フィギュアスケート界の絶対王者、羽生結弦選手が2020-2021シーズンに披露したショートプログラム「レットミーエンターテインユー」。このプログラムは、コロナ禍という困難な時代に、私たちに希望と笑顔を届ける特別なメッセージが込められていました。
本記事では、羽生選手がこのプログラムに込めた深い想いから、楽曲の選定、振り付けの秘密、そして観客を熱狂させた圧巻の演技、さらにはその美しく変化する衣装に至るまで、多角的に掘り下げて解説します。羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」が、なぜこれほどまでに多くの人々の心に響いたのか、その魅力の全てを紐解いていきましょう。
羽生結弦選手「レットミーエンターテインユー」とは?プログラムの基本情報

羽生結弦選手が2020-2021シーズンに披露したショートプログラム「レットミーエンターテインユー」は、そのエネルギッシュな楽曲と羽生選手の新たな魅力が融合した、記憶に残るプログラムです。この章では、プログラムの基本的な情報と、その構成要素について詳しくご紹介します。
2020-2021シーズンのショートプログラム
「レットミーエンターテインユー」は、羽生結弦選手が2020-2021シーズンに採用したショートプログラム(SP)です。このシーズンは、世界中で新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、フィギュアスケート界も大きな影響を受けていました。多くの大会が中止や延期となる中で、羽生選手は約10ヶ月ぶりの実戦として、2020年全日本選手権でこのプログラムを初披露しました。その登場は、まさに待ち望まれた瞬間であり、多くのファンに感動と興奮をもたらしました。
このプログラムは、羽生選手が競技生活を続ける中で、観客を楽しませることに焦点を当てた、エンターテイナーとしての側面を強く打ち出した作品と言えるでしょう。彼の卓越した技術と表現力が、アップテンポなロックナンバーと見事に融合し、見る者全てを惹きつけました。
ロビー・ウィリアムズの楽曲とジェフリー・バトル氏の振り付け
このプログラムで使用された楽曲は、イギリスの人気歌手ロビー・ウィリアムズの「Let Me Entertain You」です。この曲は、そのタイトルが示す通り、「私にあなたを楽しませさせてくれ」というメッセージが込められた、非常にパワフルで魅力的なロックナンバーです。羽生選手は、この曲の持つエネルギーを最大限に引き出し、自身のスケートで表現しました。
振り付けは、羽生選手のプログラムを数多く手掛けてきたジェフリー・バトル氏が担当しました。バトル氏との共同作業により、羽生選手の身体能力と音楽性が最大限に活かされた、ダイナミックかつ洗練された振り付けが完成しました。特に、コロナ禍でのリモートでの振り付け制作は、両者にとって新たな挑戦であり、その困難を乗り越えて生まれたプログラムは、一層特別な意味を持つことになりました。
コロナ禍に届けられた希望のメッセージ!プログラム誕生の背景

「レットミーエンターテインユー」は、単なる競技プログラム以上の意味を持っていました。このプログラムの誕生には、世界が困難に直面していた時期に、羽生結弦選手が抱いた強い想いが深く関わっています。ここでは、その背景にある感動的なエピソードをご紹介します。
羽生選手が選曲に込めた特別な想い
2020年、世界は新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われ、多くの人々が不安や閉塞感を抱えていました。そのような状況下で、羽生選手は自身のスケートを通じて何ができるかを深く考えたと言います。当初はピアノ曲を探していたものの、最終的に選んだのは、「楽しませてあげる」というストレートなメッセージが込められたロビー・ウィリアムズの「Let Me Entertain You」でした。
羽生選手は、「せっかく皆さんこんなつらい中でも、こうやって自分のスケートを見てくださっているのだと思うので、そういう中でちょっとでも明るい話題になったらと思いました」と語っており、観客に少しでも笑顔と希望を届けたいという強い願いが込められていました。この選曲は、単に競技で勝つためだけでなく、フィギュアスケートが持つエンターテイメントとしての力を信じ、人々の心を癒やし、鼓舞しようとする羽生選手の人間性あふれる決意の表れでした。
リモートでの振り付け制作秘話
「レットミーエンターテインユー」の振り付け制作は、コロナ禍という特殊な状況下で行われました。通常であれば、振付師のジェフリー・バトル氏と直接リンクで対面し、細かなニュアンスを共有しながらプログラムを作り上げていきます。しかし、この時はリモートでのやり取りを余儀なくされました。
羽生選手は、バトル氏から送られてくるステップの場所を反対に置き換えたり、ジャンプを跳ぶタイミングを微調整したり、音のとり方や手の振りをアレンジしたりと、試行錯誤を重ねながらプログラムを完成させました。この困難な制作プロセスは、羽生選手のプログラムに対する深いこだわりと、どんな状況でも最高のものを追求するプロフェッショナルな姿勢を浮き彫りにしました。リモートという制約がありながらも、羽生選手自身の意向が色濃く反映された、まさに彼らしいプログラムが誕生したのです。
観客を魅了した「レットミーエンターテインユー」の演技構成と見どころ

羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」は、そのダイナミックな演技構成と、観客を惹きつける見どころが満載のプログラムでした。ここでは、彼の卓越した技術と表現力がどのように融合し、多くの人々を魅了したのかを詳しく見ていきましょう。
ロックな世界観と圧巻のジャンプ構成
「レットミーエンターテインユー」は、そのロックナンバーにふさわしく、羽生選手がこれまでにないワイルドで挑発的な表情を見せたプログラムです。冒頭から観客の視線を釘付けにするような、自信に満ちた佇まいは、まさにロックスターそのものでした。ジャンプ構成も非常に高難度で、4回転サルコウ、4回転トーループ+3回転トーループのコンビネーション、そしてトリプルアクセルといった主要なジャンプ要素を完璧に成功させました。
特に、これらのジャンプをアップテンポな音楽に合わせて軽やかに跳びこなす姿は、羽生選手の身体能力の高さと、音楽との一体感を強く感じさせました。ジャンプの着氷後も、勢いを殺すことなく次の動作へと流れるようなスムーズなトランジションは、彼の技術の結晶と言えるでしょう。観客は、その息をのむようなジャンプの連続に、会場全体が熱狂の渦に包まれるのを感じました。
表現力豊かなステップとスピン
羽生選手の魅力は、ジャンプだけにとどまりません。「レットミーエンターテインユー」では、曲のビートに合わせたキレのあるスケーティングと、表現力豊かなステップシークエンス、そして美しいスピンが際立っていました。特にステップシークエンスでは、氷上を縦横無尽に駆け巡りながら、観客を煽るようなパフォーマンスを随所に盛り込みました。
腕を突き上げる動作や、目線と笑顔でスタンドを焦土化するような挑発的な表現は、まさに「楽しませてあげる」というプログラムのテーマを体現していました。スピンもまた、その軸のブレない美しさと、ポジションの多様性で観客を魅了しました。一つ一つの動きに込められた感情と、音楽との完璧な調和は、羽生選手が単なるアスリートではなく、真のアーティストであることを改めて証明しました。
初披露となった全日本選手権での衝撃
「レットミーエンターテインユー」が初めて披露されたのは、2020年全日本フィギュアスケート選手権でした。約10ヶ月ぶりの実戦であり、コロナ禍での調整の難しさも相まって、多くのファンが羽生選手の演技に注目していました。そして、彼はその期待をはるかに超える圧巻のパフォーマンスを見せつけました。
初演から100点を超える高得点を叩き出し、首位に立ったことはもちろん、その「楽しい」という感情がストレートに伝わる演技は、多くの人々に衝撃を与えました。無観客ながらも、関係者からスタンディングオベーションが送られたほど、その演技は完璧でした。この全日本選手権での演技は、羽生選手がどんな状況でも最高のエンターテイメントを届けられることを証明し、その後のシーズンへの大きな期待を抱かせるものとなりました。
演技を彩る「レットミーエンターテインユー」の衣装の変遷

羽生結弦選手のプログラムは、その演技だけでなく、細部にまでこだわり抜かれた衣装も大きな魅力の一つです。「レットミーエンターテインユー」でも、そのロックな世界観を表現するために、複数の印象的な衣装が使用されました。ここでは、その衣装の変遷と特徴について掘り下げていきます。
初期衣装の魅力と特徴
「レットミーエンターテインユー」の初期衣装として、2020年全日本選手権で披露されたのは、ゴージャスな黒いジャケット姿でした。この衣装は、スタッズがあしらわれたロックテイストのデザインで、羽生選手のワイルドな魅力を際立たせるものでした。黒を基調としながらも、光の当たり方によって輝きを放つ素材や装飾が施されており、氷上で躍動する羽生選手を一層華やかに彩りました。
この衣装は、プログラムの持つ「楽しませてあげる」というテーマを視覚的に表現する上で重要な役割を果たしました。羽生選手が演じるロックスターのイメージと完璧に調和し、観客に視覚的なインパクトと興奮を与えました。彼の動きに合わせてきらめく装飾は、まるで彼自身が光を放っているかのような錯覚を起こさせ、プログラムの世界観をより一層深める効果がありました。
エキシビションで披露された新衣装
「レットミーエンターテインユー」は、競技会だけでなく、エキシビションでも披露され、その際には新たな衣装が登場しました。2021年のメダリスト・オン・アイスでは、白を基調に黒とゴールドのラインが入った新衣装で演技を行い、観客を魅了しました。この新衣装は、初期の黒い衣装とは異なる、より洗練された印象を与えつつも、プログラムの持つロックなエネルギーはそのままに表現されていました。
白を基調とすることで、羽生選手の持つ清廉さや、氷上の輝きが強調されました。黒とゴールドのラインは、シャープさと豪華さを加え、彼の動きに合わせた光の反射が、まるで氷上の芸術作品を見ているかのような感覚を与えました。これらの衣装は、フィギュアスケートの衣装デザイナーである伊藤聡美氏が手掛けたもので、その細やかな装飾や刺繍は、観客席やテレビでは見えにくい部分にまでこだわりが詰まっていました。衣装の変遷は、羽生選手がプログラムに込める想いや、表現の進化を象徴するものであり、ファンにとっても大きな楽しみの一つとなっています。
ファンが語る「レットミーエンターテインユー」の感動と評価

羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」は、その圧倒的なパフォーマンスと、プログラムに込められたメッセージにより、世界中のファンに深い感動と興奮をもたらしました。ここでは、ファンからの具体的な反響や、採点に関する議論など、多角的な評価をご紹介します。
世界中を熱狂させたファンからの反響
「レットミーエンターテインユー」が披露されるやいなや、その完璧な演技と、羽生選手が放つロックスターのような魅力に、世界中のファンが熱狂しました。SNS上では、「王者のスケートを見せてくれた」「史上最高!伝説だよ」「傑作だ」「素晴らしいエンターテイナーであることを思い出したよ」といった絶賛のコメントが相次ぎました。
特に、コロナ禍で沈みがちな世の中に、「楽しませてあげる」という羽生選手の強い意志が込められたプログラムは、多くの人々の心に響き、希望の光となりました。ファンからは、「こんなにも僕らの沈み込む心に目を向けてくれていたなんて」「鬱々とした暮らしのなかで、楽しいことも自粛するような日々に、何とかして楽しいことを起こしたい。そんな気持ちが随所に感じられて、本当に『見させていただいてありがとうございます』」といった感謝と共感の声が多数寄せられました。羽生選手がリンク上で見せる感情の爆発は、ファンにとって大きな喜びであり、彼を応援し続ける原動力となっています.
採点に関する議論と羽生選手の真価
「レットミーエンターテインユー」の演技は、その完成度の高さから高得点を獲得しましたが、一部のファンからは採点に対する不満の声も上がりました。国際スケート連盟(ISU)の公式Twitterが羽生選手の演技動画をアップロードした際にも、「もっと適切なスコアをつけて」「少なくても110ポイントでしょ」といったコメントが見られました。
これは、羽生選手の演技が、技術点だけでなく、芸術性や表現力においても群を抜いていたと感じるファンが多かったためです。特に、ジャンプのGOE(出来栄え点)や演技構成点において、彼のパフォーマンスが十分に評価されていないのではないかという意見が散見されました。しかし、このような議論は、羽生選手の演技がそれだけ多くの人々に深く印象付けられ、見る者の心を強く揺さぶる力を持っていたことの証でもあります。採点を超えたところで、羽生選手が届けた感動とメッセージこそが、このプログラムの真価であると言えるでしょう。
よくある質問

- 羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」はいつのプログラムですか?
- 「レットミーエンターテインユー」の曲は誰の曲ですか?
- 羽生結弦選手が「レットミーエンターテインユー」を選んだ理由は何ですか?
- 「レットミーエンターテインユー」の衣装は何種類ありますか?
- 羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」はどの大会で披露されましたか?
- 羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」の振り付けは誰が担当しましたか?
羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」はいつのプログラムですか?
羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」は、2020-2021シーズンのショートプログラムです。2020年全日本選手権で初披露され、その後、世界選手権や世界国別対抗戦などでも披露されました.
「レットミーエンターテインユー」の曲は誰の曲ですか?
「レットミーエンターテインユー」の曲は、イギリスの歌手ロビー・ウィリアムズの楽曲です。同名の曲がクイーンにもありますが、羽生選手が使用したのはロビー・ウィリアムズ版です.
羽生結弦選手が「レットミーエンターテインユー」を選んだ理由は何ですか?
羽生結弦選手は、コロナ禍という困難な時期に、自身のスケートを通じて人々に明るさや希望を届けたいという強い想いからこの曲を選びました。観客に「楽しんでもらいたい」というメッセージが込められています.
「レットミーエンターテインユー」の衣装は何種類ありますか?
「レットミーエンターテインユー」の衣装は、主に競技会で着用された黒を基調とした初期衣装と、エキシビションで披露された白を基調とした新衣装の2種類が確認されています。どちらもプログラムのロックな世界観を表現しつつ、異なる魅力を放っていました.
羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」はどの大会で披露されましたか?
羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」は、2020年全日本選手権で初披露された後、2021年世界選手権や2021年世界国別対抗戦などで披露されました。また、エキシビションの「メダリスト・オン・アイス」でも演技されました.
羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」の振り付けは誰が担当しましたか?
羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」の振り付けは、ジェフリー・バトル氏が担当しました。コロナ禍のため、リモートでの共同作業で完成されました.
まとめ

- 羽生結弦選手の「レットミーエンターテインユー」は2020-2021シーズンのSP。
- コロナ禍の困難な時期に希望を届けるプログラムとして誕生。
- 楽曲はロビー・ウィリアムズの同名曲を使用。
- 振り付けはジェフリー・バトル氏が担当し、リモートで制作。
- 羽生選手自身が選曲に強いメッセージを込めた。
- 2020年全日本選手権で初披露され、高得点で首位発進。
- ロックな世界観と圧巻のジャンプ構成が特徴。
- 表現力豊かなステップとスピンで観客を魅了。
- 初期衣装はゴージャスな黒いジャケット姿。
- エキシビションでは白を基調とした新衣装も披露。
- 世界中のファンから絶賛と感動の声が多数寄せられた。
- 採点に関する議論も一部で起こった。
- 羽生選手のエンターテイナーとしての側面を強く打ち出した作品。
- 彼の技術と表現力が融合した記憶に残るプログラム。
- 「楽しませてあげる」というメッセージが多くの人々の心に響いた。
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