毎日使う布団に、なんだか小さな虫がうごめいている…。そんな経験はありませんか?もしかしたら、その虫の正体は「チャタテムシ」かもしれません。見つけてしまうと、気持ち悪くて夜も安心して眠れなくなってしまいますよね。この記事では、布団に発生する小さい虫「チャタテムシ」の正体から、発生する原因、人体への影響、そして今すぐできる駆除方法と二度と発生させないための予防策まで、詳しく解説していきます。あなたの布団と安眠を取り戻すためのお手伝いができれば幸いです。
布団にいる小さい虫の正体はチャタテムシ?

布団や畳、壁などで1mm程度の小さな虫を見つけたら、それはチャタテムシの可能性が高いです。 まずは、その虫が本当にチャタテムシなのか、特徴を確認してみましょう。
チャタテムシの見た目と特徴
チャタテムシは、昆虫綱咀顎目(そがくもく)に分類される微小な昆虫の総称です。 日本だけでも100種類以上が報告されていますが、家の中でよく見かけるのは「ヒラタチャタテ」などの種類です。 見た目には以下のような特徴があります。
- 大きさ: 体長は1mm~2mm程度と非常に小さいです。 肉眼でなんとか確認できるサイズ感です。
- 色: 淡い黄色や淡い褐色、灰褐色をしています。
- 形: ダニと間違われることもありますが、よく見ると頭・胸・腹が分かれており、昆虫らしい形をしています。 体は柔らかく、動きは比較的素早いです。
- 羽の有無: 家の中で見られる種類の多くは羽がありません。
ダニは0.2mm~0.4mm程度で肉眼での確認が難しいのに対し、チャタテムシははっきりと目に見える大きさなのが違いの一つです。 もし布団の上で動く小さな点のような虫を見つけたら、チャタテムシを疑ってみましょう。
なぜ布団にチャタテムシが?知っておきたい発生原因

では、なぜチャタテムシは私たちの布団に発生してしまうのでしょうか。その原因を知ることが、対策の第一歩です。チャタテムシが好む環境が、あなたの寝室に揃ってしまっているのかもしれません。
本章では、チャタテムシが布団に発生する主な原因を解説します。
- 高温多湿な環境とカビ
- フケやホコリなどのエサ
- 外部からの侵入経路
高温多湿な環境とカビ
チャタテムシが発生する最大の原因は「高温多湿」な環境です。具体的には、気温25℃~29℃、湿度70%以上になると繁殖が活発になります。 人が寝ている間の布団の中は、体温と汗によってまさにこの条件が揃いやすい場所。特に梅雨から夏にかけては、部屋全体の湿度も高くなるため、チャタテムシにとって天国のような環境になってしまうのです。
そして、湿気はチャタテムシの大好物である「カビ」を育てます。 チャタテムシはカビを主食としているため、湿気が多くカビが生えやすい布団や畳、押し入れなどは絶好の繁殖場所となります。 布団を敷きっぱなしにしていると、床との間に湿気がこもり、カビとチャタテムシの両方を増やす原因になってしまいます。
フケやホコリなどのエサ
チャタテムシはカビ以外にも、さまざまなものをエサにします。例えば、人のフケや垢、食べ物のカス、ホコリに含まれる有機物なども好んで食べます。 布団周りは、どうしてもフケや垢が落ちやすい場所。こまめに掃除をしていないと、チャタテムシに豊富なエサを与えてしまうことになります。
また、彼らは本の製本に使われる糊や、乾麺・小麦粉といった乾燥食品も食べることがあります。 寝室に本や食品を置いている場合も注意が必要です。
外部からの侵入経路
チャタテムシは、もともと屋外の枯れ葉の下などにも生息しています。 そして、家の中へは様々な経路で侵入してきます。
- 段ボールや古紙: 宅配便の段ボールや古い新聞紙などに付着して持ち込まれるケースは非常に多いです。段ボールは保温性と保湿性に優れ、チャタテムシの隠れ家や繁殖場所になりやすいのです。
- 窓やドアの隙間: 小さな体なので、わずかな隙間からでも侵入します。
- 購入した食品や家具: まれに、購入した商品に付着していることもあります。
特に、引っ越しや通販をよく利用する方は、段ボールを室内に長期間放置しないように心がけることが大切です。
チャタテムシによる被害とは?刺される心配はある?

小さな虫が布団にいると、「刺されたりしないか」「健康に害はないか」と心配になりますよね。チャタテムシによる被害について、正しく理解しておきましょう。
本章では、チャタテムシがもたらす被害について解説します。
- 人を刺したり吸血したりはしない
- アレルギーの原因になる可能性
- ツメダニを呼び寄せる二次被害
人を刺したり吸血したりはしない
まず安心していただきたいのは、チャタテムシは人を刺したり、血を吸ったりすることはありません。 毒も持っていないため、チャタテムシ自体が直接的に人体へ危害を加えることはないのです。 しかし、だからといって放置して良いわけではありません。間接的な被害が問題となるからです。
アレルギーの原因になる可能性
チャタテムシの死骸やフンは、アレルギーの原因物質(アレルゲン)となる可能性があります。 これらを吸い込むことで、気管支喘息やアレルギー性鼻炎といった症状を引き起こしたり、悪化させたりすることが指摘されています。 特にアレルギー体質の方や、小さなお子さんがいるご家庭では注意が必要です。駆除した後の死骸もしっかりと取り除くことが重要になります。
ツメダニを呼び寄せる二次被害
これが最も注意すべき被害かもしれません。チャタテムシが大量に発生すると、それをエサとする「ツメダニ」という別のダニを呼び寄せてしまうのです。
ツメダニは、チャタテムシとは違い、人を刺して体液を吸うことがあります。 刺されると、赤く腫れて強いかゆみが1週間ほど続くことも。 「布団に入ると何かに刺されてかゆい」という場合、チャタテムシの発生が原因で増えたツメダニの仕業かもしれません。チャタテムシを放置することは、より厄介な害虫を繁殖させることにつながるのです。
【布団のチャタテムシ対策】今すぐできる駆除方法5選

チャタテムシの正体と原因、被害がわかったところで、いよいよ駆除に取り掛かりましょう。ここでは、家庭で今すぐできる効果的な駆除方法を5つご紹介します。ご自身の状況に合わせて、いくつかの方法を組み合わせるのがおすすめです。
本章で紹介する駆除方法は以下の通りです。
- ①布団乾燥機で熱処理【効果大】
- ②天日干しで乾燥させる
- ③掃除機で死骸やフンを吸い取る
- ④布団に使える殺虫剤・スプレー
- ⑤アルコール(エタノール)で拭き掃除
①布団乾燥機で熱処理【効果大】
最も効果的で確実な方法が、布団乾燥機を使った熱処理です。チャタテムシは熱に非常に弱く、60℃以上の温度で死滅します。 この方法は、成虫だけでなく、殺虫剤が効きにくい卵にも効果があるのが大きなメリットです。
布団乾燥機の「ダニ対策モード」などを利用し、布団全体にしっかりと熱が行き渡るようにしましょう。枕やクッションなども一緒に対策するとより効果的です。駆除後は、後述する掃除機で死骸を吸い取ることを忘れずに行ってください。
②天日干しで乾燥させる
布団乾燥機がない場合に手軽にできるのが天日干しです。チャタテムシは乾燥を嫌うため、布団を干して湿気を飛ばすことは駆除と予防の両面で効果があります。
ただし、ただ干すだけでは布団の内部まで高温になりにくく、チャタテムシが日の当たらない方に逃げてしまう可能性があります。効果を高めるためには、黒いビニール袋や布を布団にかぶせて干すのがおすすめです。 黒が熱を吸収し、内部の温度が上がりやすくなります。天日干しの後も、掃除機で仕上げをしましょう。
③掃除機で死骸やフンを吸い取る
熱処理や殺虫剤でチャタテムシを駆除した後は、アレルギーの原因となる死骸やフンを掃除機で丁寧に吸い取ることが非常に重要です。 1平方メートルあたり20秒以上を目安に、ゆっくりと掃除機をかけるのがコツです。
掃除機をかけた後は、吸い取ったゴミをすぐにビニール袋に入れて口を縛り、捨ててください。 掃除機の内部にゴミを溜めたままだと、そこからアレルゲンが排気とともに出てきてしまう可能性があります。
④布団に使える殺虫剤・スプレー
布団や畳に直接使えるタイプの殺虫スプレーも市販されています。ピレスロイド系の成分を含んだ製品は、人体への安全性が比較的高く、速効性も期待できます。
「ダニ・ノミ用」と書かれている製品の多くはチャタテムシにも効果がありますが、使用前には必ず対象害虫にチャタテムシが含まれているか、また布団に使用可能かを確認してください。 使用方法や注意書きをよく読み、小さなお子さんやペットがいるご家庭では特に慎重に使いましょう。スプレー後は、乾燥させてから掃除機をかけるのが基本です。
⑤アルコール(エタノール)で拭き掃除
チャタテムシはアルコールにも弱く、消毒用エタノール(アルコール濃度70%以上が効果的)を吹きかけることでも駆除できます。 この方法は、殺虫成分を使いたくない場所や、チャタテムシのエサとなるカビの除菌も同時にできるというメリットがあります。
布団そのものに使うというよりは、チャタテムシが発生しやすいベッドフレームや床、押し入れ、畳などを拭き掃除するのに適しています。 スプレーボトルに入れて吹きかけ、乾いた布で拭き取りましょう。色落ちや素材への影響が心配な場合は、目立たない場所で試してから使用してください。
もう悩まない!チャタテムシを二度と発生させないための予防策

チャタテムシを一度駆除しても、発生原因となる環境が変わらなければ、またすぐに再発してしまいます。駆除と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「予防」です。ここでは、チャタテムシが住みにくい環境を作るための具体的な予防策をご紹介します。
本章では、チャタテムシの再発防止策を解説します。
- 徹底した湿気対策が最重要
- エサを断つためのこまめな掃除
- 侵入経路を塞ぐ
徹底した湿気対策が最重要
チャタテムシ対策の要は、何と言っても「湿気対策」です。湿度を60%以下、できれば50%以下に保つことで、チャタテムシの繁殖を抑えることができます。
定期的な換気
最も基本的で重要なのが換気です。1日に2回、5分~10分程度、対角線上にある窓を2か所以上開けて空気の通り道を作ると効率的です。 特に湿気がこもりやすい押し入れやクローゼットも、定期的に扉を開けて空気を入れ替えましょう。
除湿機やエアコンのドライ機能の活用
雨の日が続く梅雨の時期など、換気だけでは湿度が下がらない場合は、除湿機やエアコンの除湿(ドライ)機能を積極的に活用しましょう。 タイマー機能などを使い、留守中や就寝中に稼働させるのも効果的です。
布団の下にすのこや除湿シートを敷く
フローリングや畳に直接布団を敷いている方は、布団と床の間にすのこを敷くのが非常におすすめです。空気の通り道ができ、湿気がこもるのを防ぎます。また、布団用の除湿シートを敷くのも手軽で効果的な対策です。
エサを断つためのこまめな掃除
湿気対策と並行して行いたいのが、エサとなるカビやホコリをなくすための掃除です。
寝室や押し入れの掃除
寝室は、ホコリやフケ、髪の毛などが溜まりやすい場所です。週に1~2回は掃除機をかけ、家具の裏やベッドの下など、ホコリが溜まりやすい場所も忘れずに掃除しましょう。 押し入れの中も、一度荷物を全部出して掃除すると、隠れていたチャタテムシやカビを発見できることがあります。
布団カバーやシーツの定期的な洗濯
布団カバーやシーツ、枕カバーは、フケや垢が付着しやすいため、こまめに洗濯して清潔に保ちましょう。週に1回程度の洗濯が理想です。
侵入経路を塞ぐ
新たなチャタテムシを家の中に招き入れないための対策も重要です。
段ボールや古紙を室内に放置しない
前述の通り、段ボールはチャタテムシの格好の侵入経路であり、住処にもなります。 通販などで届いた段ボールはすぐに開封し、速やかに処分する習慣をつけましょう。 収納に段ボール箱を使うのは避け、プラスチック製のケースなどを利用するのがおすすめです。
窓のサッシなどを清潔に保つ
窓のサッシは結露によってカビが生えやすく、チャタテムシの発生源になることがあります。 定期的に拭き掃除をして、清潔に保ちましょう。
それでも解決しない…大量発生した場合の対処法

自分で対策をしても、部屋のあちこちでチャタテムシを見かけるなど、大量発生して手に負えない場合もあります。そんな時は、より強力な方法や専門家の力を借りることも検討しましょう。
本章では、自力での駆除が難しい場合の対処法を解説します。
- くん煙剤(バルサンなど)で部屋ごと駆除
- 専門の害虫駆除業者に相談する
くん煙剤(バルサンなど)で部屋ごと駆除
部屋の隅々まで殺虫成分を行き渡らせることができる「くん煙剤」は、隠れたチャタテムシも一網打尽にできる可能性があります。 使用する際は、以下の点に注意が必要です。
- 事前準備: 火災報知器や家電製品にカバーをかけ、ペットや観葉植物は室外に出す必要があります。
- 効果の範囲: 押し入れやクローゼット、引き出しなどを開けておくと、隅々まで効果が行き渡りやすくなります。
- 卵には効かない: くん煙剤は卵には効果がないことが多いです。 そのため、卵が孵化するタイミング(2週間後くらい)を見計らって、もう一度使用すると、より根絶に近づきます。
- 使用後の掃除: 使用後は十分に換気を行い、死骸を掃除機でしっかりと吸い取ることが大切です。
専門の害虫駆除業者に相談する
「くん煙剤を使ってもまだ出てくる」「原因が特定できない」「とにかく確実かつ安全に駆除したい」という場合は、害虫駆除の専門業者に相談するのが最も確実な方法です。
プロは、チャタテムシの生態を熟知しており、発生源を的確に特定し、専門的な薬剤や機材を使用して徹底的に駆除してくれます。費用はかかりますが、再発防止のアドバイスももらえるなど、安心感は大きいです。複数の業者から見積もりを取り、サービス内容や料金を比較検討してみると良いでしょう。
【Q&A】布団のチャタテムシに関するよくある質問

ここでは、布団のチャタテムシに関して、多くの方が疑問に思う点についてQ&A形式でお答えします。
Q. チャタテムシは洗濯で死にますか?
A. チャタテムシは水に強く、通常の洗濯で水に濡れただけでは死なないことが多いです。しかし、洗濯後の乾燥機の熱(60℃以上)によって死滅させることができます。 衣類やシーツにチャタテムシが付いてしまった場合は、洗濯後に乾燥機にかけるのが効果的です。
Q. チャタテムシの卵はどうすれば駆除できますか?
A. チャタテムシの卵は非常に小さく、殺虫剤も効きにくい厄介な存在です。卵を駆除する最も効果的な方法は、60℃以上の熱を加えることです。 布団乾燥機やコインランドリーの大型乾燥機を利用して、布団や衣類を高温で処理するのが確実です。
Q. チャタテムシが嫌いな匂いはありますか?
A. チャタテムシは、ティーツリーやペパーミント、クローブ、シナモンといったハーブやスパイスの香りを嫌う傾向があると言われています。 これらのアロマオイルを数滴含ませたスプレーを、発生しやすい場所に吹きかけたり、スパイスを布袋に入れて置いたりすることで、忌避効果が期待できる場合があります。ただし、これはあくまで予防的な対策であり、駆除効果は限定的です。
Q. 新築の家にもチャタテムシは出ますか?
A. はい、新築の家でもチャタテムシが発生することはあります。 新築の建物では、コンクリートや木材、壁紙の接着剤などが完全に乾ききるまでの1〜2年間、湿気が多くなりがちです。この湿気がカビを発生させ、チャタテムシのエサとなり、繁殖につながることがあります。新築だからと油断せず、換気や除湿を心がけることが大切です。
まとめ

布団に発生する小さい虫「チャタテムシ」について、その正体から対策までを解説しました。最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
- 布団の小さい虫は1~2mmのチャタテムシの可能性が高い。
- 人を刺さないが、アレルギーやツメダニ発生の原因になる。
- 最大の原因は「湿気」と、それをエサにする「カビ」。
- 駆除には布団乾燥機による60℃以上の熱処理が最も効果的。
- 駆除後は死骸やフンを掃除機でしっかり吸い取ること。
- 予防の鍵は「換気・除湿」で湿度を50%以下に保つこと。
- 布団は敷きっぱなしにせず、すのこや除湿シートを活用する。
- フケやホコリなど、エサになるものを掃除で取り除く。
- 段ボールはすぐに処分し、室内に長期間置かない。
- 卵には熱処理が有効。くん煙剤は2週間後に再使用を検討。
- 洗濯だけでは死なず、乾燥機の熱で駆除できる。
- 新築の家でも湿気が原因で発生することがある。
- アロマオイル(ティーツリー等)には忌避効果が期待できる。
- 手に負えない大量発生は専門業者への相談が確実。
- 正しい知識で対策すれば、チャタテムシは根絶できる。
チャタテムシは、その発生原因を知り、適切な駆除と予防を行えば、決して怖い相手ではありません。この記事を参考に、ぜひ快適で安心な睡眠環境を取り戻してください。