大切に育てているナスの葉っぱに、いつの間にか穴が…。そんな経験はありませんか?家庭菜園で人気のナスですが、実は多くの害虫に狙われやすい野菜でもあります。虫食いだらけの葉っぱを見ると、がっかりしてしまいますよね。でも、諦めるのはまだ早いです。本記事では、ナスの葉を食べる犯人の見分け方から、農薬に頼らない対策、そして虫食い被害にあったナスの復活方法まで、詳しく解説します。あなたのナスを守るためのヒントがきっと見つかるはずです。
ナスの葉っぱが虫食いだらけ!まずは犯人を見つけよう

ナスの葉が虫に食われている時、まず大切なのは「犯人」を特定することです。なぜなら、害虫の種類によって対策方法が異なるからです。食害の跡をよく観察すれば、どの虫が原因なのか、ある程度推測することができます。ここでは、代表的な害虫とその食害の特徴を写真付きでご紹介します。
- 【写真で比較】虫食いの跡でわかる!害虫チェッカー
- 主な犯人たちの特徴と活動時期
【写真で比較】虫食いの跡でわかる!害虫チェッカー
葉っぱに残された痕跡は、犯人特定の大きな手がかりです。下の表で、あなたのナスの被害状況と見比べてみてください。
食害の跡 | 犯人の虫 | 特徴 |
---|---|---|
葉がレースのように網目状になっている | テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ) | 成虫も幼虫も葉の裏から表皮を残して食べる。食害痕が特徴的。 |
葉が広範囲にわたってギザギザに食べられている | ヨトウムシ | 夜行性で、昼間は土の中に隠れている。夜の間に葉を暴食する。 |
葉に小さな穴がたくさんあいている | ハムシ類 | 小さな甲虫で、葉を食べて小さな円形の穴をあける。 |
葉に白い斑点ができ、かすれたようになっている。クモの巣のような糸があることも。 | ハダニ | 非常に小さく肉眼では見えにくい。葉裏に寄生し汁を吸う。高温乾燥で多発。 |
葉が縮れたり、ベタベタしていたりする。黒いすすのようなものが付着している。 | アブラムシ | 新芽や葉裏に群生し汁を吸う。排泄物がすす病の原因になる。 |
葉に白い筋状の絵が描かれたようになっている | ハモグリバエ(エカキムシ) | 幼虫が葉の内部に潜り込んで食害し、白い筋状の食痕を残す。 |
主な犯人たちの特徴と活動時期
犯人がわかったら、次はその生態を知ることが対策への近道です。ここでは特に被害の多い害虫について、その特徴と活動時期を解説します。
テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ)
益虫のテントウムシとよく似ていますが、背中に光沢がなく、細かい毛が生えているのが特徴です。 成虫で越冬し、春になるとジャガイモなどのナス科植物に飛来して産卵します。 幼虫も成虫もナスの葉や実を食害し、特に6月から8月にかけて被害が大きくなります。 見た目はかわいいですが、ナスにとっては天敵なのです。
ヨトウムシ
「夜盗虫」の名前の通り、夜間に活動して葉を食い荒らす厄介な害虫です。 昼間は株元の土の中に隠れているため、姿が見えないのに被害だけが広がるという特徴があります。 若い幼虫は集団で葉の裏を食害しますが、成長すると分散し、葉だけでなく新芽や実まで食べるようになります。 発生時期は4月から6月頃と8月から11月頃の年2回です。
アブラムシ
体長1〜数ミリの小さな虫で、新芽や葉の裏にびっしりと群生します。 植物の汁を吸って生育を阻害するだけでなく、排泄物が「すす病」という病気を引き起こしたり、ウイル病を媒介したりすることもあります。 繁殖力が非常に高く、あっという間に増えてしまうため、早期発見・早期駆除が重要です。 特に4月〜6月、9月〜10月に活発に活動します。
ハダニ
クモの仲間で、体長0.5mm前後と非常に小さい害虫です。 主に葉の裏に寄生して汁を吸い、葉に白いカスリ状の斑点をつけます。 被害が進むと葉全体が白っぽくなり、光合成ができなくなって枯れてしまいます。 高温で乾燥した環境を好み、梅雨明けから9月頃にかけて爆発的に増えることがあります。
今すぐできる!ナスの虫食い対策【駆除編】

害虫を見つけたら、被害が広がる前にすぐに対処しましょう。ここでは、農薬を使わない手軽な方法から、やむを得ず農薬を使う場合の注意点まで、駆除の方法を具体的にご紹介します。
- 農薬を使わない!手軽にできる駆除方法5選
- どうしても退治できないときの最終手段【農薬を使う場合】
農薬を使わない!手軽にできる駆除方法5選
家庭菜園では、できるだけ農薬を使わずに安全な野菜を育てたいものですよね。ここでは、環境にも優しく、手軽に試せる駆除方法を5つ紹介します。
手で捕まえる・テープで取る
テントウムシダマシやヨトウムシなど、目に見える大きさの虫は、見つけ次第、手で捕まえて駆除するのが最も確実です。 アブラムシのように小さな虫が大量にいる場合は、ガムテープなどの粘着テープでペタペタと貼り付けて取り除くのも効果的です。
水で勢いよく洗い流す
アブラムシやハダニは水に弱い性質があります。 霧吹きやホースのシャワー機能を使って、葉の裏を中心に勢いよく水をかけて洗い流しましょう。 特にハダニは乾燥を好むため、定期的な葉水は予防にもつながります。
牛乳スプレー
牛乳を水で薄めずにそのままスプレーボトルに入れ、アブラムシに吹きかけます。牛乳が乾くときに膜を作り、アブラムシを窒息させる効果があります。 散布後は、牛乳が腐敗して臭いやカビの原因にならないよう、乾いたら水で洗い流すのを忘れないようにしましょう。
木酢液・竹酢液スプレー
木酢液や竹酢液は、木炭や竹炭を作る際に出る煙を液体にしたもので、独特の燻製のような香りがします。 この香りを害虫が嫌うため、忌避効果が期待できます。 製品の表示に従って水で希釈し、葉の表裏に散布します。土壌改良効果も期待できる優れものです。
石鹸水スプレー
水500mlに食器用洗剤を2〜3滴混ぜて作るスプレーも、アブラムシ駆除に有効です。 牛乳スプレーと同様に、石鹸の膜で窒息させる仕組みです。こちらも使用後は水でしっかり洗い流してください。
どうしても退治できないときの最終手段【農薬を使う場合】
害虫が大量発生してしまい、手作業での駆除が追いつかない場合は、農薬の使用も検討しましょう。ただし、使用する際はいくつかの注意点があります。
まず、必ず「ナス」に登録のある農薬を選ぶことが重要です。 農薬は作物ごとに使用できるものが法律で定められています。また、使用方法や希釈倍率、使用時期、収穫前日数を必ず守ってください。
害虫によっては、同じ系統の農薬を使い続けると抵抗性を持ってしまい、薬が効きにくくなることがあります。 そのため、作用性の異なる複数の農薬をローテーションで散布するのが効果的です。
例えば、アブラムシやテントウムシダマシには「ベニカ水溶剤」などが、ハダニには「ダニオーテフロアブル」などが効果的です。 農薬は正しく使えば非常に有効な手段ですが、使用上の注意をよく読み、安全に配慮して使用しましょう。
虫を寄せ付けない!ナスの虫食い対策【予防編】

虫食い被害を最小限に抑えるには、何よりも予防が大切です。害虫が発生してから慌てるのではなく、発生しにくい環境を整えてあげましょう。ここでは、植え付け時からできる予防策や、日頃のお手入れのコツをご紹介します。
- 植え付け時からできる!基本的な予防策
- コンパニオンプランツを活用しよう
- 日頃のお手入れでできる予防
植え付け時からできる!基本的な予防策
ナスの苗を植え付ける段階から、害虫対策は始まっています。ちょっとした工夫で、その後の管理がぐっと楽になりますよ。
防虫ネットをかける
最も効果的な物理的防除は、防虫ネットでナス全体を覆ってしまうことです。 これにより、成虫が飛来して葉に卵を産み付けるのを防ぐことができます。 アブラムシやコナジラミなどの小さな虫も防ぎたい場合は、0.4mm以下の目の細かいネットを選びましょう。 ネットをかける際は、支柱を立てて葉にネットが直接触れないようにし、裾に隙間ができないように土でしっかり押さえるのがポイントです。
シルバーマルチを利用する
アブラムシはキラキラと光るものを嫌う習性があります。 畑の畝(うね)に銀色のマルチシート(シルバーマルチ)を張ることで、アブラムシの飛来を抑制する効果が期待できます。 シルバーマルチには、地温の上昇を抑えたり、雑草の発生を防いだりする効果もあり、一石二鳥です。
植え付け前に土をチェック
ヨトウムシの幼虫は土の中で越冬したり、昼間に隠れていたりします。 苗を植え付ける前に畑をよく耕し、土の中に幼虫がいないか確認しましょう。 もし見つけたら、取り除いておきます。プランター栽培で古い土を再利用する場合は、新しい土に入れ替えるのが安全です。
コンパニオンプランツを活用しよう
コンパニオンプランツとは、近くに植えることでお互いに良い影響を与え合う植物のことです。 特定の害虫を遠ざけたり、天敵を呼び寄せたりする効果が期待でき、農薬を減らしたい方には特におすすめの方法です。
ナスと相性の良いコンパニオンプランツには、以下のようなものがあります。
- ニラ、ネギ類: 根に共生する菌が、ナスの病気である「青枯れ病」を抑制する効果があります。 また、独特の強い香りで害虫を遠ざけます。
- バジル、シソ: これらのシソ科のハーブの香りは、アブラムシなどの害虫を寄せ付けにくくします。
- パセリ: ナスにつく害虫を遠ざけ、逆にパセリにつくキアゲハをナスが遠ざけるという、互いに良い関係を築けます。
- マリーゴールド: 根にいるセンチュウという害虫を抑制する効果が有名ですが、その香りも一部の害虫を遠ざけます。
- ラッカセイ、エダマメ: マメ科の植物は、空気中の窒素を土壌に供給し、ナスの生育を助けてくれます。
これらの植物をナスの株元や畝の間に植えることで、畑が華やかになるだけでなく、自然の力で害虫を防ぐことができます。
日頃のお手入れでできる予防
毎日のちょっとしたお世話も、大切な予防策につながります。
風通しを良くする
葉が茂りすぎて風通しが悪くなると、湿気がこもり、病害虫が発生しやすくなります。 適度に整枝や剪定を行い、株全体の風通しと日当たりを良く保ちましょう。古い葉や黄色くなった葉は、こまめに取り除くことも大切です。
適切な水やり
特にハダニは乾燥した環境を好むため、水やりは重要です。 土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるのが基本ですが、時々葉の裏にも水をかけてあげる「葉水」を行うと、ハダニの発生を効果的に抑えることができます。
肥料の管理
アブラムシは、窒素分が多い、柔らかく瑞々しい葉を好みます。 肥料の与えすぎ、特に窒素過多になるとアブラムシが発生しやすくなるため注意が必要です。 肥料は適量を守り、バランス良く与えることを心がけましょう。
虫食いでボロボロ…でも諦めないで!ナスの復活方法

虫食い被害がひどく、葉がボロボロになってしまっても、ナスは生命力が強いので復活できる可能性は十分にあります。適切な手入れをして、秋ナスの収穫を目指しましょう。
- 被害を受けた葉や茎の剪定
- 追肥で体力を回復させよう
被害を受けた葉や茎の剪定
まず、虫に食われてボロボロになった葉や、卵が産み付けられている可能性のある葉は、思い切って切り落としましょう。 これにより、残っている害虫や卵を取り除くと同時に、風通しを良くする効果もあります。
被害が枝全体に及んでいる場合は、その枝ごと切り戻し剪定を行います。 一時的に株が小さくなりますが、新しい脇芽が伸びてきて、再び元気な葉を展開してくれます。この作業は、病気の蔓延を防ぐ意味でも重要です。
追肥で体力を回復させよう
害虫の駆除と剪定が終わったら、ナスが体力を回復できるよう、追肥をして栄養を補給してあげましょう。 ナスは「肥料食い」と言われるほど、多くの肥料を必要とする野菜です。
株元に化成肥料や油かすなどを適量施します。液体肥料を水やり代わりに与えるのも、即効性がありおすすめです。栄養をしっかり与えることで、新しい葉や枝の成長が促され、再びたくさんの実をつけてくれるようになります。諦めずに手入れを続ければ、美味しい秋ナスを収穫できるはずです。
よくある質問

ナスの葉を食べるてんとう虫は何ですか?
ナスの葉を食べるのは「テントウムシダマシ」(別名:ニジュウヤホシテントウ)という種類のテントウムシです。 アブラムシを食べてくれる益虫のテントウムシとは異なり、草食性でナス科の植物を好んで食べます。 背中に光沢がなく、細かい毛が生えているのが特徴です。
ナスの葉の穴は何の虫が原因ですか?
ナスの葉にあく穴の原因は、穴の形状によって推測できます。
- 網目状の食害: テントウムシダマシ
- 大きなギザギザの食害: ヨトウムシ
- 小さな丸い穴: ハムシ類
- 葉に白い筋: ハモグリバエ
葉の裏などをよく観察して、虫の姿やフンがないか確認することも原因特定の手がかりになります。
木酢液はナスの害虫に効きますか?
はい、効果が期待できます。木酢液の独特の燻製のような香りを害虫が嫌うため、アブラムシなどの害虫を寄せ付けにくくする忌避効果があります。 定期的に希釈した木酢液を散布することで、害虫予防につながります。 ただし、殺虫効果は強くないため、すでに大量発生している場合は他の駆除方法と組み合わせるのがおすすめです。
ナスのコンパニオンプランツは何がいいですか?
ナスと相性の良いコンパニオンプランツはいくつかあります。
- ニラ、ネギ: 病害予防と害虫忌避
- バジル、シソ: 香りで害虫を遠ざける
- パセリ: お互いの害虫を遠ざけ合う
- マリーゴールド: センチュウ対策と害虫忌避
これらの植物をナスの近くに植えることで、農薬に頼らずに病害虫を減らす助けになります。
まとめ

- ナスの葉の虫食いは、食害痕で犯人を特定できる。
- 主な害虫はテントウムシダマシ、ヨトウムシ、アブラムシ、ハダニ。
- 農薬を使わない駆除は、手で取る、水で流す、牛乳スプレーなどが有効。
- 木酢液や石鹸水スプレーも手軽な対策としておすすめ。
- やむを得ず農薬を使う際は、ナス用のものを選び用法を守る。
- 予防には防虫ネットやシルバーマルチが効果的。
- 植え付け前の土壌チェックでヨトウムシ幼虫を駆除。
- コンパニオンプランツ(ニラ、バジル等)は害虫対策に役立つ。
- 風通しを良くし、適切な水やりと肥料管理を心がける。
- ハダニは高温乾燥を好むため、葉水が予防になる。
- アブラムシは窒素過多で増えやすいので肥料に注意。
- 虫食いでボロボロになっても、剪定と追肥で復活可能。
- 被害のひどい葉や枝は思い切って切り落とす。
- 剪定後は追肥で栄養を補給し、樹勢の回復を促す。
- 諦めずに手入れをすれば、秋ナスの収穫も期待できる。