハダニの被害です。葉の裏に寄生したハダニが汁を吸うことで、葉に無数の白い斑点ができ、かすり状に見えます。被害が進むと葉全体が白っぽくなります。もう一つは、うどんこ病という病気です。葉の表面に、うどんの粉をまぶしたような白いカビが生えます。どちらも日当たりや風通しが悪いと発生しやすくなります。葉をよく観察し、虫がいるのか、カビなのかを見極めて、それぞれに合った薬剤で対処しましょう。
菊につく白いふわふわした虫の正体は何ですか?
菊の茎や葉の付け根に付着している白いふわふわした綿のようなものは、ワタアブラムシやコナジラミの幼虫、あるいはカイガラムシの一種である可能性が高いです。これらは皆、植物の汁を吸う害虫で、繁殖力が非常に高いため、見つけ次第早急に駆除する必要があります。数が少なければ、歯ブラシなどでこすり落とせますが、ロウ物質で体を覆っているため薬剤が効きにくい場合があります。カイガラムシ専用の薬剤を使用するか、浸透移行性の薬剤が効果的です。
室内で育てている菊にも虫はつきますか?
はい、室内で育てていても虫がつく可能性は十分にあります。窓やドアの開閉時に外から侵入したり、購入した苗の土や葉に卵や幼虫が付着していたり、人の衣服について持ち込まれたりすることが原因です。室内は風通しが悪くなりがちで、天敵もいないため、一度発生すると一気に増えてしまうこともあります。特にハダニやアブラムシ、コナジラミは室内でも発生しやすい害虫です。定期的に葉の裏などをチェックする習慣をつけましょう。
一度使った土は、また使っても大丈夫ですか?
一度植物を育てた土を再利用すること自体は可能ですが、注意が必要です。古い土には、前の植物の根が残っていたり、養分が失われていたりするだけでなく、害虫の卵や幼虫、病原菌が潜んでいる可能性があります。そのまま使うと、新しい苗に病害虫が移ってしまうリスクが高まります。もし再利用する場合は、ふるいにかけて古い根やゴミを取り除き、黒いビニール袋に入れて夏場の直射日光に当てて熱消毒するなどの再生作業を行うことを強くおすすめします。初心者の方は、新しい清潔な培養土を使う方が安全で確実です。
まとめ

- 菊の害虫対策は「早期発見・早期駆除」が基本です。
- 代表的な害虫はアブラムシ、ハダニ、アザミウマ、ヨトウムシです。
- キクスイカミキリは茎を枯らす菊専門の天敵なので要注意です。
- 害虫の種類によって効果のある駆除方法や薬剤は異なります。
- 発生初期は手で取り除くなどの物理的駆除が有効です。
- 被害が広がったら、対象害虫に合った薬剤を正しく使用します。
- 薬剤は「接触剤」「食毒剤」「浸透移行性」を使い分けます。
- 農薬を使いたくない場合は、天敵や手作りスプレーを活用できます。
- 牛乳スプレーや木酢液はアブラムシやハダニに効果があります。
- コンパニオンプランツ(マリーゴールドなど)も害虫予防に役立ちます。
- 最も重要なのは「予防」です。害虫を寄せ付けない環境を作りましょう。
- 日当たりと風通しを良くすることが最大の予防策です。
- 適切な水やりと、窒素過多にならない肥料管理が大切です。
- 防虫ネットや植え付け時の粒剤散布も非常に効果的です。
- 病害虫の発生しやすい時期には計画的な薬剤散布がおすすめです。