新しい家を建てる際に行われる「上棟式」は、工事の無事を感謝し、今後の安全を祈願する大切な儀式です。この上棟式に招かれた際や、お祝いの気持ちを伝えたいときに悩むのが、ご祝儀や品物に添える「のし」の書き方ではないでしょうか。どのように書けば失礼なく、心からの気持ちが伝わるのか、不安に感じる方もいるかもしれません。
本記事では、上棟祝いののし袋の選び方から、表書き、水引の種類、名前の書き方に至るまで、細かく解説します。これを読めば、上棟祝いののし書き方で迷うことなく、自信を持ってお祝いの気持ちを伝えられるでしょう。
上棟祝いとは?その意味と目的を理解しよう

上棟祝いとは、新築工事において建物の骨組みが完成し、屋根の一番高い部分にある「棟木(むなぎ)」が取り付けられたことを祝う儀式「上棟式」の際に贈るお祝いのことです。この儀式は、工事の安全を祈願し、これまでの工事関係者の労をねぎらう大切な意味合いを持っています。地域によっては「棟上げ(むねあげ)」や「建前(たてまえ)」とも呼ばれます。
上棟式は、施主と工事を担当する大工さんや職人さん、工事関係者との親睦を深める良い機会でもあります。 施主が工事関係者へ感謝の気持ちを伝えることで、今後の家づくりがより円滑に進むきっかけにもなるでしょう。
上棟式とはどんな儀式?
上棟式は、住宅の骨組みがすべて完成したタイミングで行われる儀式です。 もともとは、工事が無事に進んだことへの感謝と、これから完成までの残りの工事が順調に進むよう、神様へ祈りを捧げる意味合いがありました。 現代では、神主を呼ばずに棟梁が進行するのが一般的です。
上棟式では、祭壇に供え物を準備し、棟梁や現場監督が工事の安全祈願の挨拶を行います。その後、施主が感謝の挨拶を述べ、工事関係者にご祝儀や料理を振る舞うのが一般的な流れです。 地域によっては、餅まきを行う風習もありますが、近年では簡略化される傾向にあります。
上棟祝いを贈る意味
上棟祝いを贈ることは、施主にとって大切な節目である上棟を祝う気持ちと、工事の無事な進行、そして今後の完成への期待を込めたものです。特に、親族や友人・知人が家を建てる際には、その門出を祝う気持ちを形にする意味合いが強いでしょう。
また、工事関係者へのお祝いは、これまでの労をねぎらい、今後の工事も安全に進めてほしいという願いを伝えるものです。施主が工事関係者と良好な関係を築くための大切なコミュニケーションの機会にもなります。
上棟祝いのし袋の選び方と水引の種類

上棟祝いを贈る際には、適切なのし袋を選ぶことが大切です。のし袋には様々な種類があり、水引の結び方や色にもそれぞれ意味があります。失礼のないように、正しい選び方を知っておきましょう。
のし袋の選び方の基本
上棟祝いに使うのし袋は、紅白の蝶結びの水引が付いたものを選びます。 蝶結びは、結び目が簡単にほどけて何度も結び直せることから、「何度あっても喜ばしいお祝い事」に用いられます。 上棟祝いは、家の完成というおめでたい出来事の途中の節目であり、今後も良いことが続いてほしいという願いを込めて蝶結びが適しています。
ただし、地域によっては「あわじ結び」を用いる場合もあります。 あわじ結びは、両端を引っ張るとさらに強く結ばれることから、「末永くお付き合いしたい」という意味が込められており、慶事・弔事の双方に用いられる結び方です。 どちらの結び方を選ぶか迷った場合は、地域の慣習や、事前に親族に確認すると安心です。
水引の種類と結び方
水引には主に「花結び(蝶結び)」「結び切り」「あわじ結び」の3種類があります。上棟祝いでは、前述の通り「花結び(蝶結び)」または「あわじ結び」が適切です。
- 花結び(蝶結び):結び目が簡単にほどけ、何度でも結び直せることから、出産祝いや長寿祝い、開店祝いなど、何度あっても喜ばしい一般祝事に用いられます。
- 結び切り:固く結ばれて解けないことを願い、二度と繰り返さないようにとの意味合いで、結婚祝いや全快祝い、弔事全般に用いられます。上棟祝いには不適切です。
- あわじ結び:両端を引っ張るとさらに強く結ばれることから、末永くお付き合いしたいという意味が込められ、慶事・弔事の双方に用いられます。
水引の本数は、慶事には5本、7本、9本の奇数を使用するのが一般的です。 ご祝儀の金額が1万円以下であれば、水引が印刷されたのし袋でも問題ありません。
のし紙と短冊の使い分け
のし紙は、贈答品全体を包む際に使用するもので、水引と「のし(熨斗)」が印刷されています。一方、短冊は、のし紙の代わりに品物やのし袋に貼り付ける細長い紙です。ご祝儀を現金で贈る場合は、のし袋を使用するのが一般的です。
品物を贈る場合や、のし袋の飾りが書きづらい場合は、短冊に表書きを記入して水引にはさむことも可能です。 ただし、胡蝶蘭などの花を贈る場合は、立札を立てるため、のし紙は不要とされています。
上棟祝いのし書き方【表書きの基本】

のし袋の表書きは、贈る相手や状況によって適切な書き方があります。ここでは、上棟祝いの表書きの基本と、筆記具について解説します。
誰に贈るかで変わる表書きの例
上棟祝いの表書きは、水引の上段中央に書きます。一般的には、以下の表書きが用いられます。
| 表書き | 用途 |
|---|---|
| 御祝 | 一般的なお祝い全般に使える最も汎用的な表書きです。 |
施主が工事関係者へ贈るご祝儀の場合、「御祝儀」と書くのが一般的です。 親族や友人・知人が施主へ贈る場合は、「祝上棟」や「上棟御祝」がよく使われます。
筆記具は何を使うべき?
表書きを書く際には、毛筆や筆ペンを使用し、濃くはっきりと書くのがマナーです。 お祝いの喜びを表現するという意味を込めて、濃い墨で書くことが推奨されます。 ボールペンや万年筆、薄い墨の使用は避けましょう。
楷書で丁寧に書くことで、より一層気持ちが伝わります。 筆に自信がない場合は、筆ペンや太めのフェルトペンでも問題ありません。
上棟祝いのし書き方【名前の書き方】

のし袋の下段には、贈り主の名前を記入します。個人の場合、連名の場合、会社名の場合など、状況に応じた正しい書き方を知っておきましょう。
個人で贈る場合の名前の書き方
個人で上棟祝いを贈る場合は、水引の下段中央に、表書きよりもやや小さめの文字でフルネームを記入します。 文字が水引にかかったり、名前の下に不自然な余白ができないように、全体のバランスを考えて書きましょう。
例えば、「祝上棟」と書いたのし袋の下に「山田太郎」とフルネームで書きます。
連名で贈る場合の名前の書き方
複数人で連名で贈る場合も、書き方にはマナーがあります。
- 2~3名の場合:向かって右から左へ、地位や年齢の高い人から順にフルネームを記入します。友人同士で贈る場合は、五十音順に書くのが一般的です。
- 夫婦で贈る場合:夫(世帯主)の名前を中央にフルネームで書き、その左側に妻の名前のみを記入します。 夫婦別姓の場合は、妻の名前もフルネームで書くことがあります。
- 4名以上の場合:のし袋に全員の名前を書ききれない場合は、代表者の氏名を中央に書き、その左下に小さく「外一同」と添えます。 別紙に全員の氏名を記入し、中袋に同封しましょう。
連名で書く際は、文字の大きさを揃え、バランス良く配置することが大切です。
会社名で贈る場合の名前の書き方
会社として上棟祝いを贈る場合は、まず贈り主の氏名(代表者名など)をフルネームで下段中央に書きます。その右側に、氏名よりもやや小さめに会社名を記入します。
例えば、「祝上棟」と書かれたのし袋の下段中央に「株式会社〇〇 代表取締役 山田太郎」のように書きます。会社名が長い場合は、氏名の右上に小さく書くことも可能です。
上棟祝いのご祝儀・品物の金額相場と渡し方

上棟祝いを贈る際には、金額の相場や品物の選び方、渡すタイミングとマナーも知っておくと安心です。地域や相手との関係性によって適切な対応が変わることがあります。
ご祝儀の金額相場
上棟祝いのご祝儀の金額は、地域や相手との関係性によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 個人宅の上棟式(親族・友人・知人):5,000円~10,000円程度が相場です。
- ビジネス関係(取引先など):10,000円~50,000円程度が一般的です。規模の大きな案件や重要なお取引先の場合には、30,000円以上のギフトが選ばれることもあります。
- 工事関係者(棟梁・現場監督・職人など):施主から工事関係者へご祝儀を渡す場合、棟梁や現場監督には10,000円~30,000円程度、その他の職人さんには3,000円~10,000円程度が相場とされています。
ご祝儀は、施主の金銭的な負担を援助する意味合いもあるため、親族から高額なお祝いをいただくケースもあります。 金額に迷った場合は、事前に親族や施工会社に相談してみるのも良いでしょう。
品物を贈る場合の選び方
現金ではなく品物を贈る場合、上棟祝いにふさわしいものを選びましょう。一般的には、以下のような品物が喜ばれます。
- お酒(日本酒・ビールなど):お祝い事の定番であり、工事関係者にも喜ばれることが多いです。 一升瓶で用意するのが一般的です。
- お菓子・スイーツ:個包装で分けやすく、休憩時間などに皆で楽しめるものがおすすめです。
- ドリンク類:ジュースやお茶など、工事現場で飲めるものが喜ばれます。
- タオルなどの消耗品:実用性が高く、いくつあっても困らないため人気です。
ただし、火事を連想させる「火に関するもの(ライター、灰皿など)」や「赤色の品物」は、建築物にまつわるお祝いとしてはタブーとされているため、避けるようにしましょう。
渡すタイミングとマナー
上棟祝いを渡すタイミングは、上棟式の当日が一般的です。 式の受付で渡すか、施主や工事関係者に直接手渡しましょう。
ご祝儀を渡す際は、のし袋に入れ、簡単な挨拶を添えて渡すのが礼儀です。 工事関係者へは、式の始まる前や、大工さんの工事がひと段落する夕方頃に、お礼の気持ちと共に手渡すと良いでしょう。
品物を贈る場合は、上棟式の前日までに届くように手配するのがマナーです。 あまり早く贈りすぎると、飾れる期間が短くなってしまうため、前日がベストとされています。 事前に受け取り可能な時間帯や日にちを確認しておくとスムーズです。
上棟祝いに関するよくある質問

上棟祝いに関する疑問は多く、特に初めて経験する方にとっては不安な点も多いでしょう。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。
上棟祝いは必ず贈るべきですか?
上棟祝いは、必ず贈らなければならないという厳格なルールはありません。しかし、施主にとっては大切な節目であり、工事関係者への感謝を伝える良い機会でもあります。 招待された場合は、お祝いの気持ちを込めて贈るのが一般的です。もし招待されていない場合でも、親しい間柄であれば、後日改めて新築祝いを贈るなどの方法で気持ちを伝えることも可能です。
上棟祝いのお返しは必要ですか?
上棟式に出席していただいた方には、食事やお酒を振る舞い、赤飯などの引き出物(お土産)を渡すことがお返しの代わりとなります。 そのため、基本的に上棟式に出席していない方にお返しの品を贈ります。 建築に関わる工務店やハウスメーカーは上棟式に出席するため、別途お返しを用意する必要はありません。
お返しをする場合の相場は、いただいたお祝いの3分の1から半額程度(半返し)が目安です。 渡すタイミングは、お祝いをいただいた日から1ヶ月以内を目安にしましょう。 のし紙は「紅白蝶結び」を選び、表書き上段には「上棟内祝」または「内祝」、下段には贈り主の名前を記載します。
上棟式に参加しない場合でもお祝いは贈るべきですか?
上棟式に参加しない場合でも、親しい間柄であればお祝いを贈ることは可能です。その場合は、上棟式の前日までに品物を送るか、後日改めて新築祝いとして贈るのが良いでしょう。 施主の負担を考慮し、事前に連絡して都合の良いタイミングを確認するとより丁寧です。
のし袋を忘れてしまった場合はどうすれば良いですか?
もし上棟式当日にのし袋を忘れてしまった場合は、無理に渡そうとせず、後日改めて正式なのし袋に入れて渡すのが良いでしょう。その際に、遅れてしまったことへのお詫びの言葉を添えると、より丁寧な印象を与えられます。また、ご祝儀を渡す場合は、むき出しで渡すのは失礼にあたるため、必ず封筒などに入れて渡すようにしましょう。
上棟祝いの品物は何が良いですか?
上棟祝いの品物としては、お酒(日本酒やビール)、お菓子、ドリンク類、タオルなどの消耗品が人気です。 特に、個包装のお菓子や、現場で飲めるドリンク類は、工事関係者にも喜ばれることが多いでしょう。 施主へ贈る場合は、新居で使えるインテリア雑貨なども良いですが、火事を連想させるものや赤色の品物は避けるのがマナーです。
まとめ
- 上棟祝いは、建物の骨組み完成を祝う「上棟式」の際に贈るお祝いです。
- のし袋は紅白の蝶結びの水引を選ぶのが一般的です。
- 水引は、何度あっても喜ばしいお祝い事に使う「花結び(蝶結び)」が適しています。
- 表書きは「御祝」「祝上棟」「上棟御祝」などが一般的です。
- 筆記具は毛筆や筆ペンを使用し、濃い墨で丁寧に書きます。
- 名前は水引の下段中央にフルネームで記入し、連名の場合は地位や年齢の高い人から右から順に書きます。
- 4名以上の連名では代表者名を書き、「外一同」と添えて別紙に全員の名前を記載します。
- ご祝儀の相場は、個人宅で5,000円~10,000円、ビジネス関係で10,000円~50,000円程度です。
- 工事関係者へは、棟梁・現場監督に10,000円~30,000円、職人に3,000円~10,000円が目安です。
- 品物を贈る場合は、お酒、お菓子、ドリンク、タオルなどが喜ばれます。
- 火事を連想させるものや赤色の品物は避けるのがマナーです。
- 渡すタイミングは上棟式当日、または前日までに手配します。
- 上棟式に出席した場合は、食事や引き出物がお返しとなります。
- お返しが必要な場合は、いただいたお祝いの3分の1から半額程度が目安です。
- お返しには「上棟内祝」または「内祝」と表書きし、紅白蝶結びののし紙を使用します。
