お子さんが突然ひきつけを起こしたり、熱を出して痙攣したりする姿を見ると、親御さんは大きな不安に襲われることでしょう。一体何が起きているのか、どうすれば良いのか、と戸惑ってしまうのは当然です。特に「ひきつけ」と「熱性痙攣」という言葉は混同されがちですが、これらは異なる状態を指す場合があり、その違いを理解することは、落ち着いて適切な対処をする上で非常に重要です。
本記事では、ひきつけと熱性痙攣のそれぞれの症状、原因、そして最も大切な対処法について分かりやすく解説します。両者の決定的な違いを把握し、いざという時に冷静に対応できるよう、ぜひ最後までお読みください。
「ひきつけ」とは?様々な原因で起こる痙攣の総称

「ひきつけ」という言葉は、一般的に自分の意思とは関係なく、突然手足が突っ張ったり、全身が硬直したり、ガクガクと震えたりする状態を指します。これは医学的には「痙攣(けいれん)」と同じ意味で使われることが多く、特に小児の痙攣に対して用いられる傾向があります。脳の神経細胞が異常に興奮することで起こると考えられており、乳幼児期は脳が未発達なため、ひきつけを起こしやすい時期と言えるでしょう。
ひきつけは、発熱の有無にかかわらず様々な原因で発生する可能性があります。例えば、大泣きによる呼吸の乱れや、激しい脱水症状、脳炎や髄膜炎といった重篤な病気が原因となることもあります。また、てんかん発作もひきつけの一種として考えられます。このように、ひきつけは単一の病気を指すのではなく、多様な原因によって引き起こされる「症状」の総称として理解することが大切です。
ひきつけの基本的な定義と症状
ひきつけは、全身または身体の一部の筋肉が勝手に収縮することで、体が硬直したり、ピクピク、あるいはガクンガクンと痙攣する様子を表します。 意識がなくなる、目が一点を見つめて焦点が合わない、あるいは左右に偏る、呼吸が浅くなり顔色が悪くなる(チアノーゼ)、嘔吐や失禁を伴うなどの症状が見られることがあります。
多くの場合は数分で自然に治まりますが、その間は非常に心配になるものです。特に乳幼児は脳が未熟なため、大人に比べて痙攣を起こしやすいとされています。
ひきつけの症状は多岐にわたり、全身が突っ張る「強直性痙攣」、手足がぴくぴくする「間代性痙攣」、あるいはその両方が混じった「強直・間代性痙攣」などがあります。 また、体全体に起こることもあれば、半身や手足の一部にだけ起こることもあります。 痙攣が止まった後、一時的にぼーっとしたり、眠り込んだりすることもありますが、通常は意識が元に戻ります。
初めてのひきつけや、いつもと様子が違う場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
ひきつけを引き起こす主な原因
ひきつけの原因は多岐にわたりますが、特に小児期に多く見られるものとしては、以下のようなものが挙げられます。最も頻度が高いのは熱性痙攣です。
- 熱性痙攣: 発熱に伴って起こる痙攣で、乳幼児期に最も多く見られます。
- 憤怒痙攣(泣き入りひきつけ): 乳幼児が激しく泣いた後に呼吸が止まり、顔色が悪くなって全身が突っ張るものです。
- 低血糖・電解質異常: 体内の血糖値や電解質のバランスが崩れることで起こります。
- 脳炎・髄膜炎: 脳や脳を覆う膜にウイルスや細菌が感染することで、高熱、嘔吐、頭痛と共にひきつけが起こることがあります。
- てんかん: 脳の慢性的な病気で、発熱の有無にかかわらず繰り返し痙攣発作を起こします。
- 頭部外傷: 頭を強く打った後にひきつけが起こることもあります。
- 脱水症状: 激しい下痢や嘔吐などで体内の水分が失われ、脱水が進むとひきつけを起こすことがあります。
これらの原因は年齢によっても異なり、新生児期には出産時の障害や代謝異常、乳児期には熱性痙攣や憤怒痙攣、学童期にはてんかんや心因性のものなども見られます。 原因を特定するためには、医師による詳細な診察と検査が必要になる場合があります。
「熱性痙攣」とは?発熱時に特有の良性痙攣

熱性痙攣は、乳幼児期に特有の痙攣で、発熱に伴って起こるのが大きな特徴です。具体的には、生後6ヶ月から5歳くらいまでの子どもが、38℃以上の急な発熱時に意識障害と痙攣を引き起こす病気と定義されています。 日本の小児の約7〜10%にみられる比較的頻度の高い疾患であり、欧米では3〜5%とされています。 脳に明らかな病気がないにもかかわらず、急激な体温上昇が引き金となって脳の神経細胞が一時的に興奮することで起こると考えられています。
多くの場合は良性で、後遺症を残すことはほとんどありません。
熱性痙攣は、脳の発達が未熟な乳幼児期に特有の現象であり、脳が成熟するにつれて起こらなくなります。 遺伝的な要因も関与していると言われており、両親に熱性痙攣の既往があると、子どもが発症する頻度が高くなる傾向があります。 発熱の原因としては、突発性発疹、夏風邪、インフルエンザなど、急に高熱を出す疾患がきっかけとなることが多いです。
熱性痙攣は、見た目は非常に衝撃的ですが、多くの場合、心配する必要のない一時的な症状であることを理解することが大切です。
熱性痙攣の定義と特徴
熱性痙攣は、主に生後6ヶ月から5歳までの乳幼児期に、38℃以上の発熱に伴って起こる発作性疾患です。 髄膜炎などの中枢神経感染症や先天性代謝異常、てんかんなど、他の明らかな痙攣の原因がない場合に診断されます。 熱性痙攣の多くは「単純型」と呼ばれ、以下の特徴があります。
- 発作時間が15分以内であること
- 全身性の左右対称な痙攣であること
- 24時間以内に1回しか繰り返さないこと
これらの条件を一つでも満たさない場合は「複雑型」と分類され、より詳しい検査が必要になることがあります。 熱性痙攣は、発熱の初期、特に体温が急激に上昇するタイミングで起こることが多く、痙攣によって発熱に気づくケースもあります。 発作が起きても、ほとんどの場合、脳に後遺症を残すことはなく、子どもの発達に影響を与えることも少ないとされています。
熱性痙攣の典型的な症状と発症しやすい年齢
熱性痙攣の典型的な症状は、突然意識がなくなり、全身が硬直したり、手足がガクガクと震えたりすることです。 目は見開いて虚空を見つめたり、左右に偏ったりすることがあります。 呼吸が不十分になり、顔色が悪く唇が紫色になる(チアノーゼ)こともあります。 嘔吐や失禁を伴うことも珍しくありません。 痙攣は通常2~3分で収まることが多いですが、中には20~30分と長く続く「痙攣重積症」と呼ばれる状態になることもあります。
熱性痙攣は、生後6ヶ月から5歳頃までの乳幼児に多く見られ、特に1歳から1歳半が最も発症しやすい時期とされています。 脳の神経ネットワークがまだ未成熟なため、体温の急上昇に対して脳が過敏に反応しやすいことが原因と考えられています。 成長とともに脳が成熟すると、痙攣を起こしにくくなり、6歳前後でほとんど見られなくなります。
発作が収まった後、一時的にぼーっとしたり眠ったりしますが、その後は意識が回復し、普段通りの状態に戻ることがほとんどです。
ひきつけと熱性痙攣の決定的な違いを比較

「ひきつけ」と「熱性痙攣」は、どちらも痙攣発作を指す言葉として使われることがありますが、医学的には明確な違いがあります。ひきつけは痙攣という「症状」や一般的な呼び方を指すのに対し、熱性痙攣は発熱に伴って起こる特定の「診断名」です。 この違いを理解することは、お子さんの症状を正しく判断し、適切な対応をする上で非常に重要です。
主な違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | ひきつけ(一般的な痙攣) | 熱性痙攣 |
|---|---|---|
| 定義 | 様々な原因で起こる痙攣の総称(症状) | 発熱に伴って起こる乳幼児期の痙攣(診断名) |
| 発熱の有無 | 発熱の有無にかかわらず起こりうる | 38℃以上の発熱を伴う |
| 発症年齢 | 全年齢で起こりうる | 生後6ヶ月~5歳頃の乳幼児期に特有 |
| 原因 | 熱性痙攣、てんかん、脳炎、髄膜炎、低血糖、脱水、憤怒痙攣など多岐にわたる | 急激な体温上昇による脳の未成熟な反応 |
| 痙攣の持続時間 | 原因により様々(数分~長時間) | 多くは数分以内(15分以内が単純型) |
| 痙攣のタイプ | 全身性、部分性、左右非対称など様々 | 多くは全身性で左右対称(単純型) |
| 繰り返しの可能性 | 原因により異なる(てんかんは繰り返す) | 約3割が繰り返すが、成長とともに減少 |
| 後遺症のリスク | 原因によっては残る可能性あり(脳炎、てんかんなど) | 単純型ではほとんど残らない |
この表からもわかるように、熱性痙攣はひきつけの一種ではありますが、発熱という特定の誘因と、乳幼児期という特定の年齢層に限定される良性の痙攣です。 発熱を伴わない痙攣や、発熱があっても上記の特徴に当てはまらない場合は、熱性痙攣以外の原因を考慮し、より慎重な対応が求められます。
発熱の有無と発症年齢の違い
ひきつけと熱性痙攣を区別する上で最も重要な点は、「発熱の有無」と「発症年齢」です。熱性痙攣は、その名の通り38℃以上の発熱を伴って起こる痙攣であり、主に生後6ヶ月から5歳頃までの乳幼児期に限定して見られます。
この年齢層の子どもは、脳の神経機能がまだ未熟なため、急激な体温上昇に脳が過敏に反応しやすい特性があるためです。
一方、「ひきつけ」という広い意味での痙攣は、発熱を伴わない場合にも起こりえます。例えば、低血糖、脳炎、髄膜炎、てんかん、頭部外傷、あるいは激しい泣きによる呼吸の乱れ(憤怒痙攣)など、様々な原因で発熱がなくても痙攣は発生します。 また、ひきつけは乳幼児だけでなく、新生児から学童期、さらには大人まで、どの年齢層でも起こる可能性があります。
発熱がないのに痙攣が起きた場合や、5歳を過ぎた子どもが発熱を伴って痙攣を起こした場合は、熱性痙攣以外の原因を疑い、速やかに医療機関を受診することが大切です。
痙攣の持続時間と症状の左右差
痙攣の「持続時間」と「症状の左右差」も、ひきつけと熱性痙攣を区別する重要な手がかりとなります。熱性痙攣の多くは「単純型」に分類され、痙攣の持続時間は通常数分以内、長くても15分以内とされています。
また、全身が左右対称に硬直したり、ガクガクと震えたりするのが特徴です。 痙攣が止まった後は、一時的にぼーっとするものの、意識は比較的速やかに回復します。
これに対し、痙攣が15分以上長く続く場合や、体の一部だけが痙攣する(部分発作)、あるいは左右非対称に痙攣する場合は、「複雑型熱性痙攣」または熱性痙攣以外の原因によるひきつけの可能性を考慮する必要があります。 特に、痙攣が長時間続いたり、左右差が見られたりする場合は、脳炎や髄膜炎、てんかんなど、より詳しい検査や治療が必要な病気が隠れている可能性も考えられます。
痙攣の様子を正確に観察し、持続時間や体の動きの左右差などを医師に伝えることは、適切な診断と治療につながるため非常に重要です。
繰り返しの可能性と後遺症のリスク
ひきつけと熱性痙攣では、「繰り返しの可能性」と「後遺症のリスク」にも違いがあります。熱性痙攣は、一度経験した子どもの約3割が再発すると言われていますが、多くの場合、成長とともに6歳前後で起こさなくなり、生涯で数回で終わることがほとんどです。
単純型熱性痙攣であれば、繰り返し起こしても脳に後遺症を残したり、知能低下を引き起こしたりすることはほとんどありません。
しかし、熱性痙攣が複雑型である場合(15分以上続く、部分発作、24時間以内に繰り返すなど)や、初めての痙攣が1歳未満で起こった場合、家族にてんかんの既往がある場合などは、再発のリスクが高まる傾向があります。 また、熱性痙攣を起こした子どもの3~5%が将来てんかんに移行する可能性があるとも言われています。
一方、熱性痙攣以外の原因によるひきつけ、特に脳炎や髄膜炎、てんかんなどの場合は、後遺症が残るリスクや、痙攣を繰り返す可能性が高くなります。 お子さんの痙攣のタイプや既往歴を把握し、医師と相談しながら、必要に応じて再発予防策や経過観察を行うことが大切です。
子供が痙攣を起こしたときの落ち着いた対処法

お子さんが痙攣を起こした時、目の前で我が子が苦しむ姿を見ると、親御さんはパニックになってしまうかもしれません。しかし、ほとんどの痙攣は数分で自然に止まり、命に関わることは稀です。 大切なのは、慌てずに落ち着いて適切な対処をすることです。冷静な対応が、お子さんの安全を守り、その後の診断にも役立ちます。
ここでは、痙攣が起きた際に親御さんが取るべき具体的な対処法について解説します。適切な行動を知っておくことで、いざという時にも冷静に対応できるでしょう。
痙攣中の子供の安全確保と観察のコツ
お子さんが痙攣を起こしたら、まずは落ち着いて以下の点に注意し、安全を確保しながら様子を観察しましょう。
- 安全な場所に寝かせる: 周囲に危険なものがないか確認し、頭を打たないように柔らかいものを敷くなどして、平らな場所に寝かせます。
- 体を横向きにする: 吐いたものが喉に詰まったり、気管に入ったりするのを防ぐため、顔と体を横向きにしましょう。 首元の衣服を緩めて呼吸を楽にしてあげることも大切です。
- 口の中に物を入れない: 舌を噛むことを心配して、指や割り箸などを口に入れるのは絶対にやめてください。 窒息や口の中を傷つける危険があります。
- 体を揺さぶったり、押さえつけたりしない: 痙攣を無理に止めようとすると、骨折などの怪我につながる可能性があります。
- 痙攣の様子を観察・記録する: 以下の点をよく観察し、可能であればスマートフォンで動画を撮影しておくと、後で医師に正確な情報を伝えることができます。
- 痙攣が始まった時間と終わった時間(持続時間)
- 痙攣のタイプ(全身が突っ張る、ガクガク震える、手足の一部だけなど)
- 目の動き(白目をむく、一点を見つめる、左右に偏るなど)
- 顔色(青白い、紫色など)
- 意識の状態(呼びかけに反応するかどうか)
これらの観察は、医師が診断を下す上で非常に重要な情報となります。
救急車を呼ぶべき緊急性の高いケース
ほとんどの痙攣は数分で自然に収まりますが、以下のような場合は緊急性が高く、ためらわずに救急車を呼ぶ必要があります。
- 痙攣が5分以上続く場合
- 痙攣が止まっても意識が戻らない、またはぐったりしている場合
- 1回の発熱で痙攣を2回以上繰り返す場合
- 痙攣が左右非対称である、または体の一部だけが痙攣している場合
- 生後6ヶ月未満の乳児が痙攣を起こした場合
- 熱がないのに痙攣を起こした場合
- 痙攣後に麻痺が残るなど、いつもと明らかに様子が違う場合
これらの症状は、熱性痙攣以外の重篤な病気(脳炎、髄膜炎、てんかんなど)の可能性を示唆していることがあります。 救急車を呼ぶ際は、落ち着いて電話口の質問に答え、お子さんの状態を正確に伝えましょう。 迷った場合は、ためらわずに救急車を呼ぶことが、お子さんの命を守る最善の決定となることがあります。
熱性痙攣の予防と再発への備え

熱性痙攣は、多くの場合良性で後遺症を残しませんが、一度経験すると親御さんは再発への不安を抱えるものです。熱性痙攣を完全に予防することは難しいですが、再発のリスクを減らすための方法や、いざという時に備えるための準備は可能です。適切な知識と準備があれば、不安を軽減し、より落ち着いて対応できるようになります。
ここでは、熱性痙攣の再発を減らすためのコツや、医療機関との連携の重要性について解説します。
熱性痙攣の再発を減らすための方法
熱性痙攣の再発を完全に防ぐことはできませんが、いくつかの方法でリスクを減らすことができます。
- 感染症の予防: 熱性痙攣は発熱に伴って起こるため、風邪やインフルエンザなどの感染症にかからないようにすることが大切です。手洗いやうがいを徹底し、人混みを避けるなどの対策を心がけましょう。
- 予防接種の実施: 予防接種は、感染症の予防に効果的です。特に、熱性痙攣のリスクが高いとされるロタウイルスワクチンやHibワクチンなどの接種を忘れずに行いましょう。
- 解熱剤の使用: 解熱剤自体には痙攣を予防する効果はありませんが、発熱による不快感を和らげ、体温の急激な上昇を抑えることで、間接的に痙攣の誘発を避ける助けになる場合があります。 ただし、医師の指示に従って適切に使用することが重要です。
- 抗痙攣薬の予防投与(ジアゼパム坐薬): 熱性痙攣を繰り返し起こす可能性が高いお子さんや、痙攣が長時間続いた既往がある場合などには、医師の判断でジアゼパム坐薬(ダイアップ)が処方されることがあります。 発熱の初期(37.5℃~38℃以上)に坐薬を使用することで、痙攣を予防する効果が期待できます。 使用方法やタイミングについては、必ず医師の指示を厳守してください。
これらの対策は、お子さんの状態や医師の判断によって異なります。不安な場合は、かかりつけ医に相談し、個別の予防策について話し合うことが大切です。
医療機関での相談と情報収集の重要性
熱性痙攣を経験した後は、医療機関での相談と情報収集が非常に重要です。初めての痙攣であったり、複雑型熱性痙攣であったりした場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診察を受けましょう。 医師は、痙攣の様子や持続時間、発熱の状況、既往歴、家族歴などを詳しく聞き取り、必要に応じて血液検査や脳波検査などを行い、熱性痙攣以外の病気が隠れていないかを確認します。
また、再発のリスクや予防策、家庭での対処法などについて、医師から具体的なアドバイスを受けることができます。 特に、ジアゼパム坐薬を処方された場合は、その使い方や注意点について十分に理解しておく必要があります。 痙攣の様子を動画で撮影しておくと、医師が診断する上で非常に役立つ情報となるため、可能であれば試みましょう。
不安なことや疑問に思うことがあれば、遠慮せずに医師や看護師に相談し、正しい情報を得ることで、安心して子育てができるようになります。
よくある質問

- 熱性痙攣とひきつけは同じものですか?
- 熱性痙攣はどんな時に起こりやすいですか?
- 熱性痙攣の症状はどのようなものですか?
- 熱性痙攣の際に救急車を呼ぶべき目安はありますか?
- 熱性痙攣は大人でも発症することがありますか?
- 熱性痙攣は一度起こると繰り返しやすいですか?
- 熱性痙攣が原因で後遺症が残ることはありますか?
熱性痙攣とひきつけは同じものですか?
熱性痙攣とひきつけは、同じ意味で使われることもありますが、医学的には違いがあります。ひきつけは「痙攣」という症状や一般的な呼び方を指すのに対し、熱性痙攣は「38℃以上の発熱に伴って起こる乳幼児期の痙攣」という特定の診断名です。 つまり、熱性痙攣はひきつけの一種ですが、ひきつけ全てが熱性痙攣であるわけではありません。
発熱を伴わないひきつけや、5歳を過ぎてからのひきつけは、熱性痙攣以外の原因が考えられます。
熱性痙攣はどんな時に起こりやすいですか?
熱性痙攣は、主に生後6ヶ月から5歳頃までの乳幼児が、38℃以上の発熱に伴って起こります。 特に、体温が急激に上昇する発熱の初期に起こることが多いです。 発熱の原因としては、突発性発疹、インフルエンザ、夏風邪などのウイルス感染症がきっかけとなることが多いとされています。
熱性痙攣の症状はどのようなものですか?
熱性痙攣の症状は、突然意識がなくなり、全身が硬直したり、手足がガクガクと震えたりします。 目は白目をむいたり、一点を見つめたり、左右に偏ったりすることがあります。 顔色が悪くなり、唇が紫色になる(チアノーゼ)こともあります。 嘔吐や失禁を伴うこともあり、通常は数分で自然に収まります。
熱性痙攣の際に救急車を呼ぶべき目安はありますか?
熱性痙攣で救急車を呼ぶ目安は、以下の通りです。
- 痙攣が5分以上続く場合
- 痙攣が止まっても意識が戻らない、またはぐったりしている場合
- 1回の発熱で痙攣を2回以上繰り返す場合
- 痙攣が左右非対称である、または体の一部だけが痙攣している場合
- 生後6ヶ月未満の乳児が痙攣を起こした場合
- 熱がないのに痙攣を起こした場合
これらの症状が見られる場合は、熱性痙攣以外の重篤な病気の可能性も考えられるため、ためらわずに救急車を呼びましょう。
熱性痙攣は大人でも発症することがありますか?
熱性痙攣は、基本的に子ども特有の病気であり、大人にはほとんど起こりません。 熱性痙攣は、脳の神経ネットワークがまだ未成熟な乳幼児期に、体温の急上昇に対して脳が過敏に反応することで起こると考えられています。 大人が痙攣を起こした場合は、熱性痙攣以外の原因(てんかん、脳炎、脳腫瘍など)が隠れている可能性が高いため、速やかに医療機関を受診する必要があります。
熱性痙攣は一度起こると繰り返しやすいですか?
熱性痙攣は、一度経験した子どもの約3割が再発すると言われています。 特に、初めての痙攣が1歳未満で起こった場合、家族に熱性痙攣の既往がある場合、発熱から痙攣までの時間が短い場合などは、再発のリスクが高まる傾向があります。 しかし、多くの場合、成長とともに6歳前後で起こさなくなり、生涯で数回で終わることがほとんどです。
熱性痙攣が原因で後遺症が残ることはありますか?
単純型熱性痙攣の場合、ほとんどの場合、後遺症が残ることはなく、子どもの発達に影響を与えることも少ないとされています。 しかし、痙攣が15分以上続く「複雑型熱性痙攣」や「痙攣重積症」の場合、稀に脳に影響を与える可能性も指摘されています。 また、熱性痙攣を起こした子どもの3~5%が将来てんかんに移行する可能性も報告されています。
不安な場合は、医師と相談し、適切な経過観察を行うことが重要です。
まとめ
- 「ひきつけ」は様々な原因で起こる痙攣の総称です。
- 「熱性痙攣」は発熱に伴う乳幼児期特有の良性痙攣です。
- 熱性痙攣は生後6ヶ月から5歳頃に多く、38℃以上の発熱時に発生します。
- ひきつけは発熱の有無にかかわらず、どの年齢でも起こりえます。
- 熱性痙攣の多くは数分で収まり、全身性で左右対称です。
- 痙攣が15分以上続く、部分性、左右非対称の場合は注意が必要です。
- 単純型熱性痙攣は後遺症を残すことがほとんどありません。
- 痙攣中は安全確保と冷静な観察が最も大切です。
- 口の中に物を入れたり、体を揺さぶったりしてはいけません。
- 痙攣が5分以上続く、意識が戻らない場合は救急車を呼びましょう。
- 熱性痙攣の再発予防には感染症対策や予防接種が有効です。
- 医師の判断でジアゼパム坐薬による予防投与が行われることもあります。
- 痙攣の様子を動画で撮影しておくと、診断に役立ちます。
- 不安な場合は、かかりつけ医に相談し、適切な情報を得ましょう。
- 熱性痙攣からてんかんに移行する可能性は稀にあります。
