昼間に眠くなる病気とは？原因と対処法を徹底解説

日中の活動中に、突然耐えがたい眠気に襲われた経験はありませんか？会議中や運転中、勉強中に意識が遠のくような強い眠気は、日常生活に大きな支障をきたし、不安を感じるものです。単なる睡眠不足だと考えてしまいがちですが、その裏には隠れた病気が潜んでいる可能性もあります。本記事では、昼間に眠くなる原因を病気以外の可能性から詳しく掘り下げ、具体的な病気の種類や症状、そして診断・治療方法までを徹底的に解説します。あなたの眠気の原因を理解し、適切な対処法を見つけるための一助となれば幸いです。

昼間に眠くなる原因は？病気以外の可能性も考慮する

昼間に眠くなる原因は多岐にわたります。必ずしも病気が原因とは限らず、日々の生活習慣や環境が大きく影響していることも少なくありません。まずは、病気以外の一般的な原因について見ていきましょう。

• 生活習慣や睡眠不足が引き起こす眠気
• 食後の眠気（血糖値スパイク）と対策
• ストレスや精神的な要因による眠気
• 薬の副作用による眠気

生活習慣や睡眠不足が引き起こす眠気

最も身近な原因として、睡眠不足が挙げられます。夜間の睡眠時間が十分に確保できていないと、脳や体が回復しきれず、日中に強い眠気を感じやすくなります。また、睡眠時間は足りていても、睡眠の質が低い場合も同様です。例えば、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用、カフェインの過剰摂取、不規則な就寝・起床時間などは、深い睡眠を妨げ、結果として日中の眠気につながります。質の良い睡眠は、心身の疲労回復や自律神経を整えるために不可欠です。

食後の眠気（血糖値スパイク）と対策

食後に強い眠気に襲われることは、多くの人が経験する現象です。これは主に、血糖値の急激な変動（血糖値スパイク）と、消化活動のために血液が消化器官に集中することの二つの要因が関係しています。特に炭水化物を多く含む食事を摂ると、血糖値が急上昇し、それを抑えるためにインスリンが大量に分泌されます。その反動で血糖値が急降下すると、脳のエネルギー不足から強い眠気やだるさを感じやすくなるのです。

ストレスや精神的な要因による眠気

現代社会において、ストレスは昼間の眠気の大きな原因となり得ます。過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、交感神経が優位な状態を保つことで、夜間の睡眠の質を低下させます。その結果、夜に十分な休息が取れず、日中に強い眠気や倦怠感を感じるようになるのです。

薬の副作用による眠気

服用している薬が、昼間の眠気を引き起こしている可能性もあります。特に、抗ヒスタミン薬（アレルギー薬や風邪薬に含まれることが多い）、鎮静剤、一部の抗うつ薬などは、副作用として眠気を催すことがあります。

昼間に眠くなる主な病気の種類と症状

単なる生活習慣の乱れではなく、昼間の強い眠気が病気のサインであることもあります。ここでは、昼間に眠くなる主な病気の種類と、それぞれの特徴的な症状について詳しく見ていきましょう。

• 睡眠時無呼吸症候群（SAS）
• ナルコレプシー
• 特発性過眠症
• むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害
• うつ病などの精神疾患
• その他の身体疾患（甲状腺機能低下症、糖尿病など）

睡眠時無呼吸症候群（SAS）

睡眠時無呼吸症候群（SAS）は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりを繰り返す病気です。これにより、夜間の睡眠の質が著しく低下し、日中に強い眠気や集中力の低下を引き起こします。

ナルコレプシー

ナルコレプシーは、夜間に十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に突然、耐え難い眠気に襲われる「睡眠発作」が特徴的な病気です。

• 日中の強い眠気と睡眠発作: 食事中や会話中、運転中など、通常では考えられない状況で突然眠り込んでしまいます。短時間の仮眠で一時的にすっきりすることが多いですが、数時間後には再び眠気が襲ってきます。
• 情動脱力発作（カタプレキシー）: 笑ったり、怒ったり、驚いたりといった感情の高まりによって、突然体の力が抜けてしまう発作です。ひどい場合は倒れ込んでしまうこともあります。
• 睡眠麻痺（金縛り）: 寝入りばなや目覚めるときに、意識はあるのに体が動かせなくなる状態です。
• 入眠時幻覚: 寝入りばなに、非常に生々しい、時には恐ろしい幻覚を見ることがあります。

ナルコレプシーは脳内の覚醒を維持する物質であるオレキシンを作り出す神経細胞の異常が関係していると考えられています。

特発性過眠症

特発性過眠症も、夜間の睡眠が十分であるにもかかわらず、日中に強い眠気が持続する病気です。ナルコレプシーと似ていますが、いくつかの違いがあります。

• 持続的または反復的な日中の強い眠気: 眠気をある程度我慢できることもありますが、居眠りの時間が1時間以上と長くなる傾向があります。
• 目覚めが悪い（睡眠酩酊）: 目覚まし時計で起きてもなかなかすっきりせず、ぼーっとした状態が長く続くことがあります。会話がまとまらなかったり、記憶がはっきり残らなかったりする「睡眠酩酊」と呼ばれる状態になることもあります。
• 情動脱力発作がない: ナルコレプシーに特徴的な情動脱力発作は見られません。
• 総睡眠時間の延長: 1日の総睡眠時間が11時間以上になるなど、睡眠時間が長くなる傾向があります。

特発性過眠症の原因はまだ明らかになっていませんが、日常生活に大きな支障をきたすため、適切な診断と治療が必要です。

むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害

これらの病気は、夜間の睡眠中に脚の不快な感覚や不随意な動きが生じることで、睡眠が妨げられ、結果として日中の眠気を引き起こします。

• むずむず脚症候群: 夕方から夜にかけて、脚に「むずむず」「虫が這うような」「かゆい」などの不快な感覚が現れ、動かさずにはいられなくなる病気です。この不快感のために寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりすることで、睡眠不足となり日中の眠気につながります。
• 周期性四肢運動障害: 睡眠中に手足、特に脚が周期的にぴくつく、または蹴るような動きを繰り返す病気です。本人は気づかないことが多いですが、この動きによって睡眠が分断され、深い睡眠が妨げられることで、日中の眠気が生じます。

うつ病などの精神疾患

うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下が主な症状ですが、睡眠障害を伴うことが非常に多い病気です。不眠がよく知られていますが、過眠、つまり日中の強い眠気として現れることもあります。

その他の身体疾患（甲状腺機能低下症、糖尿病など）

昼間の眠気は、上記以外にも様々な身体疾患の症状として現れることがあります。

• 甲状腺機能低下症: 甲状腺ホルモンの分泌が低下することで、全身の代謝が落ち、疲労感や倦怠感とともに強い眠気を引き起こすことがあります。
• 糖尿病: 特に食後の血糖値の急激な変動（血糖値スパイク）は、強い眠気の原因となります。
• 慢性疲労症候群: 原因不明の長期間続く疲労感や眠気を特徴とする病気です。休息をとっても疲れが抜けず、日中の眠気や集中力低下が続くことがあります。
• PMS（月経前症候群）: 月経前の数日から2週間ほどにかけて、ホルモンバランスの変動により、眠気やだるさを感じることがあります。

これらの病気は、血液検査などで診断されることが多いため、気になる症状がある場合は内科医に相談してみましょう。

昼間に眠くなる病気の診断方法と専門医への相談

昼間の眠気が病気によるものかどうかを判断するためには、専門医による正確な診断が不可欠です。ここでは、主な診断方法について解説します。

• 問診と簡易検査
• 睡眠ポリグラフ検査（PSG）
• 複数睡眠潜時検査（MSLT）

問診と簡易検査

まず、医療機関を受診すると、医師による詳細な問診が行われます。睡眠時間、生活習慣、服用中の薬、ストレス状況、眠気の程度や頻度、その他の症状などについて詳しく聞かれます。

睡眠ポリグラフ検査（PSG）

睡眠ポリグラフ検査（PSG）は、睡眠障害の診断において最も重要な検査の一つです。一泊入院して行われることが多く、睡眠中の脳波、眼球運動、筋電図、呼吸、心電図、酸素飽和度などを同時に記録します。

複数睡眠潜時検査（MSLT）

複数睡眠潜時検査（MSLT）は、ナルコレプシーや特発性過眠症の診断に特に用いられる検査です。PSGの翌日に行われることが多く、日中に複数回（通常4～5回）の仮眠の機会を設け、それぞれの仮眠でどのくらいの時間で眠りにつくか（睡眠潜時）や、レム睡眠が出現するかどうかを測定します。

昼間に眠くなる病気の治療法と日常生活での対処法

昼間の眠気の原因が病気であると診断された場合、それぞれの病気に合わせた専門的な治療が行われます。また、日常生活での工夫も症状の改善に役立ちます。

• 各病気に応じた専門的な治療
• 生活習慣の改善と睡眠環境の整備
• すぐにできる眠気解消のコツ

各病気に応じた専門的な治療

• 睡眠時無呼吸症候群: 治療の中心は、CPAP（シーパップ）療法と呼ばれる持続陽圧呼吸療法です。これは、睡眠中に専用のマスクを装着し、空気を送り込むことで気道の閉塞を防ぎ、無呼吸を解消するものです。 軽症の場合は、マウスピースや生活習慣の改善も有効です。
• ナルコレプシー・特発性過眠症: 根本的な治療法はまだ確立されていませんが、薬物療法によって症状を抑え、日常生活への影響を軽減できます。眠気に対しては、覚醒を維持する薬が処方されることが多く、情動脱力発作などには、一部の抗うつ薬が効果を示すことがあります。
• うつ病などの精神疾患: 薬物療法（抗うつ薬など）と精神療法が中心となります。睡眠の質の改善も重要な治療目標の一つです。
• その他の身体疾患: 甲状腺機能低下症であればホルモン補充療法、糖尿病であれば血糖コントロールなど、それぞれの病気の原因に対する治療が行われます。

生活習慣の改善と睡眠環境の整備

病気の治療と並行して、日々の生活習慣を見直し、睡眠環境を整えることは、昼間の眠気を軽減するために非常に重要です。

• 規則正しい生活リズム: 毎日同じ時間に寝起きし、十分な睡眠時間（成人で7～8時間程度が目安）を確保しましょう。
• 快適な睡眠環境: 寝室の温度や湿度を適切に保ち、光や音を遮断してリラックスできる環境を作りましょう。
• 寝る前の工夫: 就寝前のカフェインやアルコールの摂取、喫煙は控えめに。寝る前のスマートフォンやパソコンの使用も、脳を覚醒させるため避けるのがおすすめです。
• 適度な運動: 日中に適度な運動を取り入れることは、夜間の睡眠の質を高めるのに役立ちます。ただし、就寝直前の激しい運動は避けましょう。

すぐにできる眠気解消のコツ

急な眠気に襲われたときに、すぐに試せる対処法もいくつかあります。

• 体を冷やす: 冷たい水で顔を洗ったり、首筋に冷たいタオルを当てたりすると、交感神経が刺激され、眠気が覚めやすくなります。
• 軽い運動やストレッチ: 席を立って歩き回ったり、肩や首を回すストレッチをしたりすることで、血行が促進され、脳が覚醒します。
• カフェインやブドウ糖の摂取: コーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲み物や、ブドウ糖を含むお菓子を摂ることで、一時的に眠気を覚ます効果が期待できます。
• ツボ押し: 目頭の近くにある「睛明（せいめい）」や、こめかみの「太陽（たいよう）」、首の後ろにある「風池（ふうち）」などのツボを押すことも、眠気覚ましに有効とされています。
• 短時間の仮眠: 15～20分程度の短い仮眠は、午後の眠気を解消し、集中力を回復させるのに効果的です。

昼間に眠くなる症状で悩んだら、いつ病院に行くべき？

「昼間に眠くなる」という症状は、誰にでも起こり得るものですが、その程度や頻度によっては、医療機関を受診すべきサインであることがあります。以下のような場合は、早めに専門医に相談することを強くおすすめします。

• 十分な睡眠時間をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気が続く場合。
• 眠気のために仕事や学業、日常生活に支障が出ている場合。
• 居眠りを我慢できないほど強い眠気に襲われる場合。
• いびきや睡眠中の呼吸停止を指摘されたことがある場合。
• 眠気以外にも、気分の落ち込み、倦怠感、集中力の低下などの症状を伴う場合。
• 薬の副作用が疑われる場合。
• 自分でできる対策を試しても改善が見られない場合。

これらの症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、特発性過眠症、うつ病などの病気が隠れている可能性があります。まずは、睡眠専門外来、内科、耳鼻咽喉科、精神科、心療内科などを受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

よくある質問

• 昼間に眠くなるのは病気ですか？
• 昼間の眠気を解消する方法はありますか？
• 眠気がひどい時に何科を受診すれば良いですか？
• 睡眠不足ではないのに眠いのはなぜですか？
• 昼間に眠くなるのは高齢者に多いですか？
• 昼間に眠くなる病気の診断や検査はどのように行われますか？
• 昼間に眠くなる病気は薬で治せますか？
• 子供や女性でも昼間に眠くなる病気になりますか？
• ストレスが昼間の眠気に関係することはありますか？

昼間に眠くなるのは病気ですか？

昼間に眠くなる原因は様々で、必ずしも病気とは限りません。睡眠不足や生活習慣の乱れ、食後の生理的な反応、ストレスなどが原因となることもあります。しかし、日中の強い眠気が継続し、日常生活に支障をきたす場合は、睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシー、特発性過眠症などの睡眠障害や、うつ病、甲状腺機能低下症といった他の病気が隠れている可能性も十分に考えられます。

昼間の眠気を解消する方法はありますか？

はい、一時的に眠気を解消する方法はいくつかあります。冷たい水で顔を洗う、首筋を冷やす、軽いストレッチをする、ガムを噛む、カフェインやブドウ糖を摂取する、ツボを押す、15～20分程度の短い仮眠をとるなどが有効です。しかし、これらの方法は一時的な対処であり、根本的な原因の解決にはなりません。

眠気がひどい時に何科を受診すれば良いですか？

眠気がひどく、病気が疑われる場合は、まずは睡眠専門外来を受診するのが最もおすすめです。睡眠専門外来がない場合は、内科、耳鼻咽喉科（睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合）、精神科、心療内科（うつ病やストレスが原因の場合）などが考えられます。かかりつけ医に相談し、適切な医療機関を紹介してもらうのも良いでしょう。

睡眠不足ではないのに眠いのはなぜですか？

睡眠不足ではないのに眠い場合、睡眠の質が低下している可能性があります。例えば、睡眠時無呼吸症候群によって夜間の睡眠が分断されていたり、ストレスや不規則な生活によって深い睡眠が取れていなかったりすることが考えられます。また、ナルコレプシーや特発性過眠症といった病気も、十分な睡眠時間にもかかわらず日中の強い眠気を引き起こします。

昼間に眠くなるのは高齢者に多いですか？

昼間の眠気は年齢に関わらず起こり得ますが、高齢者では睡眠の質が低下しやすいため、日中の眠気を感じる人が増える傾向にあります。また、加齢に伴い睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害のリスクが高まることや、服用している薬の副作用なども原因となることがあります。

昼間に眠くなる病気の診断や検査はどのように行われますか？

昼間に眠くなる病気の診断は、まず医師による詳細な問診から始まります。その後、疑われる病気に応じて、自宅で行う簡易検査や、病院に一泊入院して行う睡眠ポリグラフ検査（PSG）、日中の眠気を客観的に評価する複数睡眠潜時検査（MSLT）などが行われます。これらの検査によって、睡眠の質や呼吸状態、脳波などを詳細に調べ、診断を確定します。

昼間に眠くなる病気は薬で治せますか？

病気の種類によって異なります。例えば、ナルコレプシーや特発性過眠症では、根本的な治療法はありませんが、覚醒を維持する薬や、情動脱力発作を抑える薬などを用いて症状をコントロールし、日常生活への影響を軽減できます。睡眠時無呼吸症候群の場合は、CPAP療法が主な治療法ですが、薬物療法が補助的に用いられることもあります。うつ病など精神疾患による眠気には、抗うつ薬などが処方されます。

子供や女性でも昼間に眠くなる病気になりますか？

はい、子供や女性でも昼間に眠くなる病気になることがあります。ナルコレプシーは10代での発症が多いとされており、子供にも見られます。女性の場合、月経前症候群（PMS）や更年期障害など、ホルモンバランスの変動が眠気に影響を与えることもあります。性別や年齢に関わらず、強い眠気が続く場合は専門医への相談が重要です。

ストレスが昼間の眠気に関係することはありますか？

はい、ストレスは昼間の眠気に深く関係しています。過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、夜間の睡眠の質を低下させることがあります。その結果、夜に十分な休息が取れず、日中に強い眠気や倦怠感を感じるようになるのです。また、うつ病などの精神疾患もストレスが原因で発症し、過眠の症状を伴うことがあります。

まとめ

• 昼間の眠気は睡眠不足や生活習慣の乱れが原因となる。
• 食後の血糖値スパイクも眠気を引き起こす一因である。
• ストレスや精神的な要因も昼間の眠気に関与する。
• 薬の副作用で眠気が現れることがある。
• 睡眠時無呼吸症候群は日中の強い眠気の代表的な病気。
• ナルコレプシーは突然の睡眠発作や情動脱力発作が特徴。
• 特発性過眠症は持続的な眠気と目覚めの悪さが特徴。
• むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害も眠気の原因に。
• うつ病などの精神疾患でも過眠症状が見られる。
• 甲状腺機能低下症や糖尿病などの身体疾患も関連する。
• 診断には問診、簡易検査、睡眠ポリグラフ検査などがある。
• 治療は病気に応じた専門的な方法と生活習慣の改善が中心。
• 規則正しい生活リズムと快適な睡眠環境が重要である。
• 冷水洗顔やストレッチ、仮眠は一時的な眠気解消に有効。
• 強い眠気が続く場合は早めに専門医へ相談することが大切。