テニスやバドミントンを愛する皆さん、ガットの張替えを自分で行うことに興味はありませんか?「難しそう」「道具を揃えるのが大変そう」と感じるかもしれませんが、実は自分で張ることで得られるメリットはたくさんあります。この本記事では、ガット張替えを自分で行うための必要な道具から具体的な進め方、そして失敗しないためのコツまで、分かりやすく徹底解説します。
ガット張替えを自分でするメリットとデメリット
自分でガットを張ることは、多くのプレイヤーにとって魅力的な選択肢です。しかし、そこには良い面もあれば、注意すべき点もあります。まずは、自分で張ることで得られるメリットと、考慮すべきデメリットを理解しましょう。
メリット:コスト削減、自由な調整、愛着
自分でガットを張る最大のメリットは、やはりコストを大幅に削減できる点です。ショップに依頼すると、ガット代に加えて張り工賃がかかりますが、自分で張れば工賃は不要になります。特に頻繁にガットを張り替える方にとっては、年間でかなりの費用を節約できるでしょう。例えば、ガット代が3,000円、張り代が1,000円~2,000円の場合、3ヶ月に1回張り替えるだけでも年間で数千円から1万円以上の節約になります。
また、自分の手で張ることで、ガットの種類やテンション(張りの強さ)を自由に調整できるのも大きな魅力です。ショップに依頼すると、希望を伝えるだけですが、自分で張ればミリ単位の調整や、メインとクロスで異なるテンション設定など、細かなこだわりを反映できます。これにより、自分にとって最適な打球感やコントロール性能を追求し、より一層ラケットへの愛着も深まることでしょう。
さらに、ガット張りのスキルを身につけることは、テニスやバドミントンというスポーツへの理解を深めることにもつながります。ガットの特性やテンションがプレイにどう影響するかを肌で感じられるため、上達への意識も高まります。
デメリット:初期費用、時間、技術習得
一方で、自分でガットを張るにはいくつかのデメリットも存在します。まず、ガット張り機(ストリングマシン)をはじめとする専用の道具を揃えるための初期費用がかかることです。安価な手動式でも数万円、電動式になると数十万円するものもあります。
次に、ガット張りの作業には時間と手間がかかります。慣れないうちは1本張るのに2時間以上かかることも珍しくありません。 練習を重ねれば1時間程度、早い人では30分ほどで張れるようになりますが、それまでは根気が必要です。
そして、最も重要なのが技術習得の難しさです。ガット張りは繊細な作業であり、正しい知識と経験が求められます。最初のうちは失敗することもあるでしょう。 テンションロスやフレームの歪み、ノット(結び目)の緩みなど、様々な問題が発生する可能性があります。 正しく張れていないと、ラケットの性能を十分に引き出せないだけでなく、フレームを傷めてしまう恐れもあります。
独学で習得するには限界があるため、経験者から教わる機会があると安心です。
ガット張替えに必要な道具を揃えよう

自分でガットを張るためには、いくつかの専用道具が必要です。ここでは、それぞれの道具の役割と選び方について解説します。
ストリングマシン(種類と選び方)
ガット張りの核となるのがストリングマシンです。主に以下の3種類があります。
- 電動コンピューター制御式:最も高価ですが、設定したテンションを正確に再現でき、作業効率も高いのが特徴です。プロのストリンガーも使用するタイプで、安定した張り上がりを求める方におすすめです。
- 分銅式:重りの原理を利用してテンションをかけるタイプです。電動式に比べて安価で、正確性も比較的高いとされています。手動でガットを引っ張る作業が必要ですが、構造がシンプルで故障しにくいメリットがあります。
- バネ式:最も安価でコンパクトなタイプです。バネの力でテンションをかけますが、他の方式に比べてテンションの正確性や安定性に劣る場合があります。初心者が手軽に始めるには良い選択肢ですが、本格的に続けるなら上位モデルへの買い替えも検討することになるでしょう。
選び方のポイントは、予算と目的です。頻繁に張る予定があるなら、電動式や分銅式の方が長期的に見て満足度が高いかもしれません。まずは手軽に試したいという場合は、バネ式から始めてみるのも良いでしょう。
クランプ(固定の重要性)
クランプは、ガットを引っ張った際にそのテンションを維持するために使用する道具です。ストリングマシンに付属していることが多いですが、追加で購入することもあります。ガットをしっかりと固定し、テンションロスを防ぐ重要な役割を担います。
クランプには、ガットを傷つけずにしっかりと挟み込むための工夫がされています。滑りにくく、フレームに跡が残りにくいものを選ぶのがコツです。 特に、スターティングクランプは、張り始めのガットを仮止めしたり、ノット(結び目)を作る際にガットを引っ張るのに役立ちます。
ニッパーやハサミ、千枚通しなど
ガット張替えには、他にも細かい作業を助ける道具が必要です。
- ニッパー:古いガットを切断したり、張り終わったガットの余分な部分をカットしたりするのに使います。切れ味が良く、ガットをきれいに切れるものを選びましょう。
- ハサミ:主にロールガットから必要な長さを切り出す際に使用します。
- 千枚通し(オウル):ガットを通す穴が詰まっている場合や、狭い場所にガットを通す際に使用します。フレームやグロメットを傷つけないよう、慎重に扱いましょう。
- 当て革:クランプでガットを固定する際に、ラケットのフレームが傷つかないように挟む保護材です。グリップテープの切れ端やダンボールなどで代用することも可能です。
あると便利なその他の道具
必須ではありませんが、あると作業がスムーズになる道具もあります。
- グロメットツール:グロメット(ガットを通すフレームの穴にあるプラスチック部品)の交換や、穴の形を整えるのに使います。
- テンションキャリブレーター:ストリングマシンのテンションが正確かどうかを確認するための道具です。
- ルーペ:細かい作業をする際に、ガットの通し間違いや傷がないかを確認するのに役立ちます。
これらの道具を適切に揃えることで、より正確で丁寧なガット張替えが可能になります。最初は必要最低限の道具から始め、慣れてきたら徐々に買い足していくのがおすすめです。
ガット張替えの基本的な進め方

ガット張替えの進め方は、テニスラケットとバドミントンラケットで多少異なりますが、基本的な流れは共通しています。ここでは、一般的な進め方を紹介します。
古いガットの切断とフレームの準備
まず、古いガットをニッパーで切断します。この時、一本ずつではなく、中心から外側に向かって放射状に切っていくのが重要です。これは、ガットのテンションが均等に解放されるようにするためで、フレームの歪みを防ぐ目的があります。 全てのガットを切断したら、フレームに残ったグロメットのカスなどをきれいに取り除き、新しいガットを張る準備を整えます。
フレームに傷や歪みがないか、グロメットが劣化していないかなども確認しましょう。もしグロメットが破損している場合は、新しいものに交換することをおすすめします。
メインストリングを張る
メインストリング(縦糸)は、ラケットのヘッド側からスロート側に向かって張っていきます。一般的には、ガットをロールから切り出し、ラケットの長さに合わせて適切な長さを確保します。 ラケットの中央の穴からガットを通し、左右対称になるように張っていくのが基本です。
ストリングマシンにラケットを固定し、ガットを穴に通したら、設定したテンションで引っ張ります。引っ張ったガットはすぐにクランプで固定し、テンションが緩まないように注意しましょう。 この作業を繰り返しながら、メインストリングを全て張り終えます。ガットの通し間違いがないか、常に確認しながら進めることが大切です。
クロスストリングを張る
メインストリングを張り終えたら、次にクロスストリング(横糸)を張ります。クロスストリングは、メインストリングと交互に上下に通していくのが基本です。 この「目飛ばし」がないように、一本一本丁寧に確認しながら通していくことが、きれいな張り上がりと性能維持につながります。
クロスストリングもメインストリングと同様に、ストリングマシンで設定したテンションで引っ張り、クランプで固定します。 最後の1本は、結び目を作る際に緩みが生じることを考慮し、少し高めのテンションで張ることもあります。 全てのクロスストリングを張り終えたら、ガットのズレがないか、全体が均一に張られているかを最終確認しましょう。
結びの処理(ノットの結び方)
ガット張りの最後の工程が、ガットの端を固定する「ノット(結び目)」の処理です。ノットにはいくつかの種類がありますが、代表的なものにエイトノット、パーネルノット、ダブルノットなどがあります。
- エイトノット:比較的簡単な結び方で、初心者にもおすすめです。
- パーネルノット:ポリエステルガットなど、滑りやすいガットに適しているとされます。
- ダブルノット:最も緩みにくい結び方とされており、プロのストリンガーも好んで使用します。
どの結び方を選ぶにしても、結び目がグロメットの中にめり込んだり、緩んだりしないようにしっかりと締めることが重要です。 結び目が不十分だと、せっかく張ったガットのテンションが落ちやすくなったり、最悪の場合はほどけてしまったりする可能性があります。 結び終わったら、余分なガットをニッパーで短くカットし、完成です。
ガット張替えで失敗しないためのコツ

自分でガットを張ることは、慣れるまで失敗がつきものです。しかし、いくつかのコツを押さえることで、失敗を減らし、より良い張り上がりを目指せます。
適切なテンション設定の重要性
ガットのテンションは、打球感やボールの飛び、コントロール性能に大きく影響します。自分に合ったテンションを見つけることが、快適なプレイにつながるため、非常に重要です。
一般的に、初心者は柔らかめ(45~50ポンド程度)のテンションが扱いやすいとされています。 テンションが低いとボールが飛びやすく、高いとコントロール性が増す傾向があります。 しかし、テンションが高すぎるとボールが飛ばなくなり、低すぎるとストリングが凹んで反発力を失うこともあります。 ラケットにはそれぞれ適正テンションが記載されているので、まずはその範囲内で試してみるのがおすすめです。
迷ったときは、基準テンションより少し低い設定から始めると失敗しにくいでしょう。
また、ガットの種類(ナイロン、ポリエステルなど)によっても適正テンションは異なりますし、気温によってもガットの伸縮が変わるため、張る場所と使用する場所の気温差を考慮してテンションを調整するのも良い方法です。 自分のプレースタイルや体格、好みに合わせて、少しずつ調整しながら最適なテンションを探していくことが大切です。
焦らず丁寧に作業する
ガット張りは、集中力と丁寧さが求められる作業です。特に初心者のうちは、焦って作業を進めると、ガットの通し間違いやテンションロス、フレームの傷つきなど、様々な失敗につながりやすくなります。
一本一本のガットを丁寧に穴に通し、設定したテンションで確実に引っ張り、クランプでしっかりと固定する。この一連の進め方を、時間をかけて慎重に行うことが、良い張り上がりへの近道です。 もし途中で違和感や異音を感じたら、無理に続けずに一度作業を中断し、原因を確認しましょう。
落ち着いて再開することで、思わぬ失敗を防げます。
また、作業環境を整えることも大切です。水平で安定した机を用意し、明るい照明の下で作業することで、細部まで確認しやすくなります。 滑り止めマットを敷いて工具の落下を防いだり、手汗が気になる場合は薄手の手袋を着用したりするのも良いでしょう。
練習を重ねて技術を高める
どんなに優れた道具を揃えても、ガット張りの技術は一朝一夕には身につきません。繰り返し練習を重ねることで、徐々に技術を高めていくことができます。
最初は時間がかかっても、何度も張るうちに手の動きがスムーズになり、効率的に作業できるようになります。 失敗を恐れずに挑戦し、その都度、何が原因だったのかを振り返ることが上達への鍵です。例えば、ノットが緩んでしまった場合は、結び方や締め方を見直す良い機会になります。
また、経験者のアドバイスを聞いたり、動画で張り方を確認したりするのも有効な練習方法です。 自分で張ったガットでプレイし、その打球感を確かめることで、次の張替えに活かすことができます。継続的な練習と改善の意識が、ホームストリンガーとしての技術を高めることにつながるでしょう。
よくある質問

ガット張替えの頻度はどれくらいですか?
ガットは張り上げた直後から時間の経過とともに少しずつ性能が失われていきます。一般的には、張り上げ後、一度も使用していなくとも約3ヶ月でガット本来の持つ反発性能が失われるとされています。 プレイ頻度にもよりますが、週1回のプレイヤーであれば3~4ヶ月に1回、週2回以上のプレイヤーであれば2~3ヶ月に1回の張替えがおすすめです。
ガットが切れていなくても、ボールの飛びが悪くなったり、打球音が鈍くなったり、ガットの網目がズレやすくなったりしたら、張替えのサインです。
どんなストリングマシンを選べば良いですか?
ストリングマシンには、電動コンピューター制御式、分銅式、バネ式の3種類があります。 予算と目的に合わせて選ぶことが大切です。正確性と効率を求めるなら電動式、コストを抑えつつある程度の正確性を求めるなら分銅式、手軽に始めたいならバネ式が適しています。 長く続けることを考えているなら、初期投資はかかりますが、電動式や分銅式の方が満足度は高いかもしれません。
テンションはどれくらいがおすすめですか?
ガットのテンションは、ラケットの種類、プレースタイル、体格、好みによって異なります。 一般的なテニスラケットのテンションは50ポンド程度が基準とされていますが、初心者は45~50ポンド程度の柔らかめから始めるのがおすすめです。 バドミントンでは、初心者におすすめのポンド数は16~19ポンドです。 ラケットの適正テンションの範囲内で、少しずつ調整しながら自分に合ったテンションを見つけることが大切です。
初心者でも本当に自分で張れますか?
はい、初心者でも自分でガットを張ることは可能です。ただし、最初は時間がかかり、失敗することもあるでしょう。 焦らず丁寧に作業すること、そして繰り返し練習を重ねることが重要です。 経験者のアドバイスを聞いたり、動画を参考にしたりしながら、少しずつ技術を習得していくことで、誰でも自分でガットを張れるようになります。
張替えにかかる時間はどのくらいですか?
ガット張替えにかかる時間は、個人の習熟度やストリングマシンの種類によって大きく異なります。初心者のうちは、1本張るのに2時間以上かかることも珍しくありません。 しかし、慣れてくると1時間程度、早い人では30分程度で張れるようになります。 練習を重ねることで、作業効率は確実に向上します。
まとめ
- 自分でガットを張ると、張り工賃が不要になり、コストを削減できる。
- ガットの種類やテンションを自由に調整でき、自分好みのラケットに仕上げられる。
- 自分で張ることで、ラケットへの愛着が深まり、上達への意識も高まる。
- 初期費用としてストリングマシンなどの道具を揃える必要がある。
- ガット張りの作業には時間と手間がかかり、技術習得には練習が必要。
- ストリングマシンには電動コンピューター制御式、分銅式、バネ式の3種類がある。
- クランプはガットのテンションを維持するために重要な道具。
- ニッパー、ハサミ、千枚通しなどもガット張りに欠かせない。
- 古いガットはフレームの歪みを防ぐため、中心から放射状に切断する。
- メインストリングはラケットの中央から左右対称に張っていく。
- クロスストリングはメインストリングと交互に上下に通す。
- ノット(結び目)は緩まないようにしっかりと締めることが大切。
- 適切なテンション設定は、打球感やコントロール性能に大きく影響する。
- 焦らず丁寧に作業し、ガットの通し間違いやフレームの傷つきを防ぐ。
- 繰り返し練習を重ねることで、ガット張りの技術は確実に高まる。