年金受給が近づくと、「いつから年金がもらえるのだろう?」「初めての年金支給日は偶数月と聞いたけれど、奇数月になることもあるの?」といった疑問や不安を感じる方は少なくありません。特に、初めての年金支給日は、今後の生活設計を立てる上で非常に重要な情報です。
本記事では、初めて年金を受け取る方が抱える疑問を解消するため、年金支給日の基本的なルールから、奇数月に支給されるケース、そしてご自身の年金支給日を確認する方法まで、分かりやすく解説します。安心して年金生活をスタートできるよう、ぜひ最後までお読みください。
年金支給日の基本と初めての年金支給日

年金は老後の生活を支える大切な収入源です。初めて年金を受け取る際には、その支給日がいつになるのか、不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。まずは、年金支給日の基本的なルールと、初回支給日がどのように決まるのかを理解することが大切です。
年金は原則偶数月に支給される
日本の公的年金(国民年金、厚生年金)は、原則として偶数月の15日に支給されます。具体的には、2月、4月、6月、8月、10月、12月の年6回です。この支給日には、その前月と前々月の2ヶ月分の年金がまとめて振り込まれる仕組みになっています。例えば、4月15日に支給される年金は、2月分と3月分に該当します。このルールは、多くの年金受給者にとって共通のものです。
もし15日が土曜日、日曜日、または祝日に当たる場合は、その直前の平日に繰り上げて支給されます。これは、受給者が金融機関の営業日に確実に年金を受け取れるようにするための配慮です。例えば、2025年の6月15日は日曜日なので、年金は6月13日(金曜日)に支給されることになります。
初めての年金支給日が奇数月になる理由
年金の支給は原則偶数月ですが、初めて年金が支給される場合のみ、例外的に奇数月に振り込まれることがあります。これは、年金受給の手続きに一定の時間がかかるためです。年金を受け取る権利(受給権)は、原則として65歳の誕生日の前日に発生しますが、自動的に年金が振り込まれるわけではありません。
年金を受け取るためには、ご自身で「年金請求書」を提出する手続きが必要です。この請求書を提出してから、年金証書が届き、実際に年金の支給が開始されるまでには、通常1〜2ヶ月、場合によっては3〜4ヶ月程度の期間を要することがあります。この手続き期間中に偶数月の支給日に間に合わなかった場合、初回のみ奇数月にまとめて支給されることがあるのです。
奇数月に年金が支給される具体的なケース

初めての年金支給日が奇数月になるのは、特定の状況や年金の種類によって異なります。ここでは、どのような場合に奇数月に年金が支給されるのか、具体的なケースを詳しく見ていきましょう。
特別支給の老齢厚生年金と奇数月支給
「特別支給の老齢厚生年金」は、厚生年金の受給開始年齢が段階的に65歳に引き上げられる過程で設けられた制度です。一定の生年月日(男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前)に生まれた方が、60歳から64歳までの間に受け取れる年金です。
この特別支給の老齢厚生年金も、原則として偶数月に支給されますが、初回支給時には奇数月になる可能性があります。これは、年金請求書を提出し、年金が決定されるまでの期間が関係しています。請求手続きが完了し、年金決定通知書が発行されたタイミングによっては、最初の支給が偶数月の定期支給日に間に合わず、奇数月にまとめて振り込まれることがあるためです。特別支給の老齢厚生年金には繰り下げ制度がないため、受給権が発生したら速やかに請求手続きを行うことが推奨されます。
年金受給開始月と支給月の関係
年金は、受給権が発生した月の翌月分から支給対象となります。ただし、1日生まれの方のみ、誕生月当月から年金を受け取れるという特例があります。例えば、5月15日生まれの方が65歳になった場合、年金受給権は5月14日に発生し、年金は6月分から支給対象となります。この場合、6月分と7月分が最初の支給対象となり、手続きがスムーズに進めば8月15日(偶数月)に初回支給となるでしょう。
しかし、手続きに時間がかかり、8月15日の支給に間に合わなかった場合は、9月15日(奇数月)に6月分から9月分までの年金がまとめて支給されるといったケースも考えられます。このように、ご自身の誕生日と年金請求手続きのタイミングが、初回支給月が奇数月になるかどうかに影響を与えることがあります。
年金の種類による支給日の違い
公的年金には、主に「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2種類があります。老齢基礎年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての方が加入する年金制度であり、老齢厚生年金は会社員などが加入する年金です。これら2つの年金は、原則として同じ偶数月の15日にまとめて支給されますので、年金の種類によって支給日が異なることはありません。
ただし、年金額が年間12万円未満の場合、年1回の支給となる国民年金基金のような制度もあります。また、障害年金や遺族年金も、原則として偶数月の15日に支給されますが、初回支給日に関しては、老齢年金と同様に奇数月になる可能性があります。ご自身の受給する年金の種類と、その初回支給のタイミングを正確に把握することが重要です。
自分の年金支給日を正確に確認する方法

年金支給日を正確に把握することは、家計の管理や生活設計において非常に重要です。ご自身の年金支給日を確認する方法はいくつかありますので、それぞれの方法を理解し、ご自身に合った方法で確認しましょう。
年金証書で確認する
年金請求手続きが完了し、年金の受給が決定すると、日本年金機構から「年金証書」と「年金決定通知書」が送付されます。この年金証書は、年金の受給権を証明する大切な書類であり、基礎年金番号などが記載されています。年金証書には、年金の支払開始月や年金額などの重要な情報が記載されていますので、必ず内容を確認し、大切に保管してください。
特に、初めて年金を受け取る方の場合、年金証書に記載されている「支払開始年月」を確認することで、いつから年金が支給対象となるのかの目安が分かります。また、初回支給日の約1週間前には「年金支払通知書」や「支給額変更通知書」が届き、より具体的な初回支給日や支給額を確認することができます。
ねんきんネットを活用する
「ねんきんネット」は、日本年金機構が提供するインターネットサービスで、ご自身の年金記録や年金見込額などをいつでも確認できる便利なツールです。ねんきんネットに登録することで、ご自身の年金支給額や年金加入記録をパソコンやスマートフォンから手軽に確認できます。
特に、年金振込通知書の内容もねんきんネットで確認できるため、紙の通知書を紛失してしまった場合や、外出先で確認したい場合に非常に役立ちます。初めての年金支給日に関する情報も、ねんきんネットを通じて確認できる可能性がありますので、ぜひ登録を検討してみてください。
年金事務所に問い合わせる
年金証書やねんきんネットで確認しても、ご自身の年金支給日について不明な点がある場合や、より詳細な情報を知りたい場合は、最寄りの年金事務所または年金相談センターに直接問い合わせるのが最も確実な方法です。
年金事務所では、専門の職員が個別の状況に応じて、年金支給日や手続きに関する具体的なアドバイスを提供してくれます。問い合わせる際は、基礎年金番号が分かる書類などを手元に用意しておくと、スムーズに相談を進めることができるでしょう。
年金が振り込まれるタイミングと注意点

年金が実際に口座に振り込まれるタイミングや、万が一振り込まれなかった場合の対処法を知っておくことは、安心して年金生活を送る上で非常に重要です。予期せぬ事態に備え、事前に確認しておきましょう。
支給日が土日祝日の場合の対応
年金の支給日は原則として偶数月の15日ですが、この日が土曜日、日曜日、または祝日に当たる場合は、その直前の平日が支給日となります。これは、金融機関の営業日に合わせて年金が確実に受け取れるようにするための措置です。例えば、15日が日曜日の場合、その週の金曜日が支給日となります。
この前倒し支給のルールは、初回支給日だけでなく、通常の定期支給日にも適用されます。そのため、年金支給日カレンダーなどで事前に確認し、支給日が休日と重なる場合は、いつもより早く入金があることを覚えておくと良いでしょう。
年金が振り込まれない時の対処法
年金支給日を過ぎても年金が口座に振り込まれていない場合、不安になるのは当然です。まずは落ち着いて、以下の点を確認してみましょう。
- 年金支給日と支払対象月の確認: ご自身の年金がいつ、何ヶ月分振り込まれるのかを、年金証書や振込通知書で再度確認してください。
- 金融機関の口座確認: 登録している金融機関の口座番号や名義に誤りがないか、また金融機関の統廃合などで口座情報が変更になっていないかを確認しましょう。
- 必要書類の提出状況: 現況届など、年金の支給に必要な書類の提出が遅れていたり、未提出であったりすると、年金の振り込みが停止されることがあります。特に、誕生月を境に支給が止まった場合は、現況届の未提出が原因である可能性が高いです。
- 他の年金受給状況や在職状況: 雇用保険の給付を受けている場合や、他の年金(遺族厚生年金、障害厚生年金など)を受給している場合、または働きながら年金を受給している場合は、一部または全額が支給停止となることがあります。支給停止に該当する方には「支給額変更通知書」が送付されていますので確認しましょう。
これらの点を確認しても解決しない場合は、日本年金機構の年金事務所または年金相談センターに問い合わせることが最も重要です。早めに相談することで、問題の解決につながります。
よくある質問

- 年金はいつから受け取れますか?
- 年金支給日は毎月同じですか?
- 年金が振り込まれる時間は決まっていますか?
- 年金支給額はどこで確認できますか?
- 年金受給開始を遅らせるとどうなりますか?
- 年金支給日カレンダーはどこで確認できますか?
- 年金初回振込はいつになりますか?
- 年金支給日が遅れることはありますか?
年金はいつから受け取れますか?
年金は、原則として65歳から受け取ることができます。ただし、年金を受け取るためには、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間などを合わせた受給資格期間が10年以上あることが必要です。また、生年月日や厚生年金の加入期間などの要件を満たせば、60歳から64歳に到達した時点から「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れる制度もあります。繰り上げ受給を選択すれば65歳より前に年金を受け取ることも可能ですが、年金額は減額され、その減額率は生涯変わりません。
年金支給日は毎月同じですか?
いいえ、年金支給日は毎月ではありません。公的年金は、原則として偶数月の15日に、前月と前々月の2ヶ月分がまとめて支給されます。したがって、年金は年に6回支給されることになります。ただし、15日が土日祝日の場合は、その直前の平日が支給日となります。
年金が振り込まれる時間は決まっていますか?
年金が口座に振り込まれる具体的な時間は、金融機関によって異なります。一般的には、支給日当日の窓口営業が始まる時間には受け取れるようになっているケースが多いようです。しかし、「何時までに確実に支給されている」という明確なルールはありません。もし支給日当日に振り込みが確認できない場合は、時間をおいてから再度確認するか、金融機関に問い合わせてみましょう。
年金支給額はどこで確認できますか?
ご自身の年金支給額は、主に以下の方法で確認できます。
- 年金決定通知書: 年金請求書提出から1~2ヶ月後に届く通知書で、決定された年金額が記載されています。
- 年金振込通知書: 毎年6月上旬に送付される通知書で、1年分の年金支給額がまとめて記載されています。
- ねんきんネット: ウェブサイトでご自身の年金記録や支給額をいつでも確認できる無料サービスです。
年金受給開始を遅らせるとどうなりますか?
年金受給開始を遅らせる「繰り下げ受給」を選択すると、1ヶ月遅らせるごとに年金額が0.7%増額されます。最大で75歳まで繰り下げることが可能で、その場合、年金額は最大で84%増額されます。長生きするほど総受給額が増える可能性が高まりますが、受給開始までの期間は年金を受け取れないため、ご自身の健康状態や経済状況、ライフプランを考慮して慎重に決定することが大切です。
年金支給日カレンダーはどこで確認できますか?
年金支給日カレンダーは、日本年金機構のウェブサイトで確認することができます。また、多くの金融機関のウェブサイトや、年金に関する情報を提供するウェブサイトでも、最新の年金支給日カレンダーが公開されています。ご自身が利用している金融機関のウェブサイトを確認するのも良い方法です。
年金初回振込はいつになりますか?
年金の初回振込は、年金請求手続きが完了し、年金決定通知書が届いてから1~2ヶ月後になることが多いです。原則は偶数月の15日ですが、手続きのタイミングによっては、初回のみ奇数月の15日に振り込まれることもあります。具体的な初回支給日は、年金証書や後日郵送される「年金支払通知書」で確認できます。
年金支給日が遅れることはありますか?
年金支給日が土日祝日と重なる場合は、直前の平日に繰り上げて支給されますが、それ以外の理由で支給日が遅れることは基本的にありません。もし支給日を過ぎても年金が振り込まれていない場合は、現況届の未提出や口座情報の不備など、何らかの原因が考えられます。その際は、速やかに年金事務所に問い合わせて確認しましょう。
まとめ

- 年金は原則偶数月の15日に支給されます。
- 15日が土日祝日の場合は直前の平日に繰り上がります。
- 初めての年金支給日は奇数月になることがあります。
- 初回支給が奇数月になるのは手続きに時間がかかるためです。
- 特別支給の老齢厚生年金も初回は奇数月になる可能性あり。
- 年金受給開始月と手続きのタイミングが初回支給に影響します。
- 年金の種類によって支給日が異なることはありません。
- 年金証書で支払開始月を確認できます。
- ねんきんネットで年金記録や支給額をいつでも確認可能。
- 不明な点は年金事務所に問い合わせるのが確実です。
- 支給日を過ぎても振り込まれない場合は原因を確認しましょう。
- 現況届の未提出や口座不備が原因の可能性があります。
- 他の年金受給や在職状況で支給停止になることも。
- 年金は原則65歳から受け取れます。
- 繰り下げ受給で年金額を増やすことも可能です。
