大切に育てている野菜の葉が、気づいたら穴だらけに…。「もしかして、これってハムシの仕業?」家庭菜園を楽しむ多くの方が、この厄介な害虫に頭を悩ませています。できれば農薬は使いたくないけれど、どうすればいいか分からない。そんなお悩みをお持ちではありませんか?ご安心ください。本記事では、農薬を使わずにハムシを駆除し、大切な野菜を守るための具体的な方法を、分かりやすく解説します。安全で効果的な対策を知り、安心して美味しい野菜を育てましょう。
まずはコレ!無農薬でできるハムシの駆除方法トップ3

ハムシを見つけたら、被害が広がる前にすぐ対策を始めることが重要です。ここでは、誰でも簡単に始められる無農薬の駆除方法の中から、特に効果的な3つの方法をご紹介します。まずはこれらの方法から試してみてください。
- 手で捕まえる(テデトール)
- ペットボトルで捕獲トラップを作る
- 自然由来の成分で作る手作りスプレー
手で捕まえる(テデトール)
最も原始的で、しかし確実な方法が「手で捕まえる」ことです。農家さんの間では「テデトール」とも呼ばれるこの方法は、費用がかからず、見つけ次第すぐに対処できるのが最大のメリットです。ハムシは危険を察知すると、ポロッと下に落ちて死んだふりをする習性があります。この習性を利用しましょう。
捕獲のコツは、ハムシがいる葉の下に受け皿や袋を構えてから、葉を軽く揺らすこと。驚いたハムシが下に落ちるので、そのまま捕獲できます。特に、気温が低い朝方はハムシの動きが鈍いため、捕まえやすい絶好のチャンスです。 毎朝のパトロールを習慣にして、地道に数を減らしていくことが、結果的に大きな被害を防ぐことに繋がります。
ペットボトルで捕獲トラップを作る
手で捕まえるのに抵抗がある方や、もっと効率的に捕まえたい方におすすめなのが、ペットボトルを使った捕獲トラップです。 これはハムシが下に落ちる習性を利用した簡単な仕掛けで、多くの方が効果を実感しています。
作り方はとても簡単です。
- 500mlのペットボトルの上部3分の1あたりをカッターやハサミで切り取ります。
- 切り取った上部を逆さまにして、下側の部分に差し込み、テープなどで固定します。
これで完成です。このトラップをハムシがいる葉の下にそっと近づけ、葉を揺らしたり、ハムシを誘導したりしてトラップの中に落とします。一度入ると出にくい構造になっているため、簡単に捕獲できます。 畑の畝の間にいくつか設置しておくのも良いでしょう。
自然由来の成分で作る手作りスプレー
「見つけ次第捕まえる」だけでなく、ハムシが嫌がる環境を作ることも大切です。そこでおすすめなのが、身近なもので作れる手作りスプレー。 農薬を使わないので、収穫間近の野菜にも安心して使えます。
代表的なのは、お酢や木酢液を使ったスプレーです。
- お酢スプレー: 水で25倍~50倍に薄めた食酢をスプレーボトルに入れて吹きかけます。お酢の匂いを嫌ってハムシが寄り付きにくくなります。ただし、濃度が濃すぎると植物を傷める可能性があるので注意してください。
- 木酢液スプレー: 木酢液も同様に、水で薄めて使用します。製品によって推奨される希釈倍率が異なるため、説明書をよく読んでから使いましょう。 木酢液の独特の燻製のような香りは、ハムシだけでなく様々な害虫の忌避効果が期待できます。
これらのスプレーは、雨が降ると効果が薄れてしまうため、定期的に散布するのがコツです。特に、葉の裏側はハムシが隠れやすい場所なので、念入りにスプレーしましょう。
そもそもハムシってどんな虫?生態と被害を知ろう

効果的な対策を行うためには、まず敵であるハムシについてよく知ることが不可欠です。ハムシがどのような虫で、いつ、どのように活動するのかを理解すれば、より的確な対策を立てることができます。ここでは、ハムシの基本的な情報と、家庭菜園で注意すべき点について解説します。
- ハムシの生態と特徴
- ハムシの種類と被害に遭いやすい野菜
- ハムシが発生しやすい時期と環境
ハムシの生態と特徴
ハムシは、コウチュウ目ハムシ科に属する昆虫の総称です。 日本国内だけでも約780種類が確認されています。 その名の通り、多くの種類が植物の「葉」を食べることから「葉虫(ハムシ)」と呼ばれています。体長は2mm~10mm程度と小さいものが多く、丸っこい体型をしています。
ハムシの厄介な点は、成虫だけでなく幼虫も植物を食害することです。 種類によっては、成虫は葉を食べ、幼虫は土の中で根を食べて植物を弱らせるという、二重の被害をもたらすものもいます。 また、繁殖力が非常に高く、一度発生するとあっという間に数が増えてしまうため、早期発見・早期駆除が何よりも大切になります。
ハムシの種類と被害に遭いやすい野菜
家庭菜園で特によく見られ、注意が必要なハムシにはいくつかの種類がいます。種類によって好む植物が異なるため、ご自身が育てている野菜に合わせて対策を考えましょう。
- ウリハムシ: 体長7mmほどのオレンジ色をしたハムシ。 その名の通り、キュウリ、カボチャ、スイカ、メロンといったウリ科の野菜を好んで食害します。 成虫が葉を食べ、円形の特徴的な食害痕を残します。幼虫は土の中で根を食べるため、株全体の生育が悪くなる原因となります。
- キスジノミハムシ: 黒い体に黄色い筋模様がある、体長3mmほどの小さなハムシ。 ノミのようにピョンピョン跳ねるのが特徴です。ダイコン、カブ、ハクサイ、コマツナなどのアブラナ科の野菜に被害を与えます。 成虫は葉に小さな穴をたくさん開け、幼虫は根を食害します。
- ダイコンハムシ(ダイコンサルハムシ): 丸い体つきで、アブラナ科の野菜を好みます。 成虫も幼虫も葉を食べ、放置すると葉がレース状になるほど食い荒らされてしまいます。
これらのハムシは、新芽や若い葉など、柔らかい部分を特に好みます。苗を植え付けたばかりの時期は、特に注意深く観察することが大切です。
ハムシが発生しやすい時期と環境
ハムシは暖かい時期を好み、春から秋にかけて(4月~11月頃)活発に活動します。 多くの種類は成虫の姿で冬を越し、春になって気温が上がると活動を再開します。
特に、5月から8月にかけては産卵や孵化が盛んになり、被害が急増する時期です。 また、ハムシは雑草が生い茂っている場所を好みます。畑の周りの雑草は、ハムシの隠れ家や越冬場所になってしまうため、こまめに草刈りをして風通しを良くしておくことが、発生を予防する上で非常に重要です。
発生させないのが一番!無農薬でできるハムシの予防策

ハムシ対策で最も重要なのは、駆除することよりも「そもそも発生させない」ことです。ハムシが寄り付きにくい環境をあらかじめ作っておくことで、被害を未然に防ぎ、駆除の手間を大幅に減らすことができます。ここでは、農薬を使わずにできる効果的な予防策をご紹介します。
- 防虫ネット・寒冷紗で物理的に防ぐ
- シルバーマルチや光るものを設置する
- コンパニオンプランツを活用する
- 土壌環境を整える
防虫ネット・寒冷紗で物理的に防ぐ
最も確実な予防策の一つが、防虫ネットや寒冷紗(かんれいしゃ)で野菜を覆い、物理的にハムシの飛来を防ぐ方法です。 トンネル状に支柱を立ててネットをかけることで、成虫が野菜に近づいて産卵するのを防ぎます。
ネットを選ぶ際のポイントは「目合いの細かさ」です。キスジノミハムシのような非常に小さなハムシは、1mm程度の目合いのネットでは侵入してしまうことがあります。 そのため、できれば0.6mm~0.8mmといった、より目合いの細かいネットを選ぶと安心です。 ネットをかける際は、裾に隙間ができないように土でしっかりと埋めるなど、ハムシが入り込む隙間を作らないように注意しましょう。
シルバーマルチや光るものを設置する
ハムシ、特にウリハムシは、キラキラと光るものを嫌う習性があります。 この習性を利用して、ハムシを遠ざける方法が効果的です。
具体的には、畑の畝(うね)を「シルバーマルチ」という銀色のビニールシートで覆う方法があります。 シルバーマルチは太陽光を反射してハムシが寄り付きにくくするだけでなく、地温の上昇を抑えたり、雑草の発生を防いだりする効果も期待できます。
また、もっと手軽な方法として、CDや銀色のテープ(キラキラテープ)を支柱などに吊るしておくのも良いでしょう。 風で揺れてキラキラと光ることで、ハムシが畑に近づくのをためらわせる効果があります。アブラムシなど他の害虫対策にもなるので、ぜひ試してみてください。
コンパニオンプランツを活用する
コンパニオンプランツとは、一緒に植えることでお互いに良い影響を与え合う植物のことです。特定の香りを放つ植物の中には、ハムシなどの害虫を遠ざける効果(忌避効果)を持つものがあります。
例えば、ウリ科の野菜の近くにネギやニラ、バジルなどを植えると、その強い香りを嫌ってウリハムシが寄り付きにくくなると言われています。 化学薬品を使わずに、自然の力を借りて害虫を防ぐことができる、環境にも優しい方法です。見た目も華やかになり、畑の生物多様性を高めることにも繋がります。どのような野菜にどのコンパニオンプランツが合うか、色々と試してみるのも家庭菜園の楽しみの一つです。
土壌環境を整える
健康な野菜は病害虫にも強くなります。ハムシの被害を抑えるためには、土作りも非常に重要な要素です。
堆肥などの有機物をしっかりと施し、微生物が豊かなふかふかの土を作ることを心がけましょう。 健康な土で育った野菜は根張りが良くなり、多少ハムシに葉を食べられても、生育への影響を最小限に抑えることができます。また、ハムシの中には土の中で幼虫や蛹の時期を過ごすものがいるため、作付け前に畑をよく耕すことも、土の中に潜む幼虫や蛹を駆除するのに役立ちます。
まだある!無農薬で試せるその他のハムシ対策

これまで紹介した方法以外にも、無農薬でハムシ対策に挑戦できる方法はいくつか存在します。一つの方法で効果が感じられなかった場合でも、複数の対策を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。ここでは、さらに試してみたい対策を3つご紹介します。
- 木酢液・竹酢液を利用する
- 草木灰をまく
- 天敵(テントウムシなど)を味方につける
木酢液・竹酢液を利用する
手作りスプレーの項目でも触れましたが、木酢液や竹酢液は、散布するだけでなく土壌に施すことでも効果が期待できます。 これらの液体を規定の倍率に薄めて株元に散布すると、土の中にいる幼虫に対する忌避効果や、土壌の微生物環境を改善する効果があると言われています。
独特の燻製のような香りが、ハムシの成虫を寄せ付けにくくする効果も期待できます。 ただし、濃度が濃すぎると植物の生育に影響を与える可能性もあるため、使用する際は必ず製品の指示に従い、薄い濃度から試してみることをおすすめします。
草木灰をまく
昔から伝わる害虫対策として、草木灰を利用する方法があります。 草木灰とは、草や木を燃やしてできた灰のことです。これを株元や葉の上に薄く振りかけると、ハムシが嫌がって寄り付きにくくなると言われています。
草木灰のアルカリ性の性質や、ザラザラとした感触を害虫が嫌うためと考えられています。また、草木灰にはカリウムやミネラルが含まれているため、植物の栄養補給にもなります。ただし、アルカリ性のため、かけすぎると土壌のpHバランスが崩れる可能性があるので注意が必要です。雨が降ると流れてしまうため、定期的にまき直す必要があります。
天敵(テントウムシなど)を味方につける
自然界には、ハムシを食べてくれる頼もしい味方、つまり「天敵」が存在します。 例えば、テントウムシやカマキリ、クモ、アマガエルなどは、ハムシなどの小さな昆虫を捕食してくれます。
農薬を使うと、害虫だけでなくこれらの益虫(えきちゅう)まで殺してしまいます。無農薬で野菜を育てることは、こうした天敵が住みやすい環境を守ることにも繋がります。畑の周りに多様な植物を植えて天敵の隠れ家を用意したり、むやみに殺虫剤を使わないようにしたりすることで、自然のバランスが整い、害虫の異常発生を抑えることができます。
よくある質問

無農薬の駆除で効果が出ないときはどうすればいいですか?
無農薬での対策は、化学農薬のように即効性があるわけではなく、効果が穏やかな場合が多いです。効果が出ないと感じる時は、まず一つの方法だけでなく、複数の対策を組み合わせてみてください。例えば、「防虫ネットで物理的に防ぎつつ、木酢液スプレーを定期的に散布し、朝は手で捕殺する」といった具合です。また、根気強く続けることも重要です。ハムシの発生サイクルを断ち切るには、ある程度の時間と手間がかかることを理解し、地道に対策を継続することが成功への道です。
酢を使ったスプレーは効果がありますか?
はい、お酢のスプレーはハムシに対する忌避効果が期待できます。 多くの害虫は酢の酸っぱい匂いを嫌うため、寄り付きにくくなります。作り方は、水で25倍~50倍程度に薄めるのが一般的です。 ただし、注意点として、濃度が濃すぎると植物の葉が「葉焼け」を起こして傷んでしまう可能性があります。また、酸性のため、土壌に過剰にかかると影響が出ることも考えられます。まずは薄めの濃度から試してみて、植物の様子を見ながら調整することをおすすめします。
ハムシの幼虫も無農薬で駆除できますか?
はい、可能です。ウリハムシやキスジノミハムシなど、幼虫が土の中にいる種類のハムシ対策としては、作付け前に畑をよく耕すことが有効です。 土を掘り返すことで、中にいる幼虫や蛹を物理的に取り除いたり、地表に出して乾燥や天敵に晒したりすることができます。また、木酢液の希釈液を土壌に散布することも、幼虫に対する忌避効果が期待できます。 成虫を減らすことが、結果的に土の中の幼虫を減らすことに繋がるため、成虫対策と並行して行うことが重要です。
キスジノミハムシにも同じ対策は有効ですか?
基本的な対策は有効ですが、キスジノミハムシは体が小さく、ノミのように跳ねて移動するため、特化した対策も必要です。 特に防虫ネットは、0.6mmなど目の細かいものを選ばないと侵入される可能性があります。 また、アブラナ科の植物を好むため、連作を避けることも重要です。シルバーマルチの設置や、手作りスプレーの散布なども効果が期待できますので、他のハムシ対策と合わせて総合的に行うと良いでしょう。
まとめ

- ハムシは葉や根を食害する厄介な害虫です。
- 農薬を使わなくても駆除・予防は可能です。
- まずは手で捕殺するのが確実で簡単です。
- ペットボトルトラップは手軽で効果的です。
- お酢や木酢液の手作りスプレーで忌避できます。
- 最も重要なのは発生させない「予防」です。
- 防虫ネットは物理的に侵入を防ぐ最強の策です。
- シルバーマルチの光の反射はハムシが嫌がります。
- コンパニオンプランツで自然に遠ざけましょう。
- 健康な土作りが病害虫に強い野菜を育てます。
- 草木灰や天敵の利用も有効な手段です。
- – 幼虫対策には土を耕すことが効果的です。
– キスジノミハムシには目の細かいネットが必要です。
– 一つの方法でなく、複数の対策を組み合わせましょう。
– 根気強く続けることが無農薬対策成功のコツです。