フィンガーピッキングは、ピックを使わずに指で直接弦を弾く奏法で、ギターの繊細な表現力を最大限に引き出せる魅力的なスタイルです。しかし、いざフィンガーピッキングを始めようと思っても、どのギターを選べば良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
本記事では、フィンガーピッキングに適したギターの選び方から、初心者から上級者まで満足できるおすすめの人気モデルまで、詳しく解説します。あなたにぴったりの一本を見つけて、指弾きの美しい音色を奏でる喜びを体験しましょう。
フィンガーピッキングギターの魅力とは?

フィンガーピッキングは、ギターの持つ奥深い表現力を引き出す奏法として、多くのギタリストに愛されています。ピックを使わない指弾きだからこそ生まれる、独特の音色と演奏の幅広さがその魅力です。
指弾きならではの繊細な表現力
フィンガーピッキングの最大の魅力は、指一本一本で弦をコントロールできるため、非常に繊細な音のニュアンスを表現できる点にあります。ピックでは難しい、柔らかく温かみのある音色や、各弦の音量バランスを細かく調整したアルペジオなど、豊かな表現が可能です。例えば、親指でベースラインをしっかり支えつつ、人差し指、中指、薬指でメロディやハーモニーを奏でることで、まるで複数の楽器が演奏しているかのような奥行きのあるサウンドを生み出せます。
指の腹で弾くか、爪で弾くかによっても音色が大きく変わるため、表現の幅は無限大です。
豊かな響きと幅広いジャンルへの対応
フィンガーピッキングは、クラシックギターの奏法として古くから親しまれてきましたが、現代ではフォーク、ブルース、ジャズ、ポップスなど、幅広いジャンルで活用されています。特にアコースティックギターとの相性は抜群で、ギター本体の豊かな鳴りを最大限に引き出し、心地よい響きを奏でます。ソロギターでは、メロディ、伴奏、ベースラインを一人で同時に演奏することで、壮大な楽曲を表現することも可能です。
指弾き特有の温かく包み込むような音色は、聴く人の心に深く響き、感情豊かな演奏を可能にします。
フィンガーピッキングギター選びの重要なコツ

フィンガーピッキングに適したギターを選ぶには、いくつかの重要なポイントがあります。これらのコツを押さえることで、あなたの演奏スタイルや好みに合った最適な一本を見つけられるでしょう。
ボディ形状で音色と抱えやすさが変わる
ギターのボディ形状は、音色だけでなく、抱えやすさにも大きく影響します。フィンガーピッキングでは、長時間演奏することも多いため、体にフィットする形状を選ぶことが大切です。
OM(オーケストラモデル)/OOO(トリプルオー)
OM(オーケストラモデル)やOOO(トリプルオー)は、ドレッドノートよりもボディがやや小ぶりで、くびれが深いのが特徴です。これにより、抱えやすく、長時間の演奏でも疲れにくいというメリットがあります。音色はバランスが良く、特に中高音域がクリアに響くため、フィンガーピッキングの繊細な表現に非常に適しています。
各弦の分離が良く、アルペジオを美しく響かせたい方におすすめの形状です。
ドレッドノート
ドレッドノートは、アコースティックギターの中でも最も一般的なボディ形状の一つで、豊かな音量とパワフルな低音が特徴です。ストローク弾きに適しているイメージがありますが、フィンガーピッキングでもその豊かな響きを活かすことができます。ただし、ボディサイズが大きいため、小柄な方や抱えやすさを重視する方には、少し大きく感じるかもしれません。
力強いフィンガーピッキングや、低音を強調したい楽曲を演奏する際に魅力を発揮します。
グランドオーディトリアム
グランドオーディトリアムは、ドレッドノートとOM/OOOの中間くらいのサイズ感で、両者の良いところを併せ持ったバランスの取れた形状です。豊かな音量と幅広い音域を持ちながら、抱えやすさも兼ね備えています。フィンガーピッキングからストロークまで、オールマイティに使えるため、様々な奏法を楽しみたい方におすすめです。
特に、高音域のきらびやかさと低音域の深みを両立させたい場合に優れた選択肢となるでしょう。
弦の幅(ナット幅)とネックの形状
フィンガーピッキングでは、指で正確に弦を捉える必要があるため、ナット幅(ネックの幅)とネックの形状も重要な要素です。一般的に、フィンガーピッキングにはやや広めのナット幅(44mm~45mm程度)が好まれる傾向にあります。弦間が広いことで、指が隣の弦に触れにくくなり、ミスタッチを減らすことができます。
また、ネックの形状も握りやすさに直結します。薄めのネックや、手の小さい人でも握りやすい形状を選ぶことで、長時間の演奏でもストレスなくフィンガーピッキングを楽しめるでしょう。実際に楽器店で様々なギターを試奏し、自分の手に馴染むネックを選ぶことが大切です。
木材の種類が音色に与える影響
ギターの音色は、使用されている木材の種類によって大きく左右されます。特にトップ材(表板)とサイド&バック材(側板・裏板)は、音の響きに決定的な影響を与えます。
トップ材(表板)
- スプルース: アコースティックギターのトップ材として最も一般的で、明るくクリアな音色が特徴です。弾き込むほどに音が成長し、豊かな響きになります。幅広いジャンルに対応できるため、迷ったらスプルースを選ぶと良いでしょう。
- シダー: スプルースよりも柔らかく、温かく甘い音色が特徴です。レスポンスが良く、軽いタッチでもしっかり鳴ってくれるため、フィンガーピッキングの繊細な表現に適しています。
どちらの木材もフィンガーピッキングに適していますが、より繊細な表現を求めるならシダー、オールマイティな響きを求めるならスプルースがおすすめです。
サイド&バック材(側板・裏板)
- マホガニー: 温かく、中音域が豊かなサウンドが特徴です。サスティーンが短めで、歯切れの良い音色がフィンガーピッキングのグルーヴ感を際立たせます。
- ローズウッド: 深く豊かな低音と、きらびやかな高音が特徴で、サスティーンも長く、倍音豊かなサウンドを生み出します。特にソロギターなど、音の広がりを重視するフィンガーピッキングに適しています。
これらの木材の組み合わせによって、ギターの音色は大きく変化します。自分の出したい音色をイメージしながら、木材の組み合わせにも注目して選びましょう。
スケール(弦長)とテンション感
スケール(弦長)とは、ナットからサドルまでの弦の長さのことです。スケールが長いほど弦のテンション(張力)が高くなり、音の立ち上がりが良く、サスティーンも長くなる傾向があります。一方、スケールが短いとテンションが低くなり、弦を押さえやすくなるため、フィンガーピッキングでの運指が楽になります。
フィンガーピッキングでは、繊細なタッチで弦を弾くことが多いため、やや短めのスケールを選ぶことで、よりスムーズな演奏が可能になる場合があります。しかし、長めのスケールが持つ豊かな響きも魅力です。自分の手の大きさや、求める音色、演奏のしやすさを考慮して、最適なスケールを選びましょう。
エレアコかアコースティックギターか
フィンガーピッキングを楽しむ上で、エレアコ(エレクトリックアコースティックギター)を選ぶか、純粋なアコースティックギターを選ぶかも重要なポイントです。エレアコは、ピックアップが内蔵されており、アンプに繋いで音を増幅できるため、ライブ演奏やレコーディングで活躍します。
一方、アコースティックギターは、生音の響きを最大限に追求したモデルが多く、自宅での練習やアンプを通さない演奏で、その豊かな鳴りを存分に楽しめます。将来的にライブ活動を考えているならエレアコ、純粋な生音の美しさを追求したいならアコースティックギターがおすすめです。
【価格帯別】フィンガーピッキングにおすすめのギターモデル

フィンガーピッキングギターを選ぶ際、予算は重要な要素です。ここでは、価格帯別にフィンガーピッキングにおすすめのギターモデルを紹介します。
5万円以下の初心者向けフィンガーピッキングギター
初めてフィンガーピッキングギターに挑戦する方や、予算を抑えたい方には、5万円以下のモデルがおすすめです。この価格帯でも、品質の良いギターはたくさんあります。例えば、YAMAHAのFSシリーズやFGシリーズは、コストパフォーマンスが高く、初心者でも扱いやすいモデルが豊富です。
また、IbanezのPCシリーズも、小ぶりなボディで抱えやすく、フィンガーピッキングに適したモデルが見つかることがあります。 まずは手頃な価格帯で始めてみて、フィンガーピッキングの楽しさを実感することが大切です。
5万円~15万円の中級者向けフィンガーピッキングギター
フィンガーピッキングに慣れてきて、より良い音色や演奏性を求める方には、5万円~15万円の価格帯がおすすめです。この価格帯になると、単板トップ材を使用したモデルが増え、より豊かな響きと音の深みが期待できます。MartinのXシリーズやTaylorのGS Miniなどは、この価格帯で人気の高いモデルです。
また、国産ブランドのHeadwayやK.Yairiなども、この価格帯でフィンガーピッキングに適したモデルを多数ラインナップしています。 長く愛用できる一本を見つけるために、様々なモデルを試奏してみることをおすすめします。
15万円以上の本格派フィンガーピッキングギター
フィンガーピッキングを本格的に追求したい方や、上級者の方には、15万円以上のモデルがおすすめです。この価格帯では、オール単板のモデルや、厳選された木材を使用した高品質なギターが多くなります。Martinの000-28やTaylorの300シリーズ以上は、フィンガーピッキングの定番として世界中のギタリストに愛されています。
MorrisのSシリーズは、フィンガーピッキングに特化して設計されたモデルとして知られており、高い演奏性と美しい音色を兼ね備えています。 これらのギターは、あなたのフィンガーピッキングの表現力をさらに高めてくれるでしょう。
フィンガーピッキングに人気のギターブランド

フィンガーピッキングのギタリストに特に人気のあるブランドをいくつか紹介します。それぞれのブランドが持つ特徴を理解し、ギター選びの参考にしてください。
Martin(マーティン)
Martinは、アコースティックギターの代名詞とも言える老舗ブランドです。特にOOO(トリプルオー)やOM(オーケストラモデル)といったボディ形状のモデルは、フィンガーピッキングのギタリストから絶大な支持を得ています。Martinのギターは、深く豊かな響きと、各弦の分離の良さが特徴で、繊細なアルペジオから力強いソロまで、幅広い表現に対応できます。
Taylor(テイラー)
Taylorは、モダンなデザインと高い演奏性が魅力のブランドです。ネックの握りやすさや、カッタウェイによるハイポジションでの演奏性の高さは、フィンガーピッキングのギタリストにとって大きなメリットとなります。クリアでバランスの取れた音色も特徴で、特にエレアコモデルは、ライブやレコーディングでも活躍します。
Gibson(ギブソン)
Gibsonのアコースティックギターは、パワフルで温かみのあるサウンドが特徴です。J-45などのラウンドショルダーモデルは、ストロークのイメージが強いかもしれませんが、フィンガーピッキングでもその豊かな鳴りを活かすことができます。特にブルースやフォーク系のフィンガーピッキングを好むギタリストに人気があります。
Yamaha(ヤマハ)
Yamahaは、幅広い価格帯で高品質なギターを提供している日本のブランドです。初心者向けのモデルからプロ仕様のモデルまで、フィンガーピッキングに適したギターを多数ラインナップしています。特にFG/FSシリーズは、コストパフォーマンスに優れ、初めてのフィンガーピッキングギターとしてもおすすめです。
Takamine(タカミネ)
Takamineも、日本の代表的なアコースティックギターブランドの一つです。特にエレアコに定評があり、ライブでの使用を考えているフィンガーピッキングのギタリストに人気があります。クリアなサウンドと、安定したピックアップシステムが特徴で、ステージでのパフォーマンスを強力にサポートします。
フィンガーピッキングを上達させるための練習のコツ

フィンガーピッキングは、正しい練習方法を続けることで着実に上達できます。ここでは、フィンガーピッキングを効果的に習得するためのコツを紹介します。
基本フォームと指の独立
フィンガーピッキングの基本は、正しい右手のフォームを身につけることです。親指は低音弦(6弦~4弦)、人差し指は3弦、中指は2弦、薬指は1弦を担当するのが一般的です。 手のひらは軽く丸め、指先で弦を捉えるように構えましょう。
そして、それぞれの指を独立して動かせるように練習することが重要です。最初はゆっくりと、メトロノームに合わせて各指で単音を弾く練習から始めましょう。指の動きを意識しながら、力を入れすぎずにリラックスして弾くことが上達への近道です。
メトロノームを使ったリズム練習
フィンガーピッキングでは、正確なリズム感が不可欠です。メトロノームを使って練習することで、テンポを安定させ、リズム感を養うことができます。最初はゆっくりとしたテンポから始め、徐々にスピードを上げていきましょう。
様々なフィンガーピッキングパターンをメトロノームに合わせて練習することで、指の動きとリズムが自然と連動するようになります。焦らず、正確なリズムで弾くことを意識して練習を続けましょう。
好きな曲で楽しく練習を続ける方法
練習を継続するためには、楽しむことが最も大切です。自分の好きな曲をフィンガーピッキングで弾いてみることで、モチベーションを高く保てます。最初は簡単なアレンジから始めて、徐々に難しいフレーズに挑戦していくと良いでしょう。
YouTubeなどの動画サイトには、フィンガーピッキングの練習曲や解説動画が豊富にあります。それらを参考にしながら、憧れのギタリストの曲に挑戦してみるのも良い方法です。楽しみながら練習を続けることで、フィンガーピッキングの技術は自然と向上していきます。
よくある質問

フィンガーピッキングギターに関して、よくある質問とその回答をまとめました。
- フィンガーピッキングとストローク弾きではどちらが難しいですか?
- 初心者でもフィンガーピッキングはできますか?
- フィンガーピッキングにおすすめの弦の太さはありますか?
- クラシックギターでもフィンガーピッキングはできますか?
- フィンガーピッキングで爪は必要ですか?
フィンガーピッキングとストローク弾きではどちらが難しいですか?
どちらが難しいかは一概には言えません。それぞれ異なる技術と練習が必要です。フィンガーピッキングは、各指の独立した動きや繊細なタッチが求められ、複雑なアルペジオやソロギターでは高度なテクニックが必要になります。一方、ストローク弾きは、コードチェンジの速さやリズムの安定感が重要です。どちらの奏法も奥深く、練習を重ねることで上達できます。
初心者でもフィンガーピッキングはできますか?
はい、初心者でもフィンガーピッキングは十分に可能です。最初は基本的なフォームと簡単なアルペジオパターンから練習を始めましょう。焦らず、ゆっくりと正確に指を動かすことを意識すれば、着実に上達できます。多くのギタリストがフィンガーピッキングからギターを始めていますので、心配せずに挑戦してみてください。
フィンガーピッキングにおすすめの弦の太さはありますか?
フィンガーピッキングには、一般的に細めの弦(ライトゲージやエクストラライトゲージ)がおすすめです。細い弦はテンションが低く、指で押さえやすく、軽いタッチでも鳴らしやすいため、フィンガーピッキングの繊細な表現に適しています。ただし、太い弦の方が豊かな音量やサスティーンが得られる場合もあります。色々な太さの弦を試してみて、自分の好みや演奏スタイルに合ったものを見つけるのが良いでしょう。
クラシックギターでもフィンガーピッキングはできますか?
はい、クラシックギターはフィンガーピッキング(指弾き)が基本的な奏法です。ナイロン弦を使用しているため、アコースティックギターのスチール弦とは異なる、柔らかく温かい音色が特徴です。フィンガーピッキングの基礎を学ぶ上でも、クラシックギターは非常に優れた選択肢となります。クラシックギターで培った指の独立性やフォームは、アコースティックギターのフィンガーピッキングにも応用できます。
フィンガーピッキングで爪は必要ですか?
フィンガーピッキングで爪を使うかどうかは、ギタリストの好みや出したい音色によって異なります。爪を使うと、よりクリアでアタック感のある音色が得られます。一方、指の腹(肉)で弾くと、柔らかく温かみのある音色になります。クラシックギターでは爪を使うのが一般的ですが、アコースティックギターでは両方のスタイルがあります。
どちらの方法もメリットがあるため、色々な弾き方を試して、自分に合ったスタイルを見つけましょう。
まとめ
- フィンガーピッキングは指で弦を弾く奏法で繊細な表現が魅力。
- ボディ形状は音色と抱えやすさに影響する重要な要素。
- OM/OOOはバランスの取れた音色と抱えやすさでフィンガーピッキング向き。
- ドレッドノートは豊かな音量と低音で力強いフィンガーピッキングに。
- グランドオーディトリアムはオールマイティに使えるバランス型。
- ナット幅はやや広め(44~45mm)が指の動きをスムーズにする。
- ネック形状は握りやすさを重視し、自分の手に合ったものを選ぶ。
- トップ材はスプルースがクリア、シダーが温かく繊細な音色。
- サイド&バック材はマホガニーが中音域豊か、ローズウッドが倍音豊か。
- スケールは短めだと押さえやすく、長めだと豊かな響きが得られる。
- エレアコはライブ向け、アコースティックギターは生音重視。
- 初心者には5万円以下のモデルから始めるのがおすすめ。
- 中級者向けは5万円~15万円で単板トップ材のモデルが多い。
- 本格派には15万円以上のオール単板や特化モデルが良い。
- Martinは豊かな響きと分離の良さでフィンガーピッキングの定番。
- Taylorは高い演奏性とクリアな音色が魅力。
- Gibsonはパワフルで温かみのあるサウンドが特徴。
- Yamahaはコストパフォーマンスに優れたモデルが豊富。
- Takamineはエレアコに定評がありライブで活躍。
- 基本フォームと指の独立練習が上達のコツ。
- メトロノームを使ったリズム練習で正確な演奏を目指す。
- 好きな曲で楽しく練習を続けることがモチベーション維持に繋がる。
- フィンガーピッキングとストローク弾きは異なる技術が必要。
- 初心者でもフィンガーピッキングは練習次第で可能。
- フィンガーピッキングには細めの弦(ライトゲージ)がおすすめ。
- クラシックギターはフィンガーピッキングが基本奏法。
- 爪を使うか使わないかは好みで、音色に影響する。