インフルエンザにかかり、高熱とつらい症状に耐えている中で、5日目になっても熱が下がらないと「もしかして重症化しているのでは?」「いつまでこの状態が続くのだろう」と不安になりますよね。特に大人の場合、仕事や家庭への影響も大きく、焦りを感じる方も少なくありません。
本記事では、大人のインフルエンザで熱が5日目も下がらない場合に考えられる原因を詳しく解説します。また、すぐに医療機関を受診すべき危険なサインや、自宅でできる適切な対処法、そして回復を早めるための具体的なコツについてもお伝えします。この情報が、あなたの不安を和らげ、適切な行動をとるための助けとなれば幸いです。
インフルエンザの一般的な経過と発熱期間

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性呼吸器感染症です。一般的な風邪とは異なり、突然の高熱や全身の倦怠感、関節痛、筋肉痛などが強く現れるのが特徴です。発症から回復までの経過を理解することは、現在の状況を判断する上で大切です。
通常のインフルエンザの発熱パターン
インフルエンザの発熱は、通常、発症から1~3日目にピークを迎えます。多くの場合、38度以上の高熱が急激に出現し、悪寒や全身の痛みを伴います。その後、抗インフルエンザ薬を使用しない場合でも、発熱は3~5日程度で徐々に治まっていくのが一般的です。解熱後も、咳や倦怠感などの症状が1週間から2週間程度続くことがあります。
完全に体力が回復するまでには、さらに時間がかかることも珍しくありません。
抗インフルエンザ薬の効果と発熱期間
抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザなど)は、ウイルスの増殖を抑える働きがあります。これらの薬剤をインフルエンザ発症後48時間以内に服用を開始することで、発熱期間を1~2日程度短縮できると報告されています。
しかし、薬を服用したからといってすぐに熱が下がるわけではありません。体内でウイルスと免疫が戦っている間は発熱が続くことがあります。また、服用タイミングが遅れた場合や、ウイルスが薬に対する耐性を持っている場合は、期待した効果が得られない可能性もあります。
大人のインフルエンザで熱が5日目も下がらない主な原因

インフルエンザの発熱が5日目も続く場合、通常の経過とは異なる何らかの原因が考えられます。不安を感じるかもしれませんが、まずは落ち着いて、どのような可能性があるのかを理解することが大切です。ここでは、熱が長引く主な原因について解説します。
二峰性発熱(熱がぶり返す現象)
二峰性発熱とは、一度下がった熱が再び上昇する発熱パターンを指します。インフルエンザでは、このパターンがしばしば見られます。
典型的な経過としては、発症から2~3日目に一度熱が下がり、その後4~5日目に再び熱が上がるというものです。この二度目の発熱は、ウイルスの再増殖や免疫反応の変動などが原因と考えられています。特に小児のインフルエンザB型でよく見られる現象ですが、大人でも起こり得ます。二峰性発熱自体は必ずしも重症化のサインではありませんが、二度目の発熱が最初よりも高い場合や、他の症状が悪化している場合は注意が必要です。
細菌による二次感染(肺炎、気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎など)
インフルエンザウイルスは気道の粘膜を傷つけ、体の防御機能を低下させます。この状態では、普段は問題にならない細菌が感染しやすくなり、細菌による二次感染を引き起こすことがあります。これが、インフルエンザの熱が長引く最も注意すべき原因の一つです。
代表的な合併症としては、肺炎、気管支炎、中耳炎、副鼻腔炎などが挙げられます。特に肺炎は重症化する可能性があり、高熱の持続、激しい咳、息切れ、胸痛などの症状が現れます。インフルエンザの症状が一度改善した後に再び悪化する場合は、細菌性肺炎を疑う必要があります。
抗インフルエンザ薬が効きにくいケース
抗インフルエンザ薬を服用しているにもかかわらず熱が下がらない場合、いくつかの可能性が考えられます。一つは、薬の服用タイミングが遅かった場合です。抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内に服用を開始することで最大の効果が期待できるため、この時間を過ぎると効果が限定的になることがあります。
また、まれに薬に対する耐性を持つウイルス株に感染している可能性も考えられます。この場合、通常の抗インフルエンザ薬ではウイルスの増殖を十分に抑えきれず、発熱が長引くことがあります。
免疫力の低下や基礎疾患の影響
個人の免疫力や体力も、発熱期間に大きく影響します。若くて健康な成人であれば、免疫システムが効率的に働き、ウイルスの増殖を早期に抑制できることが多いです。しかし、疲労が蓄積している、睡眠不足が続いているなど、体力が低下している場合は、回復に時間がかかることがあります。
さらに、糖尿病、心臓病、呼吸器疾患、腎臓病などの基礎疾患がある方や、免疫抑制剤を使用している方、高齢者などは、インフルエンザが重症化しやすく、発熱が長引くリスクが高まります。これらの場合は、より慎重な経過観察と適切な医療的介入が必要です。
他のウイルス感染症の併発
インフルエンザで体力が落ちたところに、別のウイルスや細菌に感染してしまうこともあります。例えば、インフルエンザと同時に風邪ウイルスや他の呼吸器系ウイルスに感染することで、症状が複雑化し、発熱が長引く原因となることがあります。
また、インフルエンザから回復した直後に、別の型のインフルエンザウイルスや他の呼吸器感染症に再感染するケースもまれにあります。インフルエンザA型とB型は別のウイルスであり、A型に感染した後でもB型に感染する可能性があります。
熱が下がらない5日目の大人:すぐに医療機関を受診すべき危険なサイン

インフルエンザの発熱が5日目も続く場合、単なる回復の遅れではなく、重篤な合併症が隠れている可能性があります。特に大人の場合、症状の進行が早く、注意が必要です。以下の危険なサインが見られた場合は、迷わず速やかに医療機関を受診してください。
呼吸器症状の悪化(呼吸困難、激しい咳、胸痛)
呼吸器症状の悪化は、肺炎や気管支炎などの合併症を示唆する重要なサインです。具体的には、以下のような症状に注意しましょう。
- 息苦しさを感じる、呼吸が速くなる、呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューという音がする
- 咳が激しくなり、止まらない、または膿性の痰が出るようになる
- 胸の痛みがある、特に呼吸時に痛みが強くなる
これらの症状は、肺に炎症が広がっている可能性があり、早期の診断と治療が不可欠です。
全身状態の著しい悪化(意識障害、けいれん、強い倦怠感)
インフルエンザによる全身状態の悪化は、脳炎や脳症などの重篤な合併症の兆候である可能性があります。特に以下の症状には細心の注意を払いましょう。
- 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が鈍い
- けいれんを起こしている
- 強い倦怠感が続き、起き上がることができない、または異常なほどの疲労感がある
- 言動がおかしい、幻覚が見えるなど、精神状態に変化が見られる
これらの症状は緊急性が高いため、直ちに救急車を呼ぶか、速やかに医療機関を受診してください。
脱水症状の兆候(水分が摂れない、尿量減少)
高熱が続くと、体から多くの水分が失われ、脱水症状を起こしやすくなります。特に、吐き気や嘔吐、下痢などの消化器症状を伴う場合は、さらに脱水のリスクが高まります。脱水症状の兆候には、以下のようなものがあります。
- 口の渇きがひどい
- 尿の回数が減る、尿の色が濃くなる
- 皮膚や唇が乾燥している
- めまいや立ちくらみがする
- 水分を全く摂ることができない
水分が十分に摂れない状態が続く場合は、点滴などによる水分補給が必要になることがありますので、医療機関を受診しましょう。
その他の注意すべき症状(激しい頭痛、耳の痛み、顔面痛)
上記以外にも、インフルエンザの合併症を示唆する症状があります。
- 激しい頭痛が続く、または悪化する
- 耳の痛みがある、耳だれが出る、聞こえにくい(中耳炎の可能性)
- 鼻の周囲や目の奥が痛む、膿性の鼻水が出る、鼻づまりが続く(副鼻腔炎の可能性)
これらの症状も、細菌感染による合併症の可能性があるため、医療機関での診察を受けることが大切です。
自宅でできる対処法と回復を早めるコツ

インフルエンザで熱が長引いている場合でも、適切な自宅での対処法を行うことで、体の回復を助け、症状の緩和につながります。医療機関を受診しつつ、自宅での療養も大切にしましょう。
十分な休養と安静
何よりも大切なのは、体を休めることです。インフルエンザウイルスと戦うためには、体力を温存し、免疫力を最大限に引き出す必要があります。無理をして活動を続けると、回復が遅れるだけでなく、合併症のリスクを高めることにもつながります。
仕事や学校は休み、自宅で横になって過ごしましょう。睡眠を十分にとり、体を温かく保つことも重要です。解熱後も、すぐに通常の生活に戻るのではなく、しばらくは体を慣らす期間を設けることをおすすめします。
こまめな水分補給と栄養摂取
発熱時は汗をかきやすく、脱水状態になりやすいので、こまめな水分補給が不可欠です。水やお茶だけでなく、スポーツドリンクや経口補水液、果汁100%ジュース、スープなどもおすすめです。特に、電解質が含まれている飲み物は、失われたミネラルを補給するのに役立ちます。
食欲がない場合でも、消化の良いものを少しずつ摂るように心がけましょう。おかゆ、うどん、ゼリー、プリン、ヨーグルトなどがおすすめです。栄養をしっかり摂ることで、体力回復を早めることにつながります。
適切な室温と湿度管理
快適な療養環境を整えることも、回復を早める上で重要です。室温は20~25度程度に保ち、湿度は50~60%を目安に加湿器などで調整しましょう。空気が乾燥していると、喉や鼻の粘膜が乾燥し、咳や鼻づまりなどの症状が悪化することがあります。
また、定期的に換気を行い、室内の空気を入れ替えることも大切です。ただし、直接冷たい風が当たらないように注意し、体調を崩さない範囲で行いましょう。
市販薬の適切な使用
発熱や頭痛、関節痛などのつらい症状に対しては、市販の解熱鎮痛薬を使用することも有効です。ただし、インフルエンザの場合、アスピリンなどのサリチル酸系薬剤は、ライ症候群という重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、使用を避けるべきです。
アセトアミノフェンを主成分とする解熱鎮痛薬が推奨されます。使用する際は、必ず薬剤師や登録販売者に相談し、用法・用量を守って服用しましょう。また、咳や鼻水などの症状に合わせて、市販の風邪薬を併用することも考えられますが、複数の薬を飲む際は成分の重複に注意が必要です。
インフルエンザの予防と再発防止

インフルエンザにかかってしまった後も、回復を早め、再発や他の人への感染を防ぐための予防策を続けることが大切です。また、次のシーズンに向けての予防も意識しましょう。
ワクチン接種の重要性
インフルエンザワクチンは、インフルエンザの発症や重症化を予防するための最も効果的な方法の一つです。毎年流行するウイルスの型に合わせてワクチンが製造されるため、毎年接種することが推奨されます。
ワクチンを接種してもインフルエンザにかかることはありますが、症状が軽くなったり、発熱期間が短くなったりする効果が期待できます。特に、高齢者や基礎疾患を持つ方、妊婦など、重症化リスクの高い方は積極的に接種を検討しましょう。
日常的な感染対策
インフルエンザウイルスは、主に飛沫感染や接触感染によって広がります。そのため、日頃から以下の感染対策を徹底することが重要です。
- 手洗いと手指消毒: 外出先から戻った時や、食事の前など、こまめに石鹸と流水で手洗いをしましょう。アルコール消毒液も有効です。
- マスクの着用: 咳やくしゃみが出る場合は、マスクを着用して飛沫の拡散を防ぎましょう。人混みに出かける際もマスクは有効な対策です。
- 咳エチケット: 咳やくしゃみをする際は、ティッシュやハンカチ、腕の内側で口と鼻を覆い、飛沫が飛ばないようにしましょう。
- 十分な睡眠とバランスの取れた食事: 免疫力を高めるために、規則正しい生活を送り、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
- 室内の換気: 定期的に窓を開けて換気を行い、室内のウイルス濃度を下げましょう。
これらの対策は、インフルエンザだけでなく、他の感染症の予防にもつながります。
よくある質問

- インフルエンザの熱はいつまで続くのが普通ですか?
- インフルエンザで熱が下がったのに、また上がってきました。大丈夫ですか?
- 抗インフルエンザ薬を飲んでいるのに熱が下がりません。どうすればいいですか?
- インフルエンザで熱が下がらない場合、何科を受診すればいいですか?
- 熱が下がった後も倦怠感が長引くのはなぜですか?
インフルエンザの熱はいつまで続くのが普通ですか?
健康な大人の場合、インフルエンザの発熱は通常3~5日程度で治まることが一般的です。抗インフルエンザ薬を服用した場合は、発熱期間が1~2日程度短縮されることがあります。
インフルエンザで熱が下がったのに、また上がってきました。大丈夫ですか?
一度下がった熱が再び上がる現象は「二峰性発熱」と呼ばれ、インフルエンザの経過中に見られることがあります。特に小児に多いですが、大人でも起こり得ます。二峰性発熱自体は必ずしも重症化のサインではありませんが、二度目の発熱が最初よりも高い場合や、呼吸困難、激しい咳などの新たな症状が伴う場合は、細菌による二次感染などの合併症の可能性も考えられるため、医療機関を受診しましょう。
抗インフルエンザ薬を飲んでいるのに熱が下がりません。どうすればいいですか?
抗インフルエンザ薬を服用していても熱が下がらない場合、薬の服用タイミングが遅かった、ウイルスが薬に耐性を持っている、または細菌による二次感染などの合併症を起こしている可能性が考えられます。発熱が5日以上続く場合や、呼吸困難、胸痛、意識障害などの危険なサインが見られる場合は、速やかに医療機関を再受診してください。
インフルエンザで熱が下がらない場合、何科を受診すればいいですか?
インフルエンザで熱が下がらない場合は、まずはかかりつけの内科を受診するのが一般的です。もし、呼吸器症状が特に気になる場合は呼吸器内科、耳の痛みがある場合は耳鼻咽喉科など、症状に応じて専門医を受診することも検討できます。緊急性が高い場合は、救急外来の受診も視野に入れましょう。
熱が下がった後も倦怠感が長引くのはなぜですか?
インフルエンザウイルスに対抗するために活性化した免疫が、ウイルス排除後も活動を続け、炎症を引き起こす物質を放出し続けることで倦怠感や疲労感につながることがあります。また、ウイルスで傷ついた気道の粘膜は再生に時間を要するため、咳が出やすい状態が長引く可能性もあります。通常、倦怠感は解熱後1~2週間程度で改善しますが、1週間以上経っても改善しない、または悪化する場合は、他の合併症の可能性も考慮し、医療機関に相談しましょう。
まとめ
- 大人のインフルエンザの発熱は通常3~5日で治まる。
- 5日目も熱が下がらない場合、何らかの原因が考えられる。
- 二峰性発熱は一度解熱後に再び発熱する現象で、インフルエンザで起こり得る。
- 細菌による二次感染(肺炎、気管支炎など)は熱が長引く主な原因の一つ。
- 抗インフルエンザ薬の効果が不十分な場合や、免疫力低下も原因となる。
- 呼吸困難、激しい咳、胸痛は肺炎の危険なサイン。
- 意識障害、けいれん、強い倦怠感は重篤な合併症の兆候。
- 水分が摂れない、尿量減少は脱水症状のサイン。
- 激しい頭痛、耳の痛み、顔面痛も合併症の可能性あり。
- 危険なサインが見られたら、すぐに医療機関を受診する。
- 自宅では十分な休養、こまめな水分補給、栄養摂取が大切。
- 適切な室温と湿度管理で快適な療養環境を整える。
- 市販の解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンを推奨。
- インフルエンザワクチン接種は発症や重症化予防に有効。
- 手洗い、マスク着用、咳エチケットなど日常的な感染対策を続ける。
- 熱が下がった後も倦怠感が長引く場合は医療機関へ相談。
