夏が近づくと気になる、あの黒い影…。そう、ゴキブリです。できれば殺虫剤は使いたくない、でも対策はしたい。そんな悩みを抱えていませんか?「ゼラニウムが虫除けに効くらしい」という話を耳にしたことがあるかもしれません。しかし、本当にゴキブリにまで効果があるのでしょうか?本記事では、その真偽に迫り、ゼラニウムの虫除け効果を最大限に引き出す方法を詳しく解説します。この記事を読めば、あなたも今日から始められる、自然で心地よいゴキブリ対策が分かります。
ゼラニウムの虫除け効果、ゴキブリに本当に効くの?

結論から言うと、ゼラニウムの香りにはゴキブリが嫌う成分が含まれており、一定の忌避効果が期待できます。 しかし、置くだけで家中のゴキブリを完全にシャットアウトできる魔法の植物ではありません。 あくまでゴキブリが「嫌がる」「近寄りにくくなる」という補助的な対策と考えるのが現実的です。
この章では、ゼラニウムがゴキブリ除けに効果があると言われる理由と、その効果の真実について掘り下げていきます。
- なぜ?ゼラニウムがゴキブリ除けに効果があると言われる理由
- 【効果を最大化】ゴキブリ対策に効くゼラニウムの使い方
- ゼラニウムの虫除け効果に関する科学的根拠
ゼラニウムの力を正しく理解し、効果的に活用するための知識を身につけましょう。
なぜ?ゼラニウムがゴキブリ除けに効果があると言われる理由
ゼラニウムがゴキブリを含む虫除けに効果があるとされる最大の理由は、その特有の香りにあります。 特に「センテッドゼラニウム」と呼ばれる品種群は、葉に強い芳香を持っています。 この香り成分の中に、虫が嫌う物質が含まれているのです。
その主な成分は「シトロネロール」や「ゲラニオール」といったものです。 これらはバラのような香りの元となる成分で、人間にとっては心地よいアロマですが、多くの昆虫にとっては忌避(きひ)すべき匂いとなります。 実際に、これらの成分は市販の天然由来の虫除けスプレーなどにも利用されています。 ゴキブリもまた、この強い香りを嫌うため、ゼラニウムが植えられている場所には近づきにくいと考えられています。 ヨーロッパの家庭で窓辺にゼラニウムを飾る習慣があるのは、美しい景観のためだけでなく、古くからの知恵として虫除けの効果を期待しているからだとも言われています。
【効果を最大化】ゴキブリ対策に効くゼラニウムの使い方
ゼラニウムのゴキブリ除け効果を最大限に引き出すには、いくつかのコツがあります。ただ置くだけでなく、香りを効果的に拡散させることが重要です。ここでは、具体的な使い方を3つの方法に分けてご紹介します。
鉢植えで育てる
最も手軽なのが、鉢植えで育てる方法です。ゴキブリの侵入経路となりやすい玄関やベランダ、窓際に置くのがおすすめです。 品種は、香りが強く虫除け効果が高いとされる「センテッドゼラニウム」、特に蚊よけ効果で知られる「蚊連草(かれんそう)」などが良いでしょう。 葉を軽く揺らしたり、手でこすったりすると、より強く香りが立ち、効果が高まります。 日当たりと風通しの良い場所で、やや乾燥気味に育てるのがポイントです。 水をやりすぎると根腐れの原因になるので注意しましょう。
精油(エッセンシャルオイル)を活用する
より積極的に香りを利用したい場合は、ゼラニウムの精油(エッセンシャルオイル)が便利です。
手作りのアロマスプレーは、特に効果的な使い方の一つです。無水エタノール5mlにゼラニウム精油を5~10滴混ぜ、精製水45mlを加えてスプレーボトルでよく振れば完成。 これを網戸やカーテン、キッチンの隅やゴミ箱周りなど、ゴキブリが出そうな場所に吹き付けておきましょう。
また、アロマディフューザーで香りを部屋全体に拡散させたり、雑巾に数滴垂らして拭き掃除に使ったりするのも良い方法です。 手軽に試したい場合は、ティッシュやコットンに数滴垂らして置いておくだけでも香りが広がります。
ドライハーブやサシェにする
剪定したゼラニウムの葉や花を乾燥させて、ドライハーブにするのもおすすめです。乾燥させた葉をネットやお茶パックに入れ、クローゼットや引き出し、シンクの下など、ゴキブリが潜みやすい場所に置いておきましょう。 これらは「サシェ」や「ポプリ」とも呼ばれ、見た目もおしゃれな虫除けになります。香りが弱くなってきたら、軽く揉むと再び香りが立ちます。長期間効果を持続させたい場合に便利な方法です。
ゼラニウムの虫除け効果に関する科学的根拠
ゼラニウムの虫除け効果は、単なる言い伝えだけではありません。実際に、その効果を裏付ける研究も存在します。ゼラニウムに含まれる主要な香り成分である「シトロネロール」と「ゲラニオール」は、昆虫忌避作用を持つことが科学的に知られています。
ある研究では、ゼラニウム油がチャバネゴキブリに対して極めて高い忌避効果を示したという報告もあります。 この研究では、ゼラニウム油を処理した場所にはチャバネゴキブリが全く定着せず、100%の忌避率が確認されました。 これは、ゼラニウムの香りがゴキブリの感覚器官を刺激し、その場から遠ざける働きがあることを示唆しています。
また、蚊に対する忌避効果もよく知られており、ゼラニウムの成分が蚊の二酸化炭素を感知する能力を鈍らせるという説もあります。 このように、ゼラニウムの香りが持つ忌避効果は、複数の成分が複合的に作用することによるものと考えられており、ゴキブリを含む様々な害虫に対して効果が期待できるのです。 ただし、ゼラニウムの種類や成分の含有量によって効果に差が出ることや、あくまで「忌避」であり殺虫効果はない点には注意が必要です。
ゼラニウムだけじゃない!ゴキブリ対策におすすめの植物5選

ゼラニウム以外にも、ゴキブリが嫌う香りを放つ植物はたくさんあります。複数の植物を組み合わせることで、より高い虫除け効果を期待できるでしょう。ここでは、ゴキブリ対策におすすめの植物を5つ厳選してご紹介します。
- ハッカ(ミント)
- ベチバー
- クローブ
- ローズマリー
- タイム
これらの植物を庭やベランダ、室内に取り入れて、ゴキブリが住みにくい環境を作りましょう。
ハッカ(ミント)
ゴキブリ対策のハーブとして最も有名で効果が高いのがハッカ(ミント)です。 あのスーッとする清涼感のある香りの元である「メントール」を、ゴキブリは非常に嫌います。 特に「ニホンハッカ」や「ペパーミント」はメントールの含有量が多く、高い忌避効果が期待できます。 育てやすく繁殖力も旺盛なので、プランターで栽培するのがおすすめです。 鉢植えをキッチンの窓辺に置いたり、乾燥させた葉をポプリにしてゴミ箱の近くに置いたりすると良いでしょう。ハッカ油を水で薄めてスプレーとして使うのも非常に効果的です。
ベチバー
あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、ベチバーはイネ科の植物で、その根から採れる精油は「ゴキブリ忌避効果が極めて高い」として注目されています。 九州大学の研究でもその効果が実証されており、ゴキブリ対策用の商品にも利用されているほどです。 香りは、スモーキーで土のような、落ち着いたウッディ系の香りが特徴。好き嫌いが分かれるかもしれませんが、その効果は折り紙付きです。精油(エッセンシャルオイル)として販売されていることが多く、アロマディフューザーで使ったり、スプレーにして侵入経路に吹きかけたりするのがおすすめです。
クローブ
クローブは、スパイスとしておなじみのフトモモ科の植物のつぼみです。 あの独特でスパイシーな香りの主成分は「オイゲノール」という物質で、これには強力なゴキブリ忌避効果があります。 海外の研究でもその効果が証明されている信頼性の高い成分です。 使い方はとても簡単で、乾燥したクローブの実(ホール)を数個、お茶パックや小皿に入れて、キッチンの隅や棚の中、シンク下などに置くだけ。手軽で安価に手に入るのも大きな魅力です。
ローズマリー
料理にもよく使われるローズマリーも、ゴキブリが嫌うハーブの一つです。 樟脳(しょうのう)に似たクリアで強い香りが特徴で、この香りがゴキブリを遠ざけます。日当たりと乾燥を好む丈夫な植物なので、ベランダや庭での栽培にぴったり。 鉢植えを玄関や窓際に置くだけで、侵入防止の効果が期待できます。また、剪定した枝をそのまま部屋に吊るしておくだけでも、天然の芳香剤兼虫除けとして活躍してくれます。
タイム
タイムも料理でおなじみのハーブですが、ゴキブリ対策にも有効です。 タイムに含まれる「チモール」という成分が、ゴキブリを寄せ付けない効果を発揮します。 乾燥に強く育てやすいので、ガーデニング初心者にもおすすめです。 特に、地面を這うように広がるクリーピングタイムは、庭のグラウンドカバーにすると、見た目も美しくゴキブリ対策にもなり一石二鳥です。鉢植えにして、ゴキブリの侵入経路になりそうなエアコンの室外機の周りなどに置くのも良いでしょう。
ゼラニウムでゴキブリ対策する際の注意点

ゼラニウムは手軽に始められるゴキブリ対策ですが、万能ではありません。効果を過信せず、いくつかの注意点を理解した上で活用することが大切です。ここでは、ゼラニウムを使う際に知っておくべき3つのポイントを解説します。
- 効果は限定的!他の対策と組み合わせよう
- ペットや子供への安全性
- 香りの強さについて
これらの注意点を守って、安全かつ効果的にゴキブリ対策を行いましょう。
効果は限定的!他の対策と組み合わせよう
最も重要な注意点は、ゼラニウムの虫除け効果はあくまで補助的なものだということです。 ゼラニウムの香りはゴキブリを「寄せ付けにくくする」効果は期待できますが、すでに家の中にいるゴキブリを追い出したり、殺虫したりする力はありません。 また、香りに慣れてしまうゴキブリもいるかもしれません。
そのため、ゼラニウムだけに頼るのではなく、基本的なゴキブリ対策と組み合わせることが不可欠です。
- 清潔を保つ: ゴキブリの餌となる生ゴミや食べかすを放置しない。
- 侵入経路を塞ぐ: 排水溝や換気扇、エアコンのドレンホース、壁の隙間などを塞ぐ。
- 毒餌剤を設置する: コンバットのような設置型の駆除剤を、ゴキブリが通りそうな場所に置く。
これらの基本的な対策を行った上で、ゼラニウムを「プラスアルファの対策」として取り入れることで、より効果的にゴキブリのいない快適な環境を維持できます。
ペットや子供への安全性
天然の植物であるゼラニウムは、化学的な殺虫剤に比べて安全なイメージがありますが、注意が必要なケースもあります。特に、猫を飼っているご家庭ではゼラニウムの使用は避けるべきです。ゼラニウムは猫にとって有毒な植物であり、摂取したり、皮膚に触れたりすると、嘔吐や下痢、皮膚炎などを引き起こす可能性があります。 精油(エッセンシャルオイル)は成分が凝縮されているため、特に危険です。
犬の場合も、大量に摂取すると中毒症状を起こす可能性があるため、かじったりしないように手の届かない場所に置くなどの配慮が必要です。 小さなお子様がいるご家庭でも、誤って口にしないように置き場所には十分注意しましょう。精油を使用する際は、直接肌に触れたり、飲んだりしないように管理を徹底してください。
香りの強さについて
ゼラニウムの香りは、多くの人にとっては心地よいものですが、香りの感じ方には個人差があります。特にセンテッドゼラニウムは香りが強い品種が多いため、人によっては「匂いがきつい」と感じることもあるでしょう。 家族の中に香りに敏感な方がいる場合は、まず香りの弱い品種から試してみたり、部屋の隅など少し離れた場所から置いてみたりすることをおすすめします。
また、複数の鉢を狭い空間に集中して置くと、香りが強くなりすぎる可能性があります。 集合住宅のベランダなどで栽培する場合は、隣家への配慮も忘れないようにしましょう。香りを楽しみながら快適に過ごすためにも、適度な量と配置を心がけることが大切です。
ゼラニウムの虫除けに関するよくある質問

ここでは、ゼラニウムの虫除け効果に関して、多くの方が疑問に思う点についてお答えします。ゴキブリ以外の虫への効果や、効果的な品種、育て方のコツなど、より詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
ゼラニウムは蚊にも効きますか?
はい、ゼラニウムは蚊よけにも効果が期待できます。 実際に「蚊連草(かれんそう)」や「モスキートブロッカー」といった名前で販売されているゼラニウムは、蚊が嫌う「シトロネラール」という成分を多く含むように品種改良されたものです。 この成分は、蚊が人間の出す二酸化炭素を探知する能力を鈍らせる効果があると言われています。 そのため、庭やベランダに植えておくと、蚊が寄ってくるのを減らす助けになります。ただし、ゴキブリ対策と同様に、植えているだけで完全に蚊をシャットアウトできるわけではありません。 葉を揺らしたり、こすったりして香りを立たせることで、より効果が高まります。
虫除け効果のあるゼラニウムの品種は?
虫除けを主な目的とする場合、一般的な園芸品種のゼラニウムよりも、香りが強く改良された「センテッドゼラニウム(ニオイゼラニウム)」がおすすめです。 中でも、以下のような品種が特に虫除け効果が高いことで知られています。
- ローズゼラニウム: バラのような甘い香りが特徴。 蚊やゴキブリが嫌うシトロネロールを多く含みます。
- レモンゼラニウム: レモンのような爽やかな香りで、虫除け効果も高い品種です。
- 蚊連草(カレンソウ): 蚊よけに特化して開発された品種で、シトロネラールという成分を豊富に含みます。
これらの品種は、ホームセンターや園芸店で春から夏にかけて苗が販売されています。
ゼラニウムの香りがしないのはなぜですか?
ゼラニウムの香りがしない、または弱いと感じる場合、いくつかの原因が考えられます。
- 品種の違い: そもそも香りが弱い品種である可能性があります。花を楽しむ一般的なゼラニウム(ゾナーレ系など)は、センテッドゼラニウムに比べて香りは控えめです。
- 日照不足: ゼラニウムは日光を好む植物です。 日当たりが悪いと十分に生育できず、香りも弱くなることがあります。
- 水のやりすぎ: ゼラニウムは乾燥気味の環境を好みます。 過湿になると根腐れを起こし、株が弱って香りが薄れる原因になります。
- 葉に触れていない: センテッドゼラニウムの香りは、葉の表面にある「腺毛」という部分から放出されます。風で葉が揺れたり、手で触れたりすることで、この腺毛が壊れて強く香ります。 何もしていない状態では、香りはそれほど強く感じられないかもしれません。
もし香りが弱いと感じたら、置き場所を日当たりの良い場所へ移し、水やりを控えめにしてみてください。そして、時々葉を優しく撫でて香りを確認してみましょう。
ゼラニウムを置いてもゴキブリが出たのですが…
ゼラニウムを置いたのにゴキブリが出てしまった場合、がっかりされる気持ちはよく分かります。しかし、これはゼラニウムの効果が全くないということではありません。前述の通り、ゼラニウムはあくまで「忌避剤(きひざい)」であり、殺虫剤ではないため、ゴキブリの侵入を100%防ぐことは困難です。
考えられる理由としては、以下のような点が挙げられます。
- 他に魅力的な誘引源がある: 家の中に食べかすや生ゴミなど、ゴキブリにとってゼラニウムの香りを上回る魅力的な餌があると、それを目指して侵入してくる可能性があります。
- すでに家の中に潜んでいた: ゼラニウムを置く前から家の中にゴキブリやその卵が潜んでいた場合、ゼラニウムを置いても効果はありません。
- 侵入経路が他にある: ゼラニウムを置いていない窓や換気扇など、別の場所から侵入している可能性があります。
ゼラニウムの効果を過信せず、部屋を清潔に保ち、侵入経路を塞ぐ、毒餌剤を設置するといった基本的な対策を徹底することが、ゴキブリを見ない生活への一番の近道です。
まとめ

- ゼラニウムの香りにはゴキブリが嫌う成分が含まれる。
- ゴキブリへの効果は「忌避」であり殺虫効果はない。
- 完全な駆除はできず、あくまで補助的な対策と心得る。
- 香り成分「シトロネロール」「ゲラニオール」が虫を遠ざける。
- ゴキブリ対策には香りの強い「センテッドゼラニウム」がおすすめ。
- 玄関やベランダなどゴキブリの侵入経路に置くと効果的。
- 葉を揺らしたりこすったりすると香りが強まる。
- 精油を使ったアロマスプレーも手軽で効果的。
- ドライハーブにしてクローゼットなどに置くのも良い。
- ゼラニウムだけでなく、ハッカやクローブなどもゴキブリ対策に有効。
- 猫を飼っている家庭ではゼラニウムの使用は危険。
- 効果を過信せず、清掃や毒餌剤など他の対策と組み合わせることが重要。
- 香りの強さには個人差があるため、家族や隣家への配慮が必要。
- 蚊よけ効果も期待できる品種がある。
- ゼラニウムを置いてもゴキブリが出たら、他の侵入経路や原因を探る。