「なんだか体がだるい」「疲れがとれない」「めまいがする」といった不調を感じていませんか?それはもしかすると、鉄分不足のサインかもしれません。特に女性は月経や妊娠・出産によって鉄分が不足しやすく、意識的な摂取が大切です。本記事では、体への吸収率が高い「ヘム鉄」に焦点を当て、どのような食べ物から効率よく摂取できるのか、そしてその吸収をさらに高める食事のコツを詳しく解説します。
日々の食事にヘム鉄を上手に取り入れ、元気で健康な毎日を送りましょう。
ヘム鉄とは?非ヘム鉄との違いと体への重要性

私たちの体に必要なミネラルの一つである鉄分は、大きく分けて「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。これらは食品に含まれる形や体内での吸収のされ方が異なり、それぞれの特徴を理解することが効率的な鉄分補給の第一歩となります。
ヘム鉄と非ヘム鉄、それぞれの特徴
ヘム鉄は、主に肉や魚などの動物性食品に含まれる鉄分です。ヘムというタンパク質に包まれた状態で存在するため、体内での吸収率が非常に高いという特徴があります。具体的には、吸収率が10~30%とされており、他の食品との食べ合わせによって吸収が妨げられることもほとんどありません。
一方、非ヘム鉄は、野菜や穀類、豆類、海藻類といった植物性食品に多く含まれる鉄分です。ヘム鉄に比べて吸収率が2~5%と低いのが特徴です。 非ヘム鉄は、一緒に摂取する食品の影響を受けやすく、吸収を助ける栄養素と組み合わせる工夫が求められます。
ヘム鉄が体に良いとされる理由
ヘム鉄は、その高い吸収率から、効率的に体内に鉄分を補給できる点が大きなメリットです。鉄分は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの主要な成分であり、全身に酸素を運ぶ重要な役割を担っています。 ヘム鉄を摂取することで、このヘモグロビンの生成を助け、体のすみずみまで酸素が行き渡るように支援します。 また、ヘム鉄は非ヘム鉄と比べて胃腸への負担が少ないとも言われています。
鉄分不足が引き起こす体の不調
鉄分が不足すると、ヘモグロビンが十分に作られなくなり、全身が酸素不足に陥ります。これが「鉄欠乏性貧血」と呼ばれる状態です。 貧血の主な症状としては、倦怠感や疲れやすさ、動悸、息切れ、めまいなどが挙げられます。 さらに、顔色が悪くなる、爪が割れやすくなる、爪の表面が凸凹する、舌が痛む、口角炎、異食症(氷などを無性に食べたくなる)といった症状が現れることもあります。
集中力の低下や学習障害、うつ、パニック障害といった知能や情動への影響も指摘されており、見過ごせない体のサインです。
ヘム鉄を豊富に含む食べ物リスト

ヘム鉄は、主に動物性食品に多く含まれています。日々の食事に意識的に取り入れることで、効率的に鉄分を補給できます。ここでは、ヘム鉄を豊富に含む代表的な食べ物を具体的にご紹介します。
肉類から摂れるヘム鉄
肉類は、ヘム鉄の主要な供給源です。特に赤身の肉に多く含まれています。 レバーはヘム鉄の含有量が非常に高く、効率的な鉄分補給に役立ちます。例えば、豚レバー(生)は100gあたり約13mg、鶏レバー(生)は約9mg、牛レバー(生)は約4mgの鉄分を含んでいます。 また、牛もも肉などの赤身肉もヘム鉄が豊富です。
レバーが苦手な方もいるかもしれませんが、調理法を工夫したり、少量ずつ取り入れたりすることで摂取しやすくなります。
- 豚レバー(生)
- 鶏レバー(生)
- 牛レバー(生)
- 牛もも肉(赤身)
魚介類から摂れるヘム鉄
魚介類もヘム鉄の良い供給源です。特に赤身の魚や貝類に多く含まれています。 かつおやマグロの赤身は、手軽にヘム鉄を摂取できる魚としておすすめです。 また、あさりやしじみなどの貝類も鉄分が豊富で、味噌汁や炊き込みご飯など、様々な料理に取り入れやすいでしょう。 ただし、魚の血合いはヘム鉄が豊富ですが、メチル水銀も多く含まれるため、妊活中の女性にはおすすめできません。
- かつお(赤身)
- まぐろ(赤身)
- あさり
- しじみ
- 赤貝
その他のヘム鉄を含む食品
肉や魚介類以外にも、ヘム鉄を含む食品はあります。卵もヘム鉄を含む食品の一つです。 日常的に摂取しやすい卵は、手軽なヘム鉄補給源として活用できます。ただし、卵に含まれる鉄分量は肉や魚介類に比べると少ないため、他の食品と組み合わせて摂取することが大切です。 これらの食品をバランス良く取り入れることで、日々の鉄分摂取量を確保しましょう。
- 卵
鉄分の吸収率を高める食事のコツ

ヘム鉄は吸収率が高いものの、さらに効率よく鉄分を体に取り入れるためには、食事の組み合わせや調理法に少し工夫を凝らすことが大切です。ここでは、鉄分の吸収率を高めるための具体的なコツをご紹介します。
ヘム鉄と非ヘム鉄をバランス良く摂る方法
ヘム鉄は吸収率が高いですが、非ヘム鉄も私たちの食生活に欠かせない鉄分です。非ヘム鉄の吸収率は低いものの、特定の栄養素と一緒に摂ることで吸収率を高められます。 肉や魚などのヘム鉄源と、野菜や豆類などの非ヘム鉄源をバランス良く組み合わせることで、総合的な鉄分摂取量を増やし、吸収効率も向上させることが可能です。
例えば、レバニラ炒めのように、ヘム鉄が豊富なレバーと、非ヘム鉄の吸収を助けるビタミンCが豊富なニラを組み合わせるのも良い方法です。
鉄分の吸収を助ける栄養素と食べ合わせ
非ヘム鉄の吸収を大きく助けるのが、ビタミンCと動物性たんぱく質です。 ビタミンCは、非ヘム鉄を体内で吸収されやすい形に変化させる働きがあります。 いちご、グレープフルーツ、キウイフルーツなどの果物や、ブロッコリー、ピーマン、じゃがいもなどの野菜に豊富に含まれています。 特に、加熱してもビタミンCが壊れにくいじゃがいもやピーマンは、調理に取り入れやすいでしょう。
また、肉や魚などの動物性たんぱく質も、非ヘム鉄の吸収率を高めることが知られています。 鉄鍋や鉄玉を使って調理することも、鉄分摂取量を増やす有効な方法です。
- ビタミンCが豊富な食品: いちご、グレープフルーツ、キウイフルーツ、ブロッコリー、ピーマン、じゃがいも、小松菜など
- 動物性たんぱく質が豊富な食品: 肉類、魚介類、卵、乳製品など
鉄分の吸収を妨げる食品に注意
一方で、鉄分の吸収を妨げてしまう食品や成分もあります。コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれる「タンニン」は、非ヘム鉄の吸収を阻害する作用があるため、食事中や食後すぐの摂取は避けるのが賢明です。 食事の際には水や麦茶を選ぶと良いでしょう。 また、ほうれん草などに含まれる「シュウ酸」や、玄米などに含まれる「フィチン酸」も非ヘム鉄の吸収を阻害する可能性があります。
インスタント食品や加工肉に含まれるリン酸塩も、鉄分の吸収を妨げる要因となるため、これらの食品の摂りすぎには注意が必要です。 食物繊維も過剰に摂取すると鉄の吸収を妨げることがありますが、通常の食事量であれば過度に心配する必要はありません。
- タンニンを含む飲み物: コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶
- シュウ酸を含む食品: ほうれん草(調理法で減らせる)
- フィチン酸を含む食品: 玄米、ライ麦、穀物の外皮など
- リン酸塩を含む食品: インスタント食品、加工肉、スナック菓子など
鉄分補給に関するよくある質問

鉄分補給について、多くの方が抱える疑問にお答えします。日々の健康管理に役立ててください。
ヘム鉄サプリメントは必要ですか?
通常の食事で鉄分を十分に摂取できていれば、必ずしもヘム鉄サプリメントが必要というわけではありません。 しかし、食生活が偏りがちで食事からの摂取が難しい場合や、月経量が多い、妊娠中・授乳中など、鉄分の必要量が増える時期には、サプリメントの利用も有効な選択肢となります。 ただし、サプリメントで鉄分を過剰に摂取すると、体に悪影響を及ぼす可能性もあるため、摂取量には十分注意し、必要であれば医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
妊娠中にヘム鉄を多く摂るべきですか?
妊娠中は、お腹の赤ちゃんに栄養と酸素を供給するため、非妊娠時よりも多くの鉄分が必要になります。 特に妊娠中期から後期にかけては、推奨される鉄分摂取量が大幅に増加します。 鉄分が不足すると、赤ちゃんの発育不良や未熟児、早産のリスクが高まるだけでなく、産後の母乳の出にも影響する可能性があります。 食事からの摂取を基本としつつ、必要に応じてヘム鉄を多く含む食品を意識的に取り入れ、医師や管理栄養士に相談しながら適切な量を摂取することが大切です。
ベジタリアンでもヘム鉄を効率よく摂れますか?
ベジタリアンやヴィーガンの食生活では、ヘム鉄を含む動物性食品を摂取しないため、鉄分不足に陥りやすい傾向があります。 しかし、植物性食品にも非ヘム鉄は含まれており、工夫次第で効率よく鉄分を補給できます。 非ヘム鉄の吸収率を高めるためには、ビタミンCや動物性たんぱく質(ベジタリアンの場合は乳製品や卵)と一緒に摂ることが重要です。
ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜、大豆製品、海藻類、ナッツ類、かぼちゃの種などに非ヘム鉄が豊富に含まれています。 鉄分強化食品や、必要に応じてサプリメントの活用も検討しましょう。
鉄分を摂りすぎるとどうなりますか?
通常の食事からの鉄分摂取で過剰になることはほとんどありません。 しかし、サプリメントや鉄剤を誤った方法で摂取したり、過剰に摂取したりすると、体に悪影響を及ぼす可能性があります。 鉄分が過剰になると、体内に蓄積され、肝臓や心臓、膵臓などの臓器に障害を与える恐れがあります。 活性酸素の発生を促進し、糖尿病や動脈硬化のリスクを高めることも指摘されています。
子供の場合、一度に大量の鉄分を摂取すると急性中毒を引き起こす可能性もあるため、特に注意が必要です。 鉄分の耐容上限量は、成人男性で1日50mg、成人女性で1日40mgとされています。 摂取量には十分気をつけましょう。
子供の鉄分補給で気をつけることは?
子供は成長が早く、筋肉や血液が増えるため、鉄分の必要量も多くなります。 特に乳児期後期(生後9ヶ月~1歳半)や思春期の女の子は、鉄分不足に陥りやすい時期です。 離乳食で鉄分を補給すること、そして牛乳の飲みすぎに注意することが大切です。牛乳は鉄分が少なく、含まれるカルシウムやカゼインが鉄の吸収を妨げる可能性があります。
鉄分が不足すると、発育の遅れや集中力の低下につながることもあります。 赤身の肉や魚、緑黄色野菜などをバランス良く食事に取り入れ、ビタミンCと一緒に摂ることを意識しましょう。
まとめ
- ヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に多く含まれる。
- ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収率が約2~3倍以上高い。
- 豚レバー、鶏レバー、牛もも肉はヘム鉄が豊富。
- かつお、まぐろ、あさり、赤貝もヘム鉄の良い供給源。
- 鉄分はヘモグロビンの材料で、酸素運搬に不可欠。
- 鉄分不足は倦怠感、動悸、息切れ、めまいなどを引き起こす。
- 非ヘム鉄の吸収はビタミンCと動物性たんぱく質で高まる。
- ビタミンCは果物や緑黄色野菜に豊富。
- タンニン(コーヒー、紅茶)は非ヘム鉄の吸収を阻害する。
- シュウ酸(ほうれん草)やフィチン酸(玄米)も吸収を妨げる。
- インスタント食品のリン酸塩も鉄吸収を阻害する。
- 妊娠中は鉄分必要量が増加するため、意識的な摂取が大切。
- サプリメントは食事で不足する場合に検討し、過剰摂取に注意。
- 鉄分の過剰摂取は臓器障害のリスクがある。
- 子供の鉄分補給は成長期に特に重要。
- 鉄鍋や鉄玉の活用も鉄分摂取のコツ。
